« ガラガラのガラ? | トップページ | 華麗なるクラシックバレエ・ハイライト(9月3日) »

2008年9月 4日 (木)

中越沖地震チャリティ・ガラ

Img この公演は、主催者はどうもこれが初めてのところみたいだし、当初から出演者も演目も「予定」というだけではっきりしていませんでした。で、どうしてこの公演を見ようと思ったかというと、実は大嶋さんが出演するというから。

去年の、シルビー・ギエムと東京バレエ団の公演で、「カルメン」のホセを踊った大嶋正樹さんに一目惚れ だけどその翌日、大嶋さんは舞台上で怪我をするというアクシデントに見舞われ、その後どういうわけか東京バレエ団を退団してしまったのです。今回久しぶりに見られると思って楽しみにしていたのですが、踊ったのはモダンを1曲だけでした。もうすっかり怪我のほうはいいようですが、これから先見られる機会があるのかなと思うと、1曲だけというのはちょっと残念でした。

そういうわけで、ほかの出演者はいろいろ聞いてはいたけれど、特に期待はしていなかったのですが、これがまた思いがけず多彩で、とても充実した内容でした。それだけにお客さんが少なかったのがやっぱり残念。あとで聞いたら、結構バレエを見ているような人でも、この公演があること自体知らなかったというのでびっくりしたくらいです。

公演の運営もボランティアなのか、スムーズではなく、開演10分前なのにまだ入口には行列が。そしてプログラムも何も配られてなくて、入口に1枚だけ貼ってあるキャスト表はケータイで写す人で人だかり。休憩時間になって、やっとそれが配られるという状態だったので、1部は一体どんな演目をやるのか知らないまま始まってしまいました。

≪第1部≫
眠れる森の美女(寺島ひろみ&アンドレイ・メルクリエフ)

メルクリエフの王子姿、すごくはまっていてりりしい。もともと彼は美形ですが、それだけではなく、オーロラ役の寺島ひろみさんとのアイコンタクトがしっかりとれていて、とてもほほえましい素敵な王子様ぶりでした。寺島さんはまさに幸せ感いっぱいのお姫様そのもので、見る人に幸せオーラをきらきらふりまいている感じがして、よかったです。

バラの精(さいとう美帆&アントン・コルサコフ)
これには非常にびっくりしました。コルサコフ君(「くん」なんていう年齢じゃないのかもしれないけど)は色白丸顔で、首も短く幼児体型なんですよね。こういう人がバラの精になるとどういうことが起きるのか。。。彼が濃いピンクのバラの精の衣装でジャンプして登場したときは、思わず噴き出しそうになりました。まるで西洋絵画から抜け出したキューピットというか、でっかいキューピーちゃんみたい。色白で金髪巻毛、つぶらな瞳、バラ色の頬、それはそれでかわいらしくて「バラの精」にはぴったりなんだけどね~。(では、あのコールプの怪しい毒花のような「バラの精」は一体何なんだ!?)ニジンスキーも、どちらかというとぽっちゃり体型だったようなので、もしかすると本来の「バラの精」はこんな感じだったのかもしれません。

さいとう美帆さんは、初めての舞踏会の余韻にうっとりしてる少女という感じには見えない‥‥。だって最初っからお目々ぱっちり満面の笑みなんだもの。夢見心地に眠りながら最初は夢の中で「バラの精」と踊るんじゃなかったっけ?コルサコフ君のバラの精があまりにぼーっとした顔で、非現実の世界で踊っているのに、夢の中の少女のほうが元気がよくて、何だかちぐはぐな感じがしました。

NE ME quittes pas~行かないで(アンナ・パシコワ)
インペリアル・ロシア・バレエの人のようなので、2006年のルジマトフとインペリアル・ロシア・バレエの公演プログラムを見てみたら、名前と写真が載っていました。よく覚えてないけれど、たぶんあのとき「ダッタン人の踊り」で、タイツをはかない生足で激しく踊っていて印象に残った人じゃないかな?と。細身で手足が長く、きれいな人です。今回は水色のロングドレスで、しなやかな動きを見せてくれました。

白鳥の湖より2幕(ダリア・スホルコワ&シリル・ピエール)
おなじみの白鳥のグラン・アダージョなのですが、まず登場した王子にびっくり。灰色の、えらく地味な軍服みたいな衣装で、こんな王子ってあり?そしてスホルコワは、かなりのX脚で、甲があって首も長くて特徴的な人なのだけれど、何かな~?どこが違うんだろう。雰囲気が両方とも暗~い感じなのですよ。王子にとってはこれが初めての恋のはずなのに、ず~っと深刻な表情だし、オデットも突然現れた王子を怖がるのはわかるけど、最後には王子に運命を任せるようにうちとけてもいいんじゃない?

