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2009年7月31日 (金)

ゴールデン・バレエ・ガラ(2日目)

この間「ルジマトフ&レニ国ソリスト」に2日連続で行ったのに、またもや2日連続のゆうぽうと通い。「ルジマトフ~」のときは、娘が臨海学校でいなかったし、息子は塾で遅いので、その辺のものをチンして食べて!で済みました。でも、今回は日・月で家族は皆いるので、カレーを2日分つくって出てきました。最近、うちの家族はよくカレーを食べさせられますsweat02そして、私のほうは自分でつくったカレーを、まともに食べたことはありませんcoldsweats01カレーってつくり置きすればそれ1品でも食べられる便利なメニューですよね~。どうせ誰もそれにプラスしてサラダや他の料理をつくったりはしませんから。

ということで2日目はあいにくの雨になりましたが、帰る頃には上がって、またとても楽しかったです。

≪2日目第1部≫
「ライジング・スターズ」

例のコンクールのファイナル組の少年たち。2日目はおっとっとというところもなく、元気にそつなく踊っていました。年長組の中に超かわいい子が一人。そういう子は笑顔がいいんですよね。キラッキラの笑顔。踊りはともかく、ルックスはすぐ王子様でやっていけそう。また年長の中心の子もよい動きでしたが、日本人顔に茶髪は似合わないし、ティーンの茶髪はどうしても不良っぽく見えてしまうのでやめた方がいいんじゃない?小さくても舞台慣れしてのびのび踊っている子もいましたね。やっぱりお母さん目線で見てしまいました

「フーガ」(ヤニーナ・パリエンコ&アレクセイ・コリャーギン)
前日と同じ、ボリショイの超若手が踊るコンテンポラリーの演目。

「タリスマン」(原嶋里会&秋元康臣)
この演目大好きなんですが、あまり見る機会がないのでうれしい。アダージョの曲がいいのです。お話はよく知りませんが、多分インドのお話で、天女が地上に降りて来たときに、永遠の命を保証するタリスマン(お守り)を落としてしまう。それを拾ったのが地上の若者で‥‥何だか天の羽衣みたいな話ですね~。天女は若者と恋におち、タリスマンを捨てて人間として生きていくというお話なのかな?

原嶋さんは、こんな海外のゲストばかりの中でもスタイル的に見劣りはしなくて、踊りも丁寧できれいでした。衣装がまたとても凝っていたし、秋元さんとの並びも美しかったです。出場者は皆かなり個性の強い人たちだったので、そんな中では優しく柔らかい雰囲気が際立っていました。

「ソナチネ」(オクサナ・クチュルク&ロマン・ミハレフ)
美しかったけれど、ちょっと飽きました。バランシン苦手‥‥。二人とも純白の衣装で、クチュルクのたおやかさにはうっとり。ゆったりした曲にもかかわらず、ステップはかなり細かかったと思いますが記憶があいまいです。やっぱり古典演目の方が知っているだけに印象が強いのかな。ルベランスの時に、クチュルクは右足のポワントでチョンと床を叩くんですね。それがかわいかった(それだけ?)

「サタネラ」(エフゲーニャ・オブラスツォーワ&ヤロスラフ・サレンコ)
オブラスツォーワは前日と同じ演目ですが、パートナーがサレンコになっています。NBAバレエ団のプリンシパルのサレンコさんは、実は去年、お友達のお嬢さんの発表会で見ています。ちょっと小柄ながら踊りの軽さは随一。着地も柔らかく優雅でした。でも、この綺羅星のような若手スターの中に入ってしまうと、ちょっと精彩ない感じもしたかな。

オブラスツォーワはやっぱり超キュートlovely 速くて細かい脚先の技とか、片足でチョンチョンというのを左右両方やるような、難易度高そうなヴァリエーションも笑顔で丁寧にこなしていました。コーダの脚を前に跳ね上げる回転とか、前日よりもノリノリでしたが、最後にちょっとコケたのでヒヤっとしてしまいました。怪我はなかったかしら?

「スターズ&ストライプス」(シャロン・ウエナー&久保紘一)
前日とても印象に残った楽しい演目です。久保さんはサポートがうまい。ファンシェでのプロムナードとか、頭上で手をとって回転させるところも、パートナーが脚を横に伸ばして回る時は、派手におどけてその脚をよけたり、余裕のある演技でした。そして、ヴァリエーションではカエルのようにぴょんぴょん、よく跳ぶわ!

娘のバレエの先生に久保さんのことを話したら、よく御存じでした。先生の現役時代から活躍していたかなりのベテランだそうです。岩田さんとどっちが上?と聞いたら、もちろん久保さんよ!ということでした。もう40代半ば近い?だとしたらあのピカピカの身体能力はさらにすばらしい!

≪2日目第2部≫
「アザーダンス」(アシュレイ・ボーダー&サイモン・ボール)

前日と同じ、ピンク~紫系の衣装の二人がショパンのピアノ曲(生ピアノ)をバックに踊る、ロビンスの作品。砂糖菓子のような甘さと、ほろほろとしたはかなさ。美形カップルが彩なす一編の詩のような世界でした。

「村のドンファン」(ヤニーナ・パリエンコ&アレクセイ・コリャーギン)
これも前日と同じ、若手カップルのコミカルな演目。踊りっていうよりこれは演技中心のものだよね。類型的ながら、いい味出していました。

「葉は色あせて」(シャロン・ウェナー&久保紘一)
これも多分どこかで見たことある。ABTのビデオだったかな?短いけれど全編リフトだらけの、男性には大変な演目です。もちろん力持ちの久保さんと、軽そうなウェナーですから、ずっと安心して見ていました。秋色の、ちょっとせつなげなチューダーの作品。

「ドリーブ組曲」(ミュリエル・ズスペルギー&カール・パケット)
前日の「ジゼル」で、目の前で倒れていたカールに激萌えで、踊りはほとんど見ていなかったので、今日はじっくり見たいと思ったら違う演目でした。こちらは一昨年にルグリガラで、振りつけた本人のマルティネスと、ルテステュの踊りで見ました。やっぱり記録に残してあると、その分ちょっと楽しみも増えるような気がします。

そういえば、一昨年の記事をたどっていたら、そのルグリガラのちょっとあとのマリインスキーとボリショイの合同ガラで、オブラスツォーワはやっぱり「サタネラ」を踊って、初日の最後同じところでコケているんですね。(どういうこと?)こんなことも読み返すとわかるので(まあどうでもいいことだけれど)面白いです。

この「ドリーブ組曲」の衣装はルテステュがデザインしたものだとか。長身のルテステュにはよく似合っていたけれど、小柄なズスペルギーにはちょっと重たい感じもしました。

こんな楽しい演目でも、やっぱりカールは素敵でしたよlovely 男性ヴァリエーションは「コッペリア」のフランツの曲。女性ヴァリエーションは「コッペリア」の「仕事」の曲だったんですね。そしてコーダも「コッペリア」から。ただ、この日も席が前過ぎたため、例の逆回りマネージュのときに全体が見えないから、あれ~どこへ行っちゃうの~sweat01という感じで、ちょっと焦りました。大柄なカールは、ほかの出演者に比べると軽くは見えないのですが、迫力ありました。

隣に女性づれの男性(オジサン!)がいて、気がなさそうに始終扇子でパタパタするのが気になりましたが、カールが出て来た時だけは、「お、なかなかいいじゃないか」というので、え~?わかるの?ってうれしくなりました。これも、どうでもいいことですね。

「海賊」(アディアリス・アルメイダ&ジョセフ・ガッティ)
前日、「ドン・キ」のすごすぎ超絶技巧で会場を沸かせたペア。きょうは「海賊」です。もちろんまたやってくれましたね~。すごく盛り上がりました。ガッティはゴールド系のパンツで、ものすごく芝居がかったアリ。ノリノリでした。斜め空中回転しながら舞台を回って、最後に一回転半ひねりで着地を決め、拍手喝采。アルメイダはやはりトリプル入りまくりの高速回転ですごかったです。

「ドン・キホーテ」(クリスティナ・タランティエワ&アレクセイ・タランティエフ)
この日はこのモルドバの二人がトリの「ドン・キ」を踊りました。何か、前の「海賊」が盛り上がりすぎたので、ちょっとかわいそうな感じもしましたが、このペアは私好み。アダージョでは脚一直線の片手リフトをきれいに決めていたし、頭の上からストンと落とすフィッシュダイブもきれいでした。タランティエワはまたもケレン味たっぷりでとても魅力的。好きだわ~こういうの。そして踊りがシャープ。ダンナのほうはバジルにしてはもっさりした感じでしたが、頑張っていました。

「デフィレ・ドゥ・ラ・ダンス」
しめくくりは前日と同じ、NBAバレエ団のきれいにそろった華やかなコールドと、姫と王子に変身したゲスト出演者によるフィナーレ。本当に楽しかったです。

何か、知らない人ばかりでしたが、皆一流のダンサーで、素晴らしいパフォーマンスを見ることができました。特に久保紘一さんや、コレーラバレエの二人、それからモルドバのペアは新しい発見でした。オーケストラはなかったけれど、とてもクオリティの高い公演で、チケット代からすればかなりお得で、いいものを見ることができました。大当たり~!2年後もまたきっと見ます!

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2009年7月29日 (水)

ゴールデン・バレエ・ガラ(1日目)

Photo NBAバレエ団の「ゴールデン・バレエ・コー・スター・ガラ」を2日間見てきました。長いので「ゴールデン・ガラ」とでも書きましょうか。私は初めて見ましたが、2年に1回行われているようで、今回で9回目だそうです。前に見た友人が「発表会みたいだよ」なんて言っていたけれど、とんでもない。とても面白かったし、満足できる公演でした。それで値段はSSで2回見てもバレエフェス1回より安い!出演者はネームバリューはないかもしれないけれど一流の人たちで、値段の割には本当にいいものを見せてもらったという気がします。

≪1日目第1部≫
「ライジング・スターズ」

幕が開くといきなりたくさんの少年たち。みな一様に白タイツ、白シャツ、ライトグリーンのサッシュベルト。この子たちはNBA主催の全国コンクールのファイナリストになった17名の男子中・高生たちだそうです。そういえばかなり子ども子どもした小さい子もいるし、もうちょっとお兄ちゃんかな?と思うような子もいて、身長も年齢もまちまちでした。こういう趣向は初めて見たので、なかなか面白かったです。

中にはルックスいい子もいるけど、イケメン軍団でもない、ジャニーズ系でもない純粋培養風のバレエ少年たちは、合わせる時間が少なかったのか初日少しもたつくところもあって、見ていてイタイところもあったし、「発表会みたい」というのもわかるような気がしました。それでも何より、こんなにたくさんの男の子がいるということ自体びっくり。しかもみんなそれなりにスタイルもいいし、コンクールに残っただけあってうまいじゃないですか。うちの息子もこの中の年長組ぐらいの年齢ですが、残念ながら息子は小6の発表会を最後にバレエはやめてしまいました。

息子が行っていた教室には男の子は1人しかいませんでした。先生は、教授法のセミナーか何かで男の子の生徒を連れてくるのが条件なのか、または男の子のオープンクラスに生徒を連れて行けば見学できるからか、何度かうちのできの悪い息子を「お借りします」といって外部のセミナーに連れて行ってくれました。そういう時に息子はあちこちの先生から「男の子は貴重だから、バレエ続けてね」なんて言われたそうです。だけど、今でもあの下駄足であっちゃこっちゃ飛んでいた下手くそなシソンヌなんかを思い出すたびに噴き出しちゃう。その程度だったから、やめて正解だったのかも。だって、同年代にこんなに上手で優雅なミニ王子達がたくさん育っていたのですから。

そんな感じで、まるで息子を見るような感覚で、日本のバレエ少年たちを眺めていました。作品的にはグノーの「ファウスト」の曲で白タイツの少年たちがジャンプや回転をするので、何か「ワルプルギスの夜」という演目に思い入れのある私としてはちょっと違和感があったのですが‥‥。1日目はそろっていなくてあちゃ~sweat02というところもあったけれど、2日目はそれなりによかったです。最後が組体操みたいで、ジャニーズっぽかったかな。

「フーガ」(ヤニーナ・パリエンコ&アレクセイ・コリャーギン)
いわゆるコンテンポラリーです。二人とも90年生まれの同級生ということは、まだ19歳?ってびっくりですね。去年卒業してボリショイに入ったばかりのほやほやの若手ペア。さっきの少年たちと変わらない年齢なんですね。それにしてはずいぶん大人っぽいコンテンポラリー。パンツと短い上部がシースルーの生地でつながっていて、後と前が色が違うユニタードの衣装。スローテンポの曲に、付いたり離れたりして絡み合う肢体‥‥だけど、さすがに若さなのか、さわやかな感じというか、物足りない感じもしました。

「サタネラ」(エフゲーニャ・オブラスツォーワ&秋元康臣)
オブラスツォーワかわいい!そして秋元さんはさっきの少年たちと比べればやっぱり格段に統制がとれた動き。そうだよね。「サタネラ」という演目はガラでは時々見るけど、祭りの雑踏の中で出会った小悪魔が青年を誘惑して、青年は婚約者を捨ててしまう。それでどうなったのかは知らないけど、そんな「ラ・シルフィード」みたいなお話らしいです。

