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2009年1月29日 (木)

「ミハイロフスキー劇場ガラ」2

≪第3部≫
「エスメラルダ」より(エカテリーナ・ボルチェンコ&ニコライ・コリパエフ)

1部はクラシックの演目で、2部は目玉の「ムーア人のパヴァーヌ」。
そしてそれに続く3部は「エスメラルダ」「スパルタクス」と、ちょっとストーリー性のある演目が並んでいました。

「エスメラルダ」と聞いて、実は始まるまでてっきり例のタンバリンを足で打つヴァリエーションのあるグラン・パだとばかり思っていました。それが、あれ?4人のバック付き?‥‥と思ったら、レニ国のレパートリーのボヤルチコフ演出、DVDにもなっているあの「エスメラルダ」でしたね。

一昨年からちょっと目をつけていたコリパエフ君。ことしは「眠り」と「白鳥」で王子役に大抜擢だったけれど、見る機会がありませんでした。なので、ここで見られて幸せheart01 確かにまだほんの若造で、危なっかしいところもあるけれど、それより何よりかわいいじゃないですか。ヴィジュアル大事ですよ、やっぱり。これからの強力王子要員だと思うのです。心配したほど(前回見たほど)大根じゃなく、ちゃんと演技もしていたと思うのですが。

エスメラルダ役は、20日前、演技力皆無で思いきりがっかりさせてくれちゃったボルチェンコ。どうなることかと思ったけれど、あれ?ちゃんと演技しているじゃない。できるんだ‥‥‥。あのとんでもなく生徒モードだった「白鳥」は一体何だったの?

処刑されそうになっていた詩人を偽装結婚することによって助けたエスメラルダなんだけれど、実はその詩人さんとはお友達以上の感情はなく、ホントは偶然一目ぼれしたフェブ隊長のことが忘れられない。でも、そのフェブ隊長には貴族の婚約者がいて、その婚約式に踊り子エスメラルダが悲しみをこらえて踊るのがこのシーン‥‥‥ということです。何だか「バヤデルカ」のようなお話だなあ~。

コリパエフくんは詩人さんのほう。二人で仲良く踊るんだけれど、フェブ隊長のことが気にかかるエスメラルダ。時折彼がいるということになっている下手側を悲しそうに見つめたりしているんだけど、何かその演技が、悲しいんだか踊るのが嫌なんだか、パートナーの詩人くんが嫌いなのかよくわからない。も~。。かわいいコリパエフくんをそんなに嫌がらなくても!

あとになって、持っていたけどチラッとしか見たことがなかったハビブリナ主演の「エスメラルダ」のDVDを見てみました。そうしたらこのシーン‥‥ハビちゃんが超かわいいheart01ということを抜きにしても、全然違っていました。もう、エスメラルダは好きな隊長への思いでいっぱいで倒れそうで、ショックでとても踊れないのだけれど、詩人役のクリギンさん(現バレエディレクター)は優しく彼女を励ましながら、心がここにはないエスメラルダと表面楽しげに踊るの。ほんとは自分も決して心中穏やかじゃないはずなのに。

‥‥‥申しわけないけど(ガラということもあるし)そんなドラマはちっとも見えてきませんでした。やっぱり演技力のレベルが違ってました。悲しいほど大根な二人coldsweats01 でも、長身ペアのヴィジュアルはよかったし、コリパエフくんの踊りもまずまずだったし、4人のタンバリン隊の助けもあって、華やかで楽しかったです。

余談ですが、そのDVDは何年か前に発売されたばかりと思っていたのに、かなり前(94年)の映像だったんですね。その解説によるとハビブリナは72年生まれ。ということは現在37歳!え~!?私が99年に初めて彼女の「ジゼル」を見たときはもう27だったんだ!あまりに可憐な容姿で、てっきり当時20歳ぐらいだとばかり思っていました。一昨年までは「くるみ」のマーシャを踊っていたけれど、今は踊っているのかな?私にとって彼女がレニ国で最初に好きになったバレリーナだったので、今シーズン来日していないのがとても残念です。(余談ばっかりになってしまいましたsweat02

「スパルタクス」よりアダージョ(イリーナ・ペレン&マラト・シェミウノフ)
昨年、豪華でスペクタクルな作品として話題になったこのバレエ団の全幕の新作より。これを目玉にしたロンドン公演の
成功を収めたことが、ルジマトフの芸術監督としての最初の華々しいお仕事だったというふうに認識しています。

何となく、彼は現役時代にこういう役を踊りたかったんじゃないかな‥‥私も見たかったし!でも、ボリショイならともかく、マリインスキーにはこういう作品に取り組む雰囲気はなくて‥‥よく知らない私がこんなことを言うのもなんですが。ルジマトフという人は「海賊」のアリ、「バヤデルカ」のソロルなどの古典の素晴らしい当たり役があっても、やっぱり自分に合った(あの強烈な個性を生かした)もっと演劇的、現代的な作品にも取り組んでみたかったんじゃないかと。ダンサーと振付家、そしてバレエ団の方針など、いろんなめぐりあわせがあると思うけれど、それが一人のダンサー生命のうちで必ずしもうまくいくとは限らないんだなあ‥‥。まあ、そのおかげで彼は毎年日本に来て、こちらのファンのためにたっぷりクラシックを踊ってくれたわけですけどね。

「スパルタクス」はボリショイ版のDVDが出ていますが、見たことないので、どんなものかよくわかりません。カーク・ダグラス主演の映画は昔見たことが‥(どんだけ昔?)でも、これから反乱軍を率い出陣しなければならない、その別れの場面だということはわかります。

見たこともないようなリフト満載のアクロバティックな振付の中に、二人の愛のきらめき、別れの悲しみなどが織り込まれた、短いけれど息つく暇もなく見入ってしまう作品でした。ペレンもこういう作品ではすごく豊かな感情表現ができるんですね~。シェミウノフとの息も合っていてダイナミックで思いきりのいい踊りを見せてくれました。

「アダージェット」(ファルフ・ルジマトフ)
真っ暗な舞台。あおむけに寝た姿勢から、まず手だけが静かに空中に弧を描き‥‥やがて向こう向きに起き上がり、ゆっくりと右に左に顔を向け横顔を見せる。何度見てもこの瞬間に鳥肌がたってしまいます‥‥。今生まれたばかりの無垢なまなざしのまま、虚空を見つめ、何かを求めてさまよっている。

ところが、間もなくこの世は自由や憧ればかりではないことがわかる。後ろに回って自由にならない腕。重い苦しみから解き放たれようとあがけばあがくほど深みにはまる者のように。宿命?絶望?ねえ、何でそんなに悲しそうな顔?

でもやがて、一瞬何かが落ちたように、軽やかに飛翔し始める。後ろ向きに腕をはばたかせ、アントルシャを繰り返す姿は、必死で何かを求める姿のようにも見える。一筋の光を見、そして、その光のもとに行ったのか、または力尽きてその場に残されたのか、静かすぎるラストは多くを語ってくれない‥‥‥。

以前見た時は、ダンサー・ルジマトフの見事な筋肉の、一つ一つの流れるような動きが信じられないほど神々しく見えて、こんなに美しい人間の肉体ってあるのだろうかと思ったくらいでした。年月を経ても、相変わらずの鍛えられた素晴らしい身体だけれど、何というか、もっと昇華された何かを今回は感じました。生々しさが薄れ、見ている者も一緒に同じ光を希求して舞台上をさまよっていたような‥‥‥なんて意味不明な感動~。

だけど、踊りってやっぱりそのダンサーの精神性までも、そっくりと映し出してしまうものなのだと思います。ダンサー・ルジマトフが歩んできた道のり。その上に今があり、そしてこれからがまた続いていく。彼が日本でこの演目をまた踊ってくれて、今のありのままの姿を見せてくれた。それだけで涙が出るほどうれしかったです。

しばらくこの感動の余韻を味わっていたかったのに‥‥ガラですから、すぐ次の演目が容赦なく始まってしまいます。それも「海賊」の3幕の花園なんて、何てまあノー天気な演目!この感動のあとにあんなラブリーな、ピンク・ピンク・ピンクheart01の場面なんか見たくないよ。も~このまま帰っちゃってもいいわ!‥‥と思ったけれど、とんでもありませんでした。帰らなくてよかったよcoldsweats01

「海賊」第3幕より花園の場~第2幕より(シェスタコワ、ミリツェワほか)
花のアーチを持ったコールド、例の大きい二人と小さい二人、シェスタコワのメドーラ、ミリツェワのギュリナーラ。ラストは本当に華やかな「海賊」の一場面でした。そしてそれが終わるや、すぐに2幕のパ・ド・トロワの音楽が‥‥そのあとは前に書いたとおりの興奮の坩堝でした!

もうあれから1週間もたっているのに、まだ思い出して時々にこっとしてしまう薄気味の悪い私heart04 あとで冷静に考えたら、あれはサプライズなんていうより確信犯。だって、あのためにわざわざアリの衣装をトランクに入れて日本に来てくれたのよheart04いや、もしかして、黄金の奴隷やソロル、アルブレヒトまで全部一式持ってきてたかも?と思うほど踊る気満々じゃなかったですか?‥‥‥それに、こんなにミーハーファンのツボを激しくプッシュする人だったっけ?今まで期待を裏切って、カーテンコールなどには一切姿を見せなかったルジマトフ。それだけに、こんな爆発する姿を見られてホントに狂喜乱舞でしたね~。(すみません、思いきりバカですsweat01

今まで、冬は全幕公演と決まっていたレニ国のツアー。新しい試みの「ミハイロフスキー劇場ガラ」は、本当に新生ミハイロフスキー劇場の「今」を見せてくれたと思います。また来年もぜひこんな素敵な公演をやってほしい。そして、そして私にとっては大本命の人を見ることができ、さらに思いがけず、もう見られないと思っていたアリ姿も拝むことができました。幸せ~lovely ファン冥利に尽きる舞台でした。

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2009年1月27日 (火)

「ミハイロフスキー劇場ガラ」1

前日のコルプのガラとのセット券を買って、もうかなり前から楽しみにしていた「ミハイロフスキー劇場ガラ」。今までレニングラード国立バレエでは、冬は全幕中心で、こういったことはやっていなかったと思います。それも、オーケストラが付くとはいえ、夏の「クラシックハイライト」は8,000円程度だと思ったから、最初はずいぶん高いな‥‥と。

でも、全然違いました。何だろう‥‥芸術監督の思いが着々と形になってきているというか、バレエ団全体がレベルアップしているのを感じた公演でした。レベルアップといっても‥‥情けない「白鳥の湖」を見せられた恨みはまだあるけど(笑)、特に今までのおなじみのソリストに限ってはとてもよくなっていると思いました。最後のサプライズに喜びすぎて、浮かれたまま数日たってしまったので、もう思い出せる範囲だけの覚書‥‥。

≪第1部≫
「眠りの森の美女」よりローズアダージョ(イリーナ・コシェレワ)
「眠り」1幕の、16歳のオーロラが4人の王子と踊る場面。本来は4人の王子からバラを1本1本受け取っていくのだけれど、ここではバラはなし。コシェレワは1回1回王子の手をはなしてアン・オーのバランスはしなかったけれど、ゆるぎないアティチュードを保っていました。踊りは丁寧で、見るたびに輝きを増している感じがします。

「人形の精」より(サビーナ・ヤパーロワ&ヴャチェスラフ・チュチューキン、マクシム・ポドショーノフ)
男性二人のピエロと、女の子のお人形の3人の踊り。男性は黒い水泳帽みたいなのをかぶって白塗りのピエロの化粧をしているので顔がわからず。大きい方と小さい方で、小さい方があとで赤パンツのアリで登場したチュチューキンだと思うから、大きい方がポドショーノフ?どこかで見たことがある演目と思ったら、去年の「夏休みバレエ祭り」にあったものと同じですよね。あのときのは泣いたり笑ったり、すごく表情豊かだったと思うのですが、今回はあまりメリハリが感じられなかったような。それに、お子様向けでもないこの公演でこの演目?ヤパーロワのカツラと化粧もひどすぎて(まるでデビルマン!)ちょっと残念でした。

「ロミオとジュリエット」よりバルコニーの場面(イリーナ・ペレン&アンドレイ・マスロボエフ)
普通に見るのとは違って(ロミオがマントを翻して登場するのはマクミラン版?)レニ国でやっているヴィノグラードフ版というもののようです。レニ国の「ロミジュリ」は前に一度見たことがありますが、そういえばあれはあまり印象に残っていない。刷り込みもあるけれど、普通のやつのほうがいいかも。

ペレンは相変わらずの濃い化粧。素顔はきれいなのに、なぜ~?いつも同じ、鼻にクリップつっけたシンクロ選手のような顔が苦手。やっぱりもう少し表情が豊かだといいのに、と思ってしまうのですが。マスロボエフは白いロミオの衣装がよく似合っていました。あれがサマになる人はなかなかいないと思います。二人ともリフトの多い振付をよくこなしていてきれいでしたが、もうひとつ見ているほうは感情の盛り上がりがわからず、のれませんでした。

