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2009年2月25日 (水)

見逃した?~最近はまっているもの。

この間の新国の「ライモンダ」以来、舞台を見ていませんが、友人でハンブルク・バレエを見た人が「すごくよかった~!」と言っていたので、ちょっと「しまった」と思いました。私は最初からターゲット外だったものですから‥。

まず、こんな受験の時期で、しかも場所は遠い神奈川県民ホールと、安い席は何も見えない(?)と聞くNHKホール‥。そしてチケットすごく高い!(S席23,000円)それと、ノイマイヤーの作品は「ロミオとジュリエット」「椿姫」など、ガラで一部を見ていいなと思っていたけれど、クラシック中心の鑑賞の私にはまだ早い(!!)かも~?という感じだったのです。それと何といってもチラシの写真が不気味でした。確かにインパクトは強かったけど。まあ、今になって他の人の話を聞いて見ればよかったなんて言っても遅いですね。

今まで恥ずかしげもなく書いているとおり私はルジマトフのファンなので、早く「次」が知りたいと、結構頻繁にレニ国のHPと光藍社のHPを見ているのですが、なかなか更新されず、今年の夏に来るのかもわからない状態ですごく不安なのです。ルジマトフご本人は、あの「ミハイロフスキー・ガラ」で健在な様子を見せてくれてまずは安心しているし、本国ほか結構あちこちで踊っているらしいから、まだまだ踊る気はあるんだなと思うのですが、ことしのレニ国の冬公演の客席の入りを思い起こしても、もう来てくれないかも?などとちょっと不安です。

というより、今まであったチケットの束(!)が、今全然ない(ほんとによく見たものです‥coldsweats01)というのが不安だ~!でも、これからしばらく見たいものがあまりないんです。興味あるのは5月にデンマーク・ロイヤル・バレエが来る‥‥というくらいかな。東京バレエ団はやたらフォーゲル君を売り物にしようとしているようですが、東京バレエ団のバレリーナとフォーゲル君の組み合わせというのはあまり触手が動きません。

あとは「ザハーロワのすべて」。もうとっくにチケットなんかないと思っていたら、今朝の新聞にも広告が出ていたのでまだあるんだ~。何か、ザハロワにアロンソ版の「カルメン」というと、ものすごく泥臭いイメージがしてしまうのは私だけかな?‥‥(チラシ写真のせい?)でも、ワシーリエフくんも出るし、去年のボリショイ公演で、私は見れなかったウヴァーロフやメルクリエフ、シュピレフスキーも出るのでいいですね。

ザハロワといえば、今月の「ライモンダ」の圧倒的な美しさはいまだに強く印象に残っています。好き嫌いでいえば苦手なほうだけれど、そんなことはあっさり超越したバレエ自体の美しさというか、そういうものを感じさせてくれました。ただ、どうなんでしょう。大スターと一緒の舞台に立つということで、新国のダンサーにとってはいろいろ勉強になったり、貴重な経験だったりするのでしょうが、ザハロワの美しさは持って生まれた肢体の美しさの部分がかなりあるし、もともとの出発点が全く異次元なので、そういう面ではどうなんでしょうかね~。

お勉強のためなら、どうせゲストを呼ぶなら、もっと身近な体型で(?)努力して技術や表現力を獲得した人のほうがいいような気がするけれど。それでも、ただただ超人的な美しさを思い知るというのもいいのかもしれません。なんて、よけいなお世話ですよね~coldsweats01 だけど見ていてあまりにも新国のダンサーと違いすぎるので、新国のダンサーにはお気の毒のような気もしました。

ザハロワですが、その「ライモンダ」の3幕のヴァリエーションで、眉を寄せてやたら悲しげ、苦しげな表情を浮かべているのが気になりました。めでたく華やかな結婚式の場面にもかかわらず、あのグラン・パはかなり哀愁を帯びたメロディーなので、そのメロディーの表現というのもあるかもしれません。そういえば、1月のレニ国で見たシェスタコワも、前半はかなりせつなげな表情でした。でもザハロワみたいに極端に暗く、苦しそうな顔ではなかったです。威厳は感じますが、あれじゃまるでジャンと結婚したくないみたい!それともこの踊りには何か特別な意味があるのかな?

それが、YouTubeでいろんな人の「ライモンダ」のヴァリエーションを見ると、これがまたみんな全然違うのに驚くんですね。ロパートキナは意外にも繊細で、優美で、柔らかな幸福感が伝わってくるようです。都さんはホントにキラッキラのお姫様だし、ギエムはまた全然違って、攻撃的なまでにぐいぐいと見る者に迫ってくるようなライモンダです。本当にこの3幕のヴァリエーションは、役の持つカリスマ性と、バレリーナのスター性をともに見せつけるような踊りなんですね。

最近、舞台を見ないかわりにYouTubeにはまっていて、暇があると見ています。ほとんどが2~3分、長くても10分以内なので気分転換には最適なんですよね。あれも、著作権的には限りなくグレーゾーンだと思うから、こんなところにリンクを張ってしまうのも考えものだけど、なにしろ特に最近は貴重映像垂れ流し状態なので、いつ規制されて見られなくなるかわからないから見ないと損!‥‥ぐらいに思って見ています。

中でもびっくりしたのは1972年の(37年前!)キーロフバレエの日本公演。NHKで放送された「ドン・キホーテ」です。全幕を13のパートに分けてアップされているのだけれど、こんな超貴重映像、当のNHKにももう残っていないと思います。何と亡命2年前の23歳のバリシニコフ!これがまた初々しくてかわいい!そしてメチャメチャすばらしい!

キトリはコムレワさん。コムレワといえば、キーロフの「シンデレラ」のDVDではかなり老けたシンデレラdespairで、その作品自体もかなり微妙‥‥舞台は安ごしらえの70年代のドライブインみたいな感じだし、衣装も垢抜けなくて最低~!って気がして印象が悪かったのだけれど、このキトリは溌剌とした町の御姉ちゃんという感じで好感が持てました。

それから、何と森の女王がコワリョワ先生なんですよ!あのNHKのドキュメンタリー「プリマバレリーナをめざして」に登場した、ワガノワバレエ学校の、怖い魔女のおばあさんのようなリュドミラ・コワリョワ先生。それが‥‥個性派美人のコムレワさんに対して、クラシカルな場面にふさわしい正統派美人!30年後に魔女に化けるとはとても思えませんsweat02すごい威厳の女王様で、夢の場では完全に主役を食っていました。

そんなことも面白いんだけど、これ、何とイヤホンガイドみたいに、いちいち丁寧な解説が入っているんですよ。40年近くたつと日本語も大分変わってくるようで、死語や古風な言い回しのオンパレード!それで、セリフのないバレエを実況中継みたいにいちいち代弁してくれちゃっているので、うるさいのを通り越してもはや芸術品です。というか、これなら初めて見る人も分かりやすくていいですね。

「何でも金、金、のオヤジは、娘の恋人がしがない床屋なのが気に入りません。そんなに娘がほしけりゃ金持ってこい!」
「オヤジはキトリにおか惚れの金持ちのガマーシュに、何とか娘を片付けようと工作‥‥」
おか惚れ?工作?娘を片付ける?‥‥最近めったに聞きませんよね~。

キトリの父親のことをやたら「オヤジ、オヤジ」と言っているのも笑えます。でも、現代ではおかしいけど、たぶん解説しているアナウンサーはごく普通に「親父」というつもりで言っているんだと‥‥。現代では「オヤジ」のイメージが独り歩きしちゃったんですね。

「この二人、好き同士のくせに、若いながらもそれ相応の手練手管を弄します。」
「好きだの嫌いだのは古今東西同じと見えます。」
などとNHKのアナウンサーに大真面目に言われると噴き出してしまう!
そして最後に「ドン・キホーテ主従は再び諸国漫遊の修行の旅を続けるのでした。」

水戸黄門か~!

