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2008年9月29日 (月)

バレエマンガも好き 3

このところバレエを見ていないので、バレエ関係はネタ切れなのです。今月初めのチャリティ・ガラとレニ国のクラシックハイライトのあとは、もう11月の新国の「アラジン」まで手元にバレエのチケットはありません。そのあとはシュツットガルト~ボリショイと続くのですが、どうしてこんなにバレエの公演は同じような時期に集中するんでしょう

特に1月はもうレニ国だけで手一杯なのに、東京バレエ団でマラーホフの「眠り」、スタ・ダンの「シンデレラ」の再演(ことし初演を見損なった)がある!こんなに同じ時期にやらないでほしいんですけどね。見るほうは暇もお金も調達が大変で、もう無理です

9月は東京バレエ団の「ジゼル」がよかったそうですね。私はパスだったけれど、いろんなところでマラーホフとルグリの解釈の違いの面白さが語られていたらしく、私もそんな話題に参加したかったなあと今になって思います。当日券もあったようだけど、忙しかったし、体調も悪かったしで行けませんでした。ルグリも引退が近いと言われているし、マラーホフも芸監の仕事と二足のわらじで、今後踊る機会も減ってしまうのかな~と思ったら、残念なことをしてしまいました。2008_0916_134452imgp6195

そんなわけで、ネタがなくなったので、今さらという気もしないでもありませんが、この夏に出たバレエマンガの感想(別にマンガファンでもない、素人の勝手な感想です)を忘れないうちに書いておこうと思います。「3」というのはどうでもいいけど、前回の続きということです。

山岸涼子「テレプシコーラ」第2部 1 (7月26日発行)
しばらく間が開いて出された第2部は、あれから3年後、16歳になった六花が登場します。あのショックな事件を乗り越えて、六花はまだバレエを続けていて、とうとうローザンヌ国際バレエコンクールに出場するまでになりました。それが‥‥飛行機の欠航などいろんなアクシデントがあり、なかなかローザンヌに着かなくて、その間の回想という形でこの数ヶ月前に参加した国内のコンクールのことが並行して描かれています。

どこかの「あとがき」か何かで確か、作者がこのマンガを書き始めたきっかけを語っている部分があったと思います。子どもの頃やっていたバレエを大人になって再開してみたら、今のバレエを習う少女たちの姿の変わりように目がいったとか。現代のバレエ少女たちは日本人離れして手足が長く、体型的にも恵まれた子が多くて、そういう子たちが小さい時から努力を重ねていく姿に何か新しいものを感じ、それをとりまく「今」の世界を描きたくなった‥‥とか(?)、どこに書いてあったか確かめてないのですが、確かそんなようなことが語られていました。

そのとおり第1部(全10巻)は、今風の論理的な教授法、教室運営の経済的なこと、バレエの世界の本部とか支部とか、バレエ団を中心としたいろんな先生のつながりなど、大人の世界のことも盛り込まれています。一方子どもの側では、伸びる時期に受験で中断しないように中学受験をするとか、親の経済状態とか、ダイエットとか拒食症とか、けがとか、外国に行ってまでやる特殊な手術とか、期待されて苦しむ姿まで、バレエ少女をとりまく現代のいろんな要素が描かれていてとても興味深いものでした。

そして第2部の出だしは、まずは「自立」というのがテーマかもしれません。付き添いの先生がいるとはいえ、親と離れて16や17で海外のコンクールに出かけていく。へたすればそのあとすぐたった一人で留学とか、現実に、10代ですでにそういう状況になるんですよね。またそうしないと一人前のダンサーとして世界で通用しない。考えてみればすごい世界です。

ローザンヌへ行く前、国内のコンクールに六花は一人で参加します。バレエ教師である母が教室を休めないからだそうですが、そんなこともあるんだな~。コンクールに出た子のお母さんに話をきくと、もうつきっきりで大変だったとか、そんな話ばかり。でも、案外地方の子たちは平気でそんなことをやっているのかもしれません。

