2008年6月 5日 (木)

また、つまらないファンの妄想です。

去年もそうでしたが、この時期はバレエ公演が少ないのです。だからテンション、全然上がりません。5月は新国の「バヤデール」を見たいな~とちょっと思ったけれど、チケットも完売のようで、まあいいか、と。ことしも7月以降見たい公演が目白押しで、またまたチケット貧乏は必至だし。何でも「バヤデール」はザハロワの日の公演を、NHK芸術劇場で放送するという話もあるので楽しみです。

7月にはいよいよ待望の「ルジマトフのすべて」がありますheart04だけど、ことしは前哨戦も何もなくて、本当に公演やってくれるの?と心配になってしまいませんか?大体、去年の「ルジすべ」以来、あの人の踊る姿を見ていません。あれ以来キエフの「ライモンダ」や、レニ国の冬公演など、ファンの期待を次々に裏切って(などという言葉は使いたくないのだけれど)こられたお方なので、心配なんですよ~。

ルジ様(などと、最近は恥ずかしげもなくいうようになってしまいましたsweat02)は、昨年はプログラムの写真撮影をかねて、ファッション雑誌にも登場しました。もうめちゃめちゃカッコよかったですlovely そしてそのとき撮影したと思われる、どっきりするようなチラシが登場し、さらに期待をかき立てました。ダンスマガジン(去年の6月号)にもサンクトペテルブルクで行われたガラ公演の写真とか、「阿修羅」を振付けている様子の写真とかが載ったし、イープラスのHPには、短い動画で「ボレロ」のさわりの部分を見ることができました。それが‥‥ことしはその手の話題は何もないんですよcrying 本当に大丈夫かなぁ‥‥‥。

一方、彼が芸術監督を務めるミハイロフスキー(レニ国)のほうは、話題の新作「スパルタクス」のことが、いろんなところで紹介されていますね。何だかあれを見たらドキドキしてきちゃいましたよ。だって、私が今まで「こんなバレエがあったらいいな~」と思っていたものって、もしかしてこんな感じ?と思わせるものがあるからです。

新作、というと大体舞台セットや衣装は抽象的だったり、簡素なデザインだったりしますよね。予算の関係もあるかもしれません。そのせいか、現代的でスタイリッシュでカッコよくはあるけれど、何か冷たい感じや、あっさりして物足りない感じがするものです。

私の理想?(勝手な妄想)はその対極で、野暮ったいくらい豪華でリアルな、そう、まるでディズニーみたいな世界です。そして、変にモダンっぽくならない、クラシックを基本とした優雅で華麗な踊り。誰にでもわかりやすい、だけどとてもドラマチックな展開。さらにこれでもかというくらい壮麗な大スペクタクル。そんなスーパー歌舞伎みたいな世界を、誰かバレエでやってくれないかな~と常々思っていたのです。そんなバレエがあったら楽しいな~と。「スパルタクス」は写真でみる限り、その期待大!

私は、昨年Kバレエの「くるみ割り人形」を見たとき、もしかしてKバレエあたりがそれをやってくれるんじゃないかと思っていました。独特な解釈だという「海賊」だってそんな感じがするし、DVDで見た「ドン・キ」や「白鳥」も、味付けが一味違って面白かったので、ちょっと期待していたのです。でも3月に発表された「第九」を、私は実際見ていないけれど、テレビにチラッと写ったのを見ると、ああ、ちょっと違う方向にいってしまったかな、と。それなりに洗練されていたし、悪くはないと思うけど、その辺にあるいわゆる新進気鋭の「新作」という感じで、私の期待する、誰が見ても面白くて、よくわかって、ぐいぐい引き込まれる魅力のある舞台、というものではありませんでした。あの「海賊」の路線のまま突っ走ってくれたらよかったのに。

あるいは「バレエ・ドラゴンクエスト」の鈴木稔さん。3月の「シンデレラ」を見れなかったのは本当に残念でした。あとでダンスマガジンなどを読むと、大人も子供も楽しめるファンタジックで素敵な作品だったそうですね。ぜひとも再演をお願いしたいものです。でも、日本の事情ではKバレエくらいにならないと、次々に新作を発表したり、再演をしたりするのは難しいかもしれません。

そんなバレエを、ルジマトフとレニングラード国立バレエがつくっていたとしたらすごいわ~。思いもかけなかっただけにもう夢の世界だわ~と、妄想に走るのに十分な「スパルタクス」の写真ではありました。日本でもぜひ上演してほしいです。あの豪華セットを持ってくるのは大変だろうけど、早く見たい!何でも7月にはイギリスでデビュー公演をするそうですね。

で‥‥話は戻るけど、それはすごいけれど、だからなおさらダンサーとしてのルジマトフは大丈夫?ってdashだって、「カルメン」と「阿修羅」のほかは、何を踊るのか不明だし、去年は3回公演があったのに2回だし、いまだに新しい情報は何も聞こえてこないし。。。楽しみではあるけれど、ちょっぴり不安な日々は続きます。

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2008年5月 8日 (木)

初めて見た「グランディーバ」

毎年日本にやってきて、全国津々浦々を公演して回っているバレエ団は何でしょう‥‥?それはレニングラード国立バレエでしょ、と思っていたけど、実は2大男性コメディーバレエの「グランディーバ」と「トロカデロ・デ・モンテカルロ」もあったんですね。男がチュチュを着て、トウシューズはいてバレエ踊っちゃう、あれです!何と、どちらのバレエ団も毎年3ヵ月に及ぶ長期ツアーで、レニ国も行かないような地方のホールにまで行って人気を博しているようですよ。(そんなに男バレエの需要があるという?日本って一体??)Imgp5294

そのひとつ、グランディーバ・バレエ団の「こどもの日スペシャルDAY」に行ってきました。

もちろんテレビなどで見て知ってはいましたが、見るのはこれが初めてです。面白そうだから一度見てみたいと思っていても、ほかにもっと見たいものがたくさんあって、なかなかそこまで回らなくて。別に「キワモノ」だから避けていたというわけではなく、バカにしていたわけでもありません。単に機会がなかっただけなのです。今回はたまたま、この日だけ大人券と子供券があって、レニ国の「親子バレエまつり」より安かったので、娘を連れて行きました。

こどもの日スペシャルプログラムは「ピーターと狼」でした。何と日本語のナレーションつき。変わったバレエだわ~。ピーターとおじいさん、小鳥とアヒルと猫が楽しく暮らす田舎の風景。そこへ狼が乱入します。突然客席の脇のドアから入ってきて、通路際の子供たちをさんざん怖がらせてから舞台へ。。普通の公演と違って未就学児入場可なので、2~3歳の小さいお子さんもたくさんいました。インパクトが強すぎた狼さんのせいで数人が泣き叫んで、お母さんは泣いてる子供を抱えて退場しなくてはならなくなってしまったようです。

コワい狼は舞台に上がったら意外にあっけなく捕まるんですけどね。ピーター役の瀬川哲司さんが、とにかく元気によく飛びよく回ります。小鳥のカルロスさんとアヒルのエマニュエルさんは、チュチュ姿で華麗なポワントワークを披露。猟師さんたち(?には見えないのだが)も加わって、最後はおかしなドタバタ劇だったんだけど、お子様は楽しめたかな~?012

幕間にホワイエで、プログラムを買った人へのサイン会をやっていました。ピンクのかわいらしい(立派な?)チュチュ姿のオズワルドさんと、王子様姿のバルシュさんのお二方。なぜか子供たちにはオズワルドさんのほうが人気でした。(やっぱチュチュを着ているからかな?王子様じゃ普通だもんね。。)うちの娘もオズワルドさんのほうに並び、次の幕間で今度はバルシュさんにもサインしていただきました。いい記念になりましたhappy01

第2部は「四羽の白鳥」「黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ」「瀕死の白鳥」と、おなじみの演目が並びます。その前に子供向けに、芸術監督でナンバー1ダンサーのビクターさんから、バレエのステップや技の説明などがあったのですが、通訳の方がバレエ用語をほとんど理解していないので、何だかわかったようなわからないような解説でしたわ。模範演技をしてくれたアリさんがとてもかわいかったですheart01

「四羽」は最初にしずしずと出てきて、まず手をつなぐところから爆笑の始まり、始まり!ただ、踊りはすごくまともなきちんとした踊りでしたよ。バレエの動きって、大真面目に踊っているのを何も知らない人から見ると、何でこんな動き?みたいに思う変なところが結構あると思います。例えば「四羽」の首の動きとか、前と後ろに身体を傾けて足をバタバタするところとか、手をつないだままパ・デ・シャで進むところとか‥‥それをちょっと崩したり誇張したりすることで人を笑わせてしまう。本当にこれで笑いがとれるなんて誰が考えたんでしょうね~。また四羽がすごく仲悪そうなのに、ちゃんと手をつないでちょこまか踊っているのにも笑ってしまいました。

次の「黒鳥」はすごかった。何と黒鳥を踊ったバートさんは一つのひねりも入れずに、正統派のオディールを最後まで踊り通しました。もうメチャメチャうまかったです。おちゃらけていたのはルベランスのときだけ。王子を誘惑する目つきのすごいこと。そしてコケティッシュで魅力的な笑み。しばし見とれてしまって、彼女が男性であることを忘れていました。よく見れば上半身も足も筋肉ムキムキなんだけれど、そんなのは見えなくなるほど素敵なオディールでしたheart01フェッテも力強くてダイナミックで素晴らしかったです。

王子役の方はモンチルさん?ちょっと情けないキャラで、バリバリなオディールと比べるとそれだけで笑いがとれちゃってて‥‥‥。普通のバレエの振付にもあるしぐさ、王子がオディールの手を取ろうとすると、オディールがさっとその手をはねのける。それだけなんだけど、そこで笑いが出るの。けっこう真面目にやっているふうなので、あんなところで笑っちゃうなんて申しわけないような感じなんだけど、やっぱり笑ってしまいました。

「瀕死の白鳥」は先ほど解説で登場したニナ・ミニマキシモーヴァこと、芸術監督のヴィクターさん。小柄な方で、解説のときは「ドン・キ」のキトリのような赤の衣装でしたが、今度は白鳥の衣装。胴回りに羽がこんもりと付いていて、それが腰を振りながらパ・ド・プレすると、ばさばさと落ちてくるのです。まるで羽をむしられてる白鳥?もう、一つ一つの動作が面白い。ノリノリでした。ヴィクターさんはこのツアーを最後にトウシューズを脱ぐのだそうです。そのためかカーテンコールはすごい拍手で、会場の左右の端の花道のほうまで行って、満場の拍手を受けていました。新宿文化センターは右側にパイプオルガンがあるのだけれど、そのパイプオルガンの椅子にちょこんと腰掛けて拍手に応える姿は、とてもかわいらしくて心に残りました。

第3部は「スター・スパングル・バレリーナ」という、オリジナル作品?衣装もチアダンスのような、星条旗をイメージした衣装で、とてもアメリカン!楽しい演目でした。中央で踊るのは、第1部でかわいい踊りを見せてくれたエマニュエルさんとカルロスさん。今度は満面の笑みでエネルギッシュに踊りまくります。片手横転、横っ飛びダイブなど大技もふんだんに見せてくれました。

確か前に何かで、男性がポワントで踊るのは骨格の構造上難しいというようなことを読んだことがありますが、うっそ~!そんなことある?目の前でダイナミックに踊るのを見せつけられちゃうと、そんな常識吹っ飛びますよ。

ただ、私がポワントはいたら、全体重が1点に集まって床にいっぱいくぼみが出来ちゃったのにsweat02(それで断念しましたsweat01)あの方たちは大丈夫?オズワルドさんでも大丈夫ならいいのかな~??床もポワントも頑丈に出来ているのでしょうね~?それにきっとサイズも特注なんだろうな。。。

驚くのは観客のすごい盛り上がり方です。お客さんのノリがよいというか、もう普通のバレエ公演とは拍手が違う。登場のときは主役でなくても必ず拍手。そしてちょっとしたことでまた拍手。ああ、よかったというところで遠慮なく拍手していいんだと思ったら、見るほうものってきますよね。それから手拍子。グランフェッテのときなどに手拍子なんかするのは日本人だけの恥ずかしい習慣で、踊っているほうも迷惑!ということを、バレエ鑑賞のマナーとして教えられましたが、そんなことくそ食らえ!もうフェッテが始まると会場全体がものすごい手拍子の嵐で盛り上がります。フェッテだけでなく、ピケターンやマネージュなど、大技が出るところでも必ず手拍子!ダンサーと会場が一体になった楽しさってこういうことなんだな~と思いました。

最後のカーテンコールで、もう次から次へ観客からの花束、プレゼント。それも一人がもらうのではなく、それぞれ固定ファンが付いているようで、みんな抱えきれないほどのお花をもらっていました。ダンサーの人たちはお花を受け取ってから、ファンの一人一人の手にキスしてるのheart04中には子どももいて、キスされてびっくりしたような顔をしていましたね。ルジマトフの舞台などでは、最後にどっから沸いてきたの?というくらい花束隊の方々がいきなりぬっとお出ましになりますが、(多分袖や前のほうでずっとスタンバイされていたんでしょう?)そういう感じじゃなくて、会場のあちこちから三々五々舞台に走りよってきて、本当にほほえましい光景でした。

男が女装して踊るバレエって、ちょっと偏見もあるでしょうが、決して美しいとはいえないスタイル、なのにチュチュ姿!つけまつげバサバサで、とんでもないメイクなのに、別に気持ち悪いという感じではありませんでした。それどころかとってもキュートheart04で、底抜けに明るい人たち!テクニックもすごい!本当に楽しい舞台でした。人気があるのもわかる気がします。

ただ、帰りがけに娘とも話していたんですけど、確かにとても面白かったけれど、これを小さい子どもに見せる意義って‥‥?これを見た子はどういう子に育つの?あはは‥どう解釈したらいいんでしょうね。あんなふうになりたい!といわれたら複雑でしょうしね~。小さいうちから芸術に親しんでほしい、というものでもないし、子どもの夢を育むというものでもない。どちらかといえばお作法なんてどうでもいい、楽しいものは素直に楽しいと思える心を育む?とか、お堅い芸術鑑賞よりも、最初から型破りなものを見せちゃえという感じなのかもしれません??

今回の「子供券」は何と「高校生以下」なんですよ。普通は子供といったら「中学生以下」か「小学生以下」ですよね。でもうちのように大きな子を連れてきている人はそんなにいませんでした。やっぱり小さい子を連れてきた人たちの多くは、自分が見たいけれど子どもが小さくて置いて来られなかったというお母さんたちのようでもありました。まあ、それでもいいじゃないですか。複雑な大人の世界?の面白さに触れて、スケールの大きな人に育ってほしいですhappy01 

あ、念のため付け加えますが、前にテレビで見た「トロカデロ」の映像は、「白鳥の湖」は確かロイヤル版の、王子の友人がぞろぞろ登場するやつのパロディだったり、「海賊」もヌレエフとマーゴ・フォンティーンのパロディみたいだったり、それから元を知らないバランシン作品のパロディ(相当マニアックなパロディだよね?)だったりしたので、基礎知識がなければ楽しめないと思っていました。でも、実際にみて見るとそんなことはありませんでした。何も知らなくても理屈ぬきに面白い。とにかく百聞は一見に如かずですよ~!

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2008年4月18日 (金)

バレエマンガも好き 2

記事を一応カテゴリ別に分けているのですが、なぜか異様にバレエのことが多いので、カテゴリの「バレエ大好き」ばかりすごいボリュームになってしまいました。それで、「バレエ大好き」だけ年別に分けてみました。

最初は日記のつもりで始めたので、こんなふうになるとは思ってもみなかったのですが、この2年半の間に自分の中でバレエに対する関心が急速に高まったということですね。年別に分けたというのも別にどうということはないのですが、せっかく公演を鑑賞したのだから感想を書いておこうと思ったものが、今では「あのときはどう感じたのかな?」というような、自分にとって備忘録的なものになりつつあるので、そうしてみました。

ほんとは公演の感想と、雑談&ミーハー話と、それからお稽古事のバレエの話は分けるべきですよね!だけど書く段階でもう、最初から一緒くたになっているのでそれは無理でした!そう、もともとごちゃごちゃにただ書いているだけのブログだったんですよ。。。

Photo さて、その範疇からいくと、今回は「雑談&バカ話」の部類ですsweat01すみません。。
また
またとっても遅いのですが、ここ1、2ヵ月の間に今まで読んでいたバレエマンガの新刊が出ているので、それをまとめてみました。といっても、私はマンガ全般に関しては全く無知です。ただバレエのマンガというだけで、単行本が出たときに目を通しているのみですので、何か勘違いがあっても大目にみてください coldsweats01 (もし間違いなら遠慮なく指摘してくださいね~)2としましたが1はこちら

有吉京子「まいあ」 2 (2月17日発行)
言わずと知れたバレエマンガの名作「SWAN」の続編。「スワンマガジン」という雑誌に「SWAN」の最初からのと同時に掲載されている新作です。「スワンマガジン」は本当にあの大作の最後までを載せるのかしら??それまで「まいあ」が続くとは思えないのだけれど‥‥sweat02どうも、スワンと違って入っていきづらいのは、子供たちの世代という設定だからか、パリオペラ座バレエ学校という舞台のせいなのか、よくわかりませんが、多分主人公の魅力がいまいちなのです。

それは真澄とレオンの子供だという、その子供目線で書かれているから?というより読むほうもあの二人の子供の話と思って読むからなのか、よくわかりませんが。単行本も1、2と出ましたが、もう一つ夢中にはなれません。何というか性格が、お前は星飛馬か~!というくらい、何だかいつもうじうじ考えている子なんだわ。子供のくせに元気がないの。優等生と比べてみたってどうしようもないでしょ!

それと1巻と2巻にまたがっている、特別に抜擢されたという新作の上演。それが最初の山場になると思っていたのに、結果がよくわからずがっかりしました。日本からの留学生の惺をハーフのまいあと組ませて、あえて優等生ペアとダブルキャストにしてまでチャレンジさせた東洋的な作品。それがどんなものになるのか、多少は期待していたのに、「ま、昨日の完璧さとは違うが、面白い」だけですか~!!

2巻には、ずいぶん落ち着いてしまった真澄とレオンが登場!そして葵さんもheart01やっぱり以前の登場人物が出てくるとほっとしますね~。葵さんの十八番の「海賊」って見てみたいわ~。しかしクリスマスのヨーロッパで、外でバーベキューができるのか?とまたもどうでもいいオバさんの突っ込み!

曽田正人「Moon」 1 (3月5日発行)
「昴 スバル」の新章のスタート!(by帯)だそうです。この作者のほかの作品は知りませんが、2大連載と書いてあるもう一つの作品の紹介を見ると、ともに「天才」というものを描きたいようですね。でも、その天才ぶりがあまりにも現実離れしすぎて、共感が持てないという頭の固い読者は私だけでしょうか?第一、あんな不摂生な生活でバレエが踊れるとは思えません。

クラシックのラインいうのは本当に厳格で繊細なもので、毎日の正しいレッスンがあってこそのものだと思うのですが。。森下洋子さんや斉藤友佳理さんの本を読んだら、踊るためにはここまでストイックな生活をするのかと驚くばかりですけどね。

確か前に何かで、新国の森田さんが「ノートルダム・ド・パリ」のガジモドを踊ったときに、常に斜めの姿勢でいるので身体が斜めになってしまい、戻すのが大変だったと語っていたことがありました。ちょっとした筋肉の使い方で全体のバランスが変わってしまうのは恐ろしいことです。うちの娘でさえ、中学生の職場体験というのに行って3日間前かがみで野菜のパック詰め作業をやっていたら、すぐバレエの先生に「何か違う運動した?」と聞かれたくらいです。バーレッスンを見ただけでそんなことがわかるほど、ダンサーの身体は微妙なものだと思うのです。

雨が降る中泥まみれでサッカーなんかやって、怪我でもしたらどうするんだ!?なんて突っ込んでもしょうがないけどさ~。お菓子食べ放題、バイク乗り回し、ヤクザと喧嘩?もう超人的な天才だから何やってもおかまいなしかもしれませんけどね。

その天才が、これからニコという盲目のダンサーとともに、どんなにとんでもなくすごい世界を見せてくれるのか‥!‥というより今までもずっと、ローザンヌでの高熱を出しながらのすごすぎコンテンポラリーとか、時空まで超えてしまうとてつもない「ボレロ」とか(しかし、あれってベジャールの「ボレロ」だよね~。許可なく上演していいのか!?)想像を絶するパフォーマンスのオンパレードだったので、もう何が来ても驚かないような感じになってしまっています。どうぞ何でも来て下さいよ!

槇村さとる「ドゥ・ダ・ダンシン!」 ヴェネチア国際編 3 (3月24日発行)
バレエのマンガの中ではこれが一番好きです。もう面白い~!そして細かな心理の描写など本当にすばらしいし。なにしろ主人公の鯛子がめちゃめちゃ魅力的です。
ダンサーという前に人間的に魅力的。だからとても共感がもてるのです。そして脇を固める人々もほんとに個性あふれています。今一番、次が出るのが待ち遠しいマンガです。

今回もまたどんどん変わっていく龍一王子が素敵heart04「僕はもうあなたの犠牲になった子供ではありません」だって~!激萌えです。「俺なしでは踊れないダンサーにしてやるって?逆じゃないのか?」氷のようにクールな彼がいよいよ熱くなっていくのよ~!すでに完璧なまでのクラシックの王子として完成されていた彼が、主人公と接することで自分でも気づかぬうちにまた別の表現の世界を見いだしていくのがすごい。主人公だけじゃなく、龍一王子も今、新しく生まれようとしているんだわ~!

愛子先生も素敵だけど、その元パートナーという鳴海先生もとても謎で魅力的。一方謎多きダンサー、ウォン・リェの一面が見えてきたのがさらに楽しみheart01彼も熱い人間だったんだ~!失踪中の三上クンのことはとても心配だし、この後三上クンがまた現われたら一体どうなっちゃうんだろう!とってもドキドキする展開になってきました。

山岸涼子「牧神の午後」(3月29日発行)
’89年に書かれたものだそうです。私も作品名だけは知っていましたが、絶版になっていたのでしょうか。見たことはありませんでした。それと’94年の「黒鳥 ブラック・スワン」という作品。あとはご自身の体験談の「瀕死の発表会」と「Ballet Studio拝見」が入っています。(しかし、山岸さんって本当にあんな丸顔で目がロンパってる?人なわけじゃないでしょ?)

私は連載ものでも雑誌に掲載されたのはほとんど見てなくて、単行本ONLYなのですが、この間たまたま本屋さんで「ダ・ヴィンチ」を見かけたとき「テレプシコーラ」をチラッと覗いて見たら、何だかまだローザンヌにも着いていない??様子。これはなかなか続きを読めそうにありませんね~。私は後半登場しなくなった空美ちゃんとか、空美ちゃんの元バレリーナの伯母様のことがとっても気になっているのですが‥‥‥。まだまだず~っとわからないままのようですね。そんな読者期待の「テレプシコーラ」の続編が出るまでのつなぎとしてでも、この「牧神の午後」のような隠れた名作が読めるのはありがたいです。

ずいぶん前の作品のようですが、絵柄は「アラベスク」より「テレプシコーラ」に近い感じですね。主人公はニジンスキー。いわゆる「天才」の物語ですが、スバルのように現実離れした天才ではなく、伝説の人ニジンスキーの、リアルな天才ぶりが描かれています。

持って生まれた才能と引き換えに、人間として普通にあるあたりまえのものが足りない。それが天才というもの。舞台の上での憑依、光り輝くような姿。超人的な跳躍。それらはみな普通の人間として俗事にかかわっているうちに失われていってしまうはずのものだったのかもしれません。ディアギレフの庇護下の息苦しさ、バレエ・リュスを解雇されてからのよりどころのなさ。「翼を持った者には腕がない。腕がある者には翼がない。それがこの地上の鉄則なのだ」そんな天才のはかなさと哀しみが伝わってくるようでした。

またルジ様か、という感じだけど、私はすぐにルジマトフのことが頭に浮かんでしまいました。今は芸術監督として頑張っているようだけど、さてどんなものができるのでしょうね。新作?「スパルタクス」というのはすごそうです。ぜひ日本にも持ってきてほしいわ~!でも、ルジマトフってそういうことをする人だった?今までずっと、このニジンスキーみたいに、踊るためだけに生まれてきたような人だと思っていたのですが。どう考えてもマラーホフや熊哲みたいにマルチな才能を発揮するような人には思えないというのは偏見かしら?ルジ様の稀有の魅力が俗事に磨耗しないことをひたすら祈ります。1月に見たカーテンコールの姿が、あまりに華奢で痛々しく感じたのは私だけでしょうか‥‥‥。

もう1本の「ブラック・スワン」の主人公マリア・トールチーフは、前に見た「バレエ・リュス」という映画でインタビューにも登場した人ですね。確か突然バランシンと結婚することになったときのことを話していたような。

こちらもバランシンという天才を描いた物語かもしれません。結婚相手は人生のパートナーではなく、芸術へのインスピレーションを得るための道具。それを取り巻く生身の女性の感情とのギャップ。短い作品ですが興味深かったです。

私が子どもの頃は、マンガは子供が見るものだった?ような気がします。小学生の頃、うちに経理のアルバイトで一定の期間だけ来ていた商業高校のお姉さんがいたですが、彼女がマンガ本を持っていたら、大人たちに「高校生でもマンガなんか読むの?」とからかわれていたのを覚えています。今ではいい大人でもどっぷりマンガ漬けだよね~!内容も時代とともにどんどん高度になっていったし。マンガもあなどれません。まあ、マンガだからしょうがないか~みたいな、現実ではありえないとんでもない世界もあったりしますが。。。子供と一緒に本屋さんに行くと、必ずマンガの新刊をチェックする私のような母親もいますからね~!?もっとも、子供が読んでいるような、いまどきのマンガは絵が雑で全く読む気がしないものもありますが‥‥バレエマンガ以外にも素敵なマンガはいっぱいあるので、まだまだマンガは読み続けると思います~。

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2008年4月14日 (月)

子どもは発表会ごとにうまくなる!