というわけで、人のアップしてくれた貴重な動画を、ただで存分に楽しむことができるようになったなんて、すごいですね。

またザハロワの話になりますが、この間の新国の舞台で、ポワントの音が彼女一人だけやたらカツンカツン響くのだけは気になりました。先月のレニ国冬公演ではどのダンサーも着地音は少なかったので、なおさらです。床とシューズの関係もあるのでしょうが、音は体の引き上げも関係しているらしい‥‥といったって彼女クラスの一流ダンサーが今さら引き上げもないだろうと思って、ちょっと娘のバレエの先生に聞いてみたら面白い話を聞くことができました。

日本人には少ないけれど、まれにすごい甲を持った生徒さんがいるのだそうです。そういう子は普通の子のように頑張ってつま先を伸ばさなくてもきれいに見えるから、いい条件なのに足の指の関節を使いきれてないことがあるそうです。逆に伸ばしすぎるとかえって前につんのめってバランスが取れないので、バランスを取るために極限までは使わないというか。それが何か影響しているかも?ということでした。

またX脚も見た目は美しく見えるけれど、それも極端になるとかえって回転などは難しくなってしまって、その状態で水準以上のテクニックをつけるというのは並大抵のことではないということでした。そういう人はむしろ膝を伸ばしきらない状態で回転したほうが回りやすいくらいですから。条件として、あくまでも脚はまっすぐがよく、むしろテクニックのためにはほんの少しO脚気味のほうがバネが強くていいそうです。私は自分ではバレエをやらないのでそういうことはわからないけれど、確かに、今まで音が響くと思った人はかなり甲があってX脚の人ばかりだったので、なるほど、と思った次第です。

よく、片足ポワントで立って、片足を曲げながらチョンチョン、と優雅に前進していくところで拍手が出たりしますよね。(ジゼル1幕のヴァリとか、ドルネシアのヴァリとか)そんなに難しそうな技には見えないのに、なぜあそこで大拍手?と思うのですが、あれは割と日本人には何ともないけれど、甲があって身体条件のいい人ほど難しいのだとか。美しく見えるバレリーナでもいろいろ大変なことはあるんですね。

まだ次のバレエの鑑賞予定はないけれど、こんなふうにぼちぼち楽しみたいと思っています。

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2009年2月18日 (水)

春はもう少し。

昨日の午前中の富士山です。先月の記事に載せたシルエットの写真と同じ場所(信号待ちの車の中)から撮ったものです。2009_0217_104834imgp6786_2

先週末は各地で20度を超え、いきなり春のような陽気で、2月としては観測史上初とかいっていましたね。静岡などでは夏日(25度以上)を記録したとか。それが昨日になるとまた急に気温が下がり、昨日もきょうも明け方は0度以下(霜柱ができていたので)だったようです。こんなに気温差があると身体がついていけずにおかしくなってしまいそうwobbly でも、この冷え込みのおかげで、昨日はまた真冬の澄んだ空が戻ってきて富士山がくっきりとよく見えました。

ここしばらく、空がかすんでいてあまり見えなかったんですよ。今月初めに、浅間山の火山灰が降りましたね~。あれ以来、風が吹くと降った火山灰が舞い上がっている気がして、空もボーっととしていました。S2009_0202_083949imgp6720

うちは浅間山からは直線距離でも100キロ以上あると思うのですが、ちょうど風向きがそうだったのか、あの日、朝起きて玄関ドア開けたらびっくり。庭も道路も、車も真っ白。一瞬何事かと思ってしまいました。車はそのままでは前も横も見えず、掃除が大変でした。あとで、農作物や植物に被害の出る成分はないということが発表されましたが、庭も真っ白。その後雨が降って流れて、芝生や植物は大丈夫ですが、玄関前の敷石や道路は、細かい石目の間に粒子が入り込んでいて、まだ灰色っぽい感じです。S2009_0202_085359imgp6724

浅間山が100キロ以上だったら富士山は、地図でおよその距離をみたら70数キロ。浅間山より近かった。浅間山は見えないけど、富士山がもし噴火したら、うちのあたりからもよく見えるでしょうね!

異常気象に天変地異‥‥そういうのはないほうがいいけれど、火山灰といい、週末の異様な暑さといい、何か小さな変化が身近に迫っているような気がしています。

ところで、まだ受験生を抱えているため、最近は買い物も最小限、必要に迫られない限り外へ出ないという引きこもりに近い生活をしています。インフルエンザも流行っているようなので、人ごみを避け、とにかくもうしばらくの間おとなしくしていようと思います。

なんて、1月にあれだけ舞台を見に行ったくせにcoldsweats01‥‥でも、ついでに遊んだりはせず、いつもまっすぐ行ってまっすぐ帰ってきましたよ~。そして、今はついに手元に一枚もチケットがないという状態になってしまいましたcrying 夏のレニ国の公演のお知らせがまだ来ないのも心配だけど、とにかく受験が終わらないと‥‥もしかしたら大枚の入学金を払わなくてはいけないかもしれないし、チケットどころじゃないというわけですbearing

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写真は、この間の私の舞台の時にいただいたお花。子供の発表会などでもらうことはあっても、自分がもらうのは久しぶりでした。春らしい優しい色でしょう?冬場はお花が長持ちするので、先週一週間はずっと甘い香りが部屋に漂っていました。

娘の受験が無事終わったらあれもしよう、これもしようというのがあるけれど、まだ春はもう少し先ですね。

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2009年2月14日 (土)

新国立劇場「ライモンダ」(12日)

新国立劇場の「ライモンダ」を見てきました。レニ国のこともあったので期待はしていなかったけれど、予想以上に見ごたえのある素晴らしい舞台でした。何といってもライモンダ役のザハロワがメチャメチャ美しい~shineザハロワは今まで、それほど好みのバレリーナというわけではなかったけれど、そんな個人の好みなんて関係なくなってしまうほど、バレエ芸術の世界において、完璧といっていいくらいの美しさを見せつけられた気がしました。‥‥なんて、大げさ?2009_0215_002801imgp6785

また、コールドといい、8組の男女を交えたグラン・パといい、キャラクターダンスといい、きっちり揃った緊張感がまた感動的でした。ここまでビシっと揃えられると、ほんとに言いようのない感動がわきあがってくるものなんですね。改めて新国立劇場の、クラシックバレエのレベルの高さを感じました。

これからすればレニングラード国立バレエって、けっこうゆるゆるのバレエ団だわね~。あのレニ国の後ろのほうでタラタラ踊ってた男の子たちに、この日本の男たちの気合いを見せてやりたいくらい。あんたらプロでしょうが!ってね。でも彼らにとって毎日の公演は日常のことで、日本のダンサーの公演にかける意気込みとはまた違うのかもしれません。

日本ではバレエ団員というだけでは何の保証もないし、多分食べていけないから、皆さん生徒さんをたくさん抱えていたり(それもできのいい生徒ばかりではないだろうし)男性はあちらのお教室、こちらの発表会とバイトしまくりで大忙しの日常の中、少ない公演がアーティストとしての真髄を見せる機会なのですから。気合の入れ方が違うのも当然のことなのでしょう。とにかく、いい舞台でした。

プロローグ
前奏曲のときに、紗幕の向こうで繰り広げられるドラマ。城の外庭のようなところで不安げにたたずむライモンダを、マント姿の怪しい男が見ている。「何と美しい姫だろう」とばかりに‥‥これがアブデラクマン(アブデラフマン)。こんなところで見られちゃうなんて、深窓の令嬢のくせに隙だらけ!なんて突っ込みはやめにして。‥‥そしてジャン(デニス・マトヴィエンコ)が現れ、短い間名残を惜しみ、婚約のあかしの白いベールをライモンダに手渡し、十字軍の旗のもとに遠征していく。ボリショイのような勇壮で華々しい門出ではないけれど、これで十分状況がわかりますね。とてもよくできていると思います。

第1幕
幕が開くと‥‥何か舞台が暗いわ~。私はやっぱり安っぽくてもレニ国の明るく賑やかな舞台が好き。。衣装も地味で‥‥なぜか猫耳みたいな髪飾りを付けた女猫耳軍団。舞台セットもバックの書き割りと、正面の階段と、左右にある椅子だけの簡単なもの。早くもあ~、と思ってしまったけれど、それが、ザハロワの登場とともに舞台がいっぺんにぱあ~っと明るく華やいだのには驚きました。「姫」はまた進化している!