オブラスツォーワは黒のチュチュでスカートの一部に赤が入った衣装。髪型は極端に横位置で分けた「夜会巻き」みたいな感じで、黒い羽が付いています。超かわいい小悪魔ちゃんでした。この人の踊りは丁寧で好感度抜群ですね。今のマリインスキーではソーモワのような長身で手足の長いスーパーバレリーナタイプがもてはやされているのだろうけれど、日本では彼女のような愛らしいタイプのほうが断然好まれると思います。冬のマリインスキー公演が楽しみです。

「眠れる森の美女」(オクサナ・クチュルク&ロマン・ミハレフ)
オクサーナ・クチュルクとロマン・ミハリョフだよね?‥‥↑プログラムの表記はちょっと違っていました。でもまぎれもないあのクチュルクです。レニ国時代はとてもかわいかったけれど、今は大人っぽく落ちついて、ほんとに美人さんですね。お顔だけじゃなくて踊りも、もう、何て美しいんでしょう。そして一つ一つの動きが緩急自在で音楽的!姫としての高貴さ、優雅さも備わって、この間見たクテポワのオーロラとは全く別物でした。

ミハレフはずいぶんオジサンくさくなったなあ~。額は思ったほど後退してない(ごめん!)けど、この人もシャドルーヒンと同じくらいで、まだそんなに年じゃないはず。さすがに息はぴったりで、サポートも良くて、踊りもノーブルで素敵でした。

オブラスツォーワといいクチュルクといい、好きなダンサーを見る幸せってありますね~。何が大事って、テクニックや演技も重要かもしれないけれど、やっぱり「好き」ということが一番。「好き」でない人がいくらすごくてもうっとりはできません。ここまでで早くも幸せな気分に浸ることができました。

「ブルジョアジー」(ジョシュア・オファルト)
ジャック・ブレルのシャンソンに乗って、黒の背広の上下にネクタイ姿なんだけれど、ちょっとヨタリ気味で、軽いコミカルな感じの作品でした。クラシックを基調にしたきれいなジャンプや回転などもある割には、ちょっと外した感じが小粋で面白かったです。公演プログラムには演目紹介が何もないのでよくわからないのですが、このジョシュア・オファルトという人はパリ・オペラ座のスジェ(ソリスト)だそうです。

パリオペにはほとんど縁がないので、私はよくわからないのですが、厳格な階級があることは一般にも知られています。エトワール、プルミエ、スジェ、コリフェ、カドリーユとあるそうですが、世界バレエフェスに来るルテステュやオレリー・デュポン、そしてマルティネス、マチュー・ガニオなどがエトワール。このゴールデン・ガラに出演しているカール・パケットやミュリエル・ズスペルギーはプルミエ(第1舞踏手)ということでした。かなり層が厚いようですね。それにしちゃ、あまり私の好みの人はいないんですけどcoldsweats01

「スターズ&ストライプス」(シャロン・ウェナー&久保紘一)
これにはまた違った意味でびっくりしました。こういうバランシンの作品もあったんですね。マーチのリズムに乗って、マーチングバンドというか、兵隊さんというか、そんな感じの二人が行進してきます。小柄でほっそりしてキュートなウェナーに対し、久保さんという人はまるっきりのど・日本人だわ~。最初の演目の男の子たちはみなスタイル良くて(皆ハンサムとは言いません…)日本人の体形もよくなったなあと感心していたのだけれど、久保さんって顔はウェナーの倍ぐらいあるし、手足は太くて短いし、ちょっと見はいいとこなし。(ごめんなさい!)みたいな感じだったけれど、これが見ているとあれ?動きに無駄がなく、サポートが的確だし、またリフトもがっちり安定していて力持ち。もしかしてメチャクチャうまい?

ヴァリエーションではいきなりの高いジャンプ、短い(‥は余計か)手足が気持ちいいくらい伸びきったキレのいい踊り。そしてアラ・スゴンドで回りながら軸足でジャンプする、傘お化け?みたいな技も披露。すごく楽しかったです。久保さんは現在コロラドバレエ団のプリンシパルだそうで、米国在住20年とプログラムにありました。知らなかったけれど、すごい人もいたのですね。

≪1日目第2部≫
「アザーダンス」(アシュレイ・ボーダー&サイモン・ボール)

二人ともかなりの美形。サイモン・ボールはスタイルはそれほどでもないけれど、なかなかのハンサムだし、アシュレイ・ボーダーのほうはちょっと見がフィリピエワ似で、笑ったところは若いころのジュリー・ケントみたいな雰囲気があります。ボーダーはニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパルで、当初はパートナーに同じニューヨーク・シティ・バレエのホアキン・デ・ルズが来ることになっていたようです。それが急な怪我とかで、ヒューストン・バレエ団のサイモン・ボールに変わったそうです。

ステージ上にピアノがあって、ショパンの曲が流れだす。上手奥からローズピンクで胸のあたりに切り替えのあるストンとした衣装の女性と、ピンクのブーツ、紫のタイツという男性がそっと手をとって踊り出す。踊りの中にはマズルカ?のような、民族舞踊的な振りもあって‥‥あれ?これは前に見たことがあったっけ?

私は最近プログラムはできるだけ買うようにしています。もう、たまって、かさばって仕方がないのですが、やっぱり買ってしまいます。というのは、昔見た公演は、ほとんどプログラムなど買っていなかったために、あの時の演目は?出演者は?とあとから知りたくなっても思い出せないからです。もっとも、今はこんなふうに見た公演の覚書を書いたりしていますが、昔はそんなこともしなかったから。で、その思い出せない公演は‥‥。

2002年のアメリカンバレエシアターのオールスター・ガラだったと思います。私は府中で見ました。そして、この「アザーダンス」を踊ったのは多分ジュリー・ケントとアンヘル・コレーラ?でも、どんなだったか全然‥‥ただ、やたら長かったということだけかな?せっかく見たのにもったいないですね。客席に西島さんがいて、サインしてもらったのは鮮明に覚えているのにね~coldsweats01

この美形ペアが奏でるショパンは、その音楽のように詩的で素敵でした。ピアニストとの目線のやり取りなんかもあったんですね。マズルカも、何だか軽くて民族民族していないところがまたよくて、浮世離れしたピンク系の衣装によく合っていました。このペアは二日間ともこの演目でしたが、また別のものも見たかった気がします。

「村のドンファン」(ヤニーナ・パリエンコ&アレクセイ・コリャーギン)
最初のボリショイ超若手ペアの2演目目。面白かったです。女の尻を追っかけるというのはこういうことを言うのねって、ほんとに手のひらを上に向けて尻を追いたてていました。ロシアの民族衣装のようないでたちだけど、雰囲気はちょっとボリショイの岩田さんが踊った「明るい小川」のアコーディオン弾きみたいな感じもあります。

泣いたり怒ったり、追いかけたり突き放したり、男女二人の掛け合いが漫才みたいで面白い。泣いて行ってしまった女そっちのけで、男は客席にまで愛想を振りまき、トランペットの音に口パクで、吠える!そしてまたこの浮気者!と怒って出てきた女を、最後は肩の上からさかさまにして、ひざの上でkiss!どこか田舎くさいけどかっちょいいドンファンぶり。面白かったです。

「ジゼル」(ミュリエル・ズスペルギー&カール・パケット)
このゴールデン・ガラを見ることにしたのは、私の好きなオブラスツォーワとクチュルクの二人が出るからです。それともう一つ楽しみだったのはこのカール・パケットでした。でも、ほんとは私、この公演のゲスト出演者で知っていたのはこの3人だけで、あとは全部知らない人だったのですsweat01

カール・パケットは確か4年前の「ルジすべ」に出ていましたね。あれも実はプログラム買ってなかったんですよ~crying でもそのときはもうこのブログを始めていたので、ちゃんと公演の感想が残っています。もしかしてそれが、私が初めて書いたバレエ公演の記録かな。何か読み返したら恥ずかしくなっちゃいましたcoldsweats01 やっぱり私も、あの頃から相当ルジマトフにいかれていたと思うのに、自覚がなかったなんて変ですよね。でも、あの頃はこんなにバレエにのめり込むとは思っていなかったし、このブログにもこんなに「バレエ大好き」の記事が並ぶなんて、さらさら考えたことはなかったと思います。おかしなものですね。

あの「ルジマトフのすべて2005」のときは、カール・パケットはドロテ・ジルベールと、ヌレエフ版の「シンデレラ」と「エスメラルダ」のグラン・パを踊ったんですよ。書き記しておいてよかったdash それが踊りの感想じゃなくて、二人ともとても美形だったっていうだけなのには笑えます。

それで、脱線しましたが、このとき見て以来の生カールはやっぱり素敵でしたlovely パリ・オペのヌレエフ版「白鳥の湖」のDVDに、ロットバルト役で出ていますが、本当にかっこいい。それからちょっと前のダンスマガジンに「ライモンダ」のアブデラムに扮した写真が載っていましたが、やはりかぶりつきたくなるほど魅力的。普段はこんなふうにダークヒーロー的な役をやる人なのでしょうか?でも、「ジゼル」のアルブレヒトもはまっていました。

この「ジゼル」も、ジゼル役のズスペルギーがかなり地味で、私はカール・パケットばかり見てしまっていました。それも、この日私は奮発してSSをとったのです。ゆうぽうとのオケなし時の前の方って、実はオケありのときの1列目と全部同じ高さ!だからオケなしの時の1列目と、s2~s4は最低最悪に見づらいんですよ。この日はs3列目下手側。(何でこんな所がSSなのっ!)でも、幸い前方の人の座高がそんなに高くなかったので、かなり近くでよく見えました。それで、私の目の前に倒れているアルブレヒトが気になって気になってlovely ジゼルそっちのけで見入ってしまいました。私ってやっぱりかなりしょうもない観客ですね。今回もそれだけの感想か?って(爆)

「白鳥の湖」より黒鳥(クリスティナ・タランティエワ&アレクセイ・タランティエフ)
お名前からわかるようにご夫婦だそうです。クリスティナさんがモルドバ国立バレエ団のプリンシパルで、ご主人はファーストソリスト。ところでモルドバって一体どこ??地図検索をしたら、旧ソ連の中の黒海の北、ルーマニアとウクライナにはさまれた国でした。ルーマニアと言えばコマネチとコジョカル、ウクライナと言えばザハロワ、マラーホフ。それなのに‥‥今の今までモルドバって国の名前すら知らなかった。

きっとその国を代表するダンサーであろうタランティエワは(それでもまだかなり若い)冬に見たキエフのマツァーク似のワイルド系美人。そして、演じるオディールもシャープでメリハリのある踊り。見せ方もケレン味たっぷりで、オディールのカリスマ性を際立たせ、もう釘付けになりました。タランティエフのほうは、それに比べたらちょっと存在感は地味ですが、奥様を優しく包み込むようで、私はとても好感を持ちました。オディールに翻弄される甘ちゃん王子の演技もちょっとかわいくて胸キュンでした。

ヴァリエーションはそれぞれブルメイステル版に使われている曲で、アダージョとコーダは一般的な曲。グランフェッテは前半ダブルが入って華やかでした。また機会があればこのお二人の踊りをもっと見たいと思いました。

「ドン・キホーテ」(アディアリス・アルメイダ&ジョセフ・ガッティ)
びっくりしました。すごすぎて笑っちゃうというのはこういうことかもしれません。このお二人はアンヘル・コレーラが設立したコレーラ・バレエのプリンシパルとソリスト。キューバ出身のアルメイダはバリバリのラテン娘。それに対してガッティはスリムな体でヤサ男風ながら、バリバリ踊る威勢のいいお兄ちゃん。

何よりすごかったのは次々に繰り出すいろんな技で、もう会場は沸きまくり。アルメイダはグランフェッテの前にいきなりピルエットでくるくると回り始め、一瞬何が起こったのかと思ってしまいました。あれは一息で6回転以上していたと思う。その後もトリプル、シングル、トリプル、シングルで半分までいっちゃって、もうすごすぎ。こんなの初めて見ました。

ガッティも負けずに、回脚ジャンプ3連発から始まり、派手な技の数々を披露していました。細かい所がどうこうじゃなくて、思いっきり陽気に盛り上げるところがコレーラ・バレエ流なのか、もう~すごく楽しかったです。

「デフィレ・ドゥ・ラ・ダンス」
フィナーレは40名以上のNBAバレエ団の女性ダンサーが舞台を埋め尽くし、華やかでした。この群舞はよく揃っていてきれいでした。そして、そのあとにコールドと同じ衣装に着替えたゲストバレリーナたちが、白タイツの王子姿となったパートナーとともに次々に現れ、舞台上は人だらけ。最後はゲストのみになってルベランスのあと、上からキラキラの紙吹雪が降ってきて、とても賑やかなフィナーレでした。

二日目の演目は半分ぐらい重複しますが、またこれも面白かったので、次回に。

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2009年7月26日 (日)

ルジマトフ2009年夏公演(続き)

今日中に書き終わらないとまたこれから、NBAバレエ団の公演を見に行くのだから‥‥と思うけれど、頭がやっぱりボ~っとしていて、ばかに長くなってしまったりしてなかなか進みません。後半はサクッと。

≪第2部≫
「ディアナとアクティオン」(オーレシア・ガピエンコ&アンドレイ・ベーソフ)

コールド付き。ちゃきちゃきガピエンコ姉さまには合っている演目です。でも、男性の赤パンツの衣装が何とも恥ずかしいsweat02似合えばいいけど、いや、私がもし仮にイケメンダンサーでもこの衣装は嫌です(爆)コールドの女の子たちは何か素人っぽいところがあるけれど、このお二人はやはりプロの見せ方ですね。

「眠りの森の美女」よりグラン・パ・ド・ドゥ(ヴィクトリア・クテポワ&ドミトリー・シャドルーヒン)
シャドルーヒンを見るのは2年ぶりでしょうか。相変わらずソフトな優しい雰囲気でホント、王子様ですね~。おぐしは‥sweat02かなり気になるけど、やっぱりおなじみのダンサーが目の前で踊ってくれるのはいいものです。これでオーロラがシェスタコワだったら最高なのに!

