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2008年7月21日 (月)

世界一ゴージャスな‥‥「海賊」

見てきました~!19日のアメリカン・バレエ・シアターの「海賊」。すごく面白かったです。一昨年、マリインスキーの「海賊」を見て、全然心に響かなかったのに(ソーモワの日!)やっぱり主演(ニーナ)の力でしょうか。Img もう大満足、よかったです~

このポスター見たときは、かなり引いたんですけどね  カレーニョさん、一体どうなっちゃったの?何を勘違い?この人に耽美とか、ナルシストな雰囲気は合いませんよ~大体、私のアリのイメージが偏っている上に、この仕打ちは何?ゴージャスって、どうゴージャスなのかしら??

マリインスキーのほうは内容はともかく、衣装、背景共に、やっぱり舞台が明るかったせいでしょうか、すごくきれいに見えたと思うのですが、それを差し置いて「世界一ゴージャス」だったかはわかりません。でも、出演者の多彩さや物語の展開の面白さで、とても楽しく見ることができました。楽しませてくれるということにかけては「世界一」だったかもしれません。

あと、最後びっくりな展開だったのだけれど、家に帰ってあのマラーホフが出演している99年のDVDを引っ張り出して見たら、何とそのとおりなんですよ。(え~っ!?)最後までよく見ていなかったのか、はたまたマリインスキーやレニ国の印象が強くて忘れていたのか、あれは驚きの結末でした。

それと、私は見ていないのですが、前回(前々回?)の来日のときの「海賊」を見たという複数の知人から、ニーナは全然期待通りじゃなく最低だった(どれもバレエを踊る人の話なので、ファン目線でなないのですが)という話を聞いていました。ニーナでもそんなことはあるのかなと不思議に思ったのだけれど、今回のニーナは間違いなく輝いていましたよ。ちょっと最後、3幕のギュリナーラと踊ったフィニッシュ(というのか?)に、よろけて手を突いちゃったところがあったのだけれど、そういうところは別にファンにとってはどうだっていい。だけど自分でバレエを踊る人には許せないんだと思います。

思ったのは、こんな複雑なドタバタ劇も、要はコンラッドとメドーラの愛のお話だったのね~。そんな当たり前のことでした。そこにアリがヒーロー?として大きな存在感(私にとって?)で出てくるからわけがわからなくなっていたけれど、今回、このチラシのカレーニョのアリは、意外にも存在感が薄くて(というか、ごく普通のアリ?もともとちょっとしか登場しないんですものね~)その分いつも影の薄いコンラッドが際立った感じでした。コンラッド役のゴメスがやたらカッコよかったこともあるでしょうね。

もっとも、私の今までの見方が異常だったのです‥あのパ・ド・トロワも、ルジマトフが踊るときは、本当にルジマトフしか見ていなかったのですから。真ん中でコンラッドとメドーラが踊っていても、脇で恭しく控えているアリに目が釘付けそういう邪道な見方しかしていなかったところへ全く違った健康優良児タイプのアリが現われて‥‥まあ、いいじゃないですか  以下舞台の備忘録。

第1幕
紗幕の向こうでかなり立派な海賊船が順風満帆な航海。真っ青な海と空。これからの物語を予測させるような勇壮な雰囲気。マリインスキーのように難破したりしないのです。そしてある港町に到着。

街で、コンラッド(マルセロ・ゴメス)たちは輿で運ばれていくメドーラ(ニーナ・アナニアシヴィリ)に会います。布を被っていて顔は見えないのですが、メドーラはコンラッドを見ると、ふとベールをとって顔を見せます。その美しさにコンラッドはいきなりメロメロ手下のアリ(ホセ・カレーニョ)に彼女を追いかけさせます。でも、メドーラは奴隷商人ランケデムの「商品」だったようで、ランケデムに追い払われてしまいます。

そのうちにセイード・パシャがハーレムに侍らす女を物色にやってきます。マリインスキーのような異国情緒たっぷりの踊りはなく、ここに3幕のオダリスクが入る。その3人の女をパシャは気に入らず、それならと出してきたのがギュリナーラ。ここで、ランケデムとギュリナーラのパ・ド・ドゥ(奴隷のパ・ド・ドゥ)になります。

ギュリナーラはミスティ・コープランド。全体的にスリムなABTダンサーの中ではメリハリある体型というか、すごくキュートな人ですね。ランケデムはゲンナジー・サヴェリエフ。名前からしてロシア人?もう、この人の踊りのすごさがこの日のピカ一でした!手を突かない宙返り回転ジャンプ3連発!(何のことかわかりませんよね、どう言ったらいいのか‥)そしてその直後には斜め回転しながらぐるっと舞台を一周。もう、すごすぎ!!帰ってからDVDのマラーホフを見ましたが、こんなすごいことはやっていませんでした。

そのあとメドーラを見せるとパシャは大興奮。そのコミカルな芝居が面白い。まるで「ドン・キホーテ」のガマーシュよろしくメドーラに軽くあしらわれてしまいます。結局ギュリナーラとメドーラの二人を買って帰ることに。そこを海賊の一団が襲って、奴隷の女たちや財宝を奪っていきました。そうだよね~、海賊船が難破しちゃっていたら財宝奪っても乗せて逃げられないじゃないですか。変なところに感心しちゃった。そして、なぜかランケデムまで拉致していくのです。

第2幕
隠れ家の洞窟には、奪った財宝と奴隷たちでいっぱい。その中でコンラッドとメドーラ、アリのパ・ド・トロワが踊られます。ニーナは上がベルベット調の濃紺で、チュチュの部分が紫色の落ち着いた衣装。先日の「ドン・キホーテ」同様、全然年齢を感じさせません。伸び伸びとした肢体から放たれる暖かいオーラに、しばし見惚れてしまいました。

