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2008年11月24日 (月)

ハイデ版「眠れる森の美女」

シュツットガルトバレエ団の「眠れる森の美女」初日のソワレを見てきました。シュツットガルトバレエ団は2002年に来日した時に、私は「ロミオとジュリエット」を見ています。そのあと、2005年にも来日して今回が8度目の来日だそうです。

2002年の時はマラーホフがプリンシパルを務めていたので、とにかく彼のロミオだけが目当てだったのです。だからその時のジュリエットも、ほかのキャストも全然覚えてないのだけれど、キャピュレット夫人だけは、なぜかめちゃくちゃ濃い演技で目立ちまくっていたので(一体何者?)よく覚えていて、あとでそれが振付家ジョン・クランコのミューズであり、「女優」バレリーナとしてこのバレエ団の一時代を築いたマリシア・ハイデその人だったことを知りました。この「眠れる森の美女」は、そのマリシア・ハイデがシュツットガルトバレエ団の芸術監督時代に改訂・振付を手掛けたものだそうです。

どうせ知らない人ばっかりだろうから、唯一知っているフリーデマン・フォーゲルを見ようかなと思ったけれど、もう一人いましたね。去年のフェリ引退公演で鮮烈な印象を残したアリシア・アマトリアン。あのときの驚異的な踊り(フォーサイスの「‥」何だっけ?)にぶったまげてしまった人も多いのでは?そのアマトリアンが今度は古典中の古典のオーロラ姫を踊るなんて!それには甘いマスクのフォーゲル君よりもずっと興味をそそられてしまいました。

でも、正直言って昨日のアリシア・アマトリアンは絶不調だったと思います。登場してすぐのローズ・アダージョで、バランスの時に王子に支えられた手がぶるぶる震えてなかなか離すことができなかったり、バランスの時間が極端に短かったりしたときは、バランス系が苦手なのかな?と思ったけれど、さすがにポワントが落ちてしまったときには不調なんだとわかりました。この人がどれだけ踊れる人かわかっていますから‥‥。それでも何という優雅さ、かわいらしさなんだろう!コンテやおふざけの「ザ・グランパ・ド・ドゥ」を見たときには思いもしなかった彼女のこんな可憐な一面。私、この人好きだ~

手先、腕の使い方がとても美しい。踊りが音楽的で緩急の付け方が絶妙。表情が生き生きしていてとても魅力的。不調ということを差し引いても姫としてのキラメキは失っていない。多分それほど「若手」でもないと思うけれど、とにかくかわいくて、素敵で、もうすっかり彼女のオーロラ姫に魅せられてしまいました。

それと、どうなっているのよ?という身体。アラベスクやアチチュードのときの足先が一体どっち向いてるの?完璧以上のアンドォールのせい?ファンシェのときもかる~く180度以上いっちゃっているし。ありえない~!このありえなさ加減がクラシカルな雰囲気をちょっと崩しているのかな?などと一人つぶやきながら楽しんでいました。私はどっちかというと人物の心情だとか、物語の流れを楽しむのが主なんだけれど、珍しく彼女一人を注視してしまいました。よく「元気をもらった」とかっていう、私はそういう言い方は好きじゃないけれど、ほんとに昨日は超ラブリーな彼女を見て幸せな気分に浸ってしまいました。

全体的にもとてもよかったです。カラボスがもう一方の主役というくらいの活躍ぶり。女性役なのですが、それを男性のダンサーが演じています。それもおばあさんとかではなくて、とても妖艶でダイナミックで、魅力的なカラボス。プログラムによると歌舞伎の女形からヒントを得たとありますが、歌舞伎の女形は本物の女性以上に女性らしさを追求するものですが、これはたぶん女性には表現できない強い魔力、線の太さ、エネルギッシュなところを男性に表現させているのだと思います。

歌舞伎の影響といえば、不気味なカラボスの手下は月代(さかやき)を剃った頭の髷がばらけたような落武者風だし、黒い幕を上からたらしそれを浅葱幕のようにいっぺんに落とすとやり方も(落とした後はただの白い幕だったので場面転換の意味はないけど)歌舞伎からとったのかな?と思うようなところがありました。

王子のフィリップ・バランキエヴィッチは、悪くはなかったけれど印象薄。それよりも3幕の「アリ・ババ」という、宝石の踊りを引き連れた「海賊」のアリ風のキャラクターを踊ったアレクサンダー・ザイツェフがものすごく印象に残りました。プロフィールを見ると彼は既にベテランに属すると思いますが、驚くほど若々しくて、ちょっと乱暴なくらいダイナミック。ぼーっとするほどかっこよかったですもっともっと見ていたかった!来週見る予定の「オネーギン」にも彼がレンスキー役にキャスティングされているので、また見られる 今からとても楽しみになりました。

舞台美術も衣装も、いろいろ趣向が凝らしてありました。この間の「アラジン」のような突っ込みどころははく、手放しで楽しんでしまいました。しばらくこの幸せな余韻に浸っていたいので、細かい舞台の様子はまた次回に。

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