クテポワは冬のコルプ・ガラでもこれ、踊りましたよね。長い手足、長身小顔で優雅な雰囲気、美しい容姿(いしだあゆみに見えてきちゃうのは目の錯覚?)とヴィジュアルではいうことありません。それに、こちらは最初の「白鳥」と違って表情も豊かで、それなりに見せてくれました。

「ラ・シルフィード」よりパ・ド・ドゥ(ユリア・ルンキナ&ミハイル・シヴァコフ)
シヴァコフのキルト姿がかわいい!!こんなに似合うとは思いませんでした。絵本から抜け出たようなスコットランド青年でした。もともとスタイルはいいし、脚もきれいなのよね。髪型もルジ様をねらっているようなくるくるカールした長めの黒髪。ヴィジュアルはばっちりでした。振付はブルノンヴィルとあったけれど‥‥あのロン・デ・ジャンプの足さばき、痙攣してるみたいで(失礼!)ブルノンヴィルには見えない?ような。。でもつま先はきれいだし、連続する小さなジャンプもきちんとこなしていました。ルンキナさんは雰囲気はまったくシルフィードなんだけれど、表情が硬くて、もう少し芝居っ気があってもいいのになと思いました。

「NEO BALLET~牧神の午後~」(西島千博)
暗い都会の高層マンションのような一室。真ん中にソファベッド。そこに頭を抱えて座り込む青年。何だか「若者と死」に似た雰囲気を漂わせながら、もっと硬質で現代的。ドビュッシーの音楽にも合っていて、なかなか面白い演目でした。

上手側のブラインドを開けると、サーッとオレンジ色の光が入ってくる。これが夕焼けの色なのか、夜の街の明かりなのかわからないけれど、この部屋が高層階にあって一般世界から孤立しているような雰囲気を作り出しているのです。西島さんはフィギュアスケートのように首を切らずにくるくると高速回転するのが得意技。柔軟性もあるんじゃない‥‥あのカチコチのデジタル「海賊」は何だったんでしょうね?そういう意味で言うと、やはりクラシックよりこういう方が向いています。

そういえば、スタダン時代に西島さんがロビンス版の「牧神の午後」を踊ったのを見たことがありましたが、あれもとても素敵でした。孤独な若者を演じるには、本人のキャラは明るすぎるけれど、実態のない異性?を見つめながら、そして結局のところ自分だけしか見ていないようなピュアでナイーヴな青年像を等身大で演じていました。あれから10年ぐらいたっているのかな‥‥?

こちらの「牧神」は、部屋を出たくても出られない引きこもり青年?それは現代における社会から孤立した異形の者=牧神‥‥なのかもしれません。そして「若者と死」のように女や死神が入ってくるわけでもなく‥‥‥後半上からポールが降りてくるのです。そこに巻きつけられた一枚の長いスカーフ。異界から降りてきたような不思議なスカーフを手に取り、そして悩ましげなしぐさも一瞬。若者は何を思ったかそのポールにつかまり、登ろうとするけれど、片手でぶら下がったままで見えなくなってしまう。

西島さんの衣装は、前をはだけた白いシャツに、切りっぱなしのジーンズ。これが、二日目は後半紺の水泳パンツ一丁で現れたのでびっくり!その方がずっとインパクトあるけれど、あ~この人も相当なナルシストだったのね。いろいろな意味で面白かったです。

「シェヘラザード」よりアダージョ(イリーナ・コシェレワ&ファルフ・ルジマトフ)
コシェレワは、もちまえの清楚な雰囲気はそのままに、またほかにはない新鮮なゾベイダを演じていました。でも、ほんとのところはルジマトフばっかりに目が行ってあまり見ていないというのが正解かな。ごめんね。

この演目も、誰が踊ってもいいというわけではない演目。昨年マハリナとグズネツォフのを見たけれど、何でこれがルジマトフじゃないの!!と、やっぱり思ってしまいました。奴隷だから粗野、には違いないのですが、ただ野性的なだけではいけない。やはり王妃のお気に入りだけあるゴージャスな雰囲気も兼ね備えていなくてはならないし、そこには必然的に暗いドロドロした影の部分もなければならないし、幾分の哀愁も帯びていなければならない。

ハーレムの女たちが王の留守中に奴隷を解放して一夜の歓楽の饗宴にふける‥‥そんな禁お子様な内容にもかかわらず、これを香り高い刹那的な愛の物語にしてしまうのは、やっぱりこの人ならではだと思いました。本当にそれをまた目の前で見ている幸せでいっぱいで、何と言ったらいいかわからない、至福の時間でした。

回転は多少ぶれているところもあった気がするけれど、ジャンプは単発のジャンプなら、このガラに出ていた若手の誰よりも軽く、誰よりも伸びやかで、健在ぶりがうかがえました。また、ペレンやシェスタコワに比べれば(そういえば今までもマハリナやザハロワなど、けっこう長身のバレリーナとも違和感なく踊っていたのですね)多少小粒だけれど、決してガリガリなどではないコシェレワを、がっちりリフトしていましたから、思わず「よっしゃ~!」と思いましたね。私の心配事など全くの杞憂でした。冬の「バヤデルカ」が楽しみだ~!

ああ、もう終わっちゃったのね。もっとずっとずっと見ていたかった。ルベランスは1回だけで、後はすぐにフィナーレへ続きました。まずコールドが出てきて踊り、それからワンペアずつ短いパを披露。そしてルジマトフの登場‥‥西島さんは残念ながら、さすがのイケメンぶりもかすんでいましたが、フィナーレもとても楽しそうに愛嬌をふりまいていました。いい人なんですよ~!

またも花束隊がずらっと並び、見なれた花束贈呈。こんな光景がまだまだ続きますように。二日目のカーテンコールは長く続き、何度も拍手に応えてくれました。最後幕間からジャンプで登場したときには、私も思わず「キャ~っ」と叫んでしまいましたよ。これも1月のガラ以来です。本当に、ファンの喜ぶツボをちゃんと押してくる‥‥今までこんなことはなかったような気がしますが、いいじゃないですか。ルジマトフ自身も踊る喜びを改めてかみしめているようで、本当にこの日は芸監の顔ではなく、100%ダンサーの顔をしていましたね。それがまたとてもうれしかったです。何よりもまだ踊る気満々の姿勢が見てとれたことがファンにとっては最高の贈り物でした。これからもダンサーとして、またさらに第3、第4の花を咲かせてほしいです。

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公演終了‥。

ず~っと楽しみにしていた「ルジマトフ&レニングラード国立バレエのソリストと サンクト・ペテルブルグのダンサーたち」の至福の2日間が終わりました。まだ私はぼ~っとしていて、まるで祭りのあとのようです。ああ、もう終わっちゃった、そんな感じ。(しかし、この長い公演名、何とかして!)Simg_0002

1月のガラであんなに素敵なサプライズを見せてくれたのに、なかなか「次」のお知らせがなくて、やきもきしていたところに届いたこの公演のお知らせ。あれからどんなに楽しみに待ったことか。演目こそ昨年、一昨年と踊っている「阿修羅」、そして一昨年も踊った「シェヘラザード」と、新鮮さには欠けたけれど、もうこのまま引退しちゃうのかなweepなんていう心配もあっただけに、ルジマトフが再び踊るというこの舞台は本当に楽しみでした。

3年連続の「阿修羅」は、また違った趣がありました。初演の時は研ぎ澄まされた修行者のようでした。そして、昨年は中性的な色彩と繊細さが加わっていました。そしてことしは、一回りたくましくなった身体に渾身の力がみなぎるようで、その変化に驚かされました。本当に、この人は引退どころじゃない。同じ演目を踊りこんで、いつのまにかまだどんどん深化させていたのです。

そして「シェヘラザード」は、相手はマハリナじゃなくって、何か手近なところで調達?と思ったコシェレワだったけれど、これがまた清楚な魅力で結構な奮闘ぶり。本当に、このスキャンダラスな内容の演目をここまで美しく、ナイフのエッジを踏むような危うさで、命がけのぎりぎりの歓喜と情念を見せてくれる人はいないと思います。あの絶品の金の奴隷は健在だった‥‥ファンとしてこんなにうれしかったことはありません。

では、順を追って。

≪第1部≫
「白鳥の湖」よりグラン・アダージョ(ヴィクトリア・クテポワ&ミハイル・ヴェンシコフ)

7人+7人のコールド付き。ヴェンシコフっていつからレニ国にいるのか、私はよく知りませんが、何か初めて見たような‥‥長身だし、なかなかハンサムで素敵な王子様です。踊りもまあまあだったと思います。

クテポワはもう一昨年の「ルジすべ」からお馴染みの、言わずと知れた芸監夫人。とうとうマリインスキーから正式移籍ですか。そうですよね‥‥って妙に納得できちゃうのが何とも。でも、ルジファンの嫁いびり的バッシングの中、あの頃から比べたらずいぶん踊りはよくなったような気がします。

可憐な雰囲気からは想像つかないけど、結構なずぶとさを持った人ですね。本当に、昨年の「海賊」は、まったくバレエ学校の生徒さん??みたいな感じでしたから。それからすれば、ちゃんと進歩しているのはかなりの負けず嫌いか努力家か。とはいえそれは見た目の形だけのことで、このグランアダージョに一番必要な王子との心の通い合いとか、運命的な出逢いに揺れる心とか、そんなドラマをこの中から要求するのは無理でした。それにあんなにスリムなのに、リフトで重そうなのは何で?‥‥なんて、嫌な嫁いびり婆smileみたいなのでやめておきます。

もともと美しい容姿、長い手足、首、ほっそりとした体型など、あらゆるプラス要素を持っている人なのです。そしてバッシングにも負けない神経と、こんな中でも多少なりともよくなっている努力は評価されるべきでしょう。でも、レニ国に移籍して、これからこの人の全幕主演を見たいかと言えば‥‥どうかなあ。。。姑根性丸出しと思われたら心外だけど、私はやっぱり見ないかも。ごめんなさい。

「くるみ割り人形」よりパ・ド・ドゥ(オレーシア・ガピエンコ&アンドレイ・ベーソフ)
この二人はサンクト・ペテルブルク・コンセルヴァトワール・バレエの人なのでしょうか?プログラムにもソリストぐらいプロフィールを載せろよ!と言いたくなってしまうほど、この人たちのことは何もわかりません。それどころか、このバレエ団?バレエ学校?のこともこのプログラムの記述では全然わからない。

前に、この劇場のHPを教えてもらって見たことがあります。それは何年も更新されてないもので、何だかな~と思いましたが、レパートリーを見ると主要な古典演目がずらり。7月に「白鳥の湖」だけで13回も上演するというのは、バレエ学校というよりも、何か観光客向けとかに毎日有名作品を上演している劇場‥‥という感じもするのですが、それはあくまでも想像です。

このお二人は、バレエ学校の生徒さんのようには見えません。もうちょっと年がいっている感じ。そして何かとても舞台慣れしている感じがしました。きっとこの劇場の看板ペアなんでしょう。まるで毎日上演している大衆演劇の芸人さん風‥‥などといったら失礼でしょうか。

ペーソフさんは初日、ちょっと緊張気味のようで、ところどころすごい音がしていましたが、全く足音なくきれいに着地する時もあるんですよね。ガピエンコさんのほうは小柄な姉さん風。最初ちょっと腕の動きが違和感のある踊りで、背中から肩にかけてが硬いのかな?と思ったけれど、二日目は見慣れました。もう少しポールド・ブラに柔らかさがあればいいんだけれど。でも、なかなか芸達者で、手をアン・オーにしたり、アロンジェにしたりして回るフェッテ、それも時々脚を前アティチュードにしたりする回転が緩急自在で、軸もぶれないし、この人は回転系が得意なんだと思いました。

二人の息はよく合って難しいダイブを何回も決めていました。何より、この踊りからははっきりと幸せ感が伝わってきて、私も幸せを分けてもらったような気がしました。最初の演目が無味乾燥だっただけによかったです。

「海賊」よりパ・ド・トロワ(イリーナ・コシェレワ、西島千博、ミハイル・ヴェンシコフ)
最初、この演目を西島さんが踊ると発表されたときは本当にびっくりしました。何で??だって、これはルジマトフの十八番演目ですよ。それを居並ぶルジファン前で踊るなんて相当な度胸!それと、最近の西島さんの踊りは見たことがありませんが、大丈夫?というのもありました。その後西島さんの演目は「牧神の午後」と発表されて、この「海賊」は立ち消えになったのかなと思っていました。ところが、プログラム見てびっくり。やっぱり踊るのね!それで‥‥。