もう1週間も前になりますが、娘のバレエのT先生の、弟さんの教室の発表会がありました。生徒さんたちの成長とともに年々充実したものになってきていましたが、ことしは開室10周年ということで特にすばらしい発表会になっていて、とても楽しんで見ることができました。

前にもそんなことを書いたと思いますが、T先生には私がママクラスに行っていた関係で娘もお世話になっています。(今は先生が忙しくなってしまい、ママクラスはありませんけどね weep )T先生自身は団地の集会所のようなバーも鏡もないところで教えているので、ここでバレエが好きになってもっと本格的にやりたいという意欲の出てきた生徒には、弟さん夫婦の教室を紹介しています。うちの娘と一緒にやっていた同学年の子も何人か、小学校高学年からそちらに移っていきました。

私も以前そこの「美容バレエ(?!)」クラスに行っていたことがあるので、発表会は1回目から見ているし、子どもも親も知っている人が多いお教室なのです。開室当初は小さい子しかいませんでしたが、その中から何人か残っている1期生はもう高校生になり、コンクールにも挑戦するほどになっています。今回の発表会でも、重要な役どころを演じていました。一生懸命やっている子の成長を見るのはとてもうれしいものですね。T先生のところから行った子たちも、みんなそれぞれヴァリエーションを踊るようになり、ああ、うまくなったなあと感慨もひとしおでしたよ。

よく小さいお子さんのお母様に、バレエはやらせたいけど発表会には必ず出なくちゃいけないのですか?と聞かれます。発表会はお金もかかるし大変なので出したくないとか、まだ子どもが小さくてちょこっとしか出ないのに、大きいお姉さんたちと同じだけ発表会費用を払うのは納得できないと言う人もいます。私も最初はそう思いました。だけどバレエのように舞台で上演するものはやっぱり舞台の上に乗ってなんぼというものなんですよね。あの単純な基礎レッスンをただやっているだけじゃ飽きてしまうし、そんなに進歩もないけど、発表会で役をもらって舞台にあがるとそこで一つ大きくステップアップするのです。それは始めたばかりの小さな子でも同じ。やっぱり「技術」もそうですが、「表現」の世界なんですよ。小さな子でも踊りたい、伝えたい、その気持ちが大切なんだなと思います。

T先生が、やる気のある生徒に弟さんの教室を勧めているのは、そういう発表の機会があるからということでした。どこに移って行ってもいいけど(教室によっては移籍を嫌うところもあるそうですが)大きい教室だと層が厚いから、発表会をしても上にいっぱいいて大したものは踊れないかもしれない。だけどできて間もない教室ならこれからいい役がどんどんつくから、それだけ難しいものにも挑戦できるということだったのです。そのとおり、みんな難しい踊りに取り組んだり、真ん中で一人で踊ったりすることでまた一段とうまくなっていました。

では、T先生のところに残った生徒はどうかというと、ことし8月にK先生の教室の「ジゼル」に出してもらえることになりました。T先生は自分ではその団地の集会所で教えているだけですが、ほかにK先生のところでも教えています。その関係でうちの娘も一昨年は「白鳥の湖」の2幕のコールドを経験しました。今回は「ジゼル」1幕の村娘と、2幕のウイリーです。確かに大きい教室ではこういう「その他大勢」しかできませんが、これはまたこれですごく楽しいようですよ!

バレエには皆で一つのものをつくりあげる楽しさというのもあります。全幕ものに取り組むというのは、たとえ「その他大勢」の中の一人でも全体を見てやっています。全体の中の一人という意識が常にあるから、少しでもよくしようと小さな役でも頑張ることができるのです。これって社会に出ても役立つ、とてもよい経験になるのではないかな~。

ちょっと遠いのですが、発表会の練習が始まってから子どもたちだけで電車に乗ってK先生の教室にも週1回通うようになりました。すでに踊りの振り付けも終わって、この間私は初めてリハーサルを見に行ったのですが、見ていると長いリハーサルの間、踊っているより立って見ているほうが多い子供たち。それでもみんな真剣です。いやと言わないのは楽しいからですよね。たとえ自分が踊らなくても、しっかり上手なお姉さんたちの踊るのを見ているのです。

難しいと思ったのは、1幕のお芝居。後ろにいる登場人物もただ突っ立っているだけではなく、物語の中の一人でいなくてはいけません。周りのお友達と楽しそうに話したり、真ん中で踊っている人の踊りを感心して見ているようなお芝居。これも簡単なようで自然にやるのは難しいのです。

先日私が見たときは、ジゼルが死ぬ場面のお芝居の指導をしていました。驚いたり、心配したり、目をそらせたり、泣いたり、怒ったり、悲しんだり、大人や大きい子はまだいいですが、中学生にはそれはそれは大変ですね~。ここの場面、一人でもボーっとしたのがいると緊迫した場面が台無しになってしまいますから。そこの指導だけで小1時間かかりました。それでも疲れも見せず一生懸命やっている子どもたち。私もつい見入ってしまい、え?もうこんな時間?と驚いたくらいです。

夕方6時に始まって終わったのは夜の10時。次の日学校もあるのに、本当に大変ですね。でも帰りの電車の中も子どもたちはとても楽しそうでした。付き添ってきたお母さんのほうが疲れてるみたいwobblyこれから、T先生の教室で練習して、K先生の所にも通い、こんなリハーサルがまだ何回もある。本当に本番までは親も子も大変です。でも、どんな発表会であれ、舞台に上がる機会があると、一生懸命踊りを練習し、周りと合わせることを覚え、お客さんを意識し、技術も表現も一回り成長していくものだなと思います。

これからうまくなる可能性がある子どもたちはいいな~。大人のバレエはそれに比べ、全然進歩なしですからね~dash悲しいことに。。。下手すると後退してますし~。。せいぜい子どもたちの成長ぶりでも見ながら、ゲストの先生のウオッチングを楽しみに、これからしばらく過ごすことにしましょうね~。うちの子も、小さいときは私が見ていないとダメだったのに、今は「もう来なくていいから」なんてことを言います。ばか言うんじゃないの!お金を出しているのは私!それなりに楽しませてもらいますよっ!発表会は大変だけど、雰囲気は大好きですから。

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2008年4月11日 (金)

またまたバレエ系のつぶやき~雑誌とDVD

「ダンスマガジン」などの雑誌は、毎回買っているわけではないけれど、ここのところコールプの写真などがたくさん出ていたので、幾つか続けて買っていました。これも買い始めるとけっこう買ってしまうのですが、たまると場所をとるから考えてしまいますね。

昔、バレエ初心者の頃は「ダンスマガジン」のほか「Ballet」という隔月の雑誌もあったし、「クララ」も毎回買っていました。それが本当にかなりの量!あるときぱたっとバレエへの関心が薄れて買わなくなって、そのときに処分しようと思ったけど、見た公演の写真が出ていたりすると、なかなか処分できないものですよね。今、再びバレエに夢中になってみると、その頃グラビアを飾っていたスターたちはそろそろ引退の時期。わ~懐かしい。。捨てなくてよかった‥‥そんなところかな。

今出ている「ダンスマガジン」の5月号はまだ買っていなかったので、きょう本屋に寄ったついでに立ち読みしました。何と、ほかにめぼしい公演がなかったせいか、「マラーホフの贈り物」一色でした。巻頭から何ページにもわたって特集されていましたね。前ならマラーホフ目当てで買ってたと思うけど、もういいか~、と立ち読みだけで終わりました。だってマクシム様(ベルツェルコフスキー。やっと覚えた!)の写真が、ものすごく小さくしか出ていないんだもの‥‥。

写真はもっぱらマラーホフとポリーナちゃん中心だけど、迫力のアレクサンドロワの写真、マッシュルームカットで赤い水玉ブラウスのかわいい?フィーリンの写真も出てました。(かわいいなら買えばいいのに‥‥でも、横顔なんだもの)フィーリンのインタビューも出ていましたね。何だ~、もう踊らないって明言していたじゃないですか。あのときの「カルメン」も、「ハムレット」も、実は初めて踊ったんだそうですね。これっきりになっちゃうなんて、本当にもったいない。本人がそう言うのだから「踊る芸監」も、12月ボリショイ来日公演も無理?のようですね。ニーナに「私のところに来たら芸術監督の心得を教えてあげる」と言われたらしいけど、ついでに「踊る芸監」のやり方も教えてやってほしいです。

こんなふうに、立ち読みした雑誌のことばかり書いているけれど、かえって買ったものは、買っただけで安心してしまってろくに読んでないことも多いのです。それと同じでDVDも人に借りたものは一生懸命見るのに(期限付きなので)、自分で買ったものはいつでも見れると思って適当にしか見てなかったりしますね‥‥sweat01

実は今まで、DVDを3枚買えば25%引きとかいうのを何回か利用しているうちに、結構バレエのDVDを買ってしまっていました。だけど忙しくてあまり見る暇がなくて、まだ新品未開封のものも結構あるのです。私って何ておバカなのかしら。例えばロイヤルバレエの「シルヴィア」。見てみて面白かったら7月のチケットを買おうと思っていたけれど、もうチケットなんかないぞ~!

それからシルヴィ・ギエムの「マルグリットとアルマン」。昔見たというだけであまり覚えてないので買ってみたのですが、これもいつでも見れると思うと見ないな~。あと、「マリインスキー・バレエのミューズたち」とか、「ロパートキナのヴァリエーション・レッスン」なんて、あれ?こんなのいつの間に買ったんだっけ?というくらいの衝動買い。やっぱり3枚で25%引きなんて言葉に惑わされてはいけませんね。反省。。 coldsweats01 今、少しだけ暇になったので、せっかく買ったDVD、せっせと見ようと思っています。

というか、今、娘の行ってるバレエ教室のお母さんで、映像集めにはまった人がいて、いろんなのを次々に回してくれるので、それを見るのも楽しいけど忙しいのです。映画のDVDと違って、バレエの映像はけっこう集中して見ないといけないので、「ながら見」はできないから大変です。それとビデオなら途中で用事があって止めても、また後で同じ場所から見られるけど、DVDは最初に戻ってしまって、またそこの場所を探さなくてはいけませんよね。それが面倒くさい!

ビデオといえば、ビデオも今、少しずつHDDにバックアップしたりしています。もしもビデオデッキが壊れてしまったら、また新たにビデオデッキを買うかというと、ちょっと微妙ですよね。だから、全部は無理かもしれないけど、大切なものは移しておこうと思って。例えば、DVDになっていない「ルジマトフ・ジャパンツアー1992」とか、「ルジマトフ・イン・サンクトペテルブルク」とか。こんな「ファン御用達」みたいなものは、あとでDVD化するとは考えにくいですからね~。あとは昔のテレビ放送の録画。

そうそう、前に書いたNHKの、モスクワ音楽劇場のブルメイステル版「白鳥の湖」のビデオ、娘のバレエの先生が録画したものを持っていたのですよ。3倍速で映像はきれいじゃないということだったけれど、貸していただいて、見ることができただけでうれしかったです。チェルノブロキナがとてもきれい。でもこの10数年前の映像とかわらずに今もきれいなチェルノブロキナはもっとすごい。この映像の王子はサバブーリンという人だけど、私が感動した細やかな感情の演技は、遠目の映像ではあまりわかりませんでした。やっぱりあのドキドキするような王子の心の変化は、スミレフスキーの卓越した演技ならではだったのかもしれないですね。

ビデオのバックアップもしているし、買い込んだDVDも見ないといけません。今のところ7月まで公演鑑賞の予定がなくて淋しいけど、それまで何とかこれでつなぎができそうです。

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2008年4月10日 (木)

久々にバレエ系のつぶやき?

一昨日の朝の嵐のような雨で、すっかり桜が散ってしまいました。はかないですね~。きょうもまた雨です。無理してお花見に行っておいてよかったわ~。

さて、ここのところ「スーパー歌舞伎」に心を奪われ、お花見に浮かれていて、すっかりバレエのことはお留守になっていましたが、何だかバレエの世界ではいろいろあったみたいですね。すでに浦島太郎?

もう遅い!かもしれないけど(いや、とっても遅い反応ですね~!)ボリショイのセルゲイ・フィーリンがダンチェンコ(モスクワ音楽劇場バレエ)の芸術監督に??2月の「マラーホフの贈り物」で見たフィーリンの(アレクサンドロワ様に「お仕えしている」感じもしたけれど)とても素敵だったその印象もまだ新しいのに、ボリショイは引退?それに、ルジ様より若いのに芸術監督ですか?そんなあ。。。

「踊る芸監」なら、これからダンチェンコから目が離せないかも?モスクワ音楽劇場バレエ団も、昨年7年ぶりの来日公演をした際には、本当にドラマチックないい舞台を見せてくれました。だけど、印象から言って、何だかダンチェンコの方向性とフィーリンの芸風?と合っていない気もするのですが。(ごめんなさい、何も知らずに印象だけで言っていますsweat01

やっぱり心配なのは12月のボリショイの日本公演でしょう。フィーリンがキャスティングされているわけですから。私はそんな先のことはわからないのでチケット買えないでいたのですが、フィーリン目当てでチケット買った人は気が気じゃないですよね。ジャパンアーツのHPはまだそのままですが、ゲスト出演?そんなことはないでしょう?

それから、とっても楽しみな「ルジマトフのすべて」の出演者が一部発表されていました。マリインスキーからユリア・マハリナ、イーゴリ・コルプ(私は今まで「コールプ」と書いていたけど。ジャパンアーツは「コールプ」、光藍社は「コルプ」?)、キエフ・バレエからナタリア・ドムラチョワ、ヴィクトル・イシュクだそうです。

きゃ~heart04またコールプが見られるのがとてもうれしい!冬の全幕公演では、とても真面目で真剣な一面も見てしまったけれど、またあの怪しく、とんでもなくはじけたコールプさんが見られると思うと本当に楽しみです。それからマハリナが出るということは、ルジマトフがまたマハリナと何かを踊ってくれるかもしれないということですよね lovely 去年の「シェヘラザード」や「牧神の午後」がとても刺激的だったので、さらに期待大というところでしょうか。もちろんマハリナも大好きです。大人の女性のかわいさと妖艶さをあわせ持ったところがとても好き。

キエフ・バレエのイシュクという人は知りませんでした。何でも去年のキエフ・バレエの来日公演は、しょっぱなに怪我をしてほとんど出なかったとか。まだ若い方のようですね。ドムラチョワは「くるみ割り人形」で見ましたが、小柄でとてもかわいらしい感じのバレリーナです。「ルジすべ」に出るというのはちょっと意外な気もしましたが、あの超濃ゆ~い人たちの中で、何を踊ってくれるんだろう?それはそれで楽しみです。

ミハイロフスキー(レニングラード国立バレエ)ではルジマトフ体制の下、いろいろダンサーの入れ替わりが激しいとか?一番ショックなのは、レニ国の中でも特に好きだったエレーナ・エフセーエワがマリインスキーに移籍?という話。よくわからないけど彼女にとっては栄転?いいことなのかしら?もう少しでレニ国の日本公演も「くるみ」や「眠り」以外で主役が張れそうだったのに、より層の厚いマリインスキーで彼女が主役を踊る日がくるのかなあ?どっちにしても、ファンにとっては毎年その成長ぶりを見ることができて、楽しませてもらっていたのに、マリインスキーに行ったら3年に1回ぐらいしか見られなくなりそうで、残念だなあ‥‥‥。

入ってくる人の中には、以前NHKのドキュメンタリーで、ワガノワバレエアカデミーの8年生を卒業まで追っかける番組をやっていた、そのときのエカテリーナ・ボルチェンコ、「カーチャ」がミハイロフスキーにやってくる!彼女こそ父母はどちらもマリインスキーのダンサーだったというし、それこそワガノワを主席で卒業するくらいの逸材だったので、マリインスキーに入団して当然な感じだったのですよね。それが、マリインスキーでコールドから始めるよりも、「歴史のない小さなバレエ団」に最初からプリマとして入る道を選んだということで、その選択に番組を見ている誰もが驚いたり、拍手を贈ったりしたと思います。

カーチャのいたバレエ団(ベラルーシ国立バレエ?)は日本とは縁が薄かったせいか、ほとんどここ数年の活動がわからなかったけれど。そうそう、去年の夏、来日して何かのガラ公演にも出演していたんですよね。それは知っていました。あと、最初に入団を決意した「歴史のない小さなバレエ団」って、もしかしてダンチェンコのことだった?よくわからないけど、そのうちプログラムにプロフィールが載ったりして明らかになることでしょう。これから見る機会がふえると思うとうれしいです。

そのNHKのドキュメンタリー、「プリマバレリーナを目指して」というような題名だったと思うけど、主に二人の生徒をクローズアップしていました。すべてに恵まれたカーチャに対し、地方から出てきて寮生活をし、レッスンには破れたタイツをはき、親の何日分の収入にも当たるトウシューズを本番用にそろえなければいけないのに、なかなか買えなくて先生に怒られたりしている「イーラ」のほうに視聴者の興味は集中していたと思うのです。卒業試験を前にダイエットに苦しむイーラを、自分の家に下宿させてまで面倒をみるコワリョーワ先生(顔も名前もコワいんだ~これが)の暖かさも心にしみた番組でした。

番組はそのイーラがマリインスキーのコールドとして入団できたところで終わっているけど、今はどうしているんでしょうね。というか、久々にその録画ビデオを探してみようと思うけど、あのビデオはいずこへ‥‥。昔のビデオは子どもが勝手に上から「ポケモン」や「コナン」を録画してる場合もあって、見つかるかな~。あ~話が大分それてしまいましたね。

そのほかにも、まだあったけど、いつも長くなるのでとりあえずこの辺で。。。また子どもの発表会のことだの(きのう初めてリハーサル見てきました。もう振り付けは全部出来上がってる)バレエマンガのことだの、大人買い?してしまって新品未開封のDVDのことなど、バレエの話を勝手に続けたいと思っています。

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2008年3月29日 (土)

カルメン

新国立劇場「カルメン」の初日を見てきました。
7月にはルジマトフが新作の「カルメン」を引っさげてやってくるので、その前にいろんな「カルメン」を見ておきたいな~と思ったのが見ようと思ったきっかけです。どうせ私のこと、そんな不純な動機しかありませんよ。。。そして、せっかく見るのなら酒井はなさんがいいなと。ところが、中劇場というキャパの少ない会場のためか、チケットは早くから完売。すっかりあきらめていたところでした。でも、直前になってチケットが手に入り、行くことができました。本当にラッキーでした。20083_025_2

本当の公演名は「カルメンby石井潤」というのです。(確か「椿姫」も「牧阿佐美の・」が付いていた。新国立劇場ではこういうネーミングが流行?)その石井潤って一体何者?最初この公演のポスターを見たときはフラメンコ?コンテンポラリー?と思っていましたが、プログラムのプロフィールを見ると純粋にクラシックバレエの人のようですね。東京バレエ団にいたこともあり、新国立劇場では創設時から2004年までバレエマスターをされていた方のようです。全く疎くてすみません。

幕が開くと、シンプルな舞台装置に、数組の男女。衣装もみなシンプルで、女性はオフホワイトのひざ下の長さのドレス。髪は皆、まとめずに長く垂らしています。男性は黒orグレー。あの、ローラン・プティの「カルメン」のさまざまな色彩や、雑多な雰囲気の舞台とは全く違う、モノトーンの世界。登場したカルメンは、そのモノトーンの中に、唯一ダークレッドのショールを羽織っているのが目を引きます。衣装はやはり白のひざ下までのドレス。カルメンというと、プティの「カルメン」も、アロンソの「カルメン」も、思いきり足を見せたビスチエふうの衣装なので、ちょっと意外な感じがしました。

ところが足なんか見せなくても、気迫が伝わってくるというか、かえって、柔らかいドレスの下に見えるつま先は力強くツンと尖って、強い女、何者にも曲げられない女を主張するかのよう。踊りはコンテンポラリーではなく、やはりクラシックをベースにしたものですが、喧嘩のシーンなど、うまく踊りの中にお芝居が入り込む形で、ほとんど踊っているのか、お芝居をしているのかわからないくらい。それだけ身体に多くを語らせる振付になっているようです。そして、カルメンの力強い首から肩、腕の表現は、今まで私が認識していた酒井はなさんとは全然違っていました。なにしろあばずれっぷりが、すごくカッコいいのです。それでいて下品ではない。全身でエネルギーを発して「私」を主張している、そんな踊りが本当にスカッとしてカッコよかった!

何しろ今まで見たことがある酒井はなさんは、シンデレラ、オーロラ、オデット、キトリ、などクラシックばかり。それがこういうかなりの表現力が必要な、現代の振付作品もすばらしくこなすことに驚きました。そして、まったく女優だわ~。一瞬、去年の「椿姫」をはなさんで見なかったことを悔やんでしまった。。

この、圧倒的に力強い魅力的なカルメンと対極をなすのが、ホセの婚約者のミカエラです。こちらも長めの衣装ですが、長袖で、グレーにうっすらとブルーが入っているところと、髪をきちんとまとめているところなどに清らかさと貞淑さが見てとれます。ほかの女性たちの多少乱雑な力強い踊りのなかで、ひときわ美しくて優しいクラシカルなラインを出していて、その対比がすばらしい。掃き溜めに鶴といった感じ。ミカエラ役も日替わりで、この日は真忠久美子さん。私は見たことはなかったのですが、(ごめんなさい、Kバレエもそうですが、新国のダンサーもほとんど知りませんsweat01)とても手足が長く、特に軽く柔らかい腕の表現が印象的でした。優雅ではかなげな雰囲気がよく出ていました。

そしてホセ役の山本隆之さんですが、私は見るのは多分初めて。とてもきれいで情感豊かな踊りで素敵でした。男性の踊りも変にモダンっぽいところはなく、クラシックを基本とした踊りで、伸び伸びとしたクラシックバレエのよさが出ていると思います。このホセがまた演技が真に迫っていました。どちらかというと、この物語ではカルメンよりもホセが主人公かと思われるくらい、ホセの心の変化がしっかり伝わりました。

カルメンにどんどん惹かれていく様子。スニーガと戯れるカルメンに嫉妬の炎を燃やし悶えるところ。ミカエラとの心癒されるひととき。そして圧巻が、盗賊団に身を落とした後のモノローグ(バレエではそうは言わないか?)の部分。兵士であったことの誇りと、カルメンを愛したことで逃れがたい罠にはまり、人生を狂わせてしまったことへの後悔。それでもカルメンを愛さずにはいられない激情が切々と伝わってきました。山本さんは踊りもきれいですが、演技も素晴らしかったです。

振付のアイデア、というか構成もよかったです。1幕のカルメンとホセの踊り、カルメンはほかの男には気安く身体を任せるのに、ホセに対してはなかなか触れさせないでじらしている。尖ったポワントの先がまるで武器のよう。そしていきなりテーブルの上に乗ると、そこにあった皿を割って、その破片を両手に持って踊る。まるで「私に触れたらずたずたに切り裂くわよ」と言っているみたい。

そしてそのあと、テーブルの上に足を広げ、いきなりシューズを脱ぎ捨て、裸足になってからの変貌がすごかった。やっぱりトウシューズは心の武装の象徴だったのかも。そのあとは「シェヘラザード」もノイマイヤーの「椿姫」のバラード1番のパ・ド・ドゥも、端正に見えてしまうくらいのきわどさでした。

ホセの心の苦しさと同様に、カルメンの満たされない思い、絶望にもスポットを当てているところがいいです。どんなに男たちの間を渡り歩いても、癒されることがない。男たちは表面ではカルメンを賞賛しながら、逆に踊りの方は心理表現の世界だと思うけれど、皆カルメンを邪険に、さげすむように扱うのです。そして、男たちの群れの中心に抱えあげられながら、叫び声を上げているようなカルメン。

エスカミーリオ役のトレウバエフの伊達男ぶりがよかった。しかし、この人歌舞伎役者みたいに顔デカイ~。いや、大変インパクトの強い、一度見たら忘れられないお顔ですね。確か「牧阿佐美の椿姫」では、女装して踊ってた‥‥?でも、こういう役はとても押しが強くて適役だったと思います。

音楽はあれっ?これは「アルルの女」?え~「真珠とりのタンゴ」だわ~。みたいなところがあったけれど、ビゼーの「カルメン」をベースにしていて、うまく場面に合った音楽を使っていたと思います。(オペラを知っている人は、なぜにこの場面?みたいなところがあるかもしれませんが)1部無音のところがあり、そのジプシーの男たちの踊りも迫力でした。

感想というより断片的に思いついたことを書いてしまいましたが、「カルメン」という題材にはいろんな脚色ができる面白さがあると思います。今回の「カルメンby石井潤」はクラシックの踊りを基本としているけれど、お芝居の進行なども、自然な動きで表現されていて、なおかつ登場人物のキャラクターも、心情もはっきり表わされていて、とてもカッコいい作品でした。(ばりばりコンテンポラリーでなくて、私にはよかったですsweat01)また、酒井はなさん、山本隆之さんの演技力にも圧倒されました。

今回は、昨年「ドン・キホーテ」のときにお会いした、はなさんのファンのお二人にまたお会いすることができました。一人で見に行くことが多いせいか、会場でリアルタイムに感想を話したり聞いたりできてとても楽しかったです。それと、情報で李波さんが会場にいらしていると聞いていたので‥‥。でも探さなくてもすぐにわかりました。どこにいても彼は優雅な王子様な雰囲気で、目立っているんですね~。あと、牧阿佐美さんが真っ赤なスーツでやっぱり超目立っていました。それと一目でダンサーとわかる雰囲気のペアが前を通りかかり‥‥聞いたら3日目に主役を踊る本島さんと碓氷さんだということで、新国立劇場ではこういうことがあって、休憩時間も楽しそうですね。

それから、売店で舞台写真を売ってるんですよ。種類はあまりありませんが、記念にはなさんの「カルメン」の写真を買いました。この間も新橋演舞場で舞台写真を買いましたが、あちらはもっと種類があって選ぶのに悩むくらい。こんなふうにほかの海外バレエ団の公演でも、舞台写真を売ってくれるといいのにな~。

さて~、ルジ様の「カルメン」はどうなるんでしょうね。結局私の行き着くところはそこか~と思ってしまいますが、楽しみですheart04こちらは振付が昨年の「ボレロ」、3年前?の「スペインのため息」を振付けたリカルド・カストロ・ロメロなので、大体どんなものか想像は付くのですが、「カルメン」という素材から、よりストーリー性のある、ドラマチックなものになる予感もあって本当に楽しみです。バレエではなくフラメンコがベースというのも、また今のルジマトフの志向に合っているのかもしれませんしね~。

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2008年3月20日 (木)

チケットきた!