「せむしの仔馬」より“海と真珠の踊り”(アンナ・クリギナ、ユリア・チーカ&アンドレイ・ヤフニューク)
「せむしの仔馬」というお話は知っていても、バレエは見たことがなくて。それに、あのお話の中で「海と真珠」がどういう場面なのかよくわかりません。でも女性二人のヴァリエーションは発表会などでは定番ですよね。小学校高学年~中学生ぐらいの小柄な子が二人で踊るととてもかわいい演目です。

クリギナとチーカは身長も体型も同じくらいで、双子みたい、とまではいかなくても、かわいくてよかったです。それより印象に残ったのはヤフニューク。去年の夏ガラで見た時はちょっとイケメン?ぐらいでほとんどインパクトがなかったのですが、今回見て「これは誰?」と思ったくらい、長身で、長い手足を大きく使った踊りが素敵でした。今年は「ジゼル」と「眠り」で主役を踊っているので、期待の王子様shineなんですね。

「ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ(オクサーナ・シェスタコワ&ミハイル・シヴァコフ)
シヴァコフが登場したとき、その髪型に「え~っ?」ウエーブがかかった黒髪長髪オールバック。一瞬ルジ様かと思って焦りましたsweat01シヴァコフの「ドン・キ」は一昨年の「ルジすべ」で見ましたが、そのころと比べたら何倍もかっこよくなっているのにまたびっくり。決めるところがきちんと決まっています。ああ、身近に超カッコイイお手本もいるし、ちゃんと成長してるんだ~と思ってうれしくなってしまいました。

シヴァコフはツアー前半はいなかったそうで、ここからの参加のようです。何だかとても溌剌としたオーラを放っていて、新鮮で、見ているこちらもうれしくなりました。そして、何と輪をかけてシェスタコワがすごかったのです。前日の「海賊」も素敵だったけれど、彼女としては一定のレベル以上のものではなかったと思うのですが、これはもうプリマの意地shineというくらいの集中力で、一瞬も目が離せませんでした。

アダージョはなぜかすごく音楽が遅くて‥‥大丈夫?と思うくらい。それでもシェスタコワは音がたっぷりととれる人なんですね。余裕すら見えるけれど、実は頭の先から指先まで細かく神経がゆきわたって、見ていて緊張感がありました。決まったときにはブラボー!と叫びたくなったくらいカッコよかったです。「かっこいい」なんて表現、シェスタコワにはふさわしくないと思うのですが、もしかして私、彼女の「ドン・キ」初めて?かもしれなくて、また別の一面を見た気がしました。

ヴァリエーションはとてもキュートlovelyコーダではまた前日と同じ90度ずつ顔の向きをずらしていくフェッテをしていました。前日は一瞬何をやっているのかわからなかったけれど、この日のほうがきっちり90度とれていました。ルベランスのときのシヴァコフの笑顔ったら、やった!という感じで、いっぱいの拍手をもらってすごくうれしそうだったのが印象的。この二人の魅力を再発見しました。

レニ国のプリマといえばぺレンとシェスタコワ。ぺレンはどちらかというと、今回「ムーア人のパヴァーヌ」に入っていたり、「スパルタクス」を踊ったり、モダンというか、現代的な表現に挑戦して成功しているようですが、シェスタコワはさらにクラシックを極める方向にいっているのですね。ともにプリマは私よshineという気合が感じられ、すばらしかったです。

≪第2部≫
「ムーア人のパヴァーヌ」(ファルフ・ルジマトフ、イリーナ・ペレン、アンナ・ノボショーロワ、アンドレイ・カシャネンコ)
待っていたこの演目lovely 半年ぶりのルジマトフ。これを上演すると聞いたとき、ジュド様のDVDを見ました。うわ‥地味な演目。このときのジュドは既に50過ぎていたと思うから、これならルジ様、あと10年は踊れるわ‥‥‥。ルジマトフもかなり前からこれを踊っていたようで、日本でも93年、99年、03年と披露しているらしいけれど‥‥99年は私がバレエを見始めた年、03年はちょうど舞台鑑賞から離れていた時期だったので、見る機会はありませんでした。

93年といったら人気沸騰中の30歳。おのずと今の踊りとは違うでしょうが、そんな頃からこういう地味な演目に取り組んでいたのは、よほどお気に入り?なのでしょうか。苦悩するムーア人は合っているといえば合っている役どころ。

これはシェイクスピアの「オセロ」(オテロ)を、4人の登場人物にスポットを当てて象徴的に描いた作品だそうです。と言っても私は「オセロ」を知らないのですがcoldsweats01 オセロはムーア人(北西アフリカ系、イスラム教徒)で、ヴェネチアの貴族、軍隊の指揮官だけれど、部下の姦計にあい妻を疑い殺してしまうというお話らしいです。ここではムーア人(オセロ)とその妻(デスデモーナ)、その友人(イアーゴ)と妻(エミリア)という形で登場します。

(以下は私が見たところの勝手な解釈ですsweat02間違っているかも)
4人はバロックの舞曲にあわせて古風な踊りを踊ります。ムーア人は妻を大切にしていて、妻も幸せそう。片やもうひとつのカップルは幸せそうじゃないという感じではないけれど、あまりに幸せそうなデスデモーナをエミリアは嫉妬のまなざしで見つめているよう。

ムーア人の友人は、何か怪しい関係?と思うぐらい影のように付きまとっている感じ。うやうやしく振舞いながら腹に一物ありそうなイアーゴ。踊りは淡々と続いていきます。一見無表情に何事もなく踊っている裏で、なにかドロドロとした感情が渦巻き始めます。

ムーア人は妻に白いスカーフを贈ります。妻はそれを愛の証として、いとしげに頬をすりよせたり、いつも大切に持っている。エミリアはそれをうらやましいのか、じっと見つめ、そしていつの間にかするりと自分のものにしてしまう。その白いスカーフはやがてイアーゴの手に渡り、それを見たムーア人は妻を疑って苦しむ。そして最後は妻を殺してしまう。

というような内容だったかと。エミリアを演じたノボショーロワは誰?と思ったけれど、「ジゼル」で毎回ベルタ(ジゼルの母)を演じていたり、「白鳥の湖」でスペインを踊っていたりする人でした。演技派なんですね。ペレンも清純でありながら夫の疑惑に苦しむ妻を好演していました。余り大胆な動きをしない中での演技というのも、とても難しいと思います。

カシャネンコは背が高いのですね。もう少し粘着質の怪しさがあったらいいのに‥‥コルプが演じたらきっとすごいよね!と言った友人がいますが、それはとても恐ろしいから遠慮しておきます!(でも見たいかもsweat02

ルジマトフは苦悩の表情をさせたら超一流lovely‥そして大きな手が、長い衣装から時折見える美しいつま先が語る~!でも、何か彼にはこんな抑えた表現の作品よりも、もっとストレートにぶつかる演目がいいと思うのに。(「ラスプーチン」みたいな!)感情は高ぶっているはずなのに、踊りはひたすら淡々と進んでいくのです。

席が前のほうだったので、一番大事だと思われるラストの妻を殺すシーンが、前にいるエミリアのスカートに隠れて見えませんでした。(わざと広げて隠していたのかな?)そのせいか、ちょっと消化不良のような感じがしました。この作品を絶賛する人もいるけれど、私はあと何回か見ないと良さがわからないみたい‥‥でした。好きなダンサーが出ていなければ寝てしまうような演目(ごめんなさい!)というか、メリハリなく続くバロックのリズムが眠気を誘うんですよ~(ごめんなさい!)

~ ◆ ~ ◆ ~ ◆ ~

ここのところ遊びすぎたため、いろいろやることがたまって忙しく、なかなかまとめることができません。時間を見て少しずつ感想を書いていたのですが進まなくてsweat01あまり時間がたって忘れちゃうのも悔しいけど、長くなるのでいったんここで終わりにして、続きはまた次回にということにcoldsweats01

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2009年1月23日 (金)

「奇才コルプの世界」

2009_0122_110305imgp6717 来訪者の検索ワードの中に「鬼才コルプ」というのを見つけ、あれ?と思ったら、私が間違えてそう書いていたのにヒットしたみたいですね。すみませんsweat01「鬼才」ではなく「奇才」でした。こんな間違いを書いていたのは私だけだったでしょうね。でも「奇才」というより、「奇人コルプ」のほうが合ってるかも‥ごめん!

話は前後しますが、オーチャードホールでの2日間連続ガラの1日目です。

≪第1部≫
「白鳥」イーゴリ・コルプ

オープニングは真っ暗な舞台いっぱいに立ち込めたスモーク‥‥その中から黒のバスローブみたいなよれよれのコートを着たコルプが現れ、舞台前方まで歩み寄ると、「へへん、揃ってるな」とばかりに、私たち観客を眺めてニヤリと不敵な笑み!この日はオーケストラボックスがなかったので、かなり舞台が近くて、いきなりの「いくぜ!」の目配せにドッキリ。一瞬でコルプワールドに引き込まれてしまいました。

おもむろにコートを脱ぐと、あのチラシの写真の衣装。「白鳥」というよりは「醜いあひるの子」のような、基本はグレーのショートパンツなんだろうけど、太いサスペンダーがあって、全体にグレーや白のびらびらが付いている衣装‥‥かなりとんでもないです。街頭でコート脱いで下がこの恰好だったら、即不審者として交番に連れて行かれます。

踊りも、立てた親指をこねくり回したり、妙な腰つきだったり、もう怪しすぎ!これがどうしてサン・サーンスの「白鳥」なの~?だけど、でたらめに動いているようでも、多分おそろしく正確なんだろうな~と思わせるところがあるし、不思議と下品にはならない。「醜いあひるの子」からの脱皮を願って、いつか美しい白鳥に生まれ変わるという、そんな願いも見えるような終わり方でした。

「カジミールの色」エリサ・カリッロ・カブレラ&ミハイル・カニスキン
お二人ともシュツットガルトからベルリン歌劇場バレエ(マラーホフのいるところですよね?)への移籍組のようです。2色の淡い色のショートパンツと、女性はハーフトップのシンプルな衣装。背景はブルー、赤など、場面場面で変わっていきます。実は私コンテンポラリー苦手で、どういうところを記憶に残すかという回路が頭の中にできていないので、翌日のサプライズとともにすっかり消えうせてしまったのですが、とにかく二人の息がとても合っていて、難しいリフト満載の振り付けもよどみなく流れるようで素晴らしかったです。

「デュエット」ヴィクトリア・クテポワ&イーゴリ・コルプ
リフトの多いコンテが続きますが、こちらはアップテンポの音楽で、ちょっとストーリー性もあるような作品。クテポワさんはこんなコンテも踊るのね。長い金髪をなびかせて、スリムな長身に、まるでお人形さんのようなきれいな顔なんだなあ。最初は女のほうが男に言い寄るのだけれど相手にされず、後半はすがる男を袖にする女‥‥みたいな、かみ合わない男女の世界を描いているようでした。

「道」ナタリヤ・マツァーク
白の、短めのロマンティックチュチュみたいな衣装。ボディのところに白と薄いグレーの羽のようなものがついています。バレリーナの苦難の道‥と解説にはありましたが、何かにおびえ、殻に閉じこもり、だけど苦しくても前に進まなくてはいけない‥‥そして、後半は衣装の羽をブチッ、ブチッと引きちぎり、表の世界に羽ばたいていったのですね。踊るものの宿命というか、そんなものを感じさせてくれました。

「Something to say」オウルジャン・ボロヴァ
コンテが続いてちょっとな~と思っていたけれど、これは刺激的でした。上半身裸の男、右手首と口に黒のガムテープ。手首は何か囚われの身を意味するのかな?口のガムテープはいかにも苦しそう。風邪気味で鼻詰まってたら死にますね~smile 体型はずんぐりむっくりな人ですが、身体能力はメチャメチャ高そうです。何かに抑圧されているような激しい踊り。終盤、口のガムテープをはがして雄叫びをあげたと思ったら、腹部の赤い絵の具にドッキリ。血によって一気に解き放たれたことを意味するのでしょうか。一陣の旋風のようでした。

「レダと白鳥」草刈民代&イーゴリ・コルプ
現代作品が苦手な理由に、何だか重い題材が多いということがあります。心の闇、恐れ、閉塞感、絶望など‥‥そういうものより、やっぱり美しくて、愛があって、華やかなクラシックバレエを見たいっていうの、絶対あります。でも、これは異界のものへの憧れや、畏敬、静かな情感のある作品でした。美しい人妻レダのもとに、白鳥に姿を変えて通うゼウスの物語。

草刈さんはクラシックチュチュでなかったらまだまだいける‥?こんな作品が合っていますね。なんだかんだ言っても存在感があって美しい人です。対するコルプは白の長袖レオタードで、舞い降りた白鳥そのもののような柔らかで繊細な動き。(顔は怪しいけど)

最初、草刈さんとコルプという組み合わせが余りにもミスマッチに思えたのですが(夏のレ・シルといい、パキータといい)こういう作品はいいですね。お互いに異界の存在が、束の間寄り添って過ごす、そのはかなさというか、何というか。心に残りました。

