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2008年7月 7日 (月)

「ルジマトフのすべて2008」その他の演目

Rujisama_003 また「カルメン」ですが、今、数日たって改めて思い出すと、最初のダンススタジオのレッスンシーンが現実の世界で、そこから一人ずつダンサーが登場人物に変身していって、徐々に物語の「カルメン」の世界と入り混じっていき、最後には現実と劇中劇が渾然一体となっていくような構成だったんですよね。最初は説明不足でわからなかったけれど、あとからじわっ~と、すごい舞台だったなあと思えてきました。

だけど、背景にずっと練習風景のような写真が映し出されていたのは何か変で、あれはどういう意味だったんでしょうね?フラメンコとバレエの融合の過程?だったのか、または特別な意味はないのか?けっこうひどい(!)写真もあって、もう少しどうにかならなかったんですかね。

というわけで「ルジマトフのすべて2008」について、まだしつこく(備忘録です)

「海賊」よりパ・ド・ドゥ(ヴィクトリア・クテポワ&マイレン・トレウバエフ)
トレウバエフは3月の新国立劇場の「カルメン」で、濃~いエスカミーリョを演じていました。私は新国はめったに見ないのに、この人どこかで見たことがあると思ったら、もとレニングラード国立バレエにいたのですね。(一度見たら忘れられない顔?)そういえば昔「ゴパック」とか「スポーツのワルツ」とかいうのを踊っていたような気がします。
だけどしょっぱなに、このルジマトフファンだらけの前で、彼の十八番の「海賊」を踊るなんて、ずいぶんな重圧だったでしょうね。しかも、お相手はルジ夫人ですからね!

うわさのクテポワさんは、手足が長く、首も長く、人もうらやむ典型的なバレリーナ体型の方です。マリインスキーのコールドダンサーと聞きました。こんな条件に恵まれた人でもコールドなのか、と改めてマリインスキーの層の厚さに驚きますが、踊りは表情に乏しく、きれいだけど面白みに欠けていました。去年、やっぱり「ルジすべ」で黒鳥を踊ったときは、すごい邪悪なオディールという感じで、技術に対して演技過剰?のような気がしましたが、今回は何だか別人のようにお人形のようなお姫様でしたね。やっぱりこれだけルジマトフファンがずらっと並んだところで手厳しそうな視線を浴びて踊るのは、彼女にとっても相当な重圧だったと思います。そんな中でよくやったわ~。1日目はフェッテのあとちょっとコケてしまいましたし、回転もぐらついていましたが、2日目はわりとそつなくこなしたと思います。

だけど、やっぱりかわいそうなのはトレウバエフです。トレウバエフに対してクテポワは背が高すぎ。これだけ手足が長く、顔が小さいパートナーと踊ると、顔が大きくてスタイルいまいちなのが目立ってしまいます。お人形の「姫」とはまるで別次元の人みたいで、パートナーシップどころではなく(どうせ急場ごしらえでしょうが)ちょっとお気の毒でした。トレウバエフの踊りは、独特の見せ方と吸引力があってなかなかよかったのですが、やっぱりルジファンにはルジファンの「スタンダード」というものがありますから、見ていて「これがルジマトフだったら~」と思った人はたくさんいたでしょうね。そういう意味でも2重にお疲れさまでした!

「ゾルバ」(イルギス・ガリムーリン)
ゾルバというのは、プログラムによるとギリシャの英雄物語?だそうですが、そういえば衣装もライティングもシンプルなモダン風なのに、地中海風の音楽に乗って、陽気な民族舞踊のような、ガリムーリンのキャラクターにとても合った作品でした。彼ももうベテランの部類だと思いますが、正確できれいな踊りはさすがでした。

「メディア」(ロメロご一行様)
最初のロサリオのソロから始まって、まあこの人たちはよく踊ること!声を出しながら踊るフラメンコは楽しいだろうな~。そういえば去年、この人たちの踊りを見て、私もバレエはもう無理だけど、フラメンコならオバサンでもカッコよく踊れるだろうな~とちょっとした妄想を抱き、「はじめてのフラメンコ」などという本を買い込んで、教室探しでもしようと思っていました。あれから1年、まだそのまんまです(爆)
でも、その本のおかげでタップダンスのように足をバタバタ鳴らすのを「サパティアード」というとか、あの独特の手の動きを「ブラソ」というとか、いろいろ基礎知識はつきました。