リフトの部分はさかさまにならずに、まるで白鳥が空を羽ばたくような形で、とても美しかったのだけれど、全体的にはまるでこれから死にに行くような悲痛なアダージョでした。こういう解釈もいいのかなと思ったけれど、これが全幕で、最後がハッピーエンドだったら怒るぞ~!

ジプシー(高橋晃子)
寺島さんにしてもさいとうさんにしても、日本人が西洋人の中に入るとどうしても子供っぽく見えてしまうのですが、高橋さんは独特な、エキゾティックな雰囲気を持った人のようです。これは「ドン・キホーテ」の中のジプシー?柔軟性を見せる部分と、速い動きとのメリハリがあり、スパイスの利いた爽快な踊りでよかったです。

ライモンダ(ガリーナ・ステパネンコ&アンドレイ・メルクリエフ)
白いマントでさっそうと登場したメルクリエフ、かっこいいです ステパネンコはさすがの貫録で、余裕の踊り。残念ながら細かいことは覚えてないくらい、白いマントを翻すメルクリエフにぼーっとなってしまいました。

金平糖の踊り(アリヤ・タニクパエワ)
あとで配られたプログラムには「海賊」となっていましたが、パートナーのミハイル・マルテニュクが怪我でもしたのでしょうか?タニクパエワのソロになっていました。ウイーン国立歌劇場の人とプログラムには書
いてありますが、どことなく日本人に近い雰囲気を持った人です。短いヴァリエーションだけでちょっと残念。

シェヘラザード(ユリア・マハリナ&イリヤ・クズネツォフ)
前回も書きましたが、この新宿文化センターで、いきなりシェヘラザードの曲が流れ、マハリナのゾベイダが登場した時は本当にどきっ!でした。マハリナ、相変わらず魅力的でかわいい。あ~これで相手がルジ様だったなら‥‥。金の奴隷役のイリヤ・クズネツォフは美形だし、長身でワイルドな感じもあって悪くはないのだけれど、何しろ私の定番がルジマトフなので、やっぱりもっと奴隷らしい切なげな表情とか、王妃に対する畏敬の念とか、そういうものがほしいのよね~。奴隷だからといって単純に粗野なだけじゃダメ‥‥抑圧されたところから一瞬解き放たれた、そんな命と引き換えのぎりぎりのエロティシズムがこの作品のすごさじゃないかと。そんなことを言っても仕方がないですけど。比べる人が比べる人だけに、ただの粗暴な奴隷に見えてしまいました。

≪第2部≫
アダージオ(アンドレイ・メルクリエフ)
モダンといっても、きれいな動きの、とても端正な作品でした。すみません、よく覚えていません。

マタハリ(ユリア・マハリナ&イリヤ・クズネツォフ)
椅子に座ったマハリナの脚が細い‥‥!確かマハリナのために振りつけられた作品(の一部)と聞きましたが、もちろん見るのは初めて。

「海賊」より奴隷の踊り(寺島まゆみ&芳賀望)
ちょうど1年前のボリショイとマリインスキーのガラ公演でこれを見たとき、売られるはずのギュリナーラがニコニコしていたので、非常に違和感を感じたのだけれど、ボリショイ版のこの踊りは少しシチュエーションが違うということでした。今回、ボリショイ版でもないのに、奴隷として売られちゃう娘がまるでお姫様のような笑顔というのはやっぱりすごい違和感。ガラならそれでもいいのかもしれないけれど、ところどころに拒絶のポーズも入っているのに、やっぱりにこにこしてたら変じゃないでしょうか?

芳賀さんはおヒゲまでつけて奴隷商人になりきっていただけに、ピクニックにでも行くようなルンルンのギュリナーラはやっぱりね~。先々月、ABTの「海賊」でサヴェリエフのすごすぎるランケデムを見てしまったあとなので分が悪いのですが、芳賀さんの踊りもダイナミックでよかったです。

iI Pleut(松崎えり&大嶋正樹)
私は全然知らないのですが、松崎さんという人はモダン作品の振り付けをする人?大嶋さんの出演を楽しみにしていた割には全然覚えてなくて申しわけないです。大嶋さんは少し太った?何だかおじさんっぽくなってしまったような。もっとほかの作品(ナイーヴな心情を表現するような)も見たかったです。

カルメン(アンナ・パシコワ&イリヤ・クズネツォフ)
またまたクズネツォフが大活躍。椅子が出てきたりして、先ほどの「マタハリ」とかぶるんですけど。プログラムにはタランダ振付とありましたが、あまり面白い振り付けではなかったような。

