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2008年3月26日 (水)

3度目!スーパー歌舞伎

きのう、ココログのメンテナンスがあったようで、それを知らなくて書き始めて、さてUPしようというときにUPできなくなっていました!あせりました。それで、昨日書いたのを別に保存して貼り付けたのですが、文中の「きょう」と「きのう」が、もう「きのう」と「一昨日」のことになってしまいました。。

この半月余りで、何が何だかわからなくなるほどスーパー歌舞伎に魅了されました。頭の中はいつもあの音楽が流れています。だけどそれも東京はきょう(25日)で千秋楽ですね。

昨日(24日)の前楽に行ってきました。今度は右近さんのヤマトタケル。いや~びっくりしました!主役が違うとこうも違うのかというくらい、全然違う舞台を楽しむことができました。やっぱりこんなふうに普通の古典歌舞伎もダブルキャストにしたら楽しいのに!昨年のパリ・オペラ座で団十郎と海老蔵がやったみたいに、親子競演できる役者さんがいっぱいいるのだから、楽しみも倍増じゃないかと思うのですが。

今回は同じ猿之助門下の若手(30代40代はバレエ界ではベテランだけど、歌舞伎界ではまだ若手)どうしのダブルキャスト、市川右近さんと市川段治郎さん。それぞれに違う味わいがあってとてもよかったです。全然関係ないけど、右近さんってかのルジマトフと同い年だったんですね!?へ~!バレエ界では芸術監督になったり、大御所などといわれ、そろそろ引退もささやかれる年齢なのに、歌舞伎界ではまだまだこれからですよね。(段治郎さんはまだ30代)頑張ってる同年代に拍手!同年代といっても、私は笑也さんのほうに限りなく近い?のだけど‥。笑也さんも信じられないほど美しくて素敵です~

だけど最初は、右近さん登場の瞬間「うわっ、失敗した~」と思っちゃいました。人間やっぱり最初に見たものをスタンダードだと思っちゃうので、私の中ではもう、ビジュアル的にはヤマトタケル=段治郎だったんですよ。それが、8頭身の少女漫画の世界から、いきなり5頭身だ~  (ゴメン!)イメージ壊れる、見なきゃよかった?とは思いませんが、雰囲気からして別物でしたね。それから、最初の暗転での独白。段治郎さんみたいに宝塚調ではなく、「何だ、歌舞伎じゃん‥‥。」あの現代語の独白の部分は普通の演劇の感じで、ちっとも歌舞伎らしくないんですけど、3回目にはもう見慣れたのか、右近さんの現代語の台詞を「歌舞伎じゃん」と思えてしまったのが面白いです。

右近さんの立板に水の台詞回し、かなり早口のところと、アクセントをつけるところとの緩急の付け方がうまく、こなれています。芸だな~。声の調子はかなり猿之助さんを彷彿とさせるところがありました。私は猿之助さんの元祖スーパー歌舞伎は見ていないけれど(テレビではチラッと見ましたが)猿之助さんのヤマトタケルはこんなふう?と思わせる、そんな感じがしました。顔もドキッとするほど似ているときがありますしね。

でも、カッコいいのはやっぱり段治郎さんでした。タケヒコ役も映える!立ち姿が本当に美しいです。2幕で最初に登場したとき、右近タケルは富士山をバックに岩の上に立っているのですが、岩を降りて長身のタケヒコと並ぶと頭一つ分違う。。。(右近さん、ずっと岩の上にいて。。)タケヒコのちょっと笑わせる台詞も粋で素敵。右近さんのはべらんめえ調で、鶴太郎!という感じだったから。段治郎さんは手下の役をやっても端正です~  それからびっくりなのが火に囲まれるシーンでの旗振り!もう「ドン・キホーテ」のエスパーダみたいで超かっこいい!あのまんま闘牛士の衣装着てマント(ムレタ)を振り回しててもバッチリはまる!あのシーンは本当に「キャ~」でしたね。私はやっぱりミーハーです。ミーハー至福のとき。。

きのうは幕間に、めずらしく隣の席にいたご婦人が話しかけてくれたので、いろいろお話をしました。スーパー歌舞伎は初演のときから見ているそうです。お一人でいらしていて、今回でやっぱり3回目だとか。「段治郎カッコいいわよね~」と目がキラキラ。私の母ぐらいの年齢の方ですよ。だけど、話をするとずっと生き生きしてる。やっぱりミーハーは長生きの秘訣かも!です。うちの母は誘えばイヤとは言わないけど、たとえそれが面白かったとしても夢中にならないし、一人でなんか見に行かない。あのくらいの年齢の人は、行こうと言っても興味なければ絶対イヤだという人もいますし。(父がそうだわ‥‥)それが、その方は「私ね、明日も来るのよ~。明日の千秋楽はきっと猿之助がカーテンコールに現われるから」と満面の笑みで話してくれました。私もこんなおばあちゃんになりたいです~!そしたら人生楽しいだろうな。

