「新選組血風録」終了
時代劇専門チャンネルで9月半ばから放送していた「新選組血風録」が終了しました。前回、2年前の放送の時はまだうちでは見られなかったので、今回の放送はとてもうれしかったです。
「新選組血風録」は1965年、昭和40年に放送された白黒のテレビ時代劇。私はもちろんリアルタイムでは知りません。私が覚えている一番古いテレビの記憶というのは、多分東京オリンピックです。4本のコタツの足みたいなのがついたテレビが奥の座敷の床の間に据え付けてあって
家族全員集合というか、うちは商売をやっていましたから、住み込みで働いていた人とかもみんな一緒に、マラソンとか重量挙げとかを手に汗握って見ていました。見たというだけで内容は全く覚えていないのですが。「血風録」はその翌年の作品だったんですね。
1970年の「燃えよ剣」はカラーになっていました。でも、それも私はリアルタイムで見ていません。当時夜は9時までに寝かされていましたから
あの頃、小学校の友達同士で「キイハンターごっこ」というのをやっていて、その夜9時台の人気番組を見せてもらえない私は、蚊帳の外で悔しい思いをしていましたっけ![]()
そして、私が「燃えよ剣」を見たのは、多分関東では地上波最期の再放送だと思われる夜11時台にやっていたもの。ギリギリ間に合ったという感じです。それを高校時代に、それこそ食らいつくように見ました。カセットテープに録音までして。(爆!)だから、私はずっと「燃えよ剣」派。「血風録」は知らないので語りようがありませんでした。
10年ほど前「血風録」のビデオが発売されて、それをレンタル店で見つけて初めて見たというのは前回書いたとおりです。その頃は私も子育てで苦労している真っ最中で、そんなにじっくり見ている暇もなく、ただ何となくこんなものかな?という程度だったんですよね。多分白黒の作品というのをあまり見慣れていなかったのだと思います。
ところが‥‥今見たら何と「新選組血風録」はすごく面白いじゃないですか。何というか、もしかしたら「燃えよ剣」以上に面白い。第一、栗塚旭も島田順司も若い~!もう栗塚さんなんて超素敵です
それと、島田さんの沖田総司はちょっとヤバいくらいかわいくて、見るたび胸キュンもの!昔見たときは、何かキモイ沖田‥(ごめんなさい!)もっとカッコいい人だったらよかったのになんて思っていたけれど、彼らの年齢をはるかに追い越した今になってみると、いや、もう激萌え状態というか、やばいです
今はもう彼しか沖田総司は考えられないほど。え?遅いって‥そうですね~![]()
折しも、時代劇というものが映画からテレビへ移行していく真っ最中の時期。これから新しい時代の新しい時代劇をつくっていくんだという「志」がすごく感じられる作品だったんですね。単なる勧善懲悪の娯楽時代劇とは完全に一線を画すものでした。演じる役者さんも、それまでの白塗りの美男役者ではなくて、栗塚さんのような一度見たら忘れないくらいの濃いキャラクターを主役に据えたところが斬新だったのでしょう。おまけに左右田さんとか、島田さんとか、もう超個性派ぞろい。どこの馬の骨ともつかない新劇の俳優を発掘してきたのは、予算の関係もあったのだろうけれど、これがまた映像に思わぬリアリズムを吹き込んでいったのですね。
その新しいものをつくろうという「志」と、今までどこにもなかった最強の組織をつくっていこうという新選組の「志」とがオーバーラップしているんだというのも新しい発見でした。前半はそんな「志」がいろんなところに見られます。浪士隊に加わって京に上るにあたって、自分の「志」に匹敵するくらいの立派な刀がほしいという近藤勇。新選組の「誠」の旗を自分たちの「志」の象徴にしようと、こだわりを持って注文する土方歳三。その「志」はもう、「血風録」をつくっているスタッフ、俳優、すべての人たちの「志」と重なって、私たちの心を捉えるのだと思いました。