≪第2部≫
「眠りの森の美女」ヴィクトリア・クテポワ&ヴィクトル・イシュク

コンテンポラリーを集めた第1部に続き、2部は華やかなクラシック集です。クテポワは一昨年、昨年と「ルジすべ」に出ているけれど、日本のルジファンの容赦ない視線を浴びているせいでしょうか、あれ、うまくなっている?ちゃんとアイコンタクトも取れ、キラキラ光るお姫様でした。もとから演技力はあるほうじゃないでしょうか。一昨年の王子がぶっとびそうなほどの邪悪なオディールにはびっくりだったから。でも去年は発表会みたいでちょっとがっかり。

今回は幸せあふれるお姫様できれいでした。でも‥‥シェネの脚とか曲がって膝が離れているのがやっぱり気になってしまう。細すぎるのかも。実は「ワガノワ・ヴァリエーション・レッスン1」というDVDに、バレエ学校時代のクテポワが生徒で出ています。あれを見るとマリインスキーのオスモールキナと同級生。ボルチェンコは1年後輩で、エフセーエワ、テリョーシキナが2年後輩と続いているようです。模範演技をやっているからには学生時代はかなり優等生だったのでしょうが、当時は栄養失調の子のようにガリガリで、決して美しくはありませんでした。バレリーナってどんどん磨かれるのね。まだまだ夫君の名誉のためにも技を磨いてくださいませbleah

というか、忘れていたけれど、王子役のヴィクトル・イシュクが全く精彩なかった!去年の「ルジすべ」で「ゴパック」を踊り、かわいかったのとすごかったので印象に残り、また見たいと思って楽しみにしていたイシュクが、ほんとに委縮‥‥しちゃって。というか、クテポワに完全に食われてました。ポワントで立つとクテポワのほうが背が高くなっちゃうし、サポート大変だったのか??何か出演もこの1演目だけで残念でしたcrying

「海賊」オクサーナ・シェスタコワ&オウルジャン・ボロヴァ
先ほどすごい雄たけびをあげてたボロヴァのアリ。銀色っぽい?渋いハーレムパンツ。顔はまあまあだけど、体型がね‥。でも、彼のヴァリエーションはすごかった。後ろアチチュードの形で1回転半ひねり(360°+180°で540という技らしい)の3連発。アリのヴァリエーションでこんなの見たことない!大技を見るとやっぱり興奮しますね。

シェスタコワはとても丁寧な踊り。音のとりかたが緩急自在で、それによっていろんな表情を出せる人です。コーダでは「何これ?」な珍しいフェッテを披露してくれました。通常1回転ごとに正面で首をきりますが、後半で、何と左、後、右と向きを変えているのです。あのぐるぐる回っているときに、どうやって四方を認識するのだろう?地味な技ですが、難易度は高いと思いました。

「グラン・パ・クラシック」ナタリヤ・マツァーク&ミハイル・カニスキン
私的には、コルプ以外ではこれがこの日の一番だったかもしれません。マツァークは先週の「海賊」のときにゲストダンサーとしてメドーラ役を踊った人です。キエフバレエのソリストということですが、一昨年のキエフバレエの公演プログラムを見ても、来日メンバーには入っていませんでした。今年の11月にまたキエフがやってきますが、今度は来るのかな?あの「海賊」のときはまあまあ可もなく不可もなく‥‥という感じでしたが、これを見たら、彼女が出るならぜひ見なくちゃ!というふうに認識が変わりました。

とにかくクラシックのお手本のようなこの作品を、なぜかケレン味いっぱいに、顔のきり方、目線の使い方、手先の表情の出し方など、いちいちピシっと小さく決まるところが、もうぞくぞくしちゃいました。どちらかというと「ドン・キ」とか「エスメラルダ」なんかが似合いそう。そういう意味ではメドーラなども守備範囲(実際、得意役ということでした)だったはずだけれど、あの時は日本の初舞台で少し緊張していたのかな。こういう芝居っ気たっぷりな踊り方が大好きです。

衣装は白のチュチュの上に黒のレースを重ねたスカート部、ボディは黒のベルベットで、それに黒いシースルーのハイネック長そでが付いています。この衣装も素敵で、スリムでちょっとワイルドな感じの彼女によく似合っていました。カニスキンもとてもハンサム。フワッと浮かび上がるようなノーブルなジャンプが素敵でした。

「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」エリサ・カリッロ・カブレラ&イーゴリ・コルプ
もう最高!時々ブっと吹きだしたり、笑ったりしちゃいました。これを踊りたいために前の3つのクラシックの演目を入れたのかな?と思うくらい、それぞれのパロディになっているのがよくわかりました。親切設計ね。

この演目は一昨年のフェリ引退公演で、アリシア・アマトリアンとロバート・テューズリーが踊ったのを見てすごく楽しかったので、あとでアマトリアンとジェイソン・レイリーが踊っているDVDも買いました。同じ振付ですが、それぞれ演じる人によって個性が出るもので、テューズリーはちょっとまじめ系、レイリーはおとぼけ系、そしてコルプはツッコミ系でした。(?)思い通りに動いてくれないパートナーにいらついて、表面的には優雅な王子様を装いながら、実はすごく性格悪い奴なんだな、これが!また違った面白キャラが楽しめました。

カブレラも面白かった。途中「ぎゃ~っ」とすごい叫び声。ノリノリでした。ほんとにこの演目は実力のある人でないとできませんね。舞台のチュチュを着た牛も、ちょうど今年の丑年にちなんでいて(のはずないかcoldsweats01)面白かったです。

≪第3部≫
「シーソーゲーム~ブランコのふたり~」ユリア・マハリナ&イーゴリコルプ

このガラのために特別につくられた新作だそうです。もちろん世界初演。振付は最初の「白鳥」と同じパクリタル。何か忘れているところもあるけれど、印象深い作品でした。

舞台は真ん中に見えない壁があって、二つの部屋を表しています。部屋にはそれぞれスクリーンに映し出されたステンドグラスのような窓。部屋の明かりが消えるとこの窓も消えます。それぞれの部屋には違う方向をむいたベッド、そして電話。今どきコードが付いた電話とか、ひもを引っ張って消す明かりってあるかなあ?という突っ込みはやめましょうhappy01

上手の部屋にはマハリナ。ベッドに腰をかけ電話をかけているけれど、誰も出ない電話を相手に絶望しているような様子。下手の部屋はコルプ。白シャツにサスペンダー。腕カバー(こんなのも今どき?だよね)をしているのは仕事に追われる日常を表しているのか?お互いに孤独な部屋で電話だけが外界とつながっているような生活。

あるとき男の部屋の電話が鳴る。そしてふたつの部屋がつながって、男は女の部屋を訪れる。ほどなく男はトランクに荷物(腕カバー)を入れて、女の部屋に越してくる。二人の短い生活が始まる。‥‥ってそんな感じだったかな。ストンとした部屋着姿のマハリナが、ちょっと精神病っぽいというか、目が座っててコワかった。現代の、都会の密室の閉塞した雰囲気が伝わってきます。

しばらくはこの不思議な女との甘い生活が続きますが、やがて電話のベルが鳴る。受ける男、そしてそこからだんだん心がすれ違っていきます。それを修正しようとする男を女は声を上げて嘲笑う。そして突然男の心が壊れ‥‥男はまた荷物をまとめて部屋を出て行く。最後はまた必死で電話に向かう女。男の部屋のベルは鳴り続けるけれど、もう電話に出る者はいない。‥‥‥そんな感じだったでしょうか。

舞踊というよりは演劇ですね。せつないすれ違いと、孤独感。結局最後はまた孤独のまま終わるという、現代の若者を象徴したような作品でした。よかったけれど、何か暗~い、と思っていたら、フィナーレ。バックには大きな月。出演者の皆さんが皆それぞれ黒のパーティドレスで、真ん中の梯子の周りに集まっています。そして、コルプも現れタンゴを踊る。みんなも踊る。やっぱり皆さん、さすがにスタイル良くてカッコいいわ。

そして最後はコルプが月に向かって梯子に登って行く‥と思ったら、そのあと天高く飛んでいきました。もうコルプらしくて最高!やっぱりあなたは大天使コルプ様だったのねheart04

今回はあの目のまわり真っ黒の泥棒メイクも薄くなって、とてもスタイリッシュな姿を見せてくれました。出演者のレベルも高く、満足できる公演でした。ただ‥‥カーテンコールで「ルジすべ」と同じような花束抱えたご婦人方が次々と現れて、ちょっと目が点。何か同じような方々だったような気もするのですが、早くもコルプに鞍替え?そんな~。コルプもとっても素敵だったけれど、私はそんなに簡単に鞍替えできそうにありませんけどね。

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2009年1月22日 (木)

至福の2日間

きゃ~~~っ!もう、突然の出来事で場内騒然。21日の「ミハイロフスキー劇場ガラ」のフィナーレでのことです。何と、最後の演目の「海賊」の花園の場面のあとに、あの2幕のパ・ド・トロワの音楽が流れてきたのです。え~?

プロームのアリ、そしてメドーラは誰??ちょっとミリツェワに似た感じだけれど、ミリツェワはその前にギュリナーラとして踊っていたし‥‥もう少し大柄。あとで配役表を見たら、「海賊」でオダリスクを踊っていたエリマコワでした。アダージョはパ・ド・ドゥ形式になっています。そしてヴァリエーション‥‥あれ?赤パンツのアリ。そしてまた違うもう一人のアリ‥‥一体どうなっているの?メドーラのヴァリエーションには何と花園に続いてシェスタコワが現れました。

何か、こんなこと他にもあったな~。昨年の中越沖地震チャリティガラでも、一人のキトリにかわるがわる何人ものバジル。それから、私はDVDでしか知らないけれど「アナニアシヴィリと世界の仲間たち2」の超豪華なフィナーレ。やっぱり「ドン・キ」で、最後ファジェーチェフのほかにゼレンスキーだのニコラ・ル・リッシュだのの豪華出演者が全員集合で飛んだり回ったりで大盛り上がり。ああ、こんなすごいガラ、見てみたかったな~と映像を見ながらいつも思っていました。

それに匹敵?とまではいかないけれど、同じような趣向です。3人のアリはプロームのほかはよく知らない若手。でもみんなチョイイケメン。3人のメドーラはシェスタコワ、エリマコワ、そしてボルチェンコ。スターばっかりというわけではなかったけれど、面白いわ~と思っていたら‥‥何と、コーダの途中から突然、4人目のアリが現れたのです。それが何とsign03

芸監~っ!!

思わず「きゃぁぁぁ~~~!」と叫んでしまいました。この歳になっても昔取った杵柄、咄嗟にこんな黄色い声が出たなんてね~heart04

もうそのあとはよくわからなくなっちゃったぐらい興奮してしまいました。マネージュから始まってフィニッシュを決めるまでの短い間、もう息が止まるかと思った!最後、3人のメドーラがフェッテ合戦をした後、青パンツ組の(たぶん赤パンツの小柄なアリはいなかった?と思うのですが)3人のアリが揃ってピルエットをぐるぐるぐるぐる回ってくれました。こんな演出誰が考えたの?!もう、最高!

本当に2年ぶりに見たルジマトフのアリ姿。涙が出るほどうれしかったheart04若くてイケメンのアリたちの中に入っても、後光が射しているような強烈な存在感は変わらない。そして、やっぱり立っているだけでもため息の出るような美しさ。あれがまた見られたなんて、生きててよかった~!

‥‥というわけで、もうきょうも1日ボーっとしちゃって、大変でした。その前日の「奇才コルプの世界」のこともあるのに、何だかあの大サービスのサプライズで全部吹っ飛んでしまったみたいです。やっぱり見たからには一言でも感想を残しておきたいけれど、一つ一つ思い出せるかどうか‥‥‥。でも、コルプは期待どおり怪気炎をあげ、とってもスタイリッシュでかっこよく、面白い舞台でした。

そして主婦にとってはかなり厳しい平日夜2日連続公演の2日目、「ミハイロフスキー劇場ガラ」のほうは、レニ国の夏の地方回りと同じようなものと考えていたらとんでもなかったです。皆さんちゃんとレベルアップしていて質の高いよい公演でした。ホントに至福の2日間~lovelyまたのちほど覚えていたら詳細を‥‥‥思い出せるかな?

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2009年1月20日 (火)

スターダンサーズバレエ団「シンデレラ」(1月18日)

去年の初演の時にとても見たかったのだけれど、タイミング悪くて見られず、ことしもバレエのチケット、ほかにもたくさん買っているのでもうこれ以上ダメ~と思っていたけれど、ちょっと無理して行ってしまいました。それが、大正解。着ぐるみが出てきたりするのでお子様向けかな?と思っていましたが、違いましたね。細かいところまで手を抜かない演出は演劇的で楽しく、上質のおとぎ話に仕上がっていて、久しぶりに心から感動することができました。こういうこともあるから、バレエってやめられないのかもhappy01 2009_0120_083418imgp6712

会場は残念なことに、左右、後方にかなり空席がありました。こんなに素敵な舞台なのに。やっぱり時期が悪いのかなあ?

