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2008年8月21日 (木)

「懐かしきものが甦ってまいった!」

「新・水滸伝」初日を見てきました。実は私、笑也さんのファンといいながら、パルコ劇場(ル・テアトル銀座)の21世紀歌舞伎組公演を見るのはこれが初めて。

前に地方公演で「義経千本桜」の忠信編は見たけれど、21世紀歌舞伎組としてのオリジナル作品(しかも久々の新作)はこれが初めてだったのです。だからちょっと楽しみで、予習として北方謙三の「水滸伝」を読み始めました。ところが、これがまだ2巻で(全19巻!)止まっていて何しろ長~いお話なんですよね。昔、横山光輝のマンガを読んだけれど、これがまた絵柄が「三国志」とかぶって登場人物が覚えられなくて、ストーリーもほとんど覚えていません。あのとてつもなく壮大なお話の、一体どこの部分をとるのだろう??どうやって一つの舞台にまとめるの?と思ったけど、予習なんて全然いらなかった。水滸伝をベースにしていても、ほとんど創作といっていいものでした。

まだあと2週間あるので、ネタバレはどうかと思うけど、差し支えない範囲で。

何かね~。最初に言ってしまうと、満足度は低かったです。まず、休憩なしの2時間で終わりなんて知りませんでした。歌舞伎座行くみたいにお弁当を買って行ったのに、食べる時間がなかったわ~ 歌舞伎だったら大体休憩2回入れて4時間ぐらいあるから、「え?これだけ?」という感はどうしてもありました。宝塚ならもう少しお安いチケット代で、これに歌と踊りのショーがついているよね~。

でも、笑也さんは期待どおりとっても素敵でした。今回はりりしい女戦士の役で、何だか昔見た「里見八犬伝」の犬塚信乃を彷彿とさせました。信乃はこれとは逆で、陰謀から逃れるために女の子として育てられた男の役だったけれど、こちらは子どもの頃に纏足をいやがって、女ながらに剣の修行をして育ってきたという役どころなのです。ともに男と女が交錯し、笑也さんのためにあるような役ですね~。きれい~素敵~かっこいい~ もう思いっきり「笑也萌え」しちゃいました。大体、今回段治郎さんが出ないので、笑也さんだけを見に行ったようなものなので、これだけで当初の目的は達せられたといえばそうなんですけどね。

その笑也さん扮する女戦士がただの女になったとき、突然のすごいカマトトぶり!これは「みやず姫」の笑也さんのかわいさそのままなのだけれど、屈折した育ち方をしていたという設定からなのか、何だって男を(美醜を?)見る目がないのさ~?何と笑也さんのお相手は、猿弥さん演ずるむさい醜男!確かに心はきれいで頼り甲斐のあるいい奴なんだけどさ~。こういうのってミーハー的には許せなくないですか!?(別に猿弥さんが嫌いなわけではありませんが)

宝塚にしても何にしても、古今東西ヒロインとくっつくのはイケメン美男子って相場が決まっているじゃないですか!「美女と野獣」にしたって最後は魔法が解けて素敵な王子様になるでしょう?内面の良さがわかればいいんだというのは余りにミーハーの気持ちをわからなすぎ!現実にはそういうことはあっても、舞台を見るときは夢の世界でいたいわけよ~ なんて、私って変なところにこだわりすぎですね。

でも、全体的に色気がないの。春猿さんはヤンキー?な姉御の役で、お姫様しか見たことなかった私はドキドキしちゃいましたけどね。美しいお顔で「アタシはね~○○なのさ」なんて言われると「オオッ」と思っちゃったり。最初にいきなり着物のすそをめくってチラッと細くて白いおみ足を見せたときはびっくりしたけれど、威勢がいいばっかりで色っぽい話のひとつもないのにはがっかり。

それではヒーローはというと、右近さん演じる林冲。これがまた、陰謀で役職を追われ、お尋ね者に身を落としたことを自嘲するばかりの、どうしようもない飲んだくれ。その林冲が、盗賊あがりの烏合の衆だった梁山泊の仲間達とともに団結し、再生していくお話なんだけれど、どうも私は右近さん、変なアクがあって苦手なのです。それに浮いたところがないので、うっとりする場面がないのはミーハーにはつらい

だけどこの話、段治郎さんがいたら一体どんな役だったんでしょう?これだと段治郎さんの役がない。新作だから、メンバーを見て脚本を書いてるのかな?これに段治郎さんが加わって(史進か何か?)両雄並び立つ感じになったら面白かったろうな~なんて、ずいぶん勝手なことを言っていますね。

初日ということで、皆さんけっこう台詞をかんでましたね。「替天行道」という旗をばっと出したら、字が裏側だったとか。そういうのは回を重ねるごとによくなっていくんでしょうけどね。初日に行ったのは、よかったらまた行こうと思ったから。でも‥‥私は今回はリピートしないと思います。。。そう、初日なのにぱらぱらと空席があり、舞台装置も何となく現代風に超簡素というか、面白みに欠けて少し淋しかった。何か、これを読んで「じゃあやめておこう」と思ったら本当にごめんなさい!ミーハーなので視点がちょっと違うので

ただ、思いがけないサプライズがありました。ぎりぎりに行って急いで席に着いたので、最初プログラムを買っていませんでした。休憩もなかったから終わったあと買ったのですが、並んでいたのでちょっとロビーでゆっくりしていたのです。そうしたら吹き抜けになった1階上のロビーに、何と猿之助さんがご登場!もうお客さんも半分以上帰られたようなタイミングでしたが、そそくさと帰らなくてよかった~!こちらの拍手にこたえて何度も手を振ってくださいました。

「ヤマトタケル」のときは、千秋楽を含め数回、カーテンコールのときに姿を見せたと聞きましたが、私が行った3回とも当たりませんでした。猿之助さんは、私が歌舞伎に興味を持つきっかけを与えてくれた人です。宙乗りや早替わりなど、次々にびっくりするようなことをやってのけ、とっつきにくくすました伝統芸能の世界を一気にワンダーランドに変えてくれました。本当にあのオドロキは忘れられません。猿之助さんを見たのはいつが最後かなあ。2002年の「珍説弓張月」だったでしょうか。御年68歳。とはいえ歌舞伎の世界では、同年代の方々はまだまだ元気に舞台に上がっている年齢です。脳梗塞?で倒れて5年、もう舞台での姿は見ることはないのかなあと思ったら感無量でした。

加藤和彦の音楽は、「ヤマトタケル」を思い出させました。パルコ劇場はこじんまりして、どこに座ってもよく見えるし、舞台と客席がとても近くて、迫力があっていいこともあるけれど、やっぱり壮大な歴史絵巻のようなスーパー歌舞伎が見たいなあ~!

一方でよかったといえるのは、みんなで盛り上げていこうというエネルギーだったかな。「替天行道」の旗印のもと、烏合の衆だった連中が心を一つにしてまとまっていく姿は本当に21世紀歌舞伎組そのものだし、「懐かしきものがよみがえってまいった」という林冲の言葉は、舞台に対する猿之助さんの、再び湧き上がった熱い情熱のようでもありました。「新・水滸伝」はそんなヒーローの再生の物語だったのです。

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