いや~西島さんはちゃんとアリを踊っていましたよ。それもめっちゃ力の入ったアリ。衣装は茶系のハーレムパンツで、ああ、青でなくてよかったという‥‥(爆!)登場の瞬間から満面の笑みにはまた驚きました。ず~っとそのまんまの笑顔で、こんなに笑顔満開なアリも初めて見たような気がします。そして、すごいイケメンオーラ!思いっきり「僕を見て!」って観客にアピールしてきます。これ自体、もはや「奴隷」じゃないよsweat02

でも、この人のめちゃめちゃ陽性なオーラは健在なんだなあ。今度またスタダンが新キャストで「ドラゴンクエスト」を上演するけれど、やっぱり西島さん以外の「白の勇者」は考えられないくらいのはまり役です。やんちゃで明るくて、そしてちょっと情けなくて‥‥つい頑張れって応援しちゃう。西島さんはそんな「白の勇者」そのもの。どんなにとんでもない奴隷でも、あの満面の笑顔で許せちゃう。そんな人だったことを今思い出しました。

踊りは、振り付けは一緒なのにちょっと流派が違う?みたいな。変わったものを見せてもらいました。正直こんな踊りは初めて見た気がします。力入りすぎ。止まるところ、ポーズを決めるところなどをいかにも力入ってます!みたいにビシっと決める。そしてそこそこスピード感があるから一応ちゃんと見られる。いわば「デジタル」?な踊りでした。一方で「あそび」がないというか、ふくらみがないというか、マネージュで回るところも滞空時間が短い(!)から、1日目は音楽より早くなって、音が余ってしまっていました。でも、あの満面の笑みが可愛くて、何やっても憎めないんですよ。得な人です。

コシェレワはかわいかったです。メドーラ合いますね。本国では全幕で踊っているのでしょうか。ただ、グランフェッテが2日ともどんどん下手にずれていっちゃって‥それでもフィニッシュは笑顔で決めていました。ヴェンシコフはコンラッドのバリエーションを踊ったのだけれど、一目で好きになったメドーラを奴隷商人から奪って自分の洞窟に連れてきた場面なんですよ。もう少し嬉しそうに踊ってくれたらいいのにな。手下のアリばっかりあんなにず~っと笑顔をふりまいていて、こりゃ一体どういうお話じゃ?

「阿修羅」(ファルフ・ルジマトフ)
正直何でこれを3年も続けて見なきゃいけないの?と思ったけれど、やはり見せるだけのものがあったのです。1年目のような白パンツ姿に、今回はまた首まわりと腕に仏像的?なアクセサリーが加わっていました。それがものすごく似合っていて、またも息をのむ美しさ。そう、46歳のルジマトフが信じられないくらい美しいんですよ。少しのよどみもない流れるような動きもさることながら、ひとつひとつの決めポーズといわず、その途中のどこをとっても本当に美しくてshine涙が出てきちゃったくらい。

また、初日のライトに浮かび上がった瞬間の彼の姿にも驚かされました。芸術監督になって第一線を退いたように思えたここ2年ほどの間、何か見るたびにスリムになっていっちゃって、大丈夫かなと正直心配していたのです。ところが、この振り付けにあるどこか武術の鍛錬にも似た一つ一つの動きに力がみなぎり、一回りたくましくなった身体と筋肉が躍動するのを見たら‥‥もう、俄然冬公演が楽しみになりました。この人は冬の最後の「バヤデルカ」に向けて、いや、きっとこれからまだまだ踊り続けていくために、再び身体づくりを始めていたのです!ファンとしてこんなにうれしいことはありませんよね!

それから、昨年のボリショイ公演で、これを振りつけた“サムライ”岩田さんの活躍を目の当たりにしました。岩田さんを取り上げたドキュメンタリー番組も放送されました。あれは本当に感動的だったのです。その岩田さんの人となりを知ってみると、彼がこれをどういう思いでルジマトフに振りつけたのか、「阿修羅」に対する岩田さんならではの思い、そんなものがかなり伝わったような気がします。「阿修羅」は異国で戦い続ける岩田さんの姿そのもののようでもあり、その具現者ルジマトフは岩田さんの理想の姿でもあったのでしょう。

そういえば、阿修羅のルーツであるシルクロードのかなたは、ルジマトフの出身地でもあるのですね‥‥今回はまた特に、日本的な笛や鼓の音楽にもかかわらず、視覚的にはその西方のエキゾチックな香りが色濃く出ていたように思います。異国の神が降臨したような、3年目の「阿修羅」はまた格別に素晴らしかったです。

「ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ(オクサーナ・シェスタコワ&ミハイル・シヴァコフ)
コールド&第1ヴァリエーション付き。この二人の「ドン・キ」は冬のミハイロフスキー・ガラでも見たけれど、この間の「親子バレエ祭り」といい、わけわかんない人たちばかり見ていたせいか、もう本当に「待ってました!」と言いたくなるくらい懐かしかったし、うれしかったです。やっぱりいいなあ~。好きなダンサーを見る幸せというのでしょうか。シヴァコフも、シェスタコワも、特別ご贔屓というほどではないけれど、大好きだし、もうずっと前から見ていておなじみのダンサーなわけです。そんな二人が踊るのを見るのはホッとするし、本当に幸せheart01

シヴァコフは2年前の「ルジすべ」でも「ドン・キ」を踊ったけれど、あのときはまだ全然「ドン・キ」じゃありませんでした。技術云々よりも見せ方が甘くてスペインっぽくない。それが、この冬見た時にはバリバリのスペインの伊達男になっていました。そして、今回はまたそれが全開で、しかもずっと自然な笑顔。シェスタコワも、冬は異様なくらい遅いテンポの音楽で、ピリピリするほど緊張感のあるプリマの輝きを見せてくれましたが、今回はとてもリラックスしていて、お澄まし屋のシェスタコワがこんなににこにこ笑っているのは初めてじゃないの?と思うくらいかわいらしい笑顔でした。もう踊るのが楽しくて仕方がないというような笑顔。踊りももちろんよかったです。やはり他の人とは格が違いました。

それなのにどうしてシェスタコワは1演目しか踊らないの?!サンクト~の同じペアが2演目、クテポワだって2演目も踊るのにcryingシェスタコワはギャラが高いんでしょうか?もう、今までのレニ国の夏ガラに比べると、コスト削減路線が見え見え。でも、そんなことになっても、やはりルジマトフが出てしまえば、それは最高の公演になってしまうんですからね~。

というわけで、後半に続く‥‥‥。

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2009年7月22日 (水)

親子で楽しむ‥‥バレエ祭り

「親子で楽しむ夏休みバレエ祭り」を見に、府中(初日)に行ってきました。2009_0712_085614imgp7752 ここから私の今年後半のシーズンが始まります!といっても、この夏は去年のロイヤルやABTのような来日公演はなくて、ただただバレエフェス一色ですね。チケット買いそびれていましたが、運よく知人から譲っていただけることになり、Aプロだけ見ることになりました。しかし、4階サイドのC席でも15,000円ってほんと、どんだけ~!?

あとは「ルジマトフ&レニングラード国立バレエのソリストとサンクト・ペテルブルグのダンサーたち」という、長い名前の公演。楽しみにしていたこの公演もいよいよきょう、これからに迫りましたheart04

その、夏のバレエシーズンの始まりを飾るには、この「親子バレエ祭り」はちょっと悲しい公演だったかも。。というのも、会場入ってびっくり。ガラガラだったんですよ。うしろ3分の1はもうほとんど人がいなくて、サイドもぽつぽつ。2階席は見なかったけれど、推して知るべしです。ちょっと前ならどんな公演でも、こんなことはまずなかったと思うのですが、最近は時々こんな状態に出会うことがあります。これも不況の影響かなと、淋しく思いました。

バレエフェスのようなバレエファン向けの特別なイベントは、あんなバカ高いチケット代にもかかわらず全9公演が完売だそうですから、バレエファンの熱が下がったとは思えません。バレエファンはご飯食べなくても見たいものは見るでしょう。だけど、この「親子バレエ祭り」のような、今までバレエを見たことのない子どもたち向けの企画は、これから先、少子化ということも考えるとかなり厳しくなっていくでしょう。

不況でまっ先に切られるのは娯楽だと思います。それも、ディズニーランドには行くけれど、子どもたちの情操教育というか、夢というか、美しいものを見て感動したり、豊かな心を育てるというようなことは後回しにされてしまうのではと、少なからず危惧を覚えます。不況のせいで世の中ますます即物的になり、殺伐としていってしまう気がします。

その一方で、主催者側にも問題があるのでは。毎年お姉さんの「皆さんこんにちは~!」の甲高い声で始まって、解説があるのはいいのだけれど、毎年同じ1番~5番の足のポジションの実演。バレエの解説はそれだけじゃないだろうに‥‥。リピーターの人はほとんどいないのでしょうか?

あと、一昨年のレニ国、昨年のサンクトペテルブルク・アカデミー・バレエと、結構チケット代の割には見ごたえがあって、よかったのですが、今年のモスクワ・クラシック・バレエは知名度も劣るし、ちょっと内容的にもいまいちだったのです。

この公演の中心、モスクワ・クラシック・バレエは、確かマラーホフやガリムーリンが若いころにいたバレエ団だったと思います。マラーホフがアルブレヒトを踊った「ジゼル」のビデオを持っていますが、若い頃のマラーホフは美しいけれど、このモスクワ・クラシック・バレエのほかの人々がいまいちで‥‥特にペザントの男女ともにとっちらかった踊りが印象に残りすぎsweat02どういうバレエ団かは知りませんが、そのビデオのために印象はあまりよくなかったのです。

そのモスクワ・クラシック・バレエに、モスクワ音楽劇場のプリンシパルであるナタリア・クラピーヴィナとゲオルギー・スミレフスキーがゲストとして出演している形のこの公演。このお二人はご夫婦だそうですが、私は、一昨年のモスクワ音楽劇場バレエの公演を見て、特にスミレフスキーの「白鳥の湖」の演技がすばらしく、もっと見たいダンサーの一人になりました。この二人のゲスト、私にはとても楽しみだったけれど、知名度はそんなに高くないし、特にこの公演を選ぶお母さん方には無名も同然じゃなかったでしょうか。

そう、観客は今まで通り100%親子連れで、しかも子どもは小学生以下というのが多かったです。うちの娘のように大きな子供は一人もいませんでした。それでも大人一人で行くよりは恥ずかしくないので、昨年に引き続き連れて行きましたが‥‥この娘がまたとても口が悪くて、見終わったあとのツッコミが手厳しくてsweat02(高校生にまで突っ込まれる本場のロシアバレエって‥?)まだ初日過ぎたばかりなので、あまり断定的なことを書くのはやめておきますが、大体こんな感じでした。

≪第1部≫
「眠りの森の美女」より ローズ・アダージョ

オーロラ姫はリューボフ・セルギエンコ。スタイルもよく美しい人です。アティチュードのポーズも高くてきれい。が、やはり初日のせいか、一番肝心のバランスがいっぱいいっぱいで、途中4人の王子の2人まで行ったところで大きくバランスを崩してやり直しになってしまいました。(だから曲の中では、3人で終わってしまった)王子のうち2人はかなりのイケメン系。私ってそんなことしか見ていませんねcoldsweats01

せっかくもらったバラの花を、オーロラが舞台端にぽいっと投げたので、「あ、捨てちゃった!」と子供たちザワザワ。それを拾い集める1人の王子がとても優雅に拾っていて、あまりに優雅なのでうちの娘はそちらに気を取られていて、オーロラは見てなかったそうですcoldsweats01親子して何だかね~。

「白鳥の湖」より4羽の白鳥
毎回こればっかり‥‥初めて見る人には面白い踊りなんでしょう。音楽には合っていたけれど、パッセが低い、途中から先頭(左端)の子が下ばっかり見てる、最後バラバラ。

「ゴパック」
これも初めて見る人にはダイナミックで爽快な演目ですよね。でも、どうしてこの人がこの演目?と思うくらい着地がまずく、膝を痛めないか心配なくらいドタンバタン。大きく斜めに回転しながら舞台を回る技の時、全然手足が伸びてなくて、こんなのあり?‥文句が多いですね、ごめんなさい。

「ルースカヤ」
私が知っているのとは違う振り付けだったけれど、最初はゆったり、中盤からだんだんと盛り上がっていくこの踊りの高揚感が伝わって、これはよかったです。ただ、照明が暗すぎると思いました。

「眠りの森の美女」より 赤ずきんちゃんと狼
さきほどのドタンバタンを見てしまったので、このオオカミさんのふわっと浮かび上がるようなジャンプには感動しました。そう、これでなくちゃいけません。ひときわ長身のイーゴリ・キセリョフ。いったい何者?と思ったけれど、悲しいかなかぶりもので顔が見えませんでした。ほんのちょっとしか踊らなかったのに、男性ではこの人ののびやかさがダントツでした。

「ドン・キホーテ」より グラン・パ・ド・ドゥ
クラピーヴィナ登場、待ってました!以前「くるみ割り」で見た時は小柄でかわいらしい印象でしたが、さすがにピシッと決まるキレのいい動きは、キトリですね~。だけど‥‥バジルがスミレフスキーじゃない?どうして??