一方、右近タケルについては5頭身だとか鶴太郎だとか、ボロクソに書いてるみたいですが、そうじゃないんですよ。やっぱり右近さんのほうが一枚上かも。今までにも段治郎さんよりはずっと多彩な役柄を演じてきたでしょうし、とにかくうまいというのかな。なにしろ今までちょっとクサイな~と思っていたところがクサくないの。あの1幕終わりの、一人で熊襲の城に乗り込んで行って、最後に日輪をバックに「勝った!私は勝ったのだ~!」というところも、2度見た段治郎さんのは「そんなこと言ってて、次の瞬間ボカッとやられるなよ~」みたいな突込みが自分の中にあったんだけど、全然そんなことはありませんでしたね。素直に感動しちゃった。うわ~猿之助ワールド!という感じ。こういう決め所が本当にうまいなあ~。歌舞伎の本質は傾く(かぶく)。生真面目な段治郎さんに比べ、右近さんはすごい傾(かぶ)いているんですよ、全編で。驚くほど軽妙洒脱だったり、逆に力入りすぎ~!みたいに決めるところは決めてたり。

見得がかっこいいです。それと立ち回りがスピード感あっていい。あと、聞かせどころはもう、過剰なくらい聞かせる聞かせる!伊勢で叔母のヤマトヒメに、父帝への思慕と、その冷たい仕打ちを切々と嘆くところも、もうヤマトヒメじゃないけど泣けちゃって、思わず抱きしめたくなっちゃいました。長くて退屈だと思っていた弟橘姫の入水シーンも、そのあと船がぐるっと回転して俊寛みたいに号泣するところも、思わず一緒に号泣しちゃったよ~。死ぬところがまた白眉でしたね。一途に故郷のヤマトを思うところ。あそこもかなり長いんだけど、まだ泣かせるのというくらい情感たっぷりに聞かせてくれました。段治郎さんだとあの鉢巻が素敵とか、私ったらそんなところしか見ていませんでしたから。

長生きできるという故郷の樫の枝を髪に挿す、そのしぐさの途中でヤマトタケルは息を引き取ります。それが、今回気がついたのは、フィナーレに現われたタケヒコもヘタルベも、それから兵士たちもみんな髪にその樫の枝を挿しているじゃないですか。それを見てまた泣いちゃいました。今まで2回見ても(段治郎さんと笑也さんのほかは見ていなかった?)気がつかなかったのに。そう、今回はまたいろいろ発見がありました。3回見たというとバカみたいですが、そういうリピーターの方がたくさんいられるのがよくわかりました。

笑也さんがやっぱり好き。きりっとした女の強さと、神々しいまでの気品よいです~。それから笑三郎さんのヤマトヒメがすごく味のある演技でした。年齢のせいか一番共感する役どころでしたね~。(それってちょっと淋しいけど)それと悪者じゃないけど、成敗されるほうの熊襲や蝦夷、伊吹山の鬼たちがすごくかわいいキャラなの。何といってもあの1幕のタコとカニの豪勢な衣装は目を引きます。よく見ると衣装の柄がタコは魚、カニはエビ。熊襲がなぜに海産物?どういう意味かわからないけど、超豪華立体衣装でした。3幕の鬼たちはまるで仮面ライダーか、何とかレンジャーみたいじゃないですか。変だけど何となくかわいらしくて面白かった。

宙乗りも美しかったですが、感動するのはやはりフィナーレで、ヤマトタケルが帝の前にひざまずき、うやうやしく手をとるところ。生きているときにあれほど望んでやまなかった親子の和解。涙出ます~。右近さんは長い間帝の手をとって頭を垂れ、今にも頬擦りせんばかりでした。そして、昨日は一度幕が下りたあとも拍手が鳴り止まず、もう1度幕が開いたのです。(バレエなら何度も幕をあけてくれるのにね~)猿之助さんは出てきませんでしたが、このカーテンコールでは帝役の金田龍之介さん(ですよね?)が今度は右近さんの前にひざまずいて手をとったので、みんな白塗りの化粧が崩れんばかりに笑っていました。よい舞台でした。金田さんってお茶目!

今日で新橋演舞場の公演は終わりです。4月は福岡、5月は大阪、そして6月は名古屋と、まだまだ続くすごいロングランです。バレエと違って、一度見て感動してまた見たいと思ったときに見れるのはいいですね。私も忘れた頃にまたぞろミーハー心が頭をもたげ、名古屋あたりに行っていたりして??もう一応満足したのでそんなこともないでしょうけどね。でも、ほんとに豪華なスペクタクルで、これだけ見せてもらって一等席14,700円は全然高くない!(なんて、私は得チケフル活用なので大きな声では言えませんが)本当におすすめです。歌舞伎のことなんて何も知らなくても、全然OKですよ~。

最後にひとつだけ。私は最初笑也さん目当てで、どちらがヤマトタケルでもよかったのですが、多分行かれる方はどちらにしようか迷うと思うのです。ミーハーの琴線に触れるうっとり感を味わいたいなら断然段治郎さんのヤマトタケル!さわやかでしびれます~。そして正統派?スーパー歌舞伎なら右近さん。右近さんは独特のアクがあって前はちょっと苦手でしたが、やっぱりうまいわ。泣かせてくれます。どちらもそれぞれによい舞台でした。

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