2008年12月30日 (火)

新国立劇場「シンデレラ」 2

いまさら書くのも‥‥と思うほど遅くなってしまいました。いろいろ年末で忙しかったので。それでも、昨年はまだ29日と30日にダンチェンコとレニ国の「白鳥の湖」に行ったんですよね。

去年から怒涛のようにバレエを見始めて、2年目が終わろうとしています。ことしもいろんな舞台を見ることができ、充実した1年になりました。(家族のヒンシュクは別ですけどsweat02)数えてみたら去年が30公演、今年は29公演でした。すごいバレエファンの方は40公演以上は普通に行っているでしょうから、大したことはないのですが‥‥‥。

その一方で、ことしは「ヤマトタケル」で新橋演舞場デビューをして、歌舞伎座とあわせて11回も歌舞伎を見てしまったのです。この歌舞伎をバレエとあわせるとちょうど40公演。我ながらちょっとあきれるくらい散財してしまいましたねsweat01

さて、「シンデレラ」ですが、レジュニナ(レジニナ)は本当に残念でしたが、代役のさいとう美帆さんもなかなかよかったです。さいとうさんといえば、チャリティガラのときの「薔薇の精」。確かあのとき、最初からお目々ぱっちり、満面の笑みだったんだよね。あの演目でそれはありえないでしょう!と思ったけれど、相手があのコルサコフだったから仕方がなかったのかもね~。あんなべいびぃな薔薇の精が突然現れたら、私だって驚いてお目々ぱっちりになるわ。

さいとうさんにはそんな、ちょっと大根なイメージがあったので、最初は、何?この発表会みたいなメイク!などと突っ込んでいましたが、だんだん突っ込むのも忘れて見入っていました。

シンデレラの演技でよかったのは、箒を相手に踊るところ。1幕ではまだ見ぬ華やかな世界を想像して踊っているんだよね。だから一瞬我にかえって、ちっとも反応してくれない箒にやつ当りしたりする。でも、舞踏会から帰ってからの3幕では、箒は単に箒じゃない。さっき夢の中で会ったばかりの素敵な王子様そのもの。だから大切なものにでも触れるように、決して邪険に扱ったりはしない。そして、ポケットの中にガラスの靴を発見してからは、箒はまたただの箒になるのです。だって、あれは夢じゃなくて現実だったとわかったのだから。そんな演じ分けがよく伝わってきました。

また、脇を固める人もよかった。私はイギリス流のユーモアというのと、悪ふざけというのの区別がよくわからなくて嫌いだった、あのお姉さんたちのどたばたも、ばかばかしいけど笑ってしまいました。マシモ・アクリのお姉さんは、オペラグラスで見るとこれ以上はないというほど怪獣みたいなひどいメイク!ここまでやるかと思ったら、かえって好感を持ちましたね。対する井口さんのお姉さんも、こちらはちょっとかわいらしい感じもあって、その対比が面白かったです。舞踏会で小柄な男性をばかにしているような演技は、やっぱりいやですけど。

仙女の川村さんがすごくきれいで、存在感がありました。ほんとに光の粉を振りまく妖精のように輝いていたと思います。彼女が主役になるなら見てみたいなと思ったくらい。(2月の「ライモンダ」に出るんですよね~)今後がとても楽しみです。

四季の妖精は春の小野さんがイメージぴったりの元気さでかわいかった。夏の西川さんは、こういう役でここまでやるか~?みたいなねっちり濃い表現?そういう人なの?あの中では異色な感じがしました。冬の寺島ひろみさんは音に遅れ気味なのが気になったかな。

あと、吉本さんのダンス教師は、30年ぐらい前のオバサンのようなカツラとおちょぼ口の真っ赤な口紅が異様!あんなオカマっぽい変な役だったっけ?「アラジン」のときも変な化粧だったよね‥‥。もう少し何とかならなかったのか。道化の八幡さん、今となってはそんなに印象に残ってないのですが、この人が「アラジン」で、吉本さんと日替わりでジーン役を演じた人か~と思ったので、よく踊っていたのではないでしょうか。

そしてコボー王子は、前回書いたとおり意外に素敵でした。意外というのは‥‥。私、コボーさんって知らないうちに何回か見てるんですよね。以前、スターダンサーズバレエ団が好きでよく見ていた頃、吉田都さんとともにピーターライト版の「くるみ割り人形」や「ジゼル」にゲストで出演していたと思います。ほとんど印象に残っていないんだけど、どうしてかな~。特別顔もスタイルもよくないし、踊りもゲストならこれくらいは普通だろうみたいな感じだった?そういえばことし見たロイヤルの「眠り」がコボー王子だったっけ。ごめんなさい、忘れてた。

今までそんな、特に強い印象というのはなかったのですが、この「シンデレラ」の王子では、本当に自然な王子としての気品と、あたたかく優しい内面が感じられて、とても素朴で素敵でしたheart04やっぱり、コジョカルで見たかったわね~。

そんな感じでシンデレラは代役の代役だったけれど、他の人たちがよくそれを盛りたてて、素敵な舞台にまとまっていました。年末に、夢を与えてくれるこんな演目はいいな~と幸せな気分で今年最後の鑑賞を締めくくることができました。バレエって、ほんとにいいものですね~。それではまた、来年も楽しみましょうnote

来年早々にはレニ国がやってきます。またコールプが見られるのがとっても楽しみhappy01 特に「海賊」のアリはどんなすごい俺様アリになるのか?はたまた、芸監の演技を受け継いで、意外にも美しくせつないアリを演じてくれるのか?‥‥ってほど期待はしてないんですけど。スタイルいいし踊りも抜群なのに、あの顔でしょう。せめて泥棒メイクだけはやめてほしいと思うのですが。

また、今回新国の「シンデレラ」を見たので、ぜひともスターダンサーズ・バレエ団の「シンデレラ」も見たいのですが、すでに「海賊」もコルプガラもチケット買っているので、1月17、18という日にちがどうしても厳しい!去年も、ちょうど「スーパー歌舞伎」に入れあげていた時期だったので見逃してしまいました。

スターダンサーズ・バレエ団といえば、去年80歳の記念公演をした創始者の太刀川瑠璃子さんが、19日に亡くなられたそうですね。ことし1月にはバーミンガム・ロイヤル・バレエの公演で、「美女と野獣」のときも、「コッペリア」のときも、姪御さんたちとともに客席でお元気な姿をお見かけしていたので、訃報を聞いて驚きました。公演の時はいつも、入口すぐのほんとの「もぎり」のところで、来るお客様全員を笑顔で迎えられていた姿は、私なんてほんの一時期のファンでしたが忘れることはありません。ご冥福をお祈りいたします。

というわけで、ことしもバレエ三昧(プラス歌舞伎)の1年でした。大好きなルジマトフ氏は、去年の今頃はやきもきしてしまったけれど、ことしは無事「ルジすべ」も見れたし、本国でも頻繁に舞台に姿を見せているようで一安心。クラシックはもう踊らないと言っているのはとても残念だけれど、来年早々、また見ることができるのはとても幸せですheart04

こんな拙いブログですが、ことしも(そんなに多くはないと思うけれど)いろんな方に見に来ていただいて、とてもうれしく思っています。どうもありがとうございました。また来年もよろしくお付き合いのほど、お願いいたします。では、どうぞ、よいお年をhappy01

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2008年12月28日 (日)

新しい王子様(またまたミーハー注意)

普段リビングルームワーカーで、家族のいないときだけのんびりやっている仕事なのですが、ことしは休日の関係で仕事納めが早く、クリスマス返上でやることになってしまいました。それでも昨日、無事今年の仕事を終ることができ、まずは一安心。

それで、延び延びになっていた「シンデレラ」の続きを書こうとしたのだけれど、もう忘れてしまったかも?いや、あとでまた無理やり思い出します!

その前に。このブログの左下に来訪者の週間検索ワードランキングというのが出るようになったのですが、それを見ていると、このところなぜか「グダーノフ」というのが多いんですよ。何かそれ、ちょっとうれしいheart01のです。というのは、ここのところボリショイのドミトリー・グダーノフがちょっとしたマイ・ブームになっているんですよ。

そんなに期待しなくて行った「白鳥の湖」で、完璧なクラシックの白王子姿を見せてくれたグダさん(何か、変な呼び方!)が素敵で、その後ずっと心に残っていたのですが、最近彼のオフィシャルHPを発見!そこの美しい写真などを見ていたら、You tube にも動画がいっぱいアップされているのに気が付きました。それで、去年のマリインスキー・ボリショイ合同ガラの録画もまた引っ張り出して見たりして、ここのところ実はグダさん三昧なんですheart04「トシちゃん25歳」じゃなくて、「グダちゃん33歳」‥‥!(こんなギャグ、もはやわかる人はいないか?)

私の一番好きなダンサーは、依然あのお方ですが、芸術監督になられてから事実上引退というか、クラシックを踊らなくなってしまって本当に残念なのです。それに代わる存在というのも実際あり得ないのですが、やはり私もミーハーですのでいろいろマークはしていますcoldsweats01

ことし目をつけた人はほかに、バーミンガム・ロイヤルバレエのツァオ・チー、ABTのデヴィッド・ホールバーグ、そしてシュツットガルト・バレエのアレクサンドル・ザイツェフなど。ホールバーグは超かっこいいけど、少し好みとはずれているので別として、バーミンガムも、シュツットガルトもそんなに頻繁に日本には来てくれません。それにそこのダンサーの情報というのもほとんど入らないので、夢中になりようもありませんthink(しょうもないミーハー根性…)だけど、そこはさすがに天下のボリショイのプリンシパル。グダーノフはDVDなどは出ていないようですが、ちゃんとネットで映像も画像も見ることができるのですheart04(以下、勝手にリンクを張ってしまいましたが‥もし万が一、すご~くお暇な場合のみご覧ください)

ほんとに、グダさまはお手本のような白い王子様。私の好みではもっと影があるミステリアスな王子のほうがいいんだけれど、それでも「ジゼル」のこの柔らかくて美しい着地、スピード感があってきれいなプリゼとか、ためいきものです。You tube の映像はちゃんと見どころだけ編集されていて、「眠れる森の美女」なんかは、あれっ?女性ヴァリエーションは?‥見事にカットされてるんですけど、それってあの偉大なるファン御用達DVD「ルジマトフ5大傑作選」のやり方と同じでございますねhappy01

中でもこの「シンデレラ」の砂糖菓子のように甘くてチャーミングな王子様はどうでしょう!階段の手すりを滑り降りてきたお茶目な登場の瞬間から、ご尊顔を拝した淑女方が次々失神してしまうほどの麗しさ。ボリショイの「シンデレラ」って見たことないけれど、こんなにコミカルで現代的だったんだ~。次のシーンは「靴探し」のところかな?舞踏会の夜に消えた謎の女性を探し疲れて、バタッと倒れちゃうひ弱な王子様に激萌えlovely それから、やっと探し求めていた人に巡り合えた最後のパ・ド・ドゥは「マラーホフの贈り物」でアレクサンドロワとフィーリンが踊ったものと同じ?

あの時は、「シンデレラ」という題名だけれど、シンデレラと王子にしてはずいぶん衣装が質素だなあと思っていました。でも、全体がこんな感じの作品ということがわかって改めて納得です。プロコフィエフの音楽に、こんな感じの衣装で、こういう踊りだと「ロミオとジュリエット」を連想してしまうけれど、悲劇のロミジュリと違って、最後は幸せに包まれて終わる「シンデレラ」、何だがこのYou tube の小さな画面を見ても、じ~んときてしまいます。「シンデレラ」っていい演目ですよね。

そこで、新国の「シンデレラ」に戻りますが、予定通り登場のヨハン・コボーの王子さま。こちらはあのグダさまの絶品白王子を見てしまうとちと厳しい‥‥。身長もスタイルも日本人並みで、見事に新国のほかの皆さんと同化されていますcoldsweats01 (ほんとに最初っから全く違和感なくとけこまれていますね~。)でも、だんだん見ていくうちにやっぱり違う。演技がとても自然で、何気ないしぐさにちゃんと心がこもっているのです。

見つめあううちに、ふとシンデレラの髪に手を触れようとして、我にかえってその手を引っ込める。そんな演技ともいえないような自然な、内からにじみ出る雰囲気がとても優しくて、素敵で、見ている私までぼーっとなりました。これも仙女の魔法だったのでしょうかね~?見ている人まで幸せの魔法がかけてもらえる「シンデレラ」‥‥やっぱりこんな年末にふさわしい素敵な演目だと思いました。

仕事も終わり、あとは主婦の年末の家事戦争‥‥その合間に、何とか新国の感想‥‥書きたいな~。

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2008年12月24日 (水)

新国立劇場「シンデレラ」 1

いきなりの主役降板ですごく腰が重かったけれど、一昨日(22日)新国立劇場に行ってきました。息子がもう冬休みでゴロゴロしていたので、「仕事忙しいから私の代わりに行かない?」と言ったら「男一人でバレエ見に行く奴なんていないから嫌だ」と言うので、「とんでもない!今は高校生ぐらいの男の子もいっぱい来てるんだから。みんないかにもバレエやってます風の、長身でイケメンの子ばっかりだけどね~note」半分冗談ですけど、そんなことを言ったら激しく拒否されてしまいました。小学生の頃は彼もバレエをやっていたし、親のおつきあいで結構公演も見に行っていたのにね。(いつも寝てばっかりでチケットの無駄だったけどangry )

新国立劇場に着いたら、赤じゅうたんの階段の上でサンタさんが迎えてくれました。お小姓の扮装をした人もいて、通りかかる人にガラスの靴を試すようすすめていました。子供でも履けそうになかったですけどsweat02親子連れがたくさん来ていて、写真を撮ったりして楽しそうな雰囲気shine中に入るとさらに大きなクリスマスツリーがあり、シンデレラや仙女の衣装も飾ってありました。しまった!カメラを持ってくればよかった。と思ったら、ケータイも充電器に乗せたまま忘れてきちゃったbearing 私ったら、一体どれだけテンション下がっていたのかしら‥‥‥。

ほんと、ゲストの公演でも値段は一緒だから文句は言えないんだけれど、レジニナが見られるのをあんなに楽しみにしていたのに‥‥やっぱりちゃんとゲストに見合う格の人を連れてきてほしいよね!(都さんとかさ~)レジニナの怪我も気になっていたけれど、そんなことをブツブツ心の中でつぶやきながら会場に入ると、「え~?代役の代役?」などという声が聞こえてきたので、会場に来て知った人もいたんですね。それでも、別に怒っているふうな人もなく、何だか周りは家族連れも多くて、別に主役は誰でもかまわないみたいな雰囲気だったので、逆に拍子抜けしてしまいました。

そうだよね~。レジニナを知っている人、今では少ないかもね。もしかしてすご~く楽しみにしていたのは私ぐらいかな??と思ったら、わざわざ遠いオランダからやって来て、初日の半分しか踊れなかったレジニナが気の毒になってしまいましたweep お怪我、大丈夫かしら。彼女ももう結構ベテランのはずなので、今後もう見る機会はないかもしれません。ほんと、またとない機会だったのに残念でした。永遠の幻のバレリーナになっちゃったかな?

公演自体はとてもよかったです。私は9年前(99年)に一度見ているのですが、その時は全体的にすすけたように暗い感じで、セットも衣装もそんなに特別きれいだとは思いませんでした。だけど、今回見てみると、何だか衣装がみんなとてもかわいいの。男性が演じるいじわるお姉さんたちの衣装まで、ピンクハウスみたいなフリフリでかわいかった。あはは‥‥昔こんな感じに柄ものばっかり、ふくら雀みたいにゴテゴテ重ね着してた人もいたな~(自分も一時…)なんて思ったりして。

それから仙女がおばあさんから変身するときも、まるで一瞬妖精の粉がキラキラ飛び散ったように思えるほど(キラキラの紙吹雪もあった)光が目に飛び込んできました。妖精たちも、2幕の貴族たちも、みんなラインストーンをたくさん使った衣装で、ライトを浴びで本当にキラキラ光っているのです。妖精たちのシーンは淡い色合いで、舞踏会のほうは濃い色だけれどどれもソフトなトーンで、その色使いがいかにもロイヤルバレエという感じ。それでみんなキラキラshine後ろに座っているだけの人の衣装まで、とてもかわいくて素敵でした。

新国立劇場はお子様用に15センチ厚ぐらいのクッションを貸してくれるのです。うちの娘も9年前はまだ小学生になったかならないかの頃だったので、親切だな~と思ったのですが、3階の最前列でそのクッションに座らせると、前につんのめって落ちちゃいそうでとても怖かったのを覚えています。友人と一緒のダブル子連れだったので、3階席が精一杯の贅沢でしたが、子連れはやっぱり大変で、気持ち的にバレエを楽しむというレベルではなかったのでしょう。

その時の主演は酒井はなさんと小嶋直也さんでした。あのとき初めて見た新国立劇場のプリマと、3階席から落っこちそうだった娘が、ことしは発表会で同じ舞台に立っていたなんて、何だか感無量です。

会場で、その発表会にも来て下さった、はなさんファンのmakoさんにばったりお会いしました。昔見たのとずいぶん印象が違うので、初演の時から衣装変わってる?と聞いたら、衣装は変わってないそうです。見る位置のせいなのか、心の余裕なのか、それともそのあとに何度も見たロイヤルバレエの古臭い映像の印象が強くなってしまっていたのか、この「シンデレラ」自体何かあまりいい印象ではなかったのです。振付けも、そのロイヤルのビデオを見ると、関連性のない動作をむやみにつなげているような、難易度は高いけど踊っててちっとも楽しくなさそうな、見た目もぎくしゃくしてて優雅でないような振付けで、アシュトン版は好きじゃないという固定観念ができてしまっていたのかな?

そのカクンカクンした変な振り付けを、さすがにこの作品をレパートリーに持って、この10年ほど繰り返し上演してきた「こなれ」もあるのでしょうか、皆さんとても自然になめらかに自分のものにしていました。妖精たちは人間じゃないので、あの奇妙なほどの細かいステップが刺激的で、人間離れしていることを表しているのだと思いました。実は最後のシーンでちょっと驚いたのですが、まるでぜんまい仕掛けの人形のように動いていた星の精(時の精)たちが、最後はこの物語の幸せな結末とともに、とても柔らかで優雅な動きに変わっていたのです。面白い、振り付けの妙とでもいうのでしょうか。

そんなわけで、ちょっとふてくされて会場に向かったのですが、今年最後のバレエ鑑賞を楽しむことができました。息子がかわりに行くと言わなくてよかったcoldsweats01 代役のさいとうさんも頑張っていたし、コボーさんも意外に?素敵でしたよheart01もう少し感想があるのですが、長くなったのでまたあとで。

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2008年12月21日 (日)

そんなあ~!

新国立劇場のサイトをみてびっくり。昨日の「シンデレラ」の初日に、舞台途中で主演のレジニナが怪我をして交代するというアクシデントがあったんですね。それで、その後の予定も全部、彼女が予定されていた日は代役のさいとう美帆さんが踊ることになったそうです。私も明日のソワレで、ビデオでしか見たことがないレジニナのシンデレラが見られるのをとても楽しみにしていたのでびっくりしました。

さいとう美帆さんって、私、見たことあったっけ?すぐには思い出せなかったけど‥‥確か9月の「チャリティガラ」で「薔薇の精」の少女を踊った人でしたね。あのときはキューピーちゃんみたいなコルサコフに目を奪われていてよくわかりませんでした。

ヨハン・コボーはそのままのようですが、私はもともとコジョカルを見たかったので、コボーさんはどうでもいいのよ。そう、最近ロイヤルの「ジゼル」のDVDを買いまして、コジョカルのかわいらしさを楽しんでいたのですが、その中のコボーのアルブレヒト、結構受けていました。王子な雰囲気‥‥というより、村人と同化したような1幕。(マラーホフやルジ様はとても村人には見えませんけどね。)それなりにジゼルに夢中でアブナイところもあるのですが、狂乱の場以降は世間知らずの金持ちの兄ちゃんの、「ああ、やべ~!俺、どうしたらいいんだ~」みたいな感じに見えてきて、演技が身近で面白いんです。どっちにしてもこちらの勝手な受け取り方ですけどね。

なので、明日の「シンデレラ」は何も期待するものがなくなって、純粋に舞台だけを見られそう(アシュトン版嫌いなんだけどsweat02)です。

それにしても、急遽降板というのは、見るほうにしてはちょっと意気消沈しますよね。それは、あんなに前からキャストが決まっていて、しかもバレエは肉体的にとてもハードな舞台芸術だから、こういうことがあるのもわかるのですけど。

去年、キエフバレエの「ライモンダ」を見に行って、会場に着いてからフィリピエワの降板を知って、その場にへなへなと座り込みたくなってしまいました。でも、あのとき急な代役にもかかわらず一生懸命踊ってくれた田北志のぶさんは、今でもとても印象に残っています。

ついこの間も、ボリショイの「ドン・キホーテ」の東京での最終公演で、ザハロワ&ウヴァーロフがオシポワ&ワシーリエフ組に交代するということがあったそうですね。「ドン・キ」でザハロワが踊る日はもう早くからチケットが完売していたと聞いています。ザハロワのファンはたくさんいるでしょうし、会場に行って知った人もいたでしょうから、本当にがっかりしたことでしょう。でも代役があの二人なら、まあザハロワファンだったら好みではないでしょうが、舞台の質としては十分充実したものになったことと思います。

でも、ちょっと知人の話を聞いて悲しく思ったのですが、ワシーリエフくんが飛んでも、オシポワちゃんが回っても、拍手が少なかったそうです。両隣りにいた人などは全く拍手をしなかったとか。代役の二人はザハロワを見にきたお客さんの前で踊るのだから、それは相当な重圧でしょう。いくら好みは人それぞれとはいえ、それはないよ~と思いませんか?

変更といえば‥‥レニングラード国立バレエでも、大幅な変更が発表されています。ステパノワがおめでた。おめでとう~!(あの二人の赤ちゃんって、顔が想像できない‥‥)それはいいけれど、ロマンチェンコワとコチュビラは「劇場の都合」って何それ?毎年来日して、ソリストとしていろんな舞台で活躍し、日本のファンも多い二人を、しかも「新春特別バレエ」ではキャスト発表されていたのに。

おまけに、私、ボルチェンコ兄妹だか姉弟だか知らないけれど、彼らの「白鳥の湖」をひそかに楽しみにしていたのです。それが、主役に予定されていて突然退団なんて、どういうこと?怪我とか、ほかに移ったとか、退団の詳細を発表してくれないと納得がいきません。何か劇場の体制も変わって、今までのレニ国とは違ってきたのはわかりますが、いいほうにだけ変わってほしいというのはこちらの勝手な願いなのかしら。

私がチケットを買っていた公演ではないけれど、「白鳥の湖」と「眠れる森の美女」にコリパエフくんが登場しました!え~誰それ?だけれど、去年の夏の「バレエ祭り」で、踊りはいまいちだったけれど、そのルックスのよさだけでちょっと印象に残った子で、まだ二十歳そこそこだと思います。今年1月の「バヤデルカ」ではガムザッティの脚を持って二人で持ち上げる役、「ドン・キホーテ」では闘牛士の中にいました。こんなに早く主役に抜擢されるなんて、私の目の付けどころはよかったのかしらheart01と思ったけれど、やっぱり、レニ国にはまだシヴァちゃんとかシャドルーヒンとかいるじゃないですか。

この間の東京バレエ団で、主要キャストはベテランばっか、若手公演は知らない人ばっかで中堅どころを大事にしないなんて!と思ったばかりなのに、レニ国もか。。。私は地方の公演は知らないので、シヴァコフやシャドルーヒンが今どの程度活躍しているのかわかりません。でも、東京公演ではとんとお目にかかれない。若手の抜擢より、彼らをという選択肢はなかったんですかね?

あ、私はここの芸術監督の大ファンですが、特にレニ国のファン(でも、とても親しみはありますheart01)ではないのに勝手なことばかり書いてすみません。でもこういう決定権が芸監にあるとすれば、この最近のさまざまなことであの方がレニ国ファンの不興を買っているのではないかと、ちょっと心配しています。ルジマトフはどう見てもダンサーとしてのみ深みを極めた人で、最初からそんなに器用な人には見えなかったのですが。団の運営とか、人事とか、演目の選択とか、振り付け、衣装、舞台美術、そんなものにすべて目を光らせることはどう見てもできなさそうsweat02‥‥な気が今でもしています。ルジ様、大丈夫?

というわけで、めちゃくちゃになってしまったのでやめますsweat01明日の「シンデレラ」、ちょっと残念だけれど、新たな気持ちで見に行こうと思います。

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2008年12月17日 (水)

東京バレエ団「ザ・カブキ」

食わず嫌いのベジャール作品でしたけど、見てきました。12月14日は赤穂浪士討ち入りの日。そう思うとなかなかいいものですね。「くるみ割り人形」みたいに毎年恒例にすればいいのに、なんちゃって。

「討ち入りペアシート」で半額‥「歌舞伎ファンの方にもぜひ」というメールの宣伝文句がちょっと受けてしまい、歌舞伎ファンの目にはどういうふうに映るのか興味がありました。でも、私はやっぱりバレエ好きなので、バレエを見る目で見てしまいました。あとで歌舞伎好きの友人にプログラムを見せたら、やっぱり舞台が簡素で、照明も暗そうだし、くま取りやカツラがないのが物足りないと言っていました。表現方法はともかく、まずあの歌舞伎のぱあっと明るい舞台や、華やかな衣装、派手なカツラやくま取りが、歌舞伎の持つ重要な要素なのかもしれませんね。歌舞伎ファンにはそれがまず「ザ・歌舞伎」なわけですから。

大体、私は「仮名手本忠臣蔵」を全部は見ていません。それも、あっちの場面、こっちの場面と細切れには見たことがあっても、その間何年もたっているのでつながりもわからないし、ほかの「元禄忠臣蔵」や「十二刻忠臣蔵」、「松浦の太鼓」などが頭の中でごちゃごちゃになっています。おまけに大河ドラマだの、お正月の12時間時代劇だのが入ってくると、大体の筋はわかるけど、エピソードなどはどこのものだったかとても思い出せません。

ちょうど10月に平成中村座で通しを上演していましたよね。あれを見ていれば頭の中の整理がついたのでしょうが、あれは確かAプロからDプロまであって、いろんな組み合わせで見せていたので、どれを選んだらいいかわからず、ちょっと敬遠してしまったのです。2回ぐらいで全部を網羅できるようにしてくれていたら見たのに‥‥なんて、もう遅いですね。

その長く膨大な忠臣蔵の世界を2時間で駆け抜けるバレエ。86年に初演されて以来、海外15ヵ国、通産160回以上の上演を重ねている東京バレエ団の代表的な演目だそうですが、私は今まで見たことがありませんでした。何かうさんくさそうで敬遠してたけど、見てしまえばそれなりに面白かったです。ちゃんとストーリーがわかったし、ほとんど忠実に物語を再現していました。

最初は「ザ・カブキ」なんて大仰なタイトルがいけすかなくて、「ザ・忠臣蔵」ぐらいにしておけばいいのになんて思っていたけれど、やっぱりそうじゃなかったですね。忠臣蔵のストーリーを借りてはいるけれど、表現するものは明らかにそこからはみ出しているのです。それは外国人から見た日本人のイメージかもしれないけれど、それを改めて日本人ダンサーによって見せられて、ドキッとしました。

一番の圧巻はやはり結末の集団自決シーンでしょう。歌舞伎では表現できてない「何か」があるとすればそこです。それは江戸時代ではなく、武士が滅びた後も(明治~戦時中)日本人の中に残っていた昇華された武士道のようなもの。戦時中に日本人はそこをいたずらに鼓舞され、間違った道に進んでしまいました。あれだけ集団ヒステリーのように国を挙げて破滅に突き進んだのも、人々の中にそういう精神が残っていたからだと思います。
(これは一般論ではなく、あくまでも私が感じただけのものです)

戦後、その部分は悪いものとしてまず進駐軍によって塗りつぶされ、その後の教育によっても長い間封印されてきました。特に被害を受けたアジアの国々からは今でも攻撃され続けているわけです。でも、全部あっけらかんと忘れてしまったような現代の日本人のDNAのどこかにも、武士道というか、忠誠心というか、そんな精神の記憶は残っているかもしれない。これは突然それを呼び起こされた若者たちの物語なのだと‥‥勝手に解釈sweat02しました。

最初の場面は現代の都会の大きなクラブか何か?たくさんのモニターにいろんな映像が映し出され、大音響の音楽でヒップホップのようなダンスに興じている若者もいれば、ただ無気力に群れる若者もいる。そのグループをまとめるリーダーが、ふとそこに一振りの日本刀を見つける。その刀に手を触れた瞬間、一瞬にして若者たちの頭脳に電撃が走り、さまざまな映像が流されていたモニターは、全部日の丸に変わっていた。何この演出?すごっ。右翼チック。

それはまるで眠っていたDNAのスイッチが入れられたように、現代の若者たちは室町時代か江戸時代か?架空の時代にタイムスリップしていったのでした。あとは忠臣蔵のストーリーが展開していきます。

兜改めで高師直が塩冶判官の奥方の顔世御前を見染め、言い寄るが相手にされない。怒った師直ははらいせに塩冶判官にねちねちと意地悪をする。判官はこらえるが、我慢しきれなくなり刃傷に及ぶ。そして切腹を命じられる。Imgp6643

前半で美しかったのはこの切腹シーン。どう見ても初日がファーストキャストだよね。首藤さんの判官、ちょっと見たかったかな。でも、東京バレエ団って何年たっても同じ人ばかり出ていて、何だかそんなに見ていない私でもいいかげん違う人も見たいって思うくらい!‥‥一体どうしてなんでしょうね。(だから初日は避けたsmile)もし、この中に去年「カルメン」で一目惚れ?した大嶋さんでもいれば、今頃東京バレエ団通いをして、オペラグラスで大嶋さんを追っかけていたかもしれませんが‥‥そういう実力のある中堅どころの人が出番がなくて外に出て行ってしまう。そういうバレエ団ってちょっと淋しいと思います。

話がそれましたが…。顔世御前が能面のように無表情のまま、白装束で桜の枝を持ってすり足で通り過ぎるだけというのが、究極の悲しみの表現のようでちょっとじ~んときました。あとで登場する時はこの桜は散って、枯れ枝だけをずっと持ち続けているのがまた悲しかった。

判官は切腹の作法通り腹に刀を突き立てます。その瞬間、若者のリーダー(後藤晴雄)がかけつけ、なにやら遺言を耳うちされます。そして判官は刀を引きまわして果て(ここ、かっこよかった!)その刀を譲り受けた瞬間、若者は由良之助となります。

短い中におかる、勘平、そしてそれを見つめる現代のカップル、定九郎の話まで盛り込んであって(イノシシも出た!)びっくり。事件は家臣たちの人生も変えていく。そんな中で若者たちが集まり、盟約を結ぶ。この血判状を押すシーンも美しくて印象にのこる場面でした。巻紙を舞台端からぱーっと転がして広げ、そこに並んだ若者たちがウエーブのように血判を押していく‥‥こういう印象的なシーンをつくるアイデアがすごいなと思いました。

印象的なシーンといえば、あの突如現れた赤フン軍団は何だったんでしょうね~。途中ちょっと眠くなったりしたけれど、あれでとたんに目が覚めました。幕前にずらっと並んだフンドシ一丁の青年たち。あの~、一体何考えてるの?(壮観だけど!)それが、お手手つないで端からぐるぐる巻きにひと塊りになっていくのsweat01ボリショイのイケメン軍団を見たばかりの目には、あの赤フン軍団はかなりイタかったsweat02そりゃ、ふだん鍛えているダンサーたちですから、一般の人よりはまあ許容範囲ですけど。何がやりたかったんでしょうね?

歌舞伎では意外ですが素肌を見せることはそんなにないと思います。ばっと肌脱ぎになっても、下には彫りものなどを描いた「着肉」を着ているし、褌姿も奴(やっこ)とかが尻をからげたときに見える程度で、上に何も着てない素っ裸の褌姿って、私の乏しい鑑賞歴だと確か「椿説弓張月」の白縫姫にいたぶられる武藤太ぐらい。雪の中、体に釘を打たれ白い雪に赤い血がたら~coldsweats02三島ワールドですね。

そういえばこの作品にも白地に赤い血というのがたくさん出てきます。ベジャールは三島由紀夫を題材にした「M」という作品も残しているから、単にサムライ、ハラキリというイメージだけじゃなく、三島の世界に共鳴したところがかなりあるんでしょうね。薔薇族?風のフンドシ軍団からそんなことを連想してしまいました。Imgp6644

最後、討ち入りの場面はそれなりに圧巻でした。こんなに男性ダンサーばかりたくさん出演するバレエも珍しいのでは?日本にもこんなにたくさん、バレエやる男がいたんだ~。みたいな変なところで感動。師直の首を打ちとると、どこからともなく面をつけた判官の亡霊が現れ、首を受け取り無言で去っていく。ラストシーンは火事装束のだんだら羽織を脱いだ白装束で、朝日の登る中、47人はそろって切腹して果てる。。。とても早い展開でした。

踊りの面では最後の後藤さんのソロがとてもよかった。やはり由良之助役の後藤さんが踊りは一番よかったです。クラッシック中心の振り付けだったせいかな?ほかは、変な(将軍とか師直とか)ロボットみたいな動きでわけわからん。おかる、勘平も足がフレックスになった変な踊りだったし。それならそれで全部通すのならわかるけど、ときどきクラシックバレエの動きが出てきたりして‥‥。

女性の衣装も、動きやすいように帯がなく、うちかけ状になっていて、着物の裾を黒子が広げたり、衣装を脱いでレオタード姿で踊りだしたり、また黒子が衣装を着せたり、いろんな工夫がされていました。女性はポワントをはいていました。でもやっぱり、着物の下のレオタード姿は何も着ていないように見えてしまって、かなり違和感がありました。

初めて見たけれど、舞台としてはそれなりに面白かったところもありました。でも、やっぱりこの趣味ってどうよ、みたいな‥‥。外国では受けるかもしれないけれど、あくまでもベジャールの見た「ザ・ニッポン」の世界で、これを日本人のダンサーたちが演じ、日本人の私が見るにはちょっとsweat02の世界だったかも。

そして、私の一番の興味だった、歌舞伎ファンが見たらどう思うだろうということについては‥‥‥多分面食らったでしょうね!

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2008年12月13日 (土)

ボリショイの「明るい小川」

「ドン・キホーテ」「白鳥の湖」と見てきたボリショイの、三つ目の演目は「明るい小川」です。今まで聞いたこともありませんでしたが、これはソヴィエト時代に新しいバレエとして創作されたもので、プログラムによると何と初演は「レニングラード・マールイ劇場」と書いてあります。それってもしかしていまのレニ国?