主演はシンデレラが林ゆりえ、王子が福原大介。不思議なことにチラシには出演者名が書いてありません。と、思ったらプログラムの表紙裏に「バレエにおいては作品がスターであり、作品の輝きを力にしてダンサーは美しく輝くのです。」とありました。これがこのバレエ団のコンセプトなのかしら?でも、やっぱり世間一般ではまず「誰が出るの?」になると思うんですが。

林さんは今年まだ20歳。何でこの人が??というのはあるかもしれません。福原さんも相当若そう。でもこの若い二人に主役を託して、出演者全員が一丸となって盛り上げていた舞台は本当に素晴らしかったです。

第1幕
幕が開くと、そこは朝の街の雑踏。物売りもいれば道を急ぐ人もいる。その中に買い物かごを下げたシンデレラがいます。広場ではお城から来た役人が舞踏会があることを知らせています。旗にはこの舞踏会で王子の花嫁候補を探すというお触書があって(たぶん)娘たちが興味深げに取り囲む中、シンデレラもその旗を眺めます。面白いなと思うのは、この市場でシンデレラがパンとカボチャを買うこと。パンはあとでやってくる物乞いのおばあさんに、カボチャは馬車にと、そんな小道具が先にさりげなく出てきているんですね。

余り遅くなると叱られるのか、シンデレラは急いで帰ろうとします。そこへ退屈なお城を抜け出してきた王子とその友人たちがやってくる。すれ違いざま、シンデレラは気づきませんが、王子はふとシンデレラを見て、振りかえります。何か、この始まりだけでわくわくしませんか?

中間の幕が開くと、シンデレラの家。遅く起きてきた姉たちが何やら喧嘩をしています。継母もやってきてひと騒動。どうやらお城の舞踏会に行く準備のようです。お父さんがやってきますが、秘書を連れ、仕事の打ち合わせの真っ最中。とても忙しそうで、女子供に関わる暇はないというような様子。お母さんは一生懸命媚びて、娘の支度をするのにお金がいるからというようなことを言い、お父さんはそんなお母さんも見ずに、無関心そうに鞄からお金を出して与えるだけ。これがまた面白くて、お金の袋は二人のお姉さんとお母さんの分を先に出して、それから「あ、そうだった」というように、シンデレラの分もお母さんに渡します。もちろんお母さんはシンデレラにはそれを渡しません。

普通シンデレラでは、やりたい放題の継母と姉たちにほとほと参っているというような、気弱な父親像なのですが、この版では違うのです。今でもいそうな、家族を顧みない仕事人間のお父さんなのです。継母も、放っておかれて何だか淋しそうにするところをみると、夫に振り向いてもらえない腹いせに継子いじめをしている、ちょっとかわいそうなお母さん像が見えてきます。

お母さんとお姉さんたちはさっそく宝石と頭飾りを買って得意顔。続いて洋服屋がたくさんのドレスを持ってやってきます。これがまたデパートの外商マンと店員さんみたいで面白い。みんなそれぞれ好きなドレスを着てみます。最後に、洋服屋はシンデレラにもドレスをすすめますが、シンデレラは遠慮気味。でも、着てみるとピンクのかわいいドレスがとてもよく似合うのです。いじわるな目で見るお姉さんたち。買ってもらえるはずがないと思っていたら、そこへお父さんがやってきて、揉み手ですりよる洋服屋に、いくらだ?と言ってお金を渡すお父さん。喜ぶシンデレラ。

ところが、お姉さんたちが黙っているはずがありません。わざとでないふりをしてシンデレラに近づくと、ドレスを引っ張ってビリッ。あらごめんなさいといってまたビリッ。とうとうドレスは真っ二つ。それをお母さんが暖炉に放り込んでしまいます。まあ、何てかわいそうなの?!思わずもらい泣きしちゃったわ。

シンデレラが泣いているところに小さなネズミがやってきます。このネズミがお友達なのか、シンデレラはチーズをちぎって与えています。お姉さんたちが戻ってきて、ネズミが現れると、お母さんは怖がって椅子の上に逃げ、お姉さんはヒステリックに箒でネズミを叩こうとします。ネズミたちを必死で守るシンデレラ。

このあとか前かちょっと記憶が定かでないんだけれど、ぼろぼろの服のおばあさんが入ってきます。お姉さんたちは気味悪がって追い出そうとしますが、シンデレラはパンを差し出す、というのはお約束通り。

何か、一つ一つの動きがちゃんとお話になっていて、プロコフィエフの音楽とあいまって、まるでセリフが聞こえてくるよう。動作もバレエのマイムというよりは演劇に近い感じです。それにあっちでもこっちでも止まることなく小芝居をやっているから、どこを見ていいのかわからないくらい面白くて、見入ってしまいました。

なんだかんだ言いながらお姉さんたちは出かけて行きます。残されたシンデレラはお城にも行けず、寂しそう。そこへ先ほどの老婆が。シンデレラが気がつくと、老婆は美しい仙女に姿を変え、仙女が魔法をかけると、そこは不思議の国に変わっていきました。

このあとは春、夏、秋、冬の妖精が踊るところですが、四季の精は出てきません。仙女の連れてきたコールドバレエの妖精たちと、それから先ほどの小さなネズミが大きくなって現れます。仙女と妖精の衣装はクラシックチュチュではなく、白っぽいオールインワンのレオタードにオーガンジーのひらひらがついただけのシンプルなもの。ネズミはかわいい着ぐるみです。音楽は、秋はなかったようだけれど、春から始まって、夏、冬の曲でネズミのカップルがシンデレラにダンスを教えてあげるのです。なんだかとってもメルヘンチックだわ~。

それまでずっと踊りらしい踊りはなかったのだけれど、ここの妖精たちのコールドはとてもきれいでした。難しい振り付けをよくこなしていました。それまではごくシンプルな踊りでお話をつなげてきているので、ここでの妖精たちの踊りは羽が生えているように軽くて、キラキラと光って人間離れして見えました。人間と妖精、踊りも当然違っていなくては。そういう対比が見事でした。

仙女の魔法で、美しいチュチュ姿になったシンデレラ。ネズミたちがカボチャを持ってきて、それが立派な馬車に変わります。このネズミたちも人間の姿になり、大喜びでシンデレラと一緒に舞踏会に出かけて行きました。ここまで、一瞬も目が離せない展開で面白かったです。

第2幕
お城では王子の友達が集まって踊っています。男性たちの踊りがダイナミック。続いてお客の令嬢やその父母たちが入ってきてみんなで踊ります。でも当の王子様はどこへ行ったのでしょう?大臣は新田知洋さん。昔見ていた頃とは団員もほとんど入れ替わっているので、知っている人はほとんどいないのですが、この人は見覚えあります。ベテランらしい味を出していてうれしくなってしまいました。それからネズミの着ぐるみの中に入っていたのがこの新田さんと、やっぱりベテランの小平さんでしたね。

大臣が気をもんでいるところへ、またとんでもない下品な成金の母子が現れて、踊りまくって大混乱。この辺の踊りの相手をする王子の友人や、大臣の迷惑そうな様子が面白い。その後やっと王子登場。王子を交え、改めて優雅な踊りが繰り広げられます。大臣がこの中にお気に入りの娘はいましたか?というのに、王子は首を振ります。終始にこやかに振る舞いながら、全然興味なさそうな王子様。

王子役の福原さんは、ルックスはまずまずのイケメン風、というか若々しくてかわいいです。もうちょっとスタイルが良ければいいんだけどな~。それでも日本のダンサーの中ではよいほうかもしれません。踊りはけっこういいのですが、つま先がもうひとつきれいじゃない。やっぱり王子様の条件は美しく伸びたつま先ですからね~。(と、私が勝手に決める)でも、この人の若さを考えると、これから身体も絞られるだろうし、まだまだよくなっていくのだと思います。

一方、林さんは、プログラムの写真はかわいらしいのに、メイクした顔は二十歳というにはちょっと老けて見えてしまっています。ばっちり発表会メイクではなく、もう少しナチュラルに見えるように工夫するといいのかなあ。スタイルもずば抜けていいというわけではないけれど、小柄な割にはしっかりとした存在感もあり、まだまだ可能性が見える人ではあります。

何より、林さんも福原さんもこの若さで演技力があるのには感心します。次の、シンデレラの入ってくるシーンでも、シンデレラを一目見た王子は、あれ?この人はどこかで見たことが‥‥という自然な演技。一目で好きになってしまい、シンデレラの小さな仕草まで見逃すまいとする王子。恥じらいながらもどんどん王子に惹かれていくシンデレラの気持ちなど、離れた客席までビンビン伝わってきます。つい先日の悪夢のような演技力皆無のオデットとはえらい違い!

見つめあう二人には、もう周りは見えない‥‥というのが普通の「シンデレラ」なんだろうけれど、ここではお姉さんやお母さんがうるさく付きまといます。「この子、どこかで見たことがあるけれど、まさかね」みたいに、いぶかしげな表情で顔をのぞきこみます。そのたびに隠れようとするシンデレラ。追いかける王子。周りの大臣や、ほかの人々の動きもそれぞれ面白くて、ここでもどこを見たらいいか忙しくて大変!

踊りながら、人間の姿になってついてきたネズミのお友達がいろいろ動き回って、周りの人を一人づつ遠ざけて、王子とシンデレラが二人きりになれるように仕向けます。そして誰もいなくなったところで踊られるパ・ド・ドゥ。登場人物二人の気持ちの高まりとともに、ここが一番盛り上がる場面ですね~。階段のところにちょこんと座って、うっとりしながら見守っている(ネズミの)二人がとてもかわいい。

何というのだろう、踊りの技術云々よりも、ダンサーの体型がどうというよりも、見る者がこの物語そのものに入ってしまって、純粋にシンデレラと王子との語らいの場面として見入ってしまうようなパ・ド・ドゥ。実際のダンサーも物語の実年齢に近い初々しさで、技術的にはたどたどしくても、見るほうはそのまんま全部受け入れてしまうような。不思議ですね。それでも、若いのに難しいリフトもよくこなしているし、二人の気持ちがよく伝わってくるし、うっとりするような素敵なパ・ド・ドゥでした。

ところが‥‥踊りに夢中になっているうちに時間を忘れてしまったシンデレラ。時計が12時を打ち始め、突然、妖精たちも、お城の人たちも、何か機械じかけの人形になったようにカクカクした踊りを始めます。大変だわ!あわてて逃げ帰るシンデレラとネズミのお友達。突然のことに理由がわからず、追いかける王子。あとに残ったのがガラスの靴。

王子はすぐにガラスの靴を拾い上げ、持ち主を探しに走ります。ここで中間の幕が閉まり、幕前での演技になるのですが、このときに結構リアルな馬のつくりものが出てきて、それに乗って王子と従者たちが走ります。でも馬は動かず、背景の家がゆっくり動いていくだけ。ここがちょっとなあ‥‥実はかなり笑いをこらえてしまったcoldsweats01 馬が大きくてリアルな分、もっとスピード感がないとおかしいので、バックに流れる風景(雲とか、木々とか)を映し出すとかすればいいのに。宝塚の「ベルサイユのばら」で、馬車を走らせるフェルゼン(だったっけ?)ぐらいスピード感があれば。(いや、あれも笑えたけど)

一方、シンデレラの家ではまたお姉さんたちの喧嘩、仕事のことしか頭にない忙しそうな父親と秘書、夫にとりついても相手にされない淋しそうな継母など、またいつもと変わらぬ日常です。ところがシンデレラの中では変化がありました。ガラスの靴の片方がまだ消えずに残っていたのです。それを大事そうに見つめるシンデレラ。「何?それは!」とまたうるさい姉たち。

そこへ王子たち一行が到着。ここでお尋ね者みたいにシンデレラの似顔絵を書いた旗を従者が持っているのだけれど、ふとそれを見て、誰かに似ている?と思う父。お姉さんたちは無理やり靴を奪って履こうとしますが、二人で取り合ううちに靴が落ちて真っ二つに!何てことを!ああ、これであの人への手がかりはなくなってしまったと嘆く王子。

娘たちが王子様のものを壊してしまい、大変なことになったとあわてて駆け寄る父親。どうしよう!どんな罰を受けるのかと真っ青の姉たち。ひたすら謝る父親。そんな家族の様子を見て、シンデレラがおずおずと自分の持っていた靴を差し出します。それも私がそのお姫さまよ、というのではなく、お願い、お姉さんたちを責めないで、という感じで。

ところが、もう片方の靴を見て驚いたのは王子です。よく見ればこの召使のような女の子が、まさに探していたその人だったのです。さっきまで目の前にいたのに、どうしてわからなかったのだろう!シンデレラは王子に再び会えたうれしさというよりは、こんなに汚い格好をしているのを見られてしまったというばつの悪さが先にたち、思わず顔をそむけてしまう。シンデレラはきっと、大好きな王子が目の前に来てくれても、自分の境遇が恥ずかしくて名乗り出ようとは思わなかったのでしょう。もう一生の思い出としてとっておいてもいいくらいに思っていたのかも。それなのに家族のピンチを見て、咄嗟に靴を差し出した‥‥‥。

そしてもっと驚いたのは、今まで実の娘がいじめられていても気づきもしなかった父親。仕事にかまけて、妻も淋しい思いをしていたに違いない。自分の家族を改めて大切に思った瞬間だったかもしれません。そして、妹をいじめていたことを心から反省した姉たち。王子との再会とともに、まず家族がその絆を取り戻す場面を作り上げていて、それがとても自然な展開で泣けました。

そこへ仙女と妖精たちが現れ、また違う世界に誘います。仙女はもう一度魔法をかけてシンデレラの服をきれいなドレスに変えようとしますが、王子はそれを遮って、このままでいいからというのです。やっと巡り合えた人。それが汚い娘でも、もう魔法はいらない。そんな心やさしい王子像がとても素敵で感動しました。

最後はまたお城の階段のところで、星空をバックに普段着のまま、でも最高に幸せそうに踊るシンデレラと王子。見守るネズミのお友達‥‥‥素敵~shine涙線決壊です~shine。めでたしめでたし。

~◆~◆~◆~
全く物語も何もない金返せものの公演や、好きなダンサーがいなくなって淋しい公演などをたてつづけに見てしまって、ちょっと嫌になっていましたが、こんな心温まる感動作品もあったのですね。日本のバレエ団をばかにする人がいますが、そういう人は一度これを見てほしい。一体どういうところを見てよい公演というのか。ダンサーの技術だろうか?それとも見た目の華やかさ?

