2009年7月13日 (月)

7月歌舞伎座 夜の部

Photo 歌舞伎座さよなら公演が続いていますが、今月の筋書きの表紙を1枚めくった写真‥‥何かこんな光景を見るとせつなくなりますね。あと10ヵ月、この入口を何度入ることができるでしょうか。

7月はバレエ公演が多いので、歌舞伎は行かないつもりでした。でも、せっかく澤潟屋の方々(笑也、春猿、笑三郎)が歌舞伎座にご出演なので、見られるうちにと、先週初めに行ってきました。

今回の夜の部は海老蔵が大活躍。2演目とも面白くて退屈することはありませんでした。ただ、私が行ったのはまだ初日から間もなかったので、セリフをかむ人、止まる人もいてありゃりゃ‥‥(まあ、聞き流せばわからない程度ですが)若手中心はいいけれど学芸会みたいだなと思っていたら、釣舟の三婦(さぶ)役の市蔵さんは前日からの急な代役ということでした。もともとの猿弥さんは病気休演とか。猿弥さんの恰幅のよさそうな三婦も似合っていると思ったのに残念です。

よく思うけれど歌舞伎って、1ヵ月の興行が終わって次の初日まで1週間ぐらいしかありませんよね。朝から晩まで舞台はお客さんが入っているから、リハもゲネプロもないという話は聞いたことがありますが、公演中に次の公演の稽古もして、間の数日で合わせるのでしょうけど、すぐ初日になってしまう。だから最初のほうと後のほうは違うのは当然?‥‥といっても私などは1回しか見に行かないのでわかりませんが。

よくテレビのドキュメンタリーなどで見ると、終演後のロビーにゴザを敷いて稽古していたりして、ホントかなあと思うけど、歌舞伎ってそういうものなのでしょうか。その上さらに急な代役なんて、多少なりとも素人芝居に関わっていたりすると、もう信じられません。プロはそれを当然のこととしてずっとやってきているのだからすごいなあと思います。

≪夏祭浪花鑑≫
現代でも人気のこの演目は江戸時代中期、享保の改革のあとの時代、有名な「菅原伝授手習鑑」や「仮名手本忠臣蔵」よりちょっと前に初演されたものです。実は私は生で見るのは初めてでした。勘三郎さんのはテレビで2種類(勘九郎時代のニューヨーク版と、昨年のベルリンでの録画)見ていますが、とても面白いお芝居ですよね。

序幕:住吉鳥居前の場
最初は、まず主要な登場人物が次々に現れる趣向。喧嘩沙汰で投獄された主人公、
団七九郎兵衛(海老蔵)が釈放されるというので、住吉大社の前まで来て待つ釣舟の三婦(市蔵)。そこへ駕籠に乗った磯之丞(笑也)がやってきて何やら駕籠かきとトラブルに。それを納めて磯之丞を先に茶屋にいかせると、今度は団七が役人に連れられてやって来る。

団七は罪人の扮装で、ひげも月代も伸び放題。そのむさくるしい姿で、「おありがとうござりまする」なんて言うのだけれど、あまりの似合わなさにまず会場から笑いが‥‥。そのあと、床屋に入ってすっきりした姿で出てきたときは、普通はかっこいい!となるのだろうけれど‥‥イケメン俺様な外見のためか、町人も大阪弁も似合わないんだよねsweat02この大阪弁も何日かすれば滑らかになっていくのでしょうか?(初役ではないはずだけど)どうもこの役は、勘三郎さんの軽妙洒脱な味がスタンダードになっているので、変な感じでした。

恋仲の磯之丞を追ってきた傾城琴浦(春猿)。春猿さんは相変わらずきれいlovely団七は琴浦を横恋慕する悪者から救い、磯之丞のところへ向かわせる。そのあとまた、琴浦を返せと一寸徳兵衛(獅童)なる者が言いがかりをつけ、派手な喧嘩になるんだけど、それを住吉大社のお参りを済ませて出てきた女房お梶(笑三郎)が仲裁する‥‥という、ごちゃごちゃとわかりにくいのですが、要するに、ここでひととおり登場人物の紹介をしたというわけですね。笑三郎さんのきっぷのいい世話女房役は合っていますね~。

徳兵衛はお梶に恩があるということがわかり、さらにこの夫婦と縁がある磯之丞は自分にとっても主筋‥‥ということで、さっきまで大立ち回りをしていた二人なのに、ここで片袖を交わして義兄弟の仲となるのでした。

二幕目:難波三婦内の場
定式幕を閉めただけで休憩なしで次の場面へ続きます。難波に住む釣舟の三婦(さぶ)のところに磯之丞と琴浦がかくまわれているのですが、二人は大変な状況もどこ吹く風で、仲良さそうに痴話喧嘩などをしています。私は笑也ファンなので、笑也さんの立役姿を見たかったというのが、今回これを見た第一の理由。きりっとした女形が素敵な笑也さんが、こんなふわふわした女以上に頼りない若殿役なんて~と思ったけれど、貴人特有の鷹揚で、どこか放っておけないところがある、そんな「つっころばし」の雰囲気はうまく出ていました。

この磯之丞の親の殿さまは、よほどいろんな人に恩をかけている大人物なのでしょうね。こんな、遊女にいれあげ勘当されるようなダメ息子でさえ、たくさんの人が助けてくれる。それどころか、このあと、こんなバカ殿のために庶民が血みどろになって殺し合いまでしてしまう‥‥その馬鹿らしさ悲しさが、一つのテーマかと思われます。

祭りにかこつけて様子をうかがいに来る悪者もいて、ここでは安心できないので、三婦の女房は訪ねてきたお辰(勘太郎)が国元に帰るというので、しばらく磯之丞をかくまってもらえないかと頼みます。お辰は二つ返事で引き受けるのですが、三婦は、突然任せられないと言い出す‥‥ここからがお辰の見せ場。

勘太郎さんはさすがに、海外公演や地方巡業でお辰を演じ続けていたので、めちゃくちゃこなれていて、もうそこだけ別世界というくらい濃い演技をしていました。テレビでは見ていましたが、本当にうまかったです。これでは代役にたったばかりの三婦ではたじたじ。顔に焼きコテを当て、傷をつくってまでやり通そうという女の心意気。ハラハラしながらも胸のすくような思い。すごかったです。引っ込む時の「ここでござんす!」にはもう大拍手でした。

そのあと、義平次が駕籠で迎えに来て、三婦の女房をだまして琴浦を連れて行ってしまう場面~団七がそれを知り、一大事とばかり追いかけていく場面は、とてもスピード感のある展開でした。

大詰:長町裏の場
そして、この演目の最大の見せ場。義父の義平次が意地悪く団七をいじめ抜き、それにじっと耐え続ける団七。義平次役の市蔵さんは、代役の三婦と大変な二役。三婦のほうは少し貧弱で物足りない感じがしたけれど、本来の役の義平次はもうこのねちねちといやらしい感じがすごかったです。

団七は磯之丞と琴浦のことを引き受けたのに、ここで琴浦を連れて行かれたら男が立たぬと訴え、必死で義平次に駕籠を戻すように懇願するのだけれど‥‥う~ん、海老さま、やっぱりこういう役は合ってないかな‥‥。

ところが、雪駄で額を割られ「男の生き面を!」とキレるところからはすごかった。やはりルックス、体格ともに恵まれているので、このあとの殺し場、様式美を見せる見得の数々は、どれもすごく決まっていて、カッコよかったです。

逃げる義平次を執拗に追いかけて殺すシーンは、一見残酷なように思えますが、誤って付けてしまった刀傷でも、親を手にかけることは当時としては最も重い罪。殺したあと、井戸の水で刀を洗うところ、足が震えて滑るところ、最後に「悪い人でも舅は親、親父殿、許してくだんせ」と言うところなどが、凄惨な殺し場だけれども、平気で人を殺したわけではないことも見ての通り。侠客というか、チンピラのような男でさえことさら節にこだわり義を重んじる‥‥何か、現代のちょっとのことで平気で人を殺してしまうのとは違うと思いました。

表通りの神輿を担いだ若い衆がなだれ込んで、祭りの喧噪の中で逃げ惑う団七。最後まで息つく暇もなく見入ってしまいました。よくできたお芝居、とても面白かったです。

長くなってしまったので、もう一つの「天守物語」はまたこのつぎに。

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2009年7月 5日 (日)

新国立劇場 「コッペリア」

先週、2月の「ライモンダ」以来の新国立劇場に行ってきました。去年は「カルメン」「アラジン」「シンデレラ」と見たし、最近は割と、私にしては新国、見ているほうです。会場の大きさもそんなに大きすぎず、後ろの方でも見やすいというのがいいところ。オーチャード・ホールや国際フォーラム・ホールAなどは「これでS席??」と言いたくなる、遠い遠い席までSであきれてしまいますよね。それから、新国は前の方でも傾斜があるので(フォーラムAなんか、11列目までまっ平よ!)人の頭が気になることもなくて見やすくて好きです。また、ゲスト公演でもチケットの値段は同じで、割安感があるのもうれしいです。Img

またまた大分時間がたってしまいましたが、29日にタマラ・ロホ&ホセ・カレーニョで、ローラン・プティの「コッペリア」を見ました。プティ作品は昔、熊哲とデュランテの「カルメン」と、テレビで「ノートルダム・ド・パリ」、あとは小品をいくつか見た程度でしたが、何となく敬遠気味でした。それでも、この「コッペリア」は古典を下敷きにうまく構成してあり、小粋でおしゃれな雰囲気もあって面白かったです。

≪第1幕≫
まず、舞台がとてもシンプル。1幕の街の広場は、普通の、スワニルダの家とコッペリウスの家が左右に向かい合っているような舞台ではありません。何か都会の路地裏のような雰囲気で、グレーの石造りの建物が正面にあり、上手に小さなドア、そして石のバルコニー(というより、ちょっとコワイ、落っこちそうなところ)そこがアパートのコッペリウスの部屋のようです。一般的な「コッペリア」に比べるとずいぶん無機質な感じがします。

正面の建物は兵舎なのか、その右半分からぞろぞろと同じ制服姿の兵隊さんが出てきたり、左半分からはピンクやブルーグレーのロングスカートの街の女たちが出てきます。街の女たちは頬に赤い丸を描いたおふざけメイクで、まるでフレンチカンカンみたい。スワニルダのお友達6人はボディ部分が花柄のチュチュ姿で、ロングスカートの女性たちに比べると、ちょっと若い女の子、という感じです。

