« 「ルジマトフのすべて2005」を見に行きましたっ! | トップページ | 今日は曇り~多摩市の文化祭 »

2005年11月10日 (木)

絵本太功記も見てしまった。

七赤吉方の効果が出たのでしょうか。年に1回くらいしか行く機会のなかった歌舞伎公演にまた行ってしまいました。しかも今度は家族で。国立劇場2階の一等B席だったけど、右端だったのが幸いして、花道の真ん中あたりまでばっちり見えました。もう一つ上の二等席(2500円)でもよかったくらい。今度からは二等にしようかな。何だか通になったみたい。歌舞伎座では通は三階席なんていうけど、実際歌舞伎座の三階は花道とかよく見えないじゃないですか。そこいくと国立劇場はよく見えると思います。

絵本太功記は、「あきる野座」で取り組んでいる演目の一つで、特に十段目は二宮歌舞伎から継承された型があり、旗揚げ以来上演を繰り返している演目です。他に、歌舞伎マニアの座長が浄瑠璃本から起こし自ら脚本を手がけた、発端、序段、二段、五段、十三段、があり、地歌舞伎としては全国的に見ても珍しい取り組みをしていると思います。昨年は私も、二段目に出演させていただきました。プロの歌舞伎では十段目以外は上演されていないと聞いていましたので、この通し上演を知ったときはもうぜひ見なくちゃと思っていたところだったのです。でも、せっかくだから実際「あきる野座」に参加している子供たちにも見せなくちゃということになったのですが、何せ上の子は日曜日も部活部活で、いつ空いているかわからない。それで結局、この日部活を休めるという前日になって、急に行くことになったのでした。家族で何か見に行くなんて何年ぶりだろう‥‥‥。子供が小さい頃は劇団飛行船とか、ぴっかり座なんていうのによく行ったけど、バレエを見始めたらそういうのはぱったり行かなくなったから。バレエはチケット代が高いので家族でなんて行ったことはありません。歌舞伎も今回が初めてです。まあそんなことはどうでもいいか。

序幕の二条城配膳の場から本能寺の場までは本当に息もつかせず、余分なことはなしに筋だけをストレートにいったので大変わかりやすい展開でした。(あきる野座では序段、二段の場面ですが、地歌舞伎らしくその部分だけでも何とか楽しめるように、ほかにいろいろな虚構・エピソードが盛り込んであるのです。)光秀が春長にいじめられ、謀反を決意するところから、本能寺の乱まで。ちゃんばらシーンまであって、すごい、これは地歌舞伎ではできないなと思ってしまいましたが、まあ別になくてもよかったりして。

そのあとの妙心寺の場というのがちょっと???でした。あれほど決意して天下のため横暴な君主を誅したのに、母親に責められると(その母はまるで乞食のおばあさんのようなかっこうでさっさと出て行ってしまった!)衝立に辞世文を書き、(実際に書いているのはすごいんだけど、書き終わるのを待っている側は退屈でした)切腹しようとしたりして。それを家臣と息子に止められ、改めてこれは世のためなんだと、また天下を治める決意を固めるわけです。衣装を改め、颯爽と馬上の人になった橋之助の光秀は、それはそれはかっこいいんですが、そこまでがスピーディーな展開だっただけに何で?という感じでした。

その後の瓜献上の場というのがまたちょっと何で?だったけど、息抜きとすればまあいいかな。でも、悪いけどあの久吉はやめてほしかった。もともと若輩者じゃないですか。学のある光秀に対して、アイデアと機転の秀吉であるはずなんだから、もうちょっと軽めの人がよかったです。というより、いくら歌舞伎でも年相応の人にしてよ。申し訳ないのですが。

いよいよ十段目、尼ケ崎閑居の場。これはよかったです。改めて太十といわれるこの段のすばらしさを感じました。そしてこんなに難しい演目だったのかということも。素人歌舞伎とはいえ知らずにやっていたのが恐ろしい!二宮歌舞伎の型では、農村歌舞伎らしくせりふにしてわかりやすくしたところが多いのですが、大歌舞伎では、とにかく義太夫をたっぷり聞かせて、所作で見せるのですね。十次郎と初菊のところとか、所作で心が伝わるというのが素人ではなかなかできないなと思ってしまいました。