私が最初にザハロワを見たのは2000年のキーロフで、そのあとにも何回か見ているけれど、どちらかというと苦手な部類でした。体型が他の人とかけ離れていて、まるで宇宙人に見えたし、超X脚も、出すぎた甲も、美しいというよりは極端。表情も、何かいつも同じ顔というか、まあ「姫」ですね。だけど、一昨年の「椿姫」で久々に見たときは、表現力も格段に豊かになったようで、ただ美しいだけでなく、とても伝わるものがありました。間違いなく当代超一流のバレリーナの一人でしょう。

そのザハロワを、日本でこれだけ頻繁に見る機会があるというのはすごいことだと思います。今回の「ライモンダ」でも、表現力もですが、もとからの美しさも、このクラシカルな演目の中でさらに磨きがかかっているように見えました。好き嫌いなんて関係ない、ほんとに、今これを見ずして何を見る?という感じじゃないでしょうか。脱線。

ドリス邸ではライモンダの誕生日を祝う宴が開かれています。そこへ、早々とライモンダを見染めたアブデラクマンが貢物をもって登場するのです。

あ、あの‥‥この人が「サラセン王」でしょうか?森田健太郎さんは、以前から何度か見ているけど、こんなにぽっちゃり体型だったかなあcoldsweats02 がたいがよくて腕っぷしが強そう、な役作り?といえなくもないけれど、そのぽっちゃり腕、筋肉には見えません。サラセン人って詳しく知りませんが(ヨーロッパ人から見たイスラム圏の人?)イメージとしては彫りの深い獰猛なくらいの顔でないといけないと思うのに、つるりん丸顔にへのへのもへじ的におひげを描いてみました、みたいな。森田さんのファンの方がいらっしゃったらごめんなさいsweat01森田さんは身長もあって舞台映えのする素敵な人だけど、このアブデラフマンという役が、私にはとても思い入れがある(今は幻となったルジ様のこともあるし)役なのでこんな書き方になってしまいました。

そして‥‥「王」とか「首領」とかいうからには、それなりの気位の高さと、高貴さと、ギラギラしたゴージャスさがあって然るべしと思うのに、あの地味な衣装は‥‥遠目にはジャージにランニングシャツ、ハンチング帽に見えちゃうんですよ。どう見てもトラック兄ちゃんのリーダーか、テキヤの元締め程度で、「王」ではないよね~。惚れた女の前にいきなり宝石わしづかみの下品さもなあ‥‥それはライモンダでなくても引くと思う。(ごめんなさいsweat02

アブデラクマンが帰っていくと、一同はもうすぐ帰還するというジャンの手紙と、大きな肖像画を見せます。うっとりと肖像画を眺めて喜ぶライモンダ。(でも、その肖像画がまた五月人形の熊にまたがる金太郎みたいなやつなのよsweat02あれじゃうっとりできない‥)

中間の幕が閉まり、場面転換でライモンダの部屋ということになるのでしょうか。椅子に座り、ジャンからもらった白いスカーフを大事そうに胸に抱くライモンダ。友人たちがやってきて、ライモンダの竪琴にあわせて踊ります。ライモンダもジャンを思いながらスカーフを持って踊ります。

そのあと、疲れて眠ってしまったライモンダのもとへ、肖像画から抜け出したジャンの幻が‥‥。マントなしはちょっと残念だけど、ジャンのソロがありました。そしてジャンに気付いたライモンダは夢の世界へ。真ん中の幕が開いた夢の中の世界は、バックの抽象画もそうですが、コールドの衣装もやっぱり地味~。でも、青いライトの中、それがとても幻想的でした。レニ国の「シルバー戦隊」みたいなアニメチックな衣装よりは雰囲気あっていいかも。夢の場にアブデラクマンは現れず、そのまま夢から覚めたライモンダがジャンを思いながら幕となります。

第2幕
ああ‥‥何かこの2幕が、おかしさをこらえる場面が多かったな~。やっぱり森田さんは見るからに健康優良児で、精悍さはもちろん、セクシーさも妖しさもないんで、どうしたことかと思っていたら、プログラムの牧先生の「演出ノート」という文章を読んで納得しました。ちょっと長いですが引用します。

アブデラクマンの人物像をどのように設定するかが演出の鍵になると思いました。
いくつかのヴァージョンではライモンダとジャン・ド・ブリエンヌとの仲を邪魔して無理矢理ライモンダを奪おうとする悪役として描かれている例も見られます。
しかし今回の演出ではサラセンの端正な騎士として登場させます。
アブデラクマンもジャンと同様にライモンダに恋する一人の男性なのです。
ある女性にひたすら憧れ、その女性を心から愛しているのに、彼女には相思相愛の恋人がいるという、いつの時代にも誰の間にも起こる、ある意味で普遍的な男女の恋愛模様として描きたいと思ったのです。

すごくよくわかりました。圧倒的な富と権力を見せつけ、自らの性的魅力の虜にしようとする、私の妄想の中のアブデラフマンは、はなっからいなかったのです。私はこのお話を、封建的な貞節の観念と、物質的・性的誘惑との葛藤の末に、誘惑にうちかって家を守る賢いお姫様の物語かと思っていたのです。いや、単なる横恋慕を跳ね返して愛を貫く「男女の恋愛模様」のお話なら、別に妖しさやセクシーさなんていりませんよね。とんだ勘違いでしたcoldsweats01

お話に戻りますが、アブデラクマンは何とかしてライモンダの心をつかもうとしますが、踊りの中でお友達に阻まれたりしてうまくいきません。そして今度は自分が引き連れてきた軍団の踊りを披露します。

最初のアップテンポの曲は、たぶんバチを持って踊る曲と同じ?男女の衣装がカラフルでかわいいけど、国籍不明。キャラクターダンスにしては子供っぽくて小人の国の踊りみたい‥。そのあと男女3人ずつのサラセン人の踊り。半月刀を持って踊る濃い人たちは、「アラジン」のときのジーン軍団(吉本&八幡)ですね~。そしてスペインの踊り。キャラクターダンスはレニ国みたいなはっちゃけたやけくそパワーがあってもいいのに、それもきれいにそろって、お行儀がいいのはお家芸か。

アブデラクマンはついに思い通りにならないライモンダをさらっていこうとしますが、そこに遠征から帰還したジャンが登場して決闘となります。しばらく刀を交えて戦うけれど、結構あっけなくやられてしまいます。もう~、一昨年の怪人コルプ様みたいに、とことんお前に惚れたんだ!という執念をみせろよ~!あの倒れながらもライモンダの足元に詰め寄る、野性的で激しいまなざしに殺されかかったlovely者としては、何ともあっさりした最後でした。まあ、最初からコンセプトが違うんだからしょうがないよね。

第3幕
森田アブデラクマンのおかげで私の妄想もこだわりもすっかり消えたので、3幕は本当に踊りを存分に楽しむことができました。「ライモンダ」はもともと、ストーリーの説明となるようなマイムとかお芝居の場面が極端に少なくて、その分ふんだんに踊りが盛り込まれている作品なんでしょうね。主役のライモンダはすべての場面でそれぞれ違ったタイプのヴァリエーションやパ・ド・ドゥを踊り、友人たちなどによるソロも各所にあり、コールドもキャラクター・ダンスも次々に繰り広げられる楽しさがあります。

中でも3幕のチャルダッシュと、グラン・パ・クラシックという、主役ペアと8組の男女がシンクロして踊る部分は本当に見ごたえがありました。チャルダッシュなんて、縦の列、横の列がビシっと揃っている上に、足の上げ方、手の出し方まで計ったようにそろっていて圧巻。ここまでやるか?まるで軍隊みたい!と思ったけれど、プログラムによるとハンガリー風の舞踊はもともと兵士を募るための勇壮な踊りだったそうですよ。真ん中のトレウバエフ&西川さんが決まっていました。

グラン・パ・クラシックは本当に感動しました。8組のペアがタイミングも角度も間隔も、全くずれることなく、もの悲しいメロディーとともにさまざまなリフトを繰り返し、美しくシンクロしていました。主役の男女ソロのあとのコーダで、最後に全組が女性を肩に乗せて決まったときは本当に気持ちが高揚して背筋がゾゾゾ~っとしました。鳥肌が立つってこんなでしょうかね~。ブラボーでした。

マトヴィエンコは、「バヤデール」をテレビで見た時もそうだったけれど、違和感なく(!)新国のダンサー達と同化してますねbleah 最初の夢の導入部ではやや硬い感じがしたのですが、あとになるほどよくなって、滞空時間の長いジャンプや、きれいなアントラッセが、やはり他のダンサーと一線を画して素敵でした。ザハロワは最初のピチカートのヴァリエーションからスカーフのヴァリエーション、そして夢の場の難しいバランスの入ったヴァリエーション、2幕のほとんどポワントで立ちっぱなしのヴァリエーション、そして最後のハンガリー風のヴァリエーションと、すべてにおいて素晴らしく、また出ずっぱりにもかかわらず最後まで輝きを失わない強靭さも見えました。

そのプリマの輝きをさらに引き立てた新国の、いつ何時でもピタッと揃えてくる気合の入ったダンサーたち、素晴らしいコールドなど、本当に見てよかったと思える公演でした。え?あれだけひどい突っ込みを入れているのに‥‥?はい、よかったんです。

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2009年2月11日 (水)

また、ミーハーのつぶやき(?)