それは私もバレエは西洋人のものだと思うし、あちらの小顔でスタイル抜群の人たちに(選ばれた一部の人は別として)普通の日本人がかなうはずもないと思っています。でも、本当に感動の残るものはやっぱりある。東○や新○のように外国の振付家作品を上演するのもいいけれど、こんな全くのオリジナルで素晴らしい作品をつくれる人もいるのです。

演出・振付の鈴木稔さんは、壮大なファンタジー「バレエ・ドラゴンクエスト」をつくった人。ことしのNHKニューイヤー・オペラコンサートでもバレエの振り付けをしていました。あれはオペラの雰囲気をこわさないように、ずいぶん地味な振り付けでしたが、何かコンセプトは同じような気がします。この「シンデレラ」も、全体のストーリー性をそこなわないように、ごくシンプルな踊りで演劇的につなげて、見せ場を妖精のコールドと主役二人のパ・ド・ドゥに絞って、そこの部分を思いきり華麗に盛り上げています。

また主役だけでなく、脇を固める人々も、どの役もはまっていて素敵でした。こんな素晴らしい作品なのに、去年見なかったなんて本当にもったいなかった。今年はまた8月21~23に日生劇場でファミリー向けの公演として上演されるそうです。私も今度は子供連れ(もう高校生ですが)で絶対見ようと思います。ぜひお勧めします。よかったですよ~!

出口のところにはバレエ団代表の小山久美さんがいらっしゃいました。かつて毎公演、太刀川瑠璃子さんがお客様に挨拶をされていたのと同じ場所です。一言、とても感動しましたとお伝えしたかったけれど、連れがいたのでやめました。大変だと思うけれど、こんな素敵な作品を上演することができるのだから、日本のバレエの発展のために、これからも頑張ってほしいと思います。

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2009年1月19日 (月)

レニングラード国立バレエ「海賊」(15日)

見た後は、ちょっと落ち込んだけれど、改めて気を取り直して。

やっぱり、なんだかんだ言ってもルジマトフはまず脚がきれいでスタイル抜群で、ウエーブのかかった長髪もまるで少女マンガの世界。容貌もとてもエキゾチックで、見ているだけでうっとりするようなheart04ダンサーだったんだなあと思います。それと、どんな豪華な衣装よりも裸の上半身が最高に美しい。一つ一つのポーズも美しいけれど、その連続した動きも、コマ送りのどのコマをとっても絵になるようなそんな人でした。その上に語る背中、語る手、せつなげな表情lovely こういう人は、きっとこれからも出てこないと思います。(いきなりの大賛辞!「改めて」‥なんていっても、ちっとも改まっていませんねcoldsweats01

それでも最後に見た43歳の「海賊」は、やはりちょっと重くてしんどそうだった。そう、踊りを言えば若いコルプのほうが何倍も軽々とすごいことをやっているし、とても個性的ですばらしいダンサーなのだけれど、いかんせん容貌が違うのよsweat02一刀両断にこんなこと書くとばかにされそうだけれど、ミーハーにはヴィジュアルがとっても大事。

だから逆に、そんなミーハー心に惑わされずに見ることができたレニ国の「海賊」。それは何だか初めて見るような感じでした。

第1幕
プロローグの難破船。マストがボキッと折れるのは、おもちゃっぽいけど割と好き。近景になって小舟に揺られて苦しむ3人がまた、ばかばかしいけどツボだったりするわけです。そして暗転。命からがら岸にたどり着くところも紗幕は閉まったまま。なのでコルプが登場しても拍手のタイミングがありませんでした。負傷したコンラッドとビルバントを岩の陰で休ませ、アリは仲間を呼びに走り去る。

コルプのアリは赤パンツで、二の腕と両手首に皮の鋲打ちベルトみたいなブレスレットをして、頭には鉢金‥‥じゃなくて、銀で宝石が入ったような鉢巻みたいなのをしていました。そして髪はパッツン切り口の例のミルフィーユ状態でその上に乗っています。奴隷というよりへヴィメタ兄ちゃん。目の周りはウイリーより怖かった「ジゼル」の時ほどではなかったけれど、やっぱり黒い隈あり。この外見だけでもう「うっとりheart04」の世界とはかけ離れた超怪しい奴だよなぁsweat02

メドーラ役のナタリア・マツァークは、ギリシャ娘たちの中で一人浮いているセクシーなへそ出しルックの衣装。マリインスキーがこんな衣装だった気がしますが、自前の衣装なのでしょうね。濃い目のドーランを全身に塗っているのか、浅黒くてワイルドな感じです。脚も生脚っぽく、ポワントとの境目がわからないようにポワントにもドーランを塗っていました。顔が小さく美人系で、とにかく柔らかくて脚が軽々と5時55分に上がる。体型は華奢で手足が長くてちょっとペレンみたいな感じ(最近のペレンは見ていないけど)の人です。

メドーラは岩の陰に倒れたコンラッドを助け起こし、介抱しようとするんだけれど、マラト・シェミウノフのコンラッドはとにかくデカくて、とても肩なんか貸せそうにない。一目見て、早々に惹かれあう二人。そう、このお話ってやっぱり主人公はコンラッドだったんですよね。何といっても「海賊」の首領なんだから。今まではアリばっかり見ていて、コンラッドなんてただの添えもの。正直誰でもよかった。でも、このシェミウノフのコンラッドは、首領らしく堂々としているし、ヴィジュアル的にもなかなかカッコよかったです。

もともとハンサムなんですよね。でも、あのデカさ(195センチ?)だから、役も王様とかロットバルトとか、去年なんかかわいそうに、あの若さで大僧正にドン・キホーテですよ。今年もまだ王様とロットバルトは健在だけれど、多彩なキャラクターを演じることで演技力も磨かれてきているのだと思います。踊りも舞台からはみ出しそうなほどのダイナミックさで、昔見たような恐竜(末端まで神経がいってない)くんじゃありませんでした。

もう、コルプのルックスがあのとおりなので、シェミウノフがかっこよく見えて仕方ありませんでした。そしてマツァークとの並びも美しい。二人のラブラブさ加減もまたよかったです。へ~、これって愛のお話だったわけ?「海賊」新発見。映画の予告でいえば、「スリル!サスペンス!陰謀渦巻く男たち!そしてラブロマンス!」って感じでしょうか。

お話に戻ると、娘たちは海賊どもを助けたはいいけれど、すぐに兵士たちに取り囲まれ、奴隷商人のランケデムに捕まってしまいます。

やっと紗幕が開いて、奴隷市場。買い手の男たちが取り囲む中、アルジェリアやパレスチナから連れてこられた女たちが踊っています。何か抑圧されたようなセクシーな踊りが終わると一人ずつ買われていく。そして、先ほど捕えられたギュリナーラがランケデムと踊る「奴隷のパ・ド・ドゥ」が1幕の見せ場。二人とも実力のあるソリストなので、見ごたえがありました。

プロームのランケデムは前も見ているけれど、少年っぽくてかわいかった2年前に比べ、かなり手慣れた感じやチョイ悪の芝居のうまさも加わって、コミカルな奴隷商人にぴったりとはまっていました。(あまりはまってほしくなかったんだけどなsweat02)また踊りも着地が柔らかで、ばねがあって、なかなかよかったです。あ~髪が薄くなりかけた時点で王子様路線をはずれたかな‥‥?いや、とても楽しいランケデムでした。

ギュリナーラはヤパーロワ。小柄ながらパキッとした踊りは見ていて気持ちがいい。日本人好みの踊りというか、流れないきっちりさ加減がすごく好感が持てますね。ただ、容姿は姫じゃなくて、ちゃきちゃきのお姉ちゃんというところかな。売られるのを嫌がる演技もあるんだけれど、どうしても出てしまう微笑み。まあ、かわいいから許すわ。

そしてメドーラが登場。ここでパシャとマントで身を隠した男とがメドーラを競り合いますが、タイミングを見て正体を現すとそれはコンラッド。たちまち市場は騒然。捕まった手下たちや女たちを取り返しにきたのです。ここで、ランケデムの落としたお金の袋などを漁っていたビルバントが捕まってしまいます。よくわからないけど、すぐに釈放。ここで仲間を裏切ることを条件に釈放されたのかな?

第2幕
幕が開くとメドーラが寝台の上で眠っている。(気を失っている?)そこにコンラッド。あれ?こんなだったかな?よほどボーっとしていたのか、前に見た時のことは全然覚えてないんです。すでに幸せいっぱいの二人。そこへ海賊たちがやってきて、奪ってきた女達と饗宴の踊りを繰り広げます。この踊りが海賊らしく勇壮で、濃くて楽しかった。ビルバントのカシャネンコもキャラクター性がよく出ていてよかったです。そして一番の盛り上がりのパ・ド・トロワ。

コルプのアリはデカいシェミウノフと並ぶと、けっこう華奢に見えてしまいます。それもあって、何かかなり抑え気味で、とても真面目に奴隷を演じているみたい。それでも時折、メドーラとコンラッドが踊るところで、猫が身体を伏せて獲物を狙うみたいな恰好をしていて、超怪しい目つきをしていたのは受けてしまったけれど。何か、あの陶酔感いっぱいのパ・ド・トロワが、普通に首領とその恋人、そしてそれを守護する奴隷という構図になっていたのに、ちょっと愕然としました。

やっぱりコルプは奴隷キャラじゃないですね。物語を破綻させないように、しっかり抑え込んで奴隷らしい演技をしていましたが、コルプとしては個性を発揮できるような役じゃないのかもしれません。私はあの俺様キャラでどんな変わったアリになるんだろう?とわくわくしていましたが、普通でした。実はひそかにコルプのアリが「レニ国ジャック」したっていいぐらいに(?)思っていたのです。でも、やっぱり芸監の手前もあるし、そんなことできなかったんでしょうねcoldsweats01 一昨年のキエフバレエの「ライモンダ」で、コルプのアブデラフマンがその濃い魅力でいっぺんにキエフバレエの舞台と観客の心をかっさらっていった爽快さとは、また違っていました。

踊りはそれなりに素敵でした。コルプのソロももちろんしなやかで美しかったし、マツァークも十分に踊れる人です。去年のコレゴワよりずっと表現力、演技力があるし。わざわざゲストで呼んでくる人かどうかはわかりませんけどね。マツァークの衣装は膝までの白いスカートと、胸の所が銀色で一瞬セパレーツに見えるけど、実は胴の部分が肌色になっている衣装。。。この場面は普通クラシックチュチュで踊られますよね。ちょっと珍しかったです。

シェミウノフが本当にダイナミックで舞台がとっても狭く見えます。よく考えるとこの人の踊りはロットバルトぐらいしか見ていません。あとは夏の親子ガラで「眠り」?か何かを見ているけれど、やはり大柄なので重たく見えてしまっていました。今回は気持ちいいほどのびのびとして、着地のほかは(?)とてもよかったです。

このあとの仲間割れから寝室の場面、シェミウノフもマツァークも、演技はよかったです。ほんとにラブラブで、もう首領ということも忘れて骨抜きになっているコンラッドがかわいかった。ただ、いつも不思議に思うのは、そのあとの眠り薬を振りかけた花束のところ。大体あんな怪しい奴が持ってきた花を、何で気安く受け取るかね~?危機管理能力ゼロのメドーラ。

それと、ABTではマントで姿を隠して犯行に及ぶ(それでもバレバレなのだが)から、メドーラが抵抗して賊に切りつけたときの傷を、あとでビルバントの腕にみつけて「あっ!その傷は!?」ということになるけれど、あれじゃあ最初からわかっているんだからあの傷の意味もないわけで。突っ込みたいところはいっぱいあるけれど、もともとハチャメチャなお話だから、いちいち突っ込んでいてはだめですね。

3幕
海賊たちの仲間割れに乗じて女たちを取り返したランケデムは、パシャの宮殿にまた女たちを売りにやってきます。何てしたたかな奴。そこには先に買われたギュリナーラがはべっています。それで、あれ?と思ったのですが、ABTやマリインスキーではメドーラとギュリナーラが再会した後、花園の場面になって(ABTではパシャの夢の中という設定)そのあとで修行僧に化けたコンラッドたちがやってくると思ったのだけれど、このレニ国版では最初に修行僧が現れるのです。こんなだったっけ?