特に出陣の準備をする初菊の兜引きのところ。あれは、十次郎のお着替えの時間稼ぎだと思っていましたが、とんでもない。(そうですよね、プロは早着替えなんてお手のものでしょうから。あきる野座では大変なんですよ。ここの裏方やったことありますが、おばさん4人がかりでてんやわんや。見ている方は延々と兜を引いている初菊をまだー、なんて超退屈な場面です)鎧櫃の中の小物や、太刀などを一つ一つさも重そうに、大事そうに取り出して奥へ運ぶ初菊。最後に兜をむせび泣きながら引きずるシーンは、やっぱりこの兜の重さは出陣させたくない初菊の気持なんだ、なんて今さらのように思ったりして泣けました。(最初にあきる野座で見たときは、いやいやというかだるそうというか、もういつまでやってんのよと思いましたが。あのシーンは退屈だからもう少し短くしませんかと提案しても裏方から反対されるので。)退屈どころか一番泣けるところだったじゃないですか。目からうろこというのはこのことでした。その後登場する光秀は、またかっこよかったのですが、最後に現れた久吉にまたがっくり。ここはあきる野座では一番決まるところですから。勇猛な加藤正清と、小さい子供たちが軍兵姿で槍を持って登場し、えいっとばかりにでんぐり返しをするところは、かわいいと評判のシーンです。そして正清、光秀、久吉の三人が見栄をきって幕となるところ、ここになんであの春長から譲り受けた赤い旗がないの?颯爽と旗をぱあっと広げる若々しい久吉がすてきなのに。ぶつぶつ。

それでも、よかったです。おもしろかったです。夫と子供たちは、あの初菊と十次郎がひどかったといってましたが。あきる野座ではこの若い二人は中学生か高校生が演じるのが普通なので、確かに顔を見るといくら白塗りしても、やっているのはおじさんだから仕方ありません。顔より義太夫の語りにそって身体で表現される心情を見てほしいのですが、そういう私もバレエをよく見るようになってやっと培われてきた部分なので、やっぱ双眼鏡で見ると年相応の役者さんがやってくれた方がなんちゃって。でも、さすがにみごたえがありました。4時間半も全然長くありませんでした。

| |

« 「ルジマトフのすべて2005」を見に行きましたっ! | トップページ | 今日は曇り~多摩市の文化祭 »

コメント

はじめまして☆TBいれさせていただきました。
古典の通し上演ということで途中ちょっと長いなぁと思う場面もありましたが素晴らしかったですね。橋之助さまも見事に代役をこなしてました。大きくなられたなぁと実感。

投稿: Ren | 2005年11月12日 (土) 18時22分

TBさせていただきました
あきる野座のお話大変興味深くよませていただきました この十段目もより深い理解がなされていることと思います

投稿: naojiro | 2005年11月12日 (土) 21時18分

Renさん、naojiroさん、コメントありがとうございました。実は数年前、はずかしながら皐月役をやったことがありました。とても難しい役で、今考えると赤面ですが、おかげでせりふをほとんど覚えていて、また別の違った意味で楽しむことができました。
「あきる野座」の来年の公演は未定ですが、絵本太功記の序段(二条城)を子供歌舞伎で上演する予定で練習を始めています。子供歌舞伎ですから残念ながら学芸会の域を出ないと思いますが。オリジナルの脚本なのでまた別の切り口になっていると思います。(大人は先代萩の予定)また機会があったら書きますので、よろしくお願いします。

投稿: 友香梨 | 2005年11月14日 (月) 18時46分

コメントありがとうございます
こんどあきる野座のときはしらせてください
猫ちゃんおすきなようですが うちのアルバムみました?

投稿: naojiro | 2005年11月14日 (月) 19時59分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 絵本太功記も見てしまった。:

» 通し狂言 絵本太功記/国立劇場 [如意宝珠]
11月歌舞伎公演「通し狂言 絵本太功記」 2005年11月3日(木) ~ 2005年11月26日(土) 国立劇場大劇場 平成十七年度(第六十回記念)文化庁芸術祭主催 近松柳ほか=作 山口廣一=脚本 国立劇場文芸課=補綴  出演 中 村 芝 翫  ◇  真柴筑前守久吉     中 村 橋之助  ◇  武智日向守光秀     片 岡 孝太郎  ◇  森蘭丸・初菊     中 村 東 蔵   ◇  光秀の妻操     中 村 魁 春   ◇  武智十次郎光義 *****************... [続きを読む]

受信: 2005年11月12日 (土) 18時19分

» 天覧歌舞伎絵本太功記(国立劇場初日) [直隠居の余噺日記]
今日は国立の初日でした。團十郎休演は残念ですが、光秀は橋之助がやります。 今まで(昭和になってから)やったこともない場面も復活して通しで上演するというので、見に行きました。 ところが切符を頼んだら、初日は両陛下がいらっしゃるんですよ、とのこと「えー本当かい、陛下の隣はいやだよ」「そりゃないですよ」 実は以前当日で見に行ったらロシアのゴルバチョフ夫妻が来日していてゴルバチョフ夫人と歌舞伎好きで知られた当時の海部首相夫人が私のすぐ前に来たことがあります。出し物は吉右衛門の“法界坊”だった...... [続きを読む]

受信: 2005年11月12日 (土) 21時12分

« 「ルジマトフのすべて2005」を見に行きましたっ! | トップページ | 今日は曇り~多摩市の文化祭 »