半年後にボリショイでも上演されたけれど、すぐに共産党機関紙によって批判され、その後上演されなくなってしまいます。その「明るい小川」が2003年、現ボリショイバレエの芸術監督ラトマンスキーによって67年ぶりに再演され、現在のボリショイのレパートリーになったということです。開演前にラトマンスキー氏のプレ・トークがあったそうですが、残念ながら知らなかったので逃してしまいました。

幕が開くと、内側の白い幕に何やらロシア文字が書いてあります。これだけでつい引きそうになるかなり異様な雰囲気。鎌とハンマー?何かなと思ったら、旧ソ連の国章でした。周りに書かれていたのは「コルホーズの女性は偉大な力だ」などといういかにもなスローガンのほか、「バレエのまやかし」などと、かつて批判を受けた共産党機関紙の見出しなどが書かれていたそうですよ。

舞台は一面の黄金色。金色に実った麦畑(収穫のあとの麦束?)でしょうか?よく見ると野菜や果物も描かれています。序曲とともにミニチュアの飛行機が飛んだり、汽車が走っていったり。いきなり普通のバレエとは違った光景。プレ・トークでラトマンスキーさんは「登場するのは妖精や王子などではなく、皆さんと同じ普通の人間ですから、親しみを感じてもらえると思います。」というようなことをおっしゃっていたそうですが、バレエファンには飛行機や野菜より妖精のほうが身近なんですけど~coldsweats01

この登場人物いっぱいのごたごたストーリーをごく簡単に書きとめておくにはどうすればいいか?難しいですね。でも、まず中心になるのはこのコルホーズ「明るい小川」村の住人で、農業技師のピョートル(イワン・ワシーリエフ)とその妻ジーナ(アナスタシア・ゴリャーチェワ)の二人です。収穫を終えた村に、都会から収穫祭のための芸術慰問団(といっても3人だけなんだけどsweat02)がやってきます。ピョートルとジーナは他の村の人々と共に駅に出迎えにやってきたのです。

やがて汽車が着き、降りてきたのがバレリーナ(ナターリヤ・オシポワ)とそのパートナーのバレエダンサー(セルゲイ・フィーリン)、そして踊りの伴奏をするアコーディオン奏者(岩田守弘)の3人。ふと見るとそのバレリーナは何とジーナのバレエ学校時代の同級生でした。ジーナはピョートルと結婚してこの村で働いているけれど、もとはモスクワでバレエを学んでいたのです。そのことをピョートルは全く知りません。

収穫を祝う前夜祭、彼らの歓迎もかねて村人たちが踊り、バレリーナたちも踊りを披露します。このとき、何とピョートルはバレリーナにボーっとなり、さっそくナンパしている!ちょっとむかつくジーナ。一方、なぜかおかしな別荘住人という初老の夫婦がいるのだけれど(なぜ共産主義の農場にこんな変なプチ・ブル?っぽいキャラがいるのかわからない)その夫がバレリーナを、若づくりの妻がパートナーのダンサーを見染め、それぞれこっそりデートに誘ったりしている。

ジーナとバレリーナたちは一計を案じ、ジーナは仮面をつけてバレリーナになりすまし、バレリーナは男装してパートナーのダンサーになり、そのパートナーは何と女装してバレリーナになって浮ついた奴らを懲らしめてやろうという、つまりはドタバタコメディなんですね。

片や、アコーディオン奏者は、花束を持って出迎えてくれたかわいらしい女学生のガーリャ(クセーニャ・プチョールキナ)に本気で迫っています。ガーリャが不安そうに打ち明けると、トラクター運転手が犬の着ぐるみを着て一緒に行くことになって一件落着。

夜になり密会の場でそれぞれのコミカルなやり取りが繰り広げられ、浮気な人々がさんざんからかわれたあとに、収穫祭の賑やかな踊りが始まります。バレリーナと思って自分の妻を懸命に口説いていたピョートルはジーナに平謝りでハッピーエンド。まあ、かいつまんでいうとそんな他愛のないストーリーです。

だけど、これだけたくさんの登場人物の個性がぶつかり合い、それぞれが生き生きと輝いていて、まさに人間賛歌。それはみんな均一の労働力として歯車のように扱われていた共産主義への、明るく楽しい風刺劇だったのかもしれません。

ジーナ役のゴリャーチェワは小柄でかわいらしい人。「白鳥の湖」でもパ・ド・トロワを踊ったり、ナポリの王女役で鳴らないタンバリン持って踊っていて目につきました。本が好きでおとなしく控え目なジーナ役がとてもよく似合っています。

一方バレリーナは、復活初演のときはアレクサンドロワだったそうですが、そのアレクサンドロワのキャラクターそのものの元気で活発な役柄。オシポワもキャラとしてはぴったりですが、あとで男装したときは、ああアレクサンドロワの男装の麗人はかっこよかっただろうな~と思ってしまいました。男性のパを踊るので、もちろんオシポワはばっちりでしたが、迫力という面ではやっぱりアレクサンドロワのほうがはまっていたのだろうなあ。

でも、ジーナとバレリーナの仲良し二人がまるで双子のように同じパを並んで踊るところがたくさんあるんですよ。ゴリャーチェワとオシポワは体型も似ているし、ほんとにそこがぴったり息が合って一つの見せ場をつくっていました。おみごと!でした。アレクサンドロワだと対抗できる人がいないかもsweat02

ピョートル役のワシーリエフくんはおとぼけ役もうまくてかわいいheart04相変わらず明るい青春オーラ満開です。バレリーナと思って自分の妻を誘惑するなんて、なんておバカな役。情熱的に踊ったあとは熱いキスでおやおやsmile 帰りがけに話していた人の話(立ち聞き)では、前日のメルクリエフはここでキスなんかしていなかった‥とsweat01でも、思いがかなったあとに3回ぐらいガッツポーズを繰り返していたのが何ともかわいかった。私の好きなタイプとは違うけど、この子好きだわ~(あくまでも応援モードで。うちの息子と二つしか変わらないんだものsweat0119歳だって…)

今回、ゲスト出演だったセルゲイ・フィーリンは、再演当初からの役。1幕ではバレリーナと素敵なパ・ド・ドゥを踊りますが、2幕では何とポワントを履いて、自転車の後ろに乗ったり、グランディーバ顔負けのコミカルな踊りを展開したりします。最初、回転の時にはドゥミで回っていたので、やっぱり本職?のグランディーバには勝てないかな?と思っていたら、最後の何回かは見事ポワントで立って回っていました。ちゃんと甲も出ていました。どちらかというとカマっ気はなく、男っぽいフィーリンのバレリーナ姿は逆の意味でおかしさ満点でしたね~。

そして岩田さん。前日テレビで放映された、その番組中で猛練習をしていた「アコーディオン奏者」の踊り。とび職のようなニッカーボッカー(というのか?)パンツで、ちょび髭‥‥テカテカリーゼント(というのか?)はまるで一昔前のヤンキーだわ‥‥sweat02それがコミカルだけれど真剣にねっちりと迫ってくるのが結構コワい。だけど肝心なところになると、着ぐるみの犬に追いかけられてびっくりして木に登る‥‥じゃなくてベンチに飛び乗る!そんな姿、かなり笑わせてもらいました。踊りは本当に音楽にコンマ1秒までピタッと吸いつくようで、あの難しいショスタコーヴィチのキラキラした音楽が完全に身体の中に叩き込まれているよう。超一流のアコーディオン奏者!ブラボーでした。

笑っていたらあっという間に終わってしまった楽しい舞台でした。あれだけどうでもいいストーリーでドタバタ劇が展開しているのに、一人一人のきっちりとした高い技術の上に成り立っているから、ちっとも厭味がなく下品にもならず、素直に楽しめるいい演目でした。だけどこれ、また見る機会ってあるのかな?ボリショイは3年に1回ぐらいは来るだろうけれど、まだまだ上演してほしいレパートリーはたくさんありますよね。どんなものかわからなかったので迷っていたけれど、やっぱり見てよかった。本当にもう多分日本では見られないとても貴重な機会、この演目、このキャスト、まさに一期一会だったと思います。

今回のボリショイ公演、本当に楽しかった~lovely 一昨年、マリインスキーも「海賊」「白鳥の湖」と見ましたが、同じロシアバレエでもマリインスキーの優雅さに比べ、ボリショイはエネルギッシュというのがよくわかりました。男性のイケメン率高し。一人一人の技術水準もすごいし、第一マリインスキーのようなトンデモプリマ(あの子、プリンシパルに昇格したそうですがsweat02)は一人もいませんでした。マリインスキーのほうがどちらかというと親しみがあったけれど、もしかしたら私、このボリショイのパワー、大好きかも!グダーノフ王子という素敵な王子も発見できたしlovelyとにかくよかったです。‥‥もう十分、満足でした。

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2008年12月12日 (金)

ボリショイ「白鳥の湖」 2

一昨日、「明るい小川」も見てきました。ソヴィエト時代のコルホーズが舞台と聞いてかなりひいていたのだけれど、これも楽しかった~。ワシーリエフくんがやっぱりかわいかったし、既に退団し、今回ゲストとしてこの演目だけに出演したセルゲイ・フィーリンも最高!フィーリンのコミカルなバレリーナ姿、しかと脳裏に刻みました。まだまだ踊りもいけるのに、引退?なんて本当に残念です。芸術監督に就任したダンチェンコでも踊ってくれるといいんだけれど。

そして、テレビで練習風景を紹介していた岩田さんの「アコーデオン奏者」。ただすごい身体能力にまかせて華やかに飛ぶ、回るというだけではなくて、とても緻密な表現力。ばねだけではない、芯のとおった柔軟性ととぎれのない粘着性(?)のある踊り。ショスタコーヴィチの賑やかで忙しい曲にぴたっと合った音楽性の素晴らしさにも驚かされました。そんな見る者を惹きつける岩田さんの踊りは、まさにボリショイのスタイルそのもののような気がします。

今まで私はあまり見る機会がなかったボリショイバレエですが、どの演目も最高に楽しめました。なぜか全部セカンドキャストで見ましたが(だからザハロワやアレクサンドロワは見れなかった。。)それもまた私的にはよい選択だったように思います。これでボリショイ鑑賞は終わり。その「明るい小川」の感想(何か、楽しくてあっという間で、忘れるのも早そうなのですが‥)の前に、まずは前回の続きのグリゴローヴィチ版「白鳥の湖」の内容の覚書です。

≪1幕2場≫
1場から2場へのつなぎはとてもスムーズで、そのまま続いていきます。大広間での王子の成人の祝宴の後半から、王子はなぜか浮かない表情になります。そして上から不気味な垂れ幕が下りてきて‥‥この暗雲のような垂れ幕は何度か登場するのですが、王子の心の中の世界と現実の世界を分けているような使われ方をしています。

いつの間にか背後から影のようにロットバルトが現れ、不安な面持ちの王子の後ろにぴったりと寄り添うように踊ります。歌舞伎の「連理引き」みたいに、王子に魔法をかけて操るような動作で、いつしか王子は見知らぬ湖のほとりに誘い出されていたのでした。中央の垂れ幕は紗幕になり、その向こうには白鳥たちを従えた美しい姫が‥‥‥。

エカテリーナ・クリサノワのオデットは、ちょっと幼顔で淋しげな感じのオデット。踊りはいいのだけれど華がないような。終始悲しい表情で、王子との愛が感じられない。王子のドミトリー・グダーノフはかなりの演技派のように思えるけれど、熱い思いは伝わらないみたい。もしかしたらロットバルトが見せた幻影だったのかもしれないと思うぐらい、ずっと伏し目がちで、きれいだけれど、表現に物足りなさを感じてしまいました。

≪2幕1場≫
1幕と同じ城の大広間。やっぱり同じような冒険ファンタジーもののコスプレみたいな衣装の宮廷人たち。王妃が登場し、各国の姫君たちが民族舞踊団を従えて入ってきます。そして道化も踊る~。岩田さんの道化は相変わらずキレキレで小気味よくて最高!だけど、王子が不在のまま民族舞踊が始まってしまいます。

民族舞踊は花嫁候補が一緒に踊ります。これはある意味、ここで唐突に宴会の余興のように踊られるよりは現実味があるかもしれません。だけど、花嫁候補の姫が真ん中で踊るので、どれもみな女性はポワントでした。そのために民族舞踊特有の味はちょっと薄れてしまっています。衣装も、真ん中の花嫁候補は白いドレスに1幕の女性たちと同じような金・銀の模様が入っていますが、これも民族舞踊らしさがあまりない感じ。チャルダッシュ、ルースカヤ、スペイン、ナポリ、マズルカと続きますが、やっぱりブーツやヒールの靴でそれっぽく踊るほうが楽しいかな~。

王子が登場すると花嫁選びが始まります。でも、どの姫も王子の目には入りません。そこへロットバルトがオディールを連れて現れます。このあとまた(もう既に記憶が怪しいのだけれど)急に例の怪しげな垂れ幕が、覆いかぶさる暗雲のように下りてきて時間が止まり、一人になった王子をロットバルトがまた操るように踊ります。この場面はブルメイステル版の4幕に使われている悲愴な音楽で、黒鳥たちが王子のまわりを不気味に飛び回ります。何だか王子の運命を暗示しているような異様な盛り上がり方を見せ、これで王子は黒も白もわからないような状態になってしまったようです。

垂れ幕が上がり、何事もなかったように元の城の広間では王妃や廷臣たちの前で、華やかにオディールと王子のグラン・パ・ド・ドゥが繰り広げられます。アダージョとコーダはマリインスキーなどのオーソドックスなものと同じだけれど、それぞれのヴァリエーションはブルメイステル版で使われている曲が踊られます。

先に書いたように、グダーノフの王子は天下一品lovelyどちらかというと上品でおとなしめだけれど、端正で、高貴で、申し分のない王子様ぶりです。足音がしないのはもちろん、指の先、足の先まで完璧にノーブルshine

一方クリサノワのオディールは‥何か弱いんだよね。オデットの時と違って笑顔だけれど、ずっと同じ表情。それで王子を誘惑する気あるの?媚のある動きもコケティッシュな表情もなく、かなりのあっさりめ。というか何もしてないでしょっ!必殺仕事人オディールではなく、これもロットバルトによって映し出された幻影?なのかしら。

ロットバルトはずっと座ったまま。もうあれだけ強く魔法をかけておいたから安心して見てられるって?すでにこってり魔法のフルコースで前後不覚状態の王子は、もう騙されてオデットと間違えているのでも、オディールの魅力に負けたのでもなく、最初からもうこうなる運命と定まっているような感じでした。

普通は翻弄される王子の心の動きや、オディールのねちっこい手練手管が見所だったりするのだけれど、そういうやりとりは感じられずに淡々と進んでいってしまいました。せっかくの山場がちょっともったいない気もしますが、ロットバルトが王子を影のように操っているという設定にしてしまうと、こうなってしまうのでしょう。

クリサノワはバランス系が得意なようで、アダージョのとき何度か、王子がすっと手を放してもバランスを保っていました。最後も、王子が腰にまわした手を放してから何秒も静止していました。技術的には十分だけれど、やっぱり表現がオデットもオディールもあっさり。もっと派手な演技をする人もいて、そういうのが特に好きというわけでもないけれど、あまりにも何にもなさ過ぎだったような気がします。コーダのグランフェッテはオディールの魔力を示すように、4泊目?で脚を真横に伸ばし、手は上にアロンジェしてすごく華やか。ダブルも入ってたよね。

踊りが終わり、有頂天になった王子は、この人こそ花嫁にしたい人ですと王妃に告げる。ところが、誓いのポーズをしたとたんにロットバルトとオディールは正体を現します。とんでもないことをしてしまったと嘆く王子。ここで王子はジュテしたり回ったりするんだけれど、こんなところで踊らなくてもよくない?普通はここで幕ですが、この版は真ん中の垂れ幕をうまく使って、途切れなく次の場面に続いていきます。

≪2幕2場≫
この場面転換の早さが特徴の一つ。4幕仕立てのブルメイステル版などは休憩が3回もあって疲れてしまいますから、スピーディーな展開もいいものです。またいろんな踊りに見入っているとあっという間。

マリインスキーなどでは白鳥たちの中に黒いのが混じっていて、その意味がよくわからないのだけれど、ここでは黒い鳥はロットバルトの手下のようです。失意のオデットが戻ってきて、ロットバルトも登場して執拗に攻め立てるのは同じですが、王子が登場しても何だか情けないの。ロットバルトとの戦いに力尽きた王子は、降りてきた中央の垂れ幕によってオデットと引き裂かれてしまいます。紗幕の向こうに映し出されたロットバルトとオデット。オデットはロットバルトの足元にうずくまり、ついに動かなくなってしまいます。紗幕に遮られた王子はどうすることもできずに泣き崩れる‥‥だったよね?

確かヌレエフ版では王子も死んだ?と思われ、ロットバルトは本懐を遂げ?まだ少し納得(できないけど!)することもできるけど、王子が生き残るラストってどう解釈したらいいんだろう?ロットバルトは温室の中でまっすぐ育ってきた王子に、世の中そんなに甘くないということを教えたのか??これから王として国を治めていくために、苦しい試練を課したのか?

マリインスキーのように、王子が正義の味方のように現れて、ロットバルトと戦ってあっという間に翼をもぎとり、悪は滅びてめでたしめでたしではいかにもできすぎだけれど、これは何か後味が悪いなあ‥‥と思っていました。でも、その後王子は一時の感情に溺れずに冷静な判断で、立派に国を治めていきました‥‥‥。そうでも考えないと王子かわいそすぎcrying そう、ここでの主役ははっきり王子で、王子の成長物語だったんですね。オデットとオディールはロットバルトが見せた幻影だったのかもしれません。意外なラストに考えさせられましたが、後から思い出すとグリゴローヴィチ版もなかなか面白いなと思いました。

まとめ。
1、王子が踊る場面が多い。1幕のパ・ド・トロワも王子が踊る。ロットバルトとも踊る。素敵な王子をたくさん見たい人にはうれしいheart04

2、ロットバルトは影のように王子につきまとい、魔法をかけて王子を操る存在。だからそのためにオデットと出会ったときの心の通い合いや、王子がオディールの魅力に陥ちていくところなどの必然性がなくて、ちょっと普通とは見どころが違う。(クリサノワがあっさりしすぎていたせい?)

3、花嫁候補は民族舞踊をひきつれた各国の姫君で(花嫁候補がみんなお揃いの衣装のところが多いけど、あれはどう考えても変だよね~)それぞれの民族舞踊の真ん中で踊る。出席者の中に姫君の両親がいて、王子に選ばれなかった姫たちはそれぞれの両親のところに行って泣くというのが芸が細かい。(でも親たちの衣装は同じ。ここまでは手が回らなかったのか?)

などというのが気付いたところです。またぜひ見てみたいと思いました。

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2008年12月10日 (水)

ボリショイ「白鳥の湖」 1

あ~、調子に乗って書いていたら、「保存」の段階で突然フリーズして消えてしまった!久々にがっくりのアクシデント。ショックsweat02もう二度と書けないよ~。でも、記録なので‥と気を取り直して。

ボリショイには今まであまり縁がなかったので、ボリショイの「白鳥の湖」は初めてでした。DVDも何種類か出ているようだけれど、ミハリチェンコとかベスメルトノワとか、見たこともない古い時代(そんなに古くはない?)のもので、ちょっと手が出なかったこともあります。マリインスキーのほうは2006年のロパートキナのDVDが出ているし、ゼレンスキー&マハリナの映像も、91年でちょっと古いけれど、まだ二人とも現役で踊っている人ですからね。もう引退した、全く知らない人の映像はあまり買う気がしなくて。でも、このグリゴローヴィチ版は前からのものだったんですね。

初めて見たボリショイの「白鳥の湖」。バレエの代表的な演目だし、ボリショイはマリインスキーと並ぶロシア2大バレエ団だから、見る前からオーソドックスなものと心の中で勝手に決めつけていたのですが、そんな目で見ていたらあれ?かなり違う!

「ドン・キホーテ」と違って、舞台美術も衣装もちょっと凝っていたし、構成もいろいろ工夫があって面白いじゃない~と思って見ていました。それが‥‥ラストでまさかのbad end!あれには愕然としてしまいました。同じ悲劇でも、二人は天国で結ばれたとか、二人の愛の力で悪魔は滅び、白鳥の娘たちは元の姿に戻ることができたとか、そんな生易しい悲劇じゃなく、オデットへの愛は通じず、ロットバルトとの戦いに力尽き、オデットは命を落とし、王子一人が残される‥‥そんな救いのないやりきれないラストでした。

DVDでしか見たことがないけれど、パリ・オペラ座のヌレエフ版もやっぱりこんなような釈然としない終わり方だったよね。オデットはロットバルトに連れ去られ、「ヤマトタケル」の宙乗りみたいに飛んで行ってしまう。あれ以上の虚しさでした。どうして~?

もともとのグリゴローヴィチ版はハッピーエンドだったけれど、2001年に改訂されて今のようになったのだとか。原点はやっぱり悲劇だそうで、ソビエト時代は悲劇はけしからんというのでハッピーエンドになっていたそうです。わざわざ戻した理由は何なんだろう‥‥まさかの結末にびっくりした人もいたと思います。

私が見たのは日曜マチネのクリサノワ&グダーノフです。動機が不純なのだけれど、去年見たときグダーノフの横顔がちょっとルジ様似だったのでbleah (よく見たら似ているのは鼻の形だけだった)だから、そんなに期待はしていなかったのですが、これが大当たり!私、グダーノフがこんなにいいとは思わなかった。私はもともと近眼ですが、最近は老眼が入ってプラスマイナスで?少しよくなっているのです。メガネ屋さんに「これじゃ強すぎて頭痛くなるでしょう?」と言われても、「舞台見るからこれでいいんです!」と言って通していたのだけれど、メガネのせいもある?久々にこめかみがキンキン痛くなるほど凝視してしまいました。え?もちろんグダーノフ王子をですよlovely

≪1幕1場≫
序曲の間にプロローグはなく、幕が開くといきなり重厚なお城の中の大広間のようなところ。石造りを表しているのか、横縞の模様(織物のことはよくわからないけれど、荒い織地の麻織物みたいな)の描かれた幕が下がり、全体的にグレーと金銀茶黒の色のみを使ったちよっと暗めの城の内部を表しています。そこに集う男女はまるで冒険ファンタジーもののコスプレみたいな(?)衣装。ごくオーソドックスだった「ドン・キ」に比べて、皆デザインが統一されていて、かなり凝っています。ワルツを踊る女性はオーガンジーのスカートの上部に金銀の葉っぱ?をちらしたような抽象的な模様のある衣装。男性は金銀を基調にして前が黒のV字のラインになった提灯袖の‥‥私の描写では余計わからなくなっちゃう?

王子登場!何と下手奥から斜めに居並ぶ宮廷人の中を大きく軽いグランジュテで登場です。さわやか~heart04こんな素敵な王子登場ってあったかしら?金銀黒の軍団の中で、一人だけ上から下まで真っ白な王子がよく映えます。この版では1幕でも王子はよく踊る。グダーノフは身長もそんなにないし、顔だってちょっとオジサン入ってて美形とは言い難いのだけれど、(グダちゃんって名前もさえないし‥‥)ひとたび踊りだすと、もう周囲1メートルぐらいが光り輝いて見えるくらい「超」がつくダンスール・ノーブルでした。

フワッと浮かび上がるような軽いジャンプ。足音のほとんどしないきれいな着地。動きの軌跡が1本す~っとなめらかに描かれていてるような丁寧でぶれのない踊り。ポーズの一つ一つがうっとりするほど美しいし、shineジャンプの時も放物線の頂点でさらに手足が伸びて、一瞬止まったかのよう。すばらしい~。見ながら何度も「美しい~shine」とつぶやいてしまいました。

ワルツの真ん中で踊っていた4組の男女の、その4人の男性はみな背が高くてかなりのハンサム揃いでした。あとでスペインを踊った4人と同じだと思いますが、思わず顔ばかり見てしまいました。でも、こんなイケメン軍団の中でも王子はひときわ際立っているのです。

王妃が登場し、王子に剣を与えます。王子が剣にキスをするのは前にもどこかで見たような‥‥成人して騎士の仲間に入ったということなのでしょうか。弓をプレゼントされて子供っぽく喜ぶよりは現実的な感じがします。剣とともに首飾りも。これは王位を継承するという責任が与えられたという意味ですね。

渡された配役表にパ・ド・トロワの男性の名前が載ってないなと思ったら、何と王子が踊りました。マリインスキー(キーロフ)の映像のゼレンスキー王子も、自らトロワを踊りますが、これはもともとゼレンスキーがトロワにキャスティングされていて、そのときの王子役(ルジ様だったという話も?)が降板したので、たまたま両方踊ったと聞いていますが、このグリゴローヴィチ版は最初から王子が踊ることになっているようです。

(話がずれちゃうけれど、マリインスキーの「白鳥の湖」の映像。このとき降板せず、ルジマトフ&マハリナの映像が残されていたらどんなによかっただろうcryingって、ゼレちゃんには悪いけど、ちょっとルジマトフファンとしては考えてしまいます。これは現在「華麗なるバレエ」という小学館のDVD付ブックの初回として発売されています。ビデオで持ってる映像ばかりだけれど、全10巻のシリーズもさっそく予約してしまいましたhappy01

パ・ド・トロワは普通筋とは関係なく、「ジゼル」のペザントみたいに1幕の見せ場になっているけれど、これを王子が踊るのも何となくつながりとしてはいいような。それもお城の中で王妃様や廷臣たちの見守る中で、「王子の友人」という女性二人と踊ります。王子の何一つ屈託のないさわやかな笑顔。この王子は何の悩みもなく、王位継承者として立派に育てられてきたのでしょう。ようやく成人し、明日はいよいよ花嫁選びの日という、晴れがましい王子の姿でした。

王妃が出ていってもしばらく楽しげな踊りが続きますが、突然王子は何かに取りつかれたような憂鬱な表情になります。あんなに笑顔で踊っていたのに、この辺がちょっと唐突なんだけれど。浮かない顔の王子を元気づけるような道化の踊り。この道化が岩田守弘さん。ちょうど昨日のNHKの「プロフェッショナル」に登場していました。

あれを見ると全く謙虚な努力の人なんですね。でも舞台では本当に見る者を楽しませてくれる「プロフェッショナル」そのものでした。超高速回転、高くて軽いジャンプ。やわらかい着地。38歳とはとても思えない身体のキレはあのボリショイの中でもピカ一。動きの一つ一つがきっちり統制がとれていて、決めのポーズの指先の反り具合まで完璧です!超一流というのはこういうことを言うんだな~とただただ感動していたけれど、テレビでは不安や悔しさをひたすら努力で克服する、壮絶な舞台裏を映していました。岩田さんは舞台に立つとその人の丸裸の中身が全部見えてしまうと言っています。だから日々自分を磨いて磨いて、そうやって世界一の舞台に立っている岩田さんに、改めて感動してしまいました。

何か、久々に簡潔に書けたと思っていたのに、一度消えてしまったらどんどん尾ひれがついてしまって、長くなったので一旦終了します。

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2008年12月 7日 (日)

ボリショイ「ドン・キホーテ」

ボリショイの「ドン・キホーテ」を見てきました。

娘が小さいころ、娘のバレエ教室の発表会で「ドン・キホーテ」をやることになり、私と、大人バレエをやっていた友人とで1幕の後ろに立っているだけの役で出演しました。そのとき参考に見て研究していたのがテレビ放送を録画したボリショイの「ドン・キ」のビデオだったのです。ステパネンコのキトリ、ウヴァーロフのバジル。今その友達とは付き合いがないので、そのビデオ、もう見られません。あれはNHKだったのかな?ステパネンコの「ドン・キ」なんて、DVD出ていませんよね?あのときはバックで演技している人ばかり見ていて、肝心のステパネンコもウヴァーロフもよく見ていなかったのでsweat01できることならもう一度あのビデオが見たい~!

そんなわけで、ボリショイの「ドン・キホーテ」は結構思い入れがありました。ボリショイの生の舞台は昔、ニーナの「眠れる森の美女」で一度だけ見ましたが、バレエ初心者の頃はとても見方が偏っていて、オペラグラスの中のニーナしか見ていなくて、残念ながら他はほとんど覚えていないのです。だから今回は初めて見るようなものでした。

私が見たのは二日目のナターリヤ・オシポワとイワン・ワシーリエフ。去年のマリインスキー&ボリショイガラのプログラムには「オシーポワ」と書いてあり、今年のプログラムには「オーシポワ」と書いてあります!一体どっちなんじゃ!去年のガラのAプロ、このペアが踊った「パリの炎」は驚異的なスゴ技でとても盛り上がりましたよね~。とにかく二人ともジャンプが高い!たまたま娘が発表会で「パリの炎」を踊ったので、NHKで放送されたこの録画を何度も見ていました。それで、うちではいつしか「オシポワちゃん」と呼んでいたのです。だから私は「オシポワ」と書くことにしますhappy01

初日のアレクサンドロワも見たかったので、どっちか一つを選ぶのは迷いました。でもフィーリンが出ないとなった時点でオシポワちゃんを見てみようということに!私はどちらかというとベテランが好きなのですが、たまにはフレッシュな元気ペアもいいよね~。

そのとおり二人とも登場の瞬間からとっても豪快に跳ねまくってました!席が遠かったのですが、小柄な二人が舞台狭しと跳ねまわっていたのがよくわかりました。でも、もっと近い席ならきっとその高さにも感動したでしょうね。私はどちらかというとダンサーの表情をよく見たいのです。でも、最近は舞台全体の雰囲気とか、脇で行われている小芝居とかも見逃したくない。ということはやっぱりいい席を取れということか~‥‥お金もかかるけれど、今回のように迷って出遅れていたのでは無理ですね。遠い席ではオペラグラスを上げ下げしているうちにどんどん先へ進んでしまいます。またものすごくテンポが速いから、今回、もたもたしているうちにいろんなこと(主にガマーシュやサンチョパンサのお芝居)を見逃してしまいました。残念crying

テンポが速いというのは、もう指揮者がタクトを下ろした瞬間から何?この早さ!それは幕が上がっても同じでした。去年のミラノスカラ座の、あの超間延びした「ドン・キ」は何だったんだ‥sweat02(あれと比べなくても十分速いけど)そのスピードにダンサーもよくついていって、みんな回転したまま吹っ飛びそうな勢いでした。

1幕は豪快で、スピード感あふれて面白かった。ちょっとしたジャンプも、この二人が飛ぶと「おおっ!」っと声を上げたくなってしまいます。踊るたびにいちいち「おおっ!」ですから、息つく暇もありません。とにかくワシーリエフ君がすごい。飛ぶ回るだけじゃなく、顔もとてもかわいいのlovely ほんとにやんちゃで、とぼけてて、好感度抜群のバジルでした。くりんくりんの巻毛に負けん気の強そうな顔。だけど街の女にモテモテ‥‥というような色気はなくて、健康優良児的な、青春ドラマっぽいさわやかな感じとでもいうのかな。

小柄だけれどなぜかリフトはすごく高く見えるのです。かなりの力持ち?リフトしたまま舞台奥から手前に歩いてきて、何とルルベしたまま片足を45度ぐらいアラベスクしたんですよ。ひゃ~っと思わず声が出てしまいました。ウヴァちゃん(ウヴァーロフ)もリフトしたまま歩いてきたりしますが、長身のウヴァちゃんでなく、小柄でかわいい顔したワシーリエフくんが軽々やってしまうことに何だか感動。

オシポワちゃんも負けてはいません。カスタネットを持ったヴァリエーションもすごい勢いでした。小柄で、見た目の華やかさはそんなにない(顔はかわいい)けれど、とにかくそのキレのある動き、高いジャンプで何回りも大きく見せるタイプの人なんですね。キトリはとても合っていると思います。ブラボーでしたhappy01

忘れてたけどエスパーダがかっこよかった!シュピレフスキーはうっとりするような長身・美形。でもあれが闘牛士かといえば??なのですが、闘牛士の踊りにしてはキメが甘くて、牛どころか街の踊り子やメルセデスなどの百戦錬磨の濃~いお姉さま方にも到底太刀打ちできないだろう!って、そんな線の細いエスパーダはミスキャストかも?でした。去年のガラではベートーベンの交響曲第7番をバックにモダンを踊って、お顔がとても美しかったので、あ~この人、パートナーを支えているだけじゃもったいない。ソロも見てみたいと思っていたけれど、踊りは、まあ普通にかっこよくマントをさばいていました。でもやっぱり牛にはかなわなそう‥ところどころスカ(決めのところをはずす)があって悲しかった。

1幕は楽しくてあっという間に過ぎたのですが、2幕がちょっと退屈してしまいました。普通は駆け落ちしてジプシーの野営地に逃げ込み、そこでドン・キホーテが風車に突っ込んで失神して夢の場になり、最後に酒場の場面で連れ戻されそうになり、自殺のふりしてハッピーエンド‥‥という展開だと思うけれど、まず酒場のシーンになって、早々と狂言自殺になるのでおやおや‥‥という感じ。酒場のシーンもちょっと退屈した。ずっと速いテンポで来たのにメルセデスの軟体のけぞりが長い~。主役たちはあっちを向いて酒を飲んで談笑中のまま延々と続くまったりとした踊り。。悪くないけれど、次のジプシーのところにも同じようなキャラクターダンスがあったしね。ボリショイはこういうの好きなのかしら。

先にバジルとキトリの結婚が許されちゃったので、このあとジプシーの芝居に興奮してドン・キホーテが風車に突っ込んでいくというのが唐突になって、何かどこにもつながらない感じ。ジプシーの場面にはバジルもキトリも出てこなくて、大体どうしてここにやってきたのかが不明。次の夢の場に持っていくだけの、取ってつけたような場面でした。

夢の場は1幕で興奮しすぎたのか、少し眠くなりました。そんな目で改めて冷静に見ると、このセットは幕だけ。それも骨董品か?というような古色蒼然としたもの。3幕も幕ばっかりのかなりチープな宮殿でした。そういえば1幕は見るのが忙しかったからよく見なかったけど、ごく簡単なつくりで、そんなにきれいじゃなかったと思います。そこいくと去年のミラノスカラ座は1幕のセットだけでもすごかったよね。舞台が狭くなるほどの豪華さの上、ほんとの街の雑踏みたいに乗りきれないほどのエキストラであふれかえっていたんだっけ。それからすればほとんど何もないぐらいの簡素さでした。(だけど、幕に描かれた街は古ぼけて重厚な味を出していた?)

ボリショイといえば豪華なイメージがしたけれど、セットや衣装はちっとも豪華じゃなく、何かソビエト時代を彷彿させるようなsweat02感じで、あの色彩のマジックのような素晴らしいシュツットガルトの舞台美術を堪能した直後では、何とも言えない悲しさではありました。これでは「白鳥」のほうも思いやられる‥‥?でもその分速いテンポで踊りのスピード感、ダンサーたちの華やかさで見せているわけです。

森の女王はエカテリーナ・シプーリナ、キューピットはアナスタシア・スタシケーヴィチ。そしてオシポワちゃんのドルシネアと、3人並んだところはさすがに華やかでした。森の女王のヴァリはイタフェのないもの。アラベスクの繰り返しが映える、手足が長くて美しい人でした。キューピットはイメージ通りのかわいらしい子。小柄なダンサーが踊る役だけど、オシポワと身長が変わらないので、オシポワもかなり小柄なのでしょうね。姫としては、どうだろう。。ちょっと緊張がゆるんで、ぼーっとしか見ていなかったのか、よく覚えてないけど、catface 最後のグランジュテで横切るところはさすが!お見事でした。

2幕の終わりに、内側の幕が閉まってから、幕外で倒れているドン・キホーテのところに、サンチョパンサが貴族たちを連れてきて、ドン・キホーテを介抱し、館へ伴っていきます。

3幕はその貴族の館で、ドン・キホーテ一行が客として招かれ、キトリとバジルの結婚式が執り行われるのです。どうして?と思うけど、細かいこと突っ込まないで踊りを楽しむべしってことかな。ストーリーの流れなんてそんなに重要に扱われていないのです。

ヴァリエーションの二人がよかった。第1のクリサノワは勢いがあって元気な踊り、第2のコバヒーゼはなぜか強そうなバレリーナばかりのボリショイの中で、線が細くて優雅な雰囲気があってとても目立っています。顔もかわいい~。

そして、グラン・パは期待通り、すごいものを見せてくれました。アダージョは片手リフトが2回決まり!キトリのヴァリエーションは超高速の音楽にぴたりと合った超高速足技(あのエシャペとパッセを繰り返すところです)にびっくり!それからコーダも最初からやたらテンポが速い演奏なのですが、グランフェッテになってからさらにアクセル全開に!まるで全盛期のニーナのような超高速回転。それもダブルを入れるなんていうものじゃなく、ダブル入りっぱなしというか、もうぐるぐる回っててよくわからない。(だから手拍子なんてこれじゃ入れられないです)びっくりしました。

ワシーリエフくんも負けずに高速回転。ジュテで回るところはひねりが入ったあと、空中でぱっと手足が伸びる(何のこっちゃ?)のがもうすごくて!滞空時間が相当長くないとこんなことはできません。ホントにウルトラC(古っ!)の応酬に見るほうも興奮して熱くなりました。わ~、もう終わっちゃったの、というくらいすごく楽しかったです。

背景は古臭く、セットはボロボロ。ストーリー性も何もないんだけれど、何だか主役二人の金メダル級の技を堪能して満足でした。すごい技というのは、場を盛りあげ、気分を高揚させるものなんですね。カビ臭い舞台美術でも、話の意味わかんなくても全然関係ない!だけど‥一晩寝て起きると、何も残ってないような。シュツットガルトの「オネーギン」があれほど心に残り、そのあと何日も妄想をふくらませて2度おいしいどころか10倍ぐらい楽しんだのに比べると、まあそれだけって、そんなものでした。

ワシーリエフくんは2006年にバレエ学校卒業と書いてあるから、たぶん二十歳そこそこじゃないでしょうか?体型は熊川哲也似‥‥ということは体操選手並みに筋肉付いちゃってスタイルはそんなによくないんだけれど、驚異的な身体能力を見せるにはやっぱりああいう体型になっちゃうんだろうな‥。でも、笑顔がとってもチャーミング。持っている雰囲気がさわやか体育会系だよね~。カーテンコールには黄色い声援がいっぱい飛んでいました。既に親衛隊がいる?バレエ公演でこういうのは私は初めてでした。スター誕生ってところでしょうか。

帰りの楽屋口にもいつになく人が集まっていて‥‥ちょっと野次馬根性が動いたけれど、やっぱり‥‥ワシーリエフくんもオシポワちゃんも、うちの息子とそんなに歳が変わらないのよね。何か先ほど黄色い声援を上げていた子たちの親の年代で、出待ちなんてもう気恥かしくてできないかも。やっぱりニーナやルジマトフみたいな同年代だけにしておこうっと。そう思ったらちょっと淋しくなりました。

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2008年12月 4日 (木)

「オネーギン」というバレエ(続き)

またきょうの○+のご案内メールに笑わせてもらいました。「ザ・カブキ」の得チケのネーミングが「討入りペアシート」というのですhappy02 その感覚、ある意味すごい。さて、ちょっと友人から指摘を受けたことでお詫びをしなくてはなりません。前に書いたこの「ザ・カブキ」について、私の暴言に東京バレエ団並びにベジャールファンの方が気を悪くされたのではないかと思います。見てもいないくせに申しわけありませんでした。

宣伝文句に「歌舞伎好きの皆様にぜひご覧いただきたい」とあったので、単純に「え~っ?」と思ったのです。ミュージカルやオペラなど洋ものを見る人は免疫があるでしょうが、私の知っている歌舞伎好きの方などは、バレエの男性の写真を見せただけで、「何これ?タイツだけで下半身何もはいてないの?お尻丸出し?見るに堪えない~!」とおっしゃいました。バレエファンが「美しいわ~heart01」と感じるものも、免疫がない方にすれば「討入り」のストーリー以前のことじゃないのかなと。なので、「歌舞伎好きの皆様」が見るにはどうかな~と思っただけなのです。ごめんなさい。

で、その後なぜか食わず嫌いな私もなりゆきで「ザ・カブキ」を見に行くことになりました。12月14日はちょうど「討入り」の日だし、あの長ーい「忠臣蔵」を2時間でやるって、どんなんだろう~?楽しみ!?

では、やっと本題の「オネーギン」に‥‥sweat02

1幕(ラーリナ夫人邸の庭)
幕が開くと中央にテーブルがあって、そこで母のラーリナ夫人と乳母、妹のオリガがパーティドレスを仕上げています。タチアーナは寝ころんで本に夢中。ドレスのことなんか見向きもしません。夢見がちな文学少女というところでしょうか。そこにレンスキーがオネーギンを連れてやってきます。鏡をのぞきこんで、そこに写った人が運命の人。オリガを写す鏡の中に婚約者のレンスキーが現れ、二人は最初からもうラブラブ。この世の幸せを一身に謳歌しているような二人なのでした。

タチアーナが覗き込んだ鏡に写ったのは、何と黒づくめのオネーギン。びっくりして母のもとに走って行く内気なタチアーナ。でも、村の青年たちとは違う、この洗練された都会の男に一目で心を奪われてしまいます。オネーギンは幸せいっぱいのレンスキーとは逆に、何か深い悩みを抱えている様子。都会の暮らしに倦んで、親友の住む田舎に気晴らしにやってきたのに、退屈な田舎の雰囲気にもなじめないのです。いい女でもいるかと思って来たのに、くだらない小説を読むガキしかいない。早くも帰りたくなったよってな感じ。タチアーナの本を手にとって、一瞥して返すしぐさ一つでも、何とも高慢な奴なのです。

そうそう、この場面、踊りがとてもよかった。ちょっとコサックダンス風の元気な青年たちの踊り。それから連続してグランジュテする娘たちを支えながら、ペアで1列になって舞台を斜めに横切って走っていくのがとても盛り上がりました。レンスキーとオリガのパ・ド・ドゥはまるで幸せに酔っているかのよう。でも、音楽は哀愁を帯びていて、幸福の絶頂の中に潜む危うさを表していて何だかせつない。オネーギンもタチアーナと踊るのだけれど、儀礼的なちょっと距離のあるパ・ド・ドゥ。タチアーナは十分夢見心地なのだけれど、ふとオネーギンの心がここにはないという現実に戻され、戸惑って立ちつくしてしまう。何かこれだけで、すごくよくできているなあと感動してしまいます。振付と音楽が一体となって心が手に取るようにわかるのです。クランコすごい~!

場面転換は内側の幕と、表の紗幕の二つの間でまた一芝居行われていて、流れるような飽きない構成になってます。帰って行く村の男女。また明日、と離れがたいレンスキーとオリガ。紗幕の外側ではそこに溶け込めないオネーギンの孤独な姿。

(タチアーナの寝室)
再び幕が開くと天井から大きなレースの布がかけられていて、田舎ながら瀟洒な感じの部屋。そうだよね~眠れないよね。小説の中であこがれていた恋、それが突然リアルな姿で現れたのです。机に向かってオネーギンに手紙を書こうとしますが、どう書いていいかわからない。いつしかまどろむタチアーナ。上手奥に大きな鏡があり、その前に立つと自分の姿が写ります。ところが、ふとそこにオネーギンの姿が!

夢の中で鏡の中から現れた愛しい人と踊る、まるで「薔薇の精」みたいですね。ただ、飛び出してきたのは中性的な美しい薔薇の精ではなくて、何か妖しい笑みをたたえた黒づくめの危険なオジサン!(爆)でも、それがまさしく少女のあこがれそのものというか、そういうのわかるような気がします。

夢の中のオネーギンには、昼間のよそよそしい態度はありません。少女の願い通り耳元に何度も優しい言葉をささやきかけ、激しく、情熱的に迫ってきます。それを恥らうこともなく全身で受け止め、舞い上がるような勢いで大胆に彼の腕に飛び込んでいくタチアーナ。何度も繰り返されるスピード感あふれるリフトが、思いがかなった幸福感を余すところなく表現しているのです。このこれでもかというようなパ・ド・ドゥは圧巻でした。(鏡の中へ消えるときのバランキ様の怪しい悪魔的な表情もすごかった!)そんなめくるめくような一瞬から目覚めたあと、タチアーナは一気に手紙を書き上げます。

これが、役作りが面白くて、アマトリアンのタチアーナは本当にうぶな田舎の少女で、多分オネーギンが見たら一瞬で眉をしかめるような(「あたしゎ~めっちゃ好きぃheart01」みたいな?)稚拙な手紙を書いているんだろうな~?という感じ。それに対してアイシュヴァルトのほうはいかにも賢い文学少女らしい、しっかりした文章を書いているような‥偏見?私は最初に見たアマトリアンの羽が生えたような軽さ、柔らかさ、かわいらしさに感動してしまいました。ほんとに、人生最高の夢だったよね~って。アイシュヴァルトはブレがないかわりに、器械体操みたいな感じ?がしないでもなくて、美しかったけれど、アマトリアンのほうが感情がのっていて好みでした。

2幕(タチアーナの誕生日)
踊る老若男女。その中にはレンスキーもいます。相変わらずオリガにべったり。いいな~heart02狭い田舎のことだから、多分タチアーナがオネーギンにラブレターを書いたことはたちまち知れ渡っているでしょうね。オネーギンにしたら、つまらない手紙をもらって暇な田舎の奴らに話の種にされるなんて我慢がならない。だけど、人々の好奇の目には勝てず、一応儀礼的にタチアーナの手をとって踊ります。でも、人がいなくなると、タチアーナに手紙を突き返し、自分にはその気はないと伝えるのです。

お願い、どうかそんなことはしないで。と泣きそうな目で訴えるタチアーナ。それすらウザいガキとしか思えないのに、またどやどやと人々が入ってくる。再び作り笑いを浮かべて踊るオネーギン。この辺の芝居が本当に見ごたえがありました。誰もいなくなったのを見計らって、オネーギンは言ってもわからんガキんちょに、わざわざ手紙をびりびりと破いてその手に握らせます。なんてひどい男なんだ!

