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2008年12月10日 (水)

ボリショイ「白鳥の湖」 1

あ~、調子に乗って書いていたら、「保存」の段階で突然フリーズして消えてしまった!久々にがっくりのアクシデント。ショックもう二度と書けないよ~。でも、記録なので‥と気を取り直して。

ボリショイには今まであまり縁がなかったので、ボリショイの「白鳥の湖」は初めてでした。DVDも何種類か出ているようだけれど、ミハリチェンコとかベスメルトノワとか、見たこともない古い時代(そんなに古くはない?)のもので、ちょっと手が出なかったこともあります。マリインスキーのほうは2006年のロパートキナのDVDが出ているし、ゼレンスキー&マハリナの映像も、91年でちょっと古いけれど、まだ二人とも現役で踊っている人ですからね。もう引退した、全く知らない人の映像はあまり買う気がしなくて。でも、このグリゴローヴィチ版は前からのものだったんですね。

初めて見たボリショイの「白鳥の湖」。バレエの代表的な演目だし、ボリショイはマリインスキーと並ぶロシア2大バレエ団だから、見る前からオーソドックスなものと心の中で勝手に決めつけていたのですが、そんな目で見ていたらあれ?かなり違う!

「ドン・キホーテ」と違って、舞台美術も衣装もちょっと凝っていたし、構成もいろいろ工夫があって面白いじゃない~と思って見ていました。それが‥‥ラストでまさかのbad end!あれには愕然としてしまいました。同じ悲劇でも、二人は天国で結ばれたとか、二人の愛の力で悪魔は滅び、白鳥の娘たちは元の姿に戻ることができたとか、そんな生易しい悲劇じゃなく、オデットへの愛は通じず、ロットバルトとの戦いに力尽き、オデットは命を落とし、王子一人が残される‥‥そんな救いのないやりきれないラストでした。

DVDでしか見たことがないけれど、パリ・オペラ座のヌレエフ版もやっぱりこんなような釈然としない終わり方だったよね。オデットはロットバルトに連れ去られ、「ヤマトタケル」の宙乗りみたいに飛んで行ってしまう。あれ以上の虚しさでした。どうして~?

もともとのグリゴローヴィチ版はハッピーエンドだったけれど、2001年に改訂されて今のようになったのだとか。原点はやっぱり悲劇だそうで、ソビエト時代は悲劇はけしからんというのでハッピーエンドになっていたそうです。わざわざ戻した理由は何なんだろう‥‥まさかの結末にびっくりした人もいたと思います。

私が見たのは日曜マチネのクリサノワ&グダーノフです。動機が不純なのだけれど、去年見たときグダーノフの横顔がちょっとルジ様似だったので (よく見たら似ているのは鼻の形だけだった)だから、そんなに期待はしていなかったのですが、これが大当たり!私、グダーノフがこんなにいいとは思わなかった。私はもともと近眼ですが、最近は老眼が入ってプラスマイナスで?少しよくなっているのです。メガネ屋さんに「これじゃ強すぎて頭痛くなるでしょう?」と言われても、「舞台見るからこれでいいんです!」と言って通していたのだけれど、メガネのせいもある?久々にこめかみがキンキン痛くなるほど凝視してしまいました。え?もちろんグダーノフ王子をですよ

≪1幕1場≫
序曲の間にプロローグはなく、幕が開くといきなり重厚なお城の中の大広間のようなところ。石造りを表しているのか、横縞の模様(織物のことはよくわからないけれど、荒い織地の麻織物みたいな)の描かれた幕が下がり、全体的にグレーと金銀茶黒の色のみを使ったちよっと暗めの城の内部を表しています。そこに集う男女はまるで冒険ファンタジーもののコスプレみたいな(?)衣装。ごくオーソドックスだった「ドン・キ」に比べて、皆デザインが統一されていて、かなり凝っています。ワルツを踊る女性はオーガンジーのスカートの上部に金銀の葉っぱ?をちらしたような抽象的な模様のある衣装。男性は金銀を基調にして前が黒のV字のラインになった提灯袖の‥‥私の描写では余計わからなくなっちゃう?