オダリスクの3人はコシェレワ、エリマコワ、クテポワ。コシェレワは相変わらず好感度抜群で、すごく洗練された感じがします。それから、コールドの中でお花のアーチ(というのか?)を持っていない4人がいて、左側が大柄な二人、右側が小柄な二人の2ペアになっていて、それぞれ個性的で面白かった。小柄な二人がやけにかわいかったし。レニ国の花園は、マリインスキーみたいにカツラじゃないから自然で好きです。

この場面はさすがにマツァークもクラシックチュチュでした。やはりそれなりに華はある人です。ヤパーロワはここでもきりっと場が引き締まる感じがして、よかったです。

花園の踊りが終わって、コンラッドたちが正体を現し、最後は船を奪ってメドーラとギュリナーラを連れてまた新たな冒険の旅に出るというところで終わります。そうか、こういうお話だったのか。やっぱり超個性派のコルプをもってしても、この物語は「フツー」でした。(当たり前ですよね‥‥)

思うに、今までの「海賊」が普通じゃなかったのです。それはたった一人しか見ていないというひどいファン目線というのもあったけれど、全く同じ「海賊」が、こんなにも感じ方が違うのかと思い、それなりにいい舞台ではあったけれど落ち込みました。私の友人でも、もう「海賊」は封印という人がいましたから、私もあの妄想渦巻くイメージのまま封印しておけばよかったのかもしれません。

ABTの「海賊」は別にいいんですよ。あれはディズニーランドか何かのアトラクションみたいにスターダンサーが次々に現れてぐいぐい引っ張ってくれるものだから。カレーニョのアリも、コレーラのアリも好みじゃないけど別にいいんです。だけどこのレニ国の「海賊」は、やっぱりあの「うっとりlovely」がすべてを支配する「海賊」だったなあと。

コルプごめん!でも君のせいじゃないから。もっとはっちゃけている奴だと思っていたけれどそうじゃないんだよね。外見と違って、バランスと立場をよくわきまえた良識人だったのです。奴隷という役柄上、抑えた演技でうまく脇に回っていたこの演目じゃなくて、今週の「奇才」の世界で思う存分やりまくってください。期待してます!

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2009年1月17日 (土)

また、たわごと。

何か、15日に「海賊」を見て、すぐに感想書かなくちゃ忘れちゃうのに、ちょっとショックで書けなかった‥‥。「海賊」は深く考えなくても楽しめる演目だから気が楽noteなんて思っていたけれど、どっこいこれが一番の曲者。見てしまったら何と、今までになくがっくり来てしまいました。ルジマトフのいないレニ国の「海賊」なんて~cryingもう、そんな話自分でもうんざりだったのだけれど‥‥ダメージが大きかったというか。こんなに違うものだろうか?もう私はバレエなんて見なくてもいいかも‥‥なんていうくらい、また去年の「バヤデルカ」のときみたいに落ち込んでしまいました。はい、バカです。

まず、会場に行ってみると、開演10分前というのに客席ガラガラ。お客さんはどこへ?そういえば来る途中も普通はエスカレーターあたりからぞろぞろと人が連なって行くのに、人影もまばら。時間間違えたかな??いや、そうではありませんでした。前半分は7割方でしたが、後ろは半分も埋まっていないうちに会場が暗くなったと思います。これは一体何が起こっているんだろう?それだけですごく淋しく、不安になりました。

それと、やっぱりルジマトフのアリの存在の大きさに愕然としました。もうこの作品も2年前で封印して、踊らないという人のことをいまさら言っても仕方ありませんし、まだこんなことウダウダ言ってる自分もすごく嫌なんですけど、やっぱり「ジゼル」や「白鳥」はほかの人でも見られたけど、「海賊」はあの超美麗な姿が目にちらついてまともには見られませんでしたcryingごめんなさい。

アリという役は出番が少なくて、踊る場面も2幕のパ・ド・トロワだけしかないのに、ルジマトフのアリはまるでヒーローみたいに、本当にこの作品全部の雰囲気を支配していたんだなあ‥。というか、私がそれしか見ていなかったのか、今となってはよくわかりません。もう、そこにいるだけで目が釘付け、瞬きするのも惜しいくらいに見入っちゃって、あれはファンというより「愛してる」に近かったかもしれません。それで、作品を見終わった感動というよりも、もうルジマトフのアリを見たといううれしさだけで胸がいっぱいになって帰ることができたのです。我ながら恥ずかしいsweat01

この間の舞台はまあ普通というか、皆さん適材適所の配役で盛り上げてくれて楽しめたし、コルプも素晴らしかったけれど、以前のような「感動」というのはありませんでした。そんな自分が悲しいweep そして、こんなにチケット売れてなくて、まだこれからも日本に来てくれるのか、それも心配。一人一人は味があるけれど、やっぱりスター不在は大きかったようです。

本当にあのルジマトフのカリスマ性はただ事じゃなかったんだなと。それが特別のありがたみもなく普通に見れていた2年前までがあり得ないくらいのものだったと思ったし、それをいつでも見れると思って見ずに過ごしてきたのも、あ~私のバカバカ!って悔やみきれないくらいすごくもったいなかったweepごめんなさい、ひどいたわごとですね。

アリは海賊の首領コンラッドの奴隷で、ときに反乱も起こしかねない海賊の仲間と違って、コンラッドに絶対の服従を誓って影のようにつき従う。衣装も一人だけ上半身裸のハーレムパンツ。踊りも1ヵ所しか見せ場がない。だけど、その痛々しいまでの忠誠心と、首領の恋人のメドーラを恭しく守護する中に垣間見える押し殺した想いがせつなくて。

アダージョで見せる、極限まで抑圧されたところから全身に匂いたってくるようなエロス。ヴァリエーションでは一気に湧き上がるような熱いエネルギー。そういうものがあの短いパ・ド・トロワの中にギュッと濃縮されて、一瞬のきらめきとなって目の前に展開する陶酔感。あ~それがなくっちゃ「海賊」じゃないわ!あれはやっぱり本物のカリスマのなせる業だったわけね。

ただの奴隷の役があんなに光輝いて見えるなんて、やっぱり変なことだったんだ。だからそういう意味で今回の「海賊」は、かなりオーソドックスな普通の海賊だったわけです。ちょっと一息入れて、改めてまじめに感想書くことにします。

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2009年1月15日 (木)

寒い~!

毎日寒いですね。朝、キーンと冷えた空気が真冬なんだなあと思います。子どもたちが出かけるときには、私も一緒に外に出てみるのですが、ここのところ毎日、庭は霜柱ザクザクです。車も家の屋根も真っ白に霜が降りているときもありますが、同じように寒くても空気が乾燥しているのか、全く霜が降りない日もあります。どこが違うのでしょう?不思議ですね。S2009_0113_170623imgp6711

夕方の富士山のシルエット。実は朝通ると、真っ青な冬空に朝日を浴びて、白というより白銀という感じで神々しいくらいなのです。近くの低い山々の後から頭だけ出して、まっ白に輝く富士山はとても大きく、手が届きそうな近さに見えます。これが実際は100㎞も遠くにあるなんて考えられません。富士山ってすごい。

朝、カメラを持っていなかったので夕方また通った時に車の中から写しました。朝のほうが絶対きれいですけどね。ほんと、冬の間は空気が澄んでいるのか、ここのところ毎日見ることができます。

更新も滞りがちなのですが、別に風邪をひいていたわけではありません。もともと好き勝手な内容なのでネタぎれもないのですが、ちょっと忙しくて余裕がなくてsweat01 そろそろ娘の受験も本番間近なので、受験料を振り込んだり、願書や必要書類を整えたり、何だか落ち着きません。

でも、意外なことに、親が何も言わなくてもちゃんと学校や塾の先生に相談したりして、自分でしっかりやっています。受験は大変だけれど、高校受験は目標を決めて自主的に努力する最初のいい経験になるんですね。中高一貫でそんな経験のなかった息子のほうは、いまだにエンジンかからず相変わらずのぐうたらぶりなので本当に失敗した~sweat02

一番いいと思ったのは、自分の姿を客観的に知る機会になっていることだと思います。面接の練習や自己PRカードの作成、小論文の練習などをしているうちに、今まで余りそんな機会がなかったけれど、自己主張というものが自然にできるようになってくるのですね。昨日も願書を書いているのを見たら、自己PRの欄に「○○部の部長、○○委員の経験を通して」とか、臆面もなく?書いているので驚きました。特技の欄に「バレエ」と書いていたのでこれまたびっくり。バレエやっているなんて、あまり人に言うような子じゃなかったんですよ。そういうふうに書けと塾や学校で教わるのでしょうか?

人生で初めて「選抜される」わけですから、多分に身の程も知るし、ストレスもあることでしょう。でも、そんな中でもたくましく前に進むしかないわけです。これからまだまだ大学受験や就職活動など、とても厳しい世界が待っているので、自分でこういった局面に向かっていくのは本当にいい経験だなあと思いました。私自身は同じ時期を推薦、推薦で何も知らないままのんびり過ごしてしまったので、あとで苦労することも多かったような気がしています。

きょうはレニ国の「海賊」を見に行きます。コルプのアリって想像もつかないんだけれど、(俺様な奴隷ってね~)それはそれでとても楽しみです。メドーラ役のマツァークという人は初見ですが、去年のコレゴワみたいに、え?なこともあるので、全然期待はありません。もともと「海賊」は深く考えずに楽しめる演目だから、ちょっと気が楽です。

娘が受験生で、気持ち的に余裕がないと言っていながら、遊びまわっている母coldsweats01 来週も「奇才」を堪能しに行ったり、「踊る芸監」lovelyに会いに行ったりするのですが、親がピリピリしているよりはノー天気でいたほうが、本人は気が楽かもしれません。まあ、泣いても笑ってもあと1ヵ月半の辛抱です。

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2009年1月11日 (日)

レニングラード国立バレエ「白鳥の湖」(10日マチネ)

あ~gawk 私は基本的にバレエはどんなものであっても楽しめるものだと思っていました。子どもばっかりの発表会でも、変な「なんちゃってバレエ」でも、それなりに楽しめる自信があります。基本的に好きですから。だけどやっぱり、時間と交通費をかけて、チケット代を払って、それも前から楽しみにしていたものが外れたら、こんなに落胆するのかな~と思ってしまいました。そんなわけで、きょうはつまらないことを書いてしまうかもしれません。

1月、東京国際フォーラム、レニングラード国立バレエ、「白鳥の湖」ときたら、私にとってはバレエに夢中になるきっかけになったエポックメイキングな出来事が思い起こされるのです。ちょうど一昨年、この国際フォーラムで見たルジマトフの、ちょっと意外な王子を見て、私はものすごくびっくりしてしまいました。あれはいったい何?その牽引力から何と神戸まで出かけて行き、そこで出会ってしまった奇跡のような舞台。あれが私の永遠の「白鳥の湖」になりました。それから一気にルジマトフに惹かれていき、今のバレエ大好きな私があります。だから、1月にこの会場で「白鳥の湖」なら、どうしても「あの感動をふたたび」になってしまうわけです。

ところが、また「何これ?」‥‥。2年前に感じた「何これ?」は、今まで見たこともない王子像に心を打たれて、これは一体何をやろうとしていたんだろうという「何これ?」でした。でも昨日の「何これ?」は、ほんとの「何これ?」

あの~!発表会じゃないんですから。同じバレエ団で、同じ衣装で、同じセットで、同じ振付けてこんなに違うなんて、このクオリティのばらつきは金返せものだと思うんだけど!「福袋みたいなもの」といった友人がいますが、「うまい!」それで、きのうは完全にハズレてしまいました。

まず、プハチョフの王子。これが、去年は突然のカツラでびっくりしたけれど、まだよかった。ことしはなぜかカツラなし。夏の「親子バレエ祭り」のときはカツラなしだったので、冬の評判が悪かったか、本人が嫌だったか、どちらかだなと思いました。でも、ガラならまだいいけれど、全幕で前髪後退した王子を見せられるのはかなりきつかった。だって、「白鳥の湖」は王子の20歳の誕生日のお話なんですよ。物語の中に入っていくにはヴィジュアルだって大事だよweep

でも、ひとたび踊りだせば、バレエを初めて見る親子連れのお客さんも、みんなどうしてこの人が王子役になっているのか、一瞬で理解できると思うのです。やはり他の人とは全然違うノーブルさがあるし、踊りも伸びやかで美しいし、ああ、やっぱり王子なんだと納得すると思う。でも、登場の瞬間、いきなりの額後退の白タイツ王子には吹いた人も多かったかと(!)