しばらくバレエの話題を控えていましたが、今年の最初の関門、農村歌舞伎の舞台が終わったので、特に情報があるわけでもないし、バレエの公演も見ていないのにまた、しょうもないミーハーのつぶやきですcoldsweats01

ダンスマガジン3月号を買いました。前の2月号はシュツットガルト・バレエの公演の写真がたくさん載っていて、とてもきれいだったので、公演を見た記念に買おうかなと思ったのですが‥‥何と、出ているのはフォーゲル君ばっかりで、私がとても気に入ってしまったアレクサンドル・ザイツェフのレンスキーの写真がひとつもない!そしてあろうことか、「眠れる森の美女」3幕で好評だった(?と私は思う)あの宝石たちを引き連れた「アリババ」の写真も一枚もなかったのですcrying

確かにフォーゲル君のレンスキー(折り込みのポスターになっているし‥)は美しかったけれど、それでも一枚ぐらいザイツェフの写真が載っていてもいいよね~?小さな写真の一つもないなんて。がっかりしてしまって、ついに買いませんでした。

そして、また3月号も何という仕打ち!?ボリショイの特集なのだけれど、私の一番のお気に入りだったグダーノフ王子の写真がない!!私の好みってどんだけマイナーなのかしら?話題から外れたところに目をつけてしまうのかな?それでもワシーリエフくんのかわいい写真があったのでつい買ってしまいました。私の見なかったアレクサンドロワやザハロワの写真もあってまあまあ楽しめると思ったので。

表紙はオシポワちゃんのキトリ。これはスタジオ撮影ですね。トウシューズがきれいなんだもの。ワシーリエフくんとの舞台写真では、やっぱりボロボロのポワントをはいていました。これが本番中、オペラグラスで見て気になって仕方がなかったんですよ。なぜか1幕はみんなボロボロのポワントをはいていたのです。1幕は動きが激しいから、よほど履きなれたものでないと‥‥ということなのか?よくわかりませんが。上からドーランを塗っていたと思うので「ドン・キ1幕用」とかがあるのかしら?これが夢の場になったら、みんなちゃんと表面のサテンがテカっと光るきれいなものに履きかえていました。つまらないことだけど。

ところで、新国の「ライモンダ」が始まっていますね。こうやって書くと、少ないですが「ライモンダ」の検索で引っかかってしまうことがあります。見てもいないのにどうもすみませんsweat01でも、先月末のレニングラード国立バレエの「ライモンダ」があまりに釈然としなかったので、そのリベンジに新国も見ることにしました。この演目はとにかく主役のライモンダが踊る場面が多いので、主役がハズレだったら目も当てられないから、ここは安全をとって(などと言ったら天下の大プリマに大変失礼ですが)ザハロワの日にしました。楽しみです。

私も、普段はかなり適当な性格なのですが、興味あることに関してだけちょっとしつこい?かもしれなくて、あれから昔のキーロフ(マリインスキー)の「ライモンダ」のDVDが出ていることを知り、早速購入して、まだざっとですが見てみました。1980年ってもうかれこれ30年近く昔の映像。画質はよくないのでお勧めできませんが、主演はイリーナ・コルパコワです。

You Tube で昔のマリインスキーのレッスン風景などを見たことがありますが、そこに登場したコルパコワ先生じゃないですか。現在はABTで教えている人ですよね。ソヴィエト時代を代表する名プリマと聞いています。間違っているかもしれないけど、1933年生まれ?らしいのでこのとき47歳?ウソでしょう?信じられないくらいかわいらしくて、小柄で細身の体から繰り出す強靭なテクニックはただ者じゃない感じがします。それから何とアブデラフマンはゲンナジー・セリュツキー。ルジマトフのファンの方ならおなじみの、バレエ学校時代の彼の先生です。

セリュツキー先生は、ガリーナ・メゼンツェワ主演の「ジゼル」のDVDで、何とヒラリオンを演じていたんですよね。もう~何!このキモいヒラリオン、と思ったらセリュツキー先生でした。ごめんなさいsweat01粗野な森番という役作りではなくて、素朴にジゼルを愛していてかなり紳士的なところもあるのに、ジゼルからは全く無視の悲しいヒラリオンだったなあ‥‥‥。

メゼンツェワのジゼルも表現が細やかで美しいけれど、かなり年のいってそうなジゼルです‥‥。この映像ではとにかくコンスタンチン・ザクリンスキーのアルブレヒトがすごいハンサムで、私の友人をして思わず「ザク様heart01」(変だよね?でも「グダ様」よりいかしら?)と言わしめた素敵さheart01これは、現在発売中の小学館のDVDブック「華麗なるバレエ」の第2巻に収録されています。映像は「ライモンダ」とは比較にならないくらいきれい。お勧めかと言われると‥‥どうせ見るなら「ジゼル」はもっと新しい映像がたくさん出ているので、新しいほうがよいとは思いますが。マリインスキーの「ジゼル」はこれしかないから、マリインスキーがいいというなら、本屋さんにも並んでいて入手しやすい映像です。

脱線しましたが、「ジゼル」はそれこそいろんなバレエ団のDVDが出ているのに、「ライモンダ」はたぶんボリショイの1984年のセメニャカ主演版、1989年のベスメルトノワ主演版、あとはパリ・オペラ座のヌレエフ版のメイキング映像だそうですが、こちらは見ていません。どうせ見るならなるべく新しい映像がいいと思っているのに、「ライモンダ」は最近のものがないので、仕方なく30年前のものまで手を付けるようになってしまいましたcoldsweats01

そのマリインスキー版ですが、一見してびっくり。ああ、レニ国の「ライモンダ」はこれをベースにしていたのね~と思いました。まず、ジャンの出征シーンがないこと。ジャンの肖像画を見せられ、憧れるライモンダを見ると、ホント、顔もまだ見てない、親同士が決めた政略結婚じゃないの?と疑ってしまう感じです。当然ジャンの踊る場面も少ない。それから、ライモンダの登場の時のお花拾い、お友達が最初ロングスカートということ、白の貴婦人が登場しないことなど、レニ国版とよく似ています。

でも、1幕で早々にアブデラフマンが登場するのです。セリュツキー先生、意外だけどはまっていてカッコイイ。ボリショイ版みたいに踊るシーンが少ないことが残念。1幕で紳士的に登場し、周りの人もライモンダもあまり彼を嫌がっていないところを見ると、まるで異国の親善大使のよう。そんなことありえないと思うけど。

でも、ここで登場したことで、夢の場面でジャンとの素敵なパ・ド・ドゥのあとに、ジャンとすり替わる形で出てくることにとても意味があると思うのです。いつの間にか姿を消したジャン。そしてジャンかと思ったら、マントに隠れた男はあの妖しい異国の男だった!って、すごくドラマチックじゃないですか。それが、レニ国版ではここで初めて登場するので、何か得体の知れない嫌な奴、で終わっちゃうんだよね。

そして2幕の極めつけはジャンとアブデラフマンの決闘で、ジャンが勝ったとき、ターバンが落とされたその下はスキンヘッドのカツラだった!これ、レニ国版も同じで、ものすごく人種差別的というか、白人と有色人種、キリスト教対イスラム教、異教徒=悪者みたいな構図が見えて嫌な感じがしたのだけれど、もうこのマリインスキー版からそうだったのね。

だけど、私が見なかったペレン&プハチョフの日を見た人の話によると、ここはもっと違う意味で衝撃的だったとか?!プハチョフはそれまでカッコいい兜をかぶっていたそうです。(シェミウノフは兜なしだったけれど、あの身長で兜をかぶったらさらに巨人になってしまうし、合うサイズの兜がなかったのかどちらかでしょう。)それが‥‥アブデラフマンを倒したあとにジャンが兜を脱いでみたら、これがプハさんですよ。アブデラフマンはつるっ○○だったのが、こちらは前頭部だけだけれどリアル○○という○○対決。急に話が違う方向に行き、観客があっけにとられるコメディになってしまったのは想像するからに悲惨だったことでしょう。