だけど、初日にオネーギンを踊ったイェリネクの解釈では(プログラムによると)オネーギンはちっともひどい男じゃない。むしろ常識的で、30前後の大人が10代の少女と恋愛関係を成就させるのはどう考えても無理。だから理性的にそれをわからせようとしたのだとのこと。うわ~ホント?日本のロリコンオヤジどもに聞かせてやりたい言葉だわ。そのとおりイェリネクのオネーギンは傲慢な態度の反面、ちょっと保護者的になだめるようなところもあったのでした。一方バランキ様(バランキエヴィッチと打つのは大変なので‥)は垢ぬけた都会のプレイボーイ風で、いいか、お前みたいな田舎娘相手にしないんだ、覚えとけ!みたいな、かなり冷やかな視線を浴びせかけていました。

人々の輪に入らず、一人でカードを始めるオネーギン。タチアーナは誕生日を祝う人たちの前でソロを踊りますが、踊っているうちに悲しみに耐えきれなくなってだんだん踊りが乱れて、最後はめちゃめちゃになってきて、オネーギンと目が合った瞬間、いらついたオネーギンがテーブルをばんっ!と叩くのです。一瞬の注目。踊りが終わらないうちに泣きながら消え入るように走り去るタチアーナ。かわいそう~crying

この辺からどんどんドラマチックに展開していき、もうどこを見ていいかわからない状態にsweat02(2回目は、ザイツェフのレンスキーだけしか見ていませんでしたが‥!)キレたオネーギンはあろうことか親友のレンスキーをからかい始めます。きっとあまりにも幸せそうで腹がたったんでしょうね。オリガにちょっかいを出し、一緒に踊り始めます。オリガもよせばいいのにって、オリガだってほんの戯れのつもりだったんでしょう。姉と違って快活でお茶目なオリガは、遊び慣れたオネーギンのエスコートで踊るのが誇らしかったかもしれないし、本気で人々の間を縫って追いかけてくるレンスキーを見るのも楽しかったのかも。

でもとうとう、純粋なレンスキーに限界がきちゃった。姉妹が止めるのもきかずに、オネーギンに手袋を叩きつけてしまったのです。何て冗談が通じない奴なんだ!最初はレンスキーをなだめていたオネーギンもとうとう怒りだし(こういうところでくるくる回るパが効果的!)ついに決闘を受けることに。また二重の幕が閉まり、紗幕の内側は早いフォックストロット?で通り過ぎる何組もの男女。一瞬頭に血が上って決闘を受けてしまい、後悔の念に駆られるオネーギンはうなだれながら紗幕の外を歩いていきます。

(決闘の場)
人気のない淋しい郊外。柔らかな色の衣装から一転して、モスグリーンのような暗い色のマントに身を包んだタチアーナとオリガ。レンスキーを必死で止めようとするのだけれど、一度言いだしてしまったものは引っ込められない。そのくらいプライドの高い理想家肌の青年を傷つけてしまったのです。この場面のちょっと長いレンスキーのソロは、せつせつと後悔の念を表現して泣ける~weep膝をついて背中を反らせたまま、「ジゼル」のアルブレヒトのようにばたっと倒れちゃうところが痛々しかったです。

そして舞台奥でシルエットの決闘シーン。オネーギンのピストルが火を噴き、倒れるレンスキー。幸福から一転して悲劇のどん底に落ちてしまったのです。幕が閉まる前、動転したオネーギンを見つめるタチアーナの、今までと違った毅然とした強い目が印象的でした。

3幕(サンクトペテルブルク)
時は流れ、放浪の旅から帰ったオネーギンは、グレーミン侯爵邸の舞踏会に現れます。そこで侯爵夫人として美しく時を重ねたタチアーナと再会します。何ということでしょう、今度はオネーギンが恋におちるのです。キューピットは残酷ないたずらをする。

侯爵役は初日のダミアーノ・ペテネッラはあまり印象に残っていない(というか、そこまでよく見る余裕がなかった)けれど、最終日の侯爵はずいぶん老けているな~と思ったらジェイソン・レイリーではないですか。「眠り」で妖艶なカラボスを踊り、私は見ていないけれど別の日に王子もオネーギンも踊り、そして今度はかなり年のいった(50過ぎぐらいの?つくり)侯爵ときた!まるで歌舞伎役者のような変幻自在ぶりにびっくりです。

タチアーナは侯爵とゆったりとした曲で踊りますが、今までの年月、強い恋愛感情はなかったけれど望まれて結婚し、少しずつお互いの理解と愛情を深めあってきたというのがよくわかる静かな幸せに包まれたパ・ド・ドゥでした。ひときわ華やかなサーモンピンクのドレスは、侯爵夫人として内面から磨かれてきたタチアーナをよく表しています。穏やかな包容力のあるレイリーの侯爵もよかった。でも何であそこまで老け役にするのかなあ‥?

(タチアーナの部屋)
思いがけず再会したオネーギンから熱烈なラブレターをもらい、困惑するタチアーナ。ここの場面「手紙のパ・ド・ドゥ」は、去年ルグリ&ルディエールの黄金ペアで情感たっぷりに見せてもらいました。でも、全幕を知らなかったので「こんなものか」だったのですけど、全幕ではオネーギンが来る前に侯爵が来るんですよね。この場面があったので、とてもよく心情が理解できました。

侯爵は何かの任務につくのか、重厚な軍服のような衣装を着ています。出かける前に妻の部屋へ来たのでしょう。でも、突然タチアーナは不安になり「お願い、行かないで。一人にしないで」と言っているよう。侯爵は行きかけたのをまた戻って、優しくタチアーナをなだめるようにしばし愛情こめて踊ります。この侯爵の包容力。こんなシーンがあったから、次に続くというのがよくわかりました。悲しい事件を乗り越え、年月をかけて築き上げてきた今の暖かい暮らし。侯爵夫人としての地位よりもずっと大切なものがそこにあったことがよくわかります。

侯爵が去った後、悲痛な形相でオネーギンが登場します。オネーギンは今までのことをわび、激しく愛を訴えます。最初は拒んでいたタチアーナも、少女の頃の甘い思い出がよみがえり、心が揺れてしまいます。アマトリアンのタチアーナは、ここでまた一瞬少女のような顔になってしまうのよね~。この人もレイリー同様変幻自在な人!もう、昔憧れていた人にこんなに激しく迫られたらグラグラになっちゃうわ。それを必死で押さえて踊る、本当に何というパ・ド・ドゥ!あ~、これを見てからルグリ&ルディエールを見たかった!

理性もプライドもかなぐり捨てて追いすがるオネーギン。(ある意味この人は自分に正直な人だったのかな?ホントにレンスキーと対称的になっていたんだ)それを背中で引きずるように、重い足取りで振り切ろうとするところや、床に崩れ落ちた姿勢からいきなり背中をそらしたジャンプをするところなど、タチアーナの引き裂かれるような苦しい心情が余すところなく表現されていて、圧巻でした。

タチアーナはオネーギンの手紙を、かつて自分の手紙をビリビリと破かれたように破り、出て行って!と弱々しくドアを指差します。なおもすがりつくオネーギンを振り払い、2度目はきっぱりと力強く。絶望とともに走り去るオネーギン。タチアーナはすぐにあとを追ってドアのところまで走るけれど、外までは追えず、しばらく行きつ戻りつして、最後は泣きながら立ち尽くすのでした。ここまでが息をつく間もないほどドラマチックに展開して、最後はもう口を開けたまま、すごいもの見ちゃったという感じでした。2回目も同じでした。踊りが感情を表現する、いや、それ以上のものをダンサーの身体に語らせてしまうのにただただ感動してしまいました。

予定外だったけれど、3回のうち2回を見ることができて本当によかったです。次に見られるのはいつかわからないけれど、また絶対見たい演目になりました。

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2008年12月 3日 (水)

「オネーギン」というバレエ

この間見た「オネーギン」があまりに素晴らしかったので、舞台の余韻にぼーっとしていて、ざっと感じたことを書いただけで満足してしまい、そのままになってしまいました。もう今日からボリショイが‥‥‥。

それで、ごく簡潔にどんな内容かということだけ記録しておこうと思って、バレエの入門書などの「オネーギン」に関する紹介を探しました。一番端的なキャッチコピーは「逃した魚は大きかった!未練たらたらの男心。失われた時はもう戻らない」でした!これにはかなり笑えました~happy02 確かに簡単にいえばそういうお話でしたよね。それから、「鈍くさい娘だったときは簡単に振ったくせに、ほかの男と結婚していい女になったら、今度は自分のものにしたくなるオネーギンの強烈なエゴと、女のプライドがぶつかり合う」って、これもかなり過激な内容紹介coldsweats01 その通りだから思わず爆笑してしまいましたけどね。初心者のときにこの紹介を読んだら、これにひるんで見るのは敬遠してしまったかもしれません。

振り付けはジョン・クランコ。シュツットガルトバレエ団の芸術監督になったばかりの1965年に、マリシア・ハイデ主演で初演されたそうです。クランコという人は「物語バレエ」の第一人者といわれ、作品には「オネーギン」のほかに「じゃじゃ馬ならし」「ロミオとジュリエット」などがあります。キリアン、ノイマイヤーといった、私にはちょっとなじみ薄ですが、そういう現代振付家の先駆けとなった人のようです。何か、初めて見た演目なので、プログラムや本と首っ引きで、まるで学校のレポートを書いてるみたいですねcoldsweats01

せっかく見た舞台を忘れないように、覚書のつもりでいつも書いているのですが、簡単に済ませようとして本などを見ていたらかえって面倒な疑問がわいてきてしまいました。というのは、どの本にもレンスキーという人物の存在の意味については触れられていないの。あんなにバカみたいに純粋で悲劇的な青年の役で、バレエ団でも屈指の美形プリンシパルによって踊られているのに、ストーリーの中ではあまり重要じゃないなんてweepレンスキー、かわいそすぎる! 

舞台装置・衣装は「眠れる森の美女」と同じユルゲン・ローゼの手によるもの。最初のタチアーナの家の庭も、田舎の屋敷も、それから3幕の伯爵の邸宅も、みんなちょっと暗めながら甘く淡い色合いで美しいのです。レンスキーは金髪をなびかせた何ともロマンチックな雰囲気で、その美しい風景にふわっと溶け込んでしまう存在なんですよね。片やオネーギンは登場の時からただ一人黒づくめ。服も髪も黒でシャープな印象。淡い色合いの中に1点の黒が、彼の持つ孤独感のように際立っています。

レンスキーはタチアーナの妹オリガに盲目なほど夢中。いつも彼女しか見ていないその幸せそうな満面の笑顔といったら、思わず胸キュンです(フォーゲル君でも、ザイツェフでもlovely)後の悲劇を思うとそんな狭い純粋さがガラスのように危うくせつない。オリガはそんなレンスキーの愛情を一身に受けているけれど、快活な彼女の心はもっと外に向かって開かれているんですよね~。ここにもちょっとしたすれ違いがあるんだなあ‥。

一方、オネーギンは、タチアーナと踊っていても儀礼的で、ふとした瞬間に自分だけの世界に入ってしまう。この場にふさわしくないニヒルな都会人なのだ。そんな彼にものすごく憧れているけれど、大人の世界に入り込めずに立ち尽くす少女の気持ちも痛いほどわかって涙~。

何かやっぱりレンスキーという存在は、ただオネーギンを友人としてこのふさわしくない場所に連れてきてしまっただけの人じゃなくて、オネーギンの特異な存在感をより際立たせる役まわりなのかもしれません。さらに詩人らしいプライドの高さによって招かれた唐突な死をもって、オネーギンの性根のしょうもなさ加減にさらに追い打ちをかけているわけです‥。

結構この公演、年配の方も多かったです。どちらの日だったか幕間に、おばさまたち(といったって私もだけど、もう少し年のいった「おばさま方」)の会話を耳にしたら、「オペラもそうだけどオネーギンってホントにいやな男なのよねっ。このあとタチアーナが社交界の花になったら、図々しくもあのときの自分は間違っていたなんて抜かすのよ。一体どの面下げて言ってんのよ。でも今度はタチアーナが振るの。当然よね。ざまあみろだわ」なんて、上品なお姿に似つかわしくなく辛辣なことをおっしゃっていられる。そういうおばさまも、過去にあこがれの人に冷たくあしらわれたりしたのかしら‥‥?

でも、ほんとにオネーギンがそんなにしょうもない男なら、その引き立て役のレンスキーってやっぱりかわいそすぎだわcrying ‥‥なんてこんなことをだらだら書いていたら、どんどん簡潔な鑑賞記録には遠くなってしまいます!気を取り直して‥‥‥と思ったら長くなりそうなので一旦終わりにしますsweat01

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2008年12月 1日 (月)

「オネーギン」に感動!

S2008_1130_135708imgp6605 昨日は天気もよく暖かい1日でしたね。久々に昼のバレエ公演で上野に行ってきました。少しだけ早く家を出て、国立博物館の庭園が解放(昨日まで)されているので見てきました。いつもは本館の裏のバルコニーから見えるだけですが、春と秋の解放期間は中を歩くことができます。ちょうど午後は本館の影になってしまい、いい写真は撮れませんでしたが、あとで何枚かアップしようと思っています。写真は東京文化会館の裏側。すっかり葉の落ちた木もありますね。S2008_1130_155025imgp6639

こちらは東京文化会館の建物の中。窓からイチョウの木が見えています。マチネは久しぶり。休憩中のホワイエは人がいっぱいです。昨日はたぶん満員御礼。5階の一番端までぎっしり人が入っていました。

この間の28日の「オネーギン」がすごくよかったので、それをまた見られるのがとても楽しみでした。世のバレエファンの方々には、同じ公演をキャストを変えて見るのは当たり前の楽しみ方なのでしょうが、私のような子持ち主婦は他にも見たいものがあるし、時間的にも金銭的にもそんな贅沢はできません。でも、今回思いきって2回見て本当によかったです。

席が違うと同じ舞台でも見え方が違うし、主演ダンサーの個性の違いも楽しむことができます。特に「オネーギン」のようにめったに見る機会のない演目では、印象を強く残しておくことができてよかったと思いました。

タチアーナ役のマリア・アイシュヴァルトは最初からちょっと大人っぽく落ち着いていて、美しく賢そうな少女という役作り。アマトリアンが始めは全然地味でダサい田舎少女だったのとはかなり違います。だけどオネーギンに夢中になってからも、また、振られたあとも何かずっと同じ感じで(化粧が濃いからか?)私には好みじゃなかった。3幕は積み重ねてきた伯爵夫人としての年月を感じさせる慎み深いタチアーナで、こちらはとてもよかったです。

フィリップ・バランキエヴィッチのオネーギンは、最初ほんとにニヒルでスマートな都会のプレイボーイ風。かっこいいけれど、整った顔立ちだけにぞっとするほど冷たく感じられるところも‥‥。1幕2場で鏡の中から現れた顔は悪魔的でドキッとしてしまいました。それなのに3幕では一転して妙に哀れっぽくてよれよれで情けない男なの。どっちかというと28日のイェリネクが、1幕はちょっといやな奴だけど良識ある大人の男で、3幕も切々と愛を訴えるところが伝わって私好みでしたlovely 

レンスキー役のアレクサンドル・ザイツェフは、もう本当に素敵でした。「眠れる森の美女」でも、宝石のヴァリエーションに「アリ・ババ」という役で登場して、「一体何者?」というほど鮮烈な印象を残したけれど、このレンスキーも全く違う役柄ながらすごくよかったです。フリーデマン・フォーゲルのレンスキーも美しかったけれど、また全然違うのよね。

フォーゲル君はガラスのような繊細さ、潔癖さ、若さの象徴のような気短さかさで性急に散っていったように思えたけれど、ザイツェフのレンスキーには血の通った等身大の青年の情熱やプライド、誠実さゆえのいらだちや悲しみがひしひしと感じられました。丁寧な踊りから心情が痛いほど伝わって、悲劇的な運命もそれなりに納得がいったというか‥‥どっちにしてもあと先考えないバカな奴ですけどね。

ザイツェフの笑顔が素敵で、もうそれだけでノックアウトheart04席が遠かったのでずっとオペラグラスで追っかけていました。こういうときに2度目というのはいいですよね。他を見なくてもストーリーや伏線がわからなくなることはないから(こら~!)しっかり見れば見るほど、踊りもせつなくて素敵、役作りも細かいんです。私が他を全く見ずにずっとオペラグラスで追っかけても惜しくないと思う人はルジマトフぐらいですよ~。

彼がどうして内気で賢そうな文学少女の姉よりも、陽気で茶目っ気たっぷりのオリガに恋したのか、なぜオネーギンの振る舞いが許せなかったのか、ほんの遊び、冗談というのが通じなくて、どうしてあんな結末になってしまったのか。単なる若気の至りというのではなく、とても説得力のある演技だったように思います。あ~王子な彼も見てみたいわ。ジークフリートとか、アルブレヒトとかheart01(勝手に言っていなさい!)

今週はもうボリショイが東京にやってくるけれど、しばらくこの「オネーギン」で(いや、ザイツェフのレンスキーに?)胸が一杯。壊れています。あとでまたあらすじだけ、忘れないうちに書いておきたいと思っていますが、とりあえずものすごく感動して何も手につきませんhappy02 そのくらいよかったですよ~heart04

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2008年11月29日 (土)

「オネーギン」初日

予定外だったのですが、シュツットガルトバレエ団「オネーギン」の初日、見てしまいました。前から買っていたチケットは最終日。だけど、この間めっちゃ愛らしく魅力的なアリシア・アマトリアンを見て、すっかりファンになってしまったので、彼女のタチアーナもぜひ見なくちゃと思って、思いきって東京文化会館に出かけました。

得チケが出ていたんですよね。まずそれで行く気になったのですが、見たらそれは29日(土)のみ。なあんだ‥‥でも、一旦行く気になった気持ちは抑えられませんsweat01得チケのご案内メールには「オペラ好きの方にもぜひ見ていただきたい」とか何とか書いてありました。「オネーギン」って、オペラの演目だったんだ~coldsweats01‥‥そんなこともよく知らない私です。

そういえば、きょうきたご案内メールで、東京バレエ団の「ザ・カブキ」の優待セット券(ペアでS席が半額になるもの)の宣伝文句には、「歌舞伎好きの方にもぜひ」とあって驚きました。いろんな売り方があるものです。でも、あれって歌舞伎好きの方が見て満足するものでしょうか?ベジャール食わず嫌いで見たことない私が言うことではないでしょうが、内容は忠臣蔵?かもしれないけれど、「ザ・カブキ」なんて小馬鹿にしたようなネーミングからして、一体何なんだ!?ほんとの歌舞伎好きが見たら金返せものだと思いますけどね‥‥ま、そんなことはどうでもいいか。

脱線しましたが、「オネーギン」です。同名のプーシキンの小説も、オペラも知りませんでしたが、ストーリーはとてもわかりやすく、そのまんまバレエとして楽しむことができました。まず音楽がとてもドラマティック。オペラの「オネーギン」からは1曲も取らずに、チャイコフスキーの他の作品の中からその場面に合ったものを取り上げてつなげているそうですが、ほとんど最初からそこにあったようにぴったりと物語の中にとけこみ、人物の心情や情景と見事に一致しているのに驚きました。

それから、アマトリアンはやっぱりいいわ~。この間あれだけキラキラ輝くようなオーロラ姫を踊った人が、最初は本当に内気でつまらない田舎の小娘なんですよ。幕が開いてすぐ、婚約者の決まった妹が母親たちとパーティドレスをあれこれしているときに、タチアーナはおしゃれなどには全く興味を示しそうになくて、ただ寝そべって本に夢中になっているような子なのです。それが恋を知ってからのかわいらしさ、初々しさといったら、本当に可憐~heart01また、そのあとの3幕ではガラッと変わって気品あふれる侯爵婦人になっているんですよ。演技も素晴らしかったし、踊りも、しなやかな肢体を存分に使った、軽くのびのびとした踊りに、もう釘付けでした。

容姿的には決して美貌じゃないんだけれど、持っている雰囲気がジュリー・ケントに近いものがあるよね~。アマトリアンは、ニーナ、ケント、マハリナに続いて、私の大好きなバレリーナの一人になりそうです。

レンスキー役のフリーデマン・フォーゲルも、ナイーヴで愛あふれる詩人そのものの透明感のある美青年ですよねheart04いや~、大分大人っぽくはなったけれど、以前にも増して王子様度がアップしていました。踊りも伸びやかで一点の曇りもない。こんな純粋で高潔でばかばかしく悲劇的な役がぴったりはまります。

この人、結構身長ある人じゃありませんでした?去年東京バレエ団の「白鳥の湖」で見た時は、まるで小人の国に紛れ込んだガリバーみたいにデカイ!と思ったけれど、このシュツットガルトバレエ団の中にいるとちっとも大きくない、普通の人です。それだけ大柄な人がそろっているということでしょうか。そういえば「眠れる森の美女」で、女性陣もかなり大きくてダイナミックな人が多いなと思っていたところです。

それからオネーギン役のイリ・イェリネクも、初めて見る人ながら、なかなかのハンサムで独特の存在感。タチアーナじゃないけどやっぱり思わずぼーっとなってしまうかもlovelyという感じでした。フォーゲル君よりも私は好みかもlovely プログラムによると彼は21歳の時からオネーギン役を踊っているぐらいの得意役なのだそうです。はたから見るとオネーギンってすごい悪い奴なんだけれど、3幕ではそれを悪い奴と感じさせないくらい、オネーギンの背負った苦悩や痛みを表現してせつない演技でしたheart01

題材はとても地味なのだけれど、すれ違う男女の想い、あこがれ、情熱、理性、道徳心など、誰もが多少なりとも経験するようなことにスポットを当てて、時の流れの中でこれをものすごくドラマティックな物語にしてしまう素晴らしさに、本当に感動してしまいました。バレエだけれど演劇的で、もうここでは軸がぐらついたとか、バランスがどうとかは重要じゃないのです。それよりもあちこちにちりばめられたパ・ド・ドゥで表される、お互いの心情のぶつかり合いやすれ違いが音楽と視覚両方からひしひしと伝わってきて圧巻でした。

もちろん踊りも、これでもかというくらい繰り返される難しいリフト、流れるような動き、しなやかな美しさ。そのどれもが素晴らしかったです。

明日また行きますhappy01

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2008年11月26日 (水)

ハイデ版「眠れる森の美女」2

Simgp6595 シュツットガルト・バレエ団「眠れる森の美女」の舞台の感想の続きです。

プロローグ
幕が開くと天井まで抜けるような青空、若葉が茂る木々、白い雲。そう、舞台は明るい光が降り注ぐ野外だったのです。中央の中庭を白い回廊がぐるっと取り巻いていて、城の外のテラスという感じ。オーロラ姫の命名式に貴族たちが集まってきますが、それがみんなブルーの濃淡の、絹ずれの音も軽やかな衣装。白い回廊にロイヤルブルーが映えてとても明るくすがすがしい感じがします。皆プラチナブロンドの鬘。下手にはオーロラ姫の白いゆりかご。王国にやっと訪れた春を楽しんでいるような人々でした。

そこへ妖精たちがやってきます。6人の妖精はそれぞれお付きの男性とバラの鉢植えを持った子供を従えていますが、それぞれお揃いの衣装でかわいい。妖精たちの衣装はオーガニックカラーとでもいうのかしら、赤は赤でもまだ赤くなりきらないトマトのような赤だったり、緑色も柔らかい若草色で、黄色も干し草のような黄色なのです。妖精たちはオーロラ姫にそれぞれの贈り物と一緒にバラの鉢植えを贈ります。妖精のパ・ド・シスはよく見る振り付けとはちょっと違うところもあったけれど、それぞれが優雅でかわいらしい踊りだったと思います。

そこへ招かれなかったことに腹を立てたカラボスがやってきます。黒いロングドレスに黒いマント、黒く長い髪を翻しながらダイナミックに飛ぶ、回る!男性というのはわかっていたけれど、すごく鮮烈で魅力的な悪役でした。カラボスはオーロラ姫に、16歳の誕生日に針が手に刺さって死ぬという呪いをかけます。驚き嘆く王様と王妃様。リラの精はカラボスを退け、オーロラ姫は眠るだけだと言って一同を安心させます。

一度幕が閉まりますが、幕が閉まり始めた時からまるで暗雲が垂れこめるように上から黒いカラボスの大きなマントが降りてきます。それは閉まった幕を覆い、カラボスはその黒い幕に隠れて虎視眈々とその後のオーロラ姫の成長の様子を窺っているのです。カラボスがマントを少しめくると、その裏には5歳ぐらいのオーロラ姫がお人形で遊んでいて、それをリラの精がやさしく守護している様子が現れます。またもう一方の側のマントをめくると、今度は10歳ぐらいに成長したオーロラ姫。幕外では静かに1幕への時間の経過が語られているのです。

第1幕 ~オーロラの誕生日~
再び幕が開くと、また同じ中庭の風景ですが、妖精たちから贈られたバラの木は16年の間に大きく成長し、白い回廊にはバラのつるが絡まり、たくさんの花が咲き誇っているまぶしいばかりの初夏の風景。オーロラ姫の友人たちは淡いクリーム色のドレス、ワルツを踊る男女は淡いグリーンを基調にした衣装。白地の部分にはかわいらしい小花模様があしらわれていて、男性は淡いピンクの布のベルトを巻いています。幸せに成長したオーロラ姫を祝うような一面のやさしいパステルカラー。このワルツはけっこう回転やジャンプがたくさん入っていて華やかですが、合わせるのが難しい感じの踊りでした。

そこへ4人の王子が求婚にやってきます。4人はみんな衣装が違って、中近東風だったり、トルコ風?だったり、して楽しい。

回廊の上から階段を下りてくるオーロラ姫。前回書いたとおり、アマトリアンのオーロラ姫は本当にラブリ~heart01淡いバラ色の衣装といい、この上なく優雅な雰囲気といい、はじけんばかりの若さというよりは、大事に育てられた深窓の姫君らしくシャイでつつましやかな感じがします。前述のとおりローズアダージョではちょっとヒヤッとしたけれど、ヴァリエーションは幸せいっぱいのお姫様そのものでした。振付が、プティパ調のガチガチのクラシックではなくて、動きと動きのつなぎが柔らかい感じになっているような気がしました。

続いて普通はお友達の踊りだけれど、その曲で4人の王子たちが踊ります。4人の王子は普通オーロラのサポートだけでほとんど踊らないけれど、ここでは一人一人の短いソロがあったり、4人でダイナミックにジャンプしたり回ったりして見ごたえがありました。

いつの間にか怪しげなマントを被った老女がやってきて、オーロラ姫に花束を渡します。これが全面パステルカラーの舞台の中にそれだけ浮き上がって見えるような真っ赤なバラの花束。オーロラ姫は珍しいものを喜ぶように花束を持って踊りますが、その中に仕込んだ針で手を刺してしまいます。とたんに不安な表情になって舞台を回り、倒れてしまうオーロラ。

ここでカラボスが現れるのですが、とたんに照明が、トンネルの中などによくある黄色のライトに変わって、バラの咲き乱れる明るい初夏のテラスが、一瞬にしてセピア色に色褪せた世界に変わってしまうのです。そしてカラボスだけに普通のライトが当たり、無彩色の中にカラボスだけが異様に存在感を放つという照明の妙!その色彩感覚に脱帽してしまいました。

そこへリラの精が現れ、みんなを眠らせます。回廊の正面奥に運ばれたオーロラ姫のまわりで人々は眠り、その上に妖精たちが白い薄布を幾重にもかけていきます。(まるで閉店後のお店のように‥?)そうやって人々は100年の眠りにつくのでした。

第2幕 ~狩りの場、幻を見るデジレ王子、オーロラの目覚め~
休憩後、幕が開くと‥‥何だ、同じ場所じゃない‥‥‥。同じ城の回廊に囲まれたテラス。しかし時間はずいぶんと経過したようで、回廊に絡まったバラの木は恐ろしく伸び放題に広がって、枯れたような色をしています。周りの木々も茶色く覆いかぶさって、まるで廃墟。秋の終わりのような荒涼とした感じがします。
そこに狩りにやってきた一行は、いきなり20世紀初頭?のような、簡素な服装。男性はオレンジの燕尾服、女性もシルクハットをかぶって、グレーベージュの長いフレアースカートのスーツ、ネクタイ姿。

王子のフィリップ・バランキエヴィッチは‥‥それなりに素敵だし踊りも悪くなかったと思うけれど、なぜかあまり覚えていないの。(ごめん!)この登場の瞬間はやっぱり夢見るような王子様であってほしいんだけど、狩りに連れまわされて疲れちゃったような王子でしたcoldsweats01王子が一人になった所でリラの精と妖精たちが登場します。妖精たちはひざ丈のスカート付きレオタードみたいな簡素な衣装で、色も淡い茶色地のすそに枯葉模様が描かれたようなかなり地味な感じ。

リラの精は王子にオーロラの幻影を見せます。枯れ木の中にひっそりと咲いているバラの花のような姫に王子は一目で恋におち、妖精たちの間に見え隠れするオーロラ姫を追っていきます。このあとが普通長くて、王子とリラの精がゴンドラに乗ってはるかかなたのオーロラの眠る城に向かう場面があったりしますが、ここの場所自体がオーロラが眠っているその場所だから、場面転換はいらないのです。場所はそのままで、時間軸だけが動いているという設定になっているのです。時折ライトの加減で回廊の正面奥の人々が眠っているところが見えるのですが、何と、かぶせた薄布の下に、じっと動かないけれどちゃんと人がいる!この2幕の間中、ずっとこの姿勢で動かないで控えていたのでしょうか?すごく大変そう!

カラボスが現れ、また一暴れ。今度は手下も大活躍。大きな黒いマントで王子をぐるぐると巻き付け、執拗に苦しめます。王子は情けないけどやられる一方。(もっと頑張れ!)王子がへたっているところをまたもリラの精に救われます。リラの精がカラボスの相手をしているうちに、王子はテラスの奥へ行き、オーロラを見つけます。こちらがリラの精とカラボスの戦いに気を取られているうちに、王子は奥から姫を抱き上げてきて、オーロラはめでたく100年の眠りから目覚めたのでした。

そのあとちょっとびっくりしたのが、眠りから覚めた王様、王妃様、式典長などが、まるで玉手箱を開けた浦島太郎のように、ぼうぼうの白髪頭だったこと!これは一体どういう意味なんでしょうね?100年の眠りのリアルさを追求?他の人もそうだったのかな?あんまり不思議だったのでついオペラグラスで追いかけて、ほかの人は見逃してしまいましたsweat01皆様、じっと我慢でお疲れ様でした!

第3幕 ~オーロラの結婚式~
ストーリーはここまでで、あとはお楽しみのディベルティスマン大会。これがまた楽しかった~。舞台はプロローグからずっと同じ場所。背景の枯れたような色の木々はそのままですが(紅葉?)夜の、たくさんのキャンドルや松明の明かりのような暖かい色調の光に照らされています。正面テラスの上には赤い垂れ幕がかかり、その前に玉座が置かれ、華やかな宴が始まるのです。

白髪頭になってしまった人々は皆元に戻り、今度は全体的に重厚で濃い色調の衣装を着ています。冬の暖炉の傍のような、そんな色合い。先の4人の王子たちも、衣装がちょっとグレードアップして登場。他にもいろいろな仮装をした人々が入ってきます。シンデレラ、ピエロ、白雪姫と小人たちなど、衣装を見ているだけでも楽しい。

その中でも最初の宝石の踊りが面白かったです。色鮮やかなショーガールのようないでたちのルビー、サファイア、エメラルド、アメジスト。そしてそれを束ねている虹色のハーレムパンツ姿の「アリ・ババ」。このアリババ役のアレクサンダー・ザイツェフがすごくかっこよくて(王子よりも!)もうぼーっと見入ってしまいました。踊りはダイナミックで、グランジュテなどは浮き上がったまま静止しているよう。こんな人がいたんだ~素敵でしたheart01

長靴をはいた猫と白い猫はとてもユーモラス。白猫が長靴猫の頭をバシっと音がするくらい本気で叩いているの。時折笑いも起こって楽しかったです。青い鳥のグラン・パはヒョー=チャン・カン(東洋系の顔立ちの人)とアレクサンダー・ジョーンズ。ジョーンズのほうはソリストですが、ヒョー=チャン・カンはプログラムに写真が載っていないのであれ?と思ったら準ソリスト。(そういえばリラの精のミリアム・カセロヴァは何とコールドバレエの人です。大抜擢だったんでしょうね。)赤ずきんちゃんはちょっと年のいった赤ずきんちゃん?オオカミはかぶりものではなく、メイクでした。

そしていよいよオーロラと王子のグラン・パ・ド・ドゥ。白地に花模様のとっても可愛いペアルックの衣装なのですが、王子の似合わなさ加減といったら‥‥bearing というのも、バランキエヴィッチという人はいわゆる純粋な「白王子」ではなくて、ほかの回ではカラボスを踊っているくらいの人なので、こういうばかばかしいほどかわいらしい衣装はまるで似合わないの。

一方アマトリアンのほうは、幅広い演技ができる(たぶん)人ながら、古典のお姫様としても本当に可憐で愛らしいのです。アダージョは3回のフィッシュダイブがある華やかなヴァージョン。最初不調のようだったアマトリアンが心配でしたが、見事踊りきりました。ほんとに、速い回転のあとでも何事もなかったようにふわっと優雅なフィニッシュを決めたり、その音のとりかた、腕や手先の使い方などが美しくて見とれてしまいました。

カラボスは、この版では滅ぼされたのではなく、最後までちゃんと共存しています。予言を実現することができずに、くやしそうに回廊の上からこのフィナーレを見つめていますが、人々の幸せな顔、愛の力には勝つことができずに去っていくのでした。

以上、何か今回は舞台や衣装のことばかりになってしまいましたね。とにかく色彩が淡いパステルカラーから濃い重厚な色調まで順々に変わって、まるでマジックのようでした。場所はずっと同じ場所で変わらないのに、時間軸の経過に従って変化していく衣装やその場の様子。そういう趣向がとても面白かったです。

踊りは全体的に、プティパの元振付を柔らかくしたような感じに見えました。踊りもまた時の流れとともに変わっていき、最初の妖精たちの踊りは古いおっとりとした時代を表わすように簡素で優雅なのですが、3幕の宝石になるととても複雑で早いステップが入って、まるでショーダンスのよう。そんな変化も楽しむことができました。

普通の「眠れる森の美女」は、青い鳥と王子ぐらいしか男性の踊りの見せ場はありませんが、このハイデ版では最初の4人の王子もそれぞれソロの踊りがあるし、とにかくカラボスの跳ぶわ回るわの大活躍がすごかった~。さらに3幕では「アリ・ババ」のダイナミックな踊りもあり、男性の踊りがとても見ごたえがあって楽しかったです。

また、カラボスを女性とし、それを男性が踊る設定は「歌舞伎をヒントにした」とありましたが、歌舞伎の影響があるとしたら「女形」というよりも「悪」の扱い方ではなかったでしょうか?歌舞伎では得てして正義よりも「悪」がかっこいい。歌舞伎は庶民のものですから、「悪」は権力への対抗として扱われ、「悪」の美まで存在するわけです。

カラボスは「悪の美」とまではいかないまでも、エネルギッシュな「悪」のパワーを表現して、リラの精たち「善の妖精」に対抗しています。そうすることで甘いおとぎ話の世界を、ちょっとドキドキする一味違ったものに変えていますよね。この夏に見たABTの「白鳥の湖」のロットバルトのように、バレエに「美しい悪」が存在するのもまた魅力的なのではないでしょうか。(こういう感覚はキリスト教世界にはあまりなかったのかな?)とにかく、よかった~heart04また機会があればぜひ見てみたいと思える「眠れる森の美女」でした。

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2008年11月24日 (月)

ハイデ版「眠れる森の美女」

シュツットガルトバレエ団の「眠れる森の美女」初日のソワレを見てきました。シュツットガルトバレエ団は2002年に来日した時に、私は「ロミオとジュリエット」を見ています。そのあと、2005年にも来日して今回が8度目の来日だそうです。

2002年の時はマラーホフがプリンシパルを務めていたので、とにかく彼のロミオだけが目当てだったのです。だからその時のジュリエットも、ほかのキャストも全然覚えてないのだけれど、キャピュレット夫人だけは、なぜかめちゃくちゃ濃い演技で目立ちまくっていたので(一体何者?)よく覚えていて、あとでそれが振付家ジョン・クランコのミューズであり、「女優」バレリーナとしてこのバレエ団の一時代を築いたマリシア・ハイデその人だったことを知りました。この「眠れる森の美女」は、そのマリシア・ハイデがシュツットガルトバレエ団の芸術監督時代に改訂・振付を手掛けたものだそうです。

どうせ知らない人ばっかりだろうから、唯一知っているフリーデマン・フォーゲルを見ようかなと思ったけれど、もう一人いましたね。去年のフェリ引退公演で鮮烈な印象を残したアリシア・アマトリアン。あのときの驚異的な踊り(フォーサイスの「‥」何だっけ?)にぶったまげてしまった人も多いのでは?そのアマトリアンが今度は古典中の古典のオーロラ姫を踊るなんて!それには甘いマスクのフォーゲル君よりもずっと興味をそそられてしまいました。

でも、正直言って昨日のアリシア・アマトリアンは絶不調だったと思います。登場してすぐのローズ・アダージョで、バランスの時に王子に支えられた手がぶるぶる震えてなかなか離すことができなかったり、バランスの時間が極端に短かったりしたときは、バランス系が苦手なのかな?と思ったけれど、さすがにポワントが落ちてしまったときには不調なんだとわかりました。この人がどれだけ踊れる人かわかっていますから‥‥。それでも何という優雅さ、かわいらしさなんだろう!heart01コンテやおふざけの「ザ・グランパ・ド・ドゥ」を見たときには思いもしなかった彼女のこんな可憐な一面。私、この人好きだ~heart04

手先、腕の使い方がとても美しい。踊りが音楽的で緩急の付け方が絶妙。表情が生き生きしていてとても魅力的。不調ということを差し引いても姫としてのキラメキは失っていない。多分それほど「若手」でもないと思うけれど、とにかくかわいくて、素敵で、もうすっかり彼女のオーロラ姫に魅せられてしまいました。

それと、どうなっているのよ?という身体。アラベスクやアチチュードのときの足先が一体どっち向いてるの?完璧以上のアンドォールのせい?ファンシェのときもかる~く180度以上いっちゃっているし。ありえない~!このありえなさ加減がクラシカルな雰囲気をちょっと崩しているのかな?などと一人つぶやきながら楽しんでいました。私はどっちかというと人物の心情だとか、物語の流れを楽しむのが主なんだけれど、珍しく彼女一人を注視してしまいました。よく「元気をもらった」とかっていう、私はそういう言い方は好きじゃないけれど、ほんとに昨日は超ラブリーheart01な彼女を見て幸せな気分に浸ってしまいました。

全体的にもとてもよかったです。カラボスがもう一方の主役というくらいの活躍ぶり。女性役なのですが、それを男性のダンサーが演じています。それもおばあさんとかではなくて、とても妖艶でダイナミックで、魅力的なカラボス。プログラムによると歌舞伎の女形からヒントを得たとありますが、歌舞伎の女形は本物の女性以上に女性らしさを追求するものですが、これはたぶん女性には表現できない強い魔力、線の太さ、エネルギッシュなところを男性に表現させているのだと思います。

歌舞伎の影響といえば、不気味なカラボスの手下は月代(さかやき)を剃った頭の髷がばらけたような落武者風だし、黒い幕を上からたらしそれを浅葱幕のようにいっぺんに落とすとやり方も(落とした後はただの白い幕だったので場面転換の意味はないけど)歌舞伎からとったのかな?と思うようなところがありました。

王子のフィリップ・バランキエヴィッチは、悪くはなかったけれど印象薄。それよりも3幕の「アリ・ババ」という、宝石の踊りを引き連れた「海賊」のアリ風のキャラクターを踊ったアレクサンダー・ザイツェフがものすごく印象に残りました。プロフィールを見ると彼は既にベテランに属すると思いますが、驚くほど若々しくて、ちょっと乱暴なくらいダイナミック。ぼーっとするほどかっこよかったですheart04もっともっと見ていたかった!来週見る予定の「オネーギン」にも彼がレンスキー役にキャスティングされているので、また見られるlovely 今からとても楽しみになりました。

舞台美術も衣装も、いろいろ趣向が凝らしてありました。この間の「アラジン」のような突っ込みどころははく、手放しで楽しんでしまいました。しばらくこの幸せな余韻に浸っていたいので、細かい舞台の様子はまた次回に。

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2008年11月21日 (金)

冬シーズン始まり!