チャルダッシュは、ここでは兵隊さんたちとドレスの女たちの踊り。これが、生身の人間というよりまるでお人形さんのような、人形劇を見ているような踊りなんですよね。あれをきっちり正確にそろえて踊るのは大変だと思います。それがすごく楽しそうで、踊りもピタッとそろっていて、こういうのって新国バレエ団の得意技かなと思いました。珍しく群舞に対する拍手がすごかったです。

街の人たちがおもちゃの兵隊とフランス人形のようなのに、なぜかバルコニーの正真正銘人形(人が人形を演じているのではなく、本物の人形)のコッペリアは、逆にドキッとするほどリアルでなまめかしい。黒いチュチュと赤いリボン、赤い唇が印象的。時折ぜんまい仕掛け、というよりラジコン?のように扇が動いたりします。

そう、主役の二人は‥‥タマラ・ロホのスワニルダは、めちゃくちゃ気が強そうな感じがしたけれど、意外にもかわいらしく素敵でした。カレーニョのフランツも、しょうもない浮気者なんだけれど、本人のどこか生真面目そうな雰囲気もあって、なかなか憎めない好青年になっていました。この二人のやり取りに、普通はマイムが多く使われるのだけれど、プティの振付けは踊りとマイムとに分けずに、マイムの部分も全部踊りに組み込まれていて、踊り=言語のように延々と続きます。スワニルダが麦の穂を持って踊る部分の曲が、二人で踊るパ・ド・ドゥになっているのだけれど、ここで二人の関係がはっきり見えるのです。

スワニルダはフランツが好き。何とか振り向いてもらおうとしますが、フランツはバルコニーにいるコッペリアの方に気を取られっぱなし。せっかくいいところまでいくのに、フランツにがくっとはずされます。そしてやきもちやきっぽく怒ってみたりするのですが、そういうやりとりがパ・ド・ドゥの中に表現されていて、ちょっと面白い。

そして、二人を見つめるコッペリウス。ルイジ・ボニーノのコッペリウスは、普通の偏屈な老職人とか、うさんくさい老科学者?ではなく、洒落者で上品な紳士といったところ。展開は同じように、若い兵隊たちにからかわれたりするうちに、部屋の鍵を落としてしまいます。そして、そのカギを拾って、スワニルダたちはコッペリウスの部屋に忍び込み‥‥一方フランツはコッペリアのいるバルコニーへ。こちらは梯子なんかかけたりせず、直接ロッククライミングみたいに壁をよじ登っていく!のでした。

≪第2幕≫
コッペリウスの部屋に忍び込んだスワニルダと友人たち。部屋の中はがらんとしているのだけれど、正面の棚には不気味な人形のパーツが‥‥。スワニルダたちがコッペリアを見つけ、こわごわ近づいてみると、それは何とスワニルダそっくりにつくられた人形でした。そのあと、コッペリウスが帰ってきて、みんな逃げていき、逃げ遅れたスワニルダはコッペリアのあった場所に隠れるのです。

実は、コッペリウスは近所に住む若いスワニルダに恋していたのか?そんなアクションも1幕にはありました。それが古典にちょこっとスパイスを加えている感じがします。それで、コッペリウスはスワニルダそっくりの人形をつくって、夜毎テーブルをしつらえ、キャンドルに火をともし、自分は黒いフロックコートに盛装して、人形を相手にシャンパンを飲んだりする秘かな生活を楽しんでいたのです。このろうそくの火も、シャンパンも本物。舞台上でシャンパンをポンと開け、ビシャビシャこぼれるのもおかまいなし。1幕の街の人たちはお人形のような動きで現実感なく踊るのに、こういうところはすごくリアリティがあるのです。

そして、シャンパンを二つのグラスに注ぎ、コッペリアにも飲ませ、丁寧に口元をぬぐってやるコッペリウス。さらに、人形と一緒にワルツまで踊っちゃう!‥‥おしゃれ、というか、おかしいけどよく考えるとすっごく不気味ですよね。超キモいオヤジ!

この「時のワルツ」の曲を使ったコッペリウスと人形コッペリアの踊りがまた面白かった。よく見ると肩に斜めに人形を支えるひもが掛かっていて、足と手もゴム紐のようなものでコッペリウスの手足にくっついているんだけれど、それが時にリアルに、時にあり得ないような動きをして、すごく面白かったです。結構長く、終わりの方はかなりのスピード感もあって、びっくりするくらい。ここが一つの見せ場だったのかな。人形とボニーノさんに拍手!

そのあとはフランツが忍び込んできて、眠り薬の入った酒で眠らされ、ふとした思いつきでフランツの生気?を人形に移そうという秘術?を始めるのは同じ。人形に化けたロホが本当に人形みたいで、大きな瞳を見開いたまま瞬きひとつしないのがまた驚きでした。

人形のふりをしてコッペリウスの魔術につきあうスワニルダと、本当に人形に命が宿ったと喜ぶコッペリウス‥‥それも古典と同じ。コッペリウスの部屋にはコッペリアのほかには人形は見当たらないのだけれど、ちゃんとスペイン風の踊りと、スコットランド風?の踊りも踊り、この場面はいつも感心するけど、スワニルダの独断場ですね。演技達者のロホが過剰演技にならずに、ごく自然に演じていたのがかえってすごかったです。

でも、だんだんとつきあうのも面倒になって、早くフランツを助けなければと思うスワニルダは本性を現します。無残にも衣装を脱がされたコッペリアを見て、フランツは本当に自分が好きだったのはスワニルダだったと悟り(?プログラムにこう書いてあった。ずいぶん調子いいのね)二人手をつないで逃げていってしまいます。残されたコッペリウスは、部屋の中をめちゃくちゃにされた上に大事な人形まで壊されて呆然。

古典では3幕になりますが、ここで場面転換があって、もとの1幕の広場になります。街の女達と兵隊さんたちが踊る中に、今逃げて来たばかりのフランツとスワニルダが加わって大騒ぎのうちの大団円。そう、あけぼのとか、祈りとか、仕事とかいうディベルディスマンは一切ありませんでした。まあ、鐘落成のセレモニー自体がないわけだから必要ないといえば必要ないですけど。

スワニルダとフランツのパ・ド・ドゥは、通常スワニルダのヴァリエーションとして踊られる曲だったかな。そのあとすぐにコーダになり男女のヴァリエーションはありませんでした。でも、それまでも結構主役二人が踊る場面があったので、もの足りない気はそれほどしませんでした。

ロホはスタイルはそれほどよくないので、新国のメンバーの中に入ってもザハロワほど飛びぬけて目立つことはないのだけれど、やはり「押し出し」というのか、そういうものが強く、確かなテクニックも加わって、ちょっと小柄にもかかわらずどっしりした存在感を感じさせました。

カレーニョはもう、よく飛びよく回る。それも一生懸命というのではなく、軽~くやっている感じなのに、一つ一つが丁寧だし、正確なのがすばらしい。もうかなりベテラン?マラーホフと同じくらいだと思うけれど、全然まだまだ大丈夫!という感じがしました。大柄で、どちらかというとがっちり体型なのにちっとも重く感じない。何年か前に見たゼレンスキーもそうだったなあ~なんて思い出していました。ゼレちゃん、あなたは今いずこ??

スワニルダとフランツもおさまるところにおさまってめでたしめでたしなのだけれど、最後、お祭り騒ぎのような喧噪が去ったあと、舞台の片隅で、壊れた人形を抱えているコッペリウスに、ちょっとホロッときてしまいました。それまでのスピード感あふれた展開が、ここでちょっとしんみりするのです。若さという特権を持った連中に置いてきぼりをくった初老の紳士。何だか自分も置いてきぼりを食うほうの年代になってきているので、こんなせつない終わり方は涙が出ちゃうsweat02

ボニーノ演じるコッペリウスは、粋でおしゃれだけれど、何だかいじらしいんですよ。そりゃ好きな女の子そっくりの人形なんかつくって、夜ごとダンスをしたりするのは変態っぽいけど、それは孤独で気ままな彼の生活の中だけのことで、誰にも迷惑はかけていない。それなのに、若いというだけの奴らにその甘い生活をめちゃくちゃにされ、大事な人形まで壊されて、おまけにひそかに思いを寄せていたスワニルダには見事振られちゃって、もう踏んだり蹴ったり。でも、それが哀れっぽくならないで「ホロリ」程度に笑い飛ばせちゃうのは、ボニーノの演技ならではか、この作品の持つエスプリ?なんですね。

そう、古典の「コッペリア」は、スワニルダが性格悪そうで、余り好きではありません。踊り満載で音楽も楽しいし、バレエということでは面白い作品なんだけれど、その根底にあるものを思うと不気味だったり、残酷だったりします。何で孤独な老人を偏屈だというだけでいじめるのか。音楽もダンスもひたすら明るいけど、そこには若さのもつ傲慢さにあふれています。その辺が、プティ版ではコッペリウスのリアルで暖かい生活ぶりと、まったく現実味がなく、コッペリアよりも人形っぽい街の若者たちとの対比によって表現され、ちょっぴりのアイロニーも感じられます。

それから、ほろ苦い結末も、古典版の、お金をもらってまあいいか‥みたいな終わり方より、ずっと心に残りました。ピーターライト版の、最後に奇跡が起こるようなファンタジーでもない、酷な現実のまま‥‥こんな「コッペリア」もあったのね~。最後、一人たたずむコッペリウスに、ちょっと涙しながら感動してしまったのでした。

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2009年7月 1日 (水)

バレエフェス「秘蔵記録映像上映会」

昨日は、ココログのメンテナンスをやっていたようでログインできず、終了後も写真がアップできなかったり、絵文字が入らなかったりといろいろありました。その中でショックだったのは、延々と書いたのに、アップしようとしたらいきなりのトラブル!
それで全部消えちゃったcrying

前は変なところをいじってページが戻って消えたりしたけど、最近ではページ移動する時に「まだ保存していませんがどうしますか」みたいな警告が出るので、いきなり消えちゃうことはなくなっていました。でも、何かメンテナンスがらみのトラブルだったのでしょうか?久々に大ショックでしたcrying もう立ち直れないcrying と言いつつ懲りずにまた書いているのですが。