脱線ばっかりですが、レニ国の「ライモンダ」がキーロフのライモンダを下敷きにしたものであることがよくわかりました。やっぱりジャンの影が薄く、ジャンがさっそうとカッコよく、しかもたくさん踊るボリショイ版のほうが私は好みかなと思いました。アブデラフマンもタランダさんが魅力的だし。セリュツキー先生も悪くないのですが、やっぱりハゲカツラといい、扱いがかわいそう。今でもマリインスキーはあれをやっているのか?見てみたい気もします。また、レニ国のこの演目が、新しい芸監によって手を入れられ、見ごたえのあるものになっていくことを期待しています。

ところで、またダンスマガジンに戻りますが、3月号にパリ・オペラ座の「ライモンダ」の記事がありました。一見して目を引いたのはル・リッシュのアブデラム(アブデラフマン)です。うわ~heart04めっちゃいい~。カール・パケットのアブデラムも超クールで吸い込まれそうな妖しさ。これすごく見たい~heart01配役はわからないけど、このヌレエフ版がいずれDVDになるという話も聞いているので、まずはDVDが楽しみです。

くだらないことにこだわってしまったけれど、明日のアブデラフマンは森田さんです。期待しすぎるとまたあれなので、期待するのは主役のライモンダだけにして、明日は新国立劇場の舞台を楽しもうと思います。

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2009年2月10日 (火)

東京都民俗芸能大会

2009_0210_093452imgp6779 日曜日に、地元多摩で「多摩のちびっ子大集合」という???なサブタイトルの付いた「東京都民俗芸能大会」があり、私の関わっている秋川歌舞伎保存会あきる野座も参加しました。

東京都の民俗芸能大会に招かれたのは2001年に東京芸術劇場で、八王子の車人形と一緒の公演をやって以来でした。あのときはかなりの盛況だったのですが、今回は会場が田舎なせいか、あるいはこのちょっとずれたサブタイトルのせいか、はたまた宣伝不足か、せっかくの東京都の「都民芸術フェスティバル」事業の一環なのに、お客さんが少なくてちょっと残念でした。

東京都指定の無形民俗文化財は、和太鼓、獅子舞、お囃子、盆踊り、木遣、神楽、民謡、手踊りなど、さまざまな団体がありますが、農村歌舞伎は「あきる野座」だけです。「ちびっ子大集合」なんていうけれど、農村歌舞伎の場合、参加する子どもは年々少なくなって、全く貴重な存在なのです。今の子は塾だの習い事だのに小さい頃から忙しく、また、それをサポートするお母さんたちも共働きだったり、子どもが小さいうちからパートに出たりして忙しくなっているので、なかなか新しく入ってくれる人は少ないのが現状です。だから、後継者不足は深刻です。

それで、他の団体はどうかな?と思ったのですが、二日に分けた公演の一日目に出た6団体はわかりませんが、今回一緒になった獅子舞の団体は、もううらやましくなるくらい子どもがいっぱいいました。多分神社の氏子が中心になってその地域の子どもたちを(半強制的に?)集めているのでしょうね。東京都でも古くからの地域はそういうものが残っているのでしょう。一方、農村歌舞伎のほうは一度廃れてしまってからの有志による復活なので、好きな人の集まりだから楽しいけれど、土地に根付いているわけではないので人集めは難しいかもしれません。

私が子どものころも地域の神社に獅子舞がありました。それには父も祖父も囃子連として参加していましたが、「神事」なので入れるのは男の子だけ。私の弟は小学校1年生の時から参加して、最初は御幣束を持って歩く先導の役、次は金棒引き、ほら貝吹き、ササラっ子など、年々出世していって、中学生になると棒使い、獅子などの花形を任されるようになるのです。ほかに大人の、一枚歯の高下駄をはいたちょっとコワい天狗様とか、ユーモラスなヒョットコとかがいました。あの懐かしい獅子舞は、今でも女人禁制なのかしら?

一緒の日に公演した昭島市の獅子舞は、女の子もたくさんササラ(漢字が変換できない!)などで参加していました。ピンクのかわいい振袖を着て、塗盆を伏せたような笠の上に花が高々とついているいでたちは、私の実家のまちの獅子舞と同じです。獅子の周りを取り囲み、竹のササラをすり合わせて「チャッ」という音を出す。私もとてもやりたかったけど、昔はあれも男の子しかできなかったのよね~。その獅子舞の舞台も見たかったのですが、今回は私も出演するので見られませんでした。S2009_0208_141531imgp6748

肝心の農村歌舞伎の公演ですが、昨年取り組んだ演目そのままの上演だったので、もう3回の舞台を重ねているし、練習の期間もあったのでまずまずの出来でした。今回はサブタイトルのように子どもをとにかく前面に出し、「千本桜」の四天王も小学生を中心にしたので、小学生はみんな2演目に出演する大活躍。それから「軍兵」役には今回新たに加わった2歳半の子も、黒子のお父さんと一緒に初舞台を踏みました。もちろん、出てきただけで大受けでした。happy01 貴重な子どもたち、どうか勉強や部活が忙しくなってもやめないで続けてほしいと思います。S2009_0208_160230imgp6767

例年の活動だと、9月、10月、11月に1回ずつ公演を行って、毎年暮れに次の年に取り組む演目や配役を決めるのだけれど、ことしはこの公演があったのでまだ決まっていません。さっそく今月中にも決めてまたことしの公演に向かって練習が始まります。素人ですから、週に1回程度の練習で何とか9月10月の公演にもっていきます。また新たな気持ちで取り組みたいと思っています。

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2009年2月 7日 (土)

「義経千本桜」木の実~すし屋

1月はバレエ鑑賞に忙しかったのですが、実は歌舞伎も1回見ました。新橋演舞場の初春花形歌舞伎の昼の部です。どうしても昨年の8月以来の笑也さんと、9月以来の段治郎さんを見ておきたくて。もちろん夜と昼、両方見たいけど無理~!どちらかひとつといったらやっぱり昼だよね~。ということで終わるギリギリの前々楽に見てきました。

今さら‥‥なので、もう忘れてしまったsweat02ことも多いけれど、一応鑑賞記録として。(ミーハーです。)

猿翁十種の内「二人三番叟」
笑也さんの男装(?)久々に見た。りりしいですheart04翁の段治郎さん、踊るところは面をつけていて残念‥‥一体何を見ているんだか。結局私の見るところはそんなもんです。猿弥さんと右近さんは激しい踊りを鏡のようにシンクロしていてナイスでした。

口上~市川海老蔵「にらみ」相勤め申し候~
夜の部は後半得チケも出たけれど、この昼の部はずっと人気だったようです。でも、たまたま取れたのでラッキー!とばかり行ってみると、私の並びはなぜかスカッとあいている。‥‥どうして?と思っていたら、この口上の前になって一人、また一人と私の前を「すみませんっ」と言って通るじゃないですか。「三番叟」上演中にですよ。(全部女性!)それで、海老蔵の口上が始まる前までには、見事に全席埋まりました。そして、威勢良く「成田屋っ!」‥‥ええっ?