次にカーチャ。オデット&オディール役は昨年入団したエカテリーナ・ボルチェンコ。といってももう20代も半ば過ぎだと思います。プログラムには「2000年夏にNHKで放映されたワガノワ・バレエ・アカデミーのドキュメンタリーに登場していたあのカーチャである。」と書いてあるけれど、このダイエットに苦しんでいたのはもう一人の「イーラ」のほうでしょう。カーチャはワガノワでは全くの優等生でした。

あのドキュメンタリーはとても興味深かったのです。大変な思いをして先生はこの優秀な卒業生たちを送り出したけれど‥‥。両親とも元マリインスキーのダンサーという、とても恵まれた環境にあったカーチャは、何とコールドから始めなければならないマリインスキーをけって、いきなりソリストでデビューできるモスクワ音楽劇場バレエ団を選びました。そして、両親とも貧しい労働者で、トウシューズ一足買うのもままならなかったイーラのほうは、念願のマリインスキーに入ったというところで番組は終わっています。だけど彼女のその後はよくわからない。

つくづく、プリマバレリーナになるというのはすごいことなんだと思います。あれだけ優秀で期待されていても、その後成功するとは限らないのだから。そう、カーチャだって、ほんとこの8年間一体何をやっていたの?という感じ。

どうしてせっかく自分の意思で選んだダンチェンコをやめたのかわからない。そしてその後入団したというベラルーシのバレエ団でどんなことをしていたのかも知らない。でも、先月のNHKの「プロフェッショナル」に出演した、ボリショイの岩田さんの言葉のように「舞台の上ではダンサーは丸裸」なんだなあと。あれはまさに名言。その人を全然知らなくても舞台を見れば全部わかっちゃう。それはそれは怖い世界なんだと思いました。

カーチャはとてもきれいでした。かなり大柄だと思うけれど、すらりとしていて美しい手脚、特に美しい甲はまるでザハロワみたい。それから容姿も、プログラムの写真はずいぶん大人っぽいけれど、実際はとても可憐で、ポリーナ・セミオノワに似ているような雰囲気。それでいてポリーナちゃんのようなアンバランスなほどの筋肉質ではなく、体型も均整がとれていて美しい。バレリーナとしてはちょっと背が高すぎるのを除けば申し分のないものを持っているのです。

その素晴らしい素材から繰り出される踊りも、ワガノワ仕込みの優雅さでとても美しいのだけれど、だけど‥‥もう!あんた一体幾つ!?学校卒業したてってわけじゃないでしょっ!!綺麗な踊りも、それは全然オデットでもオディールでもありませんでした。

これがまた相手が踊り慣れた双子の弟だか兄だかのピョートル・ボルチェンコだったら違っていたのかもしれません。この二人はよく知らないけれど日本の教室系の団体に招かれて、何度かゲスト出演をしていたそうです。去年も、私は見なかったけれど二人で日本で「白鳥の湖」を踊っているはずです。だけど、それがどうだったか聞いたことがないし、話題になったこともないのはなぜかなと思っていました。キャストが決まっていたピョートルの突然の退団も、何だか謎が多いです。

相手のプハチョフも、本来同じ日のソワレでコシェレワと踊ることになっていたのです。それが若手のコリパエフではなく、ベテラン(という年でもないでしょ?)のプハチョフをスライドさせたというのは、初主演だということで舞台慣れした人を持ってきたのかなとは想像がつくのですが。だけど、見た限りプハチョフとカーチャの間には何の物語もありませんでした。王子と白鳥に変えられた姫の悲劇のラブロマンスなんてとんでもない。先生と生徒?いや~参りました。

まずカーチャが全然芝居の中に入ってない。「一生懸命やってます」的な顔が見えちゃっているし、集中力が途中で途切れて、ときどき素の表情が出るのはちょっと勘弁してほしい。発表会ならいいですよ。ああ、頑張ってるんだなあって思えるけれど、お金をもらって見に来てもらっているプロでしょう。せめて「見せている」という気迫を持って踊ってほしい。

2幕のオディールになって、さすがに少し物語の中の人になれるようになったのだけれど、それでも途中でふっとお芝居どころじゃなくなっちゃう。いっぱいいっぱいなのかな。いや、踊りは悪くないんです。でも、プハチョフとアイコンタクトが全然取れてないし、既定の振り付けをきれいにこなすだけで、こいつをアタシの魅力でメロメロにしてやろうなんて意志がさらさらなさそうなオディールってね~。

プハチョフも、去年シェスタコワと踊ったのを見たけれど、演技的にはそんなに入り込む人じゃないと思います。特に今回は通り一遍の優雅な王子様で、通り一遍の芝居しかしないんだなと。パートナーのことは常に気にかけているのだけれど、サポートに一生懸命というか、先生みたいな感じで、オデットに対する抑えきれない愛も感じられないし、オディールの魔性にぐいぐい惹かれていく若者の悲劇も感じられない。もう、何年やってんの!

こうして、福袋はハズレました。ああ、きょうのシェスタコワ&コルプを見たかった。あの二人ならきっと(実は速報で、見た方から二人ともそんなに調子はよくなさそうだったというメールをいただきましたが、それでも)もっとずっと緻密で、濃厚な愛の世界が展開していたんだろうな~と思うと、しまった~bearingの一言です。シオシオのパーです。

その他のことは書く元気もなくて‥‥‥パ・ド・トロワのミリツェワは、「ジゼル」のときにひどく書いちゃったけれどこの日はよかったです。もう一人のヤパーロワがかわいそうになるくらい華はありますね。それからコールドは、最初の登場のところはいいけれど、ワルツがひどかった。あの左右でごちゃごちゃうるさく動く振り付けは前からだったっけ?4羽の白鳥は小さいほうは音をまるで無視だし、大きい方に至ってはバランバラン。どうしちゃったんでしょうね。あのときの「奇跡の白鳥」はどんどん遠ざかって行きます。同じバレエ団で同じ振付のはずなのに。そしてあの時主演の王子役だったルジマトフが芸術監督になっているのに一体どういうことでしょう。

それでも、帰りがけに周りのご婦人方から「きれいだったわねえ」という言葉が聞こえてきました。満足してくれた人もいたことにちょっと安堵。カーチャ、応援しているからがんばってね。だけど、ひどいことを言うようだけれど、来年も来るかどうか、私はわからないなと思っています。一目でも見れてよかったなんてことにならないように、どうか演技面でもキャリアを積んで一皮むけてほしいです。

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2009年1月10日 (土)

「ジゼル」で幕開け。

ことしの初バレエ鑑賞は、レニングラード国立バレエの「ジゼル」でした。コルプ(ことしは「コールプ」じゃなく「コルプ」にしますhappy01)とシェスタコワの醸し出す世界はさすがに独特で、あとになってからじわじわと感動がやってきています。でも、あまり余韻に浸っていても、またきょうはすぐ「白鳥の湖」があるので、頑張って感想書こうと思います。

よく考えてみたら、「ジゼル」は昨年、娘の発表会でさんざん曲も聞いたし、リハーサルも何回も見たし、もちろん本番も見て、一番身近な演目になっていたけれど、会場に行って、席について、前奏曲が流れ出した途端、思い出しました。発表会を別にすれば、一般のバレエ団の公演の「ジゼル」はあの一昨年のルジマトフの最後の「ジゼル」以来、見ていなかったんだsign03

一昨年の「ジゼル」。特に2日あったうちの1日目。あのときは本当に何といっていいかわからないくらい、一種の「奇跡」が起こった舞台でした。あんな瞬間に居合わせることができた幸せは何物にもかえがたかったと思います。あれがあったから昨年話題になった(?)東京バレエ団のマラーホフとルグリの「ジゼル」対決(?)も全く触手が動かなかったんだな~。(と、自分で納得するしかない‥)

幕が開くと霧がたち込める農村の広場。ああ、懐かしいレニ国の舞台だ~。私が初めて見た「ジゼル」も、実はレニ国でした。もう10年ぐらい前になるのかな?ハビブリナとイリインの「ジゼル」。初めて見た「ジゼル」の世界はほんとに夢のようにきれいだった。shineあのハビちゃんは今何処?ハビちゃんに会いたいよweep(と、こんなに最初から横道それるので、やたらと長くなるわけね)

第1幕
登場したアルブレヒトにどっきり。あのときのルジマトフと同じ衣装!(でも、顔が違うcrying)コルプさん、その髪型は何?オールバックで後ろは刈上げミルフィーユ状態。髪の色が表面は金髪で、下が茶黒?でもいいです。外見はしょうがない。一応恋するアルブレヒトheart01でした。従者が止めるのもきかずに素朴な村娘に夢中の若様は、身分を隠してジゼルとのプラトニックな恋愛を楽しみに‥‥と最初は思いましたが、見るうちにだんだん、そうじゃありませんでしたね。
ルジマトフ譲りの危ないマジ本気。この若様は村人らしくないのが誰の目にもバレバレなのに、会いたい一心で平気で村人のふりしちゃってるところがコワい。

ジゼルも多分それはよくわかっているみたい。普通の1幕のジゼルはとてもシャイで純情可憐な村娘。でも、シェスタコワはそれだけじゃなかったのです。この人のジゼルは何だか最初から影があって、登場した瞬間からもうあとの展開が見えるようにせつなくて、私は1幕からもうウルウルきてしまいました。もしかして自分は体が弱くてそんなに長くは生きられない運命と悟っているのかもしれないし、あるいは、アルブレヒトが自分にはふさわしくない人かもというのも、うすうす感じているようなジゼル。

束の間の幸せでもいい。ほんの一瞬でもとても大切な時間。シャイというより、あまり慣れ慣れしくしてしまうとこの幸せが逃げてしまいそうで怖い。だからとても控え目で、だけどほんとにひしひしと、1幕からアルブレヒトへの細やかな愛情が感じられるのがもういじらしくて。確かに1幕でアルブレヒトはジゼルに夢中だけれど、それ以上にジゼルのほうがまるで壊れものでも扱うように、大事に大事にアルブレヒトとの愛をはぐくんでいる。こんなジゼルってあったかしら?

シェスタコワって、実は今まで何回か地元の公演があったので、公演後間近に見る機会もあったのですが、他の団員がとても親しく笑顔を返してくれたり、サインしてくれたりする中で、いつも一番そっけなくて、そそくさとバスに乗ってしまうような人だったのです。でも、実はとてもシャイな人なんだとか。今までルジマトフと踊ってあんなにすごい舞台を見せてくれても、ちっともプリマという感じがしない不思議な人でした。でも、昨日の舞台で確信!シェスタコワ、ほんとにすごい!そして、やっぱりこの人大好き。

例によって、私はルジマトフが出ていた舞台では、ほとんどルジマトフしか見ていない状態だったのですが、ここの村人たちの衣装は白を基調にした明るくきれいなものだったんですね。セットはさすがに古色蒼然でしたが(ジゼルの家の向かいのアルブレヒトの小屋は、立派な石造りの遺跡のようでした!これ、前からだった?)この衣装もセットも今年が見納めかな?

一昨年、ルジマトフが芸術監督に就任してから、まず着手したのがこの「ジゼル」の改訂だったようです。(別に「ジゼル」はよかったのに、何故?と思いましたけど。それよりボヤルチコフ版でもっと変えなきゃいけないダサいのがあるでしょうが‥‥!)ドルグーシン演出で一新したということでしたが、今回の日本公演では衣装と舞台装置は旧来のもので、中身だけ改訂版の上演と書いてありました。

でも、一体どこが「新演出」だったの?

最後までよくわかりませんでした。

村娘の踊りや、2幕のコールドの振りが変えられているとしたら、それはちょっと、前のと見比べることはできないのでわかりませんが、大体がオーソドックスなものでした。演技面もそんなにあれ?と思ったところはなくて、1幕の狂乱の場で、以前シェスタコワは髪はそのままでしたが、今回は髪がばらけていて、それくらいでしょうか?でも、それも演出というよりダンサーの裁量の範囲内ですよね。2幕はジゼルの登場のあとのソロが、ワンフレーズほど長くなって、ジゼルが引っ込んだあとに聞きなれない曲が入って、ミルタとウイリーたちがちょっと踊る。それだけだったような‥‥‥。

1幕で村人のなかにコリパエフ君を発見。背が高くて目立ちます。今回の配役変更で「白鳥」と「眠り」で王子役に抜擢されている子です。そんなシンデレラ・ボーイが一生懸命村の若者を演じているのがかわいいheart04もう一人イケメン(私がそんなことを口にするなんて、いよいよオバサン化?)がいたけれど、あれは誰?(ヤフニューク?)それから、モロゾフもいたけど、ずいぶんオジサンっぽくなってsweat02あと、ペザントを踊ったプロームくん、踊りはよかったのだけれど、彼もまだ若いのにもう髪がちょっとヤバい?‥‥すみません、どうでもいいことですね。

ペザントはミリツェワとプローム。ミリツェワは見る機会の多いソリストで、かわいいし人気もあるようですが、どうも私が見る時はいつもよくないというか。音がきっちりとれていない時もあったし、今回は何だか芯が抜けてるようなふにゃふにゃした踊り。手足も伸びてない。ボリショイがソリストの一人一人までパキッとパンチの利いた踊りだったのでちょっと気になりました。(ボリショイと比較しちゃいけませんけどね)エフセーエワの元気いっぱいなペザントが懐かしい~。

だけど皆さんさすがに顔が小さくて、セミクラの髪型がよく似合っていますね。うちの子が発表会であの髪形にしたときには、私も一生懸命練習しましたよ‥‥でもちっとも似合わないの。何度やっても「お多福」のようになってしまってsweat01難しい割にはみんな(ほかの子も)美しくなかったのだけれど、さすがにレニ国の皆さんはばっちり決まってました。