私はフラメンコというのは、生の舞台ではこの方たちの踊りしか見たことがありません。でも、テレビなんかでちょこっと見たものより、ずっと迫力があってすごい!と思うのですが、フラメンコの世界ではどうなんでしょうね?特に軽妙で粋なリカルド、情熱的でカリスマ性もあるロサリオの姉弟はすばらしいと思います。この作品ではソロもいいけれど、6人でぴったり揃えて同じ振りを踊るところも壮観でした。やっぱりフラメンコ、カッコいいです。ルジマトフが挑戦してみたいと思ったのも頷けます。

「ゴパック」(ヴィクトル・イシュク)
も~う、かわいい!爽やか!それでいて技術も確か。すごいテクニックをにっこり笑って軽くこなしてしまうところなど、こんな人がいたのかと驚きました。ウクライナの踊りを本場ウクライナのダンサーで見られて幸せ。これだけじゃなくて、もっと他のも見たかったです。美しいプリマたちに対して、若手イケメン不足のレニングラード国立バレエに、彼をゲストで招いてくれないかしら(日本公演に、光藍社さん、お願い

「シエスタ」(ユリア・マハリナ)
一時、太ってしまって、「シェヘラザード」の衣装からお腹のお肉がはみ出しているのを見たときは、もうダメか~と思ったものです。ところが、昨年、一昨年と絞られてきて、ことしはとてもスリムな姿になっていました。スリムになると手足が長いのが一層際立ちます。そしてたおやかで柔軟なこと。けだるい午後の雰囲気と、彼女の妖艶で繊細な雰囲気が一体化し、うっとりするような作品でした。

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」(エヴゲーニャ・オブラスツォーワ&イーゴリ・コルプ)
これが第1部の白眉でした。オブラスツォーワかわいい~!本当に踊ることが楽しくて仕方ないという感じがします。そしてパートナーのコールプとのアイコンタクトもほほえましくて、特にストーリーはない、純粋に踊りだけのパ・ド・ドゥのはずなのに、まるで一つの初々しい物語を見るようでした。

コールプと踊る?と聞いたときは、一体どうなることかと思ったけれど、(アイドルと人さらいという感じしか想像できなかった)マリインスキーではよく一緒に踊っているのでしょうか?そういえばYouTubeにもこの二人の「ロミオとジュリエット」の映像がありましたね。コールプも、昨年の強烈な印象からはがらりと変わって、とてもノーブルで爽やかな王子様になっていてオドロキでした。そして、相変わらず激しく踊っていても足音がしない!のびやかで、しなやかで、まるで猫のようです。コールプは間違いなく今が絶頂期。来年のレニングラード国立バレエを初め、彼を見る機会がふえているので楽しみです。

「阿修羅」(ファルフ・ルジマトフ)
真っ暗な舞台の真ん中に、ボーっと浮かび上がったルジマトフ。1年ぶりの舞台姿にドキドキしてしまいました。あ~この日を待っていたのよ!と、誰もが思ったことでしょう。より繊細に、静謐に、余分なものをそぎ落として深化した「阿修羅」。武術家のような力みは消え、しなやかで中性的とも思える部分も出てきたようで意外でした。岩田氏がそれをイメージして振付けたという興福寺の阿修羅像の少年のようなたたずまいと、正義であるにもかかわらず邪神と化していく(?)怒り、悲しみのようなものを、昨年以上に深いところで感じることができました。

同時に、ルジマトフ自身が多忙な芸術監督になったあとも、作品に向き合う集中力や真剣さは微塵も失われていないこと。わずかな乱れすら感じない流れるような動きが、自身の鍛錬も決して怠っていないことを物語っていて、胸が熱くなりました。もっともっと踊りたい。理性とはまた別のところで、ダンサーとしての身体はそう言っているようですよ!それが確認できてとてもうれしく思いました。

ルジマトフの踊りに関しては、もう何を踊ってもいい、舞台に立ってくれるだけでいいから、と思う反面、やっぱりクラシックを一つは見せてほしかった、そんな思いもあります。特に今回のあのレッスン風景など、あんなのをちらっと見せておいて、クラシックはもう踊らないかも?なんて~ もっともっといろんな面があるはずなのに、ことしの「ルジすべ」、これが「ルジマトフのすべて」じゃないでしょう?

幸い、今回の舞台、ご自身も久しぶりの舞台の感触を存分に楽しまれたでしょうから、ぜひまた次の舞台を切望します。特に私のような、彼の若い頃、全盛期を知らない遅れてきたファンには、これからの一瞬一瞬が貴重です。お願いしま~す!

長々と書いてしまいましたが、とても楽しみにしていた公演ももう終わり。1日目には多少の物足りなさを感じたものの、あとからじわっとよさが見えてきて、ことしも満足することができました。あとはやっぱり次の公演、お願い、早く教えてくださいっ!

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