さて、行きたいけどチケット高いし、見たい人もいるけどけど、見たくないような演目もあるし、まだ迷っているけど、たぶん行かないだろうと思うことしの第12回世界バレエフェス‥‥think そう思っていたら、バレエフェスの過去の記録映像を集めた1日限りのこんな企画があったのです。私は昔のことはわからないから懐かしくもないので、そんなに行く気はなかったのだけれど、誘われたので見てきました。090628_155202

ロビーには衣装や今までのプログラム、出場者のサインなどが展示されていました。見ていたら私の好きなルジマトフも、ニーナ・アナニアシヴィリも、91年開催の第6回に出演していたのですね。ルジマトフはAプロに「ドン・キ」、Bプロに「海賊」を踊っているようです。あ~私がバレエのバの字も知らなかった時代、さぞや華々しかったでしょうね。当時28歳のルジマトフ、そしてニーナ‥‥見たかったなあ~。

上映会が始まってすぐに気が付いたのですが、これって結構つらいかもsweat02‥‥というのも、音量が極端に小さいのです。もちろんシ~ンと静まり返っているので音楽は聞こえます。でも、それ以外の音も聞こえてしまう。姿勢を変えたりするとガタガタいうから、じっと前を見るだけで微動だにできない感じ。咳が出そうで苦しくなるし、おなかが鳴りそうで心配だし、かなりつらい鑑賞となりました。

それと全27演目と、数だけはたくさんあるけれど、全部が2~3分に編集されていて、いいところでブチッとキレて次にいってしまうんですよ。見入っているところで「はい次!」とばかりに変わってしまう。これにはかなり欲求不満になりました。

それでも「秘蔵」というだけあって面白かったです。ただ、前回の第11回が5演目もあったんですよ!これって「秘蔵」?一緒に行った友人は、きっと今回の宣伝のためだろうと言ってましたが、セレクトした出演者を見てもそんな感じがしました。どうせ「秘蔵」というなら、もっと昔の、珍しいもののほうを多く見せてほしかったです。

特に印象に残っているものをいくつか。
まず1976年の第1回、何と33年前ですね。既に歴史上の人物のようになっているマーゴフォンティーンの「ロミオとジュリエット」。聞き慣れない曲だと思ったらベルリオーズの曲でした。このときもう結構な年齢だったと思うけれど、フォンティーンという人がどういう魅力をもってバレエ界に君臨していたのか、何となくわかる気がしました。夢みるような表情が素敵でした。

それから、第2回(79年)のプリセツカヤとジョルジュ・ドンの「レダ」。ベジャールの作品です。和楽器の音楽、バックには大きな丸い鏡。この異質な二人と、異質な背景の組み合わせがすごかったです。プリセツカヤはレオタード姿で「瀕死の白鳥」を踊ります。その腕の動きのすごいこと。それからドンの圧倒的な存在感。あれは一体何だったんでしょうね。

マクシーモワとワシーリエフの「ドン・キホーテ」も印象に残っています。小柄なマクシーモワが可愛い顔をしてきっちりとした技を繰り出す。ワシーリエフも負けずに、力強くダイナミックな踊り。何か今の人たちとはスピード感が全然違うみたい。これって早送り?と思っちゃうくらいでした。

第3回(82年)の圧巻はジョルジュ・ドンの「ボレロ」。本当に、ドンの爆発的なエネルギーはすさまじい。伝説ですね~。生で見ていたらどんなだったんでしょう。「愛と哀しみのボレロ」という映画を見て、私の友人がドンの大ファンになり、当時「ジョルジュ・ドンを見に行かない?」と誘われたことがあったのです。でも、私もまだ学生だったし、バレエといえば高校の芸術鑑賞会で松山バレエ団を見ただけだったし、特に興味もなかったので「バレエなんて、私はいいよ~」と断ってしまったのが、今となっては本当にうらめしいcrying 

第3回はもう一つ、エヴァ・エフドキモワとペーター・シャウプスの「海賊」。まず、エフドキモワという人を見て、いきなり「何者!?」と思いました。ヴァリエーションは普通のメドーラのヴァリではなくて、ちょっと聞きなれない曲でしたが、最初のアチチュードのところでもう、その思いきりのよさと現代的なほっそりとしたプロポーションに目を奪われました。一瞬キラキラっと光ったような気がしたくらいです。あとでどういう人が調べたら、何と今年4月に60歳で亡くなられていたのですね。日本のバレエ教室にも招かれて教えたりしていたようで、この夏、ご縁のあった団体では追悼公演なども催されるようです。本当に素敵なバレリーナだったと思います。

第4回(85年)のマリシア・ハイデとリチャード・クラガンの「オネーギン」も素晴らしかった。例の、タチアーナが手紙を書きながら眠ってしまったときの夢で、鏡の中から現れるオネーギンと踊る情熱的なパ・ド・ドゥです。このときのハイデも、年齢的にはかなりベテランだったと思うけれど、本当に初々しい少女の、何も知らないだけに空想だけは大胆になるような、そんな少女そのものなのです。これも、短く編集されていたのが残念。せめてこれだけでも全部見たかったです。

同じく第4回、モニク・ルディエールとパトリック・デュポンの「ドン・キホーテ」。これが一番受けたと思います。素晴らしいバランスを見せるルディエールもさることながら、何といってもデュポンの、笑っちゃうぐらいの超絶パフォーマンス!これには映像であるにもかかわらず会場から拍手が起こりました。とにかくスピードがすごい!びっくりしました。デュポンって、ブルメイステル版の「白鳥の湖」の映像でしか知らなかったけれど、すごい人だったんですね。パリオペには珍しいタイプの人だったのではないでしょうか。

第5回(88年)のシルヴィ・ギエムとマニュエル・ルグリの「グラン・パ・クラシック」もよかったですが、残念ながら伝説の黒いレースの衣装のものではありませんでした。ギエムもちょっとすごさが足りないような‥‥。ルグリとの組み合わせもまだ「優等生」という域を出ない感じ。このときどちらも25歳ぐらいだったんじゃないでしょうか。

そして第5回の「特別プログラム」という「白鳥の湖」。出演者が主要な役を交代で演じているもの。ここでもまたデュポンがすごかった!道化役で踊っているのだけれど、これ見よがしの超高速回転!さらに回転中に手を上げ下げしたりするまたまた笑っちゃうくらいの超絶パフォーマンスにまたもや大拍手。私はご縁がなくて、デュポンもまた「見られなかったのが残念!」という人の一人になりました。

ルジマトフも出演した91年の第6回からはニーナ・アナニアシヴィリとアンドリュス・リエパの「ライモンダ」でした。当時28歳のニーナはまだまだかわいらしい。そして白マント激似合い、サラサラ金髪のリエパは見るからに王子様でlovely 本当にうっとりしちゃいました。

ほかには、私がバレエを見始めた頃の2000年の第9回、フェリとマラーホフの「マノン」とか、第10回(03年)コジョカルとコレーラの「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」ギエム&ル・リッシュの「優しい嘘」などがよかったです。あとは、ちょっと眠くなるようなものもあったり‥‥ギエムの「TWO」は見たことがあるけど、四角いライトの中で踊る、後半手だけが光って見えるような、ああいうパフォーマンスは生舞台ならではのもので、映像で見ると暗くて何が何だかわかりませんでした。あと、ルグリとオレリー・デュポンの「扉は必ず」も、確かルグリガラで見ましたが、あのスローモーションのような演目も、生ならいいけど、映像で見ると退屈でした。

終わってから誘ってくれた友人と長々と話しました。実はそれがメインだったのです。私のまわりにはバレエファン皆無状態だったのですが、最近ひょんなことで知り合った方で、もう昔からバレエを見ている人。当然私は知識面で太刀打ちできそうもないし、また好みもちょっと違うようなのですけど、話していくうちにだんだん共通の見解?が見えてきました。

それはやっぱり、私は知らないけれど、バレエブームの1つのピークは90年代だったということ。今回の上映会ではちょうどその辺りが少なくて残念だったのです。ギエムやルグリが一世を風靡した時代。マラーホフが、フェリが最前線で輝いていた時代。私にとってはニーナやルジマトフの全盛期。また、ソ連が崩壊したこともあって、ロシアのバレエ団が次々に来日した贅沢な時代。日本の熊川さんや吉田さんが海外で華々しく活躍し、一般人のバレエに対する認知度も上がった時代。何かそのすごい時代に、私は何も知らなかったことが返す返すも残念です。まあ、私がバレエを見始めたきっかけは、そんなバレエブームに乗って友人の子供がバレエを習い始め、それを見てうちの娘もバレエをやりたいと言い出した‥‥そんなわけで私にも、その90年代の余波が回ってきたと思えば納得できるような気もするのですが。

その頃活躍した人は、すでに引退したり、大ベテランの域に入っている人ばかりですが、これに代わるものを持っている人はなかなか見当たりません。こんな人たちが綺羅星のごとく揃っていた時代なんて、これからまた来るのでしょうか。ギエム、マラーホフ、ルグリ‥‥これからはこういう人たちの引き際を見守っていくことになるんでしょうね。

それで、8月のバレエフェスですが、私はどうも触手が動かない。その友人はもうクラシックを踊らなくなった彼らを淋しく思いながらも、昔のよしみで?見に行くそうです。もうすぐ第2次発売ですね~think

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2009年6月28日 (日)

時代劇、映画、あれこれ。

先月の栗塚さんのイベント以来いろんな人と知り合い、中にはこのブログに訪問してくださった方もいて、本当にうれしいです。ですが、せっかく来てくれたのにトップページが私の現在の趣味?であるバレエの話ばかりでは申しわけないので、わかりやすいように「新選組or栗塚旭」などというカテゴリーをつくってしまいました。だけど‥‥もしかしてcoldsweats01つくったからには、これからそのカテゴリーも時々は更新していかなきゃいけなくなった?sweat02ような気がしています。