昨年ふとしたことで知り合った人で、地方のバレエ教室の事務局をやっている人がいるのですが、今年の夏も小学生を10人ほど引率して、都内の「本部」のサマースクールにやってきました。小学校4年~6年までの女の子ばかりホテルで5日間、午前、午後の「本部」の教室への往復のほかは食事ぐらいしかホテルから出ずに、あとは部屋で夏休みの宿題などをさせて過ごしたそうです。習い事のためとはいえ小学生で親元から離れて、都内のサマースクールに参加しちゃう女の子たち。すごいです。

彼女の娘さんもバレエをやっているのですが、中学生になると今度は引率なしで1週間のホテル暮らしだそうですよ。お母さんの小学生の引率と入れ替わりに、今度は同じ教室の中学生数人で出かけていく。そして夏の終わりにはコンクールもあって、大変な夏休みだったようです。でも、小学生のころからそんなことをしているおかげで度胸も違うでしょうね~。

知り合いのお母さんも言っていたけれど、コンクールなどでは地方の子にはかなわないって。それだけ親からの自立は当たり前で育ち、ほかの誘惑もなくバレエ一筋にやっているんじゃないでしょうか。

話はそれましたが、マンガの話に戻ります。六花は一人で参加したコンクールで、同じ本部教室の拓人君に会います。拓人君は容姿も体型もバレエ向きじゃないけど、お母さんがバレエの先生ということで仕方なくバレエをやってきたような感じでしたが、ここへきて本気を出したのか、お母さんや本部の先生に内緒でコンクールに参加しています。

心細かったのが、思いがけず以前助けてもらったこともある拓人君に会い、二人で励まし合いながらコンクールに臨む姿がほほえましかったです。また、結果発表のあとの大人が集まっての留学の算段なども「へ~」と思うことがありました。こういうことまで細かく取材をして書いているのでしょうか?昔のバレエマンガだと、こんな内容は多分ありませんよね。昔のマンガはライバルだとか、いじめだとか、挫折だとか、それでも頑張るとか、そんな調子で進んでいきますから、バレエの世界を取り巻く現代の様々な事情なんて描かれなかったことですよね。そういう点では大変面白い作品だと思います。

ただ、一人で飛行機に乗ることになっちゃったとか、トイレに行っている間にどっちに行っていいかわからなくなっちゃったとか、ことさら主人公に自立を自覚させようとする部分が長すぎて、ちょっと飽きるところもあります。ローザンヌに出発する空港から始まって、コンクール初日が始まるところで終わる第1巻というのは、これが半年の連載分ぐらいだとすると、読むほうも相当根気がいるマンガですよね。作者はローザンヌまで取材に行ったというので、コンクールが終わるまであと単行本2冊分(連載1年!)ぐらいかかるかも!でもいろんな方面の詳細な描写は大いに期待するところです。

槇村さとる「ドゥダダンシン!」ヴェネチア国際編 4 (8月24日発行)
あ~何でこうなるの~?というか、多分最初からこういう構想だったのよね。それはわかっているんだけど、龍一王子びいきの私にはとても残念な展開になりました というか、龍一王子かわいそすぎ 娘は突然の三上クンのドラマチックな現れ方にすごく感動してたみたいだけど(ま、それが普通なんだろうけど)、せっかく熱くなりかけた王子が‥ 「伝わっていないなら‥‥胸にしまっておく。」なんて、ばか~!しまっておくな~!!(ごめんなさい、ミーハーなもので)

マンガの話自体は、優勝候補の天才、小泉レナにかける家族、古い権威をふりかざす審査委員長と、バレエ界に新しい風を吹き込もうとするMr.鳴海との絡み、それを取材して不正をあばこうとするテレビ局と、背景は複雑に展開するのですが、まあ、そんな陰謀渦巻く(かもしれない?)話はさておいて。