そしてまた「志」の低いものに対しては容赦ない。楽しいだけの作品ではなく、最初から重苦しいのです。食いぶちだけを求めて入隊してきた者、身の安泰のみを図る者、なりゆきで間者になってしまった者、そういう人間はすべて無残な運命をたどることになり、それがまた彼らの「志」を際立てています。これって当時のサラリーマン(気楽な稼業と思われていた頃の)とか、マイホーム族とか、そんな時代の風潮とは真反対をいくものだったんじゃないでしょうか?事実彼らは、この間の対談(新選組交友録)でも語っていたけれど、それこそ休日も労働基準もなく、低予算の中、24時間フル稼働でテレビ時代劇をつくり続けていたのですから。
あと、「鬼副長」といわれていた土方歳三なのに、栗塚さんの演じる土方というか、この脚本の土方にはなぜかとても優しさを感じるんですよね。隊士一人一人を暖かく見守っているというか、そんな目線が感じられるのです。同じ栗塚さんでも、「燃えよ剣」の土方に比べて「血風録」の土方は甘い(「鬼」度が)という人がいますが、甘いというより優しくて暖かい。そして魅力的でした。意外なようだけれど、これは栗塚さんの持つ(本来明るいという)素の雰囲気からくるものもあったでしょうね。ビジュアルも、何という美しさなんでしょう
画面がアップになるところで、やはりこちらもすう~っと画面に吸い込まれるように見惚れてしまう‥‥まあ、そんなミーハーです![]()
後半ではだんだん情勢が厳しくなってくるけれど、彼ら新選組は信念を変えない。時代は変わっても「志」は変わることがない。そういうところがまたさわやかで胸を打つのです。京を去るあたりから、みんなとても切ない。特にラスト3本はもう涙なくしては見られない、号泣ものでした。前にレンタルビデオで見たときは一体何を見ていたのかしら。特に近藤勇の描かれ方が素晴らしいです。こんなに偉くて立派な近藤勇は見たことがありません。まさに将たる器というのを、船橋さんという人は少しの気負いもなく演じていました。私もつい土方さんと一緒に泣きながら「こんどう~!」と叫んでしまいましたよ![]()
沖田総司も、島田さんの演じる沖田はきれいごとじゃない、まさに等身大のリアルな沖田総司像でしたね。それから左右田さんの斎藤一。これがまた漂々として、朴訥で、飾らなくて素敵でした。「燃えよ剣」の「裏通り先生」も味があっていい役だったけれど、この無表情で触れれば切れるみたいな斎藤一を、口数少なく心は見せないけれど裏表がなくて実直、そういうふうに演じた左右田さんがとてもよかったと思います。
思いがけず長々と語ってしまいました。語れば尽きないけれどまたの機会にとっておきましょう。あと、「血風録」の放送終了後に放映された「新選組交友録」のことも少し。あれはほんとに信じられない企画でしたね。何せ、40年前のテレビ時代劇の出演者が時を経て再会するという‥‥。こちらまで胸が熱くなりました。
一連のテレビ時代劇は「燃えよ剣」で一応の終止符を打たれます。(なぜここでこのプロジェクトが終わったのか、私は知りません。誰か知っている人に聞いてみたいです。「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」みたいに何十年も続く長寿番組もあるのにね。)そしてその後の長い長い間、栗塚、島田、左右田のお三方は一度も三人一緒に会ったことはなかったと言っていました。そんな三人が、まるでずっと一緒にいたみたいに、昨日のことみたいに、いつまでも話が尽きない様子に感動してしまいました。
あの「血風録」から「燃えよ剣」までの5年間は本当に、人生の中で一番濃縮された時間だったことでしょう。これもまた新選組の京都での華々しい5年間とかぶってきます。ずっと同じ業界にいてあれ以来会うことがなかったというのは不思議な気もしますが、何となくわかる気もします。皆さん、脇目も振らずずっと走り続けてきたんですね。そしてあの年齢になられたからこそ、懐かしくまた語り合える時間がやってきたんだと。お三人のうれしそうな表情に、ただただ感動、感動、でした。
今は同じ放送枠で、見慣れた「燃えよ剣」を放送しています。こちらはもうカセットテープで何度も聴いていたくらいですから私も懐かしい。時を経てこんなに愛される作品はめったにないでしょうね。また「燃えよ剣」も楽しみたいと思います。
































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