実を言うとここ1か月以上、このブログの「週間検索ランキング」では、「栗塚旭」がベスト1記録を更新中なのです。お気づきの方はあまりいらっしゃらないと思いますが、このページの左下に「検索フレーズランキング」という欄があります。このブログの訪問者が、どんな検索ワードで来てくれたかというのが出ているのですが、私が先月の京都イベントのことを書いて以来、常に「栗塚旭」がトップなのです。(トップといっても5~6件もあったらもうトップかもしれませんがsweat02)どうしてでしょうね。ほかにあまり書いている人がいないのかな?と思ったけれど、私がお会いした栗塚ファンの多くはご自身のブログに書いていらっしゃいますし。これは純粋に、世間の関心が高いということなのでしょうか。

それでも現実、私のまわりには「燃えよ剣」はおろか、栗塚さんのことを知っている人はほとんどいないと思っていました。ところが、昨日たまたまランチをした人で、息子の学校で一緒にコーラスをやっている仲間が、なんと昔からの時代劇ファンで、栗塚さんを知っているというではないですか。すごい偶然!‥というのも、子どもの学校関係のお母さんとは長い付き合いの割に、PTA活動などの話意外には、学校や子どもの話、部活や試験の話、先生の悪口?ぐらいしか話をしたことがなかったのです。

それが、偶然そんな話で盛り上がって、私もびっくりしてしまいました。彼女いわく「燃えよ剣」は名作よね~happy01 そして、ちゃんと見たのは私と同じく再放送だったけれど、リアルタイムでもちらほら見ているそうです。それで、私ったらそのあと娘の学校のPTAに行かなきゃいけないのに、かなり長い時間、彼女と話し込んでしまったのでした。

共通の認識としては、栗塚さんみたいな独特な雰囲気を持った役者はその後出てきてないということでした。そうなんですよねっ!特に演技らしい演技はしていなくても、ひと言もセリフを言わなくても、ただそこにいるだけで何かを語ってしまうんです!ある意味大根役者(ごめんなさい!)と言ってもいいかもしれませんが、あの独特な存在感は一体何なんでしょうね~。演技も何もない、セリフもボソボソっと言うだけなのに、顔どアップで、大きなギョロっとした目が右から左へ動いていくカットのみで、すべての状況を語ってしまう!

今、「時代劇専門チャンネル」では「眠狂四郎 円月殺法」というのがスタートしていて、主演が片岡孝夫(仁左衛門)なので、私も録画して3本ほどを見たところです。30年近く前の仁左衛門さんはさすがに若くて端正な美しさ。実は、昨年11月の「盟三五大切」を見て以来、仁左さまはかなり気になる存在になりました。その決定打は3月の「元禄忠臣蔵」の「御浜御殿」の綱豊卿です。よどみなくたたみかけるような長ゼりフの嵐!すごい!感動!それで「仁左さま」などと言っていたら「何で今頃!」と言われてしまいましたけどねcoldsweats01(私って、ルジ様もそうだけど、何で今頃‥‥ってことが多いです) 

その仁左さまの若いころの作品ということで見始めたのですが‥‥う~ん確かに歌舞伎役者だけあって、着流し姿が超似合うし、立居振舞いも美しいし、刀の扱いもさまになっていて、殺陣もすばらしい。だけど何だろう‥‥あの転びバテレンの子で「無頼の徒」という設定は、何だかそぐわない感じ。同じ眠狂四郎役で、その10年前にテレビに登場した(私は知らないのだけれど)田村正和のほうがずっとニヒルで、バタ臭くて合っているような気がしてしまいました。

仁左衛門さんは歌舞伎役者ですから、本業では毎月多彩な役を演じています。二枚目役以外にも「伽羅先代萩」の八潮とかsweat01「義経千本桜」の藤太まで、実に変幻自在です。演技もこれでもかというくらい濃いし!

だけど、歌舞伎の世界とテレビの世界は違うんですね。30年前ではありますがテレビに登場した仁左さまは、とても美しいけれど何だか無色透明な感じで、色気?‥‥も感じないではないけど、どこか人畜無害という感じ。ノックアウト!とか、かぶりつきたいほどの魅力ではありません。歌舞伎役者というのはあの白塗りや隈取りの化粧をしてなんぼというか、常にさまざまな役を演じるために、素の色というのはあまりないのかもしれません。

それに対し栗塚さんが演じるのは、野良犬でも、土方歳三でも、すべてぞくぞくするような存在感。そこにいるだけで迫力というか、スターオーラというか、本当にあれは何なんでしょうね~?テレビ映像ならではというか、もう画面にむしゃぶりつきたい感じ!栗塚さんの魅力はそういうものだったのだと改めて思いました。

それで、さらに話は飛んで、この間の「オフ会」でのことですが、「燃えよ剣」で山崎丞役を演じた中野誠也さんについて、私は皆さんよく御存じかと思ってちょっと聞いてみたのです。あの山崎さんはなかなか渋くてカッコイイ役でした。演じる中野さんもまた乙女心に(?)栗様の次ぐらいに素敵lovelyと思っていましたが、どういう人なのか、またその後どうしているのか何も知らなかったのです。

それで、ファンの方がつくっているHPを教えていただきました。あとで見てみると‥‥何と、中野さんは昔私がたまたまテレビで見て、とても印象に残っていた「忍ぶ糸」という映画に出演されていたではないですか。

「忍ぶ糸」をテレビで見たのは全くの偶然で、中学生ぐらいのときだったかな?題名のごとく中学生が見るには古臭くて地味な映画だったと思います。だけど、あそこに出てきた伊賀上野の街や、室生寺や赤目四十八滝などの近鉄沿線の名所はとても美しくて、私のあこがれの地(?)になりました。それから何年後かに伊賀上野に行く機会があって、ロケ地の一つである「俳聖殿」の前に立ったときは本当に感動したものです。(昔から渋い趣味だったのかも??)

あの後半に登場した陶芸家の青年が中野さんだったのか~。そう思ったらすごく「忍ぶ糸」が見たくなって、レンタルビデオ店に走ったのですが、「忍ぶ糸」はDVD化はされていないんですね。レンタル店はここ1年ほどで大きく様変わりし、もう今では100%DVD。ビデオはすべての棚から消えてしまいましたcrying でも、もしかしてどこか場末のビデオ屋にでもひょっこり残ってないかしら?と思い、最近あちこちのぞいていたのですが‥‥やっぱりないですね。

普段あまりレンタル店には行かないのですが、そのときに、また別のものを見つけてしまいました!!何と栗塚さんが出演されている「小津の秋」があったのです。DVD出てたんだ~。2007年?「二人日和」に続く野村惠一監督の作品です。昨年、東京でも公開されていたようですが、私は何も知らなかったので見逃してしまい、残念な思いをしていたので、早速借りてきて見ました!

蓼科というところは、私も夏休みや冬のスキーなどでよく行っていたので、なじみの深い場所です。その美しい秋の風景が描かれているのですが、藤村志保さんといい、栗塚さんといい、役者さんが同じなのでどうしても「二人日和」と比較してしまいます。でもなぜか「二人日和」みたいなしっとりとした感動はありませんでした。主人公の沢口靖子の役が、全然魅力がなくて‥‥やっぱり恨みとか、そういうものが根底にあるものはダメですね。最初に登場した縄文のヴィーナス、そして女神湖‥‥女神は許すことができるというのがテーマかと思いましたが‥‥よくわかりませんでした。

で、栗塚さんですよ!脇役ながら栗塚さんの重厚な存在感が、このほとんどぱっとしない作品の中で、またまたいぶし銀の光を放っているのです。もう何十年も、幼馴染みの女性をつかず離れずおだやかに見守っているだけの、ホテルの支配人役。それから沢口靖子演じる女性ライターの不安定な心の動きも、不思議に暖かく包み込んでしまう存在‥‥。ほとんどセリフもないのに、じっと釣竿を垂れる姿、夜中に趣味のフライを黙々とつくっている姿‥‥そんな一つ一つのカットが心にしみこんでいきます。映画自体は何かにえきらない内容なんだけれど、栗塚さんの端正な紳士ぶりが全体を格調高いものに変えているのです。映像の中で、幾つになっても稀有な存在でいつづける栗塚さん。本当にすばらしいheart01

まだあと何日かレンタル期間があるので、もう一度じっくり見てみようと思っています。
とりとめのないお話でした。

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2009年6月24日 (水)

6月 歌舞伎鑑賞教室

もうちょっと前になりますが、国立劇場の「華果西遊記」を見てきました。毎年6月、7月に行われる国立劇場の歌舞伎鑑賞教室は今回で75回目ということです。そうですよね、私の学生時代からありましたもの。学生料金がとても安く設定されていたので、私も昔よくお世話になりました。

子どもが小学生になった頃、学校から夏休みの「親子で楽しむ歌舞伎教室」のチラシが回ってきました。それ以来また、子どもと一緒に何度か見に行っています。確か「親子」企画の期間中は「親子」という限定ながら、さらに安い価格で見られ、パンフレットも特に子ども向けにつくられているんですよね。通常は一般3,800円、学生1,300円です。それでも安いのに、夏休みの期間に入ると親子割で、親2,000円、子1,000円なんですよ。子は18歳までというから、まだうちの子でも大丈夫!