「ルジマトフのすべて」のチケットが届きました~! happy01 そんなことぐらいでいちいち書くな!って話ですよね。ごめんなさい、うれしかったし。先月のマラーホフ以来、バレエの話題はないものですから。

来たチケットはそれはもうドンピシャ希望していた席でした。「ルジすべ」の場合はやっぱりFAXが優先だったらしく、発売日にイープラスで確認したのよりずっとよかったです。ただFAXでうっかり申し込むと「かぶりつき」になってしまったりするんですよね。私一人なら、とにかく表情までたっぷり見たいheart01からそれでもいいけど、今回は総勢4名。しかも初ルジ様の人もいるので、その人に引かれてしまわないように?前過ぎないほうがよかったのです。

前列はたぶん熱~いファンのお席で、終盤になると花束を渡す人がぞぞ~っと移動したりするので、初めての人はびっくりするよね~!一般的にも前のほうは段差がないので見づらいということもあるし。希望はもうちょっと離れた、歌舞伎でいう「と・ち・り」席(イロハの順で7~9列目)がいいなあ、と思っていたのです。それでだめもとで希望を備考欄に書いてみたら、そのとおりになりました。光藍社さんありがとう~!こんな親切な会社ってありませんよね。

だけど演目の情報、出演者の情報はまだほとんどありません。そういう意味では不親切。それでもルジマトフのファンは、もうほかの出演者が誰だろうと、何を踊ろうと、彼が出るというだけでチケットを買うのだから(私もです~!)それでいいのでしょうね。私はバレエをしばらく見ていなかった時期でも「ルジすべ」だけは毎回見ていましたが、本当に1回もはずれなく楽しませてもらっています。また今年も楽しみだ~heart04

バレエついでに書くと、最近、子どもの発表会で「ジゼル」をやる関係で、お母さんたちの間でも「ジゼル」の話題がよく出ます。これがまた面白いんですよ。

先生からのお達しで、1幕の村娘役は、何でもいいから「ジゼル」のDVDを見て、ジゼルが真ん中で踊っているとき、狂乱のシーンを演じているとき、まわりでどんなことをやっているのかよく見ておくように!というのがありました。実際は踊りの振りができたあと、お芝居の指導もあるそうなのですが、その予習ということなのでしょう。それで、どんなDVDが出てるのか、何がいいのか、そんな話から始まって、いろいろなDVDが今、お母さんたちの間で貸し借りされて飛び交っているのです。

話を聞いていると、ストーリーもろくに理解していないような人もいるし、反対にいろんな映像を集め始めたマニアックな人もいるし、最近は子どものバレエについていくのが楽しいです。私が持っていなかった映像もいろいろ見せてもらえて、ずいぶん得しています。

例えば、この間借りた、キーロフのガリーナ・メゼンツェワの「ジゼル」は古いのに映像がとてもきれい。そしてアルブレヒト役のザクリンスキーがすごいハンサムheart01知らなかった~。2幕のミルタ登場シーンがこわーい!まるでオカルトみたい。だって墓と一緒にミルタがギィ~っと起き上がってくるんですよ!

それからカルラ・フラッチの「ジゼル」は、映画仕立てのスタジオ撮影。これまたウイリーたちが青ざめた顔でコワイ。1幕の幸せなシーンでも、白塗り顔のミルタ?が物陰にじっと潜んでいたりして、とても不思議世界です。

みんなが持っているのは去年テレビで放映した東京バレエ団の録画で、アリーナ・コジョカルの「ジゼル」。ジゼル役の中ではコジョカルが一番愛らしく、狂乱の場もそんなにハデに狂ったりせずに、哀しげにまなざしを泳がせているところが「かわいそう!」と評判でした。

でも、不思議なことに村娘の踊りはどれもけっこう簡単なようです。一方、T先生の振り付けは子どもにはかなり難しいのです。聞いてみると、T先生が昔、発表会や現役時代にやってたのはもっと難しかったというの。これでも少し簡単にしてるって??さらに聞いてみると、アレッサンドラ・フェリのビデオも参考にしているとか。あ、それなら私、持ってるflair 早速見てみると、ほんとだ~。足技が細かい。だけどバックでこんなに難しく踊っていても、実際誰も見ていないんですけどね coldsweats01 これは96年のミラノ・スカラ座。ふっと去年のヌレエフ版「ドン・キホーテ」を思い出してしまいました。ミラノ・スカラ座は小難しい踊りが好きなの?

ヌレエフといえば、いつだったかNHKで、森下洋子とヌレエフの「ジゼル」を再放送したことがありました。確かビデオに撮ったはずと思って探したらあった~!でも、これはハイライト版になっていて、村娘の踊るところはほとんど入っていないので、発表会の参考にはなりませんね。ただ当時35歳の森下さんがもう、本当にかわいらしい。そして当時45歳のヌレエフ!何とジャンプも回転もしっかりとやっているのです。ちょっと背中や腰が硬い感じはするのだけれど、独特の無意味に派手な振付で、タフな超人ぶりがうかがえました。リフトも力強いし。あ、でもこれは体重38キロ、身長153センチの森下さんだからでしょうかね~。(うちの中学生の娘より小さいです‥‥)

お母さんたちの話で面白いのは、アルブレヒトが不人気なこと!そしてヒラリオンがかわいそうという人が多いのも面白い。ヒラリオンは何も悪いことをしていないのに、どうして殺されなきゃいけないの?その上、あんな二股かけたしょうもない浮気男をどうして許せるのかわからない、ですって!あの~、映像じゃなく一度実際の舞台を見てくださいよ~。何か、そういうのって理屈じゃないんだよね。

さらに変な突込みをする人もいました。アルブレヒトは身分上人目を忍ばなきゃいけないから、夜に墓参りに行っても不思議じゃないけど、ヒラリオンは何でわざわざ夜行くのよ?白昼堂々と行けばいいのに。とかね。いや、ヒラリオンは村人だから、昼は農作業で忙しいんだとも‥。どうでもいいことなんですが、私のまわりには今までバレエの話をする人がいなかったので、最近そんな話題が出るのはちょっとうれしいのです。

それにしても、ルジマトフが去年、キエフの「ライモンダ」にも、レニ国にも出ないということがわかってから、本当にファンとしては不安な日々を過ごしてきました。芸術監督の仕事が忙しいと聞いたときには、もうこのまま引退しちゃうんじゃないかと心配したり。そんなのやだ~!でも、今はこのチケットがある!7月には彼の舞台が見れる!本当に今は幸せheart04

「ルジすべ」を楽しみに、これから7月まで生きていけますね~。45歳のヌレエフが、しっかり古典を踊っているのだから、ことし6月で45歳になるルジマトフにも、まだまだ頑張ってほしいです。ロメロ姉弟の「カルメン」がルジマトフの魅力をどう引き出すのか、また昨年上演した「阿修羅」がどんな進化をとげているのか。ああ、本当に待ち遠しい~!

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2008年3月18日 (火)

見逃した。。シンデレラ

ブログの機能で、どんなキーワードで見に来ていただいたかがわかるのですが、ここのところ、この土日にあったスタ・ダンの公演について、何人かの方が検索で来ていただいたようです。ごめんなさい!実はこの土日、いろいろ忙しくて行けなかったのです。今月初め頃の記事に「行きたいな~」なんて書いたのが、検索に引っかかってしまったのでしょう。

その公演(はっきり書くとまた検索に出て申し訳ないので)は、本当は見たかったのです。スタ・ダンは、以前西島さんや李波さんが主役を踊っていた時期に、好きでよく見に行っていました。年に何回かしか公演はないけれど、その頃は子どもも一緒でしたから、結構な散財でしたよ~。中でも「ドラゴンクエスト」は上のお兄ちゃんも大好きでした。あれはすごく楽しい作品でしたよね~。バレエ団も、ファンのつどいをやったり、とてもアットホームなカンパニーでしたが、今もそうだといいな。

「シンデレラ」は、音楽がドラマチックで素敵だし、とても好きな演目なのですが、あまり見る機会がありません。今までに見たのも新国立劇場と、井上バレエ団と、シャンブル・ウエストだけ。(シャンブルウエストの「シンデレラ」はいいですよ!清里でまたやらないかな~。)またいつ上演するかわからないから、今回やっぱり無理しても見ればよかったです。。 weep 残念。

新国立劇場で今年の12月にやるそうですが、あそこのアシュトン版というのは、グロテスクなお姉さんたちが舞台を占領してるし、振り付けも独特のカクンカクンした小難しそうな感じだし、舞台も暗いので好きではありません。(シプレイとダウエルのロイヤル・バレエのビデオは素敵ですけどね~)

あ~、思い出した!前にレニングラード国立バレエでも「シンデレラ」をもってきた年がありましたね!ボヤルチコフ版の、あれは大変ビミョ~な作品でしたわ!

ならDVDで、と思うけど、DVDも唯一出ているのが大昔のキーロフ?(最近売っているのは「キーロフ」と書いてあるらしい。私のは「ボリショイ」と書いてあるのだけど??同じものだと思いますsweat01一体なぜ?)のDVDぐらいしか出ていなくて、それがまたスタジオ撮影のものすごく変なやつで、一度見たらもう見たくないような代物でした。

どうして「シンデレラ」って演目はこうもひどく迫害されているんでしょうね~!そのうち誰かが魔法をかけて、素敵な作品にして日の目を当ててくれないかなあ‥‥‥。と常々思っていたのです。それが「ドラゴンクエスト」のような素敵な冒険ファンタジーを創り出した鈴木稔さんなら、本当に適役でしたよね。

でも、見れなくてゴメンなさい!12月から1月にかけて、バレエ公演ラッシュでチケット買いそびれていました。それに最近どうも、今までのしわ寄せで仕事はたまるし、子どもの学校の関係でいろいろあるし、3月でサークルのお別れ会みたいなのもあるし。土曜日は1日外出。日曜日は1日どこも行かずひたすら仕事してました!イープラスの得チケも出ていたけれど、A席のみ1,000円引きなんて、どこがお得かわからない。しかもあれじゃ実質当日券じゃないですか?それで何となく逃してしまったんですよね。。。

誰か見た人はいないかな~?と思って検索してみたんですけど、ほとんどヒットしない。。誰も感想書いてないの?こんな全然内容のない私のところまで、検索した人がいらしていただけるはずですわ。お教室の先生にチケット買わされたような人ばかりだったのでしょうか~??どなたかごらんになった方がいらしたら、どんな公演だったのか、お話を聞きたいです。そしてぜひ近いうちに再演を。。せっかく魔法をかけて素敵になっても、12時過ぎて消えてしまったら悲しいですからね。

そうそう、2002年の「ワガノワ・バレエ・アカデミー卒業公演」のビデオが「シンデレラ」なのでした。これは残念なことに2幕のみなんです。それに下級生が演じている12人の時計の小人?が、あの悪夢のようなDVDにそっくり!やっぱりあれは「ボリショイ」ではなく「キーロフ」だったのね!

だけど、シンデレラ役の当時8年生のオブラスツォーワがかわい~!それに何と王子はロブーヒンなんですよ!二人ともワガノワの優等生で、一緒にマリインスキーに入ったんですね。ロブーヒンもまだマッチョな感じはしなくて、とてもさわやかな王子様です。王子の友人役にシクリャローフ君(7年生)の名前もあるけど、アップで映らないので全然わからない。7年生のソーモワもコールドに名前が載っていましたね。やっぱりどれがそうかわかりませんけど。

カーテンコールのとき、ボックス席で見守る先生方の暖かいまなざしがちょっとよかった。私は知らないけど、彼女たちも名立たる往年のバレリーナなんでしょうね。あなた方が送り出した生徒たちは今立派に活躍してます~!という感じ。悲惨な?振り付けにもかかわらず、こうやってみるとけっこう見所がありましたね。

そう、こんなマイナーなビデオまで集めてるくらい「シンデレラ」好きだったんですよ、私sweat02今回は見られなかったけど、次はぜひsign01

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2008年3月 9日 (日)

DM来た!

こんなことをタイトルにするなんて、私も相当変ですね。。。でも、うれしかった happy01 何か、一年ぶりのやった~!です。「ルジマトフのすべて2008」のご案内がうちにも届きました。20083_015

この写真は「いかにも芸術家!」という感じがしますが、去年の「悩殺ダイナマイト」写真と比べると、ずいぶん落ち着いてしまわれたのね~。芸術監督になって、ああ、それなりにそれなりだわ‥‥という感じ。この一年でご本人もがらりと変わったのだろうけど、いろんなことに一喜一憂させられたファンの私も変わりましたね、多分。もう多くを望まない。何だか見られるだけでありがたいわぁ~みたいになってきてしまいましたsweat02

大体、演目は「新作:カルメン」、「再演:阿修羅」だけで、出演者もロメロ一家(ヤクザの一家じゃないですよ。。)のみの発表だけでチケット売ろうっていうんだから、相当なもんですね~。それでもファンの人たちは買ってしまうだろうし‥‥私もだけど。

ことしは2回だけなんですね。せっかく来日するのだから、もっとやってくれればいいのに。ほかには誰が来るんだろう?コールプさんは来てくれるかなあ?レニ国の夏ガラに名前がなかったエフセーエワをまた呼んでほしい!ユリア・マハリナも‥‥あれっ?多くは望みませんって言ったばっかりでしたねsweat01

せっかくチケット買うのだからと、去年一緒に行って、あのロメロ一家のフラメンコがよかったと言ってくれていたT先生にも声をかけたら、何と他にも見に行くという人が現われ、うれしかったので早速Faxを送ってしまいました。昨夜は何回かエラーになって、もしかして送れなかったらどうしよう‥とドキドキしてしまいましたよ。でも今朝やってみたら送れたので、これで一安心です。ほっdash

7月まで全くバレエ鑑賞の予定がないのはやっぱり淋しいので、何か見に行けたらと思ったのですが、「カルメン」つながりで新国立劇場の「カルメン」はどうかなあと思ったら、もうとっくにチケットは完売していたのですね。残念。

それから、今週末のスターダンサーズバレエ団の「シンデレラ」の「得チケ」のご案内があったので見てみたら、A席のみ1,000円引きで、しかも席は当日までわからないというひどい得チケ!そんなのちっとも得じゃないでしょう!でも「シンデレラ」は好きな演目だし、何といってもあの「ドラゴンクエスト」の鈴木稔さんの振り付けなので、見てみたい気がします。

あと、結局ABTの「海賊」は、ニーナの日に行くことにしました。土曜日だし、娘の発表会も近いので、リハーサル入るかも?と思っていたけれど、何をおいても見なくてはいけない気がするものは、やっぱり見るべきと決心しました。先月のマラーホフでしばらく打ち止め、と思っていましたが、またちょっと間を置いて、バレエ熱が続きそうです。

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2008年3月 6日 (木)

また買ってしまった‥。

バレエ鑑賞、2月はマラーホフを見ただけでした。それで手持ちのチケットはなくなったのですが、やっぱり淋しい~!禁断症状というわけではないですが、私の場合、周りにバレエの話をする人はほとんどいない(ママバレエの仲間は鑑賞のほうはあまり興味なしsweat02)ので、私のバレエライフ(?)は、家でDVDや古いビデオを見て、娘を相手に何か言ってるぐらいのもの。娘は「またか」という感じで、半分無視ですからね~despair

さて、3月になったので、そろそろ待望の光藍社さんからのDMが来るだろうと、どきどきしながら待っているわけですが、一体いつ来るのだろうとH・Pを覗いて見たら、何と、当の「ルジマトフのすべて」と、ミハイロフスキー(レニ国)の夏の「バレエ祭り」と「クラシック・ハイライト」などがきょうから先行販売じゃないですか!

早速チケットのページへ‥‥(前のように、席も確かめないで「購入」ボタンを押さないように気をつけながら‥coldsweats01)すると、やっぱり「ルジすべ」はDMのほうが絶対優先になっているらしく、ど真ん中のいい席だけれど、1階中央より後ろのほうでした。全幕ものならとてもいい席なのですが、やっぱり「ルジすべ」はもっと前で見たいよね~。DMまで待つことにしました。DMも難しいんですよね。余り気合いを入れるとかぶりつきになってしまって、まわりはいつもの着飾った方たちばかりで、場違いということにもなりかねないので。DMが来てからしばらくタイミングを見計らって、一般発売の前までにFaxを送ることで、去年の「ルジすべ」は前過ぎず後ろ過ぎず、最高の席で見ることができました。

それから、夏に娘のバレエの発表会があり、7月は忙しくて行けない可能性もあるのでどうしようか迷ったのですが、何と「親子バレエ祭り」が立川に来るではありませんか!これは絶対行くっきゃない、と思って娘の分まで買ってしまいました。だって、去年「バレエ祭り」を一人で見に行ったら、周りは全部子供づれで何だか居心地悪かったのですもの。まあ、中学生の冷めた娘を連れて行ってもたいして変わらないのですけどね‥‥。だけどよく考えたら夏休みとはいえ、リハーサルとかが入るかも知れない!いいや、そのときは誰か友人を誘おう‥‥sweat01「バレエ祭り」はよく見るとレニ国のダンサーはペレンとシェミウノフだけじゃない。。。路線変更でしょうか?

光藍社さんは、次世代鑑賞者の開拓にずいぶん熱心らしく、キエフ・クラシック・バレエの「白雪姫」も子供向けにずいぶんいろいろなところで公演するのですね。料金も手ごろだし、八王子なら近いからどうかなと思ったら、何と7月19日ではないですか。この日はABTの「海賊」でニーナ・アナニアシヴィリの出演日。時間はかぶらないけど、行くならそっちのほうが絶対いいじゃないですか。(値段は3倍以上だけど)実は、ABTのほうはチケット買いそびれてしまったのです。今から買っても、忙しい時期なので予定がわからないと思って‥‥。でも、何やかや言っても、やっぱりニーナが一番好きなので、何があっても行くっきゃないかと思い始めています。今後いつでも見られるというわけではなさそうだしね。あ~。

それからもうひとつ「華麗なるクラシック・バレエ・ハイライト」が、何と9月の2、3です。ああ、またシェスタコワもステパノワも見られるのね!うれしいですheart01こっちのほうはもう発表会は終わっているので迷わず買い!で、とりあえず1日だけ買いました。何だか先行販売初日に買うなんて初めてだし、今までになくかなりいい席がとれたので、たまたま光藍社さんのH・Pを見てよかったと思いました。

H・Pはしばらく見ない間にすっかり新しくなっていて、トップページ全面がバレエの写真で、数秒ごとに変わるような、とても美しいものになっていました。「芸術のある豊かな生活」というキャッチフレーズ。それがここのコンセプトなのね。本当に手ごろな料金で、地方の小さなホールまで出向いて多くの公演をし、子どもたちにも本物のバレエに触れる機会を提供し、今までどんなにたくさんの新しいファンを開拓してきたか。その姿勢には頭の下がる思いです。もちろん、毎年大変なツアーをしてくれているレニ国の皆様もね。

そのH・Pの写真ですが、「ショピニアーナ」?のコシェレワとプパチョフが絵のようにきれい。ペレンとシェミウノフの写真は「ライモンダ」かしら?見たことないけど、ぜひ日本でもやってほしいです。「パキータ」は残念ながら顔がよくわからない。そして「ジゼル」はシェスタコワとルジマトフ、ミルタは後姿だけど誰かしら?最後、きわめつけが「海賊」です。シェスタコワとプパチョフ、そして二人の足元に控えるルジマトフのアリ!!もう、最高にかっこいい~heart04こんな写真一つ見るだけで最高に幸せな気分になれるんですから、私ってやっぱりずいぶんおめでたい人だったんですねぇ。

ずいぶん先ですが、また楽しみがふえました。

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2008年2月25日 (月)

ほのぼのとした「贈り物」2

「マラーホフの贈り物」Bプロ
見終わってからもう何日もたってしまいました。せっかく見たのだから忘れないうちに感想を書いておかなくてはと思うのに、週末ちょっと忙しくなってしまい、なかなか時間がなくて、細かいところはもう忘れちゃったかなcoldsweats01。。。

と、思って前回のを読み返してみると、音楽はずっと流れていたのに「音もなく」なんて変!とか、いろいろ突っ込みたくなったりして、おかしなものですね。「鉄は熱いうち打て」と思うけど、見てすぐの感想は、主観的なものばかりに支配されているので、あとで見るとあれ?と思うようなことがあったりします。少し時間がたって頭が冷めてからは、何だかうろ覚えだけどけっこう客観的に見れたりするものかもしれません。

今度は東京国際フォーラムのホールCです。去年はここで「ルジすべ」を見たし、ダンチェンコの「くるみ」と「白鳥」も見ました。小さな会場なので会場全体に一体感があり、いいと思うのですが、どうも拍手がかき消されてしまうような、あまり響かないところですね。一方会場の雰囲気は舞台にすぐ伝わるようです。今回は何度か水を打ったように静まり返って、観客が皆集中して見ていることがわかり、トウシューズにつけた松やにと、リノリウムの床がきしきしいう音が聞こえるくらい緊張感が走ったときもありました。

プログラムはいきなりマラーホフのロビンス版「牧神の午後」から始まりました。この作品はずっと前にスターダンサーズバレエ団の公演で、西島千博さんと福島昌美さんで見たことがあります。当時の西島さんは超イケメン。(今も?)福島さんも本当に初々しい少女で、まるで青春ドラマを見ているようでしたが、セットも衣装も同じだと思うのに、全然違う印象なのには驚きました。

客席側は鏡になっているという想定。稽古場で眠っていたダンサーがゆっくり起き上がって鏡を見る。そのマラーホフのまなざしの、何とナルシスティックなこと!私は2階席だったのですが、オペラグラスで見ると、まるでこっちを見つめているかのようにも見えて、ドキドキもの。静かにポーズをとりながらチェックをしていくその瞳の、うっとりするようなけだるさheart01

そこへポリーナちゃんが新鮮な風のように入ってこようとするのだけれど、先客がいるのがわかると、今度は気付かれないように、そっと入ってきて、無言でバーレッスンを始める。ポリーナちゃん、なんてもう言えないほど大人っぽくてドキッとしました。長身で顔が小さく、8頭身なんてものじゃない彼女は、まるでバービー人形のようです。彼女が入って来ても別に挨拶をするでもなく、黙々と一人レッスンを続けるマラーホフ。二人は視線を合わせることなく、鏡の中でお互いを確認し合い、そのうちに二人で踊り始める。

ダンサーは常にレッスン場で鏡を見て自らのポーズやポジションの正しさを確認し、いかに美しく見せるかを常に考えているもの。だからある意味、限りなくナルシスティックで、ひとりよがりなものなのかもしれません。それが、鏡の中だけで相手を見つめ、どちらからともなく自然に手を伸ばし、踊りたくなってしまうという衝動は、無感情なのだけれどそこはかとなくエロティックでもあり、大胆でもあり。男女が一緒に踊るということは、相手の身体を最大限意識し、存在を確かめ合わないと危険を伴うだろうと思うのに、ここではまるで夢の中のように、鏡の中というバーチャルな世界で体を触れ合わせているだけのようにも思えます。

最後のほうで一瞬、われに返ったように現実の世界で見つめ合い、思わず頬にキスしてしまう場面があり、そこが唯一感情が高まるところ。でも、直後にすうっと、何も言わずに稽古場を出て行く彼女。今のは一体何だったの?夢のような、現実感のない感情のさざめき。マラーホフならではの静謐な詩情あふれる世界だったと思います。

第2部の「バレエインペリアル」は大体前回書いたとおり。退屈で爆睡必至かと思ったら、意外によかったです。壮麗な宮殿、この上なく美しいお姫様もほほえんでいるのに、何でマラーホフはあんなに苦しげな雰囲気をつくっていたのでしょうね。その重々しい荘厳に対峙するような鬱々とした雰囲気を加えることで、何だかわからないけど、前に見たときとは全然違う、ロマンティックな深みを味わうことができました。

ヤーナ・サレンコとズデネク・コンヴァリーナが踊った「グラン・パ・クラシック」と「ドン・キホーテ」。え?また「ドン・キ」?と思ったけど、そう、Aプロでもこの二人の「ドン・キ」を見ました。小柄でテクニックのあるサレンコ。ものすごくゆっくりとしたテンポにして、バランスやポーズの美しさを見せるタイプの人なのでしょうか。どちらも盛り上がる演目で、楽しかったけれど、あまり印象に残っていません。とくに男性が‥‥。(ゴメン)

マリーヤ・アレクサンドロワとセルゲイ・フィーリン。この二人はAプロではピカ1で、特にアレクサンドロワの印象が強烈で、マラーホフを食う勢いでしたが、何だかこの「ハムレット」も「シンデレラ」も、見慣れない演目のせいか今ひとつ盛り上がりに欠けてしまいました。何しろ両方とも短いのよ!見入っているとあっという間に終わってしまう。もっと見せて!ケチ~!という感じでした。

「ハムレット」はシェイクスピアのものではなく、ハムレットになぞらえたロシアのお話なのだそうです。ものすごく強そうで、何かに怒りを爆発させているようなアレクサンドロワの女帝エカテリーナはど迫力だった。一方フィーリンは息子役??よくわからないけど、もったいなくも影が薄かったです。アレクサンドロワの足元に何度もダイブするところは、なぜか胸キュンheart01となりました。私フィーリンって好きかも?と思ってしまった。今さらですけど。coldsweats01

「シンデレラ」は、プログラムには結婚式の場面と書いてあったけれど、どう見ても結婚式じゃないでしょう。シンデレラはシンプルだけど地味な、1幕のぼろぼろな灰だらけの衣装を思わせるし、王子はリラックスした部屋着のような白いブラウス。音楽もプロコフィエフだし、何だかロミオとジュリエットみたい。とても素敵でしたが、どうしてこんなに短いの??もっともっとこの二人を見ていたかった。

イリーナ・ドヴォロヴェンコとマクシム・ベロツェルコフスキー。相変わらず入力しにくい名前!このお二人、プログラムによるとご夫婦だったんですね。道理でとても息が合っているし、Aプロの「くるみ」では、もうこちらまで幸せな気分で満たされてしまうような、ラブラブ光線をめいっぱい発していたベロツェルコフスキー(ああ、面倒くさい。次からはコピー&ペーストで入力しよっ。というよりマクシム様heart01でいいか。)だけど、それもご夫婦なら自然のことなのでしょうね。

それがまたまたマクシム様LOVE!と叫びたくなるようなラブラブ光線炸裂なんですよ。この人っていつもこんなに満面の笑顔なの??もう笑顔が

素敵! 素敵! 素敵~♡

マクシム様って、ダンサーとしての体型でいえばさほどよくないと思います。でも、すらっとした脚でなくても、筋肉質ながっちり体型でも、あの高貴な笑顔だけで文句なく王子様なの。

「黒鳥」のパ・ド・ドゥでは、本当にオディールしか見ていなくて、近くしか見えない近視眼的な、だまされるときの王子そのもの。というより、過剰にラブラブすぎちゃって、まるでオディール様にお仕えする下僕のよう。あなた、「海賊」のアリですか?と突っ込みたくなってしまいます。

それから「アポロ」は、去年見たパロマ・へレーラとホセ・カレーニョの「アポロ」とは、同じABTなのに全然印象が違いました。あっけらかんと明るかったヘレーラ&カレーニョに対し、とても繊細でした。そのうえマクシム様の太陽のような笑顔!あの幸せオーラにすっかりやられてしまいました~!‥‥何を言ってるんだかわからなくなっちゃった。でもマクシム様(別に「様」付けはたいした意味はなく、単に「ベロツェルコフスキー」と入力するのが面倒くさいだけです)は、激しく好みです。7月のABT公演は「白鳥の湖」に1日キャスティングされていますね。もう、それ見るっきゃないかな?