発表会以外では久々のバレエ鑑賞、私にとっては冬シーズン(そんなに大げさなものではないけど‥)の幕開けとなる新国立劇場のデヴィッド・ビントレー振付の「アラジン」を見てきました。Imgp6592

デヴィッド・ビントレー氏は現バーミンガム・ロイヤル・バレエの芸術監督で、新国立劇場には2005年に「カルミナ・ブラーナ」を振り付けていて、次期新国の芸術監督に就任することになっている人だそうです。今年1月に彼の作品であるバーミンガム・ロイヤル・バレエの「美女と野獣」を見て、メチャメチャ感動しました。物語の構成といい、舞台転換の妙といい、バレエというより映画かミュージカルを見るような感覚で、とても新鮮でした。それで、ビントレー氏が「アラジン」を新国立劇場に振り付けると聞いたときから、ぜひ見たいと思っていたのです。

今回はゲストなしで、全日程新国のソリストが主役を務めるもの。私は今活躍する新国のダンサーはよく知らないので、9月にチャリティガラで見てよかった芳賀望さんの日を選んでみました。プリンセス役は8月にNHKで放映された「ラ・バヤデール」でガムザッティを踊っていた湯川麻美子さん。そしてランプの精ジーンは、私が唯一昔から見て知ってる吉本泰久さんでした。新作ということで目新しかったし、久々のバレエの舞台はとても楽しかったです。やっぱりバレエはいいなあ~heart01夢の世界だし、きれいだしね~。

1幕を見た時は本当に豪華で楽しくて、うわ~これってもしかして私の切望?する「スーパー歌舞伎的バレエ」かな~と思って、すごく興奮してしまいました。1幕の手の込んだセット、パネルが動いて居所変わりする早い展開など、本当にわくわくしました。だけど、2幕以降を見ると‥な~んだ、やっぱり新作ものによくあるシンプル路線か‥‥とちょっとがっかり。何だか1幕に頑張りすぎてあとの予算がなくなってしまったsweat01みたいな感じがします。

大体、街の市場のセットがあれだけ重厚なのに、それよりずっと豪華であるはずの宮殿が何であんなに抽象的で質素なんだろう??悪者にさらわれたお姫様が幽閉されているところもホントにただの檻の中みたいな感じでした。あれだって魔法に任せて思いっきり豪華な場所にしたっていいんだしね~。

構成も、1幕に一番の見せ場が集中して、2幕3幕が尻すぼみ。そう思えるほど1幕の洞窟の中で繰り広げられる宝石の踊りは見どころ満載で楽しいものでした。新国ダンサー総出演の華麗さ、さまざまなスタイルの踊り、衣装もみんな素敵だったし。でも、この物語を考えるとクライマックスはやっぱりさらわれたプリンセスを奪回しに行く冒険の部分だと思うのです。それからプリンセスを助け出して魔法の絨毯で世界をめぐりながら帰ってくるところ。ディズニーのアニメならここで「ホール・ニュー・ワールド」を歌ってがーっと盛り上がるんだよね~note見~せてあげよう~輝く世界~note‥‥なのに、1幕の盛りだくさんさに比べ、そこがほとんど筋を追っているだけだったのが残念でした。

「アラジン」というと目に浮かぶのは、私はやっぱりディズニーより子供のころうちにあった「アラジンと魔法のランプ」の絵本です。本来アラジンは子供。怪しい男に洞窟に連れて行かれ、ランプを取ってこいと命じられるのも、入口が狭くて大人では入れないから。マンホールの穴のようなところから地下に下りていくと、もうまわりじゅうが金銀宝石の目にもまばゆい世界なんだよね~。それが子供心に一番印象に残る絵でした。だからここに一番の踊りの山場を持ってきたのはわからなくもないのです。アラジンは夢中で宝石をポケットに詰め込む。その宝石の世界をあれだけのディベルティスマンにつくりあげているのは素晴らしいことだけれど、お話としてはあそこはほんのプロローグでしょ。

ビントレーさんは私と同じような絵本を見て育っている?のか、あの洞窟の階段を上ったところの丸い出口なんかはへえ~っと思いました。絵本では丸いマンホールのようなところから見下ろす悪者が「先にランプを渡せ」というの。手を出してまず自分を引っ張り上げてくれなきゃ出られないのに、目的のランプだけ渡せというから不安になってアラジンは渡さないのです。それで怒って入口の重い石のふたを閉めちゃう。(短気だなあ)ここは子供心にすごく不安な場面でしたが‥‥ここでは不安もそこそこにあっという間にランプの精が出てきて「今の何?」と思っているうちに次の場面へ。

初演ということもあって、休憩時間に聞こえてくる周りの人の話だと、ストーリーが全然わからないらしい人が意外に多そうだったけれど、中でも「え~?あの人がアラジンのお母さんだったの?」という声があったのにはちょっと頷けました。1幕の最後でお母さんが心配そうにしているところへアラジンが突然ランプと一緒に戻ってくるんだけれど、その場面のお母さんがまるっきり中国風で貧相なんですよ。中国のお母さんのイメージってこんな終戦直後、いや文革時代みたいな感じなの??(あとで王様と仲良くしてるのも貧相なだけにすごく変!)

プログラムによると、西洋ではアラジンは中国人という設定になっているらしいのです。アラビアのお話なのに中国人?というのはよくわからないけれど、西欧圏の人々にとっては中国もアラブも一緒くたで全然平気なんでしょうかね~。そういえばランプの精ジーンは変な辮髪頭(でも衣装はアラビア風)だし、お祝いのシーンでは獅子や龍が登場しちゃうし、何よりアラビア風?の街で、アラジン親子だけが中国人っていうのはおかしいよね。西洋人にはどうでもいいただのエキゾチック趣味かもしれないけれど、東洋人にはかなり違和感があると思います。

それに~。みんな一緒に踊るときの「いかにもアラビア」「いかにも中国」風の振りはまるで盆踊り並みで勘弁してほしかった。これが西洋人ビントレーさんのイメージする「東洋」なのかと思うとちょっと悲しいsweat02

本来西洋のものであるバレエを日本人が踊ることへの違和感というのは、私は大昔、高校の芸術鑑賞会か何かで松山バレエ団を見たとき以来のものがあったけれど、最近では日本にも身体的技術的に全然引けを取らないバレリーナたちが多数出てきていますよね。この新国の舞台を見ても、レベルは全然外国のバレエ団に劣ることはないと思います。

でもやっぱり今後日本のバレエ団が世界に出ていくときには、同じ「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」で勝負するよりは、こういった東洋的な作品が代表的な演目として求められていくのかなと思います。そういう意味ではこの「アラジン」も、新国立劇場の代表作としても恥ずかしくないような充実を今後図っていってほしい、かな?(偉そうにこんなこと書いてすみませんsweat02脱線しましたが、それがとりあえずの印象です。

芳賀さんは期待どおり元気なやんちゃ坊主みたいで、動きも軽やかで群を抜いていました。演技もコミカルで何だかかわいいlovely 芳賀さんの日にしてよかった~。ただ、プリンセスとの間にもっと「愛」がほしいよね~。何かその辺が残念。こういうところの表現はきっと山本さんがよかったのではないかと思います。

湯川さんは踊りはしっかりしているし、姫としての威厳や優雅さもあるんだけれど、この場合アラジンが子供みたいだから、どうしても年上っぽく見えちゃうんだよね。市場でのぞき見られても、入浴シーンに乱入されても、「無礼者!」って言わずにお茶目な好奇心でアラジンに惹かれていくようなあどけないお姫様のはずなのに、そんな感じは(すみません)しませんでした。このお姫様、何でガキ臭いアラジンのことなんか好きになったの??やっぱりちょっと「愛」が足りなかった。

それと、ジャファーじゃなかった(それはディズニー)、ここでは魔術師マグリブ人というのだけれど、そいつにさらわれて、飲み物にしびれ薬を入れたりするところも、何でもっとセクシーに、いかにもマグリブ人を惑わすようにやってくれないのか。あの場面の衣装は「シェヘラザード」風セクシー路線の衣装だったから、もっと濃厚な演技をしてくれるのかと思ったけれど、意外なあっさり目。相手の超濃厚なマイレンと、ここはたっぷり見せ場をつくってほしかったような‥‥。そもそも振り付け自体があっさりで、何もなかったから仕方ないですね。そういうところのメリハリがなくてただのきれいなお姫様だったのがちょっと不満。

ランプの精ジーンの吉本さんはベテランの域ながらシャープでエネルギッシュでもう見せる見せる!うれしくなってしまいました。ただ‥‥あのいでたちが何ともひどい。顔も体も青黒くてつるっぱげの辮髪。でっかいイヤリング。そしてメイクがまたもうちょっと何とかならなかったのか。眉毛が細くて上がりすぎで赤いおちょぼ口も変!眉や口が細く薄いのは冷徹な感じがするものです。無表情な怖い顔にしか見えませんでした。もっと鷹揚で包容力のあるキャラクターとしての味を出してもよかったのではないかと思います。ただただ超人的なだけで、物語の中の存在としてはつまらなかった。踊りが最高だっただけに残念です。

仕掛けもいろいろあったけれど、突然ジーンが現れても、歌舞伎を見ている人にはちっともすごくないありふれた仕掛け。最も盛り上がるはずの空飛ぶ絨毯のところもショボさに泣けてきました。猿之助ならここで確実に宙乗りいくだろうなあ~。二人で馬に乗って宙乗りなんていうのもお手のものの猿之助歌舞伎なら、絨毯に乗った宙乗りだって絶対いけるよね。盛り上がるだろうな~heart04なんてありもしない話は置いておいて。ジーンが空を飛ぶワイヤーアクションはあったけれど、「飛ぶ」んじゃなくて「上下する」だけで。。東京バレエ団の「シルフィード」とかのように派手に飛ばせばいいものを。

欲を言えば最後にジーンの見せ場がほしかった。こんなに幸せなんだからもう魔法の力はいらないよとばかりに、アラジンがジーンにランプを返すシーン。もうランプの中に押し込められなくてもいい。誰の奴隷でもなくなった自由。そんな自由の喜びを思いっきりの魔法で最後に見せてくれたら大いに盛り上がったんだけどなあ~なんて、私って妄想癖がひどいですね。

何だか文句ばかりになってしまいましたが、それだけ久々のバレエを堪能したというわけですsweat01そういう意味ではとても面白かった。やっぱり細やかな感情表現とかを期待する作品ではなく、「海賊」みたいにスリルとサスペンス、華やかで盛りだくさんの踊り、多彩なダンサーたちを見せるタイプのバレエなんですよね。それはそれで楽しくてよかったと思います。

でも、「美女と野獣」で、バレエシーンらしいバレエシーンがないままお芝居的に淡々と進んで、最後の最後で爆発的なほど愛にあふれる美しいパ・ド・ドゥを見せてくれた涙ちょちょぎれるほどの感動に比べたら、踊り満載で華やかではあるけれど、やっぱり「感動」というのとは違う、視覚的な楽しさ面白さ珍しさ。そういう作品だったと思います。

あとで、子供が小さいときに買ったディズニーのビデオがあったので、ちょっと見てみました。(何てヒマ人なんだ‥)確認したら、「ホールニューワールド」を歌いながら世界各地を巡るところはプリンセスがさらわれる前でしたsweat01このバレエでは絨毯に乗るのは帰ってくるときですけど。いい加減なことを書いてどうもすみませんでした。

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2008年11月 2日 (日)

びっくり(゜o゜)

ちょっとびっくり。「アラジン」が近くなったので久々に新国立劇場のHPを見たら、なんとコジョカルが怪我で来日できず、「代りにラリーサ・レジニナ(オランダ国立バレエプリンシパル)が出演いたします」だって。‥‥それってもしかしてラリッサ・レジュニナ

多分知らない人は「誰?これ」状態だと思いますが、今はDVDにもなっているキーロフバレエの「眠れる森の美女」の1989年の映像で、輝くばかりに初々しい、フレッシュなオーロラ姫を踊っている(王子はルジマトフですheart01)あのラリッサ・レジュニナ。また、1992年のキーロフのロンドン公演を収録した「エッセンシャルバレエ」、今は「ロシア・バレエのスターたち」というタイトルでDVDがまた出ているようですが、その中に入っている「ディアナとアクテオン」のパ・ド・ドゥをルジマトフと、これまたキラキラ輝くような華奢な可憐さで踊っています。

94年にオランダ国立バレエに移籍後はよくわかりませんが、あれから20年。ルジ様はレニ国の芸監になってしまって一線を退いた観weep がありますが、彼女はまだ元気に踊っていたのね~。なぜ今この人?とは思うけれど。新国サイトに出ていた写真は、多少年月は感じますが、相変わらずの素敵な笑顔でした。コジョカルより歳はだいぶ上だけど、小柄で愛らしいキャラはコジョカルに近いものがあると思います。私は「シンデレラ」のコジョカルの日のチケット買っていて、夏に続いてまたも見損なってしまったけれど、初めて生で見られるラリーサ・レジニナがとても楽しみになりました。ほんと、思いがけず素敵なクリスマスプレゼントhappy01をもらえるような気がしています。

びっくりついでに‥‥。昨日友人の娘さんの通うバレエ教室の発表会を見てきました。こんなこと言っちゃほんとはいけないと思うので(ごめんcoldsweats01)名前は伏せますが、娘の行っている教室の発表会にもゲストで毎年来ていただいているロシア人のダンサーさんで、まだ30前だと思うのですが、何か前髪が年々淋しくなってくるな~と思っていた方が、「え~??」と思う変身ぶり!何と、後退した前髪が自然な感じに復活してる!レニ国のプハちゃんのような不自然な舞台用カツラではありません。頭髪のせいでかなりふけて見えていたけれど、ほんのちょっと、おでこ1~2センチの違いですごく若々しく見えてびっくりしました。

とってもくだらないことですみませんsweat01 一緒に行った娘が一番びっくりして、今は休室中のバレエ教室の先生に思わずメールしてました。先生曰く、(どういう方法かわかりませんが)彼はここのところ結構努力して増毛に励んでいたそうです。バレエダンサーで、まだ若いし踊りはとても素敵なのにビジュアルがね~という人は結構います。やっぱり王子様が薄毛ではね~。残念に思っているからあえて名指ししちゃうと、キエフバレエのシドルスキーと、レニ国のプハチョフ!ほんとに、踊りはあんなにノーブルなのにもったいないsweat02今は最新の技術もあるらしいから、彼を見習って頑張ってほしいです!

その発表会はメルパルク、昔の郵便貯金ホールでした。思えば中学1年の時、初めて自分で電話してチケットをとってミッシェル・ポルナレフのコンサートに(保護者付きで)行った場所。30年以上前の話で恐縮ですが、初めて自分で行きたいと思って買ったチケットというのがここの場所でした。だから私にとってはとても記念すべき場所なのです。

その後、バレエで行く機会も何回かありました。特にスタ・ダンをよく見ていた何年か、ここでの発表会は毎年見ていました。そのころのゲストは当時スタ・ダンにいた李波さんとか西島さん、長瀬さんなどで、思えばとても豪華でしたlovely あのころ出ていた生徒さんは(私は最近見てないので)海外で活躍している人もいるし、スタ・ダンで踊っている人もいるでしょうね。そんな何か懐かしい場所だったので、招待してくれたお友達は「遠いから」と言って恐縮していたけれど、実はうれしかったのです。

それに内容もとても充実していて楽しめました。小品集と、小さい子向けの創作演目、そして「くるみ割り人形」の雪~お菓子の国「コッペリア」第3幕と盛りだくさん。4部仕立てで4時間超の、歌舞伎の見取狂言を見るような優雅な1日でした。もっとも、これだけ大掛かりな発表会だと、参加されている子どもたちや保護者の方はまる1日戦争のようで、それどころじゃなかったでしょうけどね。

友人のお嬢さんは最初のエチュード的な創作作品と、「コッペリア」の時の踊りに出演していました。コールドだから、後ろのほうにいてわからないと思うよ、と聞いていたけれど、しっかり見つけることができました。小学校高学年になって、ポワントもはいて、2年前のカツラをかぶったキューピットたちと違い、もうすっかりお姉さんです。難しい振り付けではないけれど、基本がしっかり身についたとても素直な踊りを見てうれしくなってしまいました。このまま素直に伸びていってほしいなあ。

どんな本格的な教室でも、「なんちゃってバレエ」風の教室でも、幼稚園~小学校低学年の小さい子の踊りはほとんど違いがないようです。つま先伸びてないし、内股の子もいるし。この時期はもう舞台に乗って元気に笑顔で踊るだけでかわいいから、ただ楽しんでお稽古してるだけでいいんだと思います。でも小学校高学年になってくると断然違ってきます。「なんちゃってバレエ」はやっぱり「なんちゃってバレエ」のままだけど、やっぱりきちんとした先生につけば格段にうまくなっていくようです。ただ楽しめればいいという教室と違って、やはりそれなりに週何回以上と決められた回数レッスンが課せられているし、コンクールなどに出させられる(?)となると、通わせるほうは大変だけれど、先生も生徒もそれなりの覚悟が決まってくるんでしょうね。

小さいお子さんを見ていても、それぞれ個性があって面白い。舞台の上ではお母さんや先生は助けてくれません。舞台裏ではふざけたりぐずったりしていても、出番になったらすっと違う顔になって出ていく。ほんとに小さい幼稚園の子でもそうなるから不思議です。私も娘のおかげでそういう瞬間を知っているので、小さいながら頑張っている姿が感動的に見られるんですね。

子供向けの創作というのは大抵退屈するんだけど、面白かったです。何とゲストの男性ダンサーが「かぶとむし」と「キリギリス」の迫真のバトルシーンを演じていて、見に来た人たちにも飽きないようなレベルの作品になっていて驚きました。いつもはNBAで王子様を演じている(だろう)サレンコさんに「キリギリス」をやらせちゃうんですよ。豪華でしょ?「カブトムシ」のほうはまるでロットバルトみたいな衣装で、「海賊」のビルバントを混ぜたような強そうなキャラクター。どうみても緑のオールインワンのレオタードに薄いオーガンジーの羽をくっつけただけの「キリギリス」(王子様にそんな恰好をさせるなんて‥)は分が悪そうですが、見事横暴な「カブトムシ」をやっつけて森の平和が保たれたのでしたhappy01 。

雪のシーンから始まる「くるみ割り人形」は、最初のクリスマスパーティとネズミの戦争を抜いただけの「くるみ割り人形」短縮版で、とても見応えがありました。今回お母様方の一番人気だったという王子役の秋元康臣さんは、スタイルが良くて手足も長く、本当に王子様そのものでした。ジャンプも回転も軽~いheart04まだ若手のNBAバレエ団の有望株なんでしょうね。

今回、この教室でクラスを任されている先生たちも要所要所で踊っていて、とてもレベルの高い発表会でしたが、このクララと金平糖の精は生徒さんでした。特にグラン・パは素晴らしかったです。ロイヤルの難しい振り付けをそのまんまやっていたと思います。あれはたぶん流れたら全く見られないし、本当にがっちり正確な基本の上に築き上げられる美だと思うので、それをちゃんと表現できていたのがすごいと思いました。

「コッペリア」の3幕は、娘が夏に「ジゼル」に参加させてもらった教室も明日、同じ市内のいくつかのバレエ教室が合同でやる「文化祭」で上演します。その中の「あけぼの」と「祈り」を、娘も出る人と一緒に練習していたので、とても興味を持って見ていました。「時」も何年か前の発表会で踊っていたし、私より娘のほうが楽しみにしていました。面白かったのは「結婚」をすごく小さい子たちにやらせていたこと。多分、まだ幼稚園に入ったばかりぐらい。「お遊戯」もろくにできないような幼い子たちに花嫁、花婿の格好をさせて、またその子たちもそれになりきっているのがとてもかわいくて楽しかったです。

フランツ役のヤロスラフ・サレンコさんも素敵な人でした。ただ、もう少し芝居っ気がほしいというか、少々仏頂面なんですよね。この場面なんか踊るのは最後の「平和」のグラン・パだけで、芝居らしい芝居はないんだけれど、やっぱり前半のお芝居のコミカルで軽薄な町の若者の感じをまとっていてほしいし、そういう醸し出す雰囲気が「コッペリア」らしさを作ると思うし、大事なんだと思います。サレンコさんは踊りは素晴らしいけれど、その辺が少し残念でした。でも‥‥ことしマリインスキーのオブラスツォーワを相手に「ドン・キホーテ」を踊ったのはこの人だったんですよね?ううん、どんなバジルだったんだろう‥‥。

長丁場でしたが、とても楽しい発表会でした。明日もまた、川崎民家園の帰りがけに「文化祭」見てきます。

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2008年10月27日 (月)

発表会シーズン。

しばらくバレエの舞台を見ていません。って、いつからだろうと思ったら9月初めにレニ国の夏ガラを見て以来だから、もうかれこれ2ヵ月になります。去年のこの時期ははなさんの「ドン・キ」を見たり、コジョカルの「真夏の夜の夢」を見たりしてつないで(?)いましたが、今年は何もこれというものがなくて‥‥。来月の後半からまた新国の「アラジン」とか、シュツットガルト・バレエなどを見る予定なのですが、それまでまだ長いです‥sweat02

その間に友人・知人の発表会が幾つかあります。実は昨日、一つありました。去年も書いたのですが、毎年出身のバレエ教室(今はそこで教えている)の発表会で主役を踊っている私の友人のことです。

ことしの演目は「シンデレラ」。彼女が舞台に復帰してから毎年見ているのですが、本当に年々うまくなっていくのです。子どものことじゃありませんよ。私の友人の話。うちの下の子と同い年の娘さんがいます。やっぱり中3で受験生なので娘のほうは発表会には出ていません。そのお母さんが主役のシンデレラなんですよ~shine

1幕と3幕のぼろぼろの服のシンデレラは生徒さんで、2幕の舞踏会で王子様と踊るのが彼女。先週、プログラムをもらうために会ったときは照れ隠しか、「かわいい中学生のシンデレラが魔法にかかって急にオバサンに変わったらびっくりされちゃうかなあ」なんて言っていましたが、2幕の最後に現れた彼女はとてもきれいでした。何か、この歳になって自分の好きなことをやって、それも年々うまくなっていくなんて全くうらやましい限りです。

でも、そうとばかりは言えなかったようで、先日会ったとき「もう足が痛くてぼろぼろ。今接骨院に行ってきたの」というので見たら、両足首に包帯がぐるぐる巻いてありました。お医者さんからは踊るなんてとんでもないと言われているらしいけれど、本番直前になってそんなこと言っていられないでしょう。今までも針に行ったりいろんなことをして頑張っていたみたいで、「もうそろそろ限界かな~」などと言っていました。好きなことをやり続けるのも大変なんですね。

毎年踊っている李波王子とは、多少なりともパートナーシップのようなものができてきたと言っていたけれど、そのとおり、おっかなびっくり踊っていた以前と違って、アイコンタクトも自然にとれていて、本当に素敵なアダージョでした。特に3幕のラストが、メルヘンチックな背景の中でやっと夢がかなったという少女の気持ちのように、ふんわりと舞い上がらんばかりに軽く踊れていてうっとりしてしまいました。その友人は、バレエは10年以上もブランクがあったと思うのに、よくここまでとその情熱に毎年感動してしまうのです。

「シンデレラ」はプロコフィエフの音楽が、私は好きだけれど、踊るにはとても難しそうです。それに発表会で取り組むには、前半のお芝居の部分のウエートが大きく、なかなか大変な演目です。中学生にはやはり荷が重かったようで、踊りはかなり踊れる子でも、やっぱり演技がね~。お姉さんたちをベテラン?で固めているので何とかなっていましたが、本当に見るほうもどこで拍手をしたらいいのかよくわからなくて、変な間があいてしまったりで、改めて言葉のないバレエでお芝居を伝えるのは、踊りをきっちり踊る以上に大変なことなんだと思いました。

李波王子は夏の発表会以来。相変わらず素敵でした。「ドン・キ」のバジルや「コッペリア」のフランツのような等身大もいいけれど、やっぱりこの「シンデレラ」の王子のような非現実的な役?がとても向いています。技術的には‥‥そろそろというか前から厳しいですが。かつてのファンとしては、発表会のゲストでもまだ舞台が見られるのはうれしい。(もういい加減に引退しろとは、ファンなら言わないと思うんですよね。)

ほかには来週の連休中に二つ。一つは友人の娘さんが出る発表会。いつもは地元で行われているのですが、ことしはスタジオの創立20周年記念ということで、場所も都心の有名ホール。関連のバレエ団からゲストが6人も来るという豪華な発表会です。以前からおとなしいお嬢さんで、そんなに積極的な面がある感じではなかったのですが、昨年初めてトゥシューズをはいて発表会に出てからバレエが面白くなったようで、今年は夏にコンクールに挑戦したそうです。結果はどうでも、コンクールまで経験してもうすっかりバレエ少女。今回もたくさんの上手なお姉さんたち、バレエ団のプロの方たちと一緒の舞台に乗ることで、踊る楽しさをつかんでいってほしいと思っています。

もう一つは夏に「ジゼル」をやった教室も含めた、市の文化祭。毎年市内の幾つかの教室と合同でコンサート形式の公演をしているものです。ことしは「コッペリア」の3幕の部分で、発表会が終わってからすぐに練習を始めていました。うちの娘は発表会が終わってから受験体制に入ったので、レッスンには週1~2回出るけれどその文化祭には出ません。でも、一通り基本レッスンをしたあとで、踊りの練習を一緒にやっています。娘の行っているクラスは「あけぼの」と「祈り」を踊る子がいるので、その2曲の練習。やっぱり決まった踊りの練習は見ていてもとても楽しそうで、嬉々として踊っています。

でも、それが11月3日なんですよね。その日は川崎民家園で歌舞伎保存会の公演をやることになっているのです。娘はちょい役ですが一応出演するので、歌舞伎が3時過ぎに終わって、それから急いで着替えたり化粧を落としたりして多摩センターへ‥‥で、ぎりぎり間に合うかな?というところです。大変だけど、同じ教室の子が頑張っているのはやっぱり見たいよね。

そんなわけでバレエを全く見ていないわけではないのですが、冬シーズンの来るのが待ち遠しい今日この頃です。この冬は娘の受験があるのでチケット買うのも極めて控えめにしているのですが‥‥またレニ国の得チケでも出たら、きっと怒涛の1月になりそうで‥‥怖い、いやとても楽しみです。私の大好きなルジマトフも、本国の秋シーズンでは初日にベジャールの「バクチ」を踊ったり(うそ~!そんなのずるい!私も見たかった!)ほかにもぽつぽつと出演しているそうですから、来年の「ミハイロフスキー劇場ガラ」がとても楽しみです。いまのところ「アダージェット」1曲だけの予定のようですが、ぜひその「バクチ」も見たいlovelyお願~いdash

相変わらずミーハーで失礼しました。

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2008年9月29日 (月)

バレエマンガも好き 3

このところバレエを見ていないので、バレエ関係はネタ切れなのです。今月初めのチャリティ・ガラとレニ国のクラシックハイライトのあとは、もう11月の新国の「アラジン」まで手元にバレエのチケットはありません。そのあとはシュツットガルト~ボリショイと続くのですが、どうしてこんなにバレエの公演は同じような時期に集中するんでしょうsweat02

特に1月はもうレニ国だけで手一杯なのに、東京バレエ団でマラーホフの「眠り」、スタ・ダンの「シンデレラ」の再演(ことし初演を見損なった)がある!こんなに同じ時期にやらないでほしいんですけどね。見るほうは暇もお金も調達が大変で、もう無理ですsweat01

9月は東京バレエ団の「ジゼル」がよかったそうですね。私はパスだったけれど、いろんなところでマラーホフとルグリの解釈の違いの面白さが語られていたらしく、私もそんな話題に参加したかったなあと今になって思います。当日券もあったようだけど、忙しかったし、体調も悪かったしで行けませんでした。ルグリも引退が近いと言われているし、マラーホフも芸監の仕事と二足のわらじで、今後踊る機会も減ってしまうのかな~と思ったら、残念なことをしてしまいました。2008_0916_134452imgp6195

そんなわけで、ネタがなくなったので、今さらという気もしないでもありませんが、この夏に出たバレエマンガの感想(別にマンガファンでもない、素人の勝手な感想です)を忘れないうちに書いておこうと思います。「3」というのはどうでもいいけど、前回の続きということです。

山岸涼子「テレプシコーラ」第2部 1 (7月26日発行)
しばらく間が開いて出された第2部は、あれから3年後、16歳になった六花が登場します。あのショックな事件を乗り越えて、六花はまだバレエを続けていて、とうとうローザンヌ国際バレエコンクールに出場するまでになりました。それが‥‥飛行機の欠航などいろんなアクシデントがあり、なかなかローザンヌに着かなくて、その間の回想という形でこの数ヶ月前に参加した国内のコンクールのことが並行して描かれています。

どこかの「あとがき」か何かで確か、作者がこのマンガを書き始めたきっかけを語っている部分があったと思います。子どもの頃やっていたバレエを大人になって再開してみたら、今のバレエを習う少女たちの姿の変わりように目がいったとか。現代のバレエ少女たちは日本人離れして手足が長く、体型的にも恵まれた子が多くて、そういう子たちが小さい時から努力を重ねていく姿に何か新しいものを感じ、それをとりまく「今」の世界を描きたくなった‥‥とか(?)、どこに書いてあったか確かめてないのですが、確かそんなようなことが語られていました。

そのとおり第1部(全10巻)は、今風の論理的な教授法、教室運営の経済的なこと、バレエの世界の本部とか支部とか、バレエ団を中心としたいろんな先生のつながりなど、大人の世界のことも盛り込まれています。一方子どもの側では、伸びる時期に受験で中断しないように中学受験をするとか、親の経済状態とか、ダイエットとか拒食症とか、けがとか、外国に行ってまでやる特殊な手術とか、期待されて苦しむ姿まで、バレエ少女をとりまく現代のいろんな要素が描かれていてとても興味深いものでした。

そして第2部の出だしは、まずは「自立」というのがテーマかもしれません。付き添いの先生がいるとはいえ、親と離れて16や17で海外のコンクールに出かけていく。へたすればそのあとすぐたった一人で留学とか、現実に、10代ですでにそういう状況になるんですよね。またそうしないと一人前のダンサーとして世界で通用しない。考えてみればすごい世界です。

ローザンヌへ行く前、国内のコンクールに六花は一人で参加します。バレエ教師である母が教室を休めないからだそうですが、そんなこともあるんだな~。コンクールに出た子のお母さんに話をきくと、もうつきっきりで大変だったとか、そんな話ばかり。でも、案外地方の子たちは平気でそんなことをやっているのかもしれません。

昨年ふとしたことで知り合った人で、地方のバレエ教室の事務局をやっている人がいるのですが、今年の夏も小学生を10人ほど引率して、都内の「本部」のサマースクールにやってきました。小学校4年~6年までの女の子ばかりホテルで5日間、午前、午後の「本部」の教室への往復のほかは食事ぐらいしかホテルから出ずに、あとは部屋で夏休みの宿題などをさせて過ごしたそうです。習い事のためとはいえ小学生で親元から離れて、都内のサマースクールに参加しちゃう女の子たち。すごいです。

彼女の娘さんもバレエをやっているのですが、中学生になると今度は引率なしで1週間のホテル暮らしだそうですよ。お母さんの小学生の引率と入れ替わりに、今度は同じ教室の中学生数人で出かけていく。そして夏の終わりにはコンクールもあって、大変な夏休みだったようです。でも、小学生のころからそんなことをしているおかげで度胸も違うでしょうね~。

知り合いのお母さんも言っていたけれど、コンクールなどでは地方の子にはかなわないって。それだけ親からの自立は当たり前で育ち、ほかの誘惑もなくバレエ一筋にやっているんじゃないでしょうか。

話はそれましたが、マンガの話に戻ります。六花は一人で参加したコンクールで、同じ本部教室の拓人君に会います。拓人君は容姿も体型もバレエ向きじゃないけど、お母さんがバレエの先生ということで仕方なくバレエをやってきたような感じでしたが、ここへきて本気を出したのか、お母さんや本部の先生に内緒でコンクールに参加しています。

心細かったのが、思いがけず以前助けてもらったこともある拓人君に会い、二人で励まし合いながらコンクールに臨む姿がほほえましかったです。また、結果発表のあとの大人が集まっての留学の算段なども「へ~」と思うことがありました。こういうことまで細かく取材をして書いているのでしょうか?昔のバレエマンガだと、こんな内容は多分ありませんよね。昔のマンガはライバルだとか、いじめだとか、挫折だとか、それでも頑張るとか、そんな調子で進んでいきますから、バレエの世界を取り巻く現代の様々な事情なんて描かれなかったことですよね。そういう点では大変面白い作品だと思います。

ただ、一人で飛行機に乗ることになっちゃったとか、トイレに行っている間にどっちに行っていいかわからなくなっちゃったとか、ことさら主人公に自立を自覚させようとする部分が長すぎて、ちょっと飽きるところもあります。ローザンヌに出発する空港から始まって、コンクール初日が始まるところで終わる第1巻というのは、これが半年の連載分ぐらいだとすると、読むほうも相当根気がいるマンガですよね。作者はローザンヌまで取材に行ったというので、コンクールが終わるまであと単行本2冊分(連載1年!)ぐらいかかるかも!でもいろんな方面の詳細な描写は大いに期待するところです。

槇村さとる「ドゥダダンシン!」ヴェネチア国際編 4 (8月24日発行)
あ~何でこうなるの~?というか、多分最初からこういう構想だったのよね。それはわかっているんだけど、龍一王子びいきの私にはとても残念な展開になりましたsweat02 というか、龍一王子かわいそすぎcrying 娘は突然の三上クンのドラマチックな現れ方にすごく感動してたみたいだけど(ま、それが普通なんだろうけど)、せっかく熱くなりかけた王子が‥crying 「伝わっていないなら‥‥胸にしまっておく。」なんて、ばか~!しまっておくな~!!(ごめんなさい、ミーハーなもので)

マンガの話自体は、優勝候補の天才、小泉レナにかける家族、古い権威をふりかざす審査委員長と、バレエ界に新しい風を吹き込もうとするMr.鳴海との絡み、それを取材して不正をあばこうとするテレビ局と、背景は複雑に展開するのですが、まあ、そんな陰謀渦巻く(かもしれない?)話はさておいて。

全く、こんなに実際の踊りが見てみたくなるマンガってないと思います。このコンクール、ほんとに見たい!小泉レナ&ルイの「眠れる森の美女」の圧倒的な幸福感って?heart01、全然バレエを知らなかった取材のスタッフが思わずキュンとなるラブリーさって?heart01音楽を自分の身体の中に持っている天才って?見てみたいじゃないですか。そして、どんどん進化していく鯛子と龍一の「白鳥の湖」のグランアダージョ。スター誕生の瞬間!見たいわ~heart04 ウォンと静香さんの「ジゼル」も、熱くハングリーなウォンと、感情を出さない静香さんの組み合わせって??それも実際に見てみたいなあ~。

かといって実写版というのもね~。絶対無理だけど「ピアノの森」の、あのショパンコンクールに出ている人たちの実際の演奏を聴き比べてみたいというのと同じで、こんなに実物が見てみたくなるバレエマンガって、本当に魅力的だと思います。最初の「ドゥダダンシン!」1~9巻に続く、プロの(クラシックの)ダンサーへの挑戦のこの「ヴェネチア国際編」。ストーリーが私の好きな龍一王子と離れてしまっても、やっぱりこのドキドキ感とともにどこまでもついていきま~す!lovely それだけ魅力的な主人公だし、魅力的なマンガです。

曽田正人「MOON」(昴) 2 (9月3日発行)
反対に主人公の踊りなんかちっとも見たいとは思わないこちらのマンガ。何だかすごいことばっかりなんだけど、バレエというものを勘違いしているというか、芸術を甘く見ているというか、まあ、ありえないといえばありえない、「巨人の星」的な古典的なタイプのマンガなんでしょうか?