カレーニョのアリは‥おおらかで素朴な感じだけど、それじゃ奴隷じゃないでしょう!?ルジ様のように、もうちょっと「影」があるのがアリかと思っていました。例えば、実は高貴な身分だったのだけれど、暗い過去があってコンラッドに忠誠を誓ったとか‥‥考えすぎかな~?ゼレンスキーのアリもどこかそんな感じがしましたが、コレーラだったらどうだったんでしょうね。DVDで見るとやたら威勢良く気張っていて、カレーニョよりは少し奴隷らしいと思ったけれど。何だかボロクソのようですが、好みの問題ということでカレーニョのヴァリエーションは力強く豪快でよかったです。

ニーナのヴァリエーションは、後半の高速シェネがすごかった。コンラッドの踊りもあるのですが、こちらは愛するメドーラを得て、もう体全体うれしさを表すようなヴァリエーションでした。引っ込むときのガッツポーズもかわいかった。

コーダのグランフェッテは、4拍目に左手を上げる前半と、シンプルながらどんどん加速していく後半。音楽が必死で追っかけているようでした。それと、少しですが会場から手拍子が出ちゃって、それが加速するにしたがって音楽と合わなくなってきて、ちょっとヒヤッとしました。手拍子も盛り上がって?楽しいけど、やっぱりこういうこともあるからマナー違反なんでしょうね。

このあと、メドーラは奴隷の女たちを解放してほしいとコンラッドに懇願し、メロメロのコンラッドは「いいよ~」と二つ返事。このことで仲間のビルバントと争いになります。ビルバントは部下に反乱をそそのかしますが、コンラッドがとっても強いのではむかえません。コンラッドカッコいいわ~。そのあとのピンクのネグリジェのような、薄物の衣装に着替えたメドーラとコンラッドのパ・ド・ドゥは、先ほどのクラシカルなものとうって変わって、難しいリフトを多用した叙情的なものでした。本当に幸せそうで素敵な場面です。一つの幕の中で全く違った二つのパ・ド・ドゥ(一つはパ・ド・トロワか‥)が見られる楽しさを満喫しました。

このあと、ビルバントのたくらみで花が届けられ、その香りをかいだコンラッドは不覚にも眠り込んでしまいます。そこへマントで身を隠した一団がやってきて、コンラッドを殺そうとするのですが、抵抗したメドーラに、ビルバントは腕を斬りつけられて退却します。どさくさに紛れてランケデムはメドーラをさらって行き、一人になったコンラッドを殺そうと戻ってきたビルバントは、駆けつけたアリに追い払われます。ここはマリインスキー版と違って、マントを被っているので刺客は誰だかわからないという設定になっているようです。(だけどミエミエだろう!)

第3幕
パシャの宮殿の中。このセットがとても美しかったです。宮殿の外庭は美しい入り江に面していて、遠くに白い船も見えます。ギュリナーラがそば近く仕え、くつろぐパシャのもとへランケデムがメドーラをつれてきたものだから大喜び。メドーラはギュリナーラと再会を喜び合います。このあとパシャは寝室に入り、部下に命じて床の用意をさせ、うたたねをします。(だけど、座布団敷いて寝てるだけよ。)そして、パシャの夢の中という設定で「華やぎの園」のシーンがあります。

後方の紗幕の後ろには噴水‥‥というか水呑場程度のショボイ噴水でした。噴水はマリインスキーのほうがゴージャスだったわ~。でも、花のアーチを持った子どもたちも入って、華やかでとても美しいシーンでした。中でもメドーラが花の中で踊るのが幻想的でうっとり。メドーラの衣装は白いレース地にバラ?のグレーの枝とピンク小花を散らしたきれいな衣装でした。

パシャが夢から起こされ、巡礼の僧の一団が来訪したことが告げられます。マントで身を隠した怪しい一団は、メドーラを奪回に来たコンラッドたち。パシャが熱心にお祈りをしている間に一人、また一人と側近を倒していき(気付かないはずがないのだが)最後に正体を現した海賊たち。パシャは逃げ出し、コンラッドとメドーラの再会。そこへギュリナーラを追ってビルバントがやってきます。コンラッドはビルバントに「何だ、仲間じゃないか」というようなことを言うのですが、ビルバントの腕の傷を発見したメドーラは「あなたを眠らせて殺そうとしたのはこの人だわ!」と告げます。

コンラッドはしばらく信じられないというような表情をしていたのに、いきなりアリからピストルを受け取り、ビルバントをバーン!と撃ち殺しちゃうの!へ~!そして奪った財宝と共にメドーラとギュリナーラを乗せて海賊船は出航します。さらに驚きの結末。(忘れていただけだと思うけど)その海賊船は間もなく嵐にあって沈んでしまいます。最後に岩の上に助かったコンラッドとメドーラの姿。めでたしめでたし‥‥ですか~!?

アリは?ギュリナーラは?死んじゃったの~?そんなのってアリ?

最後はびっくりしたけれど、ほんとにハラハラ、ドキドキ。いろんなことが次から次へ展開し、ノンストップで楽しんだというか、見どころ満載の上、ニーナのしっとりとしたメドーラが素敵で、とても見ごたえのある公演でした。カーテンコールもサービス満点。一体何回出てきたでしょう?そのうちの2回はリフトをされて、1回は横っ飛びにダイブを決めてくれました。ニーナはどこまで楽しませてくれるんでしょうね~。ニーナ、やっぱり大好きです。

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