最後のマラーホフの「ラ・ヴィータ・ヌォーヴァ」。Aプロのときは寝てしまいましたが、今回はしっかり見ましたよ。配役表の裏にわざわざマラーホフの言として「天使のようなものが禍々しい部分から生まれる」とか「ネガティヴなことや悪いエネルギーから逃れようと何かを試みること、それが新生であり、新しい人生なのです」などと書いてあります。それこそ40歳を目前にして、また今回の怪我を乗り越えたマラーホフの抱負そのものだと思います。

でも作品を見る限り、禍々しいものから生まれた天使はまだ幸福ではなさそう。新しく生まれた者の喜びや輝きは感じられません。最初のブルーグレーの衣装を、まるで脱皮でもするかのように脱ぎ捨てたあとの白い短パン姿は、痛々しいほど無防備な「素」を感じさせ、何のガードもない不安が支配していました。新しく生まれた肉体にまだなじまない感覚、むき出しになって強風にさらされるような、そんなひりひりと痛みが伝わるような「新生」という気がました。マラーホフの今後にかける意気込みと、挑もうとする大いなるものへの畏怖を表すものなのでしょうか。

このAプロ、Bプロを通じ、不思議なことにマラーホフは演技上では一度も笑顔を見せていないのです。みんな無表情か、あるいはつらそうな、せつなくやりきれない表情をする作品ばかりでした。なぜでしょうね。また、それなのに、それを見た私は本当に幸せな気持ちでAプロもBプロも、ほんわかと優雅な気分で帰っていったのです。これって一体どういうことでしょう?わからないけど、もうその雰囲気だけでうっとりさせられてしまう。カーテンコールでにっこり笑うマラーホフを見たとたんに、ああ、この人を見れてよかったなって、そういう気持ちにさせてくれる不思議な人なんでしょうね。

他の出演者の方々も皆素晴らしく、優雅で見ごたえのある公演でした。ルジ様やコールプさんのキレキレ、決めまくりなド迫力を思うと淡白な感じがしないでもありませんが、本当にほのぼの心に残る素敵な「贈り物」でした。怪我で心配してしまったけれど、元気な姿をみせてくれて本当にありがとうheart01と、律儀な王子様に感謝した公演でした。

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2008年2月21日 (木)

ほのぼのとした「贈り物」

「マラーホフの贈り物」のBプロを見てきました。これで私の、事前に買って持っていたチケットはすべてなくなりました。淋しい~。前日に「余り期待してない」なんて書いちゃったけど、これが家に帰ったあとからしみじみと見てよかったな~と思えるような素敵な「贈り物」だったのです。とても大雑把な感想ですが。Imgp4643

Aプロのとき売り切れていたプログラムを早速買いました。見開きの写真が素敵。40になっても(まだ39か?)やっぱりマラーホフは永遠の少年ですねheart04よっく見るとけっこうオジサンきてるのに、それが舞台上では不思議な存在感なんですよ。以前の若い透明な美しさはさすがに薄れたかもしれないけれど、何というか、人をうっとりさせる力というか、そういうものは全然変わりませんでした。

もともとそんなに「美少年」でもないんですよ。素顔はどっちかというと面白い顔?でも、少年っぽい体型といい、羽の生えた天使のように踊る雰囲気といい、私は少女漫画のことは詳しくないけれど、竹宮恵子ワールドみたいな(語弊があったらゴメン!)ものがあったじゃないですか~。(幻想‥‥?)それが、イメージに反してコミカルな役もこなしたり、芸術監督としての才能も発揮したり、元来多才な人なんですよね。今回も急遽ひっさげて来た新作「ラ・ヴィータ・ヌーヴァ」のように、また新たな面を見せてくれたと思います。

私の一番の収穫はなんと「バレエ・インペリアル」でした。ええっ?

苦手なバランシン、と自分で言ってるけれど、そんなに作品見てるわけではないんです。スターダンサーズバレエ団や東京バレエ団で見ただけ。あと、確か数年前にABTのガラで「セレナーデ」を見たかも。それくらい。「チャイパド」はいろんなガラでやりますね~。だけど、正直どこがいいかよくわからなくて、眠くなったりしていました。去年の東京バレエ団の「バレエ・インペリアル」なんか、申しわけないけど途中から爆睡!だったものね。

ところが、同じ「バレエ・インペリアル」でも、マラーホフが一人入っただけで全然違ったんです、これが!何だろう、この感じは!?

とても優雅で豪華な雰囲気なのだけれど、みんな同じ衣装でただただ無表情に踊る男女。ストーリーがないのが苦手で、優雅なわりにはちょこまかと細かいステップが入って大変そう。見事に揃っていて美しいのに眠くなるわ~。と思って見ているとポリーナちゃん登場。なぜかこの中ではとても大人っぽく見えます。そしてマラーホフ。Bプロではびっくりしたけど少しジャンプも披露しました!ソロらしいソロはやらなかったけれど(男性のソロってなかったっけ?)ガブリオレにプリゼ、アントルシャまでやってくれました。大丈夫なのかなあ‥‥‥。パワーはないように感じましたが、十分素敵でした。そして全然足音のしない優雅な着地。やっぱり王子様はこれでなくっちゃ!

それより何より、何のストーリーもないらしいのに(ポリーナちゃんは笑顔を見せたりしていましたが)、そしてバックは豪華な宮廷みたいな感じがするのに、マラーホフはなぜか苦しくせつない表情。何で~?首から肩、背中のラインが悲しみや苦悩に耐えている人のように見えます。そして女性群舞とV字形に連なるところなど、退廃というか、甘いけだるさというか。それがゆっくりと音もなく繰り返され、長い濃密な時間のように続いていく。これってこんな作品だったっけ??というくらい、ものすごく甘美な雰囲気に息を呑みました。最後のほうはまるで許しを請う「ジゼル」のアルブレヒトみたい。。weepって、こんなふうに思ったのは私だけ?

ちょっと驚きました。すごくよかったです。眠りませんでしたよ。こんなしゃちこばった?ような作品に恐ろしくけだるく甘美な色を付けてしまうなんて‥‥。もともとそういう作品なの?でも、東京バレエ団の張り切った面々を見ただけでは、そんなものとは全然思いませんでした。そのあとの「ラ・ヴィータ・ヌーヴァ」で、転がりながらまるで昆虫が脱皮していくみたいに、暗い色の衣装を脱いでいきます。ああ、この人もそんなふうにどんどん進化していこうとしてるんだなあと、新たな感動がありました。本当にうっとりしてしまいました。

そのほかの演目についてはまたあとで。(ゴメンなさい!もう淡白だとか、コールプさんにでも乱入してほしいなんてめちゃくちゃは言いませんsweat01

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2008年2月16日 (土)

つらつら‥‥‥。

何だかすごーく呆けてます。風邪から復活したあと、仕事が急に忙しくなったこともありますが、何より手元のチケットが、もうマラーホフBプロの1枚しかなくなってしまったし、バレエ鑑賞も楽しいけれど、祭りのあとのような淋しさも感じています。

次は‥‥?5月のパリ・オペは行きません。だって高いじゃない!演目もマニアック、というか一般向けではないし、あの値段は考えられません。7月のロイヤル、ABTに備えて、といいたいところだけれど、今年はまた夏に娘が発表会に出るので、予定がどうなるかわからず、チケットは買っていないのです。直前になって行けたら行きたいけど、チケットが残っているかどうか。淋しい~。

12月、1月の舞台鑑賞ラッシュが終わって、この間久々にマラーホフを見たら、変わらぬ優雅さ、美しさを確認はしたけれど、何と言うか、淡白だよね~。やっぱり私はもっと濃厚なのが好み!ということを再認識してしまいました。マラーホフが連れてくる人たちはさすがにみんな文句なく優雅で美しいのだけれど、ものすごくインパクトがあったのはボリショイのペアぐらいでした。ああ、あそこにコールプさんでも乱入したら‥!あのメドーラをかどわかす「海賊」でもいいし、「マラキ」や「白鳥」でも最高!きっと一発で興奮をひっさらっていってしまうことでしょう。

去年の「ルジすべ」がコールプにひっさらわれなかったのは、ルジマトフが間違いなくそれ以上に濃い魅力があるからであって、あの「ルジすべ」の3日間は本当に至福の3日間だったなあと、今さらながら思うのでした。今年もまたそれが見られると思うとうれしい~。7月の「ルジマトフのすべて」がすごく待ち遠しいです!こればっかりは娘の発表会関連で何があろうと必ず行きます!

でも、今回のマラーホフがほとんどジャンプも回転もしなくて、その優雅さ、ナルシスティックな王子様の魅力だけで十分魅せてくれたことに対し、もしルジマトフが全然ジャンプも回転もしなかったら、耐えられるだろうか‥‥‥。確かに去年の「牧神」も「阿修羅」もおとなしめの演目ではあったけれど、「シェへラザード」「ボレロ」は多少なりともアクティブな魅力がちりばめられているものでした。事実、めちゃくちゃカッコよかったし!うう~ん、中身がどういう演目になるのか、楽しみ半分、こわさ半分です。

こわいといえば、やっぱりルジ様が引退してしまったらどうしよう‥wobblyコールプも好きになったけど、好きの度合いが違うし‥‥。年齢も微妙。ルジ様は少なくても同年代だから(若干、四捨五入すると違うけどbleah今年はもう、四捨五入しても一緒よ!)「様」って呼べるんですよ。もっと若くて10代とか20前後ならうちの息子に近いから「君」と呼んでもおかしくないし。何だか私の年代で30前後の人を「ファンなのheart01」というのは、ちょっと抵抗を感じます。「コールプ君」も「コールプ様」も何だかね~。(どうでもいいことですみません)

去年、いろいろ見た中で、かっこいい~heart01と思った人もいますよ。フェリ引退公演で見たロベルト・ボッレ、それから東京バレエ団でホセを踊った大嶋さん。だけど、やっぱり「ボッレ様」も「大嶋君」も年齢的に微妙だよね。もっと堂々と「君」といえるのはフリーデマン・フォーゲル君とスティーヴン・マックレー君。確かに彼らはとってもさわやかでした~!でも、やっぱり私は「ヨン様」に群がる(もしかしてヨン様はもう古いの?)おばさまたちのようにはなれないのです。フェリも引退しちゃったし、残るギエム、ルグリ、そしてニーナ。同年代のヒーロー、ヒロインがいなくなったら、もうバレエファンをやめてしまうかもしれません。

ものすごくくだらないこと書いているのに、淋しくなってしまいました。ルジ様が引退するなんて考えないようにしよう。。。と思いつつ、そのうち「コールプのすべて」なんていう公演があなたの街へ‥‥。なんて恐ろしい想像もしてしまいます。いや、「俺様と仲間たち」「俺様オンステージ」「俺様の贈り物」‥‥こわ~い!集まってくる人たちもめっちゃ濃い人々なんだろうな~。だとしたらきっと楽しいかもしれません。

ああ、バカな話をしてしまった。自己嫌悪。

娘の発表会のほうは、教わっているT先生が他の(K先生の)教室でも教えたり、発表会のバレエミストレスを務めたりしているので、今まで何回か出していただいているものです。一昨年は「四羽の白鳥」でした。今年は「ジゼル」の2幕のウイリー。大きな教室でも、身長とかを考えると、なかなかウイリーの数をそろえるのが大変なようです。それで、もう1月中に2幕の振り付けは終わってしまいました。今度は1幕ですが、何と1幕にも村娘で出てみない?と声がかかり、明日はその振り付けがあります。

何人か声がかかった中で、みんな出るというので(かわいい衣装が着れるから?)出ることにしたそうですが、出演費用が倍になっちゃうじゃない‥sweat01まあ、1幕はお芝居などもあって勉強になるので、出ても損はないと思うけど、ジゼルの後ろで踊ってる村娘なんて、正直、私はじっくり見たこともありません。誰も見てないよって言おうとしたけど、ゲストが酒井はなさんなので、はなさんのようなプリマと同じ舞台で踊れるなんて本当にめったにない機会ですよね~。一生の思い出に??いいんじゃないでしょうか。

ゲストを交えたリハーサルは7月ごろから始まるのですが、はなさんは6月、7月が海外に行ったりでお忙しいそうなので、5月の終わりに一度リハーサルしておく予定になっています。だからそれまでに一応バックのほうは完成させる必要があるので、こんなに早くから練習を始めているわけなのです。そして、7月からは母のゲストウオッチングが本格化。前回もリハーサルは結構見学に行きました。実際、大きな子の親は見に来ないのが普通ですが、保護者の特権ですもの。また李波王子が見られるのがうれしいです。ヒラリオンは誰だろう?それから、他にもコンサートで「ドン・キ」の3幕などをやるので、またサボチェンコさんとかが来られるのではないでしょうか。まあ、それも先の話ですね。

バレエ公演というのはどうして7月~8月とか、12月~1月に集中するのでしょうね。海外の劇場のオフシーズンに日本にやってくるから?それにしても、もうちょっと分散してくれたら見るほうも気分的に楽なのですけどね。これから先、しばらくないと思ったら本当にぼお~っとしてしまいました。

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2008年2月13日 (水)

「マラーホフの贈り物」Aプロ

Imgp4624 いろんな予定をキャンセルし、風邪の養生に専念したため、幸いAプロの最終日に行くことができました。行ってみると、こともあろうにプログラムが売り切れ!そんなバカな~。Bプロまでには追加が間に合うそうなので、まあいいかなと思いましたが、私の知らないダンサーの情報はプログラムが頼りなので、残念~。

とりあえず忘れないうちに、と思ったけれど、風邪で寝込んだしわ寄せで仕事や家事が大変!それに追われているうちに、忘れちゃうのでは‥‥coldsweats02やっぱりプログラムがないと思い出すのも大変ですね。実は、けっこう豪華な公演だったにも関わらず、ここのところいろんなものを見すぎというか、全幕ものの楽しさに味をしめてしまったせいか、どうもガラは感動が薄いな~と思ってしまいます。そんなこというのは罰当たりなくらい贅沢なんでしょうけれど。

数年ぶりに見たマラーホフは、やっぱり素敵な王子様でしたheart04去年、テレビ「学校へ行こう」か何かでマラーホフが映ったときは、「39歳、年寄りね!」なんて自分で笑って言っていましたが、アップになった素顔は本当に老けたかも‥‥?という感じでしたよね。それが、一体どこから舞い降りたの~?っていうほど美しい、やっぱり天性の王子様だったのです。

最後の演目は生脚だったので、ついオペラグラスで観察してしまったら、右ひざに縦に6~7センチも生々しく手術の痕がありました。おいおい、大丈夫なのか‥‥そんな膝で、よくぞこんな遠い日本にまで来て踊ってくれたなぁ~。とまずは感謝、感謝でしたよ。

【第1部】
最初はニジンスキーの「牧神の午後」。チラシ写真のマラーホフの牧神姿は、ちょっとグロテスクだったけど、実際の舞台は何かきれいだわ。岩の上で葡萄を食らって(という感じ)空に向かって何やら吠えて‥‥というか、本当に目を見開き、歯をむき出しているのだけれど、やっぱり何か優雅。横たわったまま笛を手にしているところなどは、天使が姿を変えているという風情になっちゃうところがやっぱマラーホフだった。

対するニンフたちは、前にプリセツカヤので見たのは確か、薄物の妖精のような衣装だったように思うけれど、これが何か、陶器などに描かれた古代絵画のような暖かい色調を意識しているのか、ムームーみたいな3人と、ポンチョみたいな3人で、しかも黄色い毛糸の帽子に太い毛糸の三つ編みが垂れ下がったカツラをつけているのが、何ともマンガチックでした。

牧神は突然現われたニンフに興味を持ち、ニンフたちは牧神を見て恐れる。でも、なぜかそこから先が伝わってこないというか、よくわからないというか、ニンフに対して欲情することもなく?残していったスカーフをもてあそぶところもあっさりめで、第一そのスカーフ自体が香りたっていないというか、何だか肩すかしのような「牧神」でした

私は今まであまり見ていない演目なので、こんなものなのかなと思ってしまいましたが、昔見て、よく覚えていないジュド様はどうだったのかしら。もっと濃厚に獣の「雄」というものを感じさせてくれていたかもしれません。ニジンスキーは両性具有の魅力といわれていたそうですが、マラーホフは両性、というより中性的な感じなのかなと。マラーホフの王子様なイメージが壊れるのは嫌、なんて思っていたけれど、そんなこともなくひどくあっさり上品に終わってしまったような気がします。

次はヤーナ・サレンコ&ズデネク・コンヴァリーナの「エスメラルダ」。サレンコはベルリン国立バレエの人でしょうか。タメがあって華やか。タンバリンのヴァリエーションは音にぴたっと合わせてほしいのだけれど、合わない人が多いのはとても難しいのか?でも、好きな演目なのでよかったです。

マリーヤ・アレクサンドロワ&セルゲイ・フィーリンの「カルメン」はアロンソ版?もしかしてこの間の東京バレエ団のと同じ?なのに何だか全然別物のよう!アレクサンドロワが素敵すぎです。コケティッシュとか、そんな小技じゃなくて、もう全部がスカッとかっこいい!こんなカルメン初めてでした。ときおり観客のほうに向いて、いたずらっぽく肩をちょこっとすくめて見せる、そんなしぐさもすごく魅力的。参りました。

フィーリンの姿にびっくり。思わずあの‥グループサウンズですか?って!(そんなご幼少の頃のファッションなど、私の同級生ぐらいだとほとんど知っている人がいないと思うけど、なぜか私はまわりに当時中・高生の叔父叔母がいた影響で、知ってるんですよ~。あのGS時代を!)マッシュルームカットに水玉模様の袖のたっぷりしたブラウスなんて、まさに60年代後半じゃないですか。正確にはもっとかわいらしいの。短めのボレロ風で、前がリボン結びになっているやつ。それも赤地に黒の水玉ですよ!なぜにホセがそのスタイル?だけどとても似合っていて、踊りそっちのけでかわいさが受けてしまいました。(失礼)

イリーナ・ドヴォロヴェンコ&マクシム・ベロツェルコフスキー、あぁ、舌をかみそうな名前です。プログラムがないからよくわかりませんがお二人ともABTのプリンシパルですね。さすがに「くるみ割り人形」のグラン・パ・ド・ドゥは音楽もそうですが、盛り上がりますね。感心したのは王子様の笑顔!そして、常にパートナーを見つめて、暖かいまなざしを送っているのです。世の中にこんなに優しくて暖かい王子様がいるのかしら。それこそ少女の夢の中の世界だわ。何だかそれだけでとても幸せな気分になりました。

【第2部】
「白鳥の湖」の2幕、湖畔のシーンです。マラーホフ王子がさすがに優雅で素敵。やっぱり天性の王子様なんですね~。私はかつて、その純粋な王子っぷりに魅せられた一人ですが、それでもいつの間にか、やっぱりもっとかげりがあって、一癖も二癖も、ついでに暗い過去なんかもあるようなダークな王子??のほうがいいと思ってしまったんですね、あるときに。年齢がいくと、あまりにきらきらしたもの、あまりにピュアなものに気恥ずかしさを感じる時期がくるのかもしれません。

そのとおり、今回久しぶりに見ても、マラーホフって本当に陽性のオーラをまとった人なんですね。彼がどんなにせつなげな、悲しい顔をしても、そこに暗い影はない。必ず最後は幸せになれる、そんな雰囲気を持ったスターだと思いました。

オデット役のポリーナ・セミオノワは、マラーホフのパートナーとしては大きすぎ~。それでもうまく工夫したサポートをしていたし、リフトもちゃんとしていましたけど。ちょっと華奢になったようなマラーホフに、ポリーナちゃんは何ともたくましい感じがしてしまいます。そのせいで神秘的なオデットではなく、やっぱりとっても人間っぽいオデットでした。

去年の4月に見たときはどうだったか覚えてないのですが、今回のポリーナのオデットは普通省略されてしまうマイムによる身の上話をきちんとやっていました。「私は王女」というしぐさを見て、すぐに恭しく礼を尽くすマラーホフ王子。「白鳥の姿にされて、悲しくて泣いてるのsweat02」みたいなマイムがかわいい。ほんと、目の下に指を持っていく「泣く」マイムはあまり見たことがありません。「私を心から愛してくれる人が現われたら、元の人間の姿に戻れるのです。」と、会ってすぐ唐突に打ち明けちゃうオデットにもびっくりだけど、そこにマイムが入るのは面白かったです。

東京バレエ団バージョンの6人一組で現われるコールドは、やっぱりあまり好きじゃない。そのほうが一人一人のダンサーをはっきりと見せられるからかと思ったけど、そうでもないようだし、あれをやる意味がよくわかりません。

アダージョは素敵でした。マラーホフもぐんぐんと自分の世界に入り込むタイプの人だったんですね!?本当に悲劇の王女の身の上を、自分の痛みのように悲しんでいる、意外にも濃い王子様でした。(ナルシスティックなだけ??)なのにオデットが普通の女の子でしょ‥‥。ちょっとその辺がかみ合っていなかったけれど、視覚的には十分きれいでした。久々にマラーホフのむせ返るような王子様オーラを堪能できてうれしかったですheart04

【第3部】
アレクサンドロワ&フィーリンの「黒鳥のパ・ド・ドゥ」。もう、これがすごい盛り上がり。最初っからこんなに盛り上がっちゃって、あとで盛り下がったらどうするんだろうというくらい、よかったです。キュートで魅力的なアレクサンドロワのオディールも、ナイーブなフィーリンの王子も素敵でした。男女のヴァリエーションがいつものと違うヴァージョン(何とか版だよね)でしたね。それもまたよかったです。

「アレス・ワルツ」。薄いオレンジの麻かシルクの、テレンとしたスーツ姿のセミオノワは、ボーイッシュな雰囲気だけどとってもかわいい!長い手足と小さな顔が映えます。案外クラシック・チュチュなんかよりずっと似合うのではないかしら。こんなにスタイルのいい人なのに、なぜかクラシック・チュチュだと上半身のたくましさや首の太さ、胸の大きさなんかが目立ってしまってバランス悪く見えてしまう、不思議な人です。踊りも、クラシックよりのびのび踊っていて、さわやかでした。

「スプレンディッド・アイソレーション」ドヴォロヴェンコ&ベロツェルコフスキー。白い、長い長いスカートをまとった女。それが雑巾絞りのように体にまとわりついたり、扇形に広がったり‥‥何だか大きな足かせのようなものを背負った(不倫の??)男女のように見えてしまいます。どんなアプローチをしても、これ以上はダメ‥というか。わかりませんよ、プログラム見てないし、私の勝手な解釈です。でも、あるときそのスカートがとれると、今度は女のほうがずっと大胆になる。(やっぱり不倫か??)何かそんな物語がありそうで、なさそうな演目でした。

「ドン・キホーテ」サレンコ&コンヴァリーナ。モダンっぽいのが続いたあとの定番クラシック。やっぱりこういうのは場が引き締まるね!小柄なサレンコはバランスも得意。期待通り魅せてくれました。グランフェッテは3拍目に手をアン・オーにして、脚を前アチチュードにして回ったり、前半遊びが入って華やかでした。どちらかというと最初の黒鳥のほうが盛り上がったけれど、これもなかなか盛り上がりました。

「ラ・ヴィータ・ヌォーヴァ」って?新しく生まれる?楽しみにしていた「ヴォヤージュ」のかわりの演目。確かにジャンプも回転もない、だけどマラーホフがこれを見せたいと思って持ってきた演目だけに、これからの新しい彼の姿がうかがい知れるような演目なのでしょうね。最初はグレーのジャージみたいな上下を着ていますが、途中でコロコロと転がって、それを脱ぎ捨てていきます。新しく生まれたのは、白のシースルーの半そでTシャツに、白のショートパンツ姿。あぁ、でもゴメンなさい。ちょっと緊張がほどけて眠くなってしまいました。この演目、Bプロでもやるよね‥‥ゴメン!またBプロでよく見ます。

2回目ぐらいのカーテンコールで、何とジャンプして登場!ほらっ飛べるんだよ!ってアピールしてるみたいで、彼の明るくお茶目な魅力が全開した瞬間でした。そうだよね、やっぱり今は怪我の治療中だから、抑えに抑えてるよね。芸監になっても、40になっても、マラーホフはマラーホフ、これからも思いっきり陽性のオーラを振りまいてちょうだいね!私も影のある王子が好きとか、最近では犯罪者のような怪しい奴が好きとか、勝手なことを言ってるけど、やっぱり正統派王子のマラーホフには、うっとりと幸せな気分にしてもらって、満足して帰ることができました。来週のBプロも、最初は行くつもりではなかったけれど、とってよかった。また楽しみで~す。

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2008年2月 9日 (土)

妄想??