あとでK社のHPを見たら、スミレフスキーは30日の習志野公演からの参加ということでした。でも、チラシには何も書いてなかったので、私はてっきりスミレフスキーが見られるものと思っていました。楽しみにしていたのに~crying

バジルを踊ったのは最初のローズアダージョで中心の王子を務めた、モスクワ・クラシックのプリンシパル、アルチョム・ホロシロフという人でした。王子という感じではなかったけど、バジルならまだいい‥‥でもこの人もさっきの人ほどではないものの、やっぱりドタバタで、着地のたびに踊りの流れが止まってしまうのはいかがなものか。初日だから?まだエンジンかかっていないのか、粋な感じはなく、ちょっとボーっとしたバジルでした。

クラピーヴィナはアダージョの最初のほうこそ、ロクロ回しで大きく傾いたりしてハラハラしたこともあったけれど、そのあとは元気でスピード感ある踊りを見せてくれました。ヴァリエーションは扇なし、パッセ連続バージョン。コーダのグランフェッテはシングルでしたがきっちり正確に回っていました。ブラボーでした。

それから、第1ヴァリエーションを踊った人(たぶんこのあと妖精を踊ったアリョーナ・ポダヴァロワという人だと思う)が、とても長身で、手足が長く、それも伸び伸びとしていて気持ちのいい踊りでした。グランジュテが高く、連続しても180度開脚は変わらず、着地もきれいでした。ゲスト以外の女性ではこの人がナンバーワンだと思いました。

≪第2部≫
「シンデレラ」より ハイライト

前半は、バレエを初めて見る人なら、ダンサーたちは皆スタイルはいいし、きれいだし、まだ初日ということを差し引いたら、今までの「親子バレエ祭り」とそんなに遜色のあるものではありません。
でも、後半のこれはどうでしょうね~。はっきりいって演出が‥‥。

ハイライトならハイライトで、例えば春夏秋冬の踊りとか、王子とシンデレラの踊りとか、そんなものだけでつなげてもよかったのに、何かいじりすぎなんです。シンデレラのお話を無理やり縮めている感じで、そのはしょり方も、それから衣装その他も、日本人が一般的に持っている「シンデレラ」のイメージとかけ離れているために、何が何だかわからないものになってしまっていました。周りの親子の会話を聞いていても、子どもに尋ねられたお母さんのほうが困惑している感じ。(以下、突っ込みが多いので、これから見る予定の方は読まないでください。)

まずシンデレラが床磨きをしていて、そこへ意地悪お姉さんたちが来ていじめるシーンがあるんだけれど、シンデレラの衣装が‥‥シマシマのニーソックスにミニスカート。そして不細工な木靴。何かこのシマシマソックスとミニのボロルックがポップで、清純なシンデレラのイメージと合わないのです。それからお姉さんの衣装も、斬新?かもしれないけれどまるで下着みたい。

このシンデレラの木靴は、確かYou Tube で見たワシーリエフ振付の「シンデレラ」にもありました。古ぼけた木靴をお母さんの形見のように大事にしていたのだけれど、老婆がやってきて、裸足の足が冷たそうなのでその木靴をはかせてやった‥‥その老婆があとで、シンデレラに魔法をかけて舞踏会に行かせてくれる妖精(仙女)になるのです。

でも、ここではただの不細工な木靴をはいているだけでその理由がわからない。そして老婆も出てこないのにいきなり妖精(仙女)が出てきてシンデレラにきれいなドレスを着せてくれる。なんて早い展開なの??四季の精も時の精も出てこなくて、時を告げる時計のプラカードを持った妖精が出て来た時には吹き出しそうになりました。こんなところだけわかりやすすぎる。

それから後ろの幕が開いてお城のシーンになるんだけれど、すぐに王子様が出てきて一緒に踊り出す。この王子が先ほどのホロシロフさんです。踊り出したと思ったら(もっとたっぷり二人の踊りを見たいのに)もうお時間。シンデレラはガラスの靴を残していなくなってしまいます。

それから王子の靴探しの旅が始まります。まずはスペインに。踊りのあと、王子が現れ、いきなり女性の足にガラスの靴を合わせてみるのですが合いません。何?と突っかかる女性にいやいや違う!と王子。失礼な態度に逆上したのか、スペイン女の荒い気性のためか、何と王子に剣を投げつけ決闘を挑む!男じゃなくて女がです。あれっ、これってコメディだったんですか?

次は中国にまで飛んでしまう。中国を踊っている男性は、先ほどのオオカミさんのキセリョフ?(配役表の段がずれていて、よくわからない)顔は、中国メイクでやっぱり良くわからないんだけど、どっちかというと王子よりロットバルト系かな?ワイルドで素敵な人でした。せっかくの長身がこの踊りでは生かせなくて、もっとこの人の踊りを見たいのに欲求不満でした。獅子舞の獅子のようなのが現れ、4~5人で女性をリフトするなど、面白い趣向なのですが、かなり突っ込みどころもありました‥‥。ここでも王子は唐突にやってきて靴を合わせてみるのですが、合いません。(当たり前でしょ)

そして果ては北極まで!!この踊りがかなり笑えた。何で北極まで行くんだか。。王子は寒~っというジェスチャーで出てきたものだから、ちょっと会場から笑いが。王子なんだからコートぐらい着なさい!しかも従者も連れずに‥‥。ここでもアホな王子は失礼な振舞いで怒られ、すごすごと逃げ帰ります。

そしてついにシンデレラの家にいきつく。あとは御存じのとおり、お姉さんがだめならお母さんまで靴を無理やりはこうとするドタバタ展開。シンデレラは下に先ほどのきれいな衣装を着こんでいるので、家の中なのに不自然にマントを着ています。マントに木靴。これも日本人の持つシンデレラのイメージとかけ離れているんだよね。わざとらしくもう一つの靴を落としたシンデレラはその場でぱっと衣装が変わり、素敵な白のドレスに‥‥このあとの王子とシンデレラの踊りがほとんどなくてweep ここがクライマックスなのに。もうちょっと見たかったです。

せっかくのクラピーヴィナも、かわいかったけれど、踊る場面が少なすぎ。王子はかなりコミカルで、後半からの公演ではこの振り付けをそのままあの演技派のスミレフスキーに踊らせるんだろうか?と思うと、ちょっとかわいそうな気もしてきました。

というわけで、これからまだまだあるのにこんなことを勢いで書いてしまって申し訳ありません。まだ初日だったということもあるし、またスミレフスキーが参加する頃には雰囲気も変わっていると思います。得チケもまだいい席がのこっていましたから、半額ならさすがにお得だと思います。私も得チケにすればよかったsweat02

「親子バレエ祭り」も、手頃でよかったけれど、もう娘も大きくなってしまったし、来年からはもう見ないかもしれません‥‥。スミレフスキーが見たかったよ~crying 楽しみにしていただけにそれがとても残念。観客も少なかったし、ちょっと淋しい公演でした。

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2009年7月17日 (金)

時代劇好き。

最近、また時代劇専門チャンネルをときどき見ています。実家に行くと父が一日中見ているのですが、私は自宅ではほとんど見たことがありませんでした。あれもね~、いつも「暴れん坊将軍」や「鬼平犯科帳」ばっかりで、よく飽きないなあと思っていたのですが、その「暴れん坊将軍」に栗塚さんが出演されていたのですね。

以前、時代劇専門チャンネルの特集で、栗塚さんがゲスト出演した回を何本か続けて放送したものを見たことがあったけれど、あれ以外にも時々山田浅右エ門役(準レギュラー?)で活躍していたようです。あるときは介錯役、あるときは刀の鑑定士、そしてあるときは隠密‥‥と思っていたら、今週の回を見たら、唐突に薬箱を持って登場し、怪我人を治療する医者?になってました!はたして、その実態は??

シンさん(松平健)いわく「山田殿は居合の使い手、刀傷にも精通しています」‥‥そうなんですか~!?まるで多羅尾伴内並みの多彩さです。私はめちゃくちゃミーハーなので、こんなこともツボなのですが、誰もわかってくれないsweat02‥‥ですね。

私は昔、ごく若いころのマツケンのファンになり、「暴れん坊将軍」の最初のシリーズはよく見ていました。でも、今放送している第6シリーズ(94年)、というより、80年以降は全く見たことがないといってもいいのだけれど、意外なところで栗塚さんが活躍されていたんですね。90年代といえば、すでに50代半ばだったと思うけれど(現在のマツケンぐらい?)いや~「俺は用心棒」の野良犬を演じていた頃と少しも変わらぬ素敵なご浪人ぶり。あの誰にも真似の出来ない渋いお声を聞くだけでしびれます。今月から来月にかけて、ぽつぽつと登場する回があるのを教えていただいたので(まゆこさん、ありがとうございます!)しっかりチェックして、しばらく「暴れん坊将軍」で楽しむことができますlovely

最近の時代劇というのは見ていないのですが、昔の時代劇ってなかなか面白かったんですね。ばかばかしいし、これどっかで見た?みたいな同じような話も多いのに、それでも見てしまう。江戸時代にこんなことはありっこないということだって暗黙の了解で許しちゃうのはどうしてでしょうね。

この間も、録画予約をするのでちょっとチャンネルを切り替えたら、ちょうど「大江戸捜査網」の、松方弘樹が登場するところをやっていました。1970年といったら40年前。「燃えよ剣」と同じ年です。「燃えよ剣」が、司馬遼太郎の独特の歴史観に基づいて、半ばリアルな幕末の群像劇を描いているのに対し、こちらはまるっきり荒唐無稽な娯楽作品だけど、今見ると目新しいこともあって、ついそのまま1本見てしまいましたsweat02

大体、隠密同心がさ~あんなに目立つ白頭巾姿になってどうするのよ?(この感覚信じられないsweat02)それも仮面ライダー並みのスピード変身!(着付けに時間がかかるだろうに‥)それにせっかく変装しても子供にだってばれてる(爆!)この放送当時、私は小学生だったけれど、もし見ていたらやっぱり突っ込んでいたかも。。。でも、ものすごく若い松方弘樹がかっこいい。流暢な江戸弁も粋だわ~。私のタイプじゃないけど、あの人こそ、町人でも、博徒でも、鳶頭でも(番組中では“板前”だった)はたまた殿様でも、浪人でも、何でもさまになっちゃう人ですね。一方栗塚さんのほうは、殿様はともかく、鳶頭や板前など軽い役はやっぱりキャラじゃないでしょう。そこがいいんですけど。

それから、舞台では八面六臂でも、テレビ時代劇ではずっと単一イメージの、仁左さまの「眠狂四郎」。あれもいよいよ新シリーズですが、もう見なくてもいいかな‥‥。何か、暗いのよsweat02仁左さまはとても美しいけれど、暗すぎる!何人も人を斬って、ニヒルだけど、見終わった時にどよ~んと暗い気持ちになるのはいかがなものでしょうね。やっぱり時代劇は単純な勧善懲悪のほうが爽快で、気が楽です。それにしては「冥土の土産に円月殺法をごらんにいれよう‥」なんてセリフを真似して、一人で悦に入っているんですけどsweat01

「燃えよ剣」はじめ新選組ものは歴史を下敷きにしているから、もちろん暗い面もあります。敗者の歴史だから、結局最後は滅びるのだし。でも、「燃えよ剣」などは特に、演じる人の体当たりのリアルさが、この時代を懸命に生きた人々の姿と重なって、言いようのない感動を覚える作品です。その栗塚さん主演の新選組シリーズが、何とまたこの秋から時代劇専門チャンネルで放送されるとか。特に9月予定の「新選組血風録」は楽しみです。

65年の放送当時はもちろん見たことがなく、白黒作品ですから、その後、私が新選組に興味を持ってからも再放送はありませんでした。初めて見たのは90年代になって、ビデオシリーズが発売されてから。それをレンタル店で借りて一通り見ただけです。一昨年に時代劇専門チャンネルで「栗塚旭特集」をやったときも、うちはまだ映らなかったので見られませんでした。(後半だけ実家に頼んで録画しましたけど)あれがもう一度見られるなんてうれしいですlovely

それから順番に、10月は「燃えよ剣」、11月は、今年4月にも放送した73年版「新選組」、12月には81年の「いのち燃ゆ」だそうです。全部栗塚さんの土方歳三で!すごいですね。きっとリクエストもたくさんあったのでしょうね。

「いのち燃ゆ」は今年3月に放送していて、私も後半から見ていましたが、時代劇としては斬新でなかなか面白かったです。ただ、17話から登場する栗塚さんの土方歳三は、どちらかというと敵役で、「燃えよ剣」のイメージの土方とは全然違うので、ちょっと悲しかった。。時代の流れに翻弄され、流転する人々を描くこの作品の中で、どんな状況になっても節を曲げることのない人物として終われたのがせめてもの救いだったかな。

というわけで、5月に突然、栗塚さんのイベントに参加して以来、いろいろな人から情報を教えていただけるので、節操無く時代劇もまた見ています。来週からはまたしばらくバレエ鑑賞が続いてしまいますが、見に行くのはバレエ、家で見るのは時代劇?と、何だか変なとりあわせだけど、またこの夏も楽しみたいと思います。

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2009年7月15日 (水)