王子登場!何と下手奥から斜めに居並ぶ宮廷人の中を大きく軽いグランジュテで登場です。さわやか~こんな素敵な王子登場ってあったかしら?金銀黒の軍団の中で、一人だけ上から下まで真っ白な王子がよく映えます。この版では1幕でも王子はよく踊る。グダーノフは身長もそんなにないし、顔だってちょっとオジサン入ってて美形とは言い難いのだけれど、(グダちゃんって名前もさえないし‥‥)ひとたび踊りだすと、もう周囲1メートルぐらいが光り輝いて見えるくらい「超」がつくダンスール・ノーブルでした。

フワッと浮かび上がるような軽いジャンプ。足音のほとんどしないきれいな着地。動きの軌跡が1本す~っとなめらかに描かれていてるような丁寧でぶれのない踊り。ポーズの一つ一つがうっとりするほど美しいし、ジャンプの時も放物線の頂点でさらに手足が伸びて、一瞬止まったかのよう。すばらしい~。見ながら何度も「美しい~」とつぶやいてしまいました。

ワルツの真ん中で踊っていた4組の男女の、その4人の男性はみな背が高くてかなりのハンサム揃いでした。あとでスペインを踊った4人と同じだと思いますが、思わず顔ばかり見てしまいました。でも、こんなイケメン軍団の中でも王子はひときわ際立っているのです。

王妃が登場し、王子に剣を与えます。王子が剣にキスをするのは前にもどこかで見たような‥‥成人して騎士の仲間に入ったということなのでしょうか。弓をプレゼントされて子供っぽく喜ぶよりは現実的な感じがします。剣とともに首飾りも。これは王位を継承するという責任が与えられたという意味ですね。

渡された配役表にパ・ド・トロワの男性の名前が載ってないなと思ったら、何と王子が踊りました。マリインスキー(キーロフ)の映像のゼレンスキー王子も、自らトロワを踊りますが、これはもともとゼレンスキーがトロワにキャスティングされていて、そのときの王子役(ルジ様だったという話も?)が降板したので、たまたま両方踊ったと聞いていますが、このグリゴローヴィチ版は最初から王子が踊ることになっているようです。

(話がずれちゃうけれど、マリインスキーの「白鳥の湖」の映像。このとき降板せず、ルジマトフ&マハリナの映像が残されていたらどんなによかっただろうって、ゼレちゃんには悪いけど、ちょっとルジマトフファンとしては考えてしまいます。これは現在「華麗なるバレエ」という小学館のDVD付ブックの初回として発売されています。ビデオで持ってる映像ばかりだけれど、全10巻のシリーズもさっそく予約してしまいました

パ・ド・トロワは普通筋とは関係なく、「ジゼル」のペザントみたいに1幕の見せ場になっているけれど、これを王子が踊るのも何となくつながりとしてはいいような。それもお城の中で王妃様や廷臣たちの見守る中で、「王子の友人」という女性二人と踊ります。王子の何一つ屈託のないさわやかな笑顔。この王子は何の悩みもなく、王位継承者として立派に育てられてきたのでしょう。ようやく成人し、明日はいよいよ花嫁選びの日という、晴れがましい王子の姿でした。

王妃が出ていってもしばらく楽しげな踊りが続きますが、突然王子は何かに取りつかれたような憂鬱な表情になります。あんなに笑顔で踊っていたのに、この辺がちょっと唐突なんだけれど。浮かない顔の王子を元気づけるような道化の踊り。この道化が岩田守弘さん。ちょうど昨日のNHKの「プロフェッショナル」に登場していました。

あれを見ると全く謙虚な努力の人なんですね。でも舞台では本当に見る者を楽しませてくれる「プロフェッショナル」そのものでした。超高速回転、高くて軽いジャンプ。やわらかい着地。38歳とはとても思えない身体のキレはあのボリショイの中でもピカ一。動きの一つ一つがきっちり統制がとれていて、決めのポーズの指先の反り具合まで完璧です!超一流というのはこういうことを言うんだな~とただただ感動していたけれど、テレビでは不安や悔しさをひたすら努力で克服する、壮絶な舞台裏を映していました。岩田さんは舞台に立つとその人の丸裸の中身が全部見えてしまうと言っています。だから日々自分を磨いて磨いて、そうやって世界一の舞台に立っている岩田さんに、改めて感動してしまいました。

何か、久々に簡潔に書けたと思っていたのに、一度消えてしまったらどんどん尾ひれがついてしまって、長くなったので一旦終了します。

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