題名のとおりおバカな話です。

熱は下がったもののまだ咳が出るので、「マラーホフの贈り物」のAプロ3日目に行く予定にしているのですが、この状態で行けるかどうかわかりません。(ルジマトフなら這ってでも行くけど)マラーホフの公演ってこの時期が多いのでしょうか?

以前、風邪気味のときに見に行って、開演前に飴を2、3個口に放り込んでいたのですが、「白鳥」のグランアダージョのときに咳が出そうになってしまいました。会場全体がシーンと静まり返っているのに‥‥。咳というのは1回出てしまうと止まらないことが多いのです。もう必死で我慢していました。何とあのグランアダージョが長く感じられたことか!そして終わったとたん、すごい涙目で席を立って外に出て咳込んでしまいました。涙ボロボロで、感動の余り席を立ったみたいに見えたかもしれないけど、こっちは感動どころじゃなかったsweat02それ以来2月のマラーホフは鬼門です。

マラーホフ、私は本当に久しぶりに見るので、楽しみにしていました。でも、やっぱり本調子ではないのでしょうか。プログラムが変更になったのですね。「パキータ」が見たくてAプロにしたのに「白鳥の湖」だなんて、またアダージョのところで咳が出そうになったらどうしよう‥‥トラウマですね~。

マラーホフはオジサン(?)になってからは見ていなくて、私にはうっとりするような美少年のイメージしかないので、「牧神の午後」を見たらショックかなあ‥。チラシの牧神姿はかなり衝撃的ではありました。プログラムが変更になったことで、もしかしたらマラーホフも、見るチャンスが少なくなってしまうのかなという心配が出てきて、あわててBプロも買ってしまいました。ルジマトフ以来、私は「これが最後かも」に弱いのです。Bプロは苦手なベジャールがなくなって、もっと苦手なバランシンになってしまったじゃないですか。それでもあれが最後だったのに~ということにならないように、大人なマラーホフ様を拝みに行こうと思っています。早く風邪治そう!!

2日間、熱で寝たり起きたりしていました。うつらうつらしているとけっこう夢を見るものです。あるとき(ここから先は妄想の話なので相手にしないでくださいcoldsweats01)寝ていたら、ピンポーン、と宅配便の人が来て、何やら段ボール箱が送られてきました。何かな?と思って開けたら、何と「ルジマトフ・スペシャルDVDボックス」と書いてあるの!!「え~!?こんなのあるの?!それに私、注文したかしら?」と思って中を見ると、お手紙に「日ごろのご愛顧に感謝し云々」と口上が述べてあり、何と、公演のアンケート記入者の中から抽選でこれが当たったそうなのです!

早速中を見ると、10枚ほどのDVDのセットで、「海賊」「バヤデルカ」「ドン・キホーテ」「ジゼル」「白鳥の湖」「ラ・シルフィード」「ラスプーチン」などなど、全部最近の日本公演のDVDなの!!「うわ~♡!」と狂喜乱舞してしまいました!(そりゃ、するわ!)目を覚まして、あれ?さっきの荷物はどこ‥‥?あ‥‥夢だったのね~というつまらない話。でも、これってほんとに究極の願望だよね~!こんなセットが(たとえ1枚でも)出たらどんなにいいか。お願い!どこかでこんなDVD出して!

ルジマトフの映像は、「四大傑作選」を除けば、全部古~いものです。「眠りの森の美女」「ドン・キホーテ」は若すぎて別人みたい。「海賊」「白鳥の湖」は今の面影があるけれど、「白鳥」は映像悪いしね~。得意の「バヤデルカ」「ジゼル」に至っては全幕の映像がないんですよね?もし私が知らないところで売ってたらぜひお教えください!お願いします。。キーロフの、アスィルムラートワとの「ジゼル」なんかがあってもいいような気がするのですが。もうそろそろ、引退?なんて考えたくありませんが、その前にもっと映像を残してほしいし、もし秘蔵映像が残っているのだったらDVD発売してほしいのです。それが究極の願望です。

そして究極の妄想は引退公演のプログラム。え~と、Aプロ、Bプロ、Cプロとございまして、Aプロは「シェヘラザード」、Bプロは「バヤデルカ影の王国」、Cプロは「ジゼル2幕」がメインになっていて、あとは「アダージェット」とか「レクイエム」などがそれぞれくっついているの。それを東京、名古屋、大阪で公演。まあ、どうしましょう!熱にうなされているとあらぬ妄想がどんどん浮かんでくるものです。しょうもない風邪ひきですね。。

この間、ママバレエ仲間との話で、コールプさんの怖カッコいいバジルを見たこと。カーテンコールのルジ様の一瞬の決めポーズに、思わず「きゃ~っ!」と叫び声が出てしまったこと。「ルジマトフのすべて2008」のチラシを見せて「これを楽しみにこれから7月まで生きていけるわ~」なんてくだらないことを話していたら、皆さんの一言。「あなたは幸せな人ね!」

確かに、これからぐうたらな子どもにどうやって勉強させるか、ますますかさむ教育費をどう工面するか、お母さんたちはそういうことに直面して毎日バトルなのですよ。そんなことを棚に上げてあらぬ妄想をして「DVD発売が究極の願望よ」なんてうわ言いってる私は、とんだおめでたい人だったのですね。やっぱり早く風邪を治さないといけません‥‥‥。

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2008年1月28日 (月)

レニングラード国立バレエ「ドン・キホーテ」

1月26日 「ドン・キホーテ」

1月26日といえば、去年の同じ日に私は神戸まで行ってルジマトフの「白鳥の湖」を見たのです。素晴らしい舞台でした‥‥バレエを見てあんなに感動したことはないというくらい!そのあとの東京の「ジゼル」も最高でしたが、なぜかあの神戸の舞台は、もしかして夢だったのかなと思うくらい現実離れして、あとから何回も何回もリフレインして思い出されるのです。あれからどんな「白鳥の湖」を見てもやっぱりここに帰ってくるし、「白鳥の湖」の音楽を聞いただけで神戸の町が目に浮かんでくるような、私は病気ですかね~。だから1月26日は「白鳥の湖」記念日です。

レニングラード国立バレエの「ドン・キホーテ」は、かなり前にニコラ・ル・リッシュとピエトラガラのゲストで見たことがあります。あまり昔過ぎてよく覚えていませんが、若々しいニコラが素敵だった。去年「ギエム・オン・ステージ」で久々に見たニコラは、前髪がかわいそうなことになっていたなぁ。それだけ時がたったのですね。あとは、当時レニ国で一番好きだったハビブリナが踊り子の役だったのは覚えています。

そのあとルジマトフもゲストで「ドン・キ」踊ったんですよね~。2シーズンぐらい?私は知ってたけど見逃してしまったのです。本当に今から考えるともったいなかった!「ルジマトフ四大傑作選」に入っているレドフスカヤとの「ドン・キ」の一部は、ものすごくチャーミングでエネルギッシュなバジルでしたね!あの笑顔が不思議な魅力で、まるで天から降りてきた少年のようでした。陽気な町の若者、じゃなくて、無邪気な少年!?あと少しで40代にさしかかろうという頃だったと思うのに、不思議な人ですよね。いつでも見れると思っていたのか、あれを見なかった私は本当にアホです。。

いつまでもダラダラと本題に入りませんね。実は、最初から順を追って思い出すことができないほど、突っ込みどころが多くて面白かったのです。ほんとに1幕から見ていて顔が緩みっぱなしでした。

コールプさんは(ファンになっちゃったけど、「コールプ様」でもないし「コールプ君」でもないし‥‥微妙なお年頃)異様にはじけてました。それこそ陽気な町の若者、じゃなくて昔グレてた族上がりの青年?いやいや、ギターを背に登場したときは、目の周り真っ黒なパンク兄ちゃん?バルセロナじゃなくて、ロンドンの裏町ですか、みたいな外見。キトリのコレゴワがまた、ファニーフェイスというか、よくわからないけど浮いてるのよね。一体どんな物語になるのだろうと怖いもの見たさで来たのだけれど、すでに「誰も見たことないドン・キ」の予感でした。

コレゴワはスタイルもよくて技術もしっかりしてるし、イメージ的にはキトリかな?と思っていました。でも、やっぱり私の中のキトリは何といってもニーナ!なのです。登場した瞬間にぱあっと舞台が明るくなる、真夏の太陽のようなキトリ。それからすればずいぶんおとなしめで、全然はじけてませんでした。(私はひそかにエフセーエワのキトリを期待していたのだけれど。。エフセーエワのほうがずっと太陽みたいに輝いてるでしょうね。)う~ん、ブンブン足は上がるし、踊りは元気いいけれど、表情がみんな同じ。泣いたり笑ったり怒ったり、いたずらしたりむくれたり、そんなくるくる変わる表情、というのがなくて通り一遍。好みでいってしまえば、私にとってあまり積極的に見る気はしなかった、以前のザハロワとかペレンとかと同じ類かも‥です。

そう、ずっと同じ顔なのです。2幕のうっとりするほど美しい、柔らかな油絵のようなキューピットやドリアード達の中でも、ドルシネアだけ一人マンガチックなんですよ。あのメイクがいけないのかもしれませんが、何で一人だけマンガなんだ?と突っ込んでいました。

そんな浮いてる二人が奏でるお話は、超とんでもないかと思ったら、意外にそうでもありませんでした。コールプは、外見のはじけ方に比べたら、かなり真面目に「軽い、憎めない奴」?を演じていましたし(心配してた犯罪者の怪しさはありませんでした。ほっ。。)とにかくドン・キホーテを初め、ロレンツォ、サンチョパンサ、ガマーシュなどのキャラクターがとてもいい味を出していて、うまく調和していました。

それにしてもラテンなコールプさんもかっこよかったです。カスタネットをかちゃかちゃいわせて登場したときは、思わず指笛でも鳴らしたくなるほどぞくぞくしてしまいました。本当にあのお顔に満面の笑みをたたえて、楽しげに踊っていたのです。ピンクのシャツがおなか周りにもたついているのが気になったけど、動きがいちいちシャープで素敵。

あと、モロゾフのエスパーダが、適度にオジサン入ってて渋くてかっこよかったです。いちいちかっちりと見得を切っていて、迫力もあり、胸のすくような伊達男ぶりでした。ステパノワの踊り子もかっこよかった。ダイナミックで見栄えがする踊り子さんでした。こういう、俺を見ないと後悔するぜ!アタシを見なさいよ!っていうくらい押しの強い人たちの存在が舞台を引き締めますね。あと、闘牛士の中に、もみあげを描いて大人っぽくしてるコリパエフ君を発見。彼は隅っこにいても目立っていました。

2幕の夢の場はとても美しかったです。配役表には書いてないけど、ドリアードの中にはハビブリナ、コシェレワなどのソリストの顔も見えました。そして森の女王がシェスタコワなの!何て優雅で軽やかなんだろうと、しばし見入ってしまいました。あのヴァリエーションは短すぎると思うくらい、もっとずっと見ていたかった。斜めに連続グランジュテで進むところも、ふんわりととても優雅に飛んでいました。ほんとにドン・キホーテじゃないけど夢のような世界にうっとりしてしまいました。

狂言自殺のシーンになると、コールプ俄然本領発揮か??というほど、狂気が入ったような目つきが恐ろしかった!普通はコミカルなシーンなのに、コールプがマジな顔をするとまるで殺人鬼!カミソリを出したところは思わず「スウィーニー・トッド」??普通、周りの人が目をそむけている間におもむろにマントを敷き、わざとらしく横たわるところで笑いが出るのだけれど、ちょっと、凍りついてしまいましたね。怖かったですから。でも、結婚が許されたあとの変わりよう、うれしそうな高速シェネにはびっくりしました。

3幕のグラン・パ・ド・ドゥ、片手リフトもフィッシュダイブもびしっと決まりました。ただ、コレゴワがサポートされて回るところがちょっと不安定だったかな。男性ヴァリエーションは曲は同じだけどちょっと違う振付。ダイナミックさより、きれいな脚先が強調されるような振付になっていたように思います。キトリのヴァリエーションは‥どうだったかな~。扇が大きすぎるという記憶だけ。でも、コーダのグランフェッテにはちょっと驚きました。見たこともないような感じがしたのですが、横に上げる脚が90度以上上がっていて、そのためパッセに戻ってまた上がってということを繰り返すうちに軸がぶれてくるんですよ。おまけに忙しくダブルも入るから、何だか別のものを見ているような感じで、何これ?と思っているうちに終わってしまいました。「アラベスク」のノンナか~!とまたわけのわからぬオバサンの突込み。。。!

最後は「ドン・キホーテ」らしく、賑やかに終わりました。楽しかったです。本当にコールプが一生懸命笑って優男を演じていて、けなげ~。今まで踊ったことがなかったというのもうなづけます。はっきり、タイプじゃないもん。だけど、そのタイプじゃないバジルを本当に楽しそうに踊ってくれたのが見られて、とても幸せでした。また、もう少しコールプが好きになりました。もちろんルジ様のかわりではありません。(顔が違う‥)

でも、もしコールプがアイドル並みの容姿をもっていたとしたら、若い頃からノーブルですごい技術があったわけですから、もっと違った騒がれ方をしていたのでしょうけど、今こうやって個性的ないろんな面を見せてくれて、本当の意味で素晴らしい舞台人としての彼の魅力に出会うことができて、よかったと思っています。今まで殺人鬼とか人さらいとか、毒気とか、好き勝手なこと言ってごめんなさ~い!ちょっと変わった「ドン・キホーテ」だったかも?しれないけど、皆さんコールプの魅力にノックアウト。今年の冬ツアーで初めて、いつまでも鳴り止まない拍手、というのに出会いました。レニングラード国立バレエの皆さん、どうもありがとう。この1ヵ月あまり、とても楽しい舞台でした。

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2008年1月27日 (日)

ルジマトフとコールプ

とうとうミハイロフスキー(レニングラード国立バレエ)の、今シーズンの冬公演が終わってしまいました。まだ、これから関西方面があるけれど、東京では昨日が最終でした。何だか一気に寂しくなってしまいましたね。本当は見てきた公演(26日の「ドン・キホーテ」)のことを先に書くべきでしょうけど、とりあえず今の心境。

何年かレニ国は見ていなかったのだけれど、去年の冬公演で久々に見て、決定的にルジマトフのファンになりました。それまでも好きなダンサーでしたが、本当に、完全にやられました。何で毎年レニ国のゲストで出演してたのに、見なかったんだろう、と後悔しきり!今頃ルジマトフなんて、遅きに失していたかもしれないけれど‥‥もしかして、私が見たのが彼の最後の全幕「白鳥の湖」、「海賊」、「ジゼル」、「バヤデルカ」になったとしたら、それはそれでぎりぎりセーフだったのですね~。もちろんそんなのいやだけど。

そして今年の冬公演。去年の夏の時点では、まだルジマトフ出演の可能性があって、それでほかの演目より値段の高い「バヤデルカ」と「ドン・キホーテ」に目星をつけてチケットを買ったのに‥‥あとで出演しないことがわかって大ショック!‥‥等々いろいろありました。

ルジマトフのかわりにゲストとしてやってきたのはイーゴリ・コールプ。芸監であるルジ様も一押し。光藍社さんも、もう次期スター、第2のルジマトフはコールプだと言わんばかりの勢いにかなり抵抗を感じたものです。それでも、だんだんと、もしかしてコールプってすごいダンサーじゃない?って思えてきて‥‥‥。それなのに、この間の11日の「バヤデルカ」と13日の「白鳥の湖」を二つともはずしてしまったので、またまた後悔してしまいました。

それから、10日に「バヤデルカ」に行ったとき、カーテンコールにチラッと現われたルジマトフを見れてうれしかったけど、そのあと何ともいえない寂しさに襲われて、この2週間とても落ち込んでいたのです。もうバレエなんて見るのやめちゃおうかな、ぐらいまで。
「ほんとにもう踊らないの?ダンサーは踊ってなんぼでしょ!」
「サイン入りのポスターなんか売ってて、アイドルのつもりですか!?」
「芸監としてカーテンコールに出てくるより、踊るのが見たいのよ!」etc.

だけどまあ、何とミーハー根性のいいかげんなこと。他愛ないきっかけで、そんな気分ががらりと変わりました。昨日、会場で渡されたチラシの中に、入っていたのですよ、待望の「ルジマトフのすべて2008」の御案内が!それも「新作『カルメン』日本初演」ですって。またお気に入りのフラメンコ路線なのかしら。フラメンコなルジ様も超かっこいいので、まあいいか。今から7月がとても待ち遠しくなりました。

コールプ、やっぱりすごかったです。プログラムの無精ヒゲの奇怪な写真を見て、床屋のバジルが無精ヒゲのはずないだろう!と一人で突っ込んでいましたが、さすがに無精ヒゲではなかったですね。登場とともにえっ??と思ったのはピンクのシャツに水色のベスト、水色のサッシュベルト?薄い水色がかったグレーっぽいタイツといういでたち。で、踊るにしたがってだんだんおなかまわりのシャツが出てくるんですよ~。妙に気になっちゃいました。ところが、踊りだすとすごくかっこいい。演技も、あのお顔で必死に笑ってプレイボーイを演じているのが、健気で健気で‥‥。思うにとても真面目で誠実な人だったのではないでしょうか。

個性的な外見に惑わされますが、いい人なんだなあと。前に「駆け落ちと称してキトリをさらっていってジプシーにでも売り飛ばすんじゃないか」なんて、ひどいことを書いてしまったけど、撤回です。確かに、粋でいなせな床屋のあんちゃんには見えなくても、ちょっと遊び人だけどキトリに夢中な町の若者??いや、少なくても人さらいではありませんでした。それにしてもあの目の周り真っ黒の泥棒メイクはどうにかならないものか

と、すっかりコールプに魅せられてしまいました。ほんとに楽しかった~!でも、コールプがルジマトフのかわりになったわけではありません。ルジマトフはとにかく姿かたちが美しくて、おまけに「表現する」ではない、役そのものが「降りてくる」ような深い入り込み方に底知れぬ感動を覚える人です。こういう人には今後めったにお目にかかれないだろうと思っています。だからまだまだ現役で踊り続けてほしいのです。

コールプはコールプで、飛びぬけたうまさとセンス、役に対する真摯な取組み、濃いキャラクター、誰にもない個性で、ますます注目に値する人になっていくでしょうね。そして期待を裏切らない誠実さ‥‥。「誠実」「真摯」なんて言葉、本当に去年「ルジすべ」や「ライモンダ」のノリノリのアブデラフマンを見たときには、そんなことは思ってもみませんでした。自分の特異な個性を楽しんでいるなぁ、ぐらいにしか。だって、そうじゃないですか。プログラムのとんでもない写真といい、「誰にもできないコールプのバジルをお見せします」みたいな発言といい、一体どんなものを見させられるのだろうと戦々恐々しちゃいましたよ。

それが、「バヤデルカ」といい、「ドン・キホーテ」といい、本当にいいものを見せてくれました。ルジ様とはちがうけど、コールプ(最近ではみんな“コルプ”ですよね~光藍社関係は。ジャパンアーツ関連は“コールプ”だったのに。“ルジマトフ”か“ルジマートフ”かみたいなものですね)コールプも、これからの看板スターになっていくのでしょうね。あ、看板スターって、レニ国は来年もコールプをゲストで呼んでくれるのでしょうか??それともルジ様が全幕復活?(御本人はないと言ってるけど)う~ん、どっちも見たいけど、そんな妄想もしていられないかも。

レニ国に関してはそもそも体制が変わって、来年もいつもどおり来るかどうか白紙の状態なのでは??という心配もありそうです。せっかく去年、今年と、所属ダンサーのいろんなよさがわかってきたところなのに、なかなか来てくれない高嶺の花になってしまったら悲しいです。

あれ?舞台の感想を書く前に、さらっと思っていることを書いておこうとしてたら、長くなってしまいました。とにかく、昨日見に行って、ルジマトフはまだ踊る♡。ほっ。。そしてコールプは最高にかっこいい!顔はともかくこういう人大好き!ということがわかり、2週間あまりの落ち込みに終止符を打ったのでした。ミーハーはとても単純です。舞台の感想はまたあとで。

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2008年1月23日 (水)

映画でバレエ。

バレエの映画って何だかちょっと微妙‥‥なのが多いし、上映しているところはいつも限られているので、遠くまで見に行かなくてはなりません。それでも、バレエ自体には興味があるので、やっていれば見に行ってしまいます。

以前、バレエ好きの友人と、その当時かなり話題になっていた「エトワール」を見に行ったのですが、すごく並んで待ったわりには??で、帰りの電車ではお互い一言も映画のことを口にしなかったという経験をしています。。(^_^.)思うに、インタビュー中心で思ったほどダンスシーンがなかった失望からだと‥‥。

「センター・ステージ」は一人で見に行ったけど、これは青春もので、ダンスシーンもけっこうあったし、まあまあ楽しかったです。イーサン・スティーフィルがいい加減な男だけどかっこよかったし。「リトルダンサー」は当時まだ小学生の子供二人を連れて行きました。T-レックスの曲がバックにガンガン流れていて懐かしかった~。帰ってから息子は主人公の少年になりきって、一生懸命ピルエットの練習してました。

「バレエカンパニー」は、ママバレエの友人と行ったのだけれど、終わってすぐ喫茶店に入るや否や「こんなのに付き合わせちゃってごめんね!ハハハ。」と先手を打ってしまった。^^;「オーロラ」は娘と見に行って、会場ではほかの人もいるのでいちいちの突っ込みは必死でこらえ、帰りの電車では突っ込み合戦で大変でした。(爆)

大型シネコンがあちこちに進出した今でも、バレエの映画なんてやっぱり田舎ではやらないよね。。というわけで、今週いっぱいで終わりの映画を、有楽町まで見に行ってきました。「バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び」という映画です。

2007022行ってみると、50人ぐらいしか入らないだろうという小さな会場に、お客さんは10人程度だったかな‥‥‥。やっぱりマニアックな内容だからかなあ。ところが、見終わってみると、インタビューと昔の映像をつなげた淡々としたドキュメンタリーにもかかわらず、意外にもすごく感動的だったのです。

登場するダンサーたちのその後の長い人生と、一瞬のきらめきのような芸術との対比。ロシア革命、第二次世界大戦など、大きな時代の流れの中で、とにかく踊ることだけに生きてきた人たちの情熱。バレエに特に興味のない人でも十分感動できると思うのですが、こんな超マイナーなまま終わってしまうなんて、ちょっともったいないです。

私にしても、元来ミーハーなだけのバレエ好きに過ぎないので、バレエの歴史みたいなものはほとんどわかりません。バレエ・リュスについてもそんなに特別な興味はなかったし。では、どうして行ったのかというと実はチラシです!あの真ん中の「ばらの精」!あの写真はニジンスキーじゃないし(ニジンスキーはもっと手足が短くてぽっちゃりしてるよね)一体誰??マラーホフかルジマトフかというくらいの美しさ。もしかしてポスター撮影用のモデルさん?だけど、あんなキテレツな衣装がさまになるのは鍛え抜かれたダンサー以外にありません。あの麗しい「ばらの精」が誰か?すみません、それだけの興味で見に行ってしまいました。Cinema_58_2しょうもないミーハーですね。

この人が誰か、中盤になってわかりました。インタビューでも登場したジョージ・ゾリッチ。だけど、登場するのは撮影当時83歳のゾリッチ氏です。今なお後進の指導に当たっていて、自身もスポーツクラブで鍛えていたりするので、とても83歳には見えない、超かっこいいおじいちゃんでした。

昔の映像は残念ながら「ばらの精」はなかったと思います。「ジゼル」の一部?と、「牧神の午後」のほんの数秒。それだけなのにすごいオーラでとっても輝いていました。ただスカーフを持って走るだけなんだけど、あんな牧神、見たことない!というくらい素敵♡

それから、あとで映画の中で、いろんな曲に即興で踊っていたマーク・プラット?だったっけ?今なおキャラクターダンサーとして舞台に立っているという、あの人もすごくかっこよかった!