避けてるようですが(避けてないですsweat02)コルプのアルブレヒト。最初は貴族の気まぐれタイプのアルブレヒトかな?と思ったけど、いやいや、ほんとにまっすぐにジゼルだけを見ているのよね。花占いのときや、踊っている途中でジゼルが苦しそうな表情をしたときなども優しいこと、顔に似合わないことはなはだしい。ちゃんと立ち居振る舞いに王子様な雰囲気もあって、明らかに村人とはちがう。ジゼルが、村の青年たちじゃなくて、どこか優雅な雰囲気を持ったアルブレヒトに惹かれたのもわかるのです。

遊びだったわけじゃない。今はただ、難しいことは考えないでジゼルと過ごしたいと思っただけ。まさかこんなことになるとは‥‥1幕最後で見せた激しい演技は、本当にジゼルを愛していた人の演技でした。自分の腕の中から崩れ落ちていったジゼルをもう一度抱きしめて嘆き、ジゼルの母に拒絶されると今度はヒラリオンにあたり、そして何度もジゼルに手を伸ばし、また止められて行ったり来たり。最後はマントを翻して狂ったように走り去らざるを得なかったアルブレヒト‥‥その思わず息を詰めるような展開がとってもドラマティックで、コルプさん、顔はともかく、泣けたよ~weep

2幕
コシェレワのミルタがよかったです。一昨年はステパノワと見比べてしまったから少し弱い感じがしたけれど、意外にも強い意志を感じる、怖くて威厳のあるミルタでした。コールドはよくそろってきれいだったように思います。昨年の「バヤデルカ」のアレレ?なコールドとは違いました。

というか、不思議なことにとても足音が小さいコールドなの。1幕から舞台でたくさん人が踊っていてもドタンバタンやポワントのカツカツ音が少ないのです。今、YouTubeに上がっているマリインスキーの「ジゼル」の動画(マハリナ&ルジマトフ!)をホントにありがたく見させてもらっているのですが(隠し撮り?いや堂々と、よくこの映像を残してくれました!)あれはものすごくポワントの音が響いているのですよね。ところが、今回はシェスタコワはもとより、コールドまでとても音が静かなのに驚きました。

ジゼルの登場、何回見てもこのドキドキする緊張感が好き。足音がほとんどしない、ほんとの精霊のようなシェスタコワ。まだ呼び出されたばかりのこのときは、感情も何も入ってない、冷たい人形のように動くのがまたすごい。

アルブレヒトの登場。マントに身を包み、百合の花束を抱えて一歩一歩綺麗なつま先を見せて歩いてくる姿は、ルジ様などはとてもナルシスティックで美しいシーンなのだけれど、コルプはちょっと前かがみで、ヴィジュアルよりも内面の心情を優先させたような感じ。後悔の念でいっぱいで、ほとんどそのままばったり倒れそうなアルブレヒトでした。

ジゼルの墓にひざまずくアルブレヒトの背後に、精霊になってしまったジゼルが‥‥その気配を感じてあたりを探し回るアルブレヒト。ふと姿が見えたかと思うとまた見えなくなる。抱きしめようと思っても、するっと手から逃げてしまって捕まえられない。このもどかしさがやっぱり何ともいえない。ジゼルが憂いに沈むアルブレヒトの上に、百合の花をぱらぱらと落としていくシーンは、この改訂版でも健在でした。2年前はもうここで完全決壊してたのよねcryingダメダメ、まだこんなところで泣いちゃ。。う~ん、でも今回はけっこう冷静な私。

コルプのアルブレヒトというか、この版の解釈なのか、アルブレヒトはミルタに命乞いをするのではなくて、「私は自分の不徳のためジゼルを死なせてしまいました。どうぞ存分にお裁きください」という神妙なものでした。そこへジゼルが、今度は精霊ではなく、はっきりとアルブレヒトを守るという意志を持った存在としてミルタの前に進み出るのです。

シェスタコワとコルプのパ・ド・ドゥはほんとに美しかった。音楽は決してスローじゃないのに、まるでスローモーションで見ているかのようにゆっくりと軌跡を残し、よどみなく連続的で、ほんとに幻想の世界に入っていくような感覚でした。軽く空気のように浮かび上がるリフト。でも透明感というよりは、明らかに1幕から連続した「愛」が感じられ、精霊になってしまってもまだアルブレヒトとの愛を、壊れないように大事に、大事に扱うジゼル。こういうところで1幕の、あのあえて幸せいっぱいにしなかった控えめな演技が生きてくるよね~。

片やコルプのアルブレヒトは、ヴァリエーション、見慣れたものと違っていたけれど、好きに振り付け変えるのは去年の「ドン・キ」もそうだったし(私は元の版のほうがいいと思ったけど)コルプ流なのかなと。相変わらず激しい踊りでも足音が少なくて、まるで猫のような軽い着地。回転を多くしていたけれど、ブレがなくてきれいでした。

そのあともダイナミックによく踊る、踊る。これだけ踊っても手先足先がきれいで乱れない。でもきれいすぎてとても死にそうにないというか‥‥‥ルジ様の時は本当に限界まで踊ってる感じがしていたけれど、まだまだ余力がありそうでしたね。そう、ここでアルブレヒトは本当に限界まで踊らないと真実味がないというか、だからこのドルグーシン演出ではそういうふうにしたと、どこかで読んだ記憶があったけれど、勘違いだったかな?

夜明けを告げる鐘が鳴り、ウイリーたちは静かに森の中に消えていく。朝日の中を、自分が失ったと思った愛によって助けられたアルブレヒトが、消えていくジゼルの姿を追っていく。ああ、でも違う、そっちじゃないってば。ジゼルは静かに墓の蔭に消える。我に帰るアルブレヒト。不意にがばと墓に供えた百合の花を抱えあげ、走り、最後は後ろに放り投げて(撒き散らして!)ばたっと倒れてしまいました。こんな所がとってもコルプらしくて、思わず泣きながら笑っちゃいました。素敵でした。顔が、って私はいつも思っちゃうけど、でもやっぱりコルプ好きだなあ。

カーテンコールも延々と続きました。例によって、ずっと精霊のままのシェスタコワ。この人はルジ様と同じ、完全に入り込むタイプの人なのでしょうね。ほんとにいいものを見せてもらいました。一生懸命拍手をしたけれど、この日のお客さんはとても静かで、2年前のあのときの一種熱を帯びたような興奮はありませんでした。でも、静謐な愛の世界を見せてくれた感動はあとになっても残りました。

以上、駆け足で思いつくままになってしまいました。この二人の組み合わせ、昨年は見逃してしまってとても残念だったのですが、念願かなって見ることができ、内容も期待どおりでとてもよかったです。明日もこの二人の「白鳥」を見たかったのですが、既にきょうのチケット買ってしまっていたし、また来週も「海賊」、そして再来週は二つのガラがあるので、やっぱりあきらめました。なんせ、受験生抱えた主婦ですから。つら~いsweat02

ではこれから、カーチャの「白鳥」見てきます!

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2009年1月 4日 (日)

初詣

明けましておめでとうございます。
このブログもおかげさまで4度目のお正月を迎えました。

去年の1月の記事を見直したら「2度目のお正月」とありましたが、違うよね~!
いきなり1年前の間違いを発見してしまいました。そういえば最近、いろんなところ間違いだらけなんでS2009_0103_142931imgp6678す。(あとで最近の間違いを訂正しますsweat01

ことしは私にとって、気学的にみると夏過ぎまでどん底のようです。まあ気学は星のめぐりですから、時間がたてば変わってきます。それはそれとわかった上で覚悟を決め、地味にしのいでいけばいいかなと。
ことしもバレエに歌舞伎に、その他日々の小さなことに感動できたらいいなと思っています。

初詣は、1日はどこも込んでいると思ったので、3日に行ってきました。ことしは日野の高幡不動。モノレールに乗るとすぐなのですが、混雑を敬遠してここのところ何年も行っていませんでした。3日なのにやっぱりすごい人でした。

日野は、新選組に興味を持った高校生の頃からときどき訪れていた場所です。今は多摩川の対岸の近い所に住んでいるのに、行く機会はなくなりましたけど。S2009_0103_141106imgp6676

昔は京王線の高幡不動駅から歩くか、立川駅からバスに乗るかして行っていた土方歳三の生家や、墓のある石田寺も、今では多摩都市モノレールの「万願寺」駅で降りるとすぐです。あのあたりも歩いてみると30年前とはまるで違ってしまいましたけどね。

高幡不動には、多摩出身の近藤勇と土方歳三の両雄を記念した顕彰碑があります。明治時代に、いくら地元の人々の熱い思いがあったとはいえ、逆賊とされた人々の碑を建てるのは容易ではなかったと思うのですが。その題字を書いたのはもと会津藩主の松平容保公だそうです。題字を頼まれた容保公にも複雑な思いがあったことでしょう。この碑を前にするととても感慨深いです。S2009_0103_153749imgp6690

昔はこの顕彰碑ぐらいしか見るものはありませんでしたが、今ではちゃんと土方歳三の銅像まであります。

碑があったのは確か本堂の右手隅だったという記憶がありますが、この銅像ができたときに現在の場所に移されたのでしょう。ほんと、何年か前に久しぶりに来てみたら銅像ができていたのでびっくりしました。似てるとは思いませんけどねsweat02

そういえば、私がときどき行っていた頃は五重塔も「新選組まつり」もありませんでした。もっとずっと地味な田舎のお寺だったように思います。S2009_0103_153950imgp6692

懐かしさはそれぐらいにして。境内は人が多いうえに所狭しといろんな露店が出ています。食べ物は珍しいものもあって、初めて見た「スープたこ焼き」というのを食べました。明石焼きはスープに浸して食べるけれど、明石焼きのように卵焼き風ではなく、どう見ても普通の小麦粉のたこ焼き。まるですいとん!でも結構おいしかったです。

境内の一番奥に、何やら裏山に上る道がありました。それで、冬休みでゴロゴロしている子どもたちも連れて来ていたので、ついでに登ってみました。ところが、これがちょっとのつもりがかなり先まで上り坂が続いていたのです。新年早々、思わぬ運動をしてしまいました。S2009_0103_153150imgp6688

裏山は「高幡城跡」とあって、中世の城があったそうです。ハイキングコースのように道が整備されていて、ところどころに番号を振った石仏が置かれていました。よく見ると一体一体みんな顔が違って面白い。

これは四国88か所と同じ88の石仏があって、全部巡ると88か所巡りと同じご利益があるらしいです。ハイキングがてらお参りしている人もいました。

写真は裏山を降りてきたところから見た五重塔。また表からとは違った雰囲気です。冬だから見えるけど、普通なら木の葉が茂っていて見えないでしょうね。S2009_0103_143208imgp6679

人がたくさんいて混雑するところは嫌いだけれど、初詣ぐらいは人が多いほうが気分が出るようなきがします。

実は、息子は31日の夜行バスで京都へ行き、同級生の親戚の家というのに泊めてもらい、昨日の朝にまた夜行バスで帰ってきたところでした。さすがに往復夜行バスは疲れたらしく、昼ごろまで寝ていましたが、また今日からは娘の塾が始まるし、いい天気だったのでたたき起こして連れてきました。

息子曰く、京都は意外にもすいていたそうです。だから人が多いのにびっくりしていました。京都はほかにも行くところがたくさんあるので、こんなふうに一か所に集中することはないのでしょうか?それでもNHKの「行く年くる年」に写った清水寺などは、舞台が落っこちないか心配になるほど人があふれていたけれど、息子が撮ってきた写真を見ると、1日の朝というのに、その清水の舞台には5~6人しか人が乗っていないのです。時間帯によってそんなに違うのでしょうか?何だか不思議な気がしました。S2009_0103_144534imgp6683

さて、冒頭で書いた間違い探し。すぐ気がついたのは昨年最後の記事の、「アラジン」のランプの精は「ジニ―」じゃなくて「ジーン」。それから、「シンデレラ」の姉役の一人は、私の見た日は保坂さんじゃなくて井口さんでしたね。どの公演でもその日ごとの配役表をくれるのに、新国は全部同じ1枚の紙なので紛らわしいのです!これは一応私の備忘録でもあるので、あとで訂正させていただきます。

それから、こんなことはどうでもいいけど、その前の28日の記事では「トシちゃん35歳」じゃなくて「トシちゃん25歳」でしたね!これは70年代後半のギャグマンガの傑作?「マカロニほうれん荘」の登場人物、落第10回の高校1年生のトシちゃん(膝方歳三)でした。35歳というのは、モデルになった(だろう?)土方さんが享年35歳だったので、思わずそう書いちゃったのでしょう。あとで子どもとの会話(そんなに昔のマンガの話題が頻繁にでてくるのか?!)で「トシちゃん25歳!‥あれ?25歳だった」ということで発見。ほんとにどうでもいい話です・・・ごめんなさい。

そんなわけで結構間違いもありますが、このブログは話題の続く限り続けていきたいと思っています。ことしもよろしくお願いいたします。

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