7月歌舞伎座 夜の部 その2

引き続き、先週の観劇の感想。興行はまだあと2週間あるので、これからご覧になる方にはネタばれになってしまうかもしれません。

≪天守物語≫
大正9年に発表された泉鏡花の戯曲ですが、鏡花の生前には上演されることはなく、初演されたのは発表から34年もあとの昭和26年だったそうです。この作品への鏡花の思い入れは一方ならぬものがあったそうですが、初演後も、この現実離れした世界は理解されることがなく、不人気に終わっていたようです。昭和52年に、当時27歳の坂東玉三郎が富姫役を演じてから、その後はずっと玉三郎によって演じられて人気を博している演目。私はもちろん、鏡花作品自体見るのは初めてでした。

【前半】
幕が開くと、そこは夕焼け空の上にぽっかり浮かんだような、天守閣の最上部。童女たちの歌う「通りりゃんせ」のもの悲しい響き。そこには魑魅魍魎というか、下界とは切り離された天空の住人たちの世界が広がっています。それぞれ秋の花の名前が付いた美しい腰元たちは、雲の上から釣り糸を垂れ、露を餌に下界の花を釣っている。それを中央に祀った獅子頭に供えるために。最初から何という突拍子もない世界!‥‥これは姫路城に伝わる伝説をもとにしたファンタジーだったのです。

やがて女主の富姫(玉三郎)が帰ってきます。急な雨に「案山子から蓑と笠を借りてきたの」というその姿は、浮世離れした美しさの上に、俗世の蓑笠をまとった何とも不思議な光景。そこへ天を飛ぶ駕籠に乗って、妹の亀姫(勘太郎)が遊びに来ます。これがまたほわんとした、天然入ってるお姫様。そして「はい、お姉さまにおみやげ。きっと喜ぶわ」と言って持ってきたのが何と生首。それが血で汚れているというので、一緒にやってきた舌長姥がぺろぺろなめてきれいにするのです。再会を喜ぶ美しい姫二人の前に供えられたむさい男の首。。。それをおっとりと笑いながら眺める姫たち。ま、こんな怪奇も入った不思議世界ですsweat02

富姫は妹のために用意した土産の兜が、実戦に使われたものではないために、妹の素敵な?お土産に比べたら見劣りがしてしまうと言いだし、ひとしきり遊んだあとで、下界の鷹狩りの様子を見て、亀姫が「きれいな鷹」と言ったその鷹を、天守閣まで呼び寄せて、亀姫へのお土産に持たせて帰してしまったのでした。

【後半】
夜になって、闇の中からこの最上階に珍しく人間の姿が現れました。花道のスッポンのところが階段になっていて、そこを上ってくるのですが、姫路城でも松本城でも、大阪城のようなコンクリートでない、本物の?城に行ったことがあればすぐにイメージがわきますね。最上階に上るのは、決まってあんな感じの狭くて急な階段だから。

二代前の藩主の時、美女の呪いを封印した?といういわくつきの天守閣に、久方ぶりにやってきた人間は、若く美しい図書之助(海老蔵)でした。海老さま、「夏祭」の大阪弁の侠客は相当無理してつくり込んだ感じでしたが、こういう役はもうそのまんまですね~。そのまんまがいいということではないですが。歌舞伎は今までそんなに回数見てないので、どんな爺さんでも白塗り化粧をすれば「姫」になれるのを、半ばうんざり、半ばあきらめで見ていましたが、昨年の7月歌舞伎で、海老&玉の「吉野山」を見てから、役者のヴィジュアルがいいとこんなに素敵なんだ~lovelyと認識を新たにしたところです。またその「最強の並び」というところでしょうか。

図書之助は、例の、鷹狩りの鷹を富姫が呼び寄せ、亀姫へのお土産に持たせてしまった‥‥その鷹を藩主の命で探しに来たのだと言う。人が恐れて近寄らぬこの場所に一人で来たのは、既に閉門蟄居を言い渡され、切腹を命じられている身だからですと告げます。富姫は図書之助の言葉に、下界の人間にはないさわやかさを感じ、この後どんどん彼に惹かれていく、と思ったのですが‥‥「切腹させたくない」と言いながら図書之助を返してしまったり、一度下の階まで行きながら、化けものたち?に明かりを消されてしまい、また戻ってきた図書之助を「帰したくない」なんて言いながら秘蔵の兜を与えてまた返すところなど、よくわからないことばっかり。

一体この姫は図書之助に恋したのでしょうか?日ごろ上から眺めて、馬鹿にしていた下界の人間たち。その中にも図書之助のように、美しい姿、美しい心を持った人間がいたのだ‥‥そういうシチュエーションはわかるのだけれど、実際の行動が不可解でわかりにくいのです。それが鏡花ワールドなの?兜なんか持たせて帰すものだから、下界は大騒ぎになり、図書之助はかえって追い詰められ、それなら富姫に殺されるほうがいいとまた天守に登ってくるのです。

今度はたくさんの追手がやってきて、二人は獅子頭の中に隠れるのですが‥‥動き出した獅子頭に蹴散らされた追手は獅子の目を狙い、目を傷つけられると、獅子はその場で霊力を失って倒れてしまい‥‥。富姫が、先ほど亀姫からもらった例の生首を追手の侍たちに突きつけると、それは藩主の弟の首で、藩主にそっくりだったところから、侍たちは驚いて首を持って逃げ帰ってしまいます。だけど、そんなことをしたらよけい大騒ぎになってしまうじゃないですか。

その後、獅子頭から出てきた図書之助と富姫は、目が見えなくなってしまっていたのでした。いきなりの弟の首に驚いて、やがてまた追手がやってくることでしょう。このKYなお姫様がやることは、下界の汚れた世界の人間にはみんな裏目に出てしまうのです。下界にもこんな汚れない心の持ち主がいるというのに、それを救うことができない自分を悔しがる富姫。図書之助は後悔もなく、富姫とともに死ねるなら‥‥と二人はここで初めて心が通い合ったのでした。

そのとき、どこからともなくこの獅子頭を彫り上げた名工の翁が現れ、傷ついた獅子頭の目を彫り直すと‥‥‥不思議や、二人は再び目が見えるようになり、お互いの無事を喜び合うのでした。

美しいファンタジーですね‥‥‥恋が成就した?二人はこのあとどうなったのでしょう?地上の若者と、天上の姫、というより、妖怪?に近い姫じゃないですかsweat02‥‥そういうのは考えないで、お伽話的に、二人はいつまでも天上で幸せに暮らしたのでした。めでたしめでたし、でいいのかもしれませんね。

ただ、玉三郎の姫が、あまりに「格」がありすぎて、こんな下界の若造をどうして好きになったのかその過程がよくわからないのです。最初に出会ったとき、「何と涼しい声」というようなセリフもあったようですが、惹かれたようには聞こえなかった。あと、お互いの姿の美しさに恋したのなら、もっとじっと見つめあうようなところがあってもよかったのに、私、見逃したのかな?ほとんどなかったのですよ。

図書之助のほうも、姫をそんなに見つめたりしては恐れ多いと思うけど、それでも目が見えなくなる前に好きになったというのがはっきりわかるような何かがほしかった。とても真面目な堅物の印象で‥‥というか、やっぱり姫が立派過ぎなのかな。

富姫は、セリフを聞いている限り決して取り澄ました姫などではありません。藩主が鷹狩りなんかしてうるさいから「夜叉ヶ池のお友達に頼んで大雨を降らしてもらったわ」とか、「急な雨にみんな逃げ惑って面白いこと」とか、またそうやっていたずらで降らせた雨なのに、自分で濡れて帰ってきちゃうような、そんなお茶目なところもあると思うのに。何だか玉三郎の硬質な冷たい美しさのせいか、かえって近寄りがたい雰囲気が出てしまっているのです。

だから人間に恋しちゃったというのがあまりにも唐突に思えてしまいます。うっそ~!?みたいな。もうちょっと見ている者の心まで熱くなるような恋物語にしてくれたらよかったのに。と、鏡花作品は何も知りませんが、日ごろバレエなどで恋物語ばかりに浸っている?私としては、あまりのあっさり感に拍子抜けしてしまったのでした。

歌舞伎だって濃厚に恋心を表す場面があると思います。やっぱり印象深いのは、「ヤマトタケル」で、夫の仇として追ってきたのに、話すうちにどんどんヤマトタケルに惹かれていって、ついには殺すことができなくなってしまう兄橘姫とか‥‥あの場面何度見ても(3回見たけど)胸キュンでしたheart04スーパー歌舞伎とは違う文学作品だから、もっと崇高さを大事にしていて、そこまではあからさまにしないのかもしれないけれど、何か素人の、鏡花作品初体験の私にはとても物足りなく感じてしまったのでした。二人の役者さんのヴィジュアルがよかっただけに。

今月の夜の部はとても面白かったです。最近、歌舞伎を見ると眠くてしかたなくなる時が1か所は必ずあって、どうしたものかと思っていたのですが、今回そんなことはなく、両方とも本当によかったです。もう一度ぐらい見たいけれど、来週からのバレエ鑑賞のスケジュールを考えると無理ですね(残念!)

「夏祭」のほうは、合わない町人姿と大阪弁で奮闘していた海老さま。家柄、容姿、体格などすべてに恵まれて、今後何十年にもわたって歌舞伎界に君臨していく人だろうと思うから、若いうちから様々な役に挑戦し、体験することができているのは素晴らしいことだと思います。でも、彼って本当はオールマイティな役者を目指すタイプではないような気がするのですが。勘三郎や仁左衛門など、どんな役をやってもさまになる、そういう役者になるのでしょうか?わかりませんが、無理にイメージ外の役をやらなくてもと思うのは余計な御世話ですね。

一方、玉さまの方は、今までそれこそいろんな役を演じてきたと思いますが、一貫して冷たいほどの美しさの女形。鑑賞歴が乏しいのでわかりませんが、おきゃんな町娘ってないよね?マリインスキーのプリマ、ロパートキナがオーロラ姫役を踊ったことがないというのを聞いて、意外な気がしましたが、合わない役はやらない、そんな姿勢があると思うのです。(それにしちゃテリョーシキナはオーロラ踊るsweat02)玉三郎はライフワークとして、これからも鏡花作品に取り組んでいく意欲を示しているようです。そうやって自分に合った方向性を見出していくのもまた素晴らしいと思います。

ファンというほどではありませんが、今後も美しい海老&玉を見ていきたいと思いました。

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2009年7月13日 (月)

7月歌舞伎座 夜の部

Photo 歌舞伎座さよなら公演が続いていますが、今月の筋書きの表紙を1枚めくった写真‥‥何かこんな光景を見るとせつなくなりますね。あと10ヵ月、この入口を何度入ることができるでしょうか。

7月はバレエ公演が多いので、歌舞伎は行かないつもりでした。でも、せっかく澤潟屋の方々(笑也、春猿、笑三郎)が歌舞伎座にご出演なので、見られるうちにと、先週初めに行ってきました。

今回の夜の部は海老蔵が大活躍。2演目とも面白くて退屈することはありませんでした。ただ、私が行ったのはまだ初日から間もなかったので、セリフをかむ人、止まる人もいてありゃりゃ‥‥(まあ、聞き流せばわからない程度ですが)若手中心はいいけれど学芸会みたいだなと思っていたら、釣舟の三婦(さぶ)役の市蔵さんは前日からの急な代役ということでした。もともとの猿弥さんは病気休演とか。猿弥さんの恰幅のよさそうな三婦も似合っていると思ったのに残念です。

よく思うけれど歌舞伎って、1ヵ月の興行が終わって次の初日まで1週間ぐらいしかありませんよね。朝から晩まで舞台はお客さんが入っているから、リハもゲネプロもないという話は聞いたことがありますが、公演中に次の公演の稽古もして、間の数日で合わせるのでしょうけど、すぐ初日になってしまう。だから最初のほうと後のほうは違うのは当然?‥‥といっても私などは1回しか見に行かないのでわかりませんが。

よくテレビのドキュメンタリーなどで見ると、終演後のロビーにゴザを敷いて稽古していたりして、ホントかなあと思うけど、歌舞伎ってそういうものなのでしょうか。その上さらに急な代役なんて、多少なりとも素人芝居に関わっていたりすると、もう信じられません。プロはそれを当然のこととしてずっとやってきているのだからすごいなあと思います。

≪夏祭浪花鑑≫
現代でも人気のこの演目は江戸時代中期、享保の改革のあとの時代、有名な「菅原伝授手習鑑」や「仮名手本忠臣蔵」よりちょっと前に初演されたものです。実は私は生で見るのは初めてでした。勘三郎さんのはテレビで2種類(勘九郎時代のニューヨーク版と、昨年のベルリンでの録画)見ていますが、とても面白いお芝居ですよね。

序幕:住吉鳥居前の場
最初は、まず主要な登場人物が次々に現れる趣向。喧嘩沙汰で投獄された主人公、
団七九郎兵衛(海老蔵)が釈放されるというので、住吉大社の前まで来て待つ釣舟の三婦(市蔵)。そこへ駕籠に乗った磯之丞(笑也)がやってきて何やら駕籠かきとトラブルに。それを納めて磯之丞を先に茶屋にいかせると、今度は団七が役人に連れられてやって来る。

団七は罪人の扮装で、ひげも月代も伸び放題。そのむさくるしい姿で、「おありがとうござりまする」なんて言うのだけれど、あまりの似合わなさにまず会場から笑いが‥‥。そのあと、床屋に入ってすっきりした姿で出てきたときは、普通はかっこいい!となるのだろうけれど‥‥イケメン俺様な外見のためか、町人も大阪弁も似合わないんだよねsweat02この大阪弁も何日かすれば滑らかになっていくのでしょうか?(初役ではないはずだけど)どうもこの役は、勘三郎さんの軽妙洒脱な味がスタンダードになっているので、変な感じでした。