いや、実は見たばかりなのに大分記憶が怪しいのです。というのも、とてもたくさんの人が登場していて、それも現在の姿と過去の映像とが入り混じって、途中で何度も一時停止ボタンを押したい!と思ったくらい展開が早いのです。あれっ?これはあの人で‥‥と考えているうちに次に進んでしまう。大体時系列的に並んでいるのですが、もう一度年表や人物相関図を整理したいくらいでした。

それと、字幕を見るのに忙しくて、せっかくの映像をじっくり見ていることができなかったので、もう一度ぐらい見ないとホントはよくわからないのです。今週いっぱいなんてぇ‥‥もっと早く見ておけばよかった!DVDが出たらぜひほしいと思いました。

ここでいう「バレエ・リュス」(ロシア・バレエという意味)とは、20世紀初頭、ニジンスキーやアンナ・パブロワなどが活躍したディアギレフの「バレエ・リュス」とは別ものです。ディアギレフは当時皇帝に庇護されていたロシアのバレエをヨーロッパにもってきて、さらに当時の作曲家、画家など多くの芸術家(ストラヴィンスキー、サティ、ピカソ、コクトーetc.)を集め、次々に斬新な作品を発表していったプロデューサー的な人物でした。ところが、1929年、ディアギレフの突然の死によって20年の活動に終止符が打たれます。

ディアギレフの「バレエ・リュス」は解散、ダンサーたちはばらばらになりましたが、2年後、新たにこの「バレエ・リュス」の芸術を継承する形で発足したのが「バレエ・リュス・ド・モンテカルロ」でした。この映画でいう「バレエ・リュス」とは、この、あとから発足したほうの「バレエ・リュス・ド・モンテカルロ」のことだったのです。

いろんな話があって、全部書くのは到底無理ですが、とても印象に残ったことが幾つかあります。

新しい「バレエ・リュス」には、以前の「バレエ・リュス」のスターたちのほかに、バレエ教室の生徒から3人の「ベイビー・バレリーナ」が選ばれました。全然知らなかったけど、ロシア革命で全財産を失って亡命してきたロシア人達は、貧しい生活の中でも、子女に早くからバレエを習わせる家庭が多かったそうです。そのとき選ばれたベイビー・バレリーナは13歳とか14歳!何と母親同伴で米国ツアーなどに出かけて行ったということです。年端もいかない少女達の踊りは、もの珍しさから?各地で喝采を浴びたようです。それも映像で見る限り、少女とは思えない堂々たる踊り。うちの娘と同い年くらいなのに、ものすごいテクニック、大人っぽい表現力にはびっくりでした。

日本のお稽古事バレエでは、いつごろからトゥシューズをはかせたらよいか?ということがよく話題になります。体重が軽いうちに履かせたほうが、怖さがないのでテクニックが習得しやすい?という説や、あまり早いうちから履かせると、骨が変形してしまうのでよくないという説など、いろいろです。でも、彼女たちはそれどころか「私は4歳から履いていたわ」とさらりと言う。ひゃ~!

コンクールに挑戦するとかで毎日レッスンに励む小学生の話とかを聞くと、すごいなあ、そこまでして、と思うけど、多分当時のバレリーナの卵たちの練習はもっとすごかったんじゃないかと思います。お付きの母親たちのバトルもあったそうですよ。亡命のため、祖国を知らない若いロシア人ダンサーたちが、この「バレエ・リュス・ド・モンテカルロ」の看板を背負っていたなんて、驚きでした。

面白かったのは例のゾリッチ氏と、かつての美貌のプリマ、クラソフスカさんが「ジゼル」1幕のワンシーンをやって見せたところ。クラソフスカさんがベンチに座って、スカートのすそを引いて「どうぞ」というのだけれど、かなりふくよかになっているクラソフスカさんに、ゾリッチ氏は「座れないよ」と言うの!はにかむクラソフスカさんが、少女のように可憐に見えてしまいました。さらに小走りに走っていく「ジゼル」を追うゾリッチ氏。「速すぎて追いつけないよ!」83歳と82歳の素敵な「ジゼル」でした。

「バレエ・リュス・ド・モンテカルロ」はのちに分裂して二つの「バレエ・リュス」になります。もう一つは「オリジナル・バレエ・リュス」。「元祖」とか「本家」みたいで面白いですね。この二つの「バレエ・リュス」が「バレエ戦争」を巻き起こした華やかな時代もありました。ところが第二次対戦が勃発すると、国籍のないロシア人ダンサーたちはヨーロッパを逃れるため、アメリカに渡るときには同じ船に乗って「呉越同舟」みたいにして行ったそうです。

アメリカでの巡業は2年にわたって行われ、バレエを見たことがある人なんて一人もいないような町に行き、ヨーロッパの最先端の舞台芸術を披露したのです。見た人はきっと度肝を抜かれたでしょうね。

二つの「バレエ・リュス」は、ヨーロッパのバレエを伝えるだけでなく、さらにいろいろなものを積極的に取り込んで発展していきました。アメリカ人の振付家による、いかにもアメリカ的な新演目も上演されました。バレエというよりはダンス・ショーのような「ロデオ」など、ロシア人たちには「あんなもの、寝たきり老人以外は誰でも踊れる」などと不評でしたが、現地では受けたんでしょうね。

ダンサーたちも現地でオーディションをして補充していました。ネイティブアメリカンのダンサー、黒人のダンサーも才能があれば採用しました。ネイティブアメリカンのダンサー、シュートゥは14歳で入団し、一人でツアーに参加しました。家族と離れてつらかったことなど、まるで昨日のことのように涙ぐんで話す姿に感動しました。

悲しかったのは、黒人ダンサーのウイルキンソンが、南部での興行のとき公演を妨害され、その後の公演に出れなくなってしまったこと。彼女も実に悲しげに当時のことを話してくれました。でも、人種のわけ隔てなく才能を見出されたことで、ウイルキンソンはそれからの人生をバレエとともに生きることができたのです。

ロシア革命によるヨーロッパへの芸術家の流出、ディアギレフの栄光の時代、そののちの「バレエ・リュス・ド・モンテカルロ」による再興、そして第二次世界大戦により、アメリカや中南米にバレエが広まったこと。二つの「バレエ・リュス」は60年代までにどちらも解散してしまうけれど、そこにいたダンサーたちは世界中に広がっていきます。今まで知らなかったけれど、ソビエト時代のロシアバレエとは全く違った道を歩んできたバレエがあって、それが多くの指導者や振付家を生み、次世代を育て、現代につながっていること。本当に興味深く見ました。

映像も、当時の地方の裕福な観客が16ミリフィルムで撮影していたものとか、本当によく集めてきたと感心するものばかり。日本国民が「欲しがりません勝つまでは」などといって我慢を強いられ、芸術活動など一切できなかった時代に、牛しかいないようなアメリカのど田舎で、ヨーロッパの音楽、美術の粋を集めたような本格的な公演が行われていたなんて。また、そういうところを移動、移動で過酷な巡業をしてきた人たちの存在、その興行を個人用に撮影してコレクションしていた観客の存在など、驚きの連続でした。

昔の映像はどんなだったのかというと、実はこれもちょっとびっくりだったのです。今まで私が白黒映像で見たことのある昔のバレリーナは、みんなけっこうグラマーというか、今からすれば太めで、がっちりタイプとかぽっちゃりタイプばかりのような印象があったのですが、この「バレエ・リュス・ド・モンテカルロ」の人たちはみんなすごくスタイルがいいのです。それから踊りの技術も、今は格段に進歩しているように思っていましたが、そんなことはなかったみたい!多少荒削りなところはあるけれど、技術的にはかなり高い水準だったようです。演目も大衆的にショーアップされていて、とても親しみやすいものだったのではないでしょうか。バレリーナは美しいだけでなく、コケティッシュだったりセクシーだったり。皇帝や貴族の楽しみだったバレエが、短い間に一般大衆のものとなっていったのですね。

ほかにもいろいろ面白いエピソードがあったけれど、このくらいにしておきます。最後のシーン、時代を代表するプリマ、アリシア・マルコワの言葉。「報酬なんてほんのわずかだったけど、これが踊れるなら、あの人と仕事ができるならと思ってやってきました。私の人生は何て豊かなのかしら」という言葉が、本当に感動的でした。まだこれから上映されるところもあるようなので、もし興味がおありでしたらぜひどうぞ。

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2008年1月19日 (土)

テレビで「白鳥の湖」!

昨日の夜のNHK芸術劇場で、マリインスキー・バレエの「白鳥の湖」が放映されました。前にもBSで放送されたことがあったけれど、今度は地上波なので、子どものバレエ教室のお母さんたちにもさんざん宣伝し、自分もまた見てしまいました。

ロパートキナのオデット/オディールはやっぱりきれい!さすが、ロシアの至宝です。丁寧だし、驚くほど芸が細かい。ああ、だけど王子のコルスンツェフがロパートキナの深い感情表現についていってないみたい。というか、どこの場面を見ても表現といえば「わ~、きれいな人だなぁ~」程度な感じですっごく微妙‥‥。あんなにダイヤモンドのように硬質で理知的なオデットが、ああいうマシュマロみたいなほんわかムードのボンボンに惚れるだろうか?そこからして悲劇の幕開けなわけで。(マリインスキーの版はハッピーエンドですけど!)

前に見たときはただただロパートキナの美しさに感嘆して、王子はどうでもよかったのだけれど。(それでも今回、解説コーナーがあったのに、王子の名前すら紹介しないなんて、あんまりじゃないですか?)それがここ1年ほどで、私の見方が変わってきて、「白鳥の湖」は王子が主人公の物語という認識になったので、王子に対する要求が上がった分、ダニーラくんには(私にそんなふうに呼ばれる筋合いはないだろうに‥)少しもの足りなさを感じてしまったのでした。

でもなぜ今頃「芸術劇場」なんていう枠で、一昨年の6月のサンクトペテルブルクでの舞台をまた放送するのでしょう?解説コーナーで言っていたけれど、マリインスキーの芸術総監督のゲルギエフがバレエを振ることは少ないということで、希少映像だからか?でも、これは確かもうDVDも出ているんだよね?どうせならそんなDVDになっているものじゃなくて、NHK独自に撮影したものを再放送するか、またはDVDを発売してほしいんですけど!

例えば昨年暮に見た、モスクワ音楽劇場のブルメイステル版「白鳥の湖」。本当に素晴らしかった~!そのモスクワ音楽劇場バレエが、95年に来日したときの「白鳥の湖」の公演を、NHKで放送したことがあったということです。しかもチェルノブロキナ主演で!すごい名演だったそうですよ。だけどその当時の私は、まだバレエのバの字も知らない時期なので、もちろん録画なんてしてません。それを録画した人はもうテープがだめになるくらい何度も何度も見て、最近では劣化が恐ろしくて見られないほどの「宝物」になっているそうです。そんな人がたくさんいるということを聞きました。そういうものこそ再放送をしてほしいですよね!もちろん私もぜひ見たいし!

みんなでNHKに要望を出せば、再放送してくれる可能性はあるんでしょうか?民放は残念ながら著作権の関係で、こういうものの再放送はまず無理だそうですね。でもNHKならできるんじゃない‥‥?けっこうしょうもないものを何回もやっているくらいですから。私も、再放送してほしいと思うものがけっこうあります。もちろんDVD販売でもいいですよ。絶対買いますから!

その一つは2003年に放送された「華麗なるバレエ・ガラ」というもの。これは「バレエの美神」という日本でのガラ公演の抜粋で、デビューしたてのコロコロしたエフセーエワの「ローズアダージョ」とか、コールプとヴィシニョーワの「眠り」のグラン・パとか、何よりもルジマトフとイヴリン・ハートの「ジゼル」なんて、もう絶対見られないもので、超貴重映像ですよね~。私は録画はしたのですが(当時まだビデオ)、テープのツメを折ってなかったので、子どもに上からアニメを録画されてしまったのです。(超ショック。。。)幸いルジマトフの部分は無事だったものの、マイヨー振り付けの「シンデレラ」と、プリセツカヤとジュド様の「牧神の午後」がまるまるだめになってしまいました。プリセツカヤだって、もう見れないでしょう?あ~あれこそ再放送してほしいよ~!

それから同じマリインスキーの「白鳥の湖」でも、2000年の日本公演をNHKが撮影し、放送したバージョン。これは何とコールプが王子なのです!コールプも、オデット役のグメロワも、当時まだ20代前半だったんじゃないでしょうか。コールプ王子は確かにワル顔だけど、まだ今のような怪しい毒気はなくて、グメロワとともにより物語の年齢(王子の成人の祝いという設定)に近い、本当にフレッシュなペアでした。これはしっかりビデオにとってあるけど、劣化を考えるとやっぱりDVDに録画したいじゃないですか。(欲張り?)

きょうは午前中出かけなかったので、ついそのビデオも引っ張り出して、要所要所を見ていました。6年間の隔たりはあるものの、ロットバルトと家庭教師が同じ人。それから何とパ・ド・トロワの男性が両方ともコールサコフではありませんか。さすがに昨日放送した新しいほうは、ソリストに「ボリショイ・マリインスキー合同ガラ」に出ていた人もたくさんいて、人探しも楽しめましたが。

驚いたのは若いコールプがすばらしく王子様している!ということです。グラン・アダージョなどはオデットとの心の通い合いがひしひしと感じられて、よく見るとビデオでも涙が出そうになるほど。ロパートキナのほうは、その美しさに涙が出るかもしれないけれど、王子との物語に心を打たれるということは、あの映像ではなかったのです。7年前からコールプはただのつっかえ棒じゃなかったのね!ジャンプもものすごく滞空時間が長い!ふわっと浮かび上がる感じです。それでいて技はみんなシャープに決まるし、ノーブルな感じもしっかり出しているし。気がつかなかったけれど、今のすごさはもうずっと前から片鱗を見せていたのでした。

ほんとにコールプは今が旬に違いありません。明日、コールプ出演のレニ国の「白鳥の湖」がありますね。急に王子様♡なコールプ(キエフ・バレエのときは見れなかったので)も見たくなってしまったけれど、当日券で行くほどの入れ込みようでもないし、国際フォーラムではどこに座っても不満があるのに、ましてや当日券というとやっぱり考えちゃうかな‥‥。ここのところはおとなしく、来週の「ドン・キホーテ」まで待つことにしましょう。「バヤデルカ」は意外にも直球勝負の正攻法に驚かされたけど、「ドン・キホーテ」は、あのプログラム写真のようにとんでもないものになるのか、とても楽しみです。今、コールプから目が離せない感じでしょうか?(だったら当日券でも‥‥)

脱線してしまいました。最近は不祥事などで大変ですが、何やかやいっても天下のNHK。昨年は「フェリ引退公演」とか「ボリショイ・マリインスキー合同ガラ」とか、いい仕事をしてくれました。今回も、突然また、なぜこれなの?と思ったけれど、これを見てバレエの素晴らしさを知る人もいると思うのです。バレエファン以外の人がいきなり劇場に足を運ぶのは、かなり敷居が高いと思うので、こういういい内容の放送や、再放送をたくさんしてくれるとありがたいですね。

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2008年1月18日 (金)

ピーターライト版「コッペリア」

バーミンガム・ロイヤル・バレエ「コッペリア」1月15日
遅ればせながら15日の舞台の感想です。

第1幕
ピーターライト版は「ジゼル」もそうだけど、その演劇性といい、セットの重厚さといい、舞台の上に独特の空気が感じられる気がします。「ジゼル」では、幕が開いてジゼルの母親が家から出てきたときの「おお寒い、今朝は冷えるわね」みたいなしぐさで、森の近くにある村の晩秋の空気の色がわかります。この「コッペリア」も、おなじみの前奏曲で幕が開いたあと、バルコニーに現われたコッペリウスや、向かいの宿屋の主人などの様子で、石畳が敷き詰められた小さな街の広場のにおいというか、そんなものまで伝わるような気がします。わくわくする幕開けです。

スワニルダの登場。都さんの、かわいらしく軽やかなスワニルダです。コッペリウスの家のバルコニーで本を読む少女をみつけ、降りてこない?としきりに声をかけますが、知らん顔をされてしまいます。最初からくるくる変わる表情が楽しくて、マイムも生き生きとしています。これだけで好奇心旺盛でお茶目な感じが伝わりますね。(メイクは頬紅がきつすぎのような?)

スワニルダと入れ替わりにフランツがやってきて、盛んにコッぺリアにアプローチします。今度はコッぺリアが動き出し、フランツに投げキッス。フランツはぽ~っとなってしまいます。イアン・マッケイのフランツはいかにも陽気で軽薄な若者という感じ。スワニルダもわざとらしく、反対側のバルコニーで本を読むポーズをしているのが面白い。それに気付いたフランツはスワニルダにも挨拶をしますが、笑顔で挨拶を返したと思ったら、いきなり2階から本を投げつけちゃう!やきもち焼きな演技がとてもかわいいです。

だけどそんなことでやきもちを焼いていたら疲れちゃうほど、フランツって軽薄な男!チャルダッシュやマズルカを踊る町の人たちに混じって、ほかの女の子と楽しそうに踊るものだから、またまたスワニルダは怒る。そのたびにフランツはスワニルダをなだめるのだけれど、懲りずにすぐほかの子と踊ったり。この徹底した軽薄さが楽しいよね!

市長がやってきてスワニルダに、麦の穂(プログラムの解説にはとうもろこしと書いてあるけど、あれはどう見ても麦の穂でしょ)でフランツの気持ちを占ってみては、と言います。スワニルダはフランツと踊りますが、麦の穂を振っても音が聞こえないので、不安そうな顔で踊り続けます。誰に聞いてもらっても聞こえないので、最後は泣きそうな顔で放り出しちゃうところがかわいい。

お友達の踊りや民族舞踊が続く中、コッペリウスの家から怪しげな音がして、そのうちに不気味な光や煙も!あの博士はいったい何をやっているんだろう?とこわごわ覗き込む人たち。変な人だから近づかないほうがいいよ、という人もいて、みんなまたひとしきり楽しげに踊って帰っていきます。

暗くなって、人がいない広場。コッペリウスが家を出ようとすると、若者たちが来てからかいます。宿屋の主人が若者たちを追い払い、コッペリウスは鍵を落としたことも知らずに出かけていきます。そこへスワニルダたちが来て鍵を発見。いたずらっぽくて好奇心旺盛なスワニルダは中を見ようと友人たちを誘いますが、みんな怖がって、おそるおそる手をつないで中に入っていきます。最後の一人が十字を切っているのがおかしかった。

一方フランツは、このしょうもない若者!と言ってやりたいくらい。さんざん町の女の子たちと踊った挙句、今度はコッぺリアのもとに行こうと梯子を持ってきて、コッペリウスの家のバルコニーに立てかけて、上りだしちゃった。一体君は何を考えているの??でも、そんないい加減な男なのに、マッケイ君のさわやかな持ち味で、ちっとも嫌味じゃないのです。梯子を上ったところで1幕終了。

本当にどこを見ていいかわからないくらい、見るのが忙しい1幕でした。真ん中でお友達が踊っていても、脇でフランツとスワニルダが言い争ったり、市長に泣きついたり、なだめられたり、仲直りしたりしているのです。マイムもたくさんあって、それがわかりやすいので、そこここで笑いが起こったりして、とても楽しい1幕でした。

休憩
関係ないけど、ゆうぽうとホールという会場は、そんなに大きくないので1階の後ろのほうでも遠くないし、2階席でも意外に近くてよく見えるのです。何よりも前のほうでもしっかり傾斜があり、国際フォーラムみたいに前の人の頭で視界をふさがれることがなさそうで最高!ただ、横に広いのでサイドは見切れるかもしれません。反対にいつもひどいと思うのはトイレが極端に混雑すること!数も少ないのでしょうが、いつも長蛇の列でうんざりしてしまいます。(そういえば国際フォーラムも)休憩になったとたん人々が走るのは、トイレの列に並ぶためなんて、せっかくの舞台鑑賞で、あまり優雅ではありませんよね~。その点東京文化会館はよくできています。

第2幕
一転して2幕はもう都さんの一人舞台。踊りもよいけれど、演技力というか、何というか、もう出ずっぱりで、次から次へといろんな踊りを繰り出すさまは本当に圧巻でした。

コッぺリアに近づくまではもう笑いの連続。怖いのに、友達みんなに乗せられて、じゃあ私がいくわよ!といって先頭きってコッぺリアのところへ行くスワニルダ。なのに、なかなか動かないから、友達がスカートをめくってみると、膝ががくがくしてたとか!そんなおかしな場面がいっぱいありました。お人形だとわかったあとのいたずらの大胆さ。いろんな人形のねじを巻いて、次々に動かしていきます。そうしているうちにコッペリウスが帰ってくる。逃げていく女の子たち。スワニルダだけが、コッぺリアの置いてある部屋に隠れ、逃げ遅れてしまいます。

侵入者を追い払ってやれやれというコッペリウスのところへ、また新たな進入者!先ほどのフランツです。梯子を上って窓から入ってきますが、コッペリウスに見つかってお尻をぺんぺんたたかれちゃうの。一人前の青年を、子どもみたいにたたかなくてもいいと思うけど、この軽薄者!って、もっとお仕置きしてもいいくらいに思えるからおかしい。

でも、ふと何か考えついたコッペリウスは、急に態度を変えて、フランツにワインを振舞ったりします。それが眠り薬入りで、すぐにフランツは眠ってしまう。フランツを抱え上げるコッペリウス。(杖を突いてよちよち歩きしてるくせに、すごい力あるじゃない!)コッペリウスは大きな本を広げて、なにやらおまじないのようなことを始めます。それはフランツの魂?をコッぺリアに移しているような‥‥‥。このとき逃げ遅れたスワニルダは、コッぺリアの服を着て、コッぺリアに化けています。

このコッぺリアに扮した人形振りがまたすごかった。ずっとポワントで立ちっぱなし、というところもあり、もうドキドキしながらつま先に注目してました。脚さばきがとても繊細で、軽やかで、これはもう“芸”ですね。そのうちに、コッペリウスのたくらみがわかってくると、今度はそれにふさわしく、だんだんと人形に人間の命が吹き込まれたように変化していく演技。いやぁ、感動しました。

コッペリウスは喜んで、いろんな人形の踊りをコッぺリアに躍らせます。まずは扇を持たせてスペイン風の踊り。スワニルダが人形のコッぺリアに化けて、そのコッぺリアが人間になってスペインの踊りを踊るところを演じる、その複雑さ!都さんの踊りはそれをきちんと演じ分けてしまうのです。続いてタータンチェックの布を肩にかけて、スコットランドの?踊り?もうその変わりっぷりを存分に堪能させてもらいました。

でも大変!このままじゃフランツがどうなっちゃうかわからない。踊りが終わるとスワニルダは正体を現し、コッペリウスの怪しげな本をびりびり破いて、フランツを起こし、あちこちの人形をめちゃくちゃに動かして逃げていきます。無残な姿になったコッぺリアを発見して嘆くコッペリウス!

第3幕
一転してお祭りの日の町の広場。公爵が寄付した巨大な鐘がやってきます。二人はこの日めでたく婚約を発表し、(ほんとにこんな男と結婚していいのか??)ほかの1組とともに公爵から祝いのお金をもらいます。鐘を記念したお祝いの踊りが始まります。時のワルツに続く一連のディベルティスマンは、鐘をつくさまざまな場面を踊りで表現しているのだそうです。

まずは夜明けを告げる鐘。「暁」のジャオ・レイは本当に差し昇る朝日のように明るくまぶしい人です。「美女と野獣」のときはベルのお姉さん役。そしてこの1・2幕ではスワニルダの友人役で、大きな目がひときわ目立つ存在でした。持って生まれた華なのでしょうね。

祈りの時間、仕事の時間、生活のさまざまな時間を鐘は知らせます。「祈り」はゆっくりバランスをとりながらの踊りで、とても難しいと思います。「仕事」は糸巻きと鎌?を持って踊るのですが、三日月型の鎌を振り回して怖い?でも、陽気な踊りです。

それから「婚約」のように人生のうれしいときも、「闘い」のような緊張の場面でも、鐘は撞かれるのでしょう。「婚約」の平田桃子さんは、やはり1・2幕は友人役でコミカルな演技をしていました。「美女と野獣」では気ぐるみを着たキツネだったかな?かわいらしい人ですね。「闘い」の真ん中を踊った山本康介さんもよかったです。「闘い」はギリシャの戦士みたいな雰囲気を想像していたら、何とスタイリッシュな水兵さん風でした。

そして一番大事なのは「平和」への感謝の鐘で一日を終えること。最後のグランパ・ド・ドゥは単に結婚式のグラン・パじゃなくて、そういう意味が込められていたんですね。息を呑むほど丁寧なアダージョ。緩急のつけ方が素晴らしい。軸のぶれなさは達人技でした。

マッケイ君の男性ヴァリエーションは、長い手足のわりにはちょっと重たそう。もうちょっと伸びやかなところがほしいかな。「美女と野獣」で2回、コッぺリアで3回と連日の大活躍はすごいです。だけど主役級に関しては、ほかにいないのかな?と思うことも‥‥‥。女性の主役もそうですよね。佐久間さんが3日、都さんが3日。エリシャ・ウィリスが怪我で出演できないことになっても、ほかにいなかったの?別に、私はいいんですけど、複数回を違うキャストで見たいと思った人もいると思うのです。特に男性、いなかったのかなあ。(関西ではツァオ・チーがフランツだったそうですね。それも見たかったな‥)

女性ヴァリエーション、コーダ。都さんは1幕2幕であんなにたくさん踊ってきているというのに、全然重さもぶれも見せない、正確なのに軽やかな動き。感動ものでした。そのきらきらの笑顔に、いっぱい幸せな気持ちにさせてもらいました。見られて本当によかったです。

衣装もセットもとても素敵でした。音楽も、聞いてるだけで楽しくなるノリのいい音楽ですから、本当に楽しかったです。涙ぼろぼろ~!みたいな感動ものもいいけれど、こんな笑いもあり、最後のホロリもあり、すべてがめでたしめでたしで明るく終わる作品もいいですよね。最高に楽しめましたよ~!

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2008年1月16日 (水)

都さん見てきました!