全く、こんなに実際の踊りが見てみたくなるマンガってないと思います。このコンクール、ほんとに見たい!小泉レナ&ルイの「眠れる森の美女」の圧倒的な幸福感って?、全然バレエを知らなかった取材のスタッフが思わずキュンとなるラブリーさって?音楽を自分の身体の中に持っている天才って?見てみたいじゃないですか。そして、どんどん進化していく鯛子と龍一の「白鳥の湖」のグランアダージョ。スター誕生の瞬間!見たいわ~ ウォンと静香さんの「ジゼル」も、熱くハングリーなウォンと、感情を出さない静香さんの組み合わせって??それも実際に見てみたいなあ~。

かといって実写版というのもね~。絶対無理だけど「ピアノの森」の、あのショパンコンクールに出ている人たちの実際の演奏を聴き比べてみたいというのと同じで、こんなに実物が見てみたくなるバレエマンガって、本当に魅力的だと思います。最初の「ドゥダダンシン!」1~9巻に続く、プロの(クラシックの)ダンサーへの挑戦のこの「ヴェネチア国際編」。ストーリーが私の好きな龍一王子と離れてしまっても、やっぱりこのドキドキ感とともにどこまでもついていきま~す! それだけ魅力的な主人公だし、魅力的なマンガです。

曽田正人「MOON」(昴) 2 (9月3日発行)
反対に主人公の踊りなんかちっとも見たいとは思わないこちらのマンガ。何だかすごいことばっかりなんだけど、バレエというものを勘違いしているというか、芸術を甘く見ているというか、まあ、ありえないといえばありえない、「巨人の星」的な古典的なタイプのマンガなんでしょうか?

主人公にとっての「大リーグボール養成ギブス」は、子供のころのきつい体験。そして時空を超えた「ボレロ」も、盲目のダンサーと踊ることも、みんな「大リーグボール1号、2号」で、ははは、マンガだからね~ってそういう世界です。大体、世の中の目の肥えたバレエファンからすれば、生意気な17歳の小娘の踊りがいくらすごいと言われても、17歳は17歳、まだまだ未完成と思うでしょう。

鑑賞歴の浅い私でも、実際の舞台や有名な人の昔のビデオなどを見る限り、技術的なピークは20代半ばぐらいだろうと思います。そして表現力などが深まるのはさらにあと、30代以降じゃないでしょうか。バレエというのはごく若いころにピークを迎えるフィギュアスケートや体操とかの競技と違って、長い間の地味な努力、たゆまぬ研鑽、芸術的な深まりによって磨きあげながら総合的に人を感動させる域までに達していくものだと思うのです。

まあ、一般論はともかく、それでも勘違いが多い。大体「100回踊れば100回とも1ミリのぶれもなく同じ踊りをする」ようなダンサーの踊りなんて見たいと思わない。スポ根ものじゃあるまいし、100パーセントのぶつかり合いのパ・ド・ドゥなんてどうでしょうね~??見てて疲れるよね。少なくともクラシックじゃないと思うし、全体の幕ものバレエとしての物語から外れてしまうと思うし、モダンならともかく、観客はバレエにそんなこと求めてないと思います。

それから主人公が嫌がる暗い過去をあばくテレビのドキュメンタリー!もう口あんぐりのいや~な世界なのですが、それでも読んでしまうのはそういう刺激的なところがあるから。もしこの作品が常識的になったら(絶対ならないか?)作品の魅力もなくなってしまうんでしょうね。よくわかりませんが、これも最初の「昴」が全11巻で、それに続く第2シリーズ。今まで「ありえない~!」とか言いながらずっと見てきたのもそういう一味違った「何か」に引っ張られてのことなので、これからもそのとんでもない少年マンガ的なところで読まされていくのでしょうね。

バレエファンの皆様でしたらこんなのは全部ご存じだと思いますが、もしまだ読んでいなければ秋の夜長にぜひどうぞ。私も、これから11月まで(今のところ)公演に行く予定がないので、いよいよ買ったまま見ていない(まだある!?)DVDに手をつけようか‥‥と思っています。

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