恋仲の磯之丞を追ってきた傾城琴浦(春猿)。春猿さんは相変わらずきれいlovely団七は琴浦を横恋慕する悪者から救い、磯之丞のところへ向かわせる。そのあとまた、琴浦を返せと一寸徳兵衛(獅童)なる者が言いがかりをつけ、派手な喧嘩になるんだけど、それを住吉大社のお参りを済ませて出てきた女房お梶(笑三郎)が仲裁する‥‥という、ごちゃごちゃとわかりにくいのですが、要するに、ここでひととおり登場人物の紹介をしたというわけですね。笑三郎さんのきっぷのいい世話女房役は合っていますね~。

徳兵衛はお梶に恩があるということがわかり、さらにこの夫婦と縁がある磯之丞は自分にとっても主筋‥‥ということで、さっきまで大立ち回りをしていた二人なのに、ここで片袖を交わして義兄弟の仲となるのでした。

二幕目:難波三婦内の場
定式幕を閉めただけで休憩なしで次の場面へ続きます。難波に住む釣舟の三婦(さぶ)のところに磯之丞と琴浦がかくまわれているのですが、二人は大変な状況もどこ吹く風で、仲良さそうに痴話喧嘩などをしています。私は笑也ファンなので、笑也さんの立役姿を見たかったというのが、今回これを見た第一の理由。きりっとした女形が素敵な笑也さんが、こんなふわふわした女以上に頼りない若殿役なんて~と思ったけれど、貴人特有の鷹揚で、どこか放っておけないところがある、そんな「つっころばし」の雰囲気はうまく出ていました。

この磯之丞の親の殿さまは、よほどいろんな人に恩をかけている大人物なのでしょうね。こんな、遊女にいれあげ勘当されるようなダメ息子でさえ、たくさんの人が助けてくれる。それどころか、このあと、こんなバカ殿のために庶民が血みどろになって殺し合いまでしてしまう‥‥その馬鹿らしさ悲しさが、一つのテーマかと思われます。

祭りにかこつけて様子をうかがいに来る悪者もいて、ここでは安心できないので、三婦の女房は訪ねてきたお辰(勘太郎)が国元に帰るというので、しばらく磯之丞をかくまってもらえないかと頼みます。お辰は二つ返事で引き受けるのですが、三婦は、突然任せられないと言い出す‥‥ここからがお辰の見せ場。

勘太郎さんはさすがに昨年の海外公演やコクーン歌舞伎などでお辰を演じ続けていたので、めちゃくちゃこなれていて、もうそこだけ別世界というくらい濃い演技をしていました。テレビでは見ていましたが、本当にうまかったです。これでは代役にたったばかりの三婦はたじたじ。顔に焼きコテを当て、傷をつくってまでやり通そうという女の心意気。ハラハラしながらも胸のすくような思い。すごかったです。引っ込む時の「ここでござんす!」にはもう大拍手でした。

そのあと、義平次が駕籠で迎えに来て、三婦の女房をだまして琴浦を連れて行ってしまう場面~団七がそれを知り、一大事とばかり追いかけていく場面は、とてもスピード感のある展開でした。

大詰:長町裏の場
そして、この演目の最大の見せ場。義父の義平次が意地悪く団七をいじめ抜き、それにじっと耐え続ける団七。義平次役の市蔵さんは、代役の三婦と大変な二役。三婦のほうは少し貧弱で物足りない感じがしたけれど、本来の役の義平次はもうこのねちねちといやらしい感じがすごかったです。

団七は磯之丞と琴浦のことを引き受けたのに、ここで琴浦を連れて行かれたら男が立たぬと訴え、必死で義平次に駕籠を戻すように懇願するのだけれど‥‥う~ん、海老さま、やっぱりこういう役は合ってないかな‥‥。

ところが、雪駄で額を割られ「男の生き面を!」とキレるところからはすごかった。やはりルックス、体格ともに恵まれているので、このあとの殺し場、様式美を見せる見得の数々は、どれもすごく決まっていて、カッコよかったです。

逃げる義平次を執拗に追いかけて殺すシーンは、一見残酷なように思えますが、誤って付けてしまった刀傷でも、親を手にかけることは当時としては最も重い罪。殺したあと、井戸の水で刀を洗うところ、足が震えて滑るところ、最後に「悪い人でも舅は親、親父殿、許してくだんせ」と言うところなどが、凄惨な殺し場だけれども、平気で人を殺したわけではないことも見ての通り。侠客というか、チンピラのような男でさえことさら節にこだわり義を重んじる‥‥何か、現代のちょっとのことで平気で人を殺してしまう事件などとは違うと思いました。

表通りの神輿を担いだ若い衆がなだれ込んで、祭りの喧噪の中で逃げ惑う団七。最後まで息つく暇もなく見入ってしまいました。よくできたお芝居、とても面白かったです。

長くなってしまったので、もう一つの「天守物語」はまたこのつぎに。

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2009年7月 5日 (日)

新国立劇場 「コッペリア」

先週、2月の「ライモンダ」以来の新国立劇場に行ってきました。去年は「カルメン」「アラジン」「シンデレラ」と見たし、最近は割と、私にしては新国、見ているほうです。会場の大きさもそんなに大きすぎず、後ろの方でも見やすいというのがいいところ。オーチャード・ホールや国際フォーラム・ホールAなどは「これでS席??」と言いたくなる、遠い遠い席までSであきれてしまいますよね。それから、新国は前の方でも傾斜があるので(フォーラムAなんか、11列目までまっ平よ!)人の頭が気になることもなくて見やすくて好きです。また、ゲスト公演でもチケットの値段は同じで、割安感があるのもうれしいです。Img

またまた大分時間がたってしまいましたが、29日にタマラ・ロホ&ホセ・カレーニョで、ローラン・プティの「コッペリア」を見ました。プティ作品は昔、熊哲とデュランテの「カルメン」と、テレビで「ノートルダム・ド・パリ」、あとは小品をいくつか見た程度でしたが、何となく敬遠気味でした。それでも、この「コッペリア」は古典を下敷きにうまく構成してあり、小粋でおしゃれな雰囲気もあって面白かったです。

≪第1幕≫
まず、舞台がとてもシンプル。1幕の街の広場は、普通の、スワニルダの家とコッペリウスの家が左右に向かい合っているような舞台ではありません。何か都会の路地裏のような雰囲気で、グレーの石造りの建物が正面にあり、上手に小さなドア、そして石のバルコニー(というより、ちょっとコワイ、落っこちそうなところ)そこがアパートのコッペリウスの部屋のようです。一般的な「コッペリア」に比べるとずいぶん無機質な感じがします。

正面の建物は兵舎なのか、その右半分からぞろぞろと同じ制服姿の兵隊さんが出てきたり、左半分からはピンクやブルーグレーのロングスカートの街の女たちが出てきます。街の女たちは頬に赤い丸を描いたおふざけメイクで、まるでフレンチカンカンみたい。スワニルダのお友達6人はボディ部分が花柄のチュチュ姿で、ロングスカートの女性たちに比べると、ちょっと若い女の子、という感じです。

チャルダッシュは、ここでは兵隊さんたちとドレスの女たちの踊り。これが、生身の人間というよりまるでお人形さんのような、人形劇を見ているような踊りなんですよね。あれをきっちり正確にそろえて踊るのは大変だと思います。それがすごく楽しそうで、踊りもピタッとそろっていて、こういうのって新国バレエ団の得意技かなと思いました。珍しく群舞に対する拍手がすごかったです。

街の人たちがおもちゃの兵隊とフランス人形のようなのに、なぜかバルコニーの正真正銘人形(人が人形を演じているのではなく、本物の人形)のコッペリアは、逆にドキッとするほどリアルでなまめかしい。黒いチュチュと赤いリボン、赤い唇が印象的。時折ぜんまい仕掛け、というよりラジコン?のように扇が動いたりします。

そう、主役の二人は‥‥タマラ・ロホのスワニルダは、めちゃくちゃ気が強そうな感じがしたけれど、意外にもかわいらしく素敵でした。カレーニョのフランツも、しょうもない浮気者なんだけれど、本人のどこか生真面目そうな雰囲気もあって、なかなか憎めない好青年になっていました。この二人のやり取りに、普通はマイムが多く使われるのだけれど、プティの振付けは踊りとマイムとに分けずに、マイムの部分も全部踊りに組み込まれていて、踊り=言語のように延々と続きます。スワニルダが麦の穂を持って踊る部分の曲が、二人で踊るパ・ド・ドゥになっているのだけれど、ここで二人の関係がはっきり見えるのです。

スワニルダはフランツが好き。何とか振り向いてもらおうとしますが、フランツはバルコニーにいるコッペリアの方に気を取られっぱなし。せっかくいいところまでいくのに、フランツにがくっとはずされます。そしてやきもちやきっぽく怒ってみたりするのですが、そういうやりとりがパ・ド・ドゥの中に表現されていて、ちょっと面白い。

そして、二人を見つめるコッペリウス。ルイジ・ボニーノのコッペリウスは、普通の偏屈な老職人とか、うさんくさい老科学者?ではなく、洒落者で上品な紳士といったところ。展開は同じように、若い兵隊たちにからかわれたりするうちに、部屋の鍵を落としてしまいます。そして、そのカギを拾って、スワニルダたちはコッペリウスの部屋に忍び込み‥‥一方フランツはコッペリアのいるバルコニーへ。こちらは梯子なんかかけたりせず、直接ロッククライミングみたいに壁をよじ登っていく!のでした。

≪第2幕≫
コッペリウスの部屋に忍び込んだスワニルダと友人たち。部屋の中はがらんとしているのだけれど、正面の棚には不気味な人形のパーツが‥‥。スワニルダたちがコッペリアを見つけ、こわごわ近づいてみると、それは何とスワニルダそっくりにつくられた人形でした。そのあと、コッペリウスが帰ってきて、みんな逃げていき、逃げ遅れたスワニルダはコッペリアのあった場所に隠れるのです。

実は、コッペリウスは近所に住む若いスワニルダに恋していたのか?そんなアクションも1幕にはありました。それが古典にちょこっとスパイスを加えている感じがします。それで、コッペリウスはスワニルダそっくりの人形をつくって、夜毎テーブルをしつらえ、キャンドルに火をともし、自分は黒いフロックコートに盛装して、人形を相手にシャンパンを飲んだりする秘かな生活を楽しんでいたのです。このろうそくの火も、シャンパンも本物。舞台上でシャンパンをポンと開け、ビシャビシャこぼれるのもおかまいなし。1幕の街の人たちはお人形のような動きで現実感なく踊るのに、こういうところはすごくリアリティがあるのです。

そして、シャンパンを二つのグラスに注ぎ、コッペリアにも飲ませ、丁寧に口元をぬぐってやるコッペリウス。さらに、人形と一緒にワルツまで踊っちゃう!‥‥おしゃれ、というか、おかしいけどよく考えるとすっごく不気味ですよね。超キモいオヤジ!

この「時のワルツ」の曲を使ったコッペリウスと人形コッペリアの踊りがまた面白かった。よく見ると肩に斜めに人形を支えるひもが掛かっていて、足と手もゴム紐のようなものでコッペリウスの手足にくっついているんだけれど、それが時にリアルに、時にあり得ないような動きをして、すごく面白かったです。結構長く、終わりの方はかなりのスピード感もあって、びっくりするくらい。ここが一つの見せ場だったのかな。人形とボニーノさんに拍手!

そのあとはフランツが忍び込んできて、眠り薬の入った酒で眠らされ、ふとした思いつきでフランツの生気?を人形に移そうという秘術?を始めるのは同じ。人形に化けたロホが本当に人形みたいで、大きな瞳を見開いたまま瞬きひとつしないのがまた驚きでした。

人形のふりをしてコッペリウスの魔術につきあうスワニルダと、本当に人形に命が宿ったと喜ぶコッペリウス‥‥それも古典と同じ。コッペリウスの部屋にはコッペリアのほかには人形は見当たらないのだけれど、ちゃんとスペイン風の踊りと、スコットランド風?の踊りも踊り、この場面はいつも感心するけど、スワニルダの独断場ですね。演技達者のロホが過剰演技にならずに、ごく自然に演じていたのがかえってすごかったです。

でも、だんだんとつきあうのも面倒になって、早くフランツを助けなければと思うスワニルダは本性を現します。無残にも衣装を脱がされたコッペリアを見て、フランツは本当に自分が好きだったのはスワニルダだったと悟り(?プログラムにこう書いてあった。ずいぶん調子いいのね)二人手をつないで逃げていってしまいます。残されたコッペリウスは、部屋の中をめちゃくちゃにされた上に大事な人形まで壊されて呆然。

古典では3幕になりますが、ここで場面転換があって、もとの1幕の広場になります。街の女達と兵隊さんたちが踊る中に、今逃げて来たばかりのフランツとスワニルダが加わって大騒ぎのうちの大団円。そう、あけぼのとか、祈りとか、仕事とかいうディベルディスマンは一切ありませんでした。まあ、鐘落成のセレモニー自体がないわけだから必要ないといえば必要ないですけど。

スワニルダとフランツのパ・ド・ドゥは、通常スワニルダのヴァリエーションとして踊られる曲だったかな。そのあとすぐにコーダになり男女のヴァリエーションはありませんでした。でも、それまでも結構主役二人が踊る場面があったので、もの足りない気はそれほどしませんでした。

ロホはスタイルはそれほどよくないので、新国のメンバーの中に入ってもザハロワほど飛びぬけて目立つことはないのだけれど、やはり「押し出し」というのか、そういうものが強く、確かなテクニックも加わって、ちょっと小柄にもかかわらずどっしりした存在感を感じさせました。

カレーニョはもう、よく飛びよく回る。それも一生懸命というのではなく、軽~くやっている感じなのに、一つ一つが丁寧だし、正確なのがすばらしい。もうかなりベテラン?マラーホフと同じくらいだと思うけれど、全然まだまだ大丈夫!という感じがしました。大柄で、どちらかというとがっちり体型なのにちっとも重く感じない。何年か前に見たゼレンスキーもそうだったなあ~なんて思い出していました。ゼレちゃん、あなたは今いずこ??