内容は、前半は解説、後半はお芝居。いわゆるスターは登場しませんが、若手、中堅どころの実力ある役者さんたちの熱演を見ることができます。ただ、演目によるところが大きいのだけれど、ごくオーソドックスな古典演目が多いので、これが初めて見る歌舞伎だったらちょっとかわいそうかな‥‥と思ってしまったことも中にはありますけどね。子どもには退屈すぎるものもあって、うちの子などは半分以上寝ていたこともありましたsweat02Imgp7749

今回は猿之助一門が登場する「華果西遊記」ということで、絶対退屈はしないでしょう!まだ夏休みじゃないので、久々に1人で見に行きました。昼の11時と2時30分の2回上演なので、平日お仕事をされている方は、土日または2回設定されている午後7時からの「社会人のための~」というのしか見れない設定です。それで、普段はどんな人が来るかというと、ほとんどが中学生・高校生のようでした。

学校で行う芸術鑑賞会というのに団体で利用されているんでしょうね。私が行った回は、1階席は全部高校生の団体。一般は2階席でした。高校生たちと見た歌舞伎。これがまた独特な雰囲気でおもしろかったです。

≪第1部:解説 歌舞伎のみかた≫
3月の「獨道中五十三驛」以来の春猿&笑三郎のコンビによるテンポのいい解説は、実演も交えてとても楽しかったです。歌舞伎の三つの要素である「歌(音楽)」「舞(舞踊)」「技(歌舞伎独特の見得や舞台の決まりごとなど)」をわかりやすく説明していました。何度か見ているので重複するところも多々あるのですが、初めて見る人にはとても親切だと思います。

音楽では、下座と義太夫、常盤津の違いなど。下座では、太鼓でいろんな自然現象を表現する方法を実演していました。ドロドロで、春猿さんがいきなりお化けになってスッポンから登場したのでびっくりしました。あと、今回の「華果西遊記」では義太夫と常盤津のかけあいがあるということで、義太夫と常盤津の違いを笑三郎さんも一緒に実演してくれました。ある動作に対して、義太夫はナレーション的に、常盤津はBGM的にという、その違いが面白かったです。

舞踊では春猿さんが素踊りを披露。解説の笑三郎さんが「化粧してなくても十分きれいでしょ」というので、うん、うんとうなずいてしまいました。女形の技の実演で、ぐっと肩甲骨を寄せ、肩を落としてなで肩の形をつくるというのを春猿さんが実演すると、客席から「キャ~」という声が‥‥高校生には何が受けたんでしょう?続いて膝を付けて内またにする、という実演で、春猿さんが袴をめくっておみ脚を見せたのでまた「キャ~!」

女形は「お○マっぽい」イメージがあったのかもしれませんが、衣装もかつらも化粧もなしに、姿勢を変えるだけで、表情まですっと女形に変身して、そのまま華麗に舞う春猿さんの技に、やっぱり純粋に驚いたことでしょうね。それから黒衣の役割。舞台上で黒は見えないという約束事などの説明。差し金の使い方の実演で、しばし客席とバレーボールに興じ、高校生大受けでした。

あとは笑三郎さんの見得の実演と、最後に「もうこれで皆さんとは顔見知りになったわけですから、あとのお芝居で私たちが登場したら盛大な拍手をお願いしますね」なんて言ってしめくくっていました。うまい!

≪第2部 華果西遊記≫
「華果」とは猿之助の俳号だそうです。孫悟空が生まれた山も確か「華果山」といいましたね。明治11年に初演された歌舞伎の「西遊記」は、のちに初代、二代目の猿之助が演じて猿之助の家の芸になりました。それを平成12年に「華果西遊記」として再演したもの、いわば「猿之助版西遊記」というところです。

何年か前に確かテレビでも放送してましたよね。その時の録画、探しても見当たらないんですがcrying‥‥確か段治郎さんの沙悟浄と、猿弥さんの猪八戒、右近さんの孫悟空が3人で宙乗りしたりしていました。今回はその一部なので宙乗りはなしです。

第1場 西梁国智籌殿の場
経典を求めて天竺へと旅を続ける三蔵法師が通りかかったのが、女ばかりで男はいないという国。最初に花道から、笑也さん扮する三蔵法師が登場したとき、何とまた会場から「きゃ~!」という声!何??何?私は2階席だったので揚幕が見えないんです。わけのわからない高校生たちの反応に一瞬何が起こったのかと思いました。笑也さんがそんなに美しかったのかしら??

そのあと花道の七三まできて立ち止まり、こちらを振り向いた笑也さんの美しさに納得。安珍もかくやという美僧姿。これを見るために来たので、これだけでもう十分満足でしたheart04いつものまるで女優のお声が‥ちゃんと男の声だわ。でも、姿は夏目雅子のような若く美しい三蔵法師でした。

続いて御簾が開いて女王(笑三郎)が登場すると、お約束通りの熱い拍手。高校生諸君、忘れていませんでしたね。

お芝居の方は全くの荒唐無稽。だけど、高校生たちには格式高い古典よりもこっちの方が面白いよね。意外なところで受けるので面白かったです。猪八戒と沙悟浄のやりとりで、「女ばかりの国では子ができないだろう」「まさか我々を種馬にしようというのではあるまいな」などと言ってニヤッとするところで男子生徒たちのげらげら笑う声が聞こえます。

のどが渇いた猪八戒が飲んでしまったのは、飲むと子が授かるという不思議な泉の水。それを聞いたとたんに猪八戒はにわかな腹痛に七転八倒!「ややっ、もしや子ができた?」でまた大笑い。このあと孫悟空(右近)が登場して、手品のようなことをして観客を楽しませながら「子だね」を取り出す「手術」が始まります。ばかばかしいんだけど、こんなことも高校生には受けるんですね。元気になった3人の披露する棒の技も面白かったです。猪八戒は猿弥さん、沙悟浄は今回、段治郎さんではなく弘太郎さんでした。それぞれキャラがたっていてよかったです。

一方、三蔵法師はというと‥‥。女王の「妹(春猿)が恋煩いで死にそうだから、ご祈祷して治してほしい」という言葉に、それならばと奥に入ってみると‥‥。春猿さん登場でまた大拍手happy01 それにしてもこの春猿さんのあでやかなこと。りりしい笑也さんとの並びがまた美しいlovely 妹姫は三蔵法師を見るなり、「2年前にお見かけしてから私がずっと恋こがれているのはあなたです!」といきなりの猛アタック。困る三蔵法師。でも、まんざらでもなさそうな、ちょっと色っぽいやり取りにドキドキしちゃいました。

ところが、そこへ孫悟空が駆けつけ、女王と妹が妖怪だと見破ると、たちまち美しかった二人は恐ろしい蜘蛛の精に姿を変え、次々に糸を投げて三蔵法師をとらえて連れ去ってしまいます。客席まで飛んでいく蜘蛛の糸も華やかだけれど、この衣装のぶっ返りを使った変身も見事でした。一方、侍女たちの歓待を受けて鼻の下を伸ばしていた八戒・沙悟浄も、にわかに変身した侍女たちにからめとられてしまいました。

第2場 雲中の場
ピンチ!‥‥のはずなのに、けっこう落ち着いていておどけた感じの孫悟空。「きんと雲」に乗って様子をうかがううち、二手に分かれた三蔵法師と猪八戒・沙悟浄のどちらも急いで助けなければいけないと悟ります。そこで頭の毛を抜いて分身の術をつかうと、あらまあ不思議、孫悟空そっくりのかわいい子猿たちが現れました。5~6歳から10歳ぐらいまでの子どもたちでしょうか、子猿のいでたちで揃って「かっぽれ」を踊ってかわいいこと!こんな演出、今まで「歌舞伎鑑賞教室」にあったでしょうか?今月これを見た中高生たちも、これで一気に歌舞伎の世界が身近に感じられたことでしょう。

分身の子猿たちを八戒・沙悟浄の救出に向かわせたあと、悟空は急いで三蔵法師の捕らえられている盤糸嶺に向かうのでした。

第3場 盤糸嶺山頂の場
幕が振り落とされ、そこは恐ろしい妖怪たちの住む岩山。化粧が恐ろしくて、とてもさっきの美しい笑三郎さんと春猿さんには見えませんがcoldsweats02‥‥ここでまた大量の蜘蛛の糸は投げるわ、「千本桜」の「小金吾討死」みたいな縄の(蜘蛛の巣にも見えますね)立ち回りはあるわ、息つく暇もなく楽しませてもらいました。ほんとに、子どもが寝ちゃうような演目もあるのに、今回の鑑賞教室で初めて歌舞伎を見たという中高生は幸せでしたね。

戦いの末、見事魔物をやっつけてめでたしめでたし。三蔵法師一行はまた天竺目指して旅を続けるのでした。

いつも、ケレン満載の猿之助歌舞伎は結構突っ込みどころもあるのだけれど、今回は本当に面白く、楽しんで見ることができました。ワタクシ的には笑也さんが素敵で、もう満足~heart04 笑也さんは女形も美しいけれど、立役もりりしくて好き。実は「南総里見八犬伝」の犬塚信乃役で、私は笑也さんに陥落したのでした。あれからかなりたつけれど、「八犬伝」の再演もぜひお願いしたいものです。

意外なことに立役も素敵な笑也さん。来月は歌舞伎座でまた立役じゃないですか?7月はバレエ鑑賞が忙しくて行けないかもしれませんがcrying 秋には巡業?の「傾城反魂香」でまた立役。楽しみです。私は行けませんでしたが、先月の名古屋の「東海道中膝栗毛」でも、見た友人の話では「イケメン気取りの田舎役者」の役だったそうで、ことしはなぜか立役づいていますね。

そういえば大河ドラマの「天地人」で武田勝頼公を演じていました。私は言われるまで全くわかりませんでしたが‥‥あとで録画を見てみると‥‥え~!「美青年」じゃなくて「オジサン」じゃんcoldsweats02 ちょっとショックかも。でも、高慢で神経質そうな役の雰囲気を上手に出していました。

きのう、娘のバレエ教室についていったら、一緒の教室の子で「明日、学校の芸術鑑賞会で、国立劇場に歌舞伎を見に行くんだよ~」と言っていた子がいました。「いいね~。すごく面白いよ。素敵な三蔵法師が出てきたら、たくさん拍手をしてあげてね」と言っておきました。三蔵法師が素敵だなんて想像もつかない様子でしたが、彼女も今頃はきっとびっくりして見ていることでしょう。

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2009年6月20日 (土)

ルジマトフ 最後の「バヤデルカ」‥だって?!

Simg_2 あ、あ、あ、こんなことがあっていいのでしょうか?
まだ7月の公演もあるというのに、気持ちはすっかり来年のお正月明けにすっ飛んでしまいました。来年1月、何と
あのルジマトフが再び全幕を踊るのです!うれしい~!

7月に予定の「シェヘラザード」も素敵ですよ。「阿修羅」だって、もうこの上なく美しい。でも、やはり彼の真骨頂は全幕物で紡ぎ出す物語。演技とも素とも区別できない役への深い入り込み具合だと思うから、また日本で「バヤデルカ」のソロルの物語を奏でてくれること、それはファンにとってはこの上なくうれしいビッグニュースでした!