主人公にとっての「大リーグボール養成ギブス」は、子供のころのきつい体験。そして時空を超えた「ボレロ」も、盲目のダンサーと踊ることも、みんな「大リーグボール1号、2号」で、ははは、マンガだからね~ってそういう世界です。大体、世の中の目の肥えたバレエファンからすれば、生意気な17歳の小娘の踊りがいくらすごいと言われても、17歳は17歳、まだまだ未完成と思うでしょう。

鑑賞歴の浅い私でも、実際の舞台や有名な人の昔のビデオなどを見る限り、技術的なピークは20代半ばぐらいだろうと思います。そして表現力などが深まるのはさらにあと、30代以降じゃないでしょうか。バレエというのはごく若いころにピークを迎えるフィギュアスケートや体操とかの競技と違って、長い間の地味な努力、たゆまぬ研鑽、芸術的な深まりによって磨きあげながら総合的に人を感動させる域までに達していくものだと思うのです。

まあ、一般論はともかく、それでも勘違いが多い。大体「100回踊れば100回とも1ミリのぶれもなく同じ踊りをする」ようなダンサーの踊りなんて見たいと思わない。スポ根ものじゃあるまいし、100パーセントのぶつかり合いのパ・ド・ドゥなんてどうでしょうね~??見てて疲れるよね。少なくともクラシックじゃないと思うし、全体の幕ものバレエとしての物語から外れてしまうと思うし、モダンならともかく、観客はバレエにそんなこと求めてないと思います。

それから主人公が嫌がる暗い過去をあばくテレビのドキュメンタリー!もう口あんぐりのいや~な世界なのですが、それでも読んでしまうのはそういう刺激的なところがあるから。もしこの作品が常識的になったら(絶対ならないか?)作品の魅力もなくなってしまうんでしょうね。よくわかりませんが、これも最初の「昴」が全11巻で、それに続く第2シリーズ。今まで「ありえない~!」とか言いながらずっと見てきたのもそういう一味違った「何か」に引っ張られてのことなので、これからもそのとんでもない少年マンガ的なところで読まされていくのでしょうね。

バレエファンの皆様でしたらこんなのは全部ご存じだと思いますが、もしまだ読んでいなければ秋の夜長にぜひどうぞ。私も、これから11月まで(今のところ)公演に行く予定がないので、いよいよ買ったまま見ていない(まだある!?)DVDに手をつけようか‥‥sweat02と思っています。

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2008年9月 8日 (月)

華麗なるクラシックバレエ・ハイライト(9月3日)

2008_0908_150437imgp6114 ホントの公演名はこの題名のあとに「with草刈民代」と入ります。草刈さんは毎年レニングラード国立バレエと共演しているようですが、実は私は見るのは初めてでした。今年の冬の「白鳥の湖」では、全幕最後と銘打ってありましたが、あれ?引退するのかな?と思ったら今度はまた来年、最後の「ジゼル」を踊られるそうです。

レニ国のファンの間ではあれこれ言われているようですが、これだけゲスト出演の公演を打つというのは、やはりそれだけチケットが売れるからなんでしょうね。この日も得チケが出ていたこともあると思いますが、1階はほぼ満席でした。理由はともあれ、やっぱり満席の公演って気分的に盛り上がりますからね。

この日は声は出るようになったものの、相変わらずの夏風邪で、うっかりすると咳き込んでしまう危険があったので、強力のど飴を握り締めて、危険を感じたらすぐ口に放り込めるようにしながらの苦しい鑑賞でした。あれからずっと風邪が抜けなくて、感想もすぐには書けなかったので、今となってはもう覚書程度になってしまいそうなのが残念。

≪第1部≫
「レ・シルフィード」(草刈民代、ステパノワ、ミリツェワ、コルプほか)
幕が開いて、真ん中に草刈さんとステパノワに寄り添われたコールプさん‥‥いきなりげっ、何これ?と思ってしまって、ごめんなさい‥‥‥!コールプとステパノワがこの演目のイメージに全く合っていなかったので。皆さん白い衣装がまぶしく見えるほど日焼け?してるのでしょうか?草刈さんが一番色白に見えました。

何年か前に友人が、草刈さんの舞台を見てきたので、どうだった?と聞いたら、一言「あの人腰か何か悪い?上半身はきれいだけど下半身が全然だめ」と言っていたので、どうかなと思ったけれど、ロマンティックチュチュで脚が隠れているせいかそれほどではなくて、丁寧できれいな踊りだと思いました。脚をそんなに高く上げない(上がらないという話ですが)のも、むしろ上品な感じさえしたし。コールプと一緒に踊る部分は、慣れないせいなのか、つっかかっているようなところもあったし、何かお任せ風なところもあったけれど、容姿もスタイルも美しいし、有名人だし、彼女を見るためにチケットを買った人もそれなりに満足して帰るのかな~とは思いましたよ。

風邪で絶不調のため、大分忘れてしまったけれど、ミリツェワもステパノワもよく踊っていました。ただ、コールド付きだったのにコールドの印象がない。コールプは相変わらず伸びやかできれいな踊りだったと思うけれど、やっぱり印象に残ってなくて、真っ赤に見えた胸元と、乱れたボウタイが、今回はサポートを一生懸命やってるのね?ということを物語っているようでした。

「ルースカヤ」(コシェレワ)
コシェレワがとてもかわいかったです。本来は「白鳥の湖」のディベルティスマンの一つでロシア風の踊りですよね。胸のところに切り替えがある薄物のジュリエットみたいな衣装にトゥシューズ、手には薄いハンカチを持っています。最初は静かで、あとになるほど激しい動きになる結構長い踊りですが、一人でずっと踊りました。コシェレワはソリストとして毎回何かの役で舞台に登場し、親しみのある容姿でおなじみの人です。踊りも正確だし、真面目で誠実そうで好感が持てる人ですが、ちょっと存在感が地味なのかな?と思っていたけれど、この可憐な雰囲気はどうして、とってもキラキラしていました。

「ライモンダ」よりパ・ド・ドゥ(シェスタコワ&シャドルーヒン)
これって、あのチャリティ・ガラでも見た「ライモンダ」の1幕のパ・ド・ドゥですよね?メルクリエフの白マント姿がとてもかっこよかったので、シャドルーヒンにはとても分が悪い‥‥。去年見たときよりおでこの剃り込み(!)がきつくなって、オジサン風になってしまった?まだ30ぐらい?のはずなのに‥‥‥。

そのかわりシェスタコワがとても輝いていました。顔が小さくて手足が長い。そして緩急自在。それから、やはり二人の息がぴったり合って、シェスタコワも伸び伸び踊っていましたね~。でも、この人はやっぱり全幕で本領を発揮する人なのだと思います。来年、日本初公開の「ライモンダ」の最終日にキャスティングされていますが、二人の魅力ある求婚者の間で、どういうライモンダを見せてくれるのか、(シェスタコワとシェミウノフという組み合わせは初めて見る?)とても見たくなりました。

≪第2部≫
「海賊」よりパ・ド・ドウ(コシェレワ&シヴァコフ)
シヴァコフを見たのは去年の夏(ルジすべとクラシック・ハイライト)以来ですが、「海賊」は合っているのか、とても素敵なアリでした。ただ、この人って本当にまっすぐで裏(暗さとか、影とか)がないのね~。ビジュアル的にかっこいいだけにもっと雰囲気づくりをしてほしい。。

コシェレワは先ほどのかわいらしさのまま、しっとりとした感じも加わってよかったです。最後、フェッテで途中からだんだん左へずれていってしまったのがちょっと残念。

「瀕死の白鳥」(草刈民代)
「瀕死の白鳥」といえばアンナ・パブロワ、プリセツカヤ、現代ではロパートキナ、ニーナ、そしてこの間見たばかりのマハリナ。これを踊るのは名だたるプリマばかり。そういう意味でいえば、日本でこれを踊れるのはネームヴァリューでいえば草刈さんがふさわしい?のかもしれませんが‥‥‥。確か去年の大晦日にテレビで放送されましたよね。その時ご本人のインタビューか何かで、まだ習いたてのようなことをおっしゃっていたと思います。(勘違いだったらごめんなさい。たまたま見ただけで録画していなかったので)その時の印象は「え?」でした。

今回見たら、テレビで見たときよりはずっとよかったと思います。背中を見せた後ろ向きでの腕の動きはとても美しく、品格もありました。でも、やっぱり何か変。どうして?と思っていたのですが、この踊りの命であるパ・ド・プレが、やたら膝がうるさく動いてきれいじゃないのです。そして、ポワントで立ったときに5番に入っていれば両方の踵がクロスして外へ向いているはずなのに‥‥と、思いましたが。

「ワルプルギスの夜」(ミリツェワ、シャドルーヒン、マスロボエフ)
去年の夏公演でエフセーエワが踊って、会場が一番沸いた演目です。グノーのわくわくするような音楽も大好き。ことしはあのピカピカの元気娘エフセーエワがいなくて淋しいです。
何か振付がちょっと違うような。もっとアクロバティックな技がビシバシ入っていたと思うけれど。あれは小柄なエフセーエワ向けのヴァージョンだったのでしょうか。ミリツェワもかわいいけれど、何というかな~普通っぽい。まるでドキンちゃん(バイキンマンのお友達の)みたいな、人間離れしたエフセーエワの小悪魔ちゃんぶりに比べると、素直すぎてケレン味がないのかな。男性二人の魔物たちは芝居っ気たっぷりで盛り上げていました。

「サタネラ」よりパ・ド・ドゥ(ヤパーロワ&ヤフニューク)
初めて見るお二人。というか、もしかして冬公演のどこかで見ているかもしれないけれど。ヤフニュークはそこそこルックスもいいので、イケメン不足のこのバレエ団には期待大かもしれません。

この曲は「ベニスの謝肉祭」というんですよね?「サタネラ」ってどういうバレエなのか、一度調べたことがあったけれどよくわかりませんでした。今回のプログラムによると、「悪魔サタネラに惑わされたハイデルベルクの学生が、婚約者を見捨てる」お話だそうですが、バレエコンサートなどではあらすじとは関係なくカーニバル風に陽気に踊るそうです。どうりで、ヤパーロワの衣装はオディール?みたいな黒地に少しだけ赤の入った衣装で、頭に羽など付けているのですね。ずいぶんと魅力的な小悪魔だったように思います。しかしバレエのお話って、情けない男が多いのね。

「パキータ」より(草刈民代&コルプほか)
この劇場の内部が描かれた背景と、ゴールドのもふもふした重そうなクラシックチュチュのコールドを見たとたん、以前見たルジマトフとシェスタコワの超・超かっこよかった「パキータ」がフラッシュバックしてきて涙~weep せめてコールプとシェスタコワで見たかったな。。。

草刈さん、クラシックチュチュでは弱い下半身が一目瞭然なんです。背中も硬そう。でも、これだけ堂々と踊っていらっしゃるのはある意味すごいかも。きりっとした音楽によく合って、流れずに一つ一つのポーズをぴたっと決めているところなどはさすがだと思いました。最初はシルフィードのような柔らかい雰囲気がお似合いなのかなと思い、もっと演目を選べばいいのにという気がしたけれど、どちらかというとこういうきりっとした踊りのほうが本来得意だったのかもしれません。噂には聞いていたけれどコーダのフェッテはなしで、ピケターンとシェネで回っていました。でも、そこそこスピードもあったので、苦手な技を無理してやるよりはこのほうが潔いかなと。

ステパノワ、ミリツェワ、コシェレワと、もう一人キューピットの曲を踊ったジュラヴリョーワという人、この4人が代わる代わる踊るヴァリエーションが豪華でした。ステパノワはこういう雰囲気がとても似合います。コールプも今度は本領発揮。でも、今回の公演は怪しさが少なくて影が薄かったかも‥‥。その分、来年の「鬼才コルプの世界」でぜひ思う存分やってくださいませ。期待しております。

フィナーレはシェスタコワ、再び「海賊」の衣装にお着替えしてきたコシェレワ、ヤパーロワ、ヤフニュークも加わって賑やかでした。シェスタコワとステパノワのフェッテ合戦もとても盛り上がりました。楽しかったです。でも、ひとつだけ物足りないとすれば、一番のプリマ、シェスタコワの出番が少ない!せっかくならシェスタコワでもう一曲見たかったな~。プハちゃんも、いたのなら何かで登場してほしかったです。

これで8月16日から始まった夏ツアーは、関西、東北、中部などを回り、毎日のように公演をして、この東京で幕を閉じました。今年は特に暑い夏でしたが、後半急に寒くなったりして体調管理も大変だったのではないでしょうか。また来年1月に素敵な舞台を見せてほしいです。私も今は風邪がすっかり長引いて体調ボロボロですが、早く持ち直して仕事も家事もがんばって、また1月には心置きなく、たくさん彼らの舞台(冬には芸監さんも来るだろうし!)を楽しみたいと思います。

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2008年9月 4日 (木)

中越沖地震チャリティ・ガラ

Img この公演は、主催者はどうもこれが初めてのところみたいだし、当初から出演者も演目も「予定」というだけではっきりしていませんでした。で、どうしてこの公演を見ようと思ったかというと、実は大嶋さんが出演するというから。

去年の、シルビー・ギエムと東京バレエ団の公演で、「カルメン」のホセを踊った大嶋正樹さんに一目惚れlovely だけどその翌日、大嶋さんは舞台上で怪我をするというアクシデントに見舞われ、その後どういうわけか東京バレエ団を退団してしまったのです。今回久しぶりに見られると思って楽しみにしていたのですが、踊ったのはモダンを1曲だけでした。もうすっかり怪我のほうはいいようですが、これから先見られる機会があるのかなと思うと、1曲だけというのはちょっと残念でした。

そういうわけで、ほかの出演者はいろいろ聞いてはいたけれど、特に期待はしていなかったのですが、これがまた思いがけず多彩で、とても充実した内容でした。それだけにお客さんが少なかったのがやっぱり残念。あとで聞いたら、結構バレエを見ているような人でも、この公演があること自体知らなかったというのでびっくりしたくらいです。

公演の運営もボランティアなのか、スムーズではなく、開演10分前なのにまだ入口には行列が。そしてプログラムも何も配られてなくて、入口に1枚だけ貼ってあるキャスト表はケータイで写す人で人だかり。休憩時間になって、やっとそれが配られるという状態だったので、1部は一体どんな演目をやるのか知らないまま始まってしまいました。

≪第1部≫
眠れる森の美女(寺島ひろみ&アンドレイ・メルクリエフ)

メルクリエフの王子姿、すごくはまっていてりりしい。もともと彼は美形ですが、それだけではなく、オーロラ役の寺島ひろみさんとのアイコンタクトがしっかりとれていて、とてもほほえましい素敵な王子様ぶりでした。寺島さんはまさに幸せ感いっぱいのお姫様そのもので、見る人に幸せオーラをきらきらふりまいている感じがして、よかったです。

バラの精(さいとう美帆&アントン・コルサコフ)
これには非常にびっくりしました。コルサコフ君(「くん」なんていう年齢じゃないのかもしれないけど)は色白丸顔で、首も短く幼児体型なんですよね。こういう人がバラの精になるとどういうことが起きるのか。。。彼が濃いピンクのバラの精の衣装でジャンプして登場したときは、思わず噴き出しそうになりました。まるで西洋絵画から抜け出したキューピットというか、でっかいキューピーちゃんみたい。色白で金髪巻毛、つぶらな瞳、バラ色の頬、それはそれでかわいらしくて「バラの精」にはぴったりなんだけどね~。(では、あのコールプの怪しい毒花のような「バラの精」は一体何なんだ!?)ニジンスキーも、どちらかというとぽっちゃり体型だったようなので、もしかすると本来の「バラの精」はこんな感じだったのかもしれません。

さいとう美帆さんは、初めての舞踏会の余韻にうっとりしてる少女という感じには見えない‥‥。だって最初っからお目々ぱっちり満面の笑みなんだもの。夢見心地に眠りながら最初は夢の中で「バラの精」と踊るんじゃなかったっけ?コルサコフ君のバラの精があまりにぼーっとした顔で、非現実の世界で踊っているのに、夢の中の少女のほうが元気がよくて、何だかちぐはぐな感じがしました。

NE ME quittes pas~行かないで(アンナ・パシコワ)
インペリアル・ロシア・バレエの人のようなので、2006年のルジマトフとインペリアル・ロシア・バレエの公演プログラムを見てみたら、名前と写真が載っていました。よく覚えてないけれど、たぶんあのとき「ダッタン人の踊り」で、タイツをはかない生足で激しく踊っていて印象に残った人じゃないかな?と。細身で手足が長く、きれいな人です。今回は水色のロングドレスで、しなやかな動きを見せてくれました。

白鳥の湖より2幕(ダリア・スホルコワ&シリル・ピエール)
おなじみの白鳥のグラン・アダージョなのですが、まず登場した王子にびっくり。灰色の、えらく地味な軍服みたいな衣装で、こんな王子ってあり?そしてスホルコワは、かなりのX脚で、甲があって首も長くて特徴的な人なのだけれど、何かな~?どこが違うんだろう。雰囲気が両方とも暗~い感じなのですよ。王子にとってはこれが初めての恋のはずなのに、ず~っと深刻な表情だし、オデットも突然現れた王子を怖がるのはわかるけど、最後には王子に運命を任せるようにうちとけてもいいんじゃない?

リフトの部分はさかさまにならずに、まるで白鳥が空を羽ばたくような形で、とても美しかったのだけれど、全体的にはまるでこれから死にに行くような悲痛なアダージョでした。こういう解釈もいいのかなと思ったけれど、これが全幕で、最後がハッピーエンドだったら怒るぞ~!

ジプシー(高橋晃子)
寺島さんにしてもさいとうさんにしても、日本人が西洋人の中に入るとどうしても子供っぽく見えてしまうのですが、高橋さんは独特な、エキゾティックな雰囲気を持った人のようです。これは「ドン・キホーテ」の中のジプシー?柔軟性を見せる部分と、速い動きとのメリハリがあり、スパイスの利いた爽快な踊りでよかったです。

ライモンダ(ガリーナ・ステパネンコ&アンドレイ・メルクリエフ)
白いマントでさっそうと登場したメルクリエフ、かっこいいですlovely ステパネンコはさすがの貫録で、余裕の踊り。残念ながら細かいことは覚えてないくらい、白いマントを翻すメルクリエフにぼーっとなってしまいました。

金平糖の踊り(アリヤ・タニクパエワ)
あとで配られたプログラムには「海賊」となっていましたが、パートナーのミハイル・マルテニュクが怪我でもしたのでしょうか?タニクパエワのソロになっていました。ウイーン国立歌劇場の人とプログラムには書
いてありますが、どことなく日本人に近い雰囲気を持った人です。短いヴァリエーションだけでちょっと残念。

シェヘラザード(ユリア・マハリナ&イリヤ・クズネツォフ)
前回も書きましたが、この新宿文化センターで、いきなりシェヘラザードの曲が流れ、マハリナのゾベイダが登場した時は本当にどきっ!でした。マハリナ、相変わらず魅力的でかわいい。あ~これで相手がルジ様だったなら‥‥。金の奴隷役のイリヤ・クズネツォフは美形だし、長身でワイルドな感じもあって悪くはないのだけれど、何しろ私の定番がルジマトフなので、やっぱりもっと奴隷らしい切なげな表情とか、王妃に対する畏敬の念とか、そういうものがほしいのよね~。奴隷だからといって単純に粗野なだけじゃダメ‥‥抑圧されたところから一瞬解き放たれた、そんな命と引き換えのぎりぎりのエロティシズムがこの作品のすごさじゃないかと。そんなことを言っても仕方がないですけど。比べる人が比べる人だけに、ただの粗暴な奴隷に見えてしまいました。

≪第2部≫
アダージオ(アンドレイ・メルクリエフ)
モダンといっても、きれいな動きの、とても端正な作品でした。すみません、よく覚えていません。

マタハリ(ユリア・マハリナ&イリヤ・クズネツォフ)
椅子に座ったマハリナの脚が細い‥‥!確かマハリナのために振りつけられた作品(の一部)と聞きましたが、もちろん見るのは初めて。

「海賊」より奴隷の踊り(寺島まゆみ&芳賀望)
ちょうど1年前のボリショイとマリインスキーのガラ公演でこれを見たとき、売られるはずのギュリナーラがニコニコしていたので、非常に違和感を感じたのだけれど、ボリショイ版のこの踊りは少しシチュエーションが違うということでした。今回、ボリショイ版でもないのに、奴隷として売られちゃう娘がまるでお姫様のような笑顔というのはやっぱりすごい違和感。ガラならそれでもいいのかもしれないけれど、ところどころに拒絶のポーズも入っているのに、やっぱりにこにこしてたら変じゃないでしょうか?

芳賀さんはおヒゲまでつけて奴隷商人になりきっていただけに、ピクニックにでも行くようなルンルンのギュリナーラはやっぱりね~。先々月、ABTの「海賊」でサヴェリエフのすごすぎるランケデムを見てしまったあとなので分が悪いのですが、芳賀さんの踊りもダイナミックでよかったです。

iI Pleut(松崎えり&大嶋正樹)
私は全然知らないのですが、松崎さんという人はモダン作品の振り付けをする人?大嶋さんの出演を楽しみにしていた割には全然覚えてなくて申しわけないです。大嶋さんは少し太った?何だかおじさんっぽくなってしまったような。もっとほかの作品(ナイーヴな心情を表現するような)も見たかったです。

カルメン(アンナ・パシコワ&イリヤ・クズネツォフ)
またまたクズネツォフが大活躍。椅子が出てきたりして、先ほどの「マタハリ」とかぶるんですけど。プログラムにはタランダ振付とありましたが、あまり面白い振り付けではなかったような。

ロミオとジュリエット(オクサーナ・クチュルク&イーゴリ・イェブラ)
この日の一番は何といってもこれ!でした。バルコニーの場なのにバルコニーもないし、星空が映し出されたスクリーンだけがバック。それなのに、どこか山のてっぺんか何かにいて、まるで星空の中に吸い込まれてしまうような陶酔感がありました。さっき恋に落ちたばかりの二人、それがまたお互い引き寄せられるように出会い、過ごす時間は人生の中ではほんの一瞬。まばたきするくらいの短さかもしれないけれど、その一瞬の輝きが永遠に通じる。そんな場面を見事に表現していて、涙が出てしまいました。今にも星空の中に飛び立たんばかりの羽のように軽いジュリエット。幸福の絶頂で、もうどんなことでもできるとばかりにジュリエットを軽々と振り回すロミオ。恋する気持ちをそんな踊りで表現できるバレエってほんとにすばらしい。この二人の全幕がとても見たくなりました。

瀕死の白鳥(ユリア・マハリナ)
やっぱり2年前でしたっけ?2006年、インペリアル・ロシア・バレエとルジマトフの公演でマハリナが「瀕死の白鳥」を踊りました。つい2年前のことなのに、何だか遠い昔のようです。あの時はこんなに早くルジマトフが見られなくなってしまうなんて思いもしなかった‥‥‥。なんて、脱線。あのときのマハリナは、とても死にそうにない健康的な白鳥だったのだけれど、今回は細い脚が痛々しく、よりはかなげな白鳥になっていました。最後、体を反らせて終わるのはマハリナのオリジナル?でしょうか。

「ドン・キホーテ」より(ステパネンコ&コルサコフ、その他大勢)
テーブルと椅子を置いて、酒場のシーンのようになった舞台。メルクリエフはエスパーダ?踊り子のパシコワとコレスニチェンコの二人とのやり取りがとても楽しい。ステパネンコのキトリは私にはニーナとともに定番です。だけどコルサコフのバジルって超似合わない!終始機嫌の悪そうな顔だったけれど、あれはメルクリエフと張り合ったお芝居だったのかなあ?ひとしきり小
芝居があったあと、アダージョが始まりました。それがなんと、ステパネンコを相手に5人の男たちが代わる代わる踊るスペシャルバージョン。それがとても楽しかったです。

ヴァリエーションは二人の日本人のダンサーが踊りました。その最初の長澤美絵さんはちょっと子供っぽいところがあるものの、笑顔がとても可愛くて、立っているだけで華のあるダンサーだと思いました。

ステパネンコのヴァリエーションは扇を持った踊りでかっこいい。コーダも安定したフェッテで大盛り上がり。お芝居の途中でか、踊りの中でかは忘れたけど、ステパネンコがロミオの衣装のままのイェブラに2回連続で横っとびダイブをしたのがびっくり。多分最年長?のステパネンコが一番元気!大いに場が沸きました。サービス精神旺盛なのはニーナと同様ですね。ひときわ華やかで大輪の花のようでした。

そしてカーテンコールにタランダさん登場。2年前に「シェヘラザード」の王様を演じた時より、さらに恰幅が良くなっていました。シャツのすそをズボンからおもむろに出したかと思うと、何と、タップダンス風の踊りを披露。(あの横にくにゃっと曲がった足首は一体どうなってるんでしょうね~?)ほんとに楽しくて、最後もとても盛り上がりました。

≪第3部≫
Toshi Special Live
Toshiさんは元Xjapanのヴォーカリストで、現在は癒しのアーティストとして全国を回り、コンサートの合間にも学校や福祉施設、少年院など様々な場所で活躍しているそうです。どうしてこの場で歌うことになったのかわかりませんが、お客さんはさすがにほとんどがバレエファンなので、半分ぐらいは帰ってしまっていました。

1曲目、何とメルクリエフとパシコワと、もう一人がよく見えなくてわからなかったのですが、3人のダンサーが曲に合わせて踊ってくれました。Toshiさんいわく、バレエダンサーと共演したのは長い活動の中で初めてだったそうです。

3曲歌ってくれましたが、どれもメロディのきれいな静かな曲で、やはり癒しをテーマにしたものでしょうか。だけどみんな同じような曲だったし、マイクを通しての音がつぶれていて、歌詞の内容がよくわからなかったのが残念。普段コーラスなんかをやっていると地声を張り上げる歌い方が苦しそうに聞こえてしまい、私には全然癒しに感じられませんでしたけどね。バレエを見る皆さんはクラシック音楽にも精通している人が多いので、このミスマッチ感はどうだったのかな~?と思ってしまいました。でも、久々にコンサートの雰囲気をちょこっと味わうことができました。

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2008年9月 2日 (火)

ガラガラのガラ?

夏の終わりに風邪をひいてしまったようで、のどをやられて声が少しおかしくなりました。それなのに、この土日でコーラスと歌舞伎保存会の練習があり、両方とも舞台が近いので休むわけにもいかず、無理してやっていたら、きのうとうとう声が出なくなりましたcoldsweats02

きのうは新潟県中越沖地震チャリティ・バレエガラがあって、私は早くからチケットを買っていた特典で「リハーサル見学会」の整理券も持っていたのですが、夏風邪で体調が悪いのと、仕事の関係もあって、昼のリハーサルの見学のほうは泣く泣くあきらめました。でも、本番のほうは這ってでも行くぞ!という気合で、ほとんど声が出ないのに、夕方出かけていきました。

行ってみてちょっとびっくり。何と、開演5分前なのにどうしてこんなに人が少ないの?開演時間になっても、まだ席はがらがらでした。本当にこれで開演できるのかな?と不安になりました。それから徐々に人が入って、10分ほど遅れて無事幕が開きました。私は前のほうの席だったので後ろを振り向いてキョロキョロすることもできなかったけれど、多分お客さんは多く見ても6~7割程度しか入っていなかったのではないでしょうか。

中身はとても充実していて、舞台背景、セットも何もない、音楽もテープなのに、十分満足のいく公演でした。ただ、せっかく来てくれた出演者の方々に申し訳ないくらいお客さんが少なかったのはどうして?それがとても気になってしまったのですが。

主催者側の、なるべくコストをかけずに、少しでも多く寄付に回したいという気持ちはわかりますが、どう見ても宣伝不足だったよね~。私でさえちょっと不安になったくらいだもの。私が知ったのはインターネット上だし、あとチラシも他の公演で配られたものだけ。新聞での紹介も見たことがありませんでした。これでは一般の人々への周知はできてなかったでしょうね。それにチャリティという性質上、得チケなどは出せないし、いろいろ難しかったのだと思います。

それからこの時期、バレエファンはいろいろ見るものがありすぎて資金不足なんですよ。私も、もう少しチケット代が安かったなら友達を誘えたと思うし。せめて国内バレエ団の公演なみ(レニ国の夏ガラだって早期優待で9,000円!)だったらな~。いま外国のバレエ団の公演はとても高くなっているので、このメンバーなら決して高いチケット代だとは思わないけれど、15,000円で空席がたくさん出るよりは、10,000円で会場をいっぱいにしたほうが‥‥と思ったりしました。

リハーサルの見学は残念だったけれど、体調の悪い中でも本当に楽しめた公演だっただけに、お客さんの入りが少ないのが残念でした。ことし1月のレニ国の「バヤデルカ」に行って、今までになく空席が目立ったので驚いたのですが、それ以上に多分、後ろや端、2階席はガラガラでした。よい舞台だっただけに、それがとてももったいなかったです。

内容の詳細は改めて書こうと思いますが、全体的にはもう「メルクリエフ・オンステージ!」みたいな感じでした。あるいは「ステパネンコと仲間たち」とかね。本当に楽しませてもらいました。ステパネンコはとてもサービス精神のある人ですね。もうかなりベテランの、大御所といってもいいくらいなのに、そしてどかっとした存在感もあるのに、すごくお茶目でかわいいの。

私がバレエを見始めた頃、娘のバレエの発表会で「ドン・キホーテ」をやるというので、勉強のためにと、友達が貸してくれたボリショイの「ドン・キホーテ」のビデオを、それこそテープが心配になるほど何度も見ました。多分、テレビ放送の録画だったと思うけれど、ステパネンコのキトリ、ウヴァーロフのバジルでした。

そのあと、2000年の「世界バレエフェス」の特別ガラで見たステパネンコが忘れられません。「海賊」のグラン・パをウヴァーロフと踊ったと思うのですが、最後にもう一度、茶目っ気たっぷりに出てきて、グランフェッテをアンコールで踊ってくれました。あのとき、カーテンコールも含めて32回転を合計3回やったんじゃないでしょうか。ステパネンコを見たのはあれ以来でした。何というか、8年ぶりに見ても全然変わらないテクニックと存在感。感動してしまいました。

それからメルクリエフが4演目を踊る大活躍。「眠り」のグラン・パではとても素敵な王子様で、「ライモンダ」では白いマントをひるがえすかっこいい騎士。モダン作品もきれいだったし、最後の「ドン・キ」では芝居っ気のある楽しいエスパーダ?を披露してくれました。

この中で、私が一番感動したのはクチュルクとイェブラの「ロミオとジュリエット」でした。クチュルクを見るのは何年ぶりかなあ。もう、すごく愛らしくて、涙がでちゃうほど可憐なジュリエットでした。そしてイェブラのロミオ。あれ~この人、絶対どこかで見たことがある!だけどボルドーオペラ座の人なんてほとんど知らないし‥‥と思ったら、以前NHKで放送されたリトアニア国立バレエの、ワシーリエフ版の「ロミオとジュリエット」の、まさにそのロミオでした。テレビでしか見たことがなかったけれど、本当に少女マンガの中から抜け出したような美形のロミオで、こんなにぴったりな人がいたのかと思うくらいでしたが、そのイェブラのロミオを、時を経て生で見られるとは思ってもいませんでした。それがとても収穫!

そしてマハリナ。第1部の最後に、いきなりシェヘラザードの音楽が流れて、ゾベイダの衣装を着たマハリナが現れた時には本当にドキッとしてしまいました。場所も新宿文化センター。この場所で、マハリナのゾベイダで「シェヘラザード」なのに、金の奴隷がルジマトフじゃないなんてcrying グズネツォフも整った顔立ちのわりに、かなりワイルドな雰囲気で、イメージに合わないわけじゃないけれど、やっぱり何でルジ様じゃないの~weep あの豹のようなしなやかさと、せつなげな表情。あれこそ金の奴隷だと思っている私に、この演目は酷でした。

最後の「ドン・キ」は酒場のシーン+グラン・パの特別ヴァージョンで、とても楽しかったです。今回の芸術監督であるタランダさんも最後に登場して、タップダンスみたいな踊りをとても楽しげに踊ってくれました。声が出なくて「ブラボー」を言えなかったのが本当に残念でした。かわりに手が痛くなるほど拍手をしました。

きょうは少し持ち直して、まだ多少変ではありますが無事声も出るようになって、やれやれです。一つ一つの演目についてはまたこの次に。

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2008年8月30日 (土)

定期便的バレエ系のつぶやき

発表会以来、バレエは見ていません。その間にもエトワール・ガラとか、今度ミハイロフスキーに入ったボルチェンコ姉弟(兄妹?双子だという話も?)が踊った「白鳥の湖」とか、ポリーナちゃんとウヴァ様の「ドン・キ」とか、気になる公演がいくつかありました。誰か見られた方の感想なども聞きたいなと思ったけれど、前回書いたような夏休み疲れもあって、今回はほとんど検索とかもしませんでした。

ただ、「中越地震チャリティ・ガラ」はちょっと気になっていました。今回の企画が初めてという聞いたことのない主催者。。。手作り風の安上がりなHP。そして届いたチケットは普通郵便!大丈夫だろうか?もしかしてチャリティなんてうまい話で、直前にドロンとか?などとあらぬ心配をしていた(冗談です、ごめんなさい!)のですが、公式ブログによると奈良の公演は大盛況で、ダンサーの皆さんもこのイベントをとても楽しんでいる様子が伺えて、ほっとすると同時に、東京公演がとても楽しみになりました。ただ、あそこに書いてあるいろんな有名ダンサーのことや、演目のことなど、盛りだくさんすぎて半分ぐらいしか知っているものがありませんでしたけどね。それだけにまた新しいものに出会える楽しみもふえました。

それが、いよいよ来週に迫っていたのです。わ~!それにミハイロフスキーの「華麗なるバレエガラ」もあります。実は私、草刈民代さんは生で見るの初めてなんですよ~。バレエファンと公言しながら、そんな有名な人も見たことなかったというのは、どれだけ偏っているんでしょうね。別に避けていたわけではなくて、(いろいろ悪評も聞いているけど)単に機会がなかっただけなのです。その初めてが何とコールプと!

それから、きのう来たK社のDMによると、来年4月に草刈さんプロデュースで「ローラン・プティの世界」という公演があるそうです。その公演にまたまたコールプが!K社さんもいよいよルジ様に次ぐ看板スターをコールプにという魂胆か‥‥。というより、まず草刈さんとコールプ、ローラン・プティとコールプというのが頭の中でまったくかみ合わなくて困ります。いったいどうなるのでしょう?未知の領域です。でも、これは4月なので、多分見に行けるのではないかと。

大変なのは1月ですよね。「鬼才コルプの世界」と「ミハイロフスキー劇場ガラ」のチケットが先日届きました。2日連続です!それは確保したのですが、結局、迷った末、まだレニ国冬公演の全幕チケットは買っていません。希望として、できれば各演目1回ずつは見たいのですが、娘の受験もあり、そんなに出歩けないかもしれないし、どうなるかわからないので、あとは得チケ狙いでいこうということにしました。

今となっては信じられないけれど、去年見たルジマトフのすばらしい公演の数々は、実は売り出し当初は1枚も買っていなくて、ほとんど得チケ利用で見たのです。せっかくならいい席で見たいとも思うけれど、いい公演を見た感動は得チケでも変わらなかった。それがこの経験でわかりました。主催者様には申し訳ないけれど、私には得チケ様々です~。

得チケといえば、9月の東京バレエ団の「ジゼル」にも、日によって得チケが出ています。マラーホフとルグリという二大大御所が出演するにもかかわらず、私としてはちっとも触手が動かないのはどうしてでしょうね。でも、二人とも3公演ずつぐらい予定されていると思うのに、得チケが出ているのはマラーホフ3公演、ルグリ1公演で、何だかルグリが優勢なのはなぜ?ルグリと踊る斉藤さんが人気なのか、マラーホフが怪我上がりのためか、わかりませんけど、こうなったらちょっとマラーホフ応援してみようかな??

それから、バレエ・シャンブルウエストから創立20周年記念の公演の御案内が来ました。10月に新国立劇場中劇場で「くるみ割り人形」を上演するそうです。

前に友人情報で、引退?と聞いていた吉本真由美さんが、この公演の金平糖の女王に3回のうちの1回ですが、キャスティングされています。まだまだ引退じゃなかったのですね。友人は吉本さんのクラスに通っているので、多分ご本人から直接聞いた話だと思っていたのですが。もしかしてご本人はそう思っていても、創立記念公演だからということで出ることになったのでしょうか。

シャンブルウエストの「くるみ割り人形」は、歌舞伎の引き抜きみたいに王子の衣装に早替りしたり、ゴンドラに乗ってお菓子の国に行ったり、楽しい工夫がいっぱいつまったような舞台だったと思います。残念ながら10月の4、5は予定が入っていて行けないのですが。weep ここで「くるみ」をやってしまって、毎年12月にやっている地元公演は何をやるんでしょうね。ここ数年見ていませんが、出演者が最後にキャンディやぬいぐるみを投げる、冬の八王子の「くるみ割り人形」も子供連れには楽しくていいものでしたよ。

あと、楽しみにしていたバレエ漫画が、ここへ来て次々最新号が発刊されています。きょうは「Moon(昴)」の発売日だったようですが、娘が言うにはまだ本屋さんになかった(?)ようです。ほかに、先月出た「テレプシコーラ」と、この間出た「ドゥ・ダ・ダンシン!」の二つ。マンガの話になると無意味に長くなるので、またあとで「Moon」を読んでから書くことにします。それで中身のない定期的つぶやきはこれくらいに。

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2008年8月11日 (月)

発表会「ジゼル」無事終了。

一昨日、発表会が終了しました。それで昨日は一日呆けていました。娘はまだテンション高く、「終わった~!」とばかりに友達とアニメの映画なんかを見に行きましたが、帰ってからやっぱりダウン。ここ1ヶ月ほど、親子で本当に大変でした。特に親の私は当日、朝9時から夜9時まで会場に缶詰めで、ヘア・メイクの手伝いや、受付、衣装の返却などに走り回って、まる1日あっという間でした。そんなこんなでとても疲れたのに、翌日の朝起きて、ああもうリハーサルとか見に行くこともないんだと思ったら、淋しかったですね。

娘にとっては発表会ですが、私にとっては李波さんと酒井はなさんの出演する「ジゼル」の公演でした。去年、このお話を聞いたときから、娘が出る出ないにかかわらず、とても楽しみにしていたのです。李波さんのアルブレヒトはスタ・ダンのピーターライト版や、下村友里恵さんと踊った公演などを見ていますが、1幕のジゼルを気遣う優しく幸せそうな表情と、2幕のやりきれない後悔と哀しみにくれる姿がとても印象に残っていて、あれがまた見られるなんて本当に楽しみでした。

本番は期待にたがわず、とても素敵な「ジゼル」でした。はなさんのジゼルがとても可憐で思わず感情移入してしまい、裏切られたと思って死んでしまうところは悲しくて、発表会ながら涙が出てしまいました。当日のゲネプロまでは娘のことをちゃんとやっているか、チラチラと見ていましたが、本番はもう回りは見ていませんでしたね。

実はこの全然見られてない「その他大勢」の役がとても大変だったのです。村娘の踊りは娘が普段教わっているT先生の振付でバレエ協会仕込み。これはビデオで見る東京バレエ団やキーロフなどのものよりずっと複雑で体力も要ります。そして演出と演技指導は東京シティバレエ団の先生だったので、とてもお芝居が細やかで、見ているほうにはわかりやすいけれど、演じるほうはメチャクチャ大変。一瞬でも壁の花で突っ立っているだけだったりするとすぐに怒られます。舞台にいる間は全部演技だって、当たり前のことなんですけどね。中学生にはそれがとても難しかったのです。

東京シティバレエ団の「ジゼル」は、ずっと前に1回だけ見たことがありますが、演技がはっきりしていて、ジゼルが死に至る経緯がとてもわかりやすかったのと、ミルタやウイリーたちがとても怖い存在だったのを覚えています。今回もそのとおり、ヒラリオンやジゼルの母親、アルブレヒトの従者などの役割や性格付けがはっきりしていて、細かい芝居などもあり、物語としてとても緻密につくられていました。母親役はT先生で、現役時代はキャラクターなど演じたことがなく(子育て中のブランクの後、弟さんのスタジオの発表会などで王妃を演じたりしていましたが)今回初めて本格的なお芝居に挑戦。最初はハラハラ(ごめんなさい!)したけれど、だんだん堂に入ってきて、本番は立派に演じきりました。

2幕はもう、それこそ去年の暮れから振りが入って練習してきました。それでも前日の舞台稽古では、今までやっていた教室やリハーサル室と勝手が違うので、全然揃いませんでした。縦の列はまだリノリウムの継ぎ目があったり、前にライトが等間隔で並んでいたりするのでとりやすいのですが、横の列は幕など目標物があっても、人間の目は横にはついていないのでとても難しいようでした。斜め一列になるところに至っては、なかなかまっすぐにならずに、とうとう舞台監督がテープを持ってきて、床に斜めに貼ってくれました。インチキみたいだけどテープの効果は絶大!おかげで本番では見事に揃いました。(ミラノスカラ座のザハロワ&ボッレの映像でも、はっきり斜めに線が引いてあるのがわかります!)

そんなこんなで踊りも難しかったけれど、1幕はお芝居、2幕は整然とそろえて踊るという二つの課題が常にあって、それを両方とも何とかクリアできたのは、とてもいい勉強になったと思います。もちろん、酒井はなさんという日本のトッププリマと接することができたのが一番いい経験になりました。

男性のゲストは当たり前ですが、女性のゲストって普通あまりないじゃないですか。お稽古事のバレエは圧倒的に女の子が多いので、主役はとりあえずその教室のトップの子とかにやらせますよね。それか、プロでもその教室出身の人が来るのが普通です。私の知る限りでは、こんなふうに教室出身者でもない、現役で活躍されている有名な方をわざわざゲストにお迎えする発表会って、ほとんどないと思います。でも、これが一緒に舞台に立った誰にとっても本当に勉強になったと思うのです。

素人のうまい子と、プロと、決定的に違うのは意識の面ですよね。お金をいただいて見に来てもらっているという意識。それはミルタを踊った東京シティバレエ団の斉藤さんも全く同じでした。それと、素直さ、謙虚さ、明るさ、かな。それがその時々で違うメンバーの中に入って、みんなで舞台をつくっていくのに一番大切なことだと思いました。

斉藤さんのミルタも素晴らしかったです。お稽古着姿のリハーサルは何回も見ていましたが、スモークが流れる本番の森のセットの中で、すう~っと空間を飛んでいくようにパドプレをしていったのを見たときは鳥肌が立ちました。すごい!ポワントで立った姿が空気の中に浮かんでいるようでした。斜めにジャンプして横切るところも、軽さとスピード感にあふれていたし、ウイリーの女王としての威厳も冷たさも備わって、最初の静かな長いソロのシーンもまったく飽きずに見入ってしまいました。

はなさんのジゼルは、1幕でも2幕でもほとんど足音がしません。上半身と腕、背中の使い方が柔らかで、1幕からちょっと人間離れしたはかない可憐さがありました。そうか、ジゼルはほかの村娘たちとは違ってもともと体が弱くて、農作業などに行かずに家で静かにしていなくてはいけない子だったんだ~という感じ。ヴァリエーションを踊ったときの思いっきりの幸福感も、あとの悲劇を思うと泣けてきちゃうような‥‥。

アルブレヒトに婚約者がいると知って、ショックのあまり錯乱していくところも、まるでだんだんとウイリーに近づいていくような、(あの‥‥たとえはとっても悪いんですが、四谷怪談のお岩が、伊右衛門の裏切りを知って、髪すきをしながらだんだんと、まだ生きているのにお化けに変身していくような‥‥ゴメン!例えが悪すぎ)脱線しました。最初に倒れて髪がばらけたあと、まだ生きているけれどもう心はこの世になくて、身体がどんどん透明になっていっちゃっているような、そんな2幕への連続性が感じられました。

よく1幕と2幕で全く違う世界を演じるのは大変だというのを聞きますが、はなさんの演じるジゼルは明らかに同じジゼルです。1幕で溌剌と踊って、激しく狂い死にして、それから2幕になって急に、聖女のようにアルブレヒトを許して守り抜く演技をするのは本当に難しそうですが、そんなことは全く感じられずに、ごく自然に2幕の世界へ続いていったのでした。

私の妹と両親(孫の発表会しかバレエは見たことがない)が客席で見ていたのですが、途中から孫の姿を追うのも忘れて、はなさんの踊りに見入ってしまったそうです。孫を見に来るだけで踊りについては何も言ったことのない私の親が、はなさんの踊りはすごかったと感動していました。あんなに軽く、まるで飛んでいるようにふわっと浮かび上がって、あんなことが踊りでできるのかと驚いたそうです。ほとんどバレエに興味のないじいちゃんばあちゃんまで物語の世界に引き込んで、しっかり感動させてしまったところがすごいですね。

コールドも見苦しくない程度に、いや結構きれいに揃っていて感動しました。ともあれこの静かな世界を邪魔することがなくてほっとしました。最後の鐘が鳴ってウイリーたちが墓に戻っていくところ、後ろにパドプレして引っ込むのがとても難しくて、(教室では幕やライトなどの障害物がなかったから)舞台稽古では何度もダメ出しされていました。そう、ここでコケたら最後の最後でぶち壊しですから。それが無事終わってほっとすると、涙があふれてきました。ウイリーたちが去ったあと、アルブレヒトを救えた安堵で、ジゼルは心なしか微笑んでいるような気がしたのです。

哀しい、せつない最後の別れなのに、墓の上からアルブレヒトに花をそっと手渡すジゼルに、何かあたたかい優しさを感じました。いいですね~「ジゼル」は。同じような内容なのに「バヤデール」は最後どうしてもドロドロとして釈然としない思いが残るのですが、愛と赦しが美しく昇華され、天に昇るジゼルに幸福感さえ感じられたりすることがあるのですね。哀しみにくれながらジゼルがくれた小さな花を抱きしめるアルブレヒト。彼の心の中でジゼルは永遠に生き続けるでしょう。そんな静かなラストシーンでした。

それでも私の妹とか、友達の娘さんとなどは、昔の素敵な素敵な李波さんを知らないので、「ジゼルはいいけど王子がね‥‥‥。」などと言っていたそうです。40代の李波さんは初めて見る人にはビジュアル的にちょっと‥‥かもしれなかったですね。私のような前からのファンにとっては、まだまだクラシックバレエに携わって、こうやって舞台で踊ってくれるのはとてもうれしいことだけれど。

それは多分最愛の(?!)ルジマトフにも言えることなのかな~。(どうも私は結局そこへいってしまう悪い癖がありますねsweat02)ファンとしてはまだまだクラシックを踊ってほしい!と切に願ってはいるけれど、もう多分クラシック全幕出演の気持ちがなさそうなのは、かえって潔いのかなと思ったりしてしまいます。ファンはファン目線で、ルジ様が踊るなら「眠り」の王子でも、「シルフィード」のジェームズでも、本当に何でも大歓迎だけれど、一般的な目線ではちょっときついのはご本人がわかっているんだなと。難しい問題だけれど、そういうこともありますね。

さて、舞台裏と舞台の感想とごちゃ混ぜでしたが無事書き終わり、本当に終了してしまいました。見に来ていただいた皆様、ありがとうございました。多分今回は舞台そのものの素晴らしさに満足して帰られただろうなとうれしく思っています。これから娘は受験体制、私はお手伝いしている歌舞伎保存会の秋の公演のほうに目を向けないといけなくなりますが、まだまだ半分残っている大変な夏休み。夏バテせず、頑張って過ごしたいと思います。

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2008年8月 2日 (土)

テレビ・ビデオ鑑賞

注文していたABTの「白鳥の湖」が届きました。輸入版のほうですが、やっぱりうちのデッキでは見れなかった‥‥wobbly パソコンでは「地域」を変更すると見られるのですが、それをまた変更したり元に戻したりできるのは4回までだそうで‥‥?よくわかりませんが、結構大変ですね。私はパソコンで国内版のDVD見ることはないので、それでもいいんですけど、やっぱりケチケチしないで国内版を買えばよかったかな~?