私のいた列は海老蔵ファンの方々が、それもリピーターの方々がずらっと並んでいたのでした。だから海老蔵の出ない最初の演目なんて見る必要ないから遅刻してくる。そして、見ている澤潟屋ファンの私の前を通って全員、ご登場までにちゃんと席に着いてました。こんなことってある?バレエだと、遅れたら拍手のタイミングのときにそっと入って、あとはその幕が終わるまで(または場面転換まで)後か端で見ているよね。ちょっとびっくりしました。海老様ににらまれて、今年一年無病息災‥‥はうれしいけど、マナーの悪いファンにはあきれました。

「義経千本桜」~惟盛編
この話、いがみの権太だのすし屋だのが義経とどう関係があるのかわからない~!何で義経も出てこないのに、これが「義経千本桜」なの?と最初は思いましたよ。不思議ですよね~。

この長大なお話には、義経を中心にした(でも主役は狐!)「鳥居前」~「川連館」と、知盛を中心にした「渡海屋」~「大物浦」、そして惟盛をめぐるこの「木の実」~「すし屋」の三つの系統のお話があるんですよね。兄頼朝から逃れてさまよう義経、その義経が滅ぼした平家の落人である知盛と惟盛。滅びゆくものの行く末がテーマなのでしょうが、最後にちょっと心温まる「義経編」、勇壮な「知盛編」と比べると、この「惟盛編」は何だか不条理でせつなくて、あまり好きではないのだけれど。

「木の実」
壇ノ浦で死んだということになっている平惟盛は、なぜか吉野のすし屋の手代に姿をやつしている。その噂を聞いて奥方である若葉の内侍と嫡子六代君、従者の小金吾が訪ねてくるというお話。茶屋で休んでいると、土地のごろつきの「いがみの権太」にからまれて、金をゆすり取られてしまう。それがこの「木の実」または「椎の木」と言われる場面です。

段治郎さんの小金吾、りりしい~heart04長身の段治郎さんが前髪の若侍って、ちょっと無理があるかもしれないけれど、あの「ヤマトタケル」のタケヒコのようなきりっとした感じで素敵。(ミーハーです!)それから、笑也さんの若葉の内侍もしっとりとした高貴な雰囲気が漂っていていい。笑也さんは姿も美しいけれど、とにかく声がきれいなのが好きです。キンキン耳障りなわざとらしい声や、おばあさんのようなガラガラ声を出す女形は全く興ざめですから。どちらかというとホントの女性のような低めのつややかな声ですよね。普段の声はどうなんだろう?それから、権太の女房小せんは笑三郎さん。澤潟屋大好き人間としてはうれしいlovely

いがみの権太といえば、私の初見は猿之助。あと、勘三郎もテレビで見ているので、ああいう軽妙洒脱な?ワルのイメージがあります。だから海老蔵の権太って想像がつかなかったのだけれど(夜の部の弁天も‥‥)そこは普通の俳優さんと違って、いろんな役ができなくてはいけない歌舞伎役者。けっこうすごみのあるマジなワルっぷりでした。姿形がきれいだから小悪党にしておくのはもったいないくらいなのですが、尻端折りや肩脱ぎで肌が見えるところなど、さすがに若々しくてカッコよかったです。権太という役にカッコよさが必要かどうかは別ですけどね。

そのちょっと見いい権太が、小金吾に言いがかりをつけて金をゆすり取るところは、吉野人というのにべらんめえ調の江戸弁炸裂の不思議。。coldsweats01 折り目正しい段治郎小金吾からは、侍としての誇りや、みすみすこんなごろつきに金を取られてしまう「世が世なら」という悔しさがすごく伝わってきました。若さゆえの血気と、追われる立場ゆえの抑制とがせめぎあって、どうしようもなくせつない小金吾でしたcrying

一方、そのあとの権太と女房小せん、倅善太郎との、短いけれど心温まる家族の場面も印象的でした。子役の子と笑三郎さんがいい味出していました。権太はけっこう年配の役者さんが演じたりするけれど、ほんとはこのくらいの子供がいる年齢(20代)なんだよね。実年齢に近い役者さんが演じるよさもあるなあと、そんなことを再確認しました。

「小金吾討死」
ここ!私はここが見たかったのです。期待どおり端正で美しい立ち回りheart04捕り手のクモの巣のような縄の上に乗るところは、段治郎さんの背が高すぎるのか、頭が縄からはみ出してましたcoldsweats01 特別手負いらしくよろめいたりはしなくて、終始スピード感のある動きで、華々しく討死する悲劇の若侍‥うう、満足lovely もう息を殺して見入ってしまいました。で、次の内侍と若君が来て泣き場になるところで、あれ?やけに静かだなと思ってふと周りを見ると‥‥‥。

え?

信じられないことですが‥‥両隣、4~5人先まで見えるのですが、ずらっと並んだ海老蔵ファンの女性(老いも若きも)の方々は全員寝ていましたcoldsweats02 私は夢中で気がつかなかったけれど、たぶんあのツケがバタバタとうるさかった時からもう寝ていたのでは?こんなに素敵な段治郎さんを見ないで寝ているあなた方って一体何者?

「すし屋」
間の休憩は5分しかなくて、ちょっと長いのがきつかったです。就寝中だった皆様方は、いがみの権太の登場とともに再びお目目ぱっちりで、また賑やかに「成田屋っ!」‥‥はい、もうわかりましたから。

すし屋の手代(弥助)となっている惟盛は門之助さん。かなりのヤサ男ぶり。片や春猿さんのお里はすごい積極的。何か漫才を見ているようです。弥助が重そうによっこらしょと運んでいたすし桶を、お里は軽々ひょいっと持ってしまいます。夫婦ごっこの掛け合いもおかしかった。でも、弥左衛門がやってきてひとたび「惟盛」となると、突然空気が変わったように高貴な雰囲気が漂ってくる門之助さんもすごいと思いました。

弥左衛門は以前、惟盛の父重盛に助けられた恩があるため、惟盛をかくまっていますが、詮議の手が伸びてきたので、惟盛を逃がして、来る途中で小金吾の死体からとってきた首をすし桶に隠し、身代りに差し出そうとしているのです。

片や権太は父親のいない間に母をだまして金をせびり、父が帰ってきたと知るやそれをすし桶の中に隠す。そして、あとで梶原景時が惟盛追捕に来ると知って、先ほど隠した金と思って、首の入ったすし桶を持って行ってしまいます。

梶原一行がやってきて、弥左衛門一家を詮議しているとき、権太が首の入ったすし桶と、内侍と六代君(実は女房の小せんと倅の善太郎)に縄をかけて引いてくる。梶原は権太に褒美の陣羽織を与えて、捕えた二人と首を持って帰っていきます。あまりのことに怒った弥左衛門は権太に切りつけ‥‥‥。

で、ここからあとが長いんですよ。ずっと前に誰だかのエッセイで、歌舞伎を初めて見たとき、「あ、刀が腹に刺さったまましゃべってる」‥と思ったとたんに眠くなって、だいぶたってから起きてみると、まだ刀が刺さったまましゃべり続けていた!歌舞伎の悠長さにびっくりした、という文章があって、「そうだよね~」と大いに共感したことがありました。私もこのシーン、時間計ったことがあるのですが、腹に刀が刺さってから約20分間、権太はしゃべりっぱなしです。途中でやっぱり眠くなって‥‥ふと左右を見ると、

ギョッ!

何と、小金吾討死のときに一列ずら~っと寝ていた人たちが、全員起きてるではないですか。目もらんらん、オペラグラスでずっと見続けている人もいます。私もびっくりして、寝ているどころじゃなくなって、とうとうあの長ぜりフを全部聞いてしまいました。不思議な体験でした。 coldsweats02

初めて(?)寝ずに聞いていると、ずいぶんひどい話だったんですね。悪者の権太は、実は、弥左衛門が命がけで守っている惟盛を逃がさなければと思い、母親からせびった金を逃亡の足しにしようとしていたのでした。だけど金と思った中身は首。すぐに弥左衛門の意図がわかったけれど、前髪があってはバレてしまうと思い、わざわざ月代を剃って弥助の首に仕立てて持ってきたのです。そして内侍と六代君は自分の女房子供を身代りにしたものだった!

善心に立ち返ってそこまでした権太だったけれど、当の惟盛は頼朝が憎いという。それならせめてこの頼朝の陣羽織を斬り裂いて憂さをお晴らしくださいませ、とか言われて惟盛がその陣羽織を見ると、裏地に「うちぞゆかしき」という歌が書いてある。不審に思って裂いてみると、中には数珠と頭巾が入っていたのでした。つまり、梶原は最初から全部お見通しだったわけです。その昔、平治の乱で捕らえられた頼朝の命が助かったのは、惟盛の父の重盛の進言のおかげだそうで、その恩があるので惟盛を見逃して出家させようとした‥‥らしい。

それで、今まで聞き逃していたけれど、権太は、それまでのゆすりかたりの悪行のむくいもあるが、最後は「逆に命を騙られた」と言っていました。武士の世界では武士同士で内々のやり方があり、結局それに巻き込まれた庶民がばかをみる。単に身代わりを差し出す自己犠牲というだけではなくて、さらに悲しい物語だったんだなあ~。手負いの権太が息も絶え絶えに合図の笛を吹いていた、音にならないその笛は、「木の実」のときに倅の善太郎が吹いていたものだったんですね。何か、海老様ファンの皆様のおかげで眠らずに見ることができて、初めて(!)このお話がよくわかって泣けました。coldsweats01 

「お祭り」
休憩のあとは短い舞踊ものでした。祭りの華である鳶と芸者が勢ぞろいして、華やかに昼の部を締めくくりました。恒例の?手ぬぐい投げがあって、海老蔵は何と3階に向かって投げて届いていました。すごっ!