芸術監督になって、クラシックを踊らなくなって何が一番淋しかったかというと、この全幕を演じる姿がもう見られないのかということでした。だから、この知らせを耳にした時はもう夢かと思いましたよ。DM、私のところにはまた届くのがとても遅かったのです。先週から届いている人もいるのにweepやっぱり話に聞いていていても、HPにアップされていても、手元にお知らせを見るまでは‥‥(?)こんなに待ち望んだDMというのもなかったかも‥‥!?昨日、無事届きましたhappy01待ってたよ~。

2年前(というか、3シーズン前)に、私が見て完全に陥落してしまった舞台の数々は、あれが最後の「海賊」、最後の「白鳥の湖」、最後の「ジゼル」、最後の「バヤデルカ」になってしまったのかと淋しく思っていたけれど、そうじゃなかったんですね。これはやはりプロモーター側が相当努力というか、説得をされたんじゃないでしょうか??一昨年の芸監就任時に「もうクラシックを踊るのは難しいだろう」などと本人が宣言したときは、本当にショックでした。

確かに、「海賊」も「白鳥」も、すでにそれより何年も前から日本でしか踊っていないという状態だったようですし。「海賊」のアリは若手花形の踊る役だし、「白鳥」のジークフリート王子も20歳の誕生日という設定です。だから、というわけではないだろうけど、ご本人も‥どうだったんでしょうね?何だか複雑な気がします。かといって、コンラッドやロットバルトをやれるかというと、そうもいかないでしょうし。

やっぱり今、何か一つ全幕で踊るとなると「バヤデルカ」なんでしょうね。「バヤデルカ」のソロルは、「海賊」のアリ、「シェヘラザード」の金の奴隷と並んで、はまり役ですからね。「栗塚旭=土方歳三」みたいなものです。彼はプライベートでもインドを旅しているということですから、この役に対する思い入れはまた格別なものがあるのでしょう。

事実、私は生ではルジマトフのソロルしか見たことがありませんが、映像ではいろいろ出ています。イレールとか、ムハメドフとか。あと、ボッレみたいなヴィジュアル的にも美しいソロルはいます。だけど、どれを見てもソロルってほんとに情けない男なのよね。その超情けない男を、人間の業や愚かさも含めて、この上なくせつなく、哀しく、この上なく美しい愛の物語として演じきるルジマトフ。。。あ~ほめすぎ?

一方、「バヤデルカ」のソロルは演技的にも難役だけれど、踊り的にも1幕から出ずっぱりでかなりハード。特に2幕の婚約式の華やかなヴァリエーションは、もうブルーバード以上にジャンプの連続で‥‥正直大丈夫かなという思いはあります。何か、私って見ていても全く気付かなかったのだけれど、前回の「バヤデルカ」のときにはこのヴァリエーションを省略したということで非難もあったといいます。そんなことまでして主役を踊るのか‥‥というか、ファンとしてはそれでも見たい!というのがホントのところですけどね。

自分で満足するものが見せられないなら、省略するのが潔いのか?それもわかりません。事実、好きなダンサーで、もう引退したほうがよくない?‥‥なんていう踊りを見るのはたまらないと思います。まあ、ルジマトフの場合はそんなことは絶対ない!これを受けてくれたということは、やはり彼にとっても大きな挑戦だろうし、きっと奇跡のような舞台を見せてくれることを信じています。

あと、私の希望としては「ジゼル」をぜひもう一度見たい。あの、ジゼルが花をバラバラ落とすところで涙があふれて何が何だかわからなくなっちゃった2年前の「ジゼル」。あの感動をもう一度!でも、踊ってくれるなら本当に何でもいいです。チラシにも最後の「バヤデルカ」とは書いてあるけれど、これが最後の全幕主演とは書いてないみたいですから。まだ期待はできるのかな?

ファンとしてごく新参者の私が言うことではないと思いますが、過去の映像などを見るにつけ、ルジマトフは技術的にはものすごく若いうちにピークを迎えてしまったダンサーだと思うのです。DVDになっている86年(26歳?)の「ドン・キホーテ」の3幕のヴァリエーションなどは本当に見事と言うしかない。天才的!パの正確さ、ジャンプの高さ、のびやかさ、ダイナミックさなど目を見張るばかりです。だけど、30代になるともう既にピークを過ぎた人のような言われ方をして、私が初めて見た2000年(37歳)でも、こんなものかなあ(超ごめん!!)と思ったくらいでした。

でも、「ルジマトフ四大傑作選」というDVDには、2000年以降の舞台が断片的に入っているのですが、それを見るとまた違った感動を覚えます。月並みに「表現力」といったらいいのか、独特の雰囲気といったらいいのか、全身から匂い立つような香気というのか、いわゆるオーラですね。そんなものをそれこそ何重にも身にまとって神々しいばかり!

以前テレビで放送されたイヴリン・ハートとの「ジゼル」なんて、ハートは当時50近い大ベテランだったと思うし、ルジマトフも調子はおもわしくなくてヴァリエーションの振り付けも変えていたりしますが、そこから醸し出される詩情というか、魂の物語は何度見ても引き込まれます。技術的にすごい人はこれからもたくさん出てくるだろうけど、こういう心を打つ物語を踊れる人はそうそう出てこない‥‥私はそう思います。

来年はニーナも「ロミオとジュリエット」をひっさげてやってくるし、本当に楽しみheart04ルジ様ももうすぐ46歳の誕生日ですね~。ニーナも同い年。思えば私がバレエのバの字も知らない頃に、この大好きな二人がペアになって「ドン・キ」のグラン・パなどを日本で踊っていた夢のような時代があったんですね。あ~何だかわからないけど、見れなかった時間が恨めしい。その分、大ベテランになった彼らを絶対に見逃したくないと思っています。

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2009年6月19日 (金)

昔取った何とやら。

ここのところ頭の中が非日常なものでいっぱいです。まず、あのルジ様が、来年また全幕を踊るって!!きゃ~heart04もう~すごいビッグニュースに舞い上がっています。これが最後の「バヤデルカ」だそうですが‥‥ルジマトフのソロルがまた見られる!lovelyもう見られないと思っていたから感無量~heart04と、このことはまたあとでしつこく書くでしょうから、今回は置いておいて。

そのほかのものというのは、何と昔の時代劇のこと。1か月前にふとした思いつきで参加した「土方歳三の愛した京都」ですが(‥‥内容的には「栗塚旭とロケ地巡り」でしたけどね。)ただ単に楽しかったというだけでなく、その縁でいろんな方と知り合うことができ、あれ以来飛躍的に世界が広がった思いがしています。

それが、さらに先週、弥次喜多コンビと言われている?大阪の愛好家のお二人が東京にいらっしゃるということで、オフ会のお誘いがありました。もちろん参加しました。そのときに、いろんな話が出たのですが、私はどうせ聞く専門で、彼らのマニアックなお話にはついていけないだろうと思っていました。だって、テーマである結束信二作品の数々は、一昨年「時代劇専門チャンネル」で録画はしたけれど、実はところどころしか見ていなかったのです。「燃えよ剣」にしても、昔見たという以外は、10年ぐらい前にビデオが出てから、レンタル店で1本ずつ借りて見た程度でした。

それでも、何とお話についていけたんですよ。それはなぜかと考えると‥‥‥。

まず、お二人からいろんなお土産をもらいました。ひとつは自家製の卓上カレンダーです。これは映像から静止画を取り込んでつくった、それこそ新旧の栗様のいろんなお役大集合のすごいものでした。そんな素晴らしいものをタダでいただけるなんて感激noteというか、売ったら肖像権や著作権の問題が出てきますものね。あくまでも個人的につくったものを個人的にいただいたわけです。今、その素敵な栗様のカレンダーを机の上に置き、一人でにんまりとしています。

もう一つは「名言集」なるCD。これがまたすごいの。「新選組血風録」と「燃えよ剣」の名セリフの音声だけを集めたもの。これは家で、家族のいるところでは聞けないので(爆)きょう仕事で出かけた時に車の中でずっと聞いていました。そうしたら何と、セリフとBGMだけなのに、その情景がありありと目の前に現れてくるじゃありませんか。

「血風録」は最近になって見たものなのでともかくとして、「燃えよ剣」のほうは、高校生の時に深夜の再放送で見て以来はまって、実は後半から、ずっと音声をテープに録音していたのです。昔のことですから家庭用のビデオデッキなんてまだうちにはありませんでした。だからラジカセに120分テープを入れて(片面60分で2本入る。途中でひっくり返さなくてもいいように)見ながら、コマーシャルになったら止めるなんていう芸の細かいこともしていました。

もちろん当時はオンライン録音なんてできませんから、テレビのスピーカー部にラジカセのマイク部分をくっつけて‥‥だから時々「いつまで起きてるの!早く寝なさい!」なんて親の声も入っていましたcoldsweats01 その録音したテープを、私ったら四六時中聞いていたような気がします。あのテープ自体はもう十分聞いて納得したので、確かほかの新選組ファンの友達に気前よくあげてしまったと思いますが。(もらった方は迷惑だったでしょう‥‥sweat02

そんなふうにただ聞いていただけなのですが、一度しか見ていない映像を頭の中で反芻しながら(恥ずかしながらテレビの前で三脚を立てて、画面をカメラで写したりもしていました!)音声を聞くことで、それが深層の記憶としてず~っと私の頭の中に残されていたんでしょうね。ビデオのなかった時代も捨てたものではありません。ないからこそ、好きだと思ったものを必死で記憶の中に押しとどめようとしていたのです。録画しただけで安心してしまっている今とは大違いです。

「総司、今度生まれてくるときは、俺はお前のような人間に生まれてきたいと思っているんだ」
「いやだなあ。だって私は、今度生まれてくる時も、土方さんのような人に出会いたいと思っているんですから」
ああ、そんなセリフに激萌えsweat01

それから流山で近藤勇と別れた土方が、山の上から「近藤~っ!!」と叫ぶところ。車の中で聞きながらその情景が思い浮かんで思わず泣いてしまいました。運転しながら大昔の時代劇のセリフを聞いて、感極まって涙ぐんでいるなんて、どう考えてもおかしい。。。変なおばさんです。

でも、それはその昔音声だけを何回も聞いて、頭の中に映像が残っているからですよね。そして、ここ何年も見ていなくても、ちゃんとマニアックな方々のお話に難なくついていけたのは、きっとこの経験のおかげだと思います。あはは。。coldsweats01

子どもが小さいとき、七田式教育というものに取り組んでいた時期がありました。それはまだ乳幼児のわけもわからない時期にひたすら高速でカードを見せたり、英語のテープを繰り返し聞かせたりする、いわゆる右脳教育というやつです。しばらくやってもあまり効果が見られないので、そのうち熱心さがなくなってやめてしまいましたが、何だかわからないけど、種はうずめてあるのですね。それが大人になって、ひょんなことで芽が出てくるかもわかりません。私の「燃えよ剣」のように(??)

