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2005年12月 7日 (水)

12月歌舞伎座夜の部、見ました。

何かと忙しく、更新したくてもできない状態が続いています。12月3日、この日もあ~歌舞伎どころじゃないのにと思いながら、でも行きました。毎年12月は叔父が勤務する学校の貸切券の余りを譲ってもらって、親戚一同、年に一度の芝居見物をするのです。学校の貸切といっても2階席の一部だけでしょうか。それにしても回りに女子学生らしき姿はみたことがないのですが。

午前中立川に出かけると、街にはダウンを着た人がたくさんいて、そうだ、帰りは寒くなるからダウンのコートでも出そうかなと思いましたが、座席に置くことを考えてやめました。案の定都内に行ってみると、ダウンなんか誰も着ていないじゃない。銀座で浮かなくてよかった!帰りはとても寒かったけど。自転車のサドルが凍っていたのには驚きました。多摩地区との気候の差は、特に冬に顕著です。夏は都内も多摩も暑いのは同じなので。

歌舞伎座、やっぱり華やかでいいですね。国立劇場より、何か見る前から、華やかな気分がします。歌舞伎文字で演目が掲げられている入り口もそうですし、ロビーや階段の赤じゅうたん、見るだけでも楽しい売店、提灯が飾られた左右の桟敷席、何より客席でお弁当やお菓子が食べられるのがいいです。建て替えになるそうですが、この雰囲気はなくならないでほしい、そう思います。

さて、最初は「恋女房染分手綱」。子役の児太郎に感動。かわいさと、いじらしさと、馬子として育った多少世間ずれした賢さと、元は武士の子という気品とがみな備わっていて(解説書より。)、感動しました。子役独特の、一音づつ区切って言うせりふも、いつもはかったるいと思うのに、張り上げた声がかすれがちなのに涙し、一生懸命演じているのにも涙でした。農村歌舞伎みたいにおひねりでも投げたいような。もちろん重の井の福助もよかった。みているほうももどかしく、思い切り感情移入してしまった!現代でもあるよね。一緒に暮らしたくてもできない親子。重の井はバツイチのキャリアウーマンだから、つらいよね。

次の船弁慶ですが、何だかよく覚えてないのです。いつも舞踊ものは眠くなってしまうのですが、そして去年もとても楽しみにしていた玉三郎の「出雲の阿国」だったのに、眠ったのか全然覚えてない、これはいけない。今年こそよく目を開けて玉三郎の静御前を見ようと思っていたのに、たぶん寝たのです。静があまり幻想的だったから?というより能がベースになっているので、動きがあまりないんですね。特に新演出ということで、より能の幽玄の世界に近づけようとしているようで、高尚そうだけど物足りないような。母も叔母も、玉三郎が楽しみといってた割には寝てました。左右の二階三階の席の人も寝ているのが見えました。中盤で勘三郎の船頭がやってきて目が覚めました。

後シテの知盛の霊は、きっと凄いんだろうなーと期待していたら、やっぱり能っぽくあっさりしていて、恨みというよりは滅んだ平家の悲しみをすごく感じました。というのも、船という結界を作ってあるので、船に乗っている人は亡霊が現れても怖がる様子もなく、義経はただ勇敢に立ち向かい、弁慶に調伏された知盛の亡霊が去っていくときも、もうちょっと自分たちが滅ぼした平家に同情してよといいたいくらい平然としていたからです。去っていく亡霊が悲しそうに見えました。

玉三郎さんでよく覚えているのは、やっぱり舞踊ものじゃなくて、3年位前の12月の「椿説弓張月」の白縫姫。美しい白縫姫が琴を弾きながら雪の中、夫を裏切った武藤太の折檻をする場面、凄惨というか、美しいだけに身震いする程すごかったです。(それなのに、その後に出てきた、当時の勘九郎演ずるおばあさんが、あばらが見えて胸も垂れ下がっている老婆の肉を着ているのに、そこから出ている二の腕が妙にむっちりしていて、おかしくてたまらなかったのが「椿説弓張月」の印象になってしまいました。)

12月といえば、昨年の勘九郎としての最後の公演、「今昔ももたろう?」をみて、ぶっ飛びました。歌舞伎は伝統芸能といいながらすごい進化の可能性を秘めた演劇なんだと。ただただ笑い、うちの子供たちはあの鬼の踊りを家に帰ってもしばらく踊りまくってました。歌舞伎は本来民衆の娯楽のはずで、いくら芸術性が、といっても、今回のように見回すとあちこちで寝てる人がいるというのはちょっと‥‥‥。と思いました。

そうやって毎年12月に見ているわけですが、最後の「松浦の太鼓」はこの時期にはぴったりの忠臣蔵もの。勘三郎さんのおちゃらけたキャラクターが、どんな風に殿様を演じるのかなと思っていたら、意外にものすごく抑えているのか、さすが、大名の風格、気品を感じました。馬鹿殿様でなくてちょっと残念。

驚いたのは勘太郎です。すごくきれいじゃないですか。昨年の大河ドラマで超さわやかな藤堂平助を演じて、へ~と思ったのですが、女形も美しい。きれいだけど顔の細い七之助くんより、ふっくらしもぶくれで女形向きかも。そして何より声がきれい。歌舞伎の女形で閉口するのは、若い女を演じているのに、声ばかりはどうしようもないというか、それじゃ年増か老女でしょというようなお声の方が多いので。そのきれいな声でこれから女形もたくさんやってほしいです。

橋之助の大高源吾はほんとかっこよかった。この間の光秀といい、かっこいい役に恵まれていますね。事実かっこいいんだけど。でも、何か威勢がよすぎるというか、臥薪嘗胆の末、本懐を遂げたというふうには見えなくて、軽めでした。でも、妙にまじめな殿様が、笑ったり怒ったり、感じ入ったり。そしてそれに振り回される周りの人たち。見事かたきを討ち取った忠臣蔵のヒーローと、年末にふさわしい華やかな舞台でした。

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コメント

初めまして☆TBさせていただきます。
歌舞伎よく観られているんですね。
私は今年の十二夜からですのでまだまだです。

船辨慶の感想も書いているのですが、
「椿説弓張月」つながりで、三島でトラバさせていただきました。

投稿: fortheday | 2005年12月18日 (日) 11時12分

はじめまして。コメントありがとうございました。
演劇がとてもお好きなようですね。私も学生時代はいろいろ見ていたのですが、今は歌舞伎は年中行事のようなものになってしまいました。

投稿: 友香梨 | 2005年12月19日 (月) 01時16分

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受信: 2005年12月18日 (日) 11時13分

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