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2008年12月 3日 (水)

「オネーギン」というバレエ

この間見た「オネーギン」があまりに素晴らしかったので、舞台の余韻にぼーっとしていて、ざっと感じたことを書いただけで満足してしまい、そのままになってしまいました。もう今日からボリショイが‥‥‥。

それで、ごく簡潔にどんな内容かということだけ記録しておこうと思って、バレエの入門書などの「オネーギン」に関する紹介を探しました。一番端的なキャッチコピーは「逃した魚は大きかった!未練たらたらの男心。失われた時はもう戻らない」でした!これにはかなり笑えました~ 確かに簡単にいえばそういうお話でしたよね。それから、「鈍くさい娘だったときは簡単に振ったくせに、ほかの男と結婚していい女になったら、今度は自分のものにしたくなるオネーギンの強烈なエゴと、女のプライドがぶつかり合う」って、これもかなり過激な内容紹介 その通りだから思わず爆笑してしまいましたけどね。初心者のときにこの紹介を読んだら、これにひるんで見るのは敬遠してしまったかもしれません。

振り付けはジョン・クランコ。シュツットガルトバレエ団の芸術監督になったばかりの1965年に、マリシア・ハイデ主演で初演されたそうです。クランコという人は「物語バレエ」の第一人者といわれ、作品には「オネーギン」のほかに「じゃじゃ馬ならし」「ロミオとジュリエット」などがあります。キリアン、ノイマイヤーといった、私にはちょっとなじみ薄ですが、そういう現代振付家の先駆けとなった人のようです。何か、初めて見た演目なので、プログラムや本と首っ引きで、まるで学校のレポートを書いてるみたいですね

せっかく見た舞台を忘れないように、覚書のつもりでいつも書いているのですが、簡単に済ませようとして本などを見ていたらかえって面倒な疑問がわいてきてしまいました。というのは、どの本にもレンスキーという人物の存在の意味については触れられていないの。あんなにバカみたいに純粋で悲劇的な青年の役で、バレエ団でも屈指の美形プリンシパルによって踊られているのに、ストーリーの中ではあまり重要じゃないなんてレンスキー、かわいそすぎる! 

舞台装置・衣装は「眠れる森の美女」と同じユルゲン・ローゼの手によるもの。最初のタチアーナの家の庭も、田舎の屋敷も、それから3幕の伯爵の邸宅も、みんなちょっと暗めながら甘く淡い色合いで美しいのです。レンスキーは金髪をなびかせた何ともロマンチックな雰囲気で、その美しい風景にふわっと溶け込んでしまう存在なんですよね。片やオネーギンは登場の時からただ一人黒づくめ。服も髪も黒でシャープな印象。淡い色合いの中に1点の黒が、彼の持つ孤独感のように際立っています。

レンスキーはタチアーナの妹オリガに盲目なほど夢中。いつも彼女しか見ていないその幸せそうな満面の笑顔といったら、思わず胸キュンです(フォーゲル君でも、ザイツェフでも)後の悲劇を思うとそんな狭い純粋さがガラスのように危うくせつない。オリガはそんなレンスキーの愛情を一身に受けているけれど、快活な彼女の心はもっと外に向かって開かれているんですよね~。ここにもちょっとしたすれ違いがあるんだなあ‥。

一方、オネーギンは、タチアーナと踊っていても儀礼的で、ふとした瞬間に自分だけの世界に入ってしまう。この場にふさわしくないニヒルな都会人なのだ。そんな彼にものすごく憧れているけれど、大人の世界に入り込めずに立ち尽くす少女の気持ちも痛いほどわかって涙~。

何かやっぱりレンスキーという存在は、ただオネーギンを友人としてこのふさわしくない場所に連れてきてしまっただけの人じゃなくて、オネーギンの特異な存在感をより際立たせる役まわりなのかもしれません。さらに詩人らしいプライドの高さによって招かれた唐突な死をもって、オネーギンの性根のしょうもなさ加減にさらに追い打ちをかけているわけです‥。

結構この公演、年配の方も多かったです。どちらの日だったか幕間に、おばさまたち(といったって私もだけど、もう少し年のいった「おばさま方」)の会話を耳にしたら、「オペラもそうだけどオネーギンってホントにいやな男なのよねっ。このあとタチアーナが社交界の花になったら、図々しくもあのときの自分は間違っていたなんて抜かすのよ。一体どの面下げて言ってんのよ。でも今度はタチアーナが振るの。当然よね。ざまあみろだわ」なんて、上品なお姿に似つかわしくなく辛辣なことをおっしゃっていられる。そういうおばさまも、過去にあこがれの人に冷たくあしらわれたりしたのかしら‥‥?

でも、ほんとにオネーギンがそんなにしょうもない男なら、その引き立て役のレンスキーってやっぱりかわいそすぎだわ ‥‥なんてこんなことをだらだら書いていたら、どんどん簡潔な鑑賞記録には遠くなってしまいます!気を取り直して‥‥‥と思ったら長くなりそうなので一旦終わりにします

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