« 二宮神社しょうがまつり公演無事終了 | トップページ | 猫、好きなんだけど。 »

2008年9月13日 (土)

化かし化かされ?「狐狸狐狸ばなし」

080911_1812001 まだ行ったことがなかった赤坂サカスの、赤坂ACTシアターに行ってきました。この劇場自体は、前に熊川哲也の「カルメン」を見に行ったりしたことがあったし、場所も地下鉄の駅を出てすぐの同じ場所なのでそんなに変わった気はしませんでしたが、あとで改めて周りを見たら、ここはどこ?状態でしたね~。

中村勘三郎の赤坂大歌舞伎「江戸みやげ狐狸狐狸ばなし」を見てきました。勘三郎さんも見たかったけれど、私のおめあては実は段治郎さんでした。演目については何の予備知識もなく、どうやら今までの段治郎さんのイメージとは違う役らしい‥‥ぐらいで。

行ってみたら、その変貌ぶりに驚愕!何だ~このやくざれ坊主は!今までヤマトタケルとか、義経とか、りりしく美しい悲劇の王子様ばかりを見てきたので、いきなりのスキンヘッド姿は刺激が強すぎました。それに、このべらんめえ調に崩れたスケベな坊さんっぷりは一体何?ショック~!なんだけど‥‥‥。2008_0913_182949imgp6189

歌舞伎になる前にも、何度も上演された人気演目だそうですが、確かに面白い。歌舞伎というより、何だか昔のドリフターズとかを見ているような感じです。ただ、セリフがちょっと色っぽい内容なので、お子様にはどうかと思いますけどね。

まだあと1週間あるので、詳しいことは書きませんが、大体の内容は以下のとおり。勘三郎扮する伊之助と、その女房おきわ(扇雀)のドタバタなお話。おきわには浮気の相手の重善(段治郎)という若い坊主がいる。しつこい伊之助にはもう嫌気がさして、別れたいのだがそうもいかない。伊之助は浮気を知ってはいるが、おきわとは別れたくないので見て見ぬふり。

一方重善にはもう一人、成金の娘おそめに気に入られて追いかけられているが、これが「牛娘」といわれるいわくつきの娘。おきわは、重善に迫るおそめを追い払い、早く自分と一緒になってくれと頼むが、重善は不逞な奴で、伊之助を殺したら一緒になってもいいという。

おきわはフグ鍋の中に毒薬?の染め粉を入れて、フグにあたったとみせかけて伊之助を殺す。ところが伊之助は翌朝、何もなかったようにお化け(?)になって出てきて、一同をさんざん怖がらせるのですが‥‥‥。

という、もう次から次へどんでん返しに次ぐどんでん返し。その怖がりよう、怖がらせようが面白いし、普通の歌舞伎にはないアクティブな表現で、もうゲラゲラ笑っていました。内容はばかばかしいんだけど、勘三郎さんはチケット代分は必ず楽しませてくれますよね~。笑いながらも人間の心にあるエゴやしたたかさ、男女の思惑の違い、打算など、いろいろなものが見え隠れして、面白かったです。ただ結末がね~。あれじゃあ延々と化かし合いが続いていくような感じで落ちどころがないの。だからもう「こりこり」なのかもしれませんね。

赤坂ACTシアターは前5列ぐらいは平らだけれど、そこから後ろは結構傾斜があり、見やすい劇場でした。花道がないのでどうするのかなと思ったら、下手側の通路に降りていって、真ん中の横の通路を右左ともふんだんに使い、役者さんが時には踊りながら、時には全力疾走で駆け抜けていったりして、花道はないけれど客席の中に入って奮闘してくれました。