バレエばかり見ていた1月。頭の切り替えもうまくできなくてごちゃごちゃだったけれど、まずは好きな澤潟屋の方々を見られてよかったです。私の並びは、たぶん招待席か何かの戻りが出た?のか?たまたまとれた席でしたが、お互い知らない人同士なのに、まわりがみんな同じ反応をするのにはちょっと驚きました。海老蔵人気のおかげで、歌舞伎ファンもずいぶん若返りが図れていると思うけれど、皆様のファンぶりのすごさにちょっと驚いた初春花形歌舞伎でした。

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2009年2月 3日 (火)

きょうは節分

実は数日前から「恵方参り」や今年の「恵方」の検索がけっこうあり、わ~!もうそんな時期かと思っていたところでした。スーパーやコンビニの「恵方巻」商戦はここ5~6年ですっかり定着した感があるのに、一体そのルーツは何か?と深く考える人がいないのが不思議です。私もなぜ太巻きを丸かぶりしなくちゃいけないのかわかりません。検索で私の1年前の記事にヒットするくらいだから、スーパーの商戦だけが一2009_0203_130954imgp6731人歩2009_0203_092134imgp6729きして、結局誰もあまり話題にしていない(?)のでしょうね。

親切、というわけではありませんが、毎年のことなので今年も「恵方」について少しだけ。スーパーの広告などでは「東北東」と書いてありますが、実は気学では微妙に違っているのです。。というのは前にも書いたとおり。まあ、恵方巻を食べるのは「気持ち」の問題でしょうから、多少どうでも構わないといえば構わないですね。福が来るなら、試しにやってみようというときはそれで十分だと思います。しかし、宣伝は写真のとおり年々手が込んできますが、真偽のほどは???2009_0203_151439imgp6735 「食べているときは話をしてはいけません」というのに爆笑してしまいましたよhappy01 これは初耳です。

本来「恵方」を使うのは「恵方参り」です。これは古い時代からあったようで、例えば昔の城下町などはたいてい、城を中心にして恵方の方位4方向に、守護のための神社仏閣を置いているといいます。恵方は歳徳神のいる方位で、4方位あり、その年によって違います。ことしは東北東‥と言っていますが、正確には真東より5~15度北にずれたところです。(図は地図と同じ北を上にしていますが、専門的な気学の本などは逆に書くのが一般的なので注意してください)

地図でこの方向にある神社仏閣(稲荷、地蔵以外)にお参りする。キリスト教の寺院でもいいそうです。というのは、人が祈りを捧げる場所は気が高くて、天と地がつながりやすいからだそうです。右手で天を指し、左手で地を指し、その間に自分を置くということで、天・地・人がつながった状態にすることがポイント。それで、天からの「チャンス」の到来、また地の利、人の和など、そのチャンスをものにできる「知恵」を授かることを祈る‥‥それが恵方参りだそうです。普通のお参りでもいいけれど、せっかく「歳徳神」の宿る方位に行ったなら、試してみたほうがいいと思います。

お参りの時期は節分過ぎ。つまり気学上では明日から新年、九紫火星(きゅうしかせい)己丑(つちのと・うし)の年が始まるので、初詣と同じように明日から数日中がいいようですよ。そして「追い参り」を夏至と冬至の頃に(正確には日盤の陽遁、陰遁が切り替わる時期)行えばバッチリということです。

それから「恵方置き」は、このお参りでお札や破魔矢を買ったときは、それを家の中心から見て恵方の反対側に、恵方のほうに向けて貼ったり置いたりするのがいいそうです。そして、恵方の側の壁や窓辺には、今年は東に七赤がきているので、その色であるピンクかオレンジの額や小物などを置く‥‥簡単なことなのでぜひやってみてくださいね~。

私は、このブログには舞台のことばかり書いていますが、一昨年末まで3年半ほど「気学」というものを勉強していました。そして、せっかくだから覚えたことをまとめてみようと「気学」のカテゴリーまでつくっていたのですが‥‥‥そのうち他のことに興味が移ってしまい、全く何も書いていません~sweat01 というのも、実際こういう世界は微妙で、信じる信じないは本人次第だから。また、気が向いたら書くかも‥‥ということで。

さあ、明日は立春。暦の上からは明日から春です。また新たな気持ちで頑張りたいですね。

★すみません、自宅から見て恵方の方向、750メートル以上離れたところに、というのを忘れていました。気学的には750メートル離れないと方位の気は発生しないそうです。作用は距離が長くなるほどよいそうですが、そんなに遠くに行かなくてもある場合は便利なほうがいいですよね。ただ、範囲が狭いので近所ではなかなか見つけられないけれど、遠くに行くほど範囲が広くなるというのはあります。

あと、磁石の指す北(磁北)と実際の北は6度ぐらいずれているので、磁石は用いずに、あくまでも地図上で見る方位にするのが私の教わった先生の流儀でした。

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2009年2月 1日 (日)

「ライモンダ」というお話。

レニングラード国立バレエの東京での最終日、「ライモンダ」を見てきました。この演目は毎年来るレニ国でも今まで日本に持ってきたことはなく、このバレエ団での初演も2006年と、比較的新しいものだそうです。クラシックバレエの全幕ものをオーソドックスにやってくれるバレエ団なので、ちょっとは期待したのですが‥‥。

一言で言ってしまえば‥‥前芸監ボヤルチコフの置き土産、前時代の遺物のような‥‥他のものにはちょこちょこ手を入れているのに、これに手を入れないまま持ってきちゃった現芸監に、そのココロをお聞きしたいくらい。でもルジマトフは、あのガラの大興奮を巻き起こしたまま、もうお帰りになってしまったのよね。結局、どうでもいい演目だったのかも。

シェスタコワはとてもきれいだったし、ほとんど出ずっぱりで、たくさんあるヴァリエーションの一つ一つをていねいに情感豊かに踊っていたのに、特に感動するところがありませんでした。私はどうも踊りそのものよりも、作品の中にある「物語性」が見たいのです。シェスタコワはどんな演目でもそれを存分に語ってくれるバレリーナなのに、いや~これのどこに「物語」があるの?全く、シェスタコワの無駄づかいです。

なんて言ってるけど、私は「ライモンダ」って、ボリショイのDVDと一昨年のキエフバレエのものしか見たことがありません。でも、キエフバレエの「ライモンダ」は面白かった。あれは、もう一方のアブデラフマンに強烈な存在感を持たせ(コルプだったからそうだったのかな?)単なる勧善懲悪じゃなくて、ライモンダの心もグラグラとアブデラフマンに傾き、二人の全くタイプの違う男の間で揺れ動く心をドラマチックに描いていたと思うのです。瀕死の状態でなおライモンダの足元に詰めより、激しく愛を訴え、息絶えたコルプのアブデラフマン。あの濃厚さにいっぺんに心を持っていかれちゃったのは観客もライモンダも同じじゃなかったかな?

だから、たとえ同意の上での「決闘」だったとしても、アブデラフマンを殺したジャンを素直に受け入れることができないライモンダに、すごく感情移入できたのです。結局、最後は「白い貴婦人」なるものが魔法をかけて、ライモンダはあっさり忘れちゃうんですけどね。私にとってはあれが強烈な印象として残っているので、このレニ国の「ライモンダ」は全然もの足りませんでした。

まず、冒頭にジャンの出征シーンがないの。だからこれがどういう物語なのか、知らない人には全くわからないと思います。いきなりジャンからの手紙を見せられ、花を贈られる。もしかして相手の顔も知らずに、生まれた時から決められてた婚約者だったのかしらと勘繰りたくなります。おせっかいな「白い貴婦人」も出てきませんが、あれは別になくても、やっぱり最初に、愛するジャンが十字軍遠征に出かけて行って、無事に生きて帰ってきたら結婚できるんだよという説明がなければ、物語としてはすごく弱いものになってしまうと思うのです。