まだ要所要所をざっと見ただけですが、映像がとてもきれい!2005年と最近の収録なので、本当に「今」のABTですよね。バレエの映像にしてはアップが多く、表情なども手に取るようにわかります。でも、あまり人物が大きい(カメラが近い)ので早い動きのときに目が回りそう!カメラが追いつかないようなところもあるのですが、そこはサービス精神の旺盛さということで。映画を見るような映像のつくりですが、実際の舞台の臨場感もあり、今まで見たバレエの映像の中では最高の部類に入ると思います。

ジリアン・マーフィーのオデット。この人はこんなにデカイ人だった?王子はアンヘル・コレーラですが、コレーラが小さく見える‥‥‥。顔はかわいいけど、とてもダイナミックなオデット&オディールです。特に3幕のコーダは圧巻。コレーラは数年前に見たとき、何だかオジサンっぽく見えてしまったのですが(あの「海賊」のアリの映像が頭にあるので)、ここではどアップにも耐えうる、若々しい王子様です。1幕ではやっぱり王子がいっぱい踊りますね。元気で華やかな王子なのに、孤独感も強い。いちいちアップにしてくれるので、その時々の心情の変化の細かい芝居まで逐一わかります。よくビデオを見ていて、ここでアップにしてほしいのに~!と思っても、カメラが寄ってくれずにずっと遠めにしか写してない映像がありますが、これはほんとにサービス満点です。その分まわりの動きはつかみにくいのですが、アンサンブルよりもスターを前面に出すABTらしい映像だと思います。

王子の友人役(トロワの男性)の黒髪の巻き毛の子がかわいい~heart04と思ったら、ガラで「ラビット・アンド・ローグ」のラビットを踊ったエルマン・コルホネでした。あのときも確か、ものすごくきれのいい踊りを披露してくれましたが、このビデオでは本当にかわいいの。今回の日本公演ではガラでしか見なかったけれど、要チェックの人だったんですね。

肝心のロットバルトですが、モンスターのほうは私が見たのと同じスタッバス。例の、プロローグで白鳥のぬいぐるみをバタバタさせている悪趣味な演出はなく、ここだけあと撮りなのでしょうが、オデットの早替わりになっています。

紳士に化けたほうはマルセロ・ゴメスでした。え~!?ヒゲつきのちょっとにやついたオジさまで、色気はあるけれど、あのホールバーグの得体の知れない冷たい美しさとは全然違ってました。3幕の花嫁候補をたぶらかすところでは、ホールバーグのロットバルトは鬼気迫る感じがしたけれど、ゴメスのは大人の男のソフトな色気でノックアウトさせるという雰囲気でした。これはそれなりに、青臭い王子との対比になっていてすばらしいと思いますが。やっぱり私にはあのホールバーグのナイフのようなロットバルトが衝撃的だったなあ‥‥。

一応今のところはショックを受けるような思い違い(舞台とDVDの比較で)はしていないと思います‥‥‥。またあとでゆっくり楽しみたいです。

それから、昨日のNHK「芸術劇場」で、今年6月に行われたばかりの新国立劇場の「ラ・バヤデール」の放送がありました。ビデオを撮っていたのですが、途中から見始めて、とうとう最後まで見てしまいました。(深夜1時過ぎ!)

私は6月はバレエ枯れ?してたのでちょっと見たいなと思ったけれど、ザハロワの日はとっくに完売でした。ザハロワが特に好きというわけではないけれど、同じ値段ならザハロワ見ないと損!みたいなセコイ考えで‥‥sweat01すみません。ザハロワは日本では新国とシーズン契約しているので、「あ~またか」みたいにありがたみがないようですが、世界的にみたらすごいトッププリマなんですよね?間違いなく今後10年以上にわたってバレエ界に君臨し続ける人だろう、なんてどこかに書いてあるのを見たことがあります。美しいには、本当に人間離れして美しい人です。技術も、身体的にもすごく恵まれているし。これに表現力がつけば鬼に金棒なんだけど~と思っていたけれど、去年「椿姫」を見て少し印象が変わりました。「お姫様」もすごい勢いで進化しているようです。

それでまた、まわりのいろんな人に「見てね~」と宣伝してしまいました。バレエを見たことがない人でもテレビだと気軽に見られるし、ザハロワの美しさに多分、バレエってきれいなんだな~と絶対思ってもらえると。それで、自分もとても楽しみになってきて、とうとうリアルタイムでテレビ見てしまいました。

だけど、あれあれ‥‥。舞台がとっても暗いです。それから衣装が地味‥‥。渋い趣味というのか。一番華やかでキラキラ輝いてなきゃいけないはずの2幕の婚約式の場面が‥‥何て地味なんだ!もう、レニ国やマリインスキーではまばゆいばかりの美しさ、豪華さなのに。輿に乗って来るガムザッティも、象に乗って登場するソロルも歩いてきましたよ。。舞台も、バックにかかった布がいかにもチープな感じ。あれじゃまるでお葬式みたい。王女の婚約発表なのに人がいない淋しい宮殿です。改めて舞台が狭くなるくらいエキストラを投入したり、黒塗りの子どもたちが出るにぎやかなレニ国が懐かしい‥‥‥。あの太鼓の踊りもめっちゃ盛り上がるのに、なかったわ~weep

ザハロワは美しいけれど、やっぱり周りとの落差がありすぎです。デニス・マトヴィエンコのソロルはなぜか日本人ばかりの中で自然に同化していましたけどねbleah ガムザッティ役の湯川さんは、ザハロワ相手では分が悪すぎ。難しい踊りを難なくこなしていますが、落ち着いた大人の雰囲気で、一番の見せ場でもキラキラのお姫様感がなくて、やっぱり地味でした。ガムザッティは、多分ソロルとニキヤに会うまでは、人への敵対心など一度も感じたことがなかったお姫様なんでしょう?その何一つ不自由なく育ったお姫様が初めて燃やすライバル心だから、もう底知れない。そんなことを考えちゃうと物足りなかったかなあ。

あと、終わり方もビミョ~。。。ソロル、情けない男だ‥‥衣装が全く違うので、私のメチャメチャ美化されたルジ様のイメージとかぶらなかっただけよかったのかも。

な~んて、タダでテレビで見せてもらって好き勝手なことを書いてしまい、大変申しわけありません。友達に宣伝してて、あまりに期待が大きくなっちゃったので。でも、さすがに3幕のコールドは一糸乱れずすばらしかったです。本当に見ているうちに頭がボーっとしてくるぐらい幻想的でした。まん中でソロを踊っているときも、周りのコールドがとにかくきれい。もう邪魔だから動かないで!というようなどこかのコールドと違って、そこはさすがにすごかったです!

でも、バレエを初めて見るなら、やっぱり最初に書いたABTのきれ~いな映像のほうがずっといいでしょうね。まあ、勝手な映像鑑賞の感想でした。

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2008年7月29日 (火)

バレエ鑑賞も一段落。

もうすぐ7月も終わりです。早いですね。7月は「ルジマトフのすべて」に始まって、ロイヤルの「眠り」、「親子バレエまつり」、ABTの3公演まで、今までになくたくさんの公演を見てしまいました。もっと見ているバレエファンの方も多くいらっしゃるようで、皆さんすごいな~と思いますけどね。私には時間的にも経済的にも、家族の許容度も、もうこのくらいが限界です。一応忘れないように感想もひととおり書けたので、忙しかったけれど充実した楽しい鑑賞月間になりました。

8月はいよいよ娘の発表会があるので、舞台を見る予定はありません。Kバレエとか、エトワール・ガラとか、気になる公演はあるものの、今週からは毎日リハーサルかレッスンがあってどこへも行けないのです。私が出るわけじゃないけど、まあ親としては全部付き添わなくても、送り迎えやら、急な変更や打ち合わせなどがあったりするので、フラフラ出歩かないで待機してないといけないでしょうね。次は9月はじめの「中越沖地震チャリティ・ガラ」と草刈民代&コールプが出演する「華麗なるクラシックバレエ・ハイライト」までチケットはありません。

それで、先日注文したABTの「白鳥」のDVDが届くのを待っているのですが、まだ届かないのです。ついでに今回見られなかったコジョカルの「眠り」も買ってしまったのですが、まだ「シルビア」のDVDも全部見ていないのに、そんなに見られるだろうか‥‥?あるいは、去年Kバレエの「くるみ」を見て感想を書いたあとにそのDVDを見たら、細かいところの見落としや記憶違い、思い違いが多くてショックを受けたので、今回もこの二つを見て大いにショックを受ける可能性がなきにしもあらず‥‥‥sweat01

そうそう、光藍社さんのHPに待望の「ミハイロフスキー劇場ガラ」の詳細がUPされていました。

2009年1月21日ルジマトフが「アダージェット」で出演!

先日の「ルジマトフのすべて」でちらっと見せてくれた、クラシック・ダンサーとしての変わらぬ美しさを確認したファンとしては、「え~?これだけなの?」でしょうが、本当にまた舞台に出て踊ってくれる!今となってはそれだけでうれしいです。昨年、突発的にファンになってしまったときには、「白鳥」や「海賊」の全幕はさすがに最後かも?と思って見に行ったのですが、そのすばらしい舞台から、まだまだこれから「ジゼル」や「バヤデルカ」は何度でも見られると思っていました。あれからまだ1年しかたっていないのに、この情況の変わりようは悲しいです。。。それでもファンの熱い要望(アンケートいっぱい書いた!)にプロモーターが働きかけてくれ、それに応じてくれたダンサーとしてのルジマトフに大拍手sign03を贈りたいです。

またこれを楽しみに半年過ごせますlovelyが、何とその前日に「奇才コルプの世界」というのもあって、それを入れるともう来年1月はレニ国だけで毎週、連日見たい舞台があるという情況に‥‥‥。やるほうとしては来日時のついでに、というのもわかりますが、見るほうにとっては一体、こんなに一度にどうやって見ろというんでしょうね~。とりあえずDMが来たらこの二つのセット券だけは確保しようと思っていますが。。娘の受験直前に、母は逃亡‥‥をたくらむしかないですね~sweat01

しかし「奇才」だなんてよくそんなキャッチフレーズを思いつくものだと感心します。私は「怪人」かと思った‥‥coldsweats01でも「怪人」じゃほめ言葉にならないよね。最初はコールプってものすごく変わったキャラクターだと思ったけれど、この間の完璧な化けっぷりといい、だんだんとその「怪人」‥‥じゃなくて、「奇才」の魅力にとりつかれていく感じがしています。

娘の発表会ですが、今までリハーサルを何度か見学しています。酒井はなさん、きれいですよ~。こんな中学生以下の子どもが半分入った発表会のリハーサルなのに、昨日はほとんど手を抜かず全幕を踊りきりました。お芝居も真剣。去年の「白鳥」のときより少し痩せられたのか、とても可憐な「ジゼル」そのものです。

私はいつもドアの横の狭~いところから覗いているのですが、それでも手の届きそうなところで行われている心の入った演技に触れ、リハーサルながら涙があふれてきました。李波王子も衣装を着ると断然素敵~heart01メイクもせず素顔のまんま、あんなやたらキラキラ乙女チックな王子様の衣装を着て、バッチリはまってしまう東洋人の40男ってめったにいないと思いますよ。ヒラリオン役のゲストのH先生もとっても素敵です。背も高くカッコいいので嫌な奴に見えないのが困りものです。ウイリーにいじめられてかわいそう‥‥sweat02悪そうにするためにヒゲでもつけたら、と言われているそうですが、そんな、せっかくのハンサムな顔におひげなんてつけたらもったいない!‥‥と娘のリハーサルに付き添いで行っても相変わらずミーハーな母をやっているのです。

そういえば、先月?元スタ・ダンの西島さんが結婚されたんですよね。あのときは連日ワイドショーを賑わしていたので、一応バレエのことなら知っているだろうということで、私もまわりのいろんな人から「西島何とかさんって知ってる?」なんて聞かれたものです。

ちょうど私がスタ・ダンをよく見ていた8~9年前には、李波さんと西島さんのお二人がプリンシパル・ダンサーでした。本当にどちらも甘いマスクのうっとりするほど美形の王子様で、皆さんどちらが踊る日にしようかと迷われたかもしれませんが、私は迷わず全部李波さんの日でしたね(happy01)だから実は西島さんが主役の公演は「ドラゴン・クエスト」ぐらいしか見ていないのです。それか、全幕でない公演のときぐらい。(確かスタ・ダンのスタジオの発表会で「ドン・キホーテ」のバジルを踊ったことがあった?)だから「知ってる?」と聞かれれば「よ~く知ってる!」と答えられるけど、踊りがどうだったかと聞かれてもよく覚えてない。多分イケメンなお顔しか見ていなかったのだと。。

そこへいくと李波さんは、もう何をやっても(フォーサイスなんかを踊っても)優雅な王子様になっちゃって、ちょっとダイコンかな~?とは当時から思っていたけれど、私は何よりその演技が大好きでした。中でも得意だという「ジゼル」のさまざまなシーン。1幕のジゼルとの優しい幸せそうなやりとり。狂乱の場のやり場のなさ。2幕のせつないまでの懺悔の気持ち。そんな以前見た舞台のシーンがひとつひとつ、このリハーサルを見て思い起こされ、やっぱり涙が出ちゃいました。

前に好きでよく見ていた人が、目の前の2メートルほどのところで同じ演技をしている。思えば不思議な縁ですね。残すところあと1週間と半分。娘も私も、頑張って乗りきりたいと思っています。

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2008年7月26日 (土)

世界一ゴージャスな‥‥「白鳥の湖」

Img_0001 アメリカン・バレエ・シアター日本公演。「オールスター・ガラ」「海賊」と見てきて、最後は「白鳥の湖」です。私はニーナのファンですが、ニーナの追加公演ではなく、23日のジュリー・ケント&マルセロ・ゴメスの舞台を見ました。後から追加公演なんて出されても、もうずいぶん前にチケットを買っちゃったし、主婦にはこれ以上家族をほったらかしての連日のバレエ鑑賞はいくら何でも無理ですよ~!crying やられた!と思いましたね。

でもその日もとてもよかったのです!感動と満足度は3演目中一番でした。今度こそ「世界一ゴージャスなバレエ」ってキャッチフレーズもそのとおりかなと思いましたよ。happy01 特にロットバルトがものすごくカッコいいキャラクターなのにびっくり。貴公子に変身したロットバルト役のデイヴィッド・ホールバーグの魔力に吸い込まれそうでしたheart01

公演を見た当日、帰ってきてすぐ、感動したことについてわけわからないことをいっぱい書きました。でもなぜか、久しぶりですが、何かのミスタッチで全部消えてしまいました。bearing何で~?舞い上がっていたときの客観的でないものごとは、あとで思い出そうとしても思い出せないことが多いのです。だから、立ち直れないぐらいがっかりしたけれど、どうせろくでもないことだったに違いないので、それでよかったのかもしれません。気を取り直して、今度は冷静に。

プロローグ
紗幕の向こうに、長い髪をなびかせたオデット(ジュリー・ケント)が現われます。華奢な、たおやかな人間の姿です。ところが、上手側に獣のような、爬虫類のような、気味の悪い悪魔ロットバルト(アイザック・スタッパス)がいます。よくあるカラスやフクロウみたいなものではなく、頭には角があり、筋肉隆々のプロレスラーみたいな身体にワカメか葉っぱが張り付いたような、ぬるっとした感じの醜い怪物です。ロットバルトは目ざとくオデットを見つけます。そしてマントで身を隠したかと思ったら、何と、瞬時に美しく魅惑的な青年(デイヴィッド・ホールバーグ)に変身したのです。オデットが引き寄せられるように彼に近づくと、彼は恭しくひざまずき、オデットの手にキスをします。すると、オデットはもう彼から離れることができなくなり、とうとうつかまえられて見る間に白鳥の姿に変えられてしまうのです。元に戻ったおぞましい怪物の手には、一羽の白鳥(ぬいぐるみ?)が押さえつけられ、もだえ苦しんでいました。何だか
いきなり恐ろしい衝撃的な幕開けです。

第1幕
いつもどおりの、お城の庭のようなところで、王子(マルセロ・ゴメス)を囲んで友人たちや村人たちが集まっています。上手奥に立派な階段があり、お城の中につながっているようです。衣装はみなスモーキーな中間色で、布の重なりが重厚な感じがします。踊ったり乾杯したり、王子様はモテモテの様子。そこへ王妃様がやってきて王子を諭し、弓を贈る展開は同じですが、道化は出てきません。
王子の友人など、男性が踊るシーンが多くて、王子のソロも確か2回以上ありました。ゴメスの王子は若々しくて、本当に育ちがよさそうで、踊りも伸びやかできれいです。

メイポールは高さがあって、舞台にアクセントを加えていました。リボンを持って踊るうちに、交差してだんだんリボンが編まれていくのですが、それが最後にきれいにほどけるのが見事。王子は中央で友人たちに担ぎ上げられ、誕生日を祝ってもらっているのでした。

パ・ド・トロワに加治屋百合子さんが入っていました。華奢で、見るからに柔軟性のある感じです。あとのほうのヴァリエーションを踊ったのですが、なぜか足音がすごく気になりました。もう一人のマリア・リチェットのほうはほとんど足音がないのに、加治屋さんは足音がやたらカツンカツン響くのです。シューズのせいもあるのかな?

トロワが終わったあたりから、王子の様子が変わってきました。先ほど王妃に言われたことがこたえているのでしょうか。皆に混じって踊る中で、次第に心ここにあらずみたいになって、孤立が深まっていきます。ブルメイステル版のオディールのヴァリエーションの曲とか、そのあとのゆったりした曲もですが、普段使われない曲が使われていて、王子の不安や孤独などの心象風景を表しているようでもあります。王子のまわりではまだみんなが楽しそうに踊っているのに、それが色あせたスローモーションのようにも感じられ、王子だけが現実として浮き上がって見える不思議な場面でした。貴族たちは帰り、村人たちがまだ踊り続ける中、王子は一人フラフラと出て行ってしまいます。王子の友人(トロワを踊ったサッシャ・ラデツキー)が後を追いかけていきます。

森の中、王子に追いついた友達は、弓を渡して狩に行こうと誘いますが、王子は一人にしてくれと追い返します。

第2幕
森の中、廃墟のような建物の残骸の向こうに暗い湖が広がっています。上手奥に洞窟があり、そこが怪物の棲家のようです。普通の「白鳥の湖」の湖畔のようにロマンチックな感じではなく、薄気味悪い背景。迷い込んだ王子はここで白鳥が美しい姫に変わるのを見るのです。ジュリー・ケントのオデットはなぜかかわいい~。もうけっこうなベテランのはずなのに、「円熟」というより「かわいい」というのはどうしででしょうね。私の好きなニーナにしても、マハリナにしても、みんなベテランなのに「かわいい」んですよね。共通項を見つけた感じがしました。

びっくりして追いかける王子。逃げるオデット。オデットの恐れ方は、最初にロットバルトにうっかり近づいて捕まってしまったから、もうどんなに素敵な人でも男の人は怖いわ!という感じに思えます。でも、次第に真剣で誠実そうな王子に心を許し、マイムで身の上を語り始めます。「誰か、私に愛を誓ってくれたなら、私は元に戻れるの」というところで、王子がためらいがちに「じゃあ‥‥僕が‥‥?」と誓いのポーズをしようとするところが、ホントに芸が細かい!会ってすぐいきなり「誓うよっ!」って勢いよく右手を上げるのは軽薄でうすっぺらだといつも思っていたのです。

アダージョはとても素敵でした。もう二人のせつない心の通い合いがひしひしと伝わってきて、見た目が、踊りがというよりもそのドラマに感動しちゃって。ケントとゴメス、初日のガラでは熱々の「マノン」を演じていましたが、またもこの二人が奏でる世界に胸が熱くなりました。 

コールドは、最初のガラのときに、うるさいからもういらん!と思ったけれど、やっぱり同じような感じだった‥。私は、今回はかなり前方の、段差のない部分のA席だったので、前の人の頭を右に左によけながら舞台を見上げる形でしたが、それでもコールドが気になりました。前回はサイドの三角のところ(両方とも嫌いな場所だけど予算の関係上sweat02)だったので、きれいに見えなかったのかな?と思ったけれど、今回ほぼセンターで、列ぐらいはすっと一直線に見えていいはずなのに‥‥。正面後方で全体を見わたしていたらどんな具合だったんでしょうね?並び順も身長を考えていないような感じでした。やっぱりシンクロでもバレエでも、びしっと揃えることに命を懸けているのはロシアか日本ぐらいなのかしら?

最後、現われたロットバルトを王子が弓で射ようとしたとき、オデットは「撃たないで!」とまるで「ジゼル」みたいにロットバルトをかばいます。ロットバルトが死んでしまったら永久に元の姿に戻れなくなってしまう。でもオデット、もしかしてそれだけじゃない?そんな感じもしましたが、考えすぎ?

ロットバルトに引き寄せられ、強く抵抗しながらも去らねばならないオデット。最後まで離したくない!と手を握ってすがりつこうとする王子。その指がふっと離れた瞬間、もうオデットの心はその場から離れ、ぱあっと白鳥の姿に変わって、背中を向けてパドプレして去ってしまうところが感動的でした。

第3幕
舞踏会の場面。いろいろな版がありますが、これはとても納得がいくやり方のように思います。普通は花嫁候補の踊りがあって、王子が花嫁選びを渋っているところにロットバルトとオディールが現われ、そのときに「スペイン」を引き連れてくるのが多いようですが、じゃあそのあとに続く民族舞踊はただの余興?
かといって、ブルメイステル版のように、ロットバルトが民族舞踊全部を引き連れて、たった一人の王子を騙しにくるのはすごい迫力だけれど、その前の道化でお茶を濁しただけの手薄な宮廷が淋しく感じられます。

ABTのマッケンジー版?は、花嫁候補がそれぞれスペイン、ハンガリー、イタリア、ポーランドのお姫様で、それぞれがお国の舞踊団を引き連れてやってくるという設定。(まるで映画の「オーロラ」みたいだな~。あの王子たちも舞踊団も相当おぞましかったけど‥ほんと、あの中から選べといわれてもな~coldsweats02余談。)だからロットバルトが来る前に、まず民族舞踊になります。順番にその国の王女が式典長に導かれて王妃と王子の前に進み、そこに用意された椅子に座り、自国の踊りを披露するもの。そうやってチャルダッシュから始まります。スペインは、ロットバルトの手下じゃないので、やたらと濃いワルカッコよさはなく、ふつうの民族舞踊みたいだったのがちょっと残念。ナポリはいつものタンバリン持った踊りと違い、男性二人の踊りで、回転技の掛け合いみたいなところがすごく面白かったです。

花嫁候補の踊りも変わっていました。それぞれお付きの男性ダンサーがいて、自国の姫を優雅に舞わせます。その一人一人と交代して、王子は踊りますが、やっぱり心ここにあらず、そのうち周りだけが踊っているという状態に。王妃がこの中から結婚相手を選べと言いますが、王子は全くその気がありません。そのうち王妃は怒り出してしまいます。

そこへ、正面の扉が開きロットバルトとオディールが登場します。ロットバルトは優美な貴族の姿でやってきます。デイヴィッド・ホールバーグのロットバルトは、ツンツンと立てたような金髪にヘアバンド。まるでロックスターのようです。ものすごいカリスマ性!その登場に一同あっと驚くのです。王子はといえばオディールの姿に釘付け。あっという間にオディールを追って狂喜乱舞で走り去ります。

さて、ロットバルトですが、ここで「ルースカヤ」の曲が流れ、ロットバルト・オン・ステージの始まり、始まり~!あの哀調を帯びた「ルースカヤ」の曲って、こんなにセクシーだったでしょうか?おもむろにマントを脱ぎ捨て、まず王妃のところへ一直線。「どうかこちらへお出ましください」と誘います。王妃が玉座から降りてくると恭しく手をとりキスをする。最初嫌がっていた王妃も、妖しく美しい紳士にまっすぐに見据えられ、いきなり心がとろける思いがしたのではないでしょうか。そうやって王妃の警戒心を解いてから、次に各国の姫を一人ずつ魔力で引き寄せて、一緒に踊ります。姫たちは糸で引っ張られているように、すうっとロットバルトに魅入られて引き寄せられてしまうところが、まるでプロローグのオデットのようです。あの目で正面から見据えられたら、まるで鷲の標的になった小鳥みたいなものです。ロットバルトは姫たちをほとんど強引に、乱暴に扱っているようなのに、姫たちは気持ちが飛んでいってしまったように、一心不乱にロットバルトを囲んで踊るのです。曲の最後に、そのロットバルトが王妃の隣の席にすっと滑り込んだので、王妃もびっくり。多分誰の心にもある、心の隙間に入り込んでしまう悪魔。恐ろしくも魅惑的な場面でした。

何だか昨年のコールプのセンセーショナルなアブデラフマンを髣髴とさせるのですが、同様に会場全部を魅了してしまうこのロットバルトって、ものすごくおいしい役どころだわ~。この役、コールプが踊ったらきっとはまるだろうな~。私の一番好きなあの人でも‥うわっ、とてつもなくカッコいいだろうな~heart01(想像しただけでよだれが‥)優柔不断王子なんかいっぺんでかすんでしまう。(バカ!)でもね、ホールバーグのロットバルトは氷のように冷たい「悪」を秘めたハードなカッコよさなので、前記のお二人の熱さとは明らかに違うでしょうね。

グラン・パ・ド・ドゥは、うぅ、思い出せない。あの魅惑のロットバルトで一番肝心なシーンが飛んでしまったじゃない。。アダージョは普通に、夢中で近づけばかわされる、あれ?もしかして違うのかな?と正気に戻りそうなところで、またとろけるような目で誘惑する。そういうやり取りはあったと思うけど、王子はオデットに似ているので間違えたというよりも、オディールそのものに魅せられた人のようでした。ときおりロットバルトがオディールの耳元で何かをささやきます。そのたびに自信たっぷりな笑顔で王子に近づくオディール。ケントのオディールは線が細く、それほど邪悪な感じもしないのですが、魅力的ということではもうメチャメチャ魅力的。

王子のヴァリエーションは、大柄なゴメスが何てきれいに飛ぶの~heart01ちょっとおすましなくらいにノーブルでした。オディールのヴァリエーションはとてもエレガント。そんなに高く脚を上げたりしないのに、輝くように美しかったです。コーダーまで一気に盛り上がりました。

グラン・パが終わると、王子は「この人こそ僕の結婚相手です」と王妃に告げます。王妃は喜んで、「ではあの人にごあいさつなさい」とロットバルトを指すところが何とも。オディールと王子のつないだ手の上に王妃が手を重ねようとすると、ロットバルトは「それなら誓いなさい」という。あ~誓っちゃダメ~と何回見ても思うのですが、お話ですから王子は喜び勇んで誓いのポーズをするわけです。軽い奴だな~。とたんに正面の扉が開き、火花が散り、怪しげなスモークが流れ込んでくる。正面には嘆くオデットの姿が映し出され、王子はやっと正気に戻ります。

でももう遅い。オディールとロットバルトは王子をあざ笑い、去っていきます。扉が閉まり、その扉を必死でたたく王子。で、幕。でもすぐに、休憩なしで4幕へ続きます。1幕と2幕の間も休憩なしで、休憩は1回だけでした。とてもスピーディに展開して飽きることがありません。

第4幕
再び湖畔の場面。この部分は退屈であまり好きではありませんでした。マリインスキーやレニ国の版はよくわからない?黒鳥も現われて、きれいだけどあまり意味がないようなコールドが延々と続くし、王子が現われてからも同じようなパ・ド・ドウが続いて、ちょっと飽きてしまいます。でも、昨年ブルメイステル版を見て、4幕が一番好きになりました。王子ははっきり、オデットとの誓いを破る罪を犯したのです。「ジゼル」や「バヤデール」と同じ、心弱さから二股かけようとしたのです。その運命をまっすぐに受け止めなければなりません。
(そんな王子が都合よくロットバルトを倒してハッピーエンドなんてムシがよすぎ~。確かにハッピーエンド版は見ていてほっとしますけどね。その点、悲劇で終わるレニ国版は最後にちょっと泣かせてくれますが。)

ブルメイステル版では、白鳥たちは王子を許しません。当然よね‥‥そして一つ一つの踊りに意味があって、ドラマチックに展開していきました。4幕こそ、「ジゼル」の2幕に匹敵する懺悔と赦しと愛の世界なのだと思ったのです。このABTの4幕もとてもドラマチックでした。

城を出て森へ向かった王子は、もうボロボロで今にも倒れそうです。そこへ白鳥たちが現われるのですが、とりつくしまもなく、王子を無視して通り過ぎるだけ。一体どうしたらよいのか、白鳥たちは王子に襲いかかるようにさえ見えます。森を表す幕が開き、湖畔の岩の上にオデットの姿が。ここで、普通王子の登場に使われる音楽が流れ、オデットを映し出します。孤独に、泣いているオデット。王子はオデットのもとへ向かおうとしますが、白鳥の群れがまとわりついてなかなか進むことができません。そのあとはブルメイステル版に使われている暗い音楽。王子の懺悔の心と、運命に翻弄される二人を表すような、リフトを多用した哀しみあふれるパ・ド・ドゥが、音楽と共に徐々に盛り上がり‥‥うまいなあ、音楽の使い方が。。このへんからもう涙が出てきちゃいました。

醜いほうのロットバルトが現われ、立ち向かう王子をこともなく蹴散らします。オデットは王子をかばい、もう自分が死ぬしかない、自分が死ねばロットバルトも滅びるからと(多分‥そういうことだろうと)王子に言いますが、王子は死ぬなんてダメだ、死なないで!とオデットに必死ですがりつくのです。そして再び王子がロットバルトにやられそうになったとき、オデットは意を決して一直線に岩にかけ上り、ためらいなく湖に飛び込んでしまいます。それを見た王子もまたあとを追い、あっという間に湖へ(ダイブする背中のそりがすごかった!)‥‥‥え~っ!?すごい展開。

薄気味の悪い悪魔はのた打ち回り、廃墟の上で力尽き、白鳥たちの上に大きな朝日が昇ります。その日輪の中に二人の姿が‥‥最後まで泣かせてくれました~。

もう、見てから時間がたってしまったので、忘れてしまったりいい加減なところもあるかもしれませんが、とにかく刺激的な展開で満足度の高い「白鳥の湖」でした。もちろん主演のケントもゴメスもすばらしかった。二人の間に愛がひしひしと感じられ、素直に感動することができました。

この版の「白鳥の湖」はマーフィー&コレーラのDVDが出ていて、会場でも売っていました。記念に1枚と思いましたが、国内版は6,000円と高価なのでやめました。でも、やっぱりほしくなって、帰ってから早速、アマゾンで輸入版(2,821円)を注文しました。(リージョン1って何?うちの機械で映るのだろうかsweat02)注目はゴメスのロットバルト‥一体どんなロットバルト?

今回のABT日本公演の「白鳥の湖」では、私を魅了したホールバーグのロットバルトはこの1回だけだったと思います。他の人だったらあれほど感動したでしょうか?もしかして、私ってものすごくラッキーな出会いをした?それくらいホールバーグのロットバルトがセンセーショナルでカッコよかったのです。あの氷のような非情さ。妖しい美しさ。他の人でああいう雰囲気が出せるかしら?それはDVDが届いてからのお楽しみということで。

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2008年7月23日 (水)

「バレエまつり」in立川~続き

第1部
「人形の精」よりパ・ド・トロワ(バディナ&クリバエフ&モトゾフ)

最初の演目はピンクのドレスの人形の精と、二人のピエロのかわいい踊り。人形の女の子が一人のピエロと踊っていると、もう一人が泣いたり怒ったり、表情の変化が面白い演目でした。会場には娘の通っているバレエ教室の、小さい子クラスの子達も何人かお母さんと来ていましたが、子どもたちに聞いてみたらこれが一番面白かったとか。お子様受けする演目をトップに持ってきたのはよかったと思います。

「スパルタクス」よりアダージョ(リュボムドロワ&パルハチョフ)
戦いに出るスパルタクスとその妻フリーギアの別れのシーンだそうです。お姉さんの解説がまた、「もう二度と会えないかもしれない、そういう悲しい別れの踊りです」と声色まで悲しげになって、さすがです。スパルタクスの衣装は皮の鎧みたいなのとプリーツスカートみたいなもので、脚は素足に編み上げ?みたいなサンダル。フリーギアの衣装は横にスリットの入った、ピンクの袋みたいなへんな衣装でした。踊りはリフトが多くて華麗なものかなと思っていたら、さにあらず。もっとモダンっぽいカクカクした動きで、特にフリーギアの心情を強く表す演劇的なものでした。だけどスパルタクス、あんたは木石か!?全然表情が動かないし、動きで表現?もしてないみたいで、ちょっと心外でした。最初の演目の喜怒哀楽のコロコロ変わる感情と、この演目の深く沈んだ哀しみと、バレエではいろんな心の様子が表現できるということを示したかったのかもしれませんが、残念ながら子どもには(大人にも?)つまらなかったと思います。

「白鳥の湖」より4羽の白鳥(ダヴィドワ&ホメンコ&小池沙織&シマコワ)
去年もやりましたね~これ。4羽の白鳥を踊ったダンサーをそのまま舞台に残し、お姉さんが出てきていろいろ解説するの。「バレリーナが着ているのはチュチュ、履いているのはトゥシューズ。」そんなこと小さな子どもだってわかりきってるわい!会場の子どもたちを立たせて足の1番と2番をやらせたりするのは、もう珍しくもないのでやめたらどうかしら。うちの子は「4羽の白鳥」がどれだけ大変な踊りかわかっているから、踊ったあと舞台に残したままで(ゼーゼー状態のままじっと立っていなくてはいけませんから)かわいそう!と言っていました。4羽の踊りはよく揃って立派なものでした。

「眠りの森の美女」よりローズ・アダージョ(イサエワ&4人の王子)
4人の王子の一人、第1王子というんですか、それがルダチェンコ。ほかにクリバエフ、パルハチョフ、シャニンと長身のダンサーを揃えていました。衣装が銀色の鎧みたいなみんな同じ衣装で、銀色のすごい兜を被っています。それで顔はよく見えず。まるでスーパー歌舞伎みたいだわ~。
オーロラ姫のイサエワはちょっと初々しい16歳には見えないけど、とても安定した見ごたえのある踊りでした。一人シャチホコにはびっくりした~!持ち上げているのはよく見えなかったけどルダちゃんではなかったような‥‥‥。

「ラ・シルフィード」よりパ・ド・ドゥ(バディナ&モトゾフ)
このアレクサンドラ・バディナがプリマで、先ほどのオーロラ姫のイサエワと、フリーギアを踊ったリュボムドロワが、プログラムに写真入で紹介されているところを見ると、
トップソリストといったところでしょうか。それからジェームズを踊ったモトゾフが男性では一番のようです。小柄ですが技術は確かだし、容姿も端麗。ただ、ジェームズというにはあまりに貴公子然としちゃっていて、村の若者じゃなかったなぁ。王子様みたいでした。

「ドン・キホーテ」(ステパノワ&プハチョフ)
待ってました~。ステパノワはお馴染みというだけでなく、やっぱりひときわ大輪の花という感じがします。キトリすっごく似合う~!気が強そうで、頼りになりそうで。プハチョフ(プハチョフです!)は何と果敢にもカツラなしでした~!バジルのヴァリエーション、さすがにカッコよく決まっていました。キトリのヴァリエーションは扇ありバージョン。細かい足捌きの見せ方もエレガントでとても素敵。後半の回転は一転してダイナミックでした。コーダは拍手と手拍子で盛り上がりました。去年大阪に行ったとき、「海賊」のグランフェッテで手拍子が起こったのに驚きましたが、あのときもステパノワでしたね。立川でも盛大な手拍子。まあ、田舎だからいいじゃないですか。楽しまにゃソンソンということで。

第2部
「くるみ割り人形」よりハイライト

これは短いながら「くるみ」のエッセンスが凝縮されていて面白かったです。衣装もよかったし、踊りの振り付けもよかった。もしかして去年見たキエフバレエの「くるみ」の2幕のひどい衣装、ダサい振り付けよりずっとよかったのではないでしょうか。プログラムの写真から、これはこのサンクトペテルブルク・アカデミー・バレエで普段上演しているものをそのまま縮小したものだということがわかります。人数も少なく、短縮版ながら、この全幕を見てみたいと思うほど楽しかったです。

というのも子役のマーシャのかわいいこと!10歳ぐらいの子でしょうか。まるで天使みたい。それに小さいのにびっくりするほどよく踊るのです。ドロッセルマイヤーは片目眼帯した怪しげなルダちゃん。へ~こういう役も似合うのね。ドロッセルマイヤーがつれてきた男の子がこれまたかわいいの。マーシャと男の子が仲良く踊って、まだ別れたくないのにドロッセルマイヤーは男の子を連れて帰ってしまう。別れ際にくるみ割り人形をマーシャに手渡し、その男の子があとでくるみ割り人形になって踊りだす。

そういえば何年かバレエを見ているけれど、ロシアの子どもが踊っているのを見るのは初めてでした。日本の子どもは発表会とか、外国バレエ団のエキストラでよく見てるのにね。でも、全然違うのですよ。何というか、小さいのにポールドブラというか、手がとてもきれい。日本の子は技術が先で表現が置き去りにされている感じがするけれど、もう技術より先に表現というものを叩き込まれたという感じがします。小さいのに表現することにかけてはプロなのです。この二人のかわいい子役を見るだけでも行く価値があるかもしれません。

スペインの踊りは4羽を踊ったダヴィドワと、スパルタクスのパルハチョフ。この人はスパルタクスのときは何だあれ?と思ったけれど、こういう踊りはとても合っているんですね。長身でとても見栄えがするし、カッコよかったです。

東洋の踊り(アラビア)というのは長いし単調なのでいつも退屈してしまうのですが、これは退屈せずに面白く見ました。フリーギアを踊ったリュボムドロワですが、先ほどの感じと全く違って、まるで「シェヘラザード」のゾベイダみたいな妖艶さです。クリバエフはまるでアリババと盗賊?か、「海賊」のビルバントという感じ。最初の「人形の精」では踊りでモトゾフに負けていましたが、こういう濃厚な感じの踊りはよかったです。

中国の踊りは小池沙織さんと小柄なモトゾフ。小池さんも小柄で、そんなに細い体型ではないけれどかわいらしい感じ。ここではモトゾフの繰り出すいろんな技に会場が沸きました。先ほどの王子様のようなジェームズはえっ?と思ったけれど、茶目っ気もあるこういう踊りはいいですね。技術ではこの人が一番だったと思います。

ロシアの踊り(トレパック)はシマコワとルダチェンコ。ルダちゃん、ドロッセルマイヤーでもちょっと踊ったけれど相変わらず足音がドタンバタンだわ‥‥。でもトレパックではカッコよくはじけていました。スタイルいいし顔も王子様なので新天地でぜひとも頑張ってほしいです。

フランスの踊り(葦笛)はパニエで横に膨らませたドレスを着たプリマのバディナ。二人の子役と一緒にリボンを使って踊ります。先ほどのマーシャはかわいい猫ちゃん(羊?だと娘は言う。でもしぐさはどう見ても猫)になっていました。しかしこの子達、堂々とものおじせずよく踊るな~。

最後の金平糖の精のグラン・パはステパノワ&プハチョフ。プハチョフはやっぱりカツラなしで挑みました。さすがにバジルより王子様のほうが板についています。手足が長く、ジャンプしても回っても優雅です。反対にステパノワはキトリのほうがいい!繊細な動きの金平糖のヴァリエーションはちょっと窮屈そうで、細かいミスもあり、彼女には合ってなかったかなと。逆にコーダで大きな動きになると本領発揮ですばらしかった。こんなに個性の違うご夫婦ってどうでしょうね~。でも、息はぴったり。結構派手なリフトがたくさんあったので、そのたびに会場が沸きました。子供が見ても他の踊りと難易度が断然上というのがわかりますから、拍手も一段と大きかったです。

コーダは全員出演。こんな少ない人数でやってたんだ~。何か去年までのレニ国の若手の方々はちょっと素人っぽいところがあったけど、ここの皆さんはみんなしっかりした芸人、というかプロ。子役まで立派なプロですから。そういう意味ではまた違った味わいの楽しい公演でした。

終演後、外には出演者用の大型バスが止まっていました。昼間だし、去年娘と写真を撮ってくれたルダちゃんや、快くサインをしてくれたステパノワやプハチョフにもちらっとでいいから会えないかなと、とっても出待ちしたかったけれど、すぐ娘の発表会のリハーサルに行かなければならず、時間に追われて泣く泣く会場を後にしました。

チケットのお値段のわりにはすごく満足のいく公演ですので、近くに来るので見ようかなと思っている方にはぜひおすすめします。ただし、観客の半分は幼児ということがガマンできる人に。。。7月末からはステパノワ&プハチョフにかわって、チラシのとおりペレン&シェミウノフが出演します。

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2008年7月22日 (火)

「親子で楽しむ夏休みバレエまつり」in立川

解説のおねえさんが「皆さんこんにちは~!」というと、元気に「こんにちは~!」って、何それ?「おかあさんといっしょ」ですか~?いえ、「夏休みバレエまつり」という公演のことです。Img

私は去年この公演に一人で行きました。会場は幼稚園児~小学校低学年の子供連れでいっぱい。大人一人では気恥ずかしいような雰囲気でしたsweat01それでことしは娘を連れて行ったのですが、中学生の子では同じようなものでしたね。

去年まではレニングラード国立バレエが、「華麗なるクラシックバレエ・ハイライト」というのと、この「バレエまつり」と二手に分かれて公演をしていました。ところが、今年から方針が変わったのか、今年はサンクトペテルブルク・アカデミー・バレエというバレエ団?の人たちが中心となっています。何だか聞いたことがないので、ちょっと不安(不満)でしたが、ペレンちゃんが見られるし、立川に来るし、チケットも安いので行くことにしたのです。

ところが、ペレン&シェミウノフはロンドン公演中で出演できず、かわりにステパノワ&プハチョフになりました。私は実はステパノワ、好きなんです。ダイナミックな踊り、姉御肌の雰囲気。レニ国にはほかにいないタイプですよね。ペレンちゃんと違ってお子様受けするだろうか?という不安はありましたが、そんなことは全然心配無用でした。

最初に私のドジ話。解説のお姉さんが「アルチョム・プハチョフさんです」と紹介するのに、言いにくそうにしていたので、何あれ~?と笑っていたのですが、あとで娘がプログラムを見て重大発見!私は今まで娘にプパちゃん、プパちゃんと言っていたけれど、「な~んだ、プパチョフじゃなくてプハチョフじゃない!スペルだってPykhachovだもの。」と言われてしまった。スペルを持ち出すなんて、何て冷静な娘!う~、ずっとプパチョフだと思っていましたsweat02(私にとってはどうでもいいことだったのかもしれませんが‥‥)プハちゃん、ごめんなさい!ほんとにいい加減な母です‥‥sweat02以前の記事にもずっと「プパチョフ」と書いていましたsweat01本当に昨日初めて知ったのでお許しを!