いつも舞台を見たことを書くのは遅いのですが、珍しくきょうは当日書いています‥‥(と書いていたら、やっぱり途中で寝ちゃいました。。。)とりあえずの雑感で、ちゃんとした感想はまだあとになる思いますが。

ここのところキエフ・バレエ、モスクワ音楽劇場バレエ、それからレニングラード国立バレエと、ロシア系のバレエばかりたて続けに見てきましたが、バーミンガム・ロイヤルバレエの「美女と野獣」を見て、ロシア・バレエとはまた違った魅力を感じてしまいました。「美女と野獣」もう一回見たいよ~!だけどびわ湖は遠いのであきらめて?「コッぺリア」を見てきました。

「コッぺリア」も発表会などではよくある演目ですが、私はプロの公演はほとんど見たことがないかも‥‥‥。大昔にシャンブル・ウエストの公演で、吉本兄妹の主演で見たことがあるくらい。楽しい演目ですけどね。スターダンサーズバレエ団がピーターライト版の「コッペリア」を上演していたそうですが、私が見るようになってからはなかったと思います。李波さんや西島さんのフランツ、見てみたかったなあ~。

スターダンサーズバレエ団といえば、会場に太刀川瑠璃子さんと小山久美さん、恵美さんがいらしていました。「美女と野獣」のときもお見かけしました。以前ファンクラブ?に入っていたときもあったので、「ファンのつどい」などでお顔は知っていました。公演のときなどは、太刀川さんは必ず「もぎり」のところに立っていて、来るお客様みんなに声をかけていらっしゃったような気さくな方でしたから、私もご挨拶をさせていただいたときもありました。あれから何年?とても懐かしく思いました。

この間の佐久間奈緒さんも、きょうの吉田都さんもスタ・ダンのゲストで出演したりしていたので、ご縁が深いのでしょうね。そう、私が以前見た都さんの「くるみ」や「ジゼル」は、みんなスターダンサーズバレエ団のゲスト公演だったのです。

で、ほんとに久々の生都(なま・ミヤコ!?)かわいかったで~す。でも、確か私とそんなに年は違わない‥‥?よね~。なのにベテランの落ち着きというよりは、ひたすらキラキラとかわいらしいんですよね。お芝居もうまいし、マイムがわかりやすい。それで踊りは正確無比。なのにカチンコチンに頑張ってますというのじゃなくて、信じられないほど軽い。常に努力を重ね、トップでいた人はやっぱり違うと思いました。

フランツ役のイアン・マッケイは、顔は小顔でかわいいし、手足が長くてスタイルも抜群。少女漫画のちょっと三枚目がかった二枚目キャラというところかしら。踊りは‥‥‥伸びやかだけど、着地とかがいまいち。(というよりこの間の「バヤデルカ」で、コールプの動物的シャープさでえぐり込むようなのを見ちゃっているからかなあ~。)キャラ的にもお育ちよさそうでポーっとしている感じが、踊りも‥‥なんて好き勝手に言って、本当に失礼な話ですよね。踊りはおおらかで明るい雰囲気で、素敵でしたよ。

いつだったかテレビで見た都さんのインタビューの「コンマ何ミリのところのサポート」という話をあとで思い出して、そういえば、こんな軽い役を演じていたけれど、サポートは丁寧で、踊ってないときの(脇にいるときの)お芝居も手が込んでいて、ポーっと見えているのに実は細心の注意を図ることのできる人なのかも、と思ったりしました。

ところどころにくすっと笑いが出るようなユーモラスな場面もあったし、最後は少しホロっとすることもできて、ずし~んという感動ではないけれど、心に残るいい舞台だったなと思います。楽しかったです。フランツの肩にちょこんと乗ったスワニルダの都さんがかわいくて、それがすごく印象に残りました。

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2008年1月13日 (日)

コールプの「バヤデルカ」

1月10日レニングラード国立バレエ「バヤデルカ」

「バヤデルカ」といえば、私がルジマトフを初めて見たときがキーロフ(マリインスキー)の「バヤデルカ」でしたし、レニ国の「バヤデルカ」はそれこそルジマトフでしか見ていないし、それ以外の「バヤ」は見ていないので、私にとってはどうしてもソロル=ルジマトフだったのですが‥‥。(同じく「シェヘラザード」の金の奴隷=ルジマトフというのもあるけれど。)

今シーズンはルジマトフは膝の手術をしたのかしないのか、芸術監督の仕事が大変なのか、悲しいことに出演しないことになって、イーゴリ・コールプがソロルを踊ることになりました。(え~ん‥)もちろんコールプが素晴らしいダンサーだというのはわかっていますが、最近のコールプは、アクの強いキャラを自分でも気に入っているようで、あれでソロルを踊られた日には、二股かけた悪い男のとんでもない話になりそうだ~とちょっと心配でした。

ところが、キエフの「ライモンダ」のときのようにノリノリですごいことになるのかなと思いきや、そうではなかったんですね。それが一つ驚きでした。あんなワル顔をしてるけど、真面目に、真剣に役に取り組む熱意が感じられたし、踊りもシャープでかっこよくて、すごくよかったのです。

第1幕
1幕のソロルはトラの皮を腰に巻いたような、ルジマトフと同じような衣装で、何かとても似合っていましたね。まあ、思っていたほどとんでもなくはなくて(アブデラフマンは想像以上だったので)ほっとしました。コレゴワのニキヤは、これが神に仕える舞姫ですか~?というくらいいきなりソロルとラブラブな感じがちょっと違和感。シェミウノフの大僧正~!彼は背が高くて映えるし、とても若くて美しい大僧正だけど、やっぱりこういう役ばっかりなのはちょっとかわいそう。(若いのにロットバルトに王様に大僧正だよ)でも、ニキヤに自分の位を捨ててもいいとまで言って迫る様子とか、二人を見て嫉妬に苦しむ様子とか、なかなか見ごたえあるお芝居をしていました。

聖なる火に愛を誓った、幸せな寺院の前庭でのシーンのあと、場面は藩主の宮殿へ。ここでソロルは藩主に娘と結婚するように言われて戸惑います。未来を約束されたガムザッティとの結婚話。もちろん断ることなどできません。招かれて踊るニキヤをまっすぐには見られず、ときおり苦しい表情でちらちらと見るソロル。一方大僧正がやってきて、ソロルとニキヤの仲をバラしてしまいます。藩主は怒ってニキヤを殺してしまえ、ということに。大僧正は自分の嫉妬から話したことなのに、とんでもないことになってしまったとあわてます。

これを立ち聞きしていたガムザッティ。ニキヤを部屋に呼んで、自分のブレスレットや宝石をはずしてニキヤに与え、ソロルと別れてちょうだい!といいますが、ニキヤは応じるはずもなく、宝石を投げつけます。このあたりのお芝居がすごかった!ニキヤは思わず刃物を持ってガムザッティに斬りかかり、取り押さえられてしまいます。ニキヤ殺害を決意するガムザッティ。

あらすじばっかり書いているようですが、実は私、今までルジマトフの姿ばかり追っかけていたせいか、他はボーっとして何も見ていなかったようで、こんなにいろいろお芝居をしているのは初めて見たような気がしました。バカですね~。あとの2幕のニキヤが踊るシーンでも、苦悩するソロルの周りで、藩主とガムザッティのやりとりとか、マグダウィアのあわてぶりとか、大僧正の様子とか、もうどこを見ていいかわからないくらいいろんなことが起こっているのを、今まで何一つ見ていなかったようで、我ながらあきれてしまいました。

ガムザッティ役のエフセーエワがすごかった。この間(6日)見た幸せにあふれたオーロラ姫とは全然違い、美しく気位が高いお姫様そのもの。去年見たときはかわいらしさがまさっていて「お願い!彼と別れてくれなきゃ私、イヤ!」みたいなところがあったけど、今回はすごいパワーアップ(対前年度比)。最初からすごく高飛車で「彼は私と結婚して藩主になる人よ!おとなしく消えなさい!」みたいな感じでした。対するコレゴワも負けちゃいない。「何よ、彼は聖なる火に誓ったのよ。あんたみたいな高慢ちきな女好きになるはずないわ」って??え?それが薄幸な舞姫ですか~。いや、恐ろしい女の戦いはそんなふうに見えてしまいました。

第2幕
ソロルとガムザッティの婚約式。華やかなディベルティスマンが続く場面です。(後ろに控えている槍や大きな扇を持った人など、そういうエキストラの人たちは、何だか去年見たのと同じ顔ぶれのような気がします。あれは一体どういう人たちなんでしょうね~。)象に乗って現われたディズニーランドのパレードみたいなコールプさんに、思わずふき出してしまいました。ここで踊られた太鼓や壷の踊り、ブロンズ・アイドルなどは、今回もとても盛り上がりました。こういうエキゾチックでにぎやかなのは楽しいよね。

ガムザッティを持ち上げる二人の男性は、配役表にはないけどモロゾフとコリパエフ?去年の夏に「親子バレエ祭り」で見た20歳のニコライ・コリパエフ君ではなかったでしょうか?今年も来てくれてたのね~。君が見られただけでおばさんはとってもうれしいわ。。!容姿端麗な君がいつか素敵な王子様に成長するのを待ってるからね~♡(失礼しました)

コールプは青いターバンに青い衣装。ルジ様はここで白の、ウエストの部分があいた素敵な衣装だったなあ~と思い出してしまいました。まぶしいほどのエフセーエワの笑顔。ツンツンしたお姫様の役作りもうまいけど、やっぱりこの笑顔がいいなあ。

コールプの踊りはすごかった。ガムザッティとユニゾンするところもぴったり合っていて、しかも高さは2段ぐらい高く、シルエットがぴったり重なる感じ。私は前ブロック後方の真正面の席、目の前に指揮者のパブージンさんの頭がぴょこぴょこしている場所だったので、ほんとにど真ん中だったのですが、アントラッセで後ろに振り上げたコールプの脚が頭の後ろからにょきっと見えたんですよ!どんだけ高く上げてるの??何だかニキヤのことはもう忘れちゃったの?みたいに割り切りいいソロルでしたね。ヴァリエーションもかっこよかった~。

何でもルジマトフと比べられては迷惑かもしれないけれど、下手側に向かって高くゆっくりとアラベスクをするところとか、その呼吸がルジマトフを髣髴させる感じでどきっとしてしまいました。ただ最後の決めのポーズののけぞり具合はまだ足りないわね~、といっても別に同じにしてほしいわけではありません。あれはほんとに陶酔して倒れちゃうかのような、ルジマトフにしかできないのけぞり方でしたからね。

さて、ここからが最大の見せ場。ニキヤの登場です。ニキヤは最愛のソロルが藩主の娘と婚約した、その祝いの席で踊らなければなりません。とてもつらくやるせない踊りです。ところが、見るほうはその踊りを見ている暇がないほど周りの人間模様が面白くて、本当にどこを見ていいかわからないほど忙しかったのです。

ソロルは先ほどの元気な姿とはうって変わって、ニキヤの姿をまともに見ることができません。落ち着いて座っていることすらできずに立ち上がったり、また座ったり。ガムザッティは時折藩主と顔を見合わせ不敵な笑みを浮かべたり、ソロルのほうに流し目を送ったりしています。大僧正はこの殺人劇を知っているので、聖職者にあるまじき落ち着かない様子。ニキヤに花籠が贈られると、ニキヤはうれしそうにソロルのほうを見、ソロルも一瞬ニキヤを見つめ、すぐにまた目をそらせます。しかしその怪しいそぶりはまるでソロルもこの殺害計画を知っているかのよう!

愛するソロルが最後に贈ってくれた花かごを持って、悲しみを隠しうれしそうに踊るニキヤ、ところがその踊りが終わるか終わらないかで、花籠から出てきた毒蛇にかまれてしまいます。ところがソロルは何が起こったのかと驚くどころか、目をそらしてしまうじゃないですか。やっぱりあなたもグルだったのね!出世のために共謀して邪魔な恋人を殺すなんて、何て悪い男でしょう!(ほんとはこんな話じゃありませんよ、あくまでも私がそう見えたというだけです)

大僧正のあわてぶりったら!この若い大僧正は決してよこしまな心なんかじゃなく、純粋にニキヤを愛していたのね。かねて用意していた解毒剤をニキヤに渡しても、ニキヤは意を決して死を選び、せっかくの解毒剤を大僧正の足元に投げつけてしまう。またも拒絶されて嘆く大僧正。かわいそ~。

苦しむニキヤを正視できなかったソロルも、いよいよニキヤが死ぬというそのときに、やっとニキヤに駆け寄り、嘆き、悲しみ、謝罪します。自分は間違っていた!でも、こうするしかなかったんだと。ニキヤは愛するソロルの腕の中で死んでいきます。このあたりが息をもつかせぬテンポで、とてもドラマチックでした。(だから、やっぱり最後の結婚式のシーンは絶対蛇足!)

第3幕
自分のせいで死に至らしめてしまった、ニキヤへの罪の意識にさいなまれるソロル。今度はプログラムに載っていたあのベージュっぽいパジャマみたいな衣装です。長椅子に倒れこむ勢いがすごくて、本当に自虐的な様子。マグダウィアがそんなソロルを一生懸命慰めようとします。あのコブラの踊りはあんなにユーモラスだった?以前は全く目に入らなかったから(もちろん、ソロルに一点集中のため)気がつきませんでした。アヘンを吸うところなど、うつろな目つきが超妖しくて、コールプさん、やっと本領発揮か?

ここからは幻影の場。紗幕の向こうに高い岩山があり、そこから一人二人と精霊たちが舞い降りてきます。ゆっくりとアラベスクを繰り返しながらスロープを降りてくる幻想的なシーンです。ところが、このコールドは何?最初っから脚を上げるタイミングとか、上げる速度とか、キープする時間とか、下ろすタイミングがみんなバランバラン!何で~?スロープを降りながらそろえるのはとても難しいことだと思うけど、今まで絶対こんなんじゃなかったはずです。どうしちゃったんでしょうか。その前の2幕のディベルティスマンのときも、私は真正面だったのでよくわかったのですが、並ぶ間隔が一定でなかったり。こんなことって今までありませんでしたよ。コールドの人もかなり入れ替わっていると聞きましたが、まだ慣れてないにしてもプロなんですからね。

32人ずらっと並んだところはさすがに揃っていて壮観でした。一応コールドの見せ場ですからね。でも後ろのほうでぐらぐらしてる人もいて、そんなもんかなと思うことも。「薄暗く青いライトの中、白い衣装の精霊たちのゆっくりと揃った動きを見るうちに、観客の頭が朦朧としてきて、幻想の世界に入っていくようにできている振付」ということを何かで読んだことがありますが、頭がボーっとしかかると、何かで現実に引き戻されて、なかなか幻想の世界に入って行けないコールドでした。

影のヴァリエーションの3人はミリツェワ、ペレン、コシェレワと並んで豪華!3人の息は合っていましたが、なぜがミリツェワはヴァリの最初、音に合っていなくて、え?と思ってしまいました。そういえば「眠り」のフロリナのときも、一瞬何が起こったんだと思ったくらい音に遅れていて、ドキッとしたんだっけ。後半は持ち直したけど、どうしたんでしょうね。無表情気味に踊っていてもミリツェワはかわいらしく、ペレンは本当にクール・ビューティの雰囲気。コシェレワはやっぱりどこか温かみを感じる雰囲気があって、そこがそれぞれの個性なんでしょうね。

前回も書きましたが、コレゴワの踊りはきっちりした優等生の感じで、ある意味完璧です。でも面白みがない。無表情はわかるけど、単にきちんきちんとこなして、あっさりと終わっちゃっただけでは物語にはならないわけで。例えば、この「影の王国」は霊界というよりは、アヘンを吸ったソロルが見た全くの幻影の世界で、ソロルの懺悔の心と、ニキヤへの愛と、許してほしいという究極の願望の世界であってもいいと思うのです。どうせラリった男が見たしょうもない幻想なのよ。

だから影たちは冷たくなくて、虫のいい話だけどそこに癒しがあってもいいのだし、ニキヤに一目会って許しを請いたい、「あなたを愛するゆえに私は死を選んだのです」とやさしく言ってもらって、この苦しみから救われたい。そんな夢のような場面だったら美しいじゃないですか。

コールプのソロルにはそんな愛と、ひたむきな願望と、せつなさがありました。でも、ニキヤはサクサクと踊って消えた感情のない亡霊だったかなあ。もう少し心の通い合う雰囲気があったらよかったのに。白いベールをもった踊りも、手繰り寄せてはまた離れていくベールのように、もうこの世では触れ合うこともない。でも心はこのベールで永遠につながっている、という象徴なのだと思うのだけれど。虫のいい願望はならず、かわいそうな一方通行でしたね。

ニキヤが下手奥に消えていくところ、ここでルジ版ソロルはルルベでじっと低いアラベスクをキープしながら見送って、それからおもむろに体をそらせてあとを追っていく。そこがとってもツボだったのですが、やっぱりそんな真似っこはしてくれませんでしたね~(涙)

ルジマトフがソロルのときもやっぱりそうでしたが、ジゼルの2幕と違って、音楽も泣かせる音楽ではないし、けっこう後半、影たちも華々しく踊るし、設定も感情移入しづらいので、この「バヤデルカ」で泣けたことはないんですよ。それでもなきゃいいのになぁと思うのは、やっぱり最後のオカルトシーン。あれは怖かった。

幻影の場から現実に戻り、宮殿ではガムザッティとソロルの結婚式が行われています。踊る二人の間に、いつしか白いベールをかぶったニキヤの亡霊が現われて、誰にも見えないのだけれど、3人で踊るのです。そして踊りながらソロルがガムザッティに捧げた花を、いつの間にか奪い取っていくニキヤの亡霊。少なくともシェスタコワのニキヤにははかない悲しみを感じましたが(それでも怖かったけど)、今回は本当に「おのれお岩、迷うて出たな!」の世界になっちゃって、しかもソロルは誓いの瞬間に上からばらばらと花が落ちてきたのに気付いて、何じゃこれはぁ!と言わんばかりに花を拾い上げ、ガムザッティに投げつける!それはないでしょう。あなたも知っての陰謀だったのに、ガムザッティかわいそすぎ!

続く寺院の崩壊は、まさしく天罰!恨みを晴らしたお岩は晴れて成仏し、じゃなくて、ソロルとニキヤの愛の象徴である白いスカーフが天に昇っていき、ひとり大僧正だけがおのれの妄執の顛末を見せつけられることとなりました‥‥‥。去年は帰りがけに周りの人たちが「あの大僧正が一番の悪者なのに、何であいつだけ生き残るのよ、変じゃない?」などと言っているのが聞こえましたが、今回は「人の世の無常と人間の欲望の空虚さを悟り、人々のあとを弔う決意をした」ようなラストだったかな。きっとそのあとは心を入れ替えて、立派な大僧正になったことでしょう。めでたしめでたし?ごめんなさい、そんな話じゃないですよ。だけどもともと解釈に苦しむ物語なのですよ、多分。

どうなることかと心配したコールプのソロルも、全然奇をてらったところがなく、むしろ真正面から王道のソロルで勝負してきたことに、この役に対する彼の真剣さを感じました。コールプの端正な踊りに似合わぬワル顔、パンクな趣味、怪しげな外見に引いていた私ですが、改めて好感をもったし、素晴らしいダンサーだと確信しました。あとは色気?

だけど、1階でも空席が目立つ会場はどうしたことでしょう。コールプさん、よかったのにもったいない。(もう来てくれなくなったらどうしよう‥‥)芸術監督としてカーテンコールに現われたルジマトフも、残念に思ったのではないかしら。去年のレニ国の最終日の「バヤデルカ」。忘れもしないオーチャードホールでのスタンディングオベーション。鳴り止まない嵐のような拍手、何回も繰り返されたカーテンコール。あんなことはもう2度と起こらないのかなあ。感情移入はできにくかったけど、踊りは素晴らしかったし、全体的には面白かったですよ。でも、そんなわけで一抹の寂しさを感じて会場をあとにしたのでした。

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2008年1月11日 (金)

芸監登場!

昨日、レニングラード国立バレエ「バヤデルカ」に行ってきました。ルジマトフの出演が確定してからチケット買おうと思っていたのに、セット販売で芸術監督様のポストカードがもらえるとわかった時点で、即チケット買ったミーハーですからね~。そうでなくても、今までレニ国の「バヤデルカ」といえばルジマトフのソロルが定番だったから、多分私よりもっと早くからチケット買った、熱心なルジマトフのファンの方もたくさんいらしていたと思います。

そんな中で、カーテンコールにルジ芸監が登場しました!!何だ、来てたのね。カーテンコールに登場したのはこれが初めて?ルジマトフ目当てでチケット買った人がこれだけ来ているんだし、自分が呼んだゲストのペアが踊った公演なのだから、それは出ないわけにはいかなかったでしょうね。

最後のほうにごく控えめに現われたルジマトフは、舞台挨拶もなく、ただ踊った皆さんを立てて端のほうで普通にお辞儀をしただけでした。でも、やっぱり登場しただけでオーラが違う!そのときの拍手が一番すごかったなんてちょっと皮肉だったかも。

半年ぶりに見たルジ様は、何だか痩せていて、こんなに華奢な人だったっけ?と思ってしまいました。膝の手術の経過はどうなのでしょう?リハビリとか今後踊っていくためのレッスンはしているのでしょうか?せっかく姿を見せてくれたのに、控え目すぎて何だか痛々しく感じてしまったのは私だけでしょうか?一抹の寂しさがあったことも否めませんが、とにかく姿を見られただけでもうれしかったです

舞台の感想はまたあとで書きますが、とりあえず感じたこと。

会場に着くと、入り口でなんとルジマトフのサイン入りのポスターを売っていました。えっ??「まだあるんですか?」と聞いている人がいたので、耳を傾けていると、「あとからまたサインして持ってくると思いますよ」などといっている。何だ~いるんじゃない!姿を見たという話は聞いていなかったので、来てないかと思っちゃった。だけどこんなところでポスター売ってるくせに、カーテンコールにも出てこないなんてと少し腹が立ってきました。

そのポスターときたら、ファンから見たら「激萌え」ものかも??舞台写真ではなく「激写」風のものです。欲しいかも~♡でもうちはダンナもいるし、思春期の子供だっているし(?!一体どんなポスター?)残念ながらうちにこれを張るところはないわ‥‥と思っているうちに売り切れてしまったでしょうね~多分。(欲しくなるから帰りはもう見ませんでした!)

驚いたことは、何と、すいているのですよ。こんなにがらがらな東京文化会館なんて初めてだと思います。この間の熊哲の出ないKバレエだって、端のほうや2階以上のサイドは空席が目立ったけど、1階中央部分はほぼ後ろまで埋まっていました。それが、中央部分まで空席が‥‥。平日というだけでもなさそうな。何だかとても寂しい気がしてしまいました。

公演そのものは楽しかったですよ。コールプも、あの超個性的なプログラム写真を見たりすると、一体どうなることかと思っちゃいますよね。半ば怖いもの見たさで行ったのですが、全然違いました。逆に、彼がこのソロルという役に、ものすごく真面目に、意欲的に取り組んでいるのを感じました。その踊りに対する真摯な態度はとても好感が持てました。芸術監督であり、マリインスキーの大先輩でもあるルジマトフに、ずいぶん学ぶものがあったのだと思います。踊りはとても端正で美しく、テクニックはもちろん最高ですし、演技もかなり頑張っていました。よかったんですよ~♡コールプさん。相変わらずのワルっぽいワイルドな顔でしたけどね。

ボヤルチコフ版自慢の「バヤデルカ」の最終章は、全くの蛇足だと昨日確信しました。やっぱり「影の王国」で終わるのが美しいバレエの世界ですよ。最後の結婚式の場面はニキヤの亡霊が恐ろしくて、まるでオカルトでしたね。それよりも、あのニキヤ殺害事件は、大僧正も、藩主も、ガムザッティも、ソロルも、みんなグルになった犯罪だったじゃないですか~!ソロルに天罰があたるのは当然です。この恨みはらさでおくべきか~~あな恐ろし!(すみません、こんな話じゃないんですよ、本当は。)

というのも、ニキヤ役のゲストのコレゴワって「これ怖」?というくらい、怖かった。大体ゲストって、普通はある程度知名度のある人がゲストになるんじゃないですか?それが、自分のバレエ団のプリマの登場機会を少なくしてまで呼ぶゲストが、全くの無名の人なんて、ルジ監督も思いきったことをする人ですよね。コレゴワ自身も、いきなりゲストの日本デビュー(ですよね?)はかなり重圧なのじゃないかと思っていました。ところが、そんなところは微塵もありませんでした。最初から自信にあふれていて驚きました。

登場した瞬間から、すごい甲!X脚!といってもザハロワのようなスーパーバレリーナ体型というほどではないけれど、甲はザハロワなみでした。一見そんなにガリガリというほどではないようだけれど、鎖骨はもちろん首の後ろに背骨が浮いて見えるくらいだからやっぱり細いのですよね。ダンサーとしては、さすが芸監が見込んだだけあって、体型的にも恵まれているし、技術的にもすごいものを持っている人だと思います。踊りに不安定なところなどほとんどなく、体も柔らかく脚も自在にブンブンあがるし、回転もすごく正確。踊り的にはすごい優等生だと思いました。

だけど、私の好みもあるけれど、それだけがバレエじゃないというのは当然です。コールプの練れた演技力に比べたら、かなりあっさりめ。若いと思うから仕方がないけれど、そこがこの舞台を叙情性に欠けるものにしてしまったようです。「影の王国」はあちらの世界の話なのだから、人間的感情はなくて正解なのかもしれませんが、あまりにもコールプとの心の通いあいが感じられなくて‥‥きれいはきれいだったんですけどね。けっこうすごいことを何でもなさそうに軽々と踊って、はいおしまいという感じ。コールプがちょっとかわいそうに見えてしまいました。

きょうのシェスタコワのニキヤはどうでしょうね。私は行けないけれど(ルジマトフだったら何があっても絶対2回とも行ったのに。やっぱり空席はそういうことなのか~)シェスタコワのもつ可憐ではかなげな雰囲気はすごくニキヤ向きだと思うし、相手のコールプもいい演技をぶつけてくるだろうし、シェスタコワはそれに十分応えうる人だと思うので、今夜のほうが絶対いい舞台になると思います。ルジ監督にもその辺(観客の反応)をよく見てほしいです。

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2008年1月 9日 (水)

バーミンガムロイヤルバレエ「美女と野獣」

1月7日東京文化会館 バーミンガム・ロイヤル・バレエ「美女と野獣」Photo

本当はこんなに続けざまに見たくはないのです。感動が減ってしまいそうでもったいないし。だけど、見たいものがたまたま集中してしまったので仕方がありません。

私はこの手のもの(新作or新解釈系?)はほとんど見たことがありません。でも、何となく面白そうなものを見つける嗅覚?みたいなものが働くときってありますよね。去年のオーストラリア・バレエのときも、「氷の上のスワン・レイク」も、そんな嗅覚が働いたのですが、結局他にたくさん集中している時期で見れませんでした。二つともとてもよかったらしいし、本当に残念!それで、今度は後悔しないように、思い切って見ることにしたのです!