休憩はさんで「棒しばり」。こちらは狂言からとったお芝居&舞踊で、単純で上品な笑いで楽しませてもらいました。勘太郎、七之助兄弟がかわいいのって、もうかわいいという年齢ではないと思うけど、勘三郎さんというスターの息子さんで、この道をひたすらまっすぐに歩んできたのねという、そういう一途さがほほえましいというか。もちろん二人の息もぴったりで、芸達者で明るくて、華やかで、本当にいい息子さんたちという感じなんだけど。スター性ということではどうなんでしょうね。あまりに勘三郎さんが大きな存在なので、いつもお父様と同じ土俵の上で、しかも二人ワンセットではちょっとつらいような気もします。

お目当ての段治郎さんはどうだったかというと、あんなに表情がころころ動くところを初めて見ました。とても楽しい役だと思うので、生き生きとやっていました。ふと、表向きの顔を見せるときはちゃんと端正できりっとした段治郎さんらしいところもあったしね。坊主のカツラで黒い僧衣姿なんだけど、長身で小顔の現代風のかっこよさ。おそめ役の亀蔵さん、顔が段治郎さんの2倍ぐらいありました!「何でこんなにモテるんだろう」なんていうところは、悪そうな表情が色っぽくて、思わずかぶりつきたくなっちゃった(?)

ただこの坊主、本当に何考えてるのかわからない。心底おきわに惚れているのかというと、年増女と遊ぶのはいいけど、べったりされるのはいやいやながらみたいなところもあるし、かといって牛娘の婿になる気はさらさらないけれど、金持ちの娘とつきあうのもちょっといい、みたいな、打算ばっかりのしょうもない奴なんだよね。色男ってそんなものなのかな。(かえって嫌がられている伊之助のほうがおきわにぞっこんで、まめまめしくていい奴なんですよ)ほんと、ありえない性悪坊主なんだけど、悪い奴でもなぜか憎めない生臭坊主でございました。

両演目とも面白くて、楽しかったけれど、まあそれだけで、おうちへお持ち帰りするほどの感動はそんなにありませんでした。登場人物は自己チュー人間だらけで、愛も正義もさらさらないから感動しようがないんだよね~。

それでちょっと物足りなさを感じて、帰り、時間も早かったので少しその辺をぶらつくことにしました。赤坂はそんな変わりようでしたが、ちょっと外れて乃木坂のほうに歩き始めると、だんだんあまり変わっていない風景に。実は、昔仕事でこの辺にちょっと縁があったことがあって、そのころ行ったことのある食べ物屋、のぞいていたブティックなど、同じお店かどうかはわからないけれど、そういえばこんなところにこんな店があったな~と懐かしく歩いて行くうち、乃木坂駅まで歩いてしまいました。

あの頃はバブルの真っ盛りで、若者はみんな宵越しの銭は持たないくらいばかみたいに遊んでいたけれど、いい時代だったなあ。あれから間もなくバブルがはじけ、日本は大きく変わっていった。私は長男が生まれ、子育て戦争に突入し、こんなおしゃれな界隈には全く縁がなくなり、すっかり多摩のオバサンになって今に至っているのです。この18年あまり、私も変わったけれど、世の中も価値観も変わってしまった‥‥そんなことを考えながらちょっと懐かしい地下鉄の階段を降りていくと、駅はまだ9時過ぎなのに誰もいない。

何だか「地下鉄に乗って」という映画みたい。地下鉄に乗ってタイムスリップするというお話。あの結末は納得できなかったけれど、何か切ない話だったよね~。近未来的なエリアから思いがけず懐かしい道を歩いてきて、気分もあの頃にタイムスリップしたような状態で地下鉄に乗りました。そして、乗り換えの原宿駅も、何だ~昔と全然変わってないじゃない。そしてそのままの気分で家に帰ると‥‥‥。

あれ?私って、こんなに大きい子がいたんだ!?しかも二人も!

何だか見事に、赤坂の狐か狸に化かされて帰ってきたみたいですね。楽しい観劇でした。

| |

« 二宮神社しょうがまつり公演無事終了 | トップページ | 猫、好きなんだけど。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 二宮神社しょうがまつり公演無事終了 | トップページ | 猫、好きなんだけど。 »