ロミオとジュリエット(オクサーナ・クチュルク&イーゴリ・イェブラ)
この日の一番は何といってもこれ!でした。バルコニーの場なのにバルコニーもないし、星空が映し出されたスクリーンだけがバック。それなのに、どこか山のてっぺんか何かにいて、まるで星空の中に吸い込まれてしまうような陶酔感がありました。さっき恋に落ちたばかりの二人、それがまたお互い引き寄せられるように出会い、過ごす時間は人生の中ではほんの一瞬。まばたきするくらいの短さかもしれないけれど、その一瞬の輝きが永遠に通じる。そんな場面を見事に表現していて、涙が出てしまいました。今にも星空の中に飛び立たんばかりの羽のように軽いジュリエット。幸福の絶頂で、もうどんなことでもできるとばかりにジュリエットを軽々と振り回すロミオ。恋する気持ちをそんな踊りで表現できるバレエってほんとにすばらしい。この二人の全幕がとても見たくなりました。

瀕死の白鳥(ユリア・マハリナ)
やっぱり2年前でしたっけ?2006年、インペリアル・ロシア・バレエとルジマトフの公演でマハリナが「瀕死の白鳥」を踊りました。つい2年前のことなのに、何だか遠い昔のようです。あの時はこんなに早くルジマトフが見られなくなってしまうなんて思いもしなかった‥‥‥。なんて、脱線。あのときのマハリナは、とても死にそうにない健康的な白鳥だったのだけれど、今回は細い脚が痛々しく、よりはかなげな白鳥になっていました。最後、体を反らせて終わるのはマハリナのオリジナル?でしょうか。

「ドン・キホーテ」より(ステパネンコ&コルサコフ、その他大勢)
テーブルと椅子を置いて、酒場のシーンのようになった舞台。メルクリエフはエスパーダ?踊り子のパシコワとコレスニチェンコの二人とのやり取りがとても楽しい。ステパネンコのキトリは私にはニーナとともに定番です。だけどコルサコフのバジルって超似合わない!終始機嫌の悪そうな顔だったけれど、あれはメルクリエフと張り合ったお芝居だったのかなあ?ひとしきり小
芝居があったあと、アダージョが始まりました。それがなんと、ステパネンコを相手に5人の男たちが代わる代わる踊るスペシャルバージョン。それがとても楽しかったです。

ヴァリエーションは二人の日本人のダンサーが踊りました。その最初の長澤美絵さんはちょっと子供っぽいところがあるものの、笑顔がとても可愛くて、立っているだけで華のあるダンサーだと思いました。

ステパネンコのヴァリエーションは扇を持った踊りでかっこいい。コーダも安定したフェッテで大盛り上がり。お芝居の途中でか、踊りの中でかは忘れたけど、ステパネンコがロミオの衣装のままのイェブラに2回連続で横っとびダイブをしたのがびっくり。多分最年長?のステパネンコが一番元気!大いに場が沸きました。サービス精神旺盛なのはニーナと同様ですね。ひときわ華やかで大輪の花のようでした。

そしてカーテンコールにタランダさん登場。2年前に「シェヘラザード」の王様を演じた時より、さらに恰幅が良くなっていました。シャツのすそをズボンからおもむろに出したかと思うと、何と、タップダンス風の踊りを披露。(あの横にくにゃっと曲がった足首は一体どうなってるんでしょうね~?)ほんとに楽しくて、最後もとても盛り上がりました。

≪第3部≫
Toshi Special Live
Toshiさんは元Xjapanのヴォーカリストで、現在は癒しのアーティストとして全国を回り、コンサートの合間にも学校や福祉施設、少年院など様々な場所で活躍しているそうです。どうしてこの場で歌うことになったのかわかりませんが、お客さんはさすがにほとんどがバレエファンなので、半分ぐらいは帰ってしまっていました。

1曲目、何とメルクリエフとパシコワと、もう一人がよく見えなくてわからなかったのですが、3人のダンサーが曲に合わせて踊ってくれました。Toshiさんいわく、バレエダンサーと共演したのは長い活動の中で初めてだったそうです。

3曲歌ってくれましたが、どれもメロディのきれいな静かな曲で、やはり癒しをテーマにしたものでしょうか。だけどみんな同じような曲だったし、マイクを通しての音がつぶれていて、歌詞の内容がよくわからなかったのが残念。普段コーラスなんかをやっていると地声を張り上げる歌い方が苦しそうに聞こえてしまい、私には全然癒しに感じられませんでしたけどね。バレエを見る皆さんはクラシック音楽にも精通している人が多いので、このミスマッチ感はどうだったのかな~?と思ってしまいました。でも、久々にコンサートの雰囲気をちょこっと味わうことができました。

| |

« ガラガラのガラ? | トップページ | 華麗なるクラシックバレエ・ハイライト(9月3日) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ガラガラのガラ? | トップページ | 華麗なるクラシックバレエ・ハイライト(9月3日) »