それともう一つ新しい発見。何とルダちゃん(こっちは合っていますよね)がひょっこりと出演していたのです。ルダちゃんとはドミトリー・ルダチェンコ。今年の冬、レニ国の「白鳥」のパ・ド・トロワや「眠り」の王子などで見ていましたが、その後公式HPの写真が消えているので、どうしちゃったの?と思っていました。プログラムによると今年、タッチキン・バレエに移籍したとのことです。(やっぱりリストラされちゃった?のね‥)

タッチキン・バレエというのは全然知りませんが、来日公演が決まっていたのに、看板プリマの妊娠で公演自体がキャンセルになったところですよね?一人しかプリマがいないの?と思ったけれど、民間のバレエ団では仕方がないのかもしれません。タッチキンからレニ国に来た人もいるし、反対にタッチキンに行った人もいたのですね。ルダちゃんもこれからは頻繁に見られなくなると思うけど、新天地でぜひ頑張ってほしいです。

一旦終わりにして、詳細はまた明日。

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2008年7月21日 (月)

世界一ゴージャスな‥‥「海賊」

見てきました~!19日のアメリカン・バレエ・シアターの「海賊」。すごく面白かったです。一昨年、マリインスキーの「海賊」を見て、全然心に響かなかったのに(ソーモワの日!)やっぱり主演(ニーナ)の力でしょうか。Img もう大満足、よかったです~heart04

このポスター見たときは、かなり引いたんですけどね coldsweats01 カレーニョさん、一体どうなっちゃったの?何を勘違い?この人に耽美とか、ナルシストな雰囲気は合いませんよ~sweat02大体、私のアリのイメージが偏っている上に、この仕打ちは何?ゴージャスって、どうゴージャスなのかしら??

マリインスキーのほうは内容はともかく、衣装、背景共に、やっぱり舞台が明るかったせいでしょうか、すごくきれいに見えたと思うのですが、それを差し置いて「世界一ゴージャス」だったかはわかりません。でも、出演者の多彩さや物語の展開の面白さで、とても楽しく見ることができました。楽しませてくれるということにかけては「世界一」だったかもしれません。

あと、最後びっくりな展開だったのだけれど、家に帰ってあのマラーホフが出演している99年のDVDを引っ張り出して見たら、何とそのとおりなんですよ。(え~っ!?)最後までよく見ていなかったのか、はたまたマリインスキーやレニ国の印象が強くて忘れていたのか、あれは驚きの結末でした。

それと、私は見ていないのですが、前回(前々回?)の来日のときの「海賊」を見たという複数の知人から、ニーナは全然期待通りじゃなく最低だった(どれもバレエを踊る人の話なので、ファン目線でなないのですが)という話を聞いていました。ニーナでもそんなことはあるのかなと不思議に思ったのだけれど、今回のニーナは間違いなく輝いていましたよ。ちょっと最後、3幕のギュリナーラと踊ったフィニッシュ(というのか?)に、よろけて手を突いちゃったところがあったのだけれど、そういうところは別にファンにとってはどうだっていい。だけど自分でバレエを踊る人には許せないんだと思います。

思ったのは、こんな複雑なドタバタ劇も、要はコンラッドとメドーラの愛のお話だったのね~。そんな当たり前のことでした。そこにアリがヒーロー?として大きな存在感(私にとって?)で出てくるからわけがわからなくなっていたけれど、今回、このチラシのカレーニョのアリは、意外にも存在感が薄くて(というか、ごく普通のアリ?もともとちょっとしか登場しないんですものね~)その分いつも影の薄いコンラッドが際立った感じでした。コンラッド役のゴメスがやたらカッコよかったこともあるでしょうね。

もっとも、私の今までの見方が異常だったのです‥sweat02あのパ・ド・トロワも、ルジマトフが踊るときは、本当にルジマトフしか見ていなかったのですから。真ん中でコンラッドとメドーラが踊っていても、脇で恭しく控えているアリに目が釘付けheart04そういう邪道な見方しかしていなかったところへ全く違った健康優良児タイプのアリが現われて‥‥まあ、いいじゃないですか bleah 以下舞台の備忘録。

第1幕
紗幕の向こうでかなり立派な海賊船が順風満帆な航海。真っ青な海と空。これからの物語を予測させるような勇壮な雰囲気。マリインスキーのように難破したりしないのです。そしてある港町に到着。

街で、コンラッド(マルセロ・ゴメス)たちは輿で運ばれていくメドーラ(ニーナ・アナニアシヴィリ)に会います。布を被っていて顔は見えないのですが、メドーラはコンラッドを見ると、ふとベールをとって顔を見せます。その美しさにコンラッドはいきなりメロメロheart01手下のアリ(ホセ・カレーニョ)に彼女を追いかけさせます。でも、メドーラは奴隷商人ランケデムの「商品」だったようで、ランケデムに追い払われてしまいます。

そのうちにセイード・パシャがハーレムに侍らす女を物色にやってきます。マリインスキーのような異国情緒たっぷりの踊りはなく、ここに3幕のオダリスクが入る。その3人の女をパシャは気に入らず、それならと出してきたのがギュリナーラ。ここで、ランケデムとギュリナーラのパ・ド・ドゥ(奴隷のパ・ド・ドゥ)になります。

ギュリナーラはミスティ・コープランド。全体的にスリムなABTダンサーの中ではメリハリある体型というか、すごくキュートな人ですね。ランケデムはゲンナジー・サヴェリエフ。名前からしてロシア人?もう、この人の踊りのすごさがこの日のピカ一でした!手を突かない宙返り回転ジャンプ3連発!(何のことかわかりませんよね、どう言ったらいいのか‥)そしてその直後には斜め回転しながらぐるっと舞台を一周。もう、すごすぎ!!帰ってからDVDのマラーホフを見ましたが、こんなすごいことはやっていませんでした。

そのあとメドーラを見せるとパシャは大興奮。そのコミカルな芝居が面白い。まるで「ドン・キホーテ」のガマーシュよろしくメドーラに軽くあしらわれてしまいます。結局ギュリナーラとメドーラの二人を買って帰ることに。そこを海賊の一団が襲って、奴隷の女たちや財宝を奪っていきました。そうだよね~、海賊船が難破しちゃっていたら財宝奪っても乗せて逃げられないじゃないですか。変なところに感心しちゃった。そして、なぜかランケデムまで拉致していくのです。

第2幕
隠れ家の洞窟には、奪った財宝と奴隷たちでいっぱい。その中でコンラッドとメドーラ、アリのパ・ド・トロワが踊られます。ニーナは上がベルベット調の濃紺で、チュチュの部分が紫色の落ち着いた衣装。先日の「ドン・キホーテ」同様、全然年齢を感じさせません。伸び伸びとした肢体から放たれる暖かいオーラに、しばし見惚れてしまいました。

カレーニョのアリは‥おおらかで素朴な感じだけど、それじゃ奴隷じゃないでしょう!?ルジ様のように、もうちょっと「影」があるのがアリかと思っていました。例えば、実は高貴な身分だったのだけれど、暗い過去があってコンラッドに忠誠を誓ったとか‥‥考えすぎかな~?ゼレンスキーのアリもどこかそんな感じがしましたが、コレーラだったらどうだったんでしょうね。DVDで見るとやたら威勢良く気張っていて、カレーニョよりは少し奴隷らしいと思ったけれど。何だかボロクソのようですが、好みの問題ということでsweat01カレーニョのヴァリエーションは力強く豪快でよかったです。

ニーナのヴァリエーションは、後半の高速シェネがすごかった。コンラッドの踊りもあるのですが、こちらは愛するメドーラを得て、もう体全体うれしさを表すようなヴァリエーションでした。引っ込むときのガッツポーズもかわいかった。

コーダのグランフェッテは、4拍目に左手を上げる前半と、シンプルながらどんどん加速していく後半。音楽が必死で追っかけているようでした。それと、少しですが会場から手拍子が出ちゃって、それが加速するにしたがって音楽と合わなくなってきて、ちょっとヒヤッとしました。手拍子も盛り上がって?楽しいけど、やっぱりこういうこともあるからマナー違反なんでしょうね。

このあと、メドーラは奴隷の女たちを解放してほしいとコンラッドに懇願し、メロメロのコンラッドは「いいよ~heart01」と二つ返事。このことで仲間のビルバントと争いになります。ビルバントは部下に反乱をそそのかしますが、コンラッドがとっても強いのではむかえません。コンラッドカッコいいわ~。そのあとのピンクのネグリジェのような、薄物の衣装に着替えたメドーラとコンラッドのパ・ド・ドゥは、先ほどのクラシカルなものとうって変わって、難しいリフトを多用した叙情的なものでした。本当に幸せそうで素敵な場面です。一つの幕の中で全く違った二つのパ・ド・ドゥ(一つはパ・ド・トロワか‥)が見られる楽しさを満喫しました。

このあと、ビルバントのたくらみで花が届けられ、その香りをかいだコンラッドは不覚にも眠り込んでしまいます。そこへマントで身を隠した一団がやってきて、コンラッドを殺そうとするのですが、抵抗したメドーラに、ビルバントは腕を斬りつけられて退却します。どさくさに紛れてランケデムはメドーラをさらって行き、一人になったコンラッドを殺そうと戻ってきたビルバントは、駆けつけたアリに追い払われます。ここはマリインスキー版と違って、マントを被っているので刺客は誰だかわからないという設定になっているようです。(だけどミエミエだろう!)

第3幕
パシャの宮殿の中。このセットがとても美しかったです。宮殿の外庭は美しい入り江に面していて、遠くに白い船も見えます。ギュリナーラがそば近く仕え、くつろぐパシャのもとへランケデムがメドーラをつれてきたものだから大喜び。メドーラはギュリナーラと再会を喜び合います。このあとパシャは寝室に入り、部下に命じて床の用意をさせ、うたたねをします。(だけど、座布団敷いて寝てるだけよ。)そして、パシャの夢の中という設定で「華やぎの園」のシーンがあります。

後方の紗幕の後ろには噴水‥‥というか水呑場程度のショボイ噴水でした。噴水はマリインスキーのほうがゴージャスだったわ~。でも、花のアーチを持った子どもたちも入って、華やかでとても美しいシーンでした。中でもメドーラが花の中で踊るのが幻想的でうっとり。メドーラの衣装は白いレース地にバラ?のグレーの枝とピンク小花を散らしたきれいな衣装でした。

パシャが夢から起こされ、巡礼の僧の一団が来訪したことが告げられます。マントで身を隠した怪しい一団は、メドーラを奪回に来たコンラッドたち。パシャが熱心にお祈りをしている間に一人、また一人と側近を倒していき(気付かないはずがないのだが)最後に正体を現した海賊たち。パシャは逃げ出し、コンラッドとメドーラの再会。そこへギュリナーラを追ってビルバントがやってきます。コンラッドはビルバントに「何だ、仲間じゃないか」というようなことを言うのですが、ビルバントの腕の傷を発見したメドーラは「あなたを眠らせて殺そうとしたのはこの人だわ!」と告げます。

コンラッドはしばらく信じられないというような表情をしていたのに、いきなりアリからピストルを受け取り、ビルバントをバーン!と撃ち殺しちゃうの!へ~!そして奪った財宝と共にメドーラとギュリナーラを乗せて海賊船は出航します。さらに驚きの結末。(忘れていただけだと思うけど)その海賊船は間もなく嵐にあって沈んでしまいます。最後に岩の上に助かったコンラッドとメドーラの姿。めでたしめでたし‥‥ですか~!?

アリは?ギュリナーラは?死んじゃったの~?そんなのってアリ?

最後はびっくりしたけれど、ほんとにハラハラ、ドキドキ。いろんなことが次から次へ展開し、ノンストップで楽しんだというか、見どころ満載の上、ニーナのしっとりとしたメドーラが素敵で、とても見ごたえのある公演でした。カーテンコールもサービス満点。一体何回出てきたでしょう?そのうちの2回はリフトをされて、1回は横っ飛びにダイブを決めてくれました。ニーナはどこまで楽しませてくれるんでしょうね~。ニーナ、やっぱり大好きです。

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2008年7月18日 (金)

ABT初日「オールスター・ガラ」

超満員の東京文化会館でした。休憩中のホワイエは人があふれていました。そして皆様のお目当ては何といってもニーナ・アナニアシヴィリだと思います。1部の最後のドン・キホーテのグランパ・ド・ドゥはもう満員の会場が割れんばかりの拍手。1年ぶりのニーナの姿を見ただけで感動しちゃって、もう涙出ちゃいました。本当に見られて幸せ!ニーナ、本当に来てくれてありがとう!踊ってくれてありがとう!

いきなり興奮しちゃいましたが、昨日のアメリカン・バレエ・シアターの初日「オールスター・ガラ」よかったです。ロイヤルを見たあとで見ると、ABTのダンサーたちはなんて細身で手足が長くてスタイルよいんでしょう!ほんとに脚太い人なんて一人もいませんでしたよ~!加治屋百合子さんも唯一の日本人(東洋人は何人かいるようですが)ダンサーとして頑張っていました。彼女もほかの面々と引けをとらないスリムさでしたね。ほんの数日のうちに(両方とも1公演しか見ていない私が言うのもおこがましいけど)イギリスのバレエとアメリカのバレエの対比を見たような気がします。

「ラ・バヤデール」第1幕のパ・ダクシオン
何かと思ったらソロルとガムザッティの華やかな婚約式の場面でした。好きなシーンです。舞台セットはないものの、後ろにはコールド(オウムじゃなくて団扇を持っている)の人々が椅子に座って並んでいます。オリエンタルな衣装の男性も数人後ろに控えているし、4人×2のソリストたちも入ってそれなりに華やか。

ソロルはデイヴィッド・ホールバーグでガムザッティはミシェル・ワイズ。両方とも初めて見る人です。婚約式なんだからもうちょっとうれしそうにしてもいいはずなのに、ワイズはず~っとおすまし顔でにこりともしません。高貴な姫君だからでしょうか?それがちょっと不思議でした。ホールバーグのほうはソロル役ですから、ニキヤという恋人がいながら藩主の命に逆らえずにガムザッティと婚約したわけですし、これから悲劇が待っているのですから、ここでにこにこしてたら変ですよね。(でも、今年のレニ国のコールプは何をたくらんでいるんだ~!?というくらい満面の笑みでしたが‥coldsweats02)ときどき後ろめたそうな、不安そうな表情やしぐさがあり、「バヤデール」の一場面を見るようでした。

ワイズはほとんど感情というものが表に出ないし、表情も硬いけど、まあきれいなお姫様。ホールバーグも金髪サラサラの貴公子という感じ。最初からいきなり眼福です。振り付けはオーソドックスなマカロワ版で、あの足技バタバタのロイヤルを見たあとだと、何とも優雅でほっとします。(散々な言い方!)でも、衣装もバックも違うけど、バヤデールというとやっぱりルジ様を連想してしまうのが悲しい‥‥。あの表面は幸せそうにつくろいながら、いつニキヤが現われるかと、指先までピリピリしたような緊張感のある戦士ソロルはもう見られないと思うとweep‥‥ごめんなさい、超・蛇足でした。

「マノン」第1幕のパ・ド・ドゥ
寝室のパ・ド・ドゥといったっけ?去年フェリが踊って、そのリフトの多彩さ、流れるような優美さ、感情表現=身体表現の妙に目から鱗ものだった演目です。すぐそれを思い出したのは、上手の小さな机に向かって書き物をしているゴメスが、あのときのボッレにそっくりだったから。顔、似てません?どうでもいいけど ^ ^ ;

ュリー・ケントも素敵でした。相変わらず鶏ガラのように細い‥‥(失礼!)彼女の場合は顔だけ見るともっとゴージャスなボディ(叶姉妹みたいな??)を想像するし、首から鎖骨にかけての筋の出方が痛々しい感じがしちゃって。「海賊」のビデオを見て、あんな胸ぺタンコで栄養失調みたいな女、何の魅力もないわと(デブのひがみ)思っていたけれど、実際舞台で見るとこれが夢見るように美しいんですよね。バレエというのは現実の世界と違って、ある意味夢の中の世界だから、彼女の輝くような美貌と華奢な体のミスマッチは絶妙なんだと思います。

その華奢な身体が壊れそうなほど、次から次へといろんな形でリフトされ、振り回され、愛に生きる歓びを表現していく、こんなバレエもあるんだわ~。何だか見入っている間にあっという間に終わってしまって、もっと見ていたかった。

「白鳥の湖」第2幕のグラン・アダージオ
今年の冬の「マラーホフの贈り物」で、見事なパートナーシップで魅せてくれたイリーナ・ドヴォロヴェンコとマキシム・ベロセルコフスキー(相変わらず舌噛みそうだ)ご夫妻。このお二人は身長のバランスがベストで、チラシにあった「白鳥の湖」の写真の二人の姿の美しいこと。ポワントで立ったイリーナが背中をそらせてマキシムの肩にもたれかかり、上を向いた二人の横顔の位置がぴったりと決まる。そういうバランスの美しさをアダージョの随所に感じました。

私は特に夫君のマキシム様が(入力が大変なので名前で呼ばせて!)とっても好みheart01ということに気がつきました。スタイルはバレエダンサーとしてはそんなによいほうではないし、顔だってちょっと渋くてオジサンくさいと思うけど、もう、冬に見た「くるみ」と「黒鳥」のグラン・パのあの笑顔だけでメロメロになりました。残念ながらこの演目では素敵な笑顔というわけにはいきませんね~。それに、王子はほとんど支える以外何もしないんですよね weep でも、やっぱり全身でオデットへの愛を表現しているような、そのひたむきな感じが素敵でしたよ~。

しかし、ここの場面のコールドって意味あった?初日で間尺がわからないのか、何だか揃ってないしフォーメーションが変わるときももたついていて、気になって集中できないので最後のほうはもう見ないようにしてましたgawk 「白鳥の湖」の本公演のほうは大丈夫ですよね?この二人の全幕も見たかったけれど‥‥(違う日にしてしまいましたsweat02)ここでアダージョだけでも見られてうれしかったです。

「シナトラ組曲」
プログラムによるとバリシニコフの人気演目だったそうです。黒のバックには星が輝き、都会の夜の街角のような雰囲気。黒のスーツ姿のマルセロ・ゴメスと、黒のキャミソールドレスにハイヒールのルチアーナ・パリス。社交ダンスのようでいて、難しいリフトも満載の粋な演目でした。どこかで聞いたことがあるような(曲名は「マイ・ウェイ」ぐらいしかわからなかったけれど)フランク・シナトラの歌(懐メロ?)に乗って、ノンストップで踊り続ける二人はそれなりにカッコいい。ABTならではの演目だったと思います。

「ドン・キホーテ」第3幕のパ・ド・ドゥ
歌舞伎だったら「待ってました!」と掛け声がかかるところですね。もう、ニーナの登場の瞬間から、今まで見たものを全部忘れちゃうくらいの興奮。その大輪の花のようなオーラは少しも変わっていないうれしさ。それに、オペラグラスで見ていたら何ていう表情でしょう!相手役のホセ・カレーニョに対し、ものすごいいたずらっ子のような目つきで笑いかけ、「さあ!いくわよっ!」てな感じ。早くも丁々発止の展開が予測され、この瞬間からもうニーナに釘付け!

ニーナに関しては踊りの細かいところがどうこうじゃないですね。表現力なんて言葉もなし。だって彼女がキトリそのものだから。もう何百回もこの演目を踊っていることでしょう。その中で自然に役の中に溶け込んでいった、そういうものだと思います。緩急のつけ方が絶妙。魅せ方を熟知しています。バランスは今回短かったけれど微動だにせず。伸び伸びとした肢体が踊りにおおらかさを与え、相変わらずの美しさでした。

本来はアンヘル・コレーラと踊るはずでしたが、コレーラの怪我で急遽ホセ・カレーニョになりました。コレーラの「ドン・キ」は見たことがなかったので、楽しみにしていましたが、カレーニョもすごくよかったです。

去年フェリ引退公演でパロマ・へレーラと「ドン・キ」を踊ったのを見ましたが、本当に自然体で何も気負いがない感じなのに、すごくさまになっていて驚いたものです。この超絶技巧といわれる演目は、スペインらしさを出すために、動作の一つ一つをメリハリよく決めようとしたり、カッコつけて見得をきったりする人が多いのですが、カレーニョにはそんな力みは全然なく、軽~くそのまんまで踊っているようです。それが憎いな~。見た目重量ありそうなのに(!)本当に軽~いんですよね。

ニーナのグランフェッテは最初は両手を腰に当てて、次の8小節は左手でスカートを持って、半分以降は普通に回りました。ダブルも何も入っていないシンプルなものでしたし、DVDに残っているような全盛期の超高速回転のようなフェッテではありませんでしたが、きっちりと回りきりました。ちょっと会場から手拍子が出かかったけれど、ニーナだったら手拍子しちゃってもよかったな~と思ったりもしました。そのあとはルべランスなしで、間髪をいれずカレーニョの回転に続き、ニーナの高速シェネ、最後は走って飛び込むダイブも決まりました。もう最高!

会場は割れんばかりの拍手。まだ第1部なのに立ち上がっている人もいました。もう、このまま帰っちゃってもいいくらい、ほんの10分間のグラン・パなのに、こんなに観客を惹きつけるニーナ。とにかくニーナ自身がとても楽しそうに踊っていて、大満足でした。

「ラビット・アンド・ローグ」
休憩をはさんで、さきほどの「シナトラ組曲」と同じトワイラ・サープ振り付けの新作。衣装はノーマ・カマリだそうです。イーサン・スティーフィル扮する「ならず者」と、エルマン・コルホネの「紳士」はともに黒のユニタードに銀色のラインが入った衣装で、裏と表みたいな関係なのかしら。イーサンって、しばらく見ないうちにオジサンっぽくなったなあ。ちょっとバリシニコフに似た雰囲気を持っている人です。踊りのキレはコルホネのほうが上かも。

最初はこの二人と黒い衣装の人たちが踊りますが、ジリアン・マーフィーとデイヴィッド・ホールバーグのカップルが出てきたら、今度は白い衣装の人たち。そしてもう一組パロマ・へレーラとゲンナジー・サヴェリエフのカップルが出て、今度は銀色の人たち。あまり意味がわからないのだけれど、小粋でおしゃれな感じのダンスでした。

だけどこれ、45分は長かった~sweat01途中で何回か寝そうになりました。いや、数分、寝たかもしれません。加治屋百合子さんは「カルテット」という、二組のカップルのうちの一人で、黒のセパレーツになった衣装(細いのにすごい腹筋を見ちゃった)と、銀色の水着のような衣装の2種類の衣装で踊りました。踊りはきれいでしたが、眠気には勝てませんでした。ゴメンなさい!

最後に全員集合すると、結構な人数がいたのに驚きました。でも正直、終わってほっとしたくらい長かったです。

初日はとにかくニーナで楽しみました。本当にあの存在感、強烈な華は何ものにも変えがたいですね。来シーズンいっぱいでABTを退団するそうですが、引退ではなく、自らが芸術監督を務めるグルジア国立バレエの活動に専念するためだそうです。

同年代のフェリは引退し、ギエムもコンテンポラリー中心の活動になっている中、ニーナだけはクラシックで真っ向勝負していますね。クラシックを踊る身体を維持・調整するにはものすごい努力が必要だと思いますが、まだまだ踊ってくれそうですよ。プログラムの最後に広告が入っていたのですが、それを見てさらにびっくり!

2010年2月 ニーナ・アナニアシヴィリ&グルジア国立バレエ
アナニアシヴィリが悲劇のヒロイン、ジュリエットを華麗に舞う!

だそうです。2010年っていつだ~!?「2010年宇宙の旅」という映画を見た頃はえらい未来だと思っていたけれど、もう再来年が2010年なんですね。だけど鬼が笑うどころじゃないわ。本当に頼もしい人ですね~。だからニーナ大好きheart01 明日の「海賊」もとても楽しみです。

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2008年7月17日 (木)

ロイヤル「眠り」続き

昨日は、前回の記事を途中でいったん終わりにして、息子の学校へ三者面談に行きました。もう、担任との話はキレそうでした。何で今の時点で「目標、目標」とばかり言われるのかわからない。そりゃほかの子と違ってボケッとしている息子も悪いけどさ~!まるでノルマ、ノルマと責められる営業マンみたいだわ!私が高2のときはプロ野球や洋楽、歴史小説などにはまって、それぞれに仲間もいて楽しい真っ盛りだったと思うのに、進学校というのはこういうものかと悲しくなりました。ということでダメ息子とムカつく学校をよそに、最近ますます私は現実逃避で、趣味の世界に走りつつあります。危ない、危ないsweat01Imgp5946

帰ってきたら、チケットぴあからのメールで、翌日からのABTの公演にアンヘル・コレーラが怪我で来日できなくなったことを伝えていました。それでニーナのお相手はホセ・カレーニョになったとのこと。カレーニョもすばらしいダンサーですが‥‥何と言ったらいいのでしょう。。どうせならもっと他の人がよかったなぁ‥。

では、昨日の面談で頭に血が上って書けなかったロイヤルの「眠り」の続きを。←のチラシはチケット売り出し当初のものです。これだけ見ると衣装もセットも何かすごく美しい、夢の中の世界のようで、本当に楽しみでした。でも、実際は照明がかなり暗めで、こんな感じではなかったな~。

プロローグ
オーロラ姫の誕生を祝う宮廷。見せ場は妖精のパ・ド・シスで、ここの妖精は「澄んだ泉の精」とか「森の草地の精」などという名前で、それぞれに男性の
「お付きの騎士」がついているのです。それなりにソリストたちがずらっと並んだところはゴージャスでした。衣装もレースやスパンコールを多用した、淡いパステルカラーの美しいもの。それぞれのチュチュに花が立体的に縫い付けてあるのですが、衣装と同じ淡い色なので何の花かはよくわかりません。

踊りはやっぱり例の小刻みなステップがかなり入っていて、「歌鳥の精」なんてもはや人間業ではありません。そう、ここまで速い細かい脚の動きは、人間ばなれした妖精があちこちちょこまかと飛び回るのを見るようで、それなりに表現的な意味があったんですね。(と一人で納得)

そこへ招かれなかったことに怒り狂ったカラボスが登場します。手下のかぶりもののネズミたちが暴れまわる。カラボスは女性なので、ちょっと線が細い感じ。デビ夫人ですか~?みたいな、結構エレガントなカラボスです。そのエレガントなカラボスが式典長のカツラをもぎ取り、さらに髪の毛までぺりぺりむしるのは、滑稽というよりかわいそうでした。イギリス人のユーモアって、日本人にはちょっといきすぎ?みたいに見えることがありますね~。

リラの精は今回プリンシパルに昇格したというローレン・カスバートソン。威厳はあまりないものの、思いっきりの笑顔がすごくかわいいリラの精です。妖精のトップの?力で、恐ろしいカラボスを退けようとしているのに、マイムの間もずっと同じ笑顔ですか~??みたいなところはあったけれど、その笑顔に安心感を覚えるリラの精でした。

第1幕
ワルツのあとのオーロラの登場。舞台下手に大きな階段のセットがあって、エキストラの貴族たちがたくさん居並ぶ中、階段の上から?と思ったのに、意表をついて階段の後ろから登場しました。オーロラはロベルタ・マルケス。あれっ?登場の瞬間のキラキラっとしたお姫様オーラがありません。16歳のオーロラがはちきれんばかりに飛び回るシーンも、どちらかというと男まさりのような、きりっとしたオーロラでした。とてもきれいな人なのですが、メイクがね~。何で真っ赤な口紅なの~?!目の周りも黒の濃いアイラインがきつい感じでオーロラの雰囲気じゃないわ~。せめて口紅ピンクで、ナチュラルメイクにしてほしかった。

しかし‥‥王様とお后様の背がすごーく高いので、小柄なマルケスが並んだらまるで小学生のよう。(?)ほかの人々の間にいるとさほど小柄な感じはしないのですが、この辺の縮尺?がわからないsweat01 全体的に体型も身長もどちらかというと日本人に近い感じの人が多くて、ロシアバレエのように高身長の人はいません。その中でもマルケスはちょっと小柄に見えます。そのくせかなりたくましい脚なので、決してスタイルいいとは言えない‥‥。だけどさすがはプリンシパル。ローズアダージョは安定感もあり、安心して見ていられました。アチチュードのキープもよくこなしていましたし、技術的には優れた人なんだなと思いました。

4人の王子に求婚されて、オーロラが幸せいっぱいに踊っているところへ、マントで身を隠したカラボスが糸つむぎの針を持って現われます。オーロラがカラボスから針をもらうと、周囲のあわてぶりもよそに、好奇心のままそれを持って踊るうち、手に針を刺してしまいます。倒れるオーロラ。嘆く人々。そこへリラの精が現われます。本当にこの場面の音楽はドラマチックですよね。リラの精が一同に心配しなくてもいいと告げ、皆を安心させてから魔法をかけていきます。人々が眠りにつき、何枚もの幕が下りてきて次第に城を覆っていくのです。

第2幕
あれから100年たったのか?衣装の雰囲気も違う別の国?森の中に狩に来た一行が、王子を囲んで乾杯したりしています。王子はヨハン・コボー。わ~、やっと知っている人が現われたわ。前にスタダンの「くるみ」や「ジゼル」で吉田都さんとともにゲストで踊るのを見たことがありますが、昔のことだし、あまり印象になくて初めてのようなものでした。こちらもずいぶんと大人びた王子様で‥‥でもさすがに他の人とはちがうノーブルさを持っています。そんなに背は高くなさそうですが、歩く姿から立ち姿までいかにも王子様という感じ。森で遊ぶお付きの人々とは違い、王子は
一人浮かない表情。どうして泣いているのですか?というマイムに、ほっといてくれみたいなマイム。お付きの人々が去ったあとでも、一人憂い顔で森に残る王子。これから何が起こるのでしょう?まるで「白鳥の湖」みたいだわ~。

そこへリラの精が現われ、王子の心の中を写すように、眠っているオーロラ姫の幻影を見せるのです。王子はここしばらくの憂鬱の原因がわかったように、リラの精にオーロラに会わせてくれるよう懇願します。そして現われたオーロラの幻影。ここは、幻想的で好きな場面。夢みるように伏目がちに踊るオーロラと森の精‥‥のはずですが、オーロラはなぜかとても悲しげな顔をしています。まるで「お願い!早く助けに来て」というような、せつなげな顔。まあ、このほうがわかりやすいといえばわかりやすいけどね~。王子はいてもたってもいられずオーロラを追いますが、追いつきそうになるとリラの精が間に入ったり、森の精にとめられてしまいます。

そして、ゴンドラに乗って、オーロラが眠る城へ‥‥。1幕の最後に出てきた、生い茂る植物を表す幕の間を縫って、低く流れるスモークの中、ゴンドラは蛇行しながら前方に進んできます。この場面は単に王子とリラの精がゴンドラに乗って周囲を眺めるだけなのですが、音楽の美しさと、絵のような情景の美しさで十分間がもつのですね。間奏曲はなく、ゴンドラを降りるともう100年前のオーロラが眠る城。

カラボスが現われるのですが、王子は剣を持っていません。どうするのかな?と思っていたら、王子は戦わず(何でよ!)リラの精がカラボスを追い返してしまいます。カラボスはオーロラの眠るベッドに何か確認するようなしぐさをしてから、ベッドの裏の窓のようなところに(鏡?)隠れます。そこへ王子がやってきてオーロラにキスをすると、後ろの窓のカラボスが苦しみだして、鏡にひびが入ってカラボスは滅び、魔法は解けました。目覚めたオーロラと見つめあう王子。めでたしめでたしheart04

第3幕
この間の休憩はなく、一度幕がしまってしばらくすると、華やかな結婚式の場面になります。貴族たちのほかにいろんな招待客が現われます。おなじみの猫や、狼と赤頭巾ちゃん、青い鳥とフロリナのほかに、踊らなかったけれど美女と野獣のようなカップルと、アラジン?のようなオリエンタルなカップルもおりました。ここが何とも童話というよりディズニーの世界のような感じでしたね。美女と野獣もアラジンも、ついでに何か踊ったらよかったのに。(!?)