ということで、今頭の中はお祭り状態で、勢いあまって思わず「新選組or栗塚旭」などという新規カテゴリーをつくってしまいました。でも、このカテゴリーをつくったからといってこれからガンガン新選組や栗様のことを書く予定というわけでは全くありません。今までのインデックスとして昔の記事にもこれを付けてみましたが、昔書いた記事はカテゴリーのことなどろくに考えもせずごちゃごちゃとさまざまなことを続けて書いているので、ほとんど意味のない作業でした。ともあれ、また何か違うところにスイッチが入ってしまったみたいですsweat02

バレエも、映像記録に残している一部を除き、ほとんどが1回限りで消えてしまう一期一会の舞台。頭の中で映像化する能力があって、音楽を聴いただけですべてが思い出せるようになれたら素晴らしいのにな~などと思ってしまいます。そうしたらルジマトフの最後のソロルを、永久に頭に焼き付けておけるのに。今から来年に向け、また右脳開発でもしてみましょうかね~?

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2009年6月13日 (土)

2009年 庭のバラ

バラも、今年はとても早く、連休前から咲き始めていました。そして終わるのも早かったです。手入れがよければもっと咲いてくれたのでしょうけどね。S2009_0513_141355imgp7594

毎年バラの写真を載せていましたが、ことしは何か特に載せたいようなものがありません。バラの咲いていた時期は毎朝庭に出てうっとりしていましたが、ことしはあれこれ忙しく、花がら摘みも満足にできていませんでした。

それと、昨年の夏に枯れてしまったものがいくつかあって、木も古いのでしょうが、けっこうショックでした。原因は黒点病と、根元から入って木の中に穴を開けるテッポウ虫。鉢植えでは、鉢の中に入っている白い気持ちの悪い幼虫?だと思います。実際に見ていないのですが、「あれ?枯れてる」と思って枝を引っ張ったら、そのまんますっと抜けてしまうくらい、根っこが全部食べられていました。S2009_0513_141652imgp7601

写真、最初のピンクのカップ咲きはセプタード・アイルです。もう本当にかわいいheart04それからこの写真はエヴリン。両方ともイングリッシュローズです。

イングリッシュ・ローズは地植えにすると大きくなりすぎるというので、鉢植えにしているのですが、鉢植えだとほとんど大きくならず、花も4つか5つしか咲かなくて面白みがありません。かといって地植えにしてだめにしたらと思うと‥‥。

前回横道にそれて長々と書いてしまいましたが「庭に植えてはいけない植物」って、それならバラだってまさにそうじゃないでしょうか?S2009_0513_141552imgp7598

こちらはフロリバンダのニコルです。これなんて、横に横に広がっていって本当に扱いにくい。花びらのふちだけ濃いピンクで、花が咲いた時のかわいさは格別なんですけど、木の姿はまとまりがなくってどうしようもないです。

バラはまず、農薬散布をしないと例外なく虫だらけになります。アブラムシ、バラゾウムシ、テントウムシ(アブラムシを食べてくれる益虫です!)、それから葉っぱを食べつくして棒だけにしちゃう気持ちの悪いチュウレンジバチの幼虫!もう見るのも嫌です。S2009_0505_120657imgp7381

虫が嫌いな人は絶対バラなんて扱えないでしょう。私は、前にも書きましたが、鳥や、猫や、子供、この庭にかかわるいろんなものが影響を受けるのがいやで、いつのまにか農薬散布をやめてしまいましたが、おかげで虫だらけ。夏以降は黒点病などの病気だらけです。

こんなに薬品に頼らなければいけない植物は、それこそ「植えてはいけない」植物なのでしょうけど、やっぱりバラには何とも言えない魅力があるんですよね。だから、ひどい目にあいながら、それでもいとおしいバラと付き合っているわけです。S2009_0427_110634imgp7365

こちらはアンジェラ。大木です。上の写真はコレッタ。コレッタはニコル同様、なぜか上に伸びないで横へ横へと節操無く広がっていきます。ニコルはまだいいんだけど、コレッタの方は玄関先に植えてしまったので、横に伸びてくると通れなくなってしまいます。

これがまた枝じゅうとげだらけで、横を通る時に服が引っ掛かってしょうがないので、伸びてくるとバサバサ切っています。切っても切っても根性悪く横に広がるwobbly 一期咲きなのですが花数が多いのは楽しいです。今年もたくさんの花を付けました。

アンジェラは逆に縦に縦に伸びていきます。一時期は二階のベランダまで綱を張って誘因していましたが、ビニールひもが見苦しいのでやめてしまいました。これは切るのが追い付かず、最初小さいアーチの左右にこのアンジェラとピエール・ド・ロンサールを植えたのですが、もうピエールちゃんのほうはダメになってしまって、片側のアンジェラだけがばさっと旺盛に覆いかぶさっているので、だんだんアーチが傾いてきてしまいましたwobbly でもアンジェラは、病気がほとんどなく、四季咲きで一年中花が絶えないのでおすすめの品種かもしれません。 

縦に伸びるといえばグラハム・トーマスもやはり2階まで誘因していたこともあったし、去年などはそれがまた横へも伸びていってすごいことになっていたのですが、去年の秋口に突然枯れ始めました。見ると根元が虫に食い荒らされてグサグサになっていました。大量に枝を処分し、ダメになった幹と根っこを切り取り、相当な荒療治をしました。おかげで、完全に枯れはしなかったけれど、まだ復活した部分から芽がのびて、それがようやくつぼみを付けたという段階です。毎年100以上、いや200以上かな?次々に咲かせていたトーマス君の黄金色の花を今年は一つも見ていないなんて、淋しいです。S2009_0522_080334imgp7618

こちらは去年新苗を買って植えたホワイト・グルーテンドルスト。花びらがカーネーションのようにぎざぎざでかわいらしい。まだ小さくて、かわいそうに雑草に埋もれてしまっていますsweat02

住宅街に忽然と現れたジャングルのような我が家の庭で、たくましく淘汰に打ち勝って?いってほしいです。S2009_0427_070121imgp7360

薄紙を何十枚も重ねたようなスヴニール・ド・ラ・マルメゾン。今年はとても大きくなってそれこそ100個ぐらいつぼみを付けました。咲くのを楽しみにしていましたが、咲き始めてから雨が多くて、ちゃんと咲いたのは10個にも満たなかったでしょうか。とても雨に弱いので、つぼみのまま開かずにぐちゃぐちゃになってしまいました。本当に残念!

これは香りも、いかにもバラの花というオールドローズ香で、大好きな花です。雨が当たらないように屋根でも付けないと咲かせるのが難しい、というのが難点。S2009_0429_154526imgp7377

こちらはサマースノーです。塀を覆うように植えていたのですが、やはりかなり木が古くなっています。アブラムシつきまくりで、テントウムシの幼虫ががそれをウハウハと食べているのを観察できます。

そんなだから花は咲いた時には雪のように真っ白‥‥というイメージからはかけ離れています。数もぽつぽつ。ほんとはもっと花付きがいいはずなのに‥‥。

ずっと以前、向ヶ丘遊園のバラ園に秋の手入れはどうやっているか見に行きましたが、このサマースノーは夏に新しく出た枝を添え木をしてまっすぐに伸ばし、冬に仕立て直しをするときにほとんどの古い枝を交代させてしまうようでした。それで5月にはあんなに見事に真っ白な花いっぱいの垣根が出来上がるんだなあと思ったことがあります。バラには秋~冬にかけての手入れが重要なんですね。その時期に何もしない私は、やっぱりそれなりなんです。S2009_0427_070110imgp7359_2

というわけで、うちのバラの季節は終わってしまいました。ことしこそ10年ぶり?に岐阜の花フェスタ記念公園詣でをしようと思っていましたが、京都に行くことになったのでそれもあきらめて、結局関東の他のバラ園も、西武ドームも行けませんでした。

今年は枯らさないようにうまく夏を越して、それから秋~冬の手入れを怠らずに、来年また頑張りたいと思います。

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2009年6月11日 (木)

2009年春の庭

ちょっと古い写真ですが、庭の写真を。S2009_0422_150039imgp7353

これはことしの4月。昨年の秋に植えたポット苗と、その間から出てきたチューリップがきれいに咲きました。S2009_0505_120725imgp7383

ずっ~とガーデニングはご無沙汰していました。朝、ちょっと外に出た短い時間で、ちょこちょこ手入れはしているのですが、手間や労力、時間のかかる、まとまった作業は全然できていません。なので、今現在、庭は草が茂り放題です。

だけど、いい加減でも、やはりその時期が来ると花はちゃんと咲いてくれる。(手入れをすればもっときれいに咲くんだろうけど)それがうれしいです。S2009_0415_102707imgp7315

チューリップも、ずっと植えっぱなしできましたが、毎年しっかり咲くものと、だんだん色や形が変わってきちゃうものとがあります。品種改良が繰り返されて出来上がったものが、球根の交代で、だんだんと原種返りしていくのでしょうか。でも、この百合咲きチューリップなどはもう7~8年たちますが全然変わりません。

一番上の写真のピンクの八重咲きは最初、杓薬のような素晴らしい花が咲きましたが、だんだん花が小さく色も薄くなってきています。S2009_0419_131832imgp7335_2

バラの名前はよく覚えるのに、草花やチューリップの名前はなかなか覚えられません。たしか「アンジェリケ」という名前でしたっけ。最初はもっと大きくてピンクが濃かったのです。

何か、ポット苗を買った時はあまり配色などイメージできてなかったのですが、ことしは偶然、淡い色ばっかりでしたね。でも、秋に買った苗はみな3倍~4倍の大きさに育ち、つい先頃(5月半ば)までずっと庭先を賑わせてくれていました。S2009_0427_112555imgp7366

そろそろ鉢物の植え替えなどの大掛かりな手入れをしなくてはいけません。宿根草は大きくなるので鉢から下におろしたりすると、すごいことになります。こちらはもう5年目ぐらいの何とかデイジーというやつですね。もう大木になってしまっています。