でも、そこはシェスタコワですから、ちゃんと見せてくれます。最初は初々しく登場して、ジャンの手紙を見る幸福感や、不在が長くなりそうだという不安も感じさせてくれたけれど。そう、シェスタコワは素晴らしかったのです。出たばかりのお花を拾うところとか、最初のヴァリエーションのアラベスクなどであれ?と思ったけれど、あとになるほどどんどん輝きが増して(普通はあとになるほどスタミナ切れになるよね?)最後のヴァリエーションなどは、威厳ある中に気品と、それからあの哀愁を帯びたメロディーそのままに、人生の喜怒哀楽、戦乱などを乗り越えて、人は気高く生きていくのよみたいな、そんな決意まで感じさせてくれました。

結婚式のおめでたい場面で、「眠り」や「ドン・キ」のような高揚感や幸福感じゃなくて、あの哀愁こもったメロディというのは似つかわしくないようだけれど、この異教徒から聖地をとりもどすという、多大な犠牲を払った長期間の遠征をバックにしている物語だからこそ、一番幸せなはずの花嫁に、わざわざああいう曲を持ってきたところがすばらしいと思うし、その原作者の思いをシェスタコワはちゃんと見せてくれたと思います。

ただ、この版のつくりがあまりにもイージーというか、バレエだからただ華やかに踊りを見せりゃいいだろうというのはねえ。原因はジャン、アブデラフマンの存在感のなさですよ。

まずジャンの出征シーンがないということは、踊る場面が少ないということ。夢の場面でもアダージョだけでヴァリエーションはありませんでした。シェミウノフは白いマントがよく似合い、さっそうとしていてカッコよかったからまだ救われたけれど、ほんとはもっと踊って、ライモンダとのもともとの相思相愛関係もしっかりアピールしておいてもらいたかった。それとも、本当に会ったこともない婚約者だったのかしら??

それからアブデラフマン。オマールという人は「ミハイロフスキー・ガラ」では最後にアリ姿で出てきた一人だけど、あまり印象に残ってない。あと今まで行った公演の配役表を見ると、「ジゼル」のヒラリオン役で出ていたみたいだけれど、これも嫌みの少ないあっさりしたヒラリオンだったかな?くらいしか覚えていません。顔がわからないほどのひげ面メイクだったので、よけいなんだけど、うわっ~!と場を圧倒するような魅力はありませんでした。最も、コルプやタランダさんなどの濃い人、特にコルプはすごかったから、比較したらいけないんだけれど、やっぱりこの役で一番重要なのはセックスアピールだと思うのです。

キエフバレエの版では、確かアブデラフマンは1幕の夢の前にも現実の場面で登場していましたよね~。婚約者の不在で、淋しい心を紛らわそうとしているときに、突然の、見たこともない異邦人の来訪。エキゾチックで刺激的な風貌、激しい求愛、珍しくきらびやかな贈り物。それは最初は誰でも怖いし、驚いて拒絶しますよ。でもやっぱり心は正直で、後で夢の中にさらに情熱的な姿になってちゃんと現れる。すごくよくできていたのです。私、いけないことなのに、こんなに夢に現れるほどあの人のことが心から離れない。どうしたらいいの?‥‥と、確か白いスカーフと赤いスカーフを両方持って悩むんですよね。

それが、レニ国版では、ジャンもアブデラフマンも初めて登場するのは夢の中なんですよ。現実味がないじゃないですか。あの夢の中もねえ‥‥プシューっというドライアイスの煙を発生させる装置だと思うけど(コルプガラでも聞こえてた)その音が興ざめだったし、あの夢に登場する男女の衣装も、鎧をイメージしているのか、シルバーの戦隊ヒーローみたいな。。アニメチックな衣装なんだよね~。シェミウノフはヴィジュアル的には申し分なくかっこいい騎士なんだけど、その愛も優しい語らいも、夢の中じゃ現実感がない。

アブデラフマンのほうも、夢の中でジャンが去った後で唐突に現れるのです。だから、今のは何だったの?あのけがわらしい夢は!私どうにかしてる。しっかりしなくっちゃ。ぐらいになっちゃったのが残念。

2幕で、今度は現実のアブデラフマンがやってきます。あの夢に出てきたのはこれだったのねとは思うけれど、やっぱインパクトが薄いのは、演じる者の力量不足か、構成の問題か。貢物を捧げ、疾風怒濤のごとく異国の踊りを披露するけれど‥。

キャラクターダンスはとても盛り上がりました。スペインみたいな踊りがあって‥‥スペインはイスラム圏になっていたことがあるから?あれが「バヤデルカ」みたいな東洋系のキャラクターダンスの中に入っているのはちょっと違和感だったけれど、踊っていたカシャネンコはなかなかかっこよかったです。彼は「海賊」でビルバント、「ムーア人」ではイアーゴを踊りましたね。なかなか濃い存在感があるのではないでしょうか。

このあとアブデラフマンとライモンダが踊り、イヤイヤな状態のままさらっていこうとしたところに正義の味方ジャンが帰還するという、案の定の勧善懲悪ものになってしまいました。ジャンとアブデラフマンは決闘をして、見事ジャンが悪者を倒してめでたしめでたし、です。

それでいいのか~!

ジャンもライモンダも、中世の厳格なキリスト教世界の人間です。名誉を重んじ、貞操を美徳とする中で、このままジャンと結婚するのが貴族の家柄を守るめにも最良のことだと思うけれど、そんな中にのこのこやってきたお門違いの異教徒をやっつけて、はい、おしまいじゃ子どものおとぎ話にもなりゃしない。

素敵なおとぎ話って‥‥お姫様は白馬の王子様を待っている一方で、そんな平穏な人生じゃなく、突然情熱的で型破りなアウトローが現れて、身も心もメロメロにされて、波瀾万丈の人生に突き進んでいってもいいって、そんな願望も持っているものだと思う。アブデラフマンは心の中の性的誘惑そのものだから、もう思いっきりセクシーで、ゴージャスで、刺激的で、もうどうにでもして~ってくらい、死ぬほど素敵でなくちゃいけないのよね。

ライモンダも、ただこの異邦人を悪者として嫌うだけじゃつまんない。石のような女じゃ魅力ないもの。このままジャンと結婚してしまっていいのかしら?ぐらいの迷いはあってもいいのにな~。平穏無事な生活かもしれないけれど、ゆくゆくはドリスおばさまのような、高貴だけど退屈な未亡人になってしまうかもしれないし。欲求の赴くまま、思いきり心を解き放って、こんな窮屈な生活じゃなくて、どこか知らない国にさらっていかれたいとか思ったりしないのかなあ。

coldsweats01‥‥‥しょうもない妄想はこのくらいにして。「ライモンダ」というお話はそんな妄想を掻き立てるものでもあるけれど、どうしようもなく平凡な作品にもなってしまうと思うのです。2月に新国立劇場でも「ライモンダ」やりますね。ちょっとは興味があるけれど、また失望しても‥‥sweat02やっぱりコルプとか、妖しくてアブナイ魅力のある人がいないとね。どこかでパリ・オペラ座のル・リッシュのアブデラフマンの写真を見た気がするけど、そのくらい、エトワールをこの役に投入するくらいでないとドラマチックにはならないのかもしれません。レニ国もシヴァちゃんとか、やったらどうなのかなあ(暴言です。)

それでも、3幕の何組もの男女が真ん中の主役カップルと同じ振りで踊ったり、一斉に女性を肩にリフトしたりするところが、ボリショイ版にもあったけれど圧巻でした。男性4人の踊りの中にヤフニュークとコリパエフがいてうれしかったheart04ヤフニュークはやっぱりのびのびしていて一番きれい。コリパエフ君も主役を経験して堂々とした踊りができるようになったようでうれしいわ。あまりの物語性のなさに、最後のほうはひたすらオペラグラスで一人一人の顔を見ていました。これだからオバサンはしょうもないの!

やっぱりコリパエフくんが一番光っていましたねshineもうかわいくて。モロゾフもマスロボエフもいて、考えてみれば豪華なコールドですよね。ほかに二人ぐらいちょっと可愛い顔の男の子がいましたが、昔はレニ国に見栄えのいい男っていなかったので、ルジ芸監になってからやっぱりだいぶ様子が変わっているんでしょうね。

しかし、全く舞台の感想にはなりませんでしたね、すみませんsweat01これでレニングラード国立バレエの冬公演は終わりました。結局5公演、コルプのガラを入れると6公演見てしまいました。いろいろ不満なところもあったけれど、やっぱりこれだけのものを短期間に見せてくれるのは、日本のバレエ団にはできないことですよね。また夏も、来年の冬も来てくれますように。

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