金・銀・ダイヤモンドの踊りが、ここでは「フロレスタンの姉妹たち」というパ・ド・トロワになっていました。姉妹たちって、男性も一人いるんですけど。オーロラは一人っ子のはずだからおばさんたち?まさかね。このトロワの男性のセルゲイ・ポルニンが、すごく若くてかわいいの~heart04踊りも伸び伸びとして品があり、次世代王子候補?という感じがします。ロシア人?思わずおばさん根性出して、オペラグラスで追っかけてしまいました。

猫はコケティッシュな表情も見ものなのに、仮面をつけてて残念でした。青い鳥はスティーブン・マックレー君のはずだったのよね~。残念。でも、ジョゼ・マルティンという人も踊りはダイナミックで魅せる踊りでした。やはりこの演目は男性の見せ場が少ないので、ここで一気に会場も盛り上がっていました。が、ビジュアル的にはどうもね~。メイクもパンクみたいだし、体型が‥‥フロリナのラウラ・モレーラもスタイルそんなによくないけど、かちっかちっと決まる正確な踊りでよかったです。

最後のグランパ・ド・ドゥは華やかで見ごたえがありました。コボーのサポートがうまいのか、高速ろくろまわし?これでもかというくらい回してました。3回連続のダイブもぴたっと決まり(何かいつも思うのだけれど、この上に向かって硬直した脚は一歩間違うと笑える要素だよね~)すばらしかったです。ただ、王子のヴァリエーションは、少し背中が硬くなってきたベテラン入った踊りかなと‥‥。最後、終わりそうになったところでまださらに音楽が続き、これでもかと回転するところ、ちょっとスタミナ切れみたいでしたしね。wink お疲れさまでした。

照明が暗めで、セットの色合いも渋すぎて陰気臭かったけれど、衣装はどれも趣味がよくて、豪華で美しく、全体的には絵本のページをめくるようなとても楽しい舞台でした。でも、心を動かす感動というのか、そういうものは薄かったかな~。マイムを多用し、演劇的に進んでいくのですが、それは脇の人で、肝心の主役のオーロラと王子の間の物語というか、盛り上がりが見えてこなかった。まあもともとおとぎ話だし、登場人物が多く、華やかなだけのバレエといえばそうなのですが、せっかく憂い顔の王子や、一人ぼっちで眠り続ける悲しげなオーロラを登場させたのなら、そのあと目覚めてからのことがもっとドラマチックでもよかったと思うのに、そのへんはあっさりまとまっちゃっていましたね。

コジョカルとマックレー君は残念だったけど、知らない人ばかりのわりには楽しめた「初ロイヤル」でした。

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2008年7月16日 (水)

初めてのロイヤル「眠れる森の美女」

何だか気分的にのらなくて、初ロイヤルの感想を書けないでいたら、もう明日からABTが始まるので、備忘録として今のうちに残しておかないと忘れちゃうわ~sweat01‥‥と、結局その程度のことだったというのは、チケット代からすればとっても悲しいので、頑張って多少なりとも印象を書こうと思います。Imgp5947

映像では幾つか見ている英国ロイヤル・バレエも、私は生で見るのはこれが初めてでした。でも、最近は世代交代期なのでしょうか?主役キャストが発表されても、知っている人があまりいません。それで、どうせならとコジョカルの日にしたのですが、コジョカルは怪我でキャンセル。それから去年、ヨハン・コボーのかわりにやってきて、いきなり初役で「真夏の夜の夢」を踊って、そのフレッシュな魅力にすがすがしさを感じたスティーブン・マックレーも、ブルーバードにキャスティングされていましたが、怪我で来れなくて crying 私にとってはヨハン・コボー以外知らない人ばかりの淋しい「初ロイヤル」になってしまいました。

それなのに会場はコジョカル目当てだったのかほぼ満席です。発表のタイミングも、特典つきのチケットやスーパーエコノミー券?をひととおり売ったあとでしょ。。もっと早くわかっていたはずなのに、何だか売り方に策略を感じなくもありません。そういえばボリショイもやっとフィーリンがらみのキャスト変更が発表されました。それでもまだあと何ヶ月もあるのでまだいいですよね。「明るい小川」にはフィーリンが(脇役?)出るとありますが、ホントに?もしそうならぜひ見たいと思います。

いつも良心的なのは光藍社さんです。去年もキエフバレエのルジマトフの件で、わざわざ2,000円返金してもらいましたが、今年も「親子バレエまつり」のチケット購入者に対して、ペレン&シェミウノフが出演できなくなったことへの丁寧なお詫びと、キャンセルを受け付ける旨のメールをもらいました。ステパノワも好きなので私はキャンセルしないけど、そういう姿勢はありがたいです。それでなければ、去年、私は見なかったけれど東京バレエ団のマラーホフの代役が、うわ~!見ればよかった!というくらいの豪華キャストになりましたよね。まったく、チケット代高いんだからそのくらいしてもらわないと‥ブツブツ。

あ~肝心の公演でしたよね。全体的にはセットがとても豪華で、衣装もすごく古典的で美しく、貴族のエキストラも多数、かぶりものも登場して、それこそバレエを見るというより、絵本の中に迷い込んだみたい。物語の筋を大事にした演劇的なところもあって、どっぷりおとぎ話の世界に浸れる舞台でした。

でも、何だかずっと、最後まで照明が薄暗くて、ボーっとしていて、それはあのパステルカラーのゴージャスな衣装を引き立てたでしょうが、全体的に暗かった。どちらかというとお正月に見たレニングラード国立バレエの、パーっと明るい、キラキラ輝くような舞台が「眠れる森の美女」にはふさわしいように思うのですが。まあ、好みの問題ですね。シックな間接照明より、安物の裸電球がこうこうとしてたほうが景気よさげでいいと思う、庶民的感覚かもしれませんsweat02

あと、振り付けですけど、アシュトンが主たる振付者でしょうか?その、複雑で細かいステップ、クラシックなんだけど、ちょっと変な‥‥まるでポワントの先で床を突き刺してるみたいな硬質な力強さとか、ピタッピタッと止まるメリハリありすぎの踊りが、ずっと続くと見ていて疲れます。小難しい脚の小技をせわしなく(特にコールドで)バタバタやられると、おとぎ話の世界もしぼんでしまいそうdash gawk あれを踊るのは相当疲れると思いますよ。それに脚は絶えずつま先ピンとさせて小刻みなステップを踏み、上半身は柔らかく優雅になんて、そんな難しいことよくやるな~と感心してしまいますが、で、だからどうなの?みたいな。

だからというわけではないでしょうが、ロシアバレエでは普通にいっぱいいる、長身、細身、手足と首が異常に長い、超X脚のスーパーバレリーナ体型の人は、ソリストからコールドに至るまでロイヤルには一人もいませんでした。多分あのアシュトンの振付を踊りこなすには、相当強靭な脚力がいるでしょうから、細身で華奢なロシアのバレリーナには向かないと思います。皆さん結構たくましい方ばかりで、ふくらはぎの筋肉が男性並にすごい人もいました。主演のロベルタ・マルケスも相当!でした。

ここまで書くと「え~っ?」みたいな感じですが、一応は楽しめたんですよ。でも~やっぱりチケット代高すぎる!(S席22,000円!)費用対効果にしては、この間の「ルジマトフのすべて」(13,000円)のほうがはるかに満足度は上でした!(それはルジマトフのファンだからもあるけど‥)

長くなりそうなので、ちょっといったん終わりにします。またあとで続きを。

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2008年7月11日 (金)

あとをひく‥‥

あれから一週間ですが、まだこの間の舞台の余韻に浸っています。(フヌケ状態ですlovely)一番好きなダンサーの1年ぶりの舞台だったというのもありますが、あのロメロ振付の「カルメン」という作品、あれは不思議にあとを引きますね~。最初は寄せ集めの即興みたいでちょっと不満が残ったのだけれど、あとから考えると今までになく強烈な印象だったなあと。

フラメンコって、表現がどれもこれも同じように見えてしまい、長く続くと飽きてしまったりします。極端に言えば、喧嘩を売っているのか、誘惑してるのか、はたまた突っぱねているのか、すがりついているのか、フラメンコを見慣れない私にはとんと違いがわかりませんでした(!)が、全部ひっくるめてそれが踊りから湧き上がってくる「情熱」というものだったのかと。フラメンコはバレエと違って形の美しさを見せるものではなく、もっと泥臭く、身体から発するエネルギーで伝えるものなのかもしれません。

先週末に英国ロイヤル・バレエの「シルヴィア」、そして今週末は「眠れる森の美女」が上演されます。「シルヴィア」はまだチケットがありそうだったけれど、結局その「ルジすべ」の余韻でボーっとしていて、とても見に行く気力はありませんでした。行かれた皆様の感想もサーチしていませんが、どうだったのでしょうか。「眠れる森の美女」は行く予定ですが、コジョカルもマックレーも出演できなくなり、期待度は半減しています。実は私はロイヤルバレエを生で見るのは初めてなのです。。だから、一度話の種に見るのだから、主役は誰でもいいのですけどね。だけど、ルジマトフのような強力カリスマを見たあとには、何だか特に見たいという人がいないというのは気が抜けてしまいます。

そのあとにはABT、「親子バレエまつり」と続きます。バレエまつりはやっぱり7月末までペレン&シェミウノフの出演はなく、かわりにステパノワ&プパチョフになりました。この二人がお子様に受けるとは思えないんだけどbleah(まだコシェレワとかミリツェワのほうがお子様にはいいのでは?‥‥)私はステパノワもプパチョフも好きです。去年は「タリスマン」のパ・ド・ドゥが本当に素敵だった‥‥!あれ1曲だったのに「エスメラルダ」と「眠り」を踊ったペレン&シェミウノフより印象に残りました。今年は「くるみ割り人形」??彼らには彼らに合った演目があると思うんですけどね。まあ、めったに見られないと思うので楽しみです。

レニ国の冬公演、結局優先予約の申込み用紙に記入したまま、まだFAXしていません。来年1月は娘の受験の追い込みだし、何があるかわかりません。それに「ジゼル」も「海賊」も「ライモンダ」も、オーチャードホールというのがまた、気持ちが萎えてしまいます。あそこはすごく見づらい!前半分はどこに座っても前に座高の高い人がいたらアウトです。それくらい傾斜がないの。まあ、今年の夏も子どもの発表会で予定がわからなかったけれど、一応見たいチケットは買えたし、もう少しあとでもいいかな、と思っています。早くK社DMで予告された1月中旬の「ミハイロフスキー・ガラ」の詳細が知りたい!

やっぱり踊る芸監さんの登場が待たれます。先週「ルジすべ」を見た直後は、やっぱりクラシックを1曲は見たかった~。と思ったけれど、1週間たってみると、もう舞台に立ってくれるならフラメンコでも何でもいいって心境になってきました。あのとき、すばらしいコールプの踊りを見て、来年のレニ国はコールプ必見!と思ったけれど、まだチケット予約のFAXしてなくて、8月中旬ごろわかるというガラに多大な期待を寄せる、相変わらずあきれたファンなのでした。

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2008年7月 7日 (月)

「ルジマトフのすべて2008」その他の演目

Rujisama_003 また「カルメン」ですが、今、数日たって改めて思い出すと、最初のダンススタジオのレッスンシーンが現実の世界で、そこから一人ずつダンサーが登場人物に変身していって、徐々に物語の「カルメン」の世界と入り混じっていき、最後には現実と劇中劇が渾然一体となっていくような構成だったんですよね。最初は説明不足でわからなかったけれど、あとからじわっ~と、すごい舞台だったなあと思えてきました。

だけど、背景にずっと練習風景のような写真が映し出されていたのは何か変で、あれはどういう意味だったんでしょうね?フラメンコとバレエの融合の過程?だったのか、または特別な意味はないのか?けっこうひどい(!)写真もあって、もう少しどうにかならなかったんですかね。

というわけで「ルジマトフのすべて2008」について、まだしつこくsweat01(備忘録です)

「海賊」よりパ・ド・ドゥ(ヴィクトリア・クテポワ&マイレン・トレウバエフ)
トレウバエフは3月の新国立劇場の「カルメン」で、濃~いエスカミーリョを演じていました。私は新国はめったに見ないのに、この人どこかで見たことがあると思ったら、もとレニングラード国立バレエにいたのですね。(一度見たら忘れられない顔?)そういえば昔「ゴパック」とか「スポーツのワルツ」とかいうのを踊っていたような気がします。
だけどしょっぱなに、このルジマトフファンだらけの前で、彼の十八番の「海賊」を踊るなんて、ずいぶんな重圧だったでしょうね。しかも、お相手はルジ夫人ですからね!

うわさのクテポワさんは、手足が長く、首も長く、人もうらやむ典型的なバレリーナ体型の方です。マリインスキーのコールドダンサーと聞きました。こんな条件に恵まれた人でもコールドなのか、と改めてマリインスキーの層の厚さに驚きますが、踊りは表情に乏しく、きれいだけど面白みに欠けていました。去年、やっぱり「ルジすべ」で黒鳥を踊ったときは、すごい邪悪なオディールという感じで、技術に対して演技過剰?のような気がしましたが、今回は何だか別人のようにお人形のようなお姫様でしたね。やっぱりこれだけルジマトフファンがずらっと並んだところで手厳しそうな視線を浴びて踊るのは、彼女にとっても相当な重圧だったと思います。そんな中でよくやったわ~。1日目はフェッテのあとちょっとコケてしまいましたし、回転もぐらついていましたが、2日目はわりとそつなくこなしたと思います。

だけど、やっぱりかわいそうなのはトレウバエフです。トレウバエフに対してクテポワは背が高すぎ。これだけ手足が長く、顔が小さいパートナーと踊ると、顔が大きくてスタイルいまいちなのが目立ってしまいます。お人形の「姫」とはまるで別次元の人みたいで、パートナーシップどころではなく(どうせ急場ごしらえでしょうが)ちょっとお気の毒でした。トレウバエフの踊りは、独特の見せ方と吸引力があってなかなかよかったのですが、やっぱりルジファンにはルジファンの「スタンダード」というものがありますから、見ていて「これがルジマトフだったら~crying」と思った人はたくさんいたでしょうね。そういう意味でも2重にお疲れさまでした!

「ゾルバ」(イルギス・ガリムーリン)
ゾルバというのは、プログラムによるとギリシャの英雄物語?だそうですが、そういえば衣装もライティングもシンプルなモダン風なのに、地中海風の音楽に乗って、陽気な民族舞踊のような、ガリムーリンのキャラクターにとても合った作品でした。彼ももうベテランの部類だと思いますが、正確できれいな踊りはさすがでした。

「メディア」(ロメロご一行様)
最初のロサリオのソロから始まって、まあこの人たちはよく踊ること!声を出しながら踊るフラメンコは楽しいだろうな~。そういえば去年、この人たちの踊りを見て、私もバレエはもう無理だけど、フラメンコならオバサンでもカッコよく踊れるだろうな~とちょっとした妄想を抱き、「はじめてのフラメンコ」などという本を買い込んで、教室探しでもしようと思っていました。あれから1年、まだそのまんまです(爆)
でも、その本のおかげでタップダンスのように足をバタバタ鳴らすのを「サパティアード」というとか、あの独特の手の動きを「ブラソ」というとか、いろいろ基礎知識はつきました。

私はフラメンコというのは、生の舞台ではこの方たちの踊りしか見たことがありません。でも、テレビなんかでちょこっと見たものより、ずっと迫力があってすごい!と思うのですが、フラメンコの世界ではどうなんでしょうね?特に軽妙で粋なリカルド、情熱的でカリスマ性もあるロサリオの姉弟はすばらしいと思います。この作品ではソロもいいけれど、6人でぴったり揃えて同じ振りを踊るところも壮観でした。やっぱりフラメンコ、カッコいいです。ルジマトフが挑戦してみたいと思ったのも頷けます。

「ゴパック」(ヴィクトル・イシュク)
も~う、かわいい!爽やか!それでいて技術も確か。すごいテクニックをにっこり笑って軽くこなしてしまうところなど、こんな人がいたのかと驚きました。ウクライナの踊りを本場ウクライナのダンサーで見られて幸せ。これだけじゃなくて、もっと他のも見たかったです。美しいプリマたちに対して、若手イケメン不足のレニングラード国立バレエに、彼をゲストで招いてくれないかしら(日本公演に、光藍社さん、お願いheart04

「シエスタ」(ユリア・マハリナ)
一時、太ってしまって、「シェヘラザード」の衣装からお腹のお肉がはみ出しているのを見たときは、もうダメか~と思ったものです。ところが、昨年、一昨年と絞られてきて、ことしはとてもスリムな姿になっていました。スリムになると手足が長いのが一層際立ちます。そしてたおやかで柔軟なこと。けだるい午後の雰囲気と、彼女の妖艶で繊細な雰囲気が一体化し、うっとりするような作品でした。

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」(エヴゲーニャ・オブラスツォーワ&イーゴリ・コルプ)
これが第1部の白眉でした。オブラスツォーワかわいい~!本当に踊ることが楽しくて仕方ないという感じがします。そしてパートナーのコールプとのアイコンタクトもほほえましくて、特にストーリーはない、純粋に踊りだけのパ・ド・ドゥのはずなのに、まるで一つの初々しい物語を見るようでした。

コールプと踊る?と聞いたときは、一体どうなることかと思ったけれど、(アイドルと人さらいという感じしか想像できなかったsweat01)マリインスキーではよく一緒に踊っているのでしょうか?そういえばYouTubeにもこの二人の「ロミオとジュリエット」の映像がありましたね。コールプも、昨年の強烈な印象からはがらりと変わって、とてもノーブルで爽やかな王子様になっていてオドロキでした。そして、相変わらず激しく踊っていても足音がしない!のびやかで、しなやかで、まるで猫のようです。コールプは間違いなく今が絶頂期。来年のレニングラード国立バレエを初め、彼を見る機会がふえているので楽しみです。

「阿修羅」(ファルフ・ルジマトフ)
真っ暗な舞台の真ん中に、ボーっと浮かび上がったルジマトフ。1年ぶりの舞台姿にドキドキしてしまいました。あ~この日を待っていたのよ!と、誰もが思ったことでしょう。より繊細に、静謐に、余分なものをそぎ落として深化した「阿修羅」。武術家のような力みは消え、しなやかで中性的とも思える部分も出てきたようで意外でした。岩田氏がそれをイメージして振付けたという興福寺の阿修羅像の少年のようなたたずまいと、正義であるにもかかわらず邪神と化していく(?)怒り、悲しみのようなものを、昨年以上に深いところで感じることができました。

同時に、ルジマトフ自身が多忙な芸術監督になったあとも、作品に向き合う集中力や真剣さは微塵も失われていないこと。わずかな乱れすら感じない流れるような動きが、自身の鍛錬も決して怠っていないことを物語っていて、胸が熱くなりました。もっともっと踊りたい。理性とはまた別のところで、ダンサーとしての身体はそう言っているようですよ!それが確認できてとてもうれしく思いました。

ルジマトフの踊りに関しては、もう何を踊ってもいい、舞台に立ってくれるだけでいいから、と思う反面、やっぱりクラシックを一つは見せてほしかった、そんな思いもあります。特に今回のあのレッスン風景など、あんなのをちらっと見せておいて、クラシックはもう踊らないかも?なんて~crying もっともっといろんな面があるはずなのに、ことしの「ルジすべ」、これが「ルジマトフのすべて」じゃないでしょう?

幸い、今回の舞台、ご自身も久しぶりの舞台の感触を存分に楽しまれたでしょうから、ぜひまた次の舞台を切望します。特に私のような、彼の若い頃、全盛期を知らない遅れてきたファンには、これからの一瞬一瞬が貴重です。お願いしま~す!

長々と書いてしまいましたが、とても楽しみにしていた公演ももう終わり。1日目には多少の物足りなさを感じたものの、あとからじわっとよさが見えてきて、ことしも満足することができました。あとはやっぱり次の公演、お願い、早く教えてくださいっ!

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2008年7月 5日 (土)

「ルジすべ」2日目~「カルメン」

「ルジマトフのすべて」は、ママバレエのT先生とは何回か一緒に来ているのだけれど、今回(2日目)はK先生までご一緒で、ちょっと緊張しました。K先生は「カルメン」と名の付くものなら何でもお好きで、楽しみにしていたそうです。だけど‥1日目のちょっとビミョーな「カルメン」で、大丈夫かなあ、と内心心配でした。ところが‥‥‥。

全然違いました!何なの~これ?2日目は何と、もう観客もルジマトフもノリノリでした。内容もちょっと変えてあったような気がします。2度目ということもあるけれど、感情表現もわかりやすかったです。それに、寄せ集めのようなメンバーが大分まとまっていました。(ということは本当に当座の寄せ集めだったcoldsweats01)K先生が盛んに「ブラボー!」を言っていたので、私も思わず「ブラボー!」と叫んでしまいました。声を出すと自分も乗ってくるんですね~!一緒に行った先生たち、とても楽しんでいただけたようで、ルジマトフ・ファンとしてはほっとしました。

そう、よかったんですよ。1日目は何だか、去年の4演目出演という大サービスの記憶もあるので、ちょっと淋しい感じもしたし、メインの「カルメン」が、カッコいいにはカッコよかったのだけれど今ひとつ乗れなかったので、いつもよりは満足度が低い気がしていたのです。でも、2日目は前日よりずっと引き込まれました。

最後、恒例の花束ラッシュが一通り終わって、緞帳が下りたあともこの日は拍手が鳴り止みませんでした。そしてルジマトフとロサリオが幕の前に出てきたのです。それからは皆立ち上がって大興奮heart04やっぱりね~これがなきゃ!

さて、その「カルメン」
真っ暗な舞台に、一人カルメン(ロサリオ)が、ラストシーンのオレンジの衣装で椅子に座り扇を持っています。カルメンが消えると、なぜかそこはダンススタジオ?で、舞台下手にバーが置かれ、黙々とバーレッスンをするダンサーたち。その中に
ルジマトフが!お稽古着姿でプリエやタンデュをするだけなんだけれど、もうその足のラインの美しさといったら!

一方、上手側ではフラメンコダンサーたちが踊っています。ひとしきり基礎的な型を終えると、今度はセンターレッスンのバレエダンサー達と入り乱れて、ダンス合戦みたいな様相に。「カルメン」なのに何で?と思うけれど、深く考えずに、ただただルジマトフの美しい動きに見入ってしまいました。トレウバエフとガリムーリンと、3人でジャンプやターンを披露するのだけれど、現役バリバリの彼らにも全く引けを取らず、それどころかとびぬけて優美~heart01この一瞬が一番よかった!なんて言ったら振付けたロメロ兄さんはきっとがっかりするでしょうね~。

レッスンが終わって、カルメンが登場します。最初の衣装とは違う黒っぽい衣装で踊り始めます。でも、このときルジマトフは「ドン・ホセ」に変身中なのですよ。最初後ろのほうで何をこそこそとやっているのだろうと思って、カルメンの踊りに集中できませんでした。2日目は何と、椅子を手前側にもってきて、そこで靴を履き、サッシュベルトをつけて、堂々とフラメンコスタイルに変身完了。お着替も演技のうちになったのね‥?それが終わると、スリリングなカルメンとの絡みになります。フラメンコも、やっぱりカッコよく決まるheart04

(実は、いまだに頭がボーっとしていて細かいことはよく思い出せないのです。2回も見たのに今思い出せないということは、一生思い出せない?coldsweats02 そういうわけで、ここに書いてあることは記憶違いが多いかもしれません。ごめんなさい~!)

このあとテーブルが出され、その上でリカルドが踊り、その後パーティーのような感じで皆出てきてグラスを傾け、ここでトレウバエフやガリムーリンがソロをちょこっと踊ったりしたんだよね‥?それが結構はまっていました。何となく、彼らはこういう雰囲気が合っていますね。バレエとフラメンコの取り合わせの違和感はありませんでした。そういえばマハリナも似合っていました。

続いてカルメンもテープルの上で踊る。ここで、黒のスーツ姿で椅子に片足を乗せて、手拍子を打つルジマトフがとってもツボでしたheart04そして皆が帰ったあと、カルメンとホセの濃厚なデュエット。(パ・ド・ドゥじゃなくって、何て言えばいいの?)

それから鏡の前で闘牛士に変身するリカルド。オペラの歌と、フラメンコのギター曲が入り混じって、かなりドラマチック。真っ白な衣装で、裏が赤地の大きなマントを振り回すのがカッコいいんだけれど、何というか‥ルジマトフのドン・ホセに対して、この人が恋敵のエスカミーリョというのがちょっと微妙でしたsweat02ロメロ一家の中にはちょっとイケメン系のいい若衆もいるのだから、彼なんかじゃいけなかったんですかね~(意味不明のつぶやき)

きょうだいだからというわけではないけれど、カルメンとエスカミーリョの踊りはいまいちきわどさが足りなかった。ここで思いきりきわどくしなければ、ストーリーが曖昧になってしまうと思うのですが。それに、心移りをしたカルメンを見て、ホセが嫉妬に苦しむところがあってもいいと思うのですけど、よくわかりませんでした。

一方、ミカエラ(マハリナ)とカルメンの女の戦いはすごかった。ミカエラは普通、カルメンとの対比で清純なイメージになるはずですが、ここではカルメンと互角に戦っている?強い女でした。(マハリナ素敵heart01)気丈にやりあうのだけれど、結局やられてしまう。そのあとのホセとミカエラの場面、ここが短くて、あっさりめでちょっと残念でした。もっとしっとりやってほしかったような‥‥‥そう、このあたり、バレエならもっとわかりやすく、ああ、ミカエラはホセのことを好きで心配なんだな~とか、それなのにホセはどうしようもなくカルメンに夢中で、いくら言っても聞く耳を持たないのよね~とか、そんなふうにすぐ理解できるはずなんだけれど、フラメンコという踊りが何をどう表しているのか、慣れていないのでよくわからなかったのです。

黒い衣装で(男なのにスカート?)銀色の仮面をかぶっている「死」という存在が、ときにエスカミーリョと踊り、カルメンと踊り、悲劇のラストシーンを暗示しているようでした。カルメンは最初に一瞬登場したときのオレンジの衣装。激情に駆られたホセと踊るうち、次第にまとめた髪がばらけて「ジゼル」の狂乱のシーンのようになっていきます。拒絶し、また求め合い、また逃げる。激しい感情のほとばしりが見えるラストシーンでした。最後はホセがカルメンをナイフで刺してしまう。。2日目は3回ほど刺してました~!?

ルジマトフは、確かローラン・プティの「カルメン」を踊っているのですよね。私は映像で一部を見ただけですが、破滅的な男を躍らせたらきっとこの人はすごいだろうな~と思っていました。今回フラメンコという形で見せてくれたその物語。1日目はちょっと消化不良という感じがしましたが、2日目はわかりやすく、よくなっていました。ともあれ、芸術監督になってからも日本で新作を披露して、舞台の上で元気な姿を見せてれくれて本当にうれしかったです。

それでも何か物足りない気がするとすれば、次の出演予定がないことですね~。あ~急場ごしらえの白黒チラシでもいいから、次の出演の御案内がほしかった!それがあれば次を楽しみに、またこれからも生きていけるのにweep 大体、あんなに美しいクラシックのパをチラ見させといて、まだまだいける!と思ったファンも多いはずなのに、「次」がないなんて、怒りますよっ!だから帰りにアンケート用紙にこう書きました。「これが最後にならないように切に祈ります!」「未発表の冬のミハイロフスキー・ガラに、ぜひともルジマトフ出演を望みます。」

「カルメン」だけで終わってしまいましたcoldsweats01 その他はまた後日に。

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2008年7月 3日 (木)

「ルジすべ」1日目

Img_0001 我ながら何という題名だ‥‥‥coldsweats01
とてもとても楽しみにしていた「ルジマトフのすべて2008」の初日を見てきました。あ~1年ぶりに舞台に立ったルジマトフ。やっぱりよいわ~heart04

今回は事前に何も聞こえてこなかったし、芸監業もお忙しそうで、自分のレッスンはできているのか、手術をしたという膝の具合はどうなのか、少々心配な面もありました。でも、昨日見た限りではそんな心配は全然いりませんでした。調子よさそうでまずは一安心です。

昨年初演の「阿修羅」はますます研ぎ澄まされ、フラメンコの動きも板に付き、一つ一つのコマ送りのカットがどれもカッコよくびしっと決まる心地よさ‥‥‥でも「カルメン」に関して言えば、何だか物語としてはさほどの感動もなかったのが、彼の舞台ということを思うとちょっと淋しい。Img_0002

きょうごらんになる方もいらっしゃるので、新作「カルメン」の詳細はまた後ほど。だけどさ~、最初は急場の寄せ集めの学芸会?と思って焦ってしまいました。coldsweats02 あの昨年のフラメンコ軍団と、マハリナ、嫁、そしてトレウバエフとガリムーリンとくれば、ずいぶんお手軽なところでメンバー調達したのね??みたいな。でもまさか学芸会なんて、彼の舞台でそんなことがあるはずがありません。もちろん最後はちゃんと濃厚に、めっちゃカッコよくしめてくれましたのでご安心を。

もしかして踊りの言語というものがあって、私はクラシック・バレエや、それを基にしたモダン作品の言語は理解しているけれど、フラメンコのそれは理解できていないのかもしれません。だからといっては何ですが、もう少し内面を語る部分がわかりやすく前面に出てもよかったのかと。ちょっとそれが伝わらず、作品としては消化不良でした。

でも、カッコいいにはもう、ものすごくカッコいい人ですよね。素の姿よりもシルエットを見せるライティングのせいもあって、スタイルのよさと型の美しさが際立ちます。決めのポーズもいちいちキザで伊達でheart04そういう意味では堪能しました。何より、カーテンコールでは終始笑顔で、ルジマトフ自身が1年ぶりに舞台で踊って、それをとても楽しんでいたのがわかって、ファンとしてはうれしかったです。この調子で、これからもまだまだ踊って欲しい!

きょうはさらっと気がついたことだけ。
公演パンフレットには最初にドムラチョワとイシュクの「ドン・キ」が入っていたけれど、ドムラチョワは膝の怪我とかで出演できなくなり、変更プログラムがはさんでありました。パートナーがいなくなったイシュクはソロの「ゴパック」を踊り、余った時間にフラメンコ軍団の「メディア」という演目が入っています。

確か去年も「メディア」という演目があったような気がしますが、それよりはもっと大掛かりな感じでした。フラメンコって、手先の動きが独特で、まるで手だけが別の生き物のよう。バリ舞踊なども手先をかなり使うけれど、もっとくねくねで、すご~い。フラメンコは「押し出し」が強くなきゃやってられない踊りなのか、皆さん本当に怖いくらい。こういう人たちが街を歩いてたら思わずよけますねhappy02。ロサリオは胸は相変わらずすごいけど、去年よりかなりスリムになって超カッコいい姉御ぶりでした。(和服姿で機関銃でも持たせてみたい??)

「ゴパック」もよかったです。ヴィクトル・イシュクは金髪サラサラのアイドル系。とっても爽やかでした。いかんせん、短いのよ‥!これだけなんて淋しい!もっと彼を見たかったです。「ドン・キ」もよかっただろうなと思うと少し残念でした。

でも、何と言っても「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」のエヴゲーニャ・オブラスツォーワが昨日の「一番」でした!彼女は容姿もとてもかわいらしいけれど、テクニックも抜群。何より彼女の踊りで、初めてバランシンの「音楽を視覚化する」というのがわかった気がします。もう、風のように軽やかで柔らかな動きは音楽そのもの。音楽にぴったりと合った動きはもちろんですが、まるで身体で音楽を奏でているような踊りに見入ってしまいました。すばらしかったです。

コールプがね~。何とあの怪しさも毒気もどこかへ吹っ飛ばして、何も色の付いていないまっさらな白王子に化けていたのですよ!もうびっくり。この人一体何者?まるでカメレオンですね。(そういえば顔は爬虫類っぽい‥ゴメン!)正面でなく斜めでろくろ回し(?)やったり、お互いに走りながらダイブをキャッチしたり、難しいサポートを涼しい顔してやっておりました。顔は相変わらずの老け顔ですが(ゴメン!)何だろう、踊りは全く癖がなく伸び伸びとノーブル。去年のギラギラの「海賊」や、怪しさ満開の「バラの精」と同じ人かと思うくらい。こちらが彼の「個性」と思っているものは、実は「怪人コールプ」の一つの顔で、こういう演目を踊るときはす~っとその濃い色をワイパーで拭き取るみたいに消しちゃうことができるんですね!オドロキでしたよ。

「阿修羅」は去年の衣装とは違って、赤いぴちぴちのジャージ?みたいなパンツでした。何で??去年はまるで武術家のような気合いと力強さを感じましたが、身体がより絞られたのか、逆に繊細に内に向かって研ぎ澄まされた感じがしました。繊細さが加わったのと同時に(赤パンツのせい?)あの興福寺の阿修羅像のような両性具有の雰囲気も加わって、より複雑なものに深化していて見ごたえがありました。

「カルメン」は、ロサリオが素敵だった!去年はバレエダンサーにはない豊満さで、ルジマトフより年上に見えちゃうくらいだったけれど、ことしはスリムになって、ワイルドな若々しさも加わり、獲物を狙う女豹のようでした。この人のオーラはすごい。フラメンコの人が並んでいても、この人に目が釘付けです。途中、フラメンコシーンが長くて飽きたところもあったけれど、彼女が登場するとふっとまた見入ってしまいます。

ルジマトフは、大分フラメンコらしくなってきましたね。(?)去年まではフラメンコ軍団に混じると異質な(重心の位置とか)感じがしましたが、独特なリズムが身体に染み込んだ感じです。やはり努力の人ですね。ただ、ほんのちょっとだけクラシック・バレエの振りがはいっている部分があって、そこの一瞬の動きの優美なこと!ほんのちょっとの部分なのに目を奪われてしまいました。何だ~!まだまだクラシックも全然いけるじゃない!膝の手術って、あれ何だったのよ!?フラメンコを踊っているのに、あの一瞬見せたクラシックの振りが美しくて、やっぱりクラシックがいいな~なんて思った不埒なファンです。

まあ、そんな感じで楽しんでまいりました。またきょうもありますheart04詳細はまたこの次に。

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2008年6月23日 (月)

余計なバレエ話~続き。

最近、あまりネット上の徘徊はしていないので、昨日の記事のあとにいろいろ回ってみたら、何とNBSのページに、「急告:英国ロイヤル・バレエ団、コジョカル、マックレー、怪我のため来日公演不参加」とあるではないですか!きゃ~、ショック!(20日付けで発表されていたのを今さら知った‥)

アリーナ・コジョカルも、スティーヴン・マックレーも、昨年の東京バレエ団の「真夏の夜の夢」で見て、ビジュアル的にとてもよかったので、どうせならとその二人が出る日を選んだのですが‥‥まだかわりに誰が踊るかは決まっていないようです。残念だけど、ロイヤルの「眠り」を見るのは初めてだし、豪華な衣装や舞台装置に興味があったので、まあいいかな~。

それから光藍社のサイトに、レニングラード国立バレエの2009年の冬ツアーの詳細が発表されていました。また来年も来てくれるのね。それだけでまずは一安心。だけど、何で「ルジすべ」の出演者のことがレニ国のHPに載っていて、レニ国の予定がレニ国のHPではなく、光藍社のほうに掲載されるのかな~。この二つのHPは一心同体みたいなものでしょうけどね。

それによると毎年暮れにやっていた「くるみ割り人形」がなくなって、年が明けてからすぐに「新春特別バレエ」からスタートするようですね。そしてびっくりしたのはもうキャストが発表されていること!それによると、まあわかってはいたけれど、ルジ様が踊らないというのが私には一番淋しいところです。せめて未発表の「ミハイロフスキー劇場ガラ」というのに1曲でいいから出てほしい‥‥というのが切なる願いweep

予想していたとおり、と言っては何ですが、やっぱりポスト・ルジマトフはコールプさんになったんですね。うれしいheart04(?)というか、何というか‥‥‥。コールプはすばらしいダンサーだし、好きですよ。でも~ファンの中ではルジ様のかわりになる人は絶対いないだろうなぁ。コールプは何と夏の「華麗なるクラシックバレエ・ハイライト」公演にも、草刈民代さんのパートナーとして御出演だそうです。これからいろいろとこき使われる?のかな?ごくろうさまです。見る機会がふえるのはもちろん大歓迎ですけどね。

この中で絶対見たいのはシェスタコワ&コールプの「ジゼル」です。今年の冬シーズンに、シェスタコワとコールプの二人が、「バヤデルカ」と「白鳥の湖」ですばらしい世界をつくりだしていたことを、いろんな人に伺っていました。私はというと、それをことごとく外してたのです。だから絶対見てみたい。そして「新演出」というところもルジ芸監の腕の見せどころかもしれませんし。それから新入団のボルチェンコ兄妹の「白鳥の湖」。あのカーチャが踊るのを早く見たい!

兄妹で恋人同士を演じるというか、騙す騙されるもそうだけど、一緒に踊ること自体え~っ?と思う人もいるかもしれませんが、私はけっこう地元で吉本兄妹(シャンブル・ウエスト)とかのペアを見ていたので、別に違和感はないです。うちの長男も、小学生までバレエをやっていて、発表会ではほとんど妹と踊らされていました。こんな仲の悪いきょうだいを一緒に躍らせるなんて、先生もひどいな~と思ってましたけどね。

あ、脱線ついでに、吉本真由美さんは先週の土曜日のゆうぽうとの「白鳥の湖」が最後のオデット&オディールだったそうです。彼女のクラスに通っている友人に、そういうことだから見に行かない?と誘われたのですが、もう先にmakoさんの発表会に行く予定が入っていたので、残念ですが行けませんでした。その友人の情報では、清里フィールドバレエにはまだ出るけれど、ホールでの公演は実質引退ということでした。まだ30代前半なのに残念ですが、今までも怪我とかがけっこう多かったらしいです。バレリーナの世界は怪我をしている暇もないほど厳しいものということですね。キラキラした金平糖の精や、かわいらしいスワニルダが印象的でした。キトリも見たし、多分シンデレラも見ていると思う。(昔だから記憶が‥)今はスタジオを開いているので、後進の育成に力を注がれるのでしょうか。(あそこの大人クラスは、私はもうハードでだめです‥!)

またさらに脱線!3月に「カルメン」を見たとき、新国立劇場のダンサーは誰も知らないなんて書いちゃったけれど、あとで見たら吉本泰久さんや遠藤睦子さんも出演していたのですね。前もって意識してないから全然わからなかった。お二方とも多摩地域出身のダンサーさんです。(なんて、そんなローカルなくくりはないかsweat02)遠藤さんは娘の先生と同じスタジオ出身だし、そこの発表会のゲストとして主役を踊るのを何回か見ていました。

話はレニ国に戻って、来日メンバーに元気娘エフセーエワの名前がないのがやっぱり淋しいですcrying。それとあれっと思ったのが、ルダチェンコの名前がないんですよ。団員紹介のページからも姿を消している!!え~!?昨年夏に羽村で出待ちをして、すごくフレンドリーに写真を撮ったりサインをしてくれたルダちゃん。娘に言うと「ああ、あのよれよれの海賊踊った人でしょ」とbleah‥‥中学生にそんなふうに言われるなんてお気の毒だけれど、そのあと見た「眠り」の王子はなかなか見栄えがよかった(微妙‥)のですが。たぶんああいうゆる~い感じの方は、芸監さんの好むところではないと思うので、もしかしたら‥weep 私はほっこり癒し系で、いいキャラだと思ったのですけどね。

いっぱいくだらないことを書いてしまったけれど、来年のレニ国の冬ツアー、ほかにはコールプの「海賊」(首領のコンラッドより大きな顔をした、大悪人のようなアリ?それとも、まずないだろうけど地で行ける怖いランケデム?)もあるし「ライモンダ」も初めてなので見てみたい(ルジ様のアブデラフマンはないだろうな~)‥‥とにかく、ルジマトフは出演しなくなったけれど、結局これからもずーっとチケット貧乏は続くのか~wobblyという感じです。

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2008年6月22日 (日)

「ルジすべ」もうすぐ!~発表会

ルジマトフが1年ぶりに舞台に立つ「ルジマトフのすべて2008」が10日後に迫りましたheart04ことしは事前にほとんど何も情報がなかったので、ずいぶん不安になったりしましたが、いよいよですね~。イープラスから得チケのお知らせもきましたが、S席8,000円とはずいぶんなダンピングだこと!angry 正規のS席を買っていた人は、得チケよりはきっといい席なのでまあいいでしょうが、A席を11,000円で買っていた人は複雑でしょうね。なんて、私もかなり得チケを利用させてもらっているので、言えた義理ではありませんけど。ともあれ、すばらしい舞台になることでしょうし、ルジマトフが今後いつ舞台に立つかわからないので、もしチケットまだの方はこの機会にぜひおすすめします!

「レニングラード国立バレエ」のページに「芸術監督の1日・日本編」が載っていると教えられて見に行ったら(写真のスリムなお姿、ずいぶんオジサン入ってるけど、やっぱり美しいlovely)、なぜかそこに「ルジすべ」にマリインスキーのエヴゲーニヤ・オブラスツォーワが出演することが書かれていました。わ~!楽しみ。

オブラスツォーワは、昨年のマリインスキー&ボリショイガラに出演したときは、シャクリャローフ君と「サタネラ」を踊り、絵のような美しい(というか、かわいいheart01)カップルにうっとりしたものでした。今年に入ってNBAバレエ団の「ドン・キホーテ」に客演し、大変好評だったと聞いています。それから、ちょっとまえにNHKの深夜のBSで放送された、マリインスキーのバレリーナを追ったドキュメンタリー、現在市販されている「Ballerina~マリインスキー・バレエのミューズたち」というDVDと同じ内容だと思いますが、それにも出演していましたね。

当時入団1年目のソーモワから、2~3年目のオブラスツォーワ、すでに若手プリマとしての地位を確立したザハロワ(この番組収録後にボリショイに移籍)、そして個性派プリマとして不動の地位を築いたヴィシニョーワ、怪我のための長期休養から復活したマリインスキーの至宝ロパートキナまで、さまざまな段階のスターたちを追った番組でした。ソーモワのオデットを見たときは、何であんなへたっぴに主役を躍らせるんだ!とびっくりしましたが、ロシアのプリマたちは若いうちに大役に抜擢して育てていくものだと知り(見せられるほうはたまらんだろうが‥‥)そういうところも大変興味深く見ました。年功序列のひどい日本の某バレエ団の方々にもぜひ見てほしい内容でした!

かなり脱線していますが、この番組に出演しているそうそうたる面々の中でも、特にオブラスツォーワに惹かれました。かわいいし、好感度抜群!性格も素直で、ホントにいい子で、もうこれだけで大好きになってしまいます。そのオブラスツォーワが「ルジすべ」に出演!なんて、とてもうれしいです。だけど、お相手は?もしかしてコールプ?あの毒気の強いお顔(おまけに目の周り真っ黒の泥棒メイク!)のコールプさんと並んだところが想像できません。去年のペレンちゃんは、まるでわが道を行くで、かまわずにお姫様してましたが‥‥sweat02シャクリャローフ君との美男美女カップルを見てしまっているので、ちょっときついかも。。

そんなわけで「ルジすべ」も楽しみですが、その前の6月26日はルジ様のBirthdayですね。45歳。ヌレエフなどはまだまだ古典をバリバリ踊っていた時期ですから、引退しようなんてゆめ思わないでほしいけど、ご本人が芸術監督の仕事がやりがいがあるとおっしゃるなら、それはそれで仕方のないことかもしれません。

そういえば同い年の(!)ニーナ・アナニアシヴィリですが、ABTを今シーズン限り(?)で引退するとか。いよいよグルジア国立バレエの芸術監督として腰を据えようということでしょうか。でも、ニーナはまだまだ踊りは引退しないと思います。

それでABT日本公演、7月24日(平日!)のマチネでニーナ主演の「白鳥の湖」の追加公演が決定し、6月29日に発売開始だそうです。うっそ~!「白鳥」は23日のを購入済みなのに。またニーナが見られるのはとてもうれしいけれど、さらにチケット貧乏の泥沼に陥りそうですsad 

さて、いつものように話はがらっと変わり、発表会のお話です。きのう、ここにも時々コメントを書いてくださっているmakoさんが出演する発表会に行ってきました。makoさんのブログを拝見すると、本当にバレエがお好きなのがよくわかります。小さいころからバレエ団付属のバレエ学校に通っていたそうなので、ただのお稽古事という以上に熱心にやられていたのだと思います。何らかの理由でやめられて社会人になり、ブランクがあったということでした。でもまた心のよりどころとしてバレエに戻って来て、それこそ手の形、足の運びなどの細かいことまで、その日のお稽古で注意されたことを毎日ブログに書き留めている熱心さには頭の下がる思いです。

発表会はとても楽しかったです。大人の方が多いせいかとても見ごたえがありました。大人といっても私のような、年いってから始めたママさんバレエ程度ではなく、みんなポワントをはいていた