何か前にちらっと見た園芸愛好家の掲示板で、「庭に植えてはいけない植物」というのがありました。見ると、そこにピックアップされていたものはほとんどうちにありました!うちは「植えてはいけない」植物の宝庫だったのです‥。S2009_0429_155001imgp7380

この「エロリゲン」(スパニッシュ・デイジーとも)もその一つ。ピンクの花も時々混じって、とてもかわいいのですが、何せそこらじゅうこぼれ種で増える、増える!私は数年前に2ポット買ってきて、そのうちの一つが余ったので地植えにしたのです。そうしたら1年たたないうちに芝生の中まで進出してきてしまいました。

「植えてはいけない」理由に、増えすぎて他の植物をダメにする。これもそうですが、でも茎や葉は柔らかく、根も細いので抜こうと思えば簡単に抜くことができます。

うちでホントにはびこって困っっているのは、なぜかその掲示板には出ていなかった「ルリマツリ」です。よく寄せ植えなどに白い斑入りの葉が涼しげに入っていたりしますが、これが曲者。鉢植えから伸びて地面に茎が付くと、そこで発根してどんどん広がります。

かわいい青い花が咲くのですが、ほんの一時期だけ。これがはびこってくると茎が硬いので簡単にはちぎれません。根も張るので抜くのも大変!定期的に「退治」していますが、完全に抜けない根からまた芽が出てきて、すごいことになっていますよ。要注意です!写真がないか探しましたが、ちょっと出てきませんでした。花も、観葉植物みたいな葉っぱもそれなりにかわいいのですが、はびこってどうしようもない植物は、私ったら、写真も撮ってないんですねcoldsweats01

「植えてはいけない植物」の2は、虫がきてどうしようもないもの。そう、クチナシの季節ですが、どこからも香りがしてきません。葉っぱが出るとすぐに食べられて、枝だけしか残ってないsweat02ちっとも大きくならないけれど、枯れもしない‥‥あと、ツバキやサザンカは毛が飛んできただけで皮膚に刺さり?アレルギー症状を起こす猛毒のチャドクガがうじゃうじゃ付きます。これも要注意。

3番目の「植えてはいけない」は大きくなりすぎるもの。これはうちではゴールドクレストです。ミモザもピックアップされていましたが、ミモザは大きくなったけれど、意外に弱くて、塀際に植えていたのですが、塀の外の道路を下水道工事か何かで掘り返したときに根を切られたらしく、あっさりと枯れてしまいました。花が咲くとそれはそれは見事だったのに残念です。

ゴールドクレストは寄せ植えの中に入っていて、それを地植えにしたらあれよあれよという間に大きくなってしまいました。今では庭のかなりのスペースを占領しています。雨が降ると森林浴のようないい香がするので、好きなのですが、あまりにも大きくて。伐採するにはもう素人では無理。業者に頼むとかなりお金がかかるのではないでしょうかcoldsweats02

もう一つ、私が思う「植えてはいけない」ものは、ヒイラギ!あれはホントに鬼も近寄らない!クリスマスの寄せ植えにあったのを地植えにしたら、どんどん大きくなって‥‥これは通る時に葉っぱが当たって痛いので切ったのですが、もう、幹にまでとげがすごくて本当に大変でした。S2009_0419_131907imgp7337

かなり横道にそれてしまいましたが、かくしてうちの庭は「ナチュラル・ガーデン」が進行中ですcoldsweats01

植物が茂ってきているので、狭い庭がますます狭く、周りの家や道路に接していても、植物で囲まれているので、そこだけぽっかり隔離された感じです。そんな中にいて夢中で草を取っていたりすると、ふと「ここはどこ?」みたいな感覚になってくることがあります。自分の家の庭なのに‥‥そんなところがいいのかな?大きくなりすぎた木を処分したら、すっきり明るくはなるけれど、落ち着かなくなってしまうかもしれませんね。

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2009年6月 8日 (月)

思い出は楽しいままに。

最近、またPTAや子供のことで忙しくて、あれも、これもと思うけれど、なかなか更新が追いつきません。そんな中で、先週のニュースでひとつ、悲しく思ったことがありました。それは山口県の秋吉台のホテルのCO中毒事件です。新聞で見て、あれ?と思いました。実はあそこのホテルに以前、泊まったことがあったのです。まだ下の子は小学生だったと思うので4~5年前でしょうか。夏休みに山口~広島方面に旅行をしたときのことでした。

秋吉台と聞いてまさかと思いましたが、あとで見取り図や屋外の様子なども報道されて、それだとわかりました。こじんまりしたアットホームなホテルで、夏休みなのに泊まっている人も少なかったけれど、フロントの人は、レンタカーで来た私たちに親切に周囲の見どころを教えてくれました。夕食の焼肉バイキングは子どもたちがとても喜んだし、石灰岩の地下深くから汲み上げたミネラルウォーターの冷水機のお水はとても美味しくて、水筒に入れて持ち帰ったくらいです。

昨日の報道では、新しいボイラーが故障した時のために、古いボイラーもさびつかないように時々使っていたそうで、たまたまその日は古いほうを稼働させていたのだそうです。そしてそちらの排気をする煙突は、メインとしてつかっていないためか、雨が入らないようになのかわかりませんが、あろうことかしっかりフタがしてあったというではありませんか。煙突にフタなんてありえない。そんなことをしたら不完全燃焼は当たり前。排気筒が老朽化していようがいまいが、亀裂があろうが無かろうが、それは起こるべくして起こったようなものでしょう。それで前途有望な青年が犠牲になってしまったことは本当に痛ましいことです。

私にとっても秋吉台は大好きな場所だったし、いい思い出がありました。ホテル側は廃業もやむを得ないということですが、そういうものかなと思う反面、割り切れない思いがわいてくるのです。考えるに、今や日本全国、いつどこでそんなことがあってもおかしくない状況なのではないでしょうか。

ここ数年行った国内の観光地、ホテルなどはどこもみなさびれて、疲弊してしまっていました。3月に行った鬼怒川温泉にしても、激安ダンピングでお得なのはうれしいけれど、行ってみれば従業員はぎりぎりまで削減され、あらゆるところで合理化、コストダウンが行われています。施設も老朽化したまま。あそこまで安ければ誰も文句は言わない、とあのときは書いてしまったけれど、安全面でいえばこの人員削減やコストダウンはかなり危険信号だったわけです。

それで何か問題が起きれば廃業。経営側は、それまで採算ぎりぎりの営業だったとしたら「やむを得ず」ですむでしょうが、何かそれってすごく悲しくないですか?楽しいはずの修学旅行に来た生徒たちの心の傷は一生残るのです。私の思い出にしても、ちょっと暗い影を落としてしまいました。

私は小学生の時、小学生向けの雑誌か何かで写真を見て、カルスト地形というものに興味を持ちました。それはいかにも外国、というような、イマジネーションをそそられる写真だったと思います。まるで白い羊が群れたように石灰岩が露出し、木がほとんどない広々とした草原がどこまでも続く風景。丘があり、谷があり、ところどころ「ドリーネ」と呼ばれる漏斗型のくぼみが点在する不思議な地形。それが、日本にも秋吉台というところにあるということで、行ってみたくて仕方がありませんでした。

親に話したら、連れて行かれたのが日原鍾乳洞。違うんだってば!私が行きたいのはこんな山奥じゃないし。日原鍾乳洞は江戸川乱歩の「少年探偵団シリーズ」のどこかに出ていたり、初代「仮面ライダー」の撮影にも使われたり(たぶん‥‥sweat02)それはそれでまた別の思い入れがあったのだけれど。

秋吉台に初めて行ったのは高校の時の夏休み、ユースホステルを泊り歩く学割の周遊券旅行でした。そのときはバスで行ったのだけれど、数年前に行こうと思って調べたら、本数が少なくて以前のように自在に使えそうになかったので、空港からレンタカーを借りて回ることにしたのです。

秋芳洞(鍾乳洞)は、入口のところこそ昔と変わらなかったけれど、中に入ってびっくり。有名な黄金柱をはじめ、傘づくし、千枚皿、くらげの滝登りなどの鍾乳石はみな、がっかりするほど黒くすすけてしまっていました。観光化されて大勢の人が入るようになって、道や階段ができ、四六時中照明に照らされ、すっかり環境が変わってしまったのでしょう。昔見た感動はどこへやら。

ところが、秋吉台のほうは違いました。石灰岩の台地は変わらずにそこにありました。うちの子どもたちは今でもあそこは楽しかったと言っています。ホテルの人に教えられたとおり、公園の駐車場のようなところに車を止め、そこから小一時間ハイキングをして、丘の上の展望台に登りました。夏の終わりで、昼間なのに草むらにはたくさんの虫が鳴いていました。葛の花の香が草のにおいに混じって、そこらじゅう何ともいえずいい香りがしました。ゆるやかな起伏が続く見渡す限りの草原は本当にすがすがしかった‥‥‥。

日本全国どこの観光地に行っても、昔のような活気はありません。思えば「ディスカバー・ジャパン」から始まって、「いい日旅立ち」とか「アンノン族」とかの言葉に乗って、私よりちょっと上の世代の若い女性たちがあちこち旅してまわった時代があって、私の学生時代もそんな中で、国内に魅力ある場所がたくさんあったのは幸せなことだったんですね。その後バブル期になると人々の関心は海外に移り、以来国内の観光地は若い世代には見向きもされなくなってしまったのです。

さらにバブル崩壊と、また近年の不況が追い打ちをかけてしまいました。さびれた観光地へ行き、今はシャッター街になったおみやげ屋や、取り壊しもままならず廃墟のようになった豪華ホテルなどを見るにつけ、何だかこの国の来しかた行く末がそのまま写されているようで悲しくなってしまいます。

企業のコスト削減で、近年食品会社の賞味期限改ざんや使いまわしなど、不祥事が次々に明るみに出ました。食品は個々の商品が発売中止になるだけですむけれど、泊まった場所や訪れた観光地は人それぞれに思い出を持っているものです。地域全体のイメージというものもあります。

美しいカルスト台地の真っただ中に建っていたあそこのホテルも、いずれなくなってしまうのでしょうか。せめて思い出は楽しいままで残したい。今後こんな悲しい事件は二度と起こってほしくありません。

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«ときどきつぶやきたくなるもので‥‥。