スワニルダとフランツもおさまるところにおさまってめでたしめでたしなのだけれど、最後、お祭り騒ぎのような喧噪が去ったあと、舞台の片隅で、壊れた人形を抱えているコッペリウスに、ちょっとホロッときてしまいました。それまでのスピード感あふれた展開が、ここでちょっとしんみりするのです。若さという特権を持った連中に置いてきぼりをくった初老の紳士。何だか自分も置いてきぼりを食うほうの年代になってきているので、こんなせつない終わり方は涙が出ちゃうsweat02

ボニーノ演じるコッペリウスは、粋でおしゃれだけれど、何だかいじらしいんですよ。そりゃ好きな女の子そっくりの人形なんかつくって、夜ごとダンスをしたりするのは変態っぽいけど、それは孤独で気ままな彼の生活の中だけのことで、誰にも迷惑はかけていない。それなのに、若いというだけの奴らにその甘い生活をめちゃくちゃにされ、大事な人形まで壊されて、おまけにひそかに思いを寄せていたスワニルダには見事振られちゃって、もう踏んだり蹴ったり。でも、それが哀れっぽくならないで「ホロリ」程度に笑い飛ばせちゃうのは、ボニーノの演技ならではか、この作品の持つエスプリ?なんですね。

そう、古典の「コッペリア」は、スワニルダが性格悪そうで、余り好きではありません。踊り満載で音楽も楽しいし、バレエということでは面白い作品なんだけれど、その根底にあるものを思うと不気味だったり、残酷だったりします。何で孤独な老人を偏屈だというだけでいじめるのか。音楽もダンスもひたすら明るいけど、そこには若さのもつ傲慢さにあふれています。その辺が、プティ版ではコッペリウスのリアルで暖かい生活ぶりと、まったく現実味がなく、コッペリアよりも人形っぽい街の若者たちとの対比によって表現され、ちょっぴりのアイロニーも感じられます。

それから、ほろ苦い結末も、古典版の、お金をもらってまあいいか‥みたいな終わり方より、ずっと心に残りました。ピーターライト版の、最後に奇跡が起こるようなファンタジーでもない、酷な現実のまま‥‥こんな「コッペリア」もあったのね~。最後、一人たたずむコッペリウスに、ちょっと涙しながら感動してしまったのでした。

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2009年7月 1日 (水)

バレエフェス「秘蔵記録映像上映会」

昨日は、ココログのメンテナンスをやっていたようでログインできず、終了後も写真がアップできなかったり、絵文字が入らなかったりといろいろありました。その中でショックだったのは、延々と書いたのに、アップしようとしたらいきなりのトラブル!
それで全部消えちゃったcrying

前は変なところをいじってページが戻って消えたりしたけど、最近ではページ移動する時に「まだ保存していませんがどうしますか」みたいな警告が出るので、いきなり消えちゃうことはなくなっていました。でも、何かメンテナンスがらみのトラブルだったのでしょうか?久々に大ショックでしたcrying もう立ち直れないcrying と言いつつ懲りずにまた書いているのですが。

さて、行きたいけどチケット高いし、見たい人もいるけどけど、見たくないような演目もあるし、まだ迷っているけど、たぶん行かないだろうと思うことしの第12回世界バレエフェス‥‥think そう思っていたら、バレエフェスの過去の記録映像を集めた1日限りのこんな企画があったのです。私は昔のことはわからないから懐かしくもないので、そんなに行く気はなかったのだけれど、誘われたので見てきました。090628_155202

ロビーには衣装や今までのプログラム、出場者のサインなどが展示されていました。見ていたら私の好きなルジマトフも、ニーナ・アナニアシヴィリも、91年開催の第6回に出演していたのですね。ルジマトフはAプロに「ドン・キ」、Bプロに「海賊」を踊っているようです。あ~私がバレエのバの字も知らなかった時代、さぞや華々しかったでしょうね。当時28歳のルジマトフ、そしてニーナ‥‥見たかったなあ~。

上映会が始まってすぐに気が付いたのですが、これって結構つらいかもsweat02‥‥というのも、音量が極端に小さいのです。もちろんシ~ンと静まり返っているので音楽は聞こえます。でも、それ以外の音も聞こえてしまう。姿勢を変えたりするとガタガタいうから、じっと前を見るだけで微動だにできない感じ。咳が出そうで苦しくなるし、おなかが鳴りそうで心配だし、かなりつらい鑑賞となりました。

それと全27演目と、数だけはたくさんあるけれど、全部が2~3分に編集されていて、いいところでブチッとキレて次にいってしまうんですよ。見入っているところで「はい次!」とばかりに変わってしまう。これにはかなり欲求不満になりました。

それでも「秘蔵」というだけあって面白かったです。ただ、前回の第11回が5演目もあったんですよ!これって「秘蔵」?一緒に行った友人は、きっと今回の宣伝のためだろうと言ってましたが、セレクトした出演者を見てもそんな感じがしました。どうせ「秘蔵」というなら、もっと昔の、珍しいもののほうを多く見せてほしかったです。

特に印象に残っているものをいくつか。
まず1976年の第1回、何と33年前ですね。既に歴史上の人物のようになっているマーゴフォンティーンの「ロミオとジュリエット」。聞き慣れない曲だと思ったらベルリオーズの曲でした。このときもう結構な年齢だったと思うけれど、フォンティーンという人がどういう魅力をもってバレエ界に君臨していたのか、何となくわかる気がしました。夢みるような表情が素敵でした。

それから、第2回(79年)のプリセツカヤとジョルジュ・ドンの「レダ」。ベジャールの作品です。和楽器の音楽、バックには大きな丸い鏡。この異質な二人と、異質な背景の組み合わせがすごかったです。プリセツカヤはレオタード姿で「瀕死の白鳥」を踊ります。その腕の動きのすごいこと。それからドンの圧倒的な存在感。あれは一体何だったんでしょうね。

マクシーモワとワシーリエフの「ドン・キホーテ」も印象に残っています。小柄なマクシーモワが可愛い顔をしてきっちりとした技を繰り出す。ワシーリエフも負けずに、力強くダイナミックな踊り。何か今の人たちとはスピード感が全然違うみたい。これって早送り?と思っちゃうくらいでした。

第3回(82年)の圧巻はジョルジュ・ドンの「ボレロ」。本当に、ドンの爆発的なエネルギーはすさまじい。伝説ですね~。生で見ていたらどんなだったんでしょう。「愛と哀しみのボレロ」という映画を見て、私の友人がドンの大ファンになり、当時「ジョルジュ・ドンを見に行かない?」と誘われたことがあったのです。でも、私もまだ学生だったし、バレエといえば高校の芸術鑑賞会で松山バレエ団を見ただけだったし、特に興味もなかったので「バレエなんて、私はいいよ~」と断ってしまったのが、今となっては本当にうらめしいcrying 

第3回はもう一つ、エヴァ・エフドキモワとペーター・シャウプスの「海賊」。まず、エフドキモワという人を見て、いきなり「何者!?」と思いました。ヴァリエーションは普通のメドーラのヴァリではなくて、ちょっと聞きなれない曲でしたが、最初のアチチュードのところでもう、その思いきりのよさと現代的なほっそりとしたプロポーションに目を奪われました。一瞬キラキラっと光ったような気がしたくらいです。あとでどういう人が調べたら、何と今年4月に60歳で亡くなられていたのですね。日本のバレエ教室にも招かれて教えたりしていたようで、この夏、ご縁のあった団体では追悼公演なども催されるようです。本当に素敵なバレリーナだったと思います。

第4回(85年)のマリシア・ハイデとリチャード・クラガンの「オネーギン」も素晴らしかった。例の、タチアーナが手紙を書きながら眠ってしまったときの夢で、鏡の中から現れるオネーギンと踊る情熱的なパ・ド・ドゥです。このときのハイデも、年齢的にはかなりベテランだったと思うけれど、本当に初々しい少女の、何も知らないだけに空想だけは大胆になるような、そんな少女そのものなのです。これも、短く編集されていたのが残念。せめてこれだけでも全部見たかったです。

同じく第4回、モニク・ルディエールとパトリック・デュポンの「ドン・キホーテ」。これが一番受けたと思います。素晴らしいバランスを見せるルディエールもさることながら、何といってもデュポンの、笑っちゃうぐらいの超絶パフォーマンス!これには映像であるにもかかわらず会場から拍手が起こりました。とにかくスピードがすごい!びっくりしました。デュポンって、ブルメイステル版の「白鳥の湖」の映像でしか知らなかったけれど、すごい人だったんですね。パリオペには珍しいタイプの人だったのではないでしょうか。

第5回(88年)のシルヴィ・ギエムとマニュエル・ルグリの「グラン・パ・クラシック」もよかったですが、残念ながら伝説の黒いレースの衣装のものではありませんでした。ギエムもちょっとすごさが足りないような‥‥。ルグリとの組み合わせもまだ「優等生」という域を出ない感じ。このときどちらも25歳ぐらいだったんじゃないでしょうか。

そして第5回の「特別プログラム」という「白鳥の湖」。出演者が主要な役を交代で演じているもの。ここでもまたデュポンがすごかった!道化役で踊っているのだけれど、これ見よがしの超高速回転!さらに回転中に手を上げ下げしたりするまたまた笑っちゃうくらいの超絶パフォーマンスにまたもや大拍手。私はご縁がなくて、デュポンもまた「見られなかったのが残念!」という人の一人になりました。

ルジマトフも出演した91年の第6回からはニーナ・アナニアシヴィリとアンドリュス・リエパの「ライモンダ」でした。当時28歳のニーナはまだまだかわいらしい。そして白マント激似合い、サラサラ金髪のリエパは見るからに王子様でlovely 本当にうっとりしちゃいました。

ほかには、私がバレエを見始めた頃の2000年の第9回、フェリとマラーホフの「マノン」とか、第10回(03年)コジョカルとコレーラの「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」ギエム&ル・リッシュの「優しい嘘」などがよかったです。あとは、ちょっと眠くなるようなものもあったり‥‥ギエムの「TWO」は見たことがあるけど、四角いライトの中で踊る、後半手だけが光って見えるような、ああいうパフォーマンスは生舞台ならではのもので、映像で見ると暗くて何が何だかわかりませんでした。あと、ルグリとオレリー・デュポンの「扉は必ず」も、確かルグリガラで見ましたが、あのスローモーションのような演目も、生ならいいけど、映像で見ると退屈でした。

終わってから誘ってくれた友人と長々と話しました。実はそれがメインだったのです。私のまわりにはバレエファン皆無状態だったのですが、最近ひょんなことで知り合った方で、もう昔からバレエを見ている人。当然私は知識面で太刀打ちできそうもないし、また好みもちょっと違うようなのですけど、話していくうちにだんだん共通の見解?が見えてきました。

それはやっぱり、私は知らないけれど、バレエブームの1つのピークは90年代だったということ。今回の上映会ではちょうどその辺りが少なくて残念だったのです。ギエムやルグリが一世を風靡した時代。マラーホフが、フェリが最前線で輝いていた時代。私にとってはニーナやルジマトフの全盛期。また、ソ連が崩壊したこともあって、ロシアのバレエ団が次々に来日した贅沢な時代。日本の熊川さんや吉田さんが海外で華々しく活躍し、一般人のバレエに対する認知度も上がった時代。何かそのすごい時代に、私は何も知らなかったことが返す返すも残念です。まあ、私がバレエを見始めたきっかけは、そんなバレエブームに乗って友人の子供がバレエを習い始め、それを見てうちの娘もバレエをやりたいと言い出した‥‥そんなわけで私にも、その90年代の余波が回ってきたと思えば納得できるような気もするのですが。

その頃活躍した人は、すでに引退したり、大ベテランの域に入っている人ばかりですが、これに代わるものを持っている人はなかなか見当たりません。こんな人たちが綺羅星のごとく揃っていた時代なんて、これからまた来るのでしょうか。ギエム、マラーホフ、ルグリ‥‥これからはこういう人たちの引き際を見守っていくことになるんでしょうね。

それで、8月のバレエフェスですが、私はどうも触手が動かない。その友人はもうクラシックを踊らなくなった彼らを淋しく思いながらも、昔のよしみで?見に行くそうです。もうすぐ第2次発売ですね~think

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