実は私、「美女と野獣」って、ディズニーのアニメも、劇団四季のも、もちろんジャン・コクトーの古い映画も見たことがありません。このお話、全く初めてでした。でもそのおかげで先入観なしに見ることができたと思います。結論を先に言うと、すごく面白かったし、よかったですよ!バレエという中でいえば、前日のレニ国の「眠り」とは全く正反対の位置にいるものでしょうが、こちらはやはり全く違った意味で感動あふれる作品。何回でも見てみたい!そう思いました。

ダンチェンコが7年ぶりなら、バーミンガム・ロイヤルバレエは13年ぶりだそうですよ。だから次にいつ来てくれるかわからない。それなのに日本で4回しか上演しないなんて‥‥この機会に見ることができて本当によかったです。

「美女と野獣」は2003年に現・芸術監督のデヴィット・ビントリーが発表して以来、毎年クリスマスシーズンに上演され、ファミリー向けに人気を得ている作品ということです。平日の夜なのに、会場には前日の「眠り」以上に“お子様”が多くてびっくり。親子で買うと子供が半額という「親子ペア券」というのが発売されているからのようです。

幕が開いた瞬間から、うわあ~、これはイギリスだな~と思いました。ハリー・ポッターとかロード・オブ・ザ・リングの世界ですよね~。けっこう好きかも‥。それからかぶりものということでは「ピーター・ラビット」とかの世界‥‥。音楽はミュージカルのもの?それともオリジナル?オリジナルのような気がします。

プロローグ・1幕
幕が開くと天井まである書棚にかけた梯子に登っているベル。この日の主役の佐久間奈緒さんでした。白いシンプルなドレス姿で清楚な感じ。手に取った本を開いています。すると、その梯子の下では本の中の世界が広がっていて‥‥‥場面は暗い森へ。

家来を連れた王子が狩に出て、1匹のキツネを追っています。追い回してしとめようとしたとき、大きなマント姿の木こり?が現われ、キツネをマントの下に隠し、残虐な王子一行を動物の姿に変えてしまいます。キツネは赤い髪の少女(ワイルド・ガール)に変わっていました。

場面転換の仕掛けがすごいのですが、場面はベルの家へ。ベルは二人の姉と、商人の父と暮らしています。父は事業に失敗したのか、家財道具を差し押さえられて大変な状態。そんな中でよい知らせが来て、すぐに父は仕事に出かけます。二人の姉はおみやげにドレスや宝石をねだりますが、ベルは1輪のばらの花だけを頼みます。「シンデレラ」を思わせるような二人の姉のコミカルな踊りが楽しい。

またすぐに場面転換。本当に早くて飽きさせません。嵐の森でベルの父親が、怪物たちに翻弄されて、部下ともはぐれ荷物も失い、途方にくれていると、不思議や不思議、目の前に城が現われ、ずんずん奥に導かれます。この辺がハリー・ポッターの世界だな~!部屋の中に入るとテープルに灯りがともり、ご馳走がいっぱい。ポットが自然に傾いてお茶を入れたり。それから椅子に座ると、肘掛から手が‥‥!

一夜明けてみると、なくした荷物が元に戻り、娘に買った豪華なドレスや宝石もそのまま。喜んで帰ろうとした父親は、ベルへのお土産を忘れていたことに気付き、城の外壁に絡まったばらを1輪折ります。すると、野獣が現われ‥‥‥。何だかここまでストーリーばっかり書いているような感じですね。そのとおりに、バレエなのに踊りの要素が少なくて、どんどんストーリーばかり展開するので、仕掛けは面白くて飽きないのだけれど、そこがちょっと不満。いや、これをバレエとして見たらかなり不満かもしれません。(特に前日あんな豪華古典のてんこ盛りを見たあとで!)

野獣はばらを手折った父親の非礼を責め、そのばらを頼んだ娘を城によこすように言います。家に帰った父親はベルに事情を話し、ベルは城に行くことに。ここでも面白いのは、父親が持ち帰った大きなトランクを、お姉さんたちが開けてみると、何とドレスはぼろぼろ、宝石も汚いものに変わっていて、まるで舌切り雀みたいでした。

ベルが動物たちに導かれ、城に行くシーンは、コールドバレエというより、ミュージカルか何かのダンスシーンみたいでした。カラスたちの斬新な衣装。かぶりものでほとんどダンサーの顔が見えなくて残念!踊りといえばカラスの親玉のような男性の踊りと、ワイルド・ガール役の人の踊りがとてもシャープでよかったです。モダンとかコンテンポラリーではなく、あくまでもクラシックバレエ風なのだけれど。踊りの見せ場が少ないのが残念。

城に着くと野獣が現われ、怖がって逃げようとするベルと踊ります。着ぐるみをきているから、ダンサーの体の線がわからなくて、とても残念ですが、野獣役のツァオ・チーという人はかなり踊れる人ですね。それが、不思議なことにあんな着ぐるみを着ていても、かぶりもので表情は見えなくても、きちんと心が伝わってくることに、本当に驚きました。私はバレエで心を表現するというのは、体の線、背中や首のラインとか、ポールド・ブラとか、指先とか、つま先とか、顔の表情とか、そういうものが語るのだと思っていましたが、これはどういうことなのでしょう?振り付けの力か、踊り手の演技力か、何だかわからないけどすごいことが起こってるみたい!

野獣は傲慢で冷徹な性格だったにもかかわらず、ベルを一目で愛するようになり、懸命にベルに寄り添おうとします。ところがその姿をひたすら恐れるベルを見て、こんな姿になってしまった自分を悔い、嘆き、怒ります。そんな心の通わない、ひたすらせつないパ・ド・ドゥが心に残りました。

第2幕
城の中で、動物に変えられた人々が集まり、豪華な舞踏会が開かれています。ベルは野獣の姿にも慣れて、今度は怖がらずに楽しげに踊っています。野獣もうれしそう。よかった~。ところが、踊りが終わって、野獣がベルに求婚する段になると、ベルはやっぱり結婚はできないと断り、困惑して去っていきます。やっぱ、そうだよね~。一転して指輪を投げつけ、荒れ狂う野獣。かぶりものはとても不気味なのだけれど、見るほうはすっかり感情移入しちゃって、野獣がとてもかわいそうに思えてしまいます。苦しいよねぇ。。。

一方ベルは父親が心配で、一度会いに行きたいと懇願します。野獣は悲しむベルにとうとう帰郷を許しますが、1輪のばらを与え、これが枯れるまでに帰ってこないと、自分は死んでしまうと言い、ベルも必ず帰ると約束します。

ベルの家。お姉さんの結婚式?集まった人々がご馳走を囲んで楽しげに踊っています。といっても、バレエでよく見る優雅な踊りではなく、太ったおじさんやおばさん、無理に踊らなくてもいいんじゃないのというような、杖を突いたよぼよぼのおばあさんまでいる、とてもコミカルな踊りでした。結婚相手はお金持ちのガマーシュ、じゃなかった、豚のような鼻の小太りの男。だけどどっちのお姉さんと結婚するんだか、さっぱりわかりませ~ん。お姉さん同士は相変わらずケンカしたりしているし。英ロイヤルの「シンデレラ」のお姉さんたちのドタバタとか、見たことはないけれど「リーズの結婚」とか、そんなイギリスっぽいシニカルなやってられない世界ですよ、多分。あちらの人にはすごく笑えるんでしょうけどね。

そこへベルが帰ってきます。お姉さんたちに会えて喜ぶベル。だけどお姉さんたちは意外にもベルがきれいなドレスを着ていたりして、よさそうな暮らしをしているらしいと知ると、急に冷たくなります。お父さんも交えてまたドタバタ劇。そうこうしているうちにベルが野獣にもらった花は床に投げつけられ、踏みにじられてしまいます。

一方野獣は、ベルがいなくなった城で一人孤独に、狂おしいほどベルを慕い、苦悶し続けています。だんだん弱っていく野獣を介抱していたのは、あの追われて殺されそうになったキツネ、ワイルド・ガールでした。一度は殺されかけたはずなのに、あまりにもかわいそうな野獣を見て、ともに悲しんで踊るところは限りなくせつなくて、美しかった。醜い人間の心に比べ、損得勘定やうらみ、ねたみのない動物の心はきれいなんだなあ、と。

不思議な、どこでも映るテレビのような(どらえもんの道具?)鏡があって、ときおり野獣はその鏡を覗き込みます。そこに映し出されたのは、行かないでくれという父親と、行かせようとしないお姉さんたちの間で、困っているベルの姿。もうベルは帰ってこないと悟った悲愴な表情、え?かぶりものだから、当然見えないわけですよ、表情なんて。でもそれがひしひしと伝わってきました。どうしてでしょうね。

いよいよ瀕死の状態になったとき、ベルが帰ってきます。ベルはこんなにも自分を思ってくれていた野獣の姿を見て、自分がどんなに野獣を愛していたかを悟るのです。あなたを愛しています、だから死なないで!そう必死で祈ったとき、最初の木こりが現われて、野獣を元の美しい王子の姿に戻します。ここで初めて王子の顔を見たのよ~。(プロローグのときは暗くてよく見えなかった)王子役のツァオ・チーはとてもハンサムでした!着ぐるみをずっと着ていたからもう髪まで汗びしょ。水も滴るいい男ってこのことかしら?

でも、くるみ割り人形が王子様に変わったみたいにいきなり感動ではなくて、まだまだなのですよ。ベルは目の前に素敵な王子様がいるのに、まだ信じられず、王子と踊りながら城のあちこちに野獣の姿を探します。本当に、ベルは外見ではない野獣の心を愛していたんだなと、ちょっと感動。そしてしばらくして、いや、かなりしてから、王子は元の姿に戻れたうれしさというより、気付いてもらえないもどかしさいっぱいの表情でベルの手を取り、自分の胸に押し当てます。その瞬間、やっとベルはこの王子が野獣であったことがわかり、初めて喜びの表情をあらわにします。何て鈍いんでしょうね~!

そのあとの心を通い合わせたパ・ド・ドゥの美しかったこと。ここでどっと涙が出てしまいました。見ていてずっとずっともどかしい気持ちだったから!バレエ公演としては本当に踊りの部分が少なくて、ソリストの見せ場もなくて、群舞だって顔が見えないし、全くの消化不良なのだけれど、この最後の幸せにあふれた美しいパ・ド・ドゥ一つだけで、すべてが洗い流されるような、そんなラストでした。本当にハッピーエンドでよかった~。

佐久間奈緒さんは清楚な雰囲気で、とてもきれいな人です。華やかさというより、ていねいな踊りで、聡明で誠実な主人公を好演していました。ベルという役がとても合った人です。私が見た7日はもともとのキャスティングだったのですが、あとで聞いたら、6日と8日にベル役を踊るはずだったエリシャ・ウィリスが怪我で出演できなくなり、何と3日間一人で主役を踊ったとか。すごいですね!

キエフ・バレエで田北しのぶさんがライモンダを踊ったときは、いくら日本人としてスタイルがよくても、西洋人ばかりの中では分が悪いかなあ、などと思ったものですが、それは厳格なクラシック・バレエという世界だからで、そんなことは今回の演目では一切感じませんでした。どうせ周りは着ぐるみばっかりだし、王子も東洋人だし。というより、もともといろいろな国のダンサーが集まったバレエ団なので、そんなふうに感じなかったのかもしれませんね。それよりも、この演目では気持ちの表し方が見せ所なのです。

特に野獣役のツァオ・チーはすばらしかった。あの分厚い着ぐるみの中で、どんな表現をしているのか。表情もわからないのにどうして伝わるのか。それから、着ぐるみを脱いだあとの軽々とした体の動き。(裸足でしたよ)もう全身で舞い上がらんばかりの幸福感でした。だけど、あまりにも少ない見せ場。もっともっと彼の踊りを見ていたかった。この先、他の演目で彼を見る機会なんてあるんですかね~。それがちょっと寂しい。

そういう意味では、本当に貴重な機会だったと思います。前日の、クラシック・バレエの真髄みたいな美しい踊りの数々をおなかいっぱい見た公演と、それからこの公演。全く違う両極端みたいなものでしたが、そのとおり感動の質も違うものでした。両方ともとても楽しむことができました。私の嗅覚は正しかったよね!

書き忘れましたが、衣装はとても洗練されていて美しかったです。セットも重厚で、いろんな仕掛けがあるすごいものでした。やっぱり、これは地方には持っていけないわ。もう1回だけ公演する「びわ湖ホール」というのはよほどすごい会場に違いない‥‥こうなったら琵琶湖に行こうかなあ‥‥まさかね~。

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2008年1月 8日 (火)

レニングラード国立バレエ「眠りの森の美女」

1月6日東京国際フォーラム ホールA
今年最初のバレエ鑑賞は「眠りの森の美女」でした。「眠り」という演目は、ヴァリエーションがたくさんあるし華やかなので、発表会などではよく見かけますが、公演で見る機会は意外と少ないほうかもしれません。私もずっと以前に、ボリショイのものと東京バレエ団の「眠り」を見ただけだったと思います。(ことしロイヤルが来ますね~)全幕上演するのはとても大掛かりだし、人数も半端じゃありません。それと、チャイコフスキーの三大バレエの中でも、他の「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」に比べて、もろ古典としてがっちり固まっているから、新しい解釈とかアレンジが入る隙がないのかな?とも思います。

レニングラード国立バレエでは、確か毎年上演していたはずです。でもなぜか見たことはありませんでした。今までゲスト目当てで見に行くことが多かったので、ゲストが出ない「眠り」は何となくパスだったのかな。何年か前に「新春特別バレエ」で3幕の部分を見ただけ、というわけでレニ国の「眠り」を全幕で見るのは今回が初めて。

ところが、まず見たすぐあとの感想は「とってもお得!」ということでした。「たったこれだけ?」とか「金返せ!」みたいな公演だってある中で、これだけのものを見せてくれてS席13,000円はすごく安い!珍しく友人親子と一緒に行ったのですが、友人は「こんないいものを毎年やっていたのに、知らなかったわ。これなら毎年見てもいい!」と言っていました。私も同感です。

何が「お徳」かというと、まず舞台セットと衣装が豪華できれい。それから主役を張るようなソリストたちがほとんど総出で脇を固めている!コールドの人数が多い上に、子どもたちのエキストラなどもたくさん登場して、舞台にのりきれないほどの華やかさ。それから迫力あるオーケストラに、指揮者は人気のアニハーノフさんでした。内容も、本当に古典の王道をいくというか、とてもオーソドックスでわかりやすい。私が好きな、表現の深みとか、登場人物の心理的な演技とか、そういうものを求めるものでは全然ないけれど、大切に培われてきた正統派クラシック・バレエを、「元祖おとぎ話」の中で余すところなく見せてくれる、とても楽しめた公演でした。

プロローグ・1幕
オーロラ姫の誕生を喜ぶ人々。妖精たちもお祝いにやってきます。ところが招かれなかったカラボスが怒ってやってきて、オーロラ姫に呪いをかける!それをリラの精が「オーロラ姫は眠るだけ」と予言します。ここまでがプロローグ。

王様はマラト・シェミウノフ。この間「白鳥」でロットバルト役をやっていましたが、195センチのとっても背の高い人。これだけ身長あると、さすがに王様は立派で映えますね。ロットバルトもこの王様も、メイクで顔がわからないけど、ホントはとっても美形でかっこいい人なのですよ。夏ガラでは「眠り」の王子を踊ってましたよね。この人が王子だっていいんじゃない?と思うのですが、やっぱり全幕だと、身長的に他とのバランスもあるのでしょうか?若いし、けっこう踊れる人だと思うのに王様なんてもったいないです。

この場面の妖精たち、衣装がとってもかわいい!普通は単色のクラシックチュチュですが、優しさの精にはすずらん、元気の精にはカーネーション、鷹揚の精には紫か白の?小花(トネリコ?)、呑気の精は水仙、勇気の精にはバラの花のモチーフがついていました。優しさの精はロマンチェンコワ。元気の精がハビブリナ。鷹揚の精ラトゥースカヤ、呑気の精ヤパーロワ、勇気の精ステパノワ。中でもロマンチェンコワとハビブリナ、ステパノワは「くるみ」や「白鳥」で主役にキャスティングされているおなじみのソリストです。

ハビブリナが、私は初めて見たときから好きなのですが、彼女には独特のしっとりした華がありますね。踊りは、見比べてしまうと荒いかなという感じがしないでもないけれど、やっぱりあの夢見るような優しい表情が好き。お母さんになっても、まだまだ活躍してほしいです。

かわいい衣装でも、姉御肌のステパノワにピンクのバラの衣装は似合わなかったかなぁ。ちょっと何とかしてほしかったです。勇気の精の踊りは合っていますけど。相変わらず見ていて気持ちがいい、きりっとした踊りっぷりでした。

リラの精のコシェレワも主役も踊る人のようですが、昨年も本当に脇役としてよく活躍していました。黒髪で親しみやすい顔立ちなので、あ、ここにも出てる、とすぐわかります。ていねいな踊りで好感がもてる人ですね。あたたかく包容力のある聡明なリラの精で、物語の要として活躍していました。それにしてもこのおなじみのソリストたちがずらっと並んだところは本当に壮観でした。

1幕へのつなぎは、編み物をする女性たちの寸劇から。編み針を取り上げられて、引っ立てられようとするところを、最後には許してあげる寛大な王様とお后様。これだけで、まだ登場してないけど、厳格な中にも幸せに育ったオーロラ姫の16年の様子がわかる気がします。16年後、美しく成長したオーロラ姫に4人の王子が求婚し、オーロラ姫は恥らいながら4人の王子と踊ります。さて、いよいよオーロラ姫の登場!

ええっ??

カツラ装着のエフセーエワ!?いきなりはちきれそうなオーロラ姫がコロコロと階段から転げ落ちるように登場した、デビュー当時以上にびっくり。金髪のけっこうすごいカツラ。そのため頭デカ~。ピンクの衣装はとてもかわいいのですが、何か日本人とは美的感覚がずれているのでしょうか。せっかくのかわいらしい小顔が台無し。後頭部を高々と盛り上げた髪型。あれは私たちの世代?から見ると、場末のクラブのママのようで唖然。16歳の初々しいお姫様には見えない‥‥あれに縦ロールをくっつけたらアントワネット様だわ。かわいくて元気なエフセーエワが大好きなだけに、かなりショックでした。カツラなんかいらないのに、どうして~?

4人の王子の中にシヴァコフがいるとか。でもヒゲと帽子でなかなかわかりませんでした。やっと確認。主役級が4人の王子なんて、やっぱり贅沢。

エフセーエワのローズアダージョは溌剌とした中にもしっとりとした気品が加わって、バランスも安定していたし、何より余裕が感じられました。カツラは気になったけど、本当に成長したな~とうれしくなってしまいます。踊ることが楽しくて仕方がない様子は変わらない、きらっきらの笑顔でした。

オーロラのヴァリエーションも素敵でした。お友達の踊りの中にヴィジェニナがいるのがわかりました。目立つ人です。そのあと魔法使いのおばあさんみたいな人が現われ、オーロラに糸つむぎの針を渡します。珍しそうに針を持って踊るオーロラ。ところが、その針が手に刺さって、オーロラは見る見るうちに弱って倒れてしまいます。あわてる周囲の人たち。そこへリラの精が現われ、みんなを眠らせます。階段を上っていく人々の列がストップモーションになり、その上から蔦や木々が覆い隠し、静かに幕が閉まります。

第2幕
それから100年後(かどうかはわからない)。森の中で狩を楽しむ人々。いよいよ王子の登場です。拍手!

あ。。

ルダチェンコ王子は、何気に普通の王子でした。よかった~(^_^)vこうやって全幕の中で見ると、意外に若くてかっこいい、お育ちよさげな感じに見えますね。もともと素顔は好青年みたいですけど、どうして夏ガラでは浮浪者のように見えたんでしょう?(口半開きの倒れそうな奴隷とか。。)あんなへなへなの頼りなさげな王子様に100年の眠りを覚ましてもらうなんて、かわいそうなオーロラ姫‥‥。と心配していたけれど、どうして、馬子にも衣装、というのでもないし、不思議だけれどちゃんと王子様していました。(微妙?)

踊りもだけど、そのあとのリラの精とのやりとりや、オーロラ姫の幻影を見るお芝居もよかったです。森の妖精の中に現われては消えるオーロラの姿を追って走り回るルダちゃんは、優雅?ではないけれど初々しい王子様で好感がもてました。長い手足とサラサラの髪がいいね!(すでにオバサン目線)

この場面のエフセーエワは節目がちで、うっとりと夢見るように踊ります。お願い、誰か、眠っている私に気付いて!というせつなさも感じられるような美しい幻影でした。かわいく元気なだけじゃないのね。小柄で手足もそんなに長くはないのですが、それを補って余りある正確でていねいな踊り。昔のビデオの(キーロフの89年の「眠り」)ラリッサ・レジュニナがチラッと浮かびました。似たタイプかもしれません。

リラの精が決意を固めた王子を城に導きます。湖に浮かんだゴンドラに乗り込むと、ゴンドラは動かないのに背景の森が走馬灯のように動く演出はよくできていますね。ほんとにルダちゃんが夢見る王子様に見えましたよ。幕が閉まって、ここで音楽のみになります。

この長いバイオリンのソロは初めて聴きました。美しいメロディをたっぷり聴かせてくれる場面転換は(周りで寝ている人もいたけれど)、このせかせかした日本にあって、とても優雅で豊かな気持ちにさせてくれました。

再び幕が開くと、蔦が絡まる森の奥にオーロラが眠っています。カラボスとその手下たちが不気味に踊っているところに、リラの精と王子がやってきます。王子は剣を持っている。おいおい、大丈夫なのか‥‥?ところがあっさりとカラボスたちはリラの精に追い払われ、王子はオーロラの姿を見て大きく投げキッスをすると(きゃあ、キザなルダちゃん!)一心にオーロラの元に走り寄っていきます。優雅じゃないけどまあいいか。

このキャストをみたときは、次にもっといい王子が来るまで、起きないであと100年待ったほうがいいかも?と思ったけど、見事ハッピーエンドですね。(あたりまえか。。)その場で眠っていた王様もお后様も、召使も、それからなぜか4人の王子たちも、みんな眠りから覚めて喜び合いました。めでたしめでたし。

第3幕
お話はそれで終わりだけど、バレエでは壮大なディベルティスマンが付きます。そこがクラシック・バレエの真骨頂。ここまでがたっぷり2時間。あと1時間ありますよ~。長いけれど見所満載であっという間に感じるから不思議です。

ステパノワのダイヤモンド、ハビブリナのサファイヤ。コチュビラの金、ラトゥースカヤの銀。こちらも華やかなダンスが繰り広げられました。ミリツェワのフロリナがかわいかった。マスロボエフの青い鳥も、女性の踊りばかりの中で見ごたえがありました。

最初フロリナにキャスティングされていたのはクテポワでしたが、変わったのは来ていない?からでしょうか。夫人が来ていないということは芸監も来ていない?けっこう本気でルジマトフの舞台挨拶とかを期待していたので、寂しい~!プログラムの挨拶に「貴方のファルフ・ルジマトフより」なんて書いておいて、今シーズンは来ないつもりなのかなあ‥‥‥。

それましたね、すみません。最後のグラン・パ・ド・ドゥはもう、エフセーエワの魅力満開。ほんとに楽しそうに踊って、会場じゅうに幸せを振りまいてくれた、そんな感じでした。このグラン・パはがちがちのクラシックの、きちっとした厳格な基礎の上に成り立つもので、これを余裕持って優雅に踊るのは大変だと思うのですが、それができたらこの上なく華やかなんですよね。エフセーエワのオーロラと、期待してなかったルダチェンコのデジレ王子(最後まで頑張りました)に、新年早々幸せ感を満喫させてもらいました。

エフセーエワのカツラは3幕ではシルバーの、ボリューム少なめのものになっていましたが、やっぱりなくてもいいんじゃない??でも、まだクラブのママ風カツラよりはこっちのほうが似合っているようです。しかし、この異様なシルバーのカツラ軍団は何?多分、3幕の世界は1幕と100年時代が違うので、その辺を表現するものと思うのですが、それなら1幕にカツラはいらない!1幕もワルツなど思いっきりカツラ軍団だったので。プパチョフならいざ知らず(ごめん!)髪サラサラなルダちゃんまでモーツァルトみたいになることはないよ。後ろに髪を結んだ姿はちょっと笑えました!

あ、プパチョフといえば‥‥。いくら人数が必要でもそんなことはないと思うのですが、もしかしてと思ったことが。3幕の柱のところに立っていたラッパをもった人が、帽子を目深にかぶっていたけれどプパチョフそっくり!まさか前日王子をやったプリンシパルがお手伝い?(ばれちゃった?!)なんてことはないと思うけど、そう思うぐらいに団員総出という感じの華やかな舞台でした。(ルダちゃんなら下僕やってても誰も気付かないと思います。。。)よかったですよ~!

ただやっぱり東京国際フォーラムのホールAは最低!ほとんど1階前半分は傾斜なしなので子どもはたまりません。友人の娘さんはまだ小学生だったので、着てきたコートとかを全部積み上げて、その上に座っていました。帰りはコートしわくちゃ。大人でも前の人の頭を右に左によけなければいけないので、できればここで(オーチャードホールも!)バレエ公演はやってほしくありません。

あと、もう少し「眠り」をやってもいいのでは。レニングラード国立バレエが今回全国で行う公演、プログラムに載っているのが35公演ある中で、「眠り」は東京で2日、大阪で1日だけです。(それでオーロラ役に4人書いてあるのは一体なぜ?)地方公演は「白鳥」ばっかりじゃないですか。確かに地方でこれだけのセットを乗せられる舞台は少ないかもしれませんが、もっといろんなところでこの素晴らしい、お得な「眠り」